保安管理技術の安全装置の論点を並べた記事です。見出しが論点名なので、目次から引いてください。全体像は保安管理技術15問の攻略へ。
分野F:安全装置(この記事)|計測と制御|シール・フランジと漏えい防止
フェールセーフ・フールプルーフ・冗長化 ── 主語が機器か人か

「壊れたとき」ならフェールセーフ、「人が間違えたとき」ならフールプルーフ。 用語が出たら×、ではありません。何に備える仕組みかで判定します。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 駆動用の空気や電源が失われても危険にならないよう弁の開度を選ぶのは、フールプルーフの考え方 | × | 機器側の異常に備えるのでフェールセーフ |
| 緊急用ボタンにカバーを付け、スイッチを色分けして誤操作を防ぐのはフールプルーフ | ○ | 人の誤操作を設備側で防ぐ |
| 起動条件がそろっていなくても、警報を出せば始動を許す仕組みで起動インターロックとして十分 | × | 条件がそろわなければ始動できないようにする |
| m/n冗長系は、m個の機器のうちn個以上が正常なら正常とする | × | n個のうちm個以上(2 out of 3 など) |
| 加熱炉で正特性の温度伝送器の信号が切れると、調節計は高温と判断して安全側になる | × | 低温と判断して加熱を強めるおそれ |
出題:国試17記述・検定19記述(平成28〜令和7年度)
- 「喪失」「故障」「停電」「破損」 → フェールセーフ。「誤操作」「間違って(間違えて)」「不適切な操作」「(操作)ミス」 → フールプルーフ
- 操作禁止の標示、バルブへの開閉方向・流体名の表示、ユーティリティごとに接続口の形を変える、もフールプルーフ(人が誤って操作しないための手段)
弁のフェールセーフ設計 ── 「全閉が安全」とは限らない
| 弁の動作 | 記号 | 使う場面 |
|---|---|---|
| フェールクローズ | FC | 燃料・原料の供給弁(止めれば安全) |
| フェールオープン | FO | 冷却水・ベント弁(流せば安全) |
| フェールロック(保持) | FL | どちらでも危険な場合(現状維持) |
冷却水の弁を全閉にすると、かえって暴走します。 だからFOにします。
冗長化と信号の喪失
| 方式 | しくみ |
|---|---|
| 並列冗長系 | 複数の機器を同時に働かせ、1台が壊れても機能を保つ |
| 待機冗長系 | 予備機を待たせておき、常用機が壊れたら切り替える |
| m/n冗長系 | n個のうちm個以上が正常なら正常。重要なインターロックの検出端に2 out of 3 |
| 逆特性の伝送器 | 信号が切れたとき調節計が高温と判断し、加熱を弱める側へ動く |
重要なインターロックの検出端を多重化する考え方は安全計装システム(SIS)で。
安全弁・逃し弁と吹出し量 ── 規定吹出し量は所要吹出し量以上、出口配管は背圧に見合う圧力損失まで

| 装置 | 使う場面 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| ばね式安全弁 | 気体の圧力上昇 | 可燃性・毒性ガスは密閉型。窒素などは開放型も選べる |
| 全量式・揚程式 | ばね式安全弁のリフト形式 | 全量式は弁座流路面積がのど部より十分大きい。揚程式は弁座流路面積が最小 |
| 逃し弁 | ポンプ・液体配管 | 主に液体の圧力上昇を防ぐ |
| 破裂板 | 急激な圧力上昇、ばね式が不適当なとき | 作動したら交換(次の章) |
| 自動圧力制御装置 | 圧縮機の吐出しガスを吸込み側へ戻す | 吸込み量の全量を戻せる容量 |
安全弁や破裂板は、規定(公称)吹出し量が所要吹出し量以上になるように選びます。ポンプ・圧縮機では、1時間当たりの吐出し量が所要吹出し量です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 規定吹出し量を、設備の所要吹出し量より小さくした | × | 規定吹出し量 ≧ 所要吹出し量 |
| 出口配管の圧力損失を、規定吹出し量を出すときの背圧に見合う値より大きくした | × | 大きくすると規定の吹出し量が得られない |
| 屋外の可燃性ガス設備なら、弁の周囲にも吹き出す開放型の安全弁でよい | × | 可燃性・毒性ガスは密閉型 |
| 揚程式安全弁は、弁座流路面積がノズルのど部より十分大きくなるまで弁体が上がる | × | それは全量式 |
| ポンプの逃し弁の所要吹出し量は、ポンプ吐出し量の半分あればよい | × | 1時間当たりの吐出し量そのもの |
出題:国試14記述・検定19記述(平成28〜令和7年度)
- 所要吹出し量:液化ガス設備は火災で加熱されて蒸発する量以上、圧縮ガス設備は導入管の流速・密度などから求める流入量、ポンプ・圧縮機は1時間当たりの吐出し量
- 入口配管:異物の入りにくい配管の上側から取り出し、呼び径以上の管径で短くし、ポケットを設けない
- 背圧:出口側の圧力が高いと差圧が小さくなり流量が減る。だから出口配管(フレアーへつなぐ場合など)はポケットや絞りを設けず、圧力損失を、規定吹出し量の算出に使う背圧に見合う値以上にしない(→ 配管の圧力損失)
破裂板と負圧の保護 ── 破裂板は負圧にも使え、定期交換が要る

| 安全弁 | 破裂板 | |
|---|---|---|
| 再閉止 | する(圧力が下がれば閉じる) | しない(開きっぱなし) |
| 応答速度 | やや遅い | 速い |
| 漏れ | あり(設定圧力近くでにじむ) | ゼロ |
| 高粘性・固着性 | 不適 | 適する |
| 負圧 | ばね式(過圧用)では防げない(負圧には真空安全弁を別に設ける) | 可 |
| 交換 | 整備して再使用 | 作動したら交換 |
| 定期交換 | 整備周期で | 必要 |
| 構造・点検 | ばね・弁体など動く部分がある | 単純で取扱い・点検が容易。防食ライニングもしやすく腐食性流体に向く |
破裂板は可動部のない薄板1枚。 だから固着性の流体でも確実に破れる一方、劣化の影響は安全弁より大きく、定期交換が必要です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 破裂板は、負圧による容器の破損を防ぐ目的には使えない | × | 過剰圧力・負圧の両方に使える |
| 破裂板は防食処理が容易で、破裂するまで交換しなくてよい | × | 定期的に交換が必要 |
| 破裂板は、高粘性・固着性の流体には向かない | × | 適している |
| 異常圧力の上がり方が速いときは、破裂板より安全弁のほうが向く | × | 破裂板のほうが適している |
| 破裂板は、全数を実際に破裂させて作動圧力を確かめてから取り付ける | × | 製作ロットごとに決めた数を試験する |
出題:国試13記述・検定6記述(平成28〜令和7年度)
- 負圧:真空破壊板(バキュームブレーカ)として、負圧になると破れて空気を入れる
- 定期交換の理由:疲労・腐食・高温でのクリープで、設定圧力より低い圧力で破れるようになる
- 低温液化ガス貯槽の負圧防止:圧力計と圧力警報設備に加え、真空安全弁・他の貯槽からの均圧管・圧力と連動する緊急遮断装置を設けた冷凍制御設備や送液設備のうち1つ以上を設ける。圧力計だけでは足りない
緊急遮断装置 ── 架台は貯槽と同一基礎、長い液配管では急に閉じない

「揺れないようにする」のではなく「一緒に揺れるようにする」。 別々の基礎だと地震で違う動きをし、間の配管に相対変位が生じて破断します。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 緊急遮断弁を、揺れの影響を受けないよう貯槽本体とは別の基礎に置いた | × | 架台は貯槽本体と同一基礎上 |
| コンビナート製造事業所間の可燃性ガス導管で、主要河川を横断するものに緊急遮断装置を設けなかった | × | 市街地・主要河川・湖沼などを横断するものには必要 |
| 液体の長距離配管の緊急遮断弁は、瞬時に閉じるようにする | × | 急に閉じるとウォータハンマが大きくなる |
| ウォータハンマの衝撃は、長距離配管より短距離配管のほうが大きい | × | 長い配管ほど大きい |
| 製造時に弁座漏れが合格なら、据え付けた後の定期検査は作動確認だけでよい | × | 据付け状態で弁座漏れ検査と作動検査を定期的に |
出題:国試9記述・検定16記述(平成28〜令和7年度)
- コンビ則では、内容積5,000 L以上の可燃性・毒性・酸素の液化ガス貯槽に取り付けた配管に緊急遮断装置が必要で、受入れ専用配管でも逆止弁では代えられない。代えられるのは一般則・液石則の受入れ専用配管(→ 逆止弁と逆流防止)
- ウォータハンマ:衝撃はバルブ径・上流側配管長・流速・質量にほぼ比例し、バルブの閉止時間にほぼ反比例する。長い配管・速い流れ・急な閉止ほど危険で、対策は「ゆっくり閉じる」。緊急遮断弁でも閉止時間を設計する
- 法令の内容がそのまま出ています。→ 製造の技術上の基準(緊急遮断)/事業所例問題の解き方(コンビ則)
設置と管理の決まり
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 貯槽用の操作場所 | 遠隔操作できるようにし、貯槽の外面から5 m以上(コンビ則の適用を受ける場合は10 m以上)、防液堤があればその外側の安全な位置 |
| 特殊反応設備など(コンビ則) | 自動か計器室からの遠隔操作で作動できる |
| 開閉状態の表示 | 計器室などで開閉状態をシグナルランプなどで識別できる |
| 試験用のバイパス弁 | 運転中の試験に使い、通常は確実に閉止して管理する |
| 動力源 | 空気作動式は、供給が止まっても作動できる計装空気を確保する |
逆止弁と逆流防止 ── 背圧で閉じる弁。スイングは垂直配管なら下から上へ流す

| 形式 | 構造 | 取付け |
|---|---|---|
| スイング逆止弁 | 弁体がちょうつがい(ヒンジ)で弁箱に付く | 水平・垂直配管に使える。垂直配管は下から上向きの流れ |
| リフト逆止弁 | 弁体がガイドに沿って弁座に垂直に動く | 水平配管に設ける形が多い |
| ボール逆止弁 | 球が弁座をふさぐ | ── |
逆止弁は、流体の背圧で弁体が閉じて逆流を止める弁です。外部の信号で閉じる緊急遮断弁とは働きが違い、緊急遮断弁に代えられるのは一般則・液石則の受入れ専用配管に限られ、コンビ則の貯槽の配管では代えられません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| スイング逆止弁を垂直配管に付けるときは、上から下向きに流す | × | 下から上向き |
| コンビ則の適用を受ける内容積6,000 Lの酸素の液化ガス貯槽の受入専用配管に、緊急遮断装置に替えて逆止弁を付けた | × | コンビ則の貯槽では逆止弁で代替はできない |
| 液石則の内容積5,000 L以上の貯槽でも、液状の液化石油ガスの受入れ専用配管なら、緊急遮断装置に代えて逆止弁を使える | ○ | 一般則・液石則の受入れ専用配管は代替できる |
| 酸化エチレンの消費設備では、逆流してくる反応生成物の全量を収容できる空槽を設ける方法がある | ○ | 逆流防止装置の1つ |
出題:国試2記述・検定9記述(平成28〜令和7年度)
- スイング逆止弁:弁体が自重で閉じるので、下向き流れだと自重で開いてしまう
- 逆流防止装置(特殊高圧ガス・液化アンモニア・液化塩素の消費設備、酸化エチレンの容器と消費設備の間):倒立U字管、液タンク、反応生成物の全量を収容できる空槽、真空破壊弁・逆止弁、圧力・温度を検出して自動遮断、2段階の減圧などから選ぶ
- 酸化エチレンの性質はガス各論①(アセチレンと酸化エチレン)で
関連:逆止弁の選び方
警報・圧力区分・容器の安全装置 ── 多段圧縮機は段ごと、減圧弁の前後は別の区分

| 項目 | 押さえる点 |
|---|---|
| 警報システム | 起動・停止などの非定常時に警報が一時に多発するのを抑え、不要な警報を減らして重要な警報を見分けやすくする |
| 圧力区分 | 多段式往復圧縮機は各段を別の区分。減圧弁があれば低圧側を高圧側と別の区分。貯槽・導管はそれぞれ1つの区分 |
| 容器の安全弁 | タンクローリ・液化石油ガスの容器はばね式。一般高圧ガスの容器は破裂板式・溶栓式またはその併用 |
| ガス火災 | すぐ消せないときは、加熱される周りの装置を注水・散水で冷却して二次災害を防ぐ |
安全装置は、常用の圧力が違う圧力区分ごとに設けます。最終段や高圧側に1つ付けても、途中の段や低圧側の過圧は逃がせません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 起動時は見落としを防ぐため、関連する警報を重要度に関係なくすべて同時に鳴らす | × | 非定常時の警報多発を抑える |
| 多段式往復圧縮機は、最終段の出口に安全弁を1つ付ければ全段を守れる | × | 各段を別の圧力区分として守る |
| 減圧弁を挟む配管では、高圧側と低圧側を別の圧力区分として扱う | ○ | 減圧弁が開いたまま壊れると低圧側に高圧が及ぶ |
| タンクローリの容器には破裂板式だけを、一般高圧ガス容器にはばね式だけを使う | × | 組合せが逆 |
| ガス火災の消火が難しいときは、火炎で加熱される周りの装置を散水で冷やす | ○ | ガスを止めずに火だけ消すと再着火・爆発のおそれ |
出題:国試6記述・検定5記述(平成28〜令和7年度)
- 溶栓式は、可溶合金が規定以上の温度で溶けて中のガスを出し、容器の破壊を防ぐ
- 起動・停止のときに何が起こりやすいかは非定常運転の安全で
関連:防災設備の出題
出典:高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』ほか。平成28〜令和7年度の国家試験・技術検定の出題を論点ごとに整理しました。
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いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
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