保安管理技術の燃焼・爆発(国試の問1)の論点を並べた記事です。見出しが論点名なので、目次から引いてください。
燃焼・爆発の計算は学識・型9|燃焼・爆発の計算、科目の全体像は保安管理技術15問の攻略へ。
爆発範囲と不活性ガス希釈 ── 希釈で下がるのは上限界、温度が上がると範囲は広がる

不活性ガスを少し加えても下限界はほとんど動かず、上限界が下がって爆発範囲は上側から狭くなります。N₂ より CO₂ のほうがモル熱容量が大きく、希釈の効果も大きい。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 不活性ガスを少量加えると、上限界はほぼそのままで下限界が大きく上がる | × | 下がるのは上限界(R2問1イ) |
| 二酸化炭素は窒素よりモル熱容量が大きいので、希釈の効果も大きい | ○ | R5問1ニ。窒素のほうが大きいとした形は×(H29問1イ) |
| 初期温度を上げると下限界が上がり、爆発範囲は狭くなる | × | 下限界は下がり、範囲は広がる |
| 飽和炭化水素では、下限界濃度[vol%]とモル燃焼熱の積がほぼ一定 | ○ | バージェス・ホイーラーの法則(R3問1イ) |
出題:国試8記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
- 下限界付近は可燃性ガスが少なく酸素が余っているので、酸素が少し減っても燃える。上限界付近はもともと酸素不足なので、さらに減ると燃えなくなる
- 希釈の効き方は2つ:酸素濃度を下げる、熱容量で火炎温度を下げる。学識の記述問題でもこの2つが問われた(R4国試問6)
- 三角図で上限界に接する線から読む酸素濃度が限界酸素濃度。これより酸素が少なければ、ガスの割合によらず爆発範囲に入らない
- 下限界での断熱火炎温度は初期温度によらずほぼ一定。予熱した混合気は少ない燃料でその温度に届くので、下限界が下がる
- 圧力を上げると、炭化水素では下限界はあまり変わらず、上限界が目立って上がる
主なガスの爆発範囲(常温・常圧の空気中)
| ガス | 下限界〜上限界[vol%] |
|---|---|
| 水素 | 4.0〜75(極めて広い) |
| メタン | 5.0〜15.0 |
| プロパン | 2.1〜9.5 |
| アセチレン | 2.5〜100(分解爆発するので上限が100) |
| アンモニア | 15〜28(狭い) |
関連:三角図の読み方/爆発範囲(LEL・UEL)/学識 問6の記述問題
化学量論組成と燃焼速度 ── メタン1に空気約10、燃焼速度は化学量論組成付近で最大

燃焼速度は化学量論組成付近で最大になり、上限界に近づくと下がります。空気中の酸素を約0.2とみると、メタンはメタン1:空気10(約9.1 vol%)が化学量論組成です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 燃焼速度は下限界から上限界まで増え続け、上限界付近で最大になる | × | 最大は化学量論組成付近(R6問1ニ) |
| 酸素のモル分率を約0.2とすると、メタンと空気の体積比が約1:10で化学量論組成になる | ○ | R4問1ハ・R7問1ロ |
| 水素−空気の最大燃焼速度はプロパン−空気より大きい | ○ | 水素は約300 cm/s、エタン・プロパンは約40 cm/s(H30問1ニ) |
出題:国試4記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
- CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O
- 酸素2 mol に要る空気 = 2 ÷ 0.2 = 10 mol
- メタン濃度 = 1 ÷(1 + 10)≒ 9.1 vol%(空気中の酸素を20.95%として計算すると約9.5 vol%)
- メタンの爆発範囲5.0〜15 vol%のほぼ中央。最小発火エネルギーが最も小さくなるのも、爆ごうになりやすいのもこの付近
- 燃焼速度は、予混合した可燃性ガスの火炎面が未燃ガスに対して垂直に進む速さ
関連:学識・型9(燃焼の計算)
断熱火炎温度と燃焼熱 ── 密閉容器(定容)のほうが常圧(定圧)より高い

断熱火炎温度は熱損失がなく、燃焼熱がすべて生成物の加熱に使われると仮定した温度です。容器内燃焼(定容)は cV、常圧下(定圧)は cp を使うので、容器内のほうが高くなります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 密閉容器内の断熱火炎温度は、常圧下の燃焼とほぼ等しい | × | 常圧下より高い(R3問1ロ。正しい形はH29問1ロ) |
| 断熱火炎温度は、外部への熱損失を見込んで計算する | × | 熱損失はないと仮定する |
| 25℃の真発熱量は、アセチレン<エチレン<エタンの順に大きい | ○ | 大小を逆に並べた形で出た(R7問1イ) |
出題:国試4記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
- 定圧では燃焼ガスが膨張して外へ仕事をするので、その分だけ温度上昇が小さい。定容では仕事をしない
- cp > cV:同じ熱量なら、熱容量の小さい定容のほうが温度が上がる
- 初期圧力が大気圧の水素−空気(水素30 vol%)では、容器内燃焼2805 K、常圧下2391 K
- 真発熱量(25℃)はアセチレン1256、エチレン1323、エタン1428 kJ/mol
- 実測の火炎温度は、空気中の断熱火炎温度より100℃程度低いのがふつう
関連:断熱火炎温度の計算/比熱・マイヤーの関係/熱力学第一法則
最小発火エネルギー・発火温度・引火点 ── 水素・アセチレンは極めて小さく、圧力が上がるとさらに小さい

最小発火エネルギーは化学量論組成付近で最も小さく、圧力・温度が上がるほど小さくなって発火の危険が増します。アンモニアは可燃性だが極めて着火しにくい。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 最小発火エネルギーは、水素・アセチレンのほうがアンモニアより大きい | × | 小さい(R5問1ロ) |
| 圧力が上がると最小発火エネルギーは大きくなり、発火しにくくなる | × | 小さくなり、危険が増す(H30問1ロ) |
| 発火温度は測定方法で値が変わるので、比べるときは同じ方法の値を使う | ○ | 発熱と放熱の釣合いで決まる(R3問1ハ・R6問1ロ) |
| 液面上の蒸気が下限界に届いていなくても、炎を近づけると液温が上がって引火することがある | ○ | 「引火点以下だから安全」とは言い切れない(R4問1イ) |
| ボンベの弁を急に開くと、減圧調整器内の断熱圧縮で発火源になることがある | ○ | R2問1ロ |
出題:国試9記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
最小発火エネルギーの最低値(常温・常圧の空気中)
| ガス | 最低値[mJ] |
|---|---|
| 二硫化炭素 | 0.009 |
| 水素 | 0.016 |
| アセチレン | 0.019 |
| プロパン・メタン | 0.24・0.28 |
| アンモニア | 14 |
水素はアンモニアのおよそ900分の1のエネルギーで着火します。
- 噴出帯電:ガスにミスト・粉じんなどの粒子が含まれると、噴出時に帯電し、放電が発火源になる(R5問1ハ。→ 静電気対策)
- 断熱圧縮:気体を急に圧縮すると温度が上がる(→ 圧縮機の理論動力)
- 引火点:液体の蒸気と空気の混合ガスが、爆発下限界の組成に達する温度
- フランジのない棒状電極では、間隔が消炎距離より狭くても、十分な火花エネルギーなら発火することがある(→ 消炎距離)
関連:最小着火エネルギー/引火点・発火点・発火温度/自然発火(セメノフ理論)/水素の性質/ガス各論①(水素・アンモニア)/ガス各論の暗記順
消炎距離と火炎防止器 ── 進んだ距離ではなく、火炎が通れるすき間の限界寸法

消炎距離は火炎が伝ぱできるすき間の限界寸法です。最大安全すきま(MESG)は、最も伝ぱしやすい濃度でも、容器内の火炎を外へ出さずに消炎できるすき間の最大値です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 火炎がすき間に入ってから消えるまでに進む距離を消炎距離という | × | すき間の寸法(R5問1イ) |
| 絶縁性のフランジ付き電極で間隔を狭めると、ある間隔で急に発火しなくなる。この間隔が消炎距離 | ○ | R2問1ハ |
| 火炎が伝ぱできる最小のすき間が消炎距離、消炎できるすき間の最大値が最大安全すきま | ○ | R7問1ハ |
| 容器内の火炎がすき間から外へ出るときは、大気圧で測った消炎距離より狭くしないと消炎できない | ○ | 進む向きに背圧がかかる(H30問1イ) |
出題:国試4記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
- 狭いすき間では壁への熱損失が大きく、火炎を維持できない
- 消炎距離も濃度で変わるので、ふつうは最小値で比べる。小さいのは二硫化炭素・水素・アセチレン(最小値は水素0.6 mm、メタン2.0 mm)
- 最大安全すきまの例:水素0.29 mm、プロパン0.92 mm
- この考え方を使うのが耐圧防爆構造(最大安全すきまで選ぶ)と、配管の中を火炎が伝わるのを止める火炎防止器(フレームアレスタ)
爆ごうと爆ごう誘導距離 ── 爆ごう範囲は爆発範囲より狭く、誘導距離はガスの種類で変わる

同じ組合せなら爆ごう範囲は爆発範囲の内側にあり、爆発範囲より狭い。爆ごう誘導距離は燃焼速度が大きいほど、圧力が高いほど、管径が小さいほど短くなります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 爆ごう範囲は爆発範囲より広い(またはほぼ一致する) | × | 狭い(R4問1ニ・H30問1ハ) |
| 初期圧力と管径が同じなら、爆ごう誘導距離はガスの組合せによらない | × | 燃焼速度に依存し、ガスで変わる(R6問1ハ・H28問1ロ) |
| 燃焼速度が大きく圧力が高いほど、爆ごうへ転移するまでの距離は短い | ○ | R2問1ニ |
出題:国試5記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
爆ごう範囲の例(常温・大気圧・空気中・管内)
| ガス | 爆発範囲[vol%] | 爆ごう範囲[vol%] |
|---|---|---|
| 水素 | 4.0〜75 | 18.3〜59 |
| メタン | 5.0〜15.0 | 6.5〜12 |
| アセチレン | 2.5〜100 | 4.2〜50 |
化学量論組成に近いほど爆ごうになりやすい。衝撃波と反応帯が一体で進むには、限られた組成が要るからです。
爆ごう誘導距離

- 長い管の一端で点火すると、初めは通常の燃焼波だが、管壁との作用やガスの膨張による乱れで加速し、後から出た圧縮波が先の圧縮波に追いついて爆ごうに転移する
- ガス流れの乱れを起こす器物の配置でも、転移の早さは大きく変わる。管内では転移しやすく、自由空間では転移しにくい
- 「〜によらない」と言い切る記述は疑う
爆発の種類 ── ミストは蒸発しきらなくても爆発、蒸気爆発は物理的な爆発

| 種類 | 何が起こるか |
|---|---|
| 混合ガスの爆発 | 可燃性ガスと空気・酸素などの混合物が爆発 |
| 液滴噴霧(ミスト)の爆発 | 液滴のまま浮遊していても、液滴周りの燃焼が急速に伝ぱして爆発 |
| 蒸気雲爆発 | 大量に流出したガス・液化ガスの蒸気雲が発火。化学的な爆発 |
| 粉じん爆発 | 浮遊する可燃性の細かい粉が発火 |
| 分解爆発 | アセチレン・エチレン・酸化エチレンなどは、支燃性ガスがなくても分解して爆発 |
| 蒸気爆発(BLEVE) | 液化ガスの貯槽などが破れ、気液平衡が崩れて急激に気化。物理的な現象 |
可燃性液体は液滴のままでも爆発します。加圧された液体が容器の破損で急に気化するのは蒸気爆発で、可燃性蒸気雲が燃える蒸気雲爆発とは別の現象です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 空気中に浮遊するミストは、液滴がすべて蒸発するまで爆発しない | × | 液滴のままでも爆発する(H28問1イ) |
| 常圧の沸点以上にある液体の容器が破れて圧力が抜けると、液体が爆発的に蒸発する | ○ | 蒸気爆発(R3問1ニ) |
| 加圧液体が容器の破損で急に気化する現象を、蒸気雲爆発という | × | それは蒸気爆発。蒸気雲爆発は可燃性蒸気雲の燃焼 |
出題:国試2記述・検定0記述(平成28〜令和7年度)
- 蒸気爆発で放出された液体が可燃性なら、そのあと発火して蒸気雲爆発になることがある
- 高圧設備の破裂(脆性・欠陥・操作ミス、異常反応による内圧上昇)も爆発の一つ
出典:高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』ほか。平成28〜令和7年度の国家試験・技術検定の出題を論点ごとに整理しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
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いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
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