動画解説はこちら|YouTube

保安管理技術|設備管理と非破壊検査|PTは表面だけ、MTは非磁性体に使えない【甲種化学】

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

困っている人
困っている人

非破壊試験の種類が多くて、どれが何を見つけられるのか整理できない。

予防保全に計画事後保全が含まれるのかどうか、毎回迷う。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

予防保全=時間基準+状態基準。計画事後保全は含まない(3回)

PTは表面開口欠陥だけMTは非磁性体に使えない

蛍光探傷は紫外線(赤外線ではない)── 2回すり替えられた

入槽時の酸素濃度は18〜22 vol%(3回、数値をずらす誤り)

非破壊試験は「何を見つけられて、何が見つけられないか」で整理すると混乱しません。

この記事はH分野(160記述)の後半、設備管理・工事管理・検査を扱います。

ルートテーマ
国家試験問14設備管理および工事管理
問15設備の検査と診断(非破壊試験)
技術検定問14・問15検査・工事管理

運転管理は運転管理の出題、全体像は保安管理技術15問の攻略を参照してください。

最頻出① 予防保全に計画事後保全は含まれない(3回)

年度・問誤りの記述
R3国試問14イ予防保全に時間基準保全や計画事後保全が含まれる → ×
R5国試問14イ予防保全に時間基準・状態基準・計画事後保全がある → ×
R4国試問14ロ時間基準保全は劣化傾向を監視して整備時期を決める → ×(状態基準保全の説明)

3回とも保全方式の分類を問うています。 体系を1枚で覚えてください。

保全の体系

■ 予防保全(PM) ── 故障する前に手を打つ

 ・時間基準保全(TBM)あらかじめ定めた周期で交換・修理

 ・状態基準保全(CBM)劣化傾向を監視して時期を決める

■ 事後保全(BM) ── 故障してから直す

 ・計画事後保全あえて故障するまで使うと決めているもの

 ・突発事後保全:予期せぬ故障

計画事後保全は「事後保全」の一種です。予防保全ではありません。

「計画」という語に引きずられて予防保全だと思わせるのが手口です。

TBM と CBM の違い

時間基準保全(TBM)状態基準保全(CBM)
決め方周期(時間・運転時間)劣化状態の監視結果
長所計画が立てやすい無駄な交換がない/突発故障を防げる
短所まだ使えるものを交換する/それでも壊れる監視の仕組みが要る
別名定期保全予知保全

CBMには振動診断・油分析・サーモグラフィ・AEなどの設備診断技術を使います。

計画事後保全が合理的な場合もあります。 故障しても影響が小さく、交換が安い部品など。

どの方式を選ぶかは、リスク(発生確率×影響度)で決めます。

設備健全性管理リスクベース検査老朽化設備の管理

最頻出② 非破壊試験 ── 何が見つけられて何が見つけられないか

試験記号検出できる欠陥制約
放射線透過試験RT内部欠陥(溶接部・鋳物)面状欠陥(き裂)に弱い/被ばく管理
超音波探傷試験UT内部欠陥(特にき裂に強い熟練が要る/形状の制約
磁粉探傷試験MT表面+表面直下の欠陥強磁性体のみ(ステンレスは不可)
浸透探傷試験PT表面に開口した欠陥のみ内部欠陥は検出不可/多孔質材は不可
渦電流探傷試験ET表面・表面近傍導体なら非磁性体でも可/熱交換器チューブに多用
アコースティックエミッションAEき裂の進展(動的)位置の特定が難しい

RT=内部、UT=内部(き裂に強い)、MT=表面+直下、PT=表面のみ、ET=表面近傍(非磁性可)

PTは内部欠陥を検出できない(R2検定問14ロ)

出た誤り記述

浸透探傷試験は、表面に開口している微細な欠陥、ならびに表面付近の内部欠陥を検出するのに最も広く用いられている方法である。

× 内部欠陥は検出できない

なぜ表面だけか

浸透液を欠陥の開口部から染み込ませる

表面に開いていなければ、液が入らない

→ 内部欠陥は原理的に検出不可

「表面に開口している」が必須条件です。表面直下の欠陥も見えません。

PTの手順(R3国試問15ハ)

出た誤り記述

浸透探傷試験では、油脂を除去し、次に染色浸透液を塗って欠陥部に浸透させた状態で観察する。

× 現像処理が抜けている。

正しい手順

前処理(油脂の除去)

浸透処理(浸透液を塗る)

余剰浸透液の除去(表面を拭く)

現像処理(現像剤を塗り、欠陥から液を吸い出す)

観察

③と④が要点です。表面を拭かないと全面が染まって見えないし、現像しないと欠陥から液が出てこない。

蛍光探傷は紫外線(2回すり替えられた)

出た誤り記述(R2検定問14ハ・R4検定問14ニ:2回)

磁粉/浸透液に蛍光性を与え、赤外線照射によって観察する方法がある。

× 紫外線(ブラックライト)照射。

蛍光とは、短波長の光を当てて長波長の光を出させる現象です。だから紫外線を当てる。

赤外線では蛍光しません。 波長の関係が逆です。

検出精度は蛍光式のほうが高い(暗所でコントラストが強い)。

令和4年度 検定 問14ニでは「染色のほうが精度が高い」ともすり替えています。 2重の誤り。

MTとETの適用(R5国試問15ニ)

出た誤り記述

磁粉探傷試験と渦電流探傷試験は電磁気現象を利用した方法であり、いずれも非磁性体材料には適用できない

×

正しい理解

MT(磁粉探傷)磁化できる材料だけオーステナイト系ステンレスには使えない

ET(渦電流)導体であればよい非磁性体でも使える

オーステナイト系ステンレス(非磁性)にはMTが使えません。 だからPTかETを使う。

これは実務でそのまま効きます。 ステンレス配管の溶接部検査はPTが標準。

ステンレス鋼の系統(非磁性)非破壊検査の使い分け

RTの原理と適用(3回出題)

出た誤り記述(令和2年度 国試 問15イ)

放射線を照射し、内部の欠陥によって反射・散乱された放射線を検出して検査する。

× 透過後の放射線の強さの差をフィルム上に濃淡の像で現す。

「透過試験」という名前のとおりです。反射を見るのは超音波(UT)。

出た誤り記述(令和3年度 検定 問14ホ)

放射線透過試験は、溶接部や鋳物における検査には適用できない

× まさに溶接部・鋳物に広く用いられる

出た誤り記述(令和4年度 国試 問15イ)

放射線透過試験は、溶接部の表面欠陥の定期検査に広く適用され、超音波探傷試験に比べて疲労き裂の検出に適している

× RTは内部欠陥向けで、き裂はUTのほうが得意

RTとUTの得意・不得意

RT体積的な欠陥に強い(ブローホール・スラグ巻込み)

 面状欠陥(き裂)には弱い(放射線の方向とき裂の向きが合わないと写らない)

UT面状欠陥(き裂)に強い(垂直に当たれば強く反射する)

だから供用中のき裂検査はUTです。RTは製作時の内部欠陥(溶接不良)向け。

OSI(供用中検査)は運転中に行う(R2国試問15ハ)

出た誤り記述

OSIと呼ばれる設備の停止中に行う検査がある。

× OSI(On Stream Inspection)は運転中に行う検査。

On Stream = 流れている状態です。名前がそのまま意味しています。

UT厚み測定・サーモグラフィ・振動診断などが運転中に実施できます。

停止期間を短縮できるので、経済的な意味も大きい。

破壊試験の分類(R4検定問14ロ)

出た誤り記述

破壊試験の1つである衝撃試験にはビッカース圧痕試験があり、硬度分布の測定に用いられる。

× ビッカースは硬さ試験。衝撃試験はシャルピー・アイゾット

試験分類測るもの
ビッカース・ブリネル・ロックウェル硬さ試験硬さ
シャルピー・アイゾット衝撃試験吸収エネルギー(靭性)
引張試験引張試験引張強さ・降伏点・伸び・絞り
クリープ試験クリープ試験高温での時間依存変形

シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが靭性の指標です。低温脆性の評価に使います。

C量と靭性金属材料の基礎

工事管理 ── 火気の3分類(2回)

出た誤り記述(令和4年度 検定 問15ニ)

事業所内で管理すべき火気工事は、裸火と火花の2つであり、火花を生じない高熱物は対象外である。

× 高熱物も対象

出た誤り記述(令和4年度 国試 問14ハ)

ハンマ、グラインダの使用による火花は、火気工事として管理する対象ではないため消火器などの設置は必要ない。

× 衝撃火花も火気工事として管理が必要

管理すべき火気の3分類

① 裸火:溶接アーク・ガス切断・内燃機関・喫煙

② 火花:グラインダ・ハンマ打撃・静電気

③ 高熱物:加熱された配管・電気ヒータ・高温表面

3つすべてが管理対象です。どれか1つを落とす誤りが2回出ました。

「火花を生じない高熱物」も危険です。発火温度以上の表面があれば、そこで着火します。

内燃機関も裸火(→ 運転管理)。発電機やコンプレッサの持込みは火気工事扱い。

作業許可制度(ホットワーク)

開放後の気密試験は空気で(R3国試問15ロ)

出た誤り記述

設備を開放した場合の気密試験は、原則として当該設備によって貯蔵・処理される気体を使用して行う。

× 原則として空気その他の危険性のない気体を用いる。

なぜ危険性のない気体か

気密試験は漏れているかどうかを確認する作業

漏れることが前提

→ 可燃性・毒性ガスを使うと、漏れた瞬間に災害

「試験で漏らす」のが仕事なので、危険なガスを使ってはいけません。

ただし空気が使えない場合もあります。 可燃性ガス設備で残ガスがあると、空気で爆発範囲を作る。

その場合は窒素を使います。 「空気その他の危険性のない気体」の「その他」がこれ。

溶接部の非破壊試験は所定時間後(R3検定問14ロ)

出た誤り記述

溶接部の非破壊試験は、いずれも溶接実施後、速やかに行わなくてはならない

× 遅れ割れの発生時間を考慮して所定時間経過後に行う。

遅れ割れ(低温割れ)とは

溶接後、数時間〜数十時間かけて発生する割れ

原因:拡散性水素硬化組織拘束応力

→ 直後に検査してもまだ割れていない

24〜48時間後に検査するのが標準です(規格による)。

外観検査と寸法測定は直後でよい。非破壊試験だけ待ちます。

対策は予熱・後熱(水素を追い出す)と低水素系溶接棒です。

水素脆化溶接による硬化

ホットボルティングは必要(R3検定問13ハ)

出た誤り記述

高温装置のフランジの初期締付けを運転開始前に適正に施工したので、昇温過程では増し締めを行わなかった

× ホットボルティングを実施する

熱膨張とガスケットのへたりで締付け力が抜けるためです。

ガスケットとホットボルティング

数値を問う出題 ── ずらしてくる

入槽時の酸素濃度は18〜22 vol%(3回)

年度・問誤りの数値正しくは
R4検定問15ロ16〜22 vol%18〜22 vol%
R5国試問14ニ16〜20 vol%18〜22 vol%
R2国試問14ハ(測定項目の不足)毒性ガス濃度も測定

下限を16%にずらすのが定番です。18%が正解。

なぜ18%か

18%未満が酸素欠乏(労働安全衛生法・酸欠則の定義)

22%を超えると可燃物が燃えやすくなる(酸素過剰も危険)

18〜22 vol%が作業可能な範囲

酸素濃度16%で頭痛・吐き気、10%で意識喪失、6%で瞬時に昏倒します。

酸欠は一呼吸で死ぬので、18%という基準には十分な余裕がありません。

酸素欠乏と入槽作業

圧縮ガスの充填圧力の基準温度(2回)

年度・問誤りの記述正しくは
R3検定問12ロ最高充填圧力の95%以下最高充填圧力以下
R4検定問12ロ温度30℃(アセチレンは15℃)温度35℃

35℃という基準温度を覚えてください。容器保安規則の規定です。

容器保安規則

検知警報設備の応答時間(R4検定問14イ)

出た誤り記述

メタンの検知警報設備の作動検査で、警報設定値の1.6倍の濃度における発信の遅れが90秒であったので合格とした。

× 30秒以内とする。

1.6倍の濃度で30秒以内。この2つの数値をセットで覚えます。

ガス漏えい検知警報設備ガス検知警報設備の選定

回転機の運転 ── 発生位置と対策

キャビテーションは羽根車の入口(R5国試問13ハ)

出た誤り記述

遠心ポンプで液が蒸気となって所定の流量が得られない現象は、羽根車の出口付近に発生しやすい。

× 入口付近

なぜ入口か

羽根車の入口が最も圧力が低い(吸込側で加速するため)

→ そこで飽和蒸気圧を下回る

気泡が発生

→ 圧力が回復する羽根車内部で潰れる → 壊食(エロージョン)

気泡が「できる」のは入口、「潰れる」のは羽根車内。 壊食は潰れる場所で起きます。

対策はNPSHの確保(吸込側の圧力を上げる、液温を下げる、吸込配管を短く太く)。

NPSHとキャビテーションポンプの選定

サージングは放出弁で回避する(R5国試問13ロ)

出た誤り記述

遠心圧縮機の吐出ラインの放出弁を開いて大量のガスを放出すると、サージングが起きる

× 放出して風量を確保することでサージングを避けられる

サージングとは

遠心圧縮機の風量が少なすぎると発生

→ 吐出圧が保てず逆流

→ また押し出す → 逆流 … の周期的な振動

機械を破壊する

対策は「風量を確保する」こと。放出弁(アンチサージ弁)を開いて、余った分を大気やサクションへ戻します。

「もったいない」からと絞ると、かえって壊れます。

往復圧縮機にはサージングはありません。 容積式なので、風量が少なくても圧力は出る。

ブロワー・圧縮機の選定圧縮機の理論動力

この分野の対策

  1. 予防保全=TBM+CBM(計画事後保全は含まない)
  2. 非破壊試験の表を1枚作る(何が見つけられて何が見つけられないか)
  3. 蛍光探傷は紫外線MTは非磁性体に使えない
  4. 数値(18〜22 vol%、35℃、30秒)を固定する

②の表が最重要です。RT・UT・MT・PT・ETの5つを整理してください。

よくある失点

失点対策
計画事後保全を予防保全に入れる予防保全=TBM+CBMだけ
TBMとCBMの説明を逆にTBM=周期/CBM=状態監視
PTで内部欠陥が見えると思う表面開口のみ
MTが非磁性体に使えると思う強磁性体のみ(ETは非磁性可)
蛍光探傷を赤外線と思う紫外線
RTがき裂検出に強いと思うUTのほうが強い
OSIを停止中の検査と思う運転中(On Stream)
酸素濃度を16%からと思う18〜22 vol%
溶接後すぐ非破壊試験遅れ割れを考慮して所定時間後

暗記カードにするならこれだけ

保全方式(3回出た)

予防保全=時間基準保全(TBM)+状態基準保全(CBM)

計画事後保全は事後保全(予防保全に含まない)

TBM=周期で交換/CBM=劣化を監視して決める

非破壊試験

RT=内部(体積欠陥に強い、透過光の濃淡)

UT=内部(き裂に強い、反射)

MT=表面+直下(強磁性体のみ

PT表面開口のみ(内部は不可)

ET=表面近傍(導体なら非磁性体でも可

蛍光探傷は紫外線/PTの手順は浸透→除去→現像→観察

工事管理

火気は裸火・火花・高熱物の3分類(すべて管理対象)

内燃機関は裸火グラインダ・ハンマの火花も対象

気密試験は空気その他の危険性のない気体

溶接部の非破壊試験は所定時間後(遅れ割れ)

ホットボルティングは必要

数値

入槽時の酸素濃度:18〜22 vol%(3回出た)

圧縮ガスの充填:35℃で最高充填圧力以下

検知警報の応答:1.6倍濃度で30秒以内

回転機

キャビテーションは羽根車の入口で発生

サージングは放出弁で風量を確保して回避

OSI=運転中の検査

まとめ

  • 予防保全=TBM+CBM。計画事後保全は含まない(3回出題)
  • PTは表面開口欠陥のみ。内部は検出できない
  • MTは強磁性体のみ。オーステナイト系ステンレスには使えない(ETは可)
  • 蛍光探傷は紫外線(2回すり替えられた)
  • RTは体積欠陥、UTはき裂が得意
  • OSI=運転中の検査
  • 火気は裸火・火花・高熱物の3分類(2回、1つを落とす誤り)
  • 気密試験は危険性のない気体で行う
  • 溶接部の非破壊試験は遅れ割れを考慮して所定時間後
  • 入槽時の酸素濃度は18〜22 vol%(3回、数値をずらす誤り)

次はリスクアセスメントと安全管理です。手法名と説明の対応を扱います。→ リスク解析手法の出題

実務側は設備健全性管理リスクベース検査非破壊検査の使い分けへ。

出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』甲種化学編。集計は令和2〜6年度の国家試験5回・技術検定5回、計150問671記述を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。設問の要約と解説にとどめ、問題文そのものの転載は行っていません。