保安管理技術は、択一15問・合格ライン60%(9問)の科目です。平成28〜令和7年度の国家試験と技術検定(各10回)、300問・1,327記述を1本ずつデータ化して集計しました。
- 問1〜15の出題テーマは、検定も国試も毎年ほぼ固定
- 安全装置・計装と運転管理・設備管理の2分野で約半分。ここから固める
- 誤り選択肢は4つの型が拮抗。国試は方向の逆転、検定は数値を突いてくる
分野J(国試 問5〜7:高圧装置・圧縮機・ポンプ・流動・伝熱・分離):圧縮機とポンプ|高圧装置・流動・伝熱・分離
保安管理技術の記事を、国家試験・技術検定の問1〜問15に対応させた一覧は、保安管理技術の記事マップにまとめています。
分野別の記事と論点 ── 分からない論点へ直接とぶ
| 分野と問 | 記事と主な論点 |
|---|---|
| A 燃焼・爆発 国試 問1 | 燃焼・爆発:爆発範囲と不活性ガス希釈・最小発火エネルギー・消炎距離・爆ごう |
| B ガスの性質 国試 問2/検定 問1・2 | ①可燃性・支燃性・不活性ガス:水素・酸素・酸化エチレン・二酸化炭素 ②毒性・腐食性ガス:アンモニア・塩素・シアン化水素・特殊材料ガス |
| C 高圧装置用材料 検定 問3 | 材料と熱処理:炭素量・熱処理・ステンレス鋼・低温用材料 |
| D 腐食と防食 国試 問3/検定 問4 | 腐食と防食:異種金属接触・応力腐食割れ・高温腐食・水素侵食 |
| E 防爆・静電気 国試 問10/検定 問9 | 防爆・静電気・電気設備:危険箇所・防爆構造・放電と着火・接地とボンディング |
| F 安全装置・計装・漏えい防止 国試 問4・8・11/検定 問5〜7・10 | 安全装置:フェールセーフ・安全弁・破裂板・緊急遮断装置 計測と制御:流量計・温度計・制御動作・制御方式 シール・フランジ:ガスケット・ポンプの軸封・漏えい量 |
| G 防災設備 国試 問12/検定 問11 | 防災設備と除害:検知警報設備・フレアスタック・除害・計装用空気 |
| H 運転管理・設備管理 国試 問13〜15/検定 問12〜15 | 運転管理:置換と縁切り・入槽・ガス火災・蒸留塔のトラブル 設備管理と検査:保全方式・非破壊試験・耐圧試験と気密試験 |
| I リスク解析・安全管理 国試 問9/検定 問8 | リスク解析と安全管理:HAZOP・FTAとETA・リスクマネジメント・フェーズ理論 |
| J 高圧装置・圧縮機ポンプ・流動伝熱分離 国試 問5〜7 | 圧縮機とポンプ:圧縮機の種類・サージング・ポンプの種類・キャビテーションとNPSH 高圧装置・流動・伝熱・分離:管摩擦・伝熱・熱交換器・分離と塔 |
各記事は1つの見出しが1つの論点です。アプリで間違えた問題の論点名から開くと、その章の図と「問われる形」をすぐ見られます。
検定の問番号は平成28〜令和6年度の並びです。令和7年度の検定の並びは、下の問1〜問15の対応表を見てください。
出題の全体像 ── 2分野で半分、記述数の多い分野から固める

問1から問15までの出題テーマは毎年ほぼ固定され、狙われる「お決まりのひっかけ」も一定です。時間がないなら下の表の①〜④の分野で、1,327記述の約6割をカバーします。
| 優先度 | 分野 | 記述数 | 定番の論点 |
|---|---|---|---|
| 最優先(100記述超) | ① 安全装置・保安装置・計装 | 307記述(23%) | 国試 問4・8・11/検定 問5・6・7・10(R7は問4・8・11)。フェールセーフとフールプルーフの取り違えが10年で13件 |
| 最優先 | ② 運転管理 + ③ 設備管理と非破壊検査 | 合わせて312記述(24%) | 国試 問13・14・15/検定 問12・13・14・15(R7は問13・14・15)。置換の順番、PT・MTの適用範囲 |
| 次点(80〜140記述) | ④ ガスの性質 | 138記述(検定98・国試40) | アンモニアと銅、乾燥塩素と鉄 |
| 次点 | ⑤ 材料の劣化・腐食と防食 | 89記述 | 異種金属接触で溶けるのは卑(10年で8回) |
| 次点 | ⑥ 防爆・静電気・電気設備 | 89記述 | 最大安全すきま=耐圧、最小点火電流=本質安全(10年で8回) |
| 次点 | ⑦ 防災設備・除害 | 89記述 | フレアの逆火と吹き消え(2回入れ替え) |
| 次点 | ⑧ リスク解析・安全管理 | 89記述 | 「できない」形が誤りの4割強 |
| 片方のルートのみ | ⑨ 高圧装置用材料と熱処理 | 49記述(検定のみ) | 耐孔食と耐粒界腐食(SUS316と304L、Mo・NとTi・Nb)の入れ替えが10年で4回(最多の誤り) |
| 片方のルートのみ | ⑩ 燃焼・爆発 | 36記述(国試のみ) | 不活性ガス希釈は上限界を下げる |
- 形式:「イ・ロ・ハ・ニ」の記述の正誤組合せを5択から選ぶ(正しい/誤っている記述の個数を問う形式もある)
- 攻略の基本は消去法:確実に○×を言える記述が2つあれば選択肢はほぼ絞れる
- 高圧装置・圧縮機ポンプ・流動伝熱分離(国試116記述・検定13記述)は表の①〜⑩に入れていない。分野Jの2本(圧縮機とポンプ・高圧装置・流動・伝熱・分離)で扱う
国試と検定で重心が違う ── ルートで力の入れどころが変わる

どちらのルートでも、上2つの分野が最大です(国試で40.5%、検定で51.6%)。一方、国試の約4分の1(燃焼・爆発と装置・単位操作)は、検定ではほとんど出ません。
| 分野 | 国家試験 | 技術検定 |
|---|---|---|
| 安全装置・保安装置・計装 | 20.3% | 25.4% |
| 運転管理・設備管理・検査 | 20.3% | 26.1% |
| 高圧装置・圧縮機ポンプ・流動伝熱分離 | 19.6% | 1.8% |
| ガスの性質 | 6.8% | 13.3% |
| 高圧装置用材料・熱処理 | 0%(問3に統合) | 6.7% |
| 燃焼・爆発 | 6.1% | 0% |
| 材料の劣化・腐食と防食/防爆静電気/防災設備/リスク解析 | 各6.8% | 各6.7% |
国試592記述・検定735記述の仕分けです。国試は1問4記述(イ〜ニ)、検定は5記述(イ〜ホ)なので、同じ15問でも国試は60記述、検定は75記述を判定します(令和7年度の検定は1問4記述でした)。
- 検定ルート:装置・単位操作は10年で3問(H29の問5、R7の問5・問6)だけ。深追いしなくてよいが、令和7年度は2問出たので要点は押さえておく。そのぶんガス各論(2問)と材料(1問)に投資したほうが効率がいい。ただし燃焼・爆発は学識で記述式の計算として問われるので、○×暗記では足りない
- 国試一発ルート:問5〜問7の3問=20%が、ポンプ・圧縮機・熱交換器・蒸留塔の実務知識。ここを落とすと痛い。燃焼・爆発は国試の択一では問1の1問だけ
圧縮機の出題に近い実務は圧縮機のサージングとアンチサージ制御と往復動圧縮機の異常と弁の保全で解説しています。
問1〜問15の対応表 ── 国試は10年間固定、検定は令和7年度に組み替え
| 問 | 国家試験 | 技術検定(H28〜R6) |
|---|---|---|
| 問1 | 燃焼・爆発 | ガスの性質①(水素、酸素、CO、CO₂、窒素、アルゴン、酸化エチレン、LPガス等) |
| 問2 | ガスの性質(物性・危険性) | ガスの性質②(毒性・腐食性・特殊材料ガス) |
| 問3 | 材料の劣化・腐食と防食 | 高圧装置用材料(金属材料・熱処理) |
| 問4 | 計測機器および計装 | 腐食と防食 |
| 問5 | 高圧装置(貯槽・塔・熱交換器) | 計装機器・計測機器 |
| 問6 | 圧縮機・ポンプ(サージング、キャビテーション、NPSH) | 流体の漏えい防止 |
| 問7 | 流動・伝熱・分離(PSA:ゼオライト=窒素吸着で酸素製造、分子ふるい活性炭=酸素吸着で窒素製造) | 製造プラントの計装システムと安全計装 |
| 問8 | 流体の漏えいとその防止 | 安全設計・リスクマネジメント |
| 問9 | リスク解析手法・安全理論 | 電気設備(防爆・接地) |
| 問10 | 静電気および接地 | 保安装置 |
| 問11 | 保安装置・安全装置 | 防災設備・用役設備 |
| 問12 | 防災設備(検知警報・除害) | 運転管理 |
| 問13 | 運転管理 | 誤操作防止・緊急時の措置 |
| 問14 | 設備管理および工事管理 | 検査および診断 |
| 問15 | 設備の検査と診断(非破壊試験) | 置換作業・工事管理 |
国家試験で「材料」は問3の1問だけ。高圧装置用材料と熱処理を独立の1問として出すのは検定の問3(令和7年度は問2)で、そのぶん国試は問5に「高圧装置」が入ります。検定は問1・問2の2問がガスの性質(13%。令和7年度は問1・問7)です。
令和7年度の検定は1問4記述(イ〜ニ)になり、並びも組み替えられました(問2 材料、問3 腐食、問4 計測・計装、問5・問6 高圧装置と圧縮機、問7 ガスの性質②、問8 漏えい防止、問9 安全管理、問10 電気設備・静電気、問11 保安装置、問12 防災設備、問13〜問15 運転管理・工事管理・検査)。平成29年度の検定も、問5は計測機器ではなく高圧装置でした。
国試の問5・問6・問7の3問(20%)は、装置と単位操作の実務知識そのものです。NPSHとキャビテーション、送液ポンプ完全ガイド、ブロワーの種類・構造・使い分け、熱交換器の完全ガイド、真空ポンプの種類と選び方がそのまま対応します。
誤りの作り方 ── 4つの型が拮抗、国試は向き・検定は数値

| 誤りの型 | 全体 | 国家試験 | 技術検定 |
|---|---|---|---|
| 用語定義のすり替え(AとBを入れ替える) | 22.8% | 19.7% | 25.4% |
| 方向・大小の逆転(比例↔反比例、増える↔減る) | 21.3% | 26.6% | 16.9% |
| 例外の削除・過度な一般化(「〜ことはない」「〜によらない」) | 21.1% | 21.6% | 20.8% |
| 適用対象の誤り(このガス・この材料には当てはまらない) | 18.0% | 16.5% | 19.2% |
| 数値・条件のすり替え | 9.8% | 5.0% | 13.8% |
| 因果関係の取り違え | 6.9% | 10.6% | 3.8% |
国試を受ける人は、数値の暗記より関係の向きの理解に時間を割いてください。 検定を受ける人は、数値もそのまま覚える必要があります。
- 1,327記述のうち誤り記述は523本(型を判定できた478本で集計)。上位4つが18〜23%に並び、「これさえ疑えばいい」という型はない(法令は「例外の削除43.9%+範囲の拡大縮小32.5%で76%」と偏っていた)
- 国試の問われ方:「層流で管摩擦係数はReに比例か反比例か」「上限界と下限界のどちらが大きく動くか」
- 検定の問われ方:「酸素濃度は18〜22vol%か16〜20vol%か」「伝送信号は4〜20mAか0〜20mAか」
定義のすり替え ── フェールセーフは主語が「機器」

主語が「機器」ならフェールセーフ、「人」ならフールプルーフ。 フェールセーフ=機器が壊れたとき安全側に動く設計(動力・空気・電源が切れたとき)。フールプルーフ=人が間違えないようにする設計(カバー、施錠、色分け、コネクタ形状)。
| 出題 | 出た形 |
|---|---|
| R2国試 問4ニ | 調節弁の駆動方式選定を「フールプルーフ」→ ×(フェールセーフ) |
| R2検定 問7ホ | 動力喪失時の弁動作を「フールプルーフ」→ ×(フェールセーフ) |
| R3国試 問4ニ | 動力喪失時の弁動作を「フールプルーフ」→ ×(フェールセーフ) |
| R3検定 問7ニ | 人為ミス対策を「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
| R3検定 問13ロ | 部分修理中のバルブに付ける操作禁止の標示を「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
| R4国試 問4ニ | 起動インターロックを「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
| R4検定 問13ニ | ユーティリティの誤接続防止を「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
| R6国試 問4イ | スイッチのカバーを「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
| R6検定 問7ニ | 人為ミス対策を「フェールセーフ」→ ×(フールプルーフ) |
表は令和2〜6年度の9件です。10年分では13件(20回中12回)。論点はフェールセーフ・フールプルーフ・冗長化にまとめています。
国試では毎回のように問4、検定では問7か問13に出ます。問題文にその語が出た記述のうち誤り(×)だった割合は、フェールセーフと破裂板で7割を超えます。
| キーワード | 問題文に出た記述 | 誤り率 |
|---|---|---|
| フェールセーフ | 11記述(×9) | 82% |
| 破裂板 | 18記述(×13) | 72% |
| フールプルーフ | 8記述(×5、残る3つは正しい説明) | 63% |
| 燃焼速度 | 16記述(×8) | 50% |
- 破裂板は「高粘性・固着性の流体に向く」「急な圧力上昇に向く」「負圧の保護にも使える」「定期交換が要る」の4つを順に回し、×の形で出す(→ 破裂板と負圧の保護)
- ほかに入れ替えられるペア:焼入れ↔焼ならし、SUS316↔SUS304L、PT↔MT、貴↔卑、TBM↔CBM、フィードバック↔フィードフォワード、ダンピング↔ウィーピング
同じ論点が、○と×の両方の形で出る

| 論点 | 出題の形 |
|---|---|
| 予防保全に含まれるのはどの保全か | R2国試問14イ ○ / R3国試問14イ × |
| ガスケット係数の定義 | R3問8イ × / R6問8イ ○ |
| 隔膜式圧力計は低圧測定に向くか | R4検定問5ハ ○ / R5国試問4ロ × |
同じ形の×が繰り返された論点もあります:層流の管摩擦係数(R4・R5問7イ)、破裂板と高粘性・固着性の流体(R4・R6問11ロ)、浸透探傷試験の現像処理(R3問15ハ・R6問15ロ)。
○×を丸暗記していると、裏返された瞬間に落とします。 正解した記述についても、逆にされたらどう答えるかを1秒考えてください。
10年分では、2回以上出た論点が331あり、その半分強(175)は○と×の両方の形で出ています。「どちらが大きいか」「どちらが先か」の理解が得点差になります。
勉強の回し方 ── 根拠が言えない○×は復習対象
問題文を読んだら、主語と定義にズレがないか、必ず指差し確認をしてください。
すきま時間に、アプリで復習できます。
実務の背景 ── 設備と安全の解説記事
次は学識です。大問構成が固定されているという特徴を、いちばん活かせる科目です。全体の地図に戻る場合は高圧ガス甲種化学の勉強法 完全ガイドへどうぞ。
出典:高圧ガス保安協会『高圧ガス製造保安責任者 甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか、同『高圧ガス保安技術(甲種化学・機械 講習テキスト)』。平成28〜令和7年度の国家試験10回・技術検定10回、計1,327記述を筆者が1記述ずつ分類して集計しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
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