高圧ガス保安法と容器保安規則のうち、容器そのもの(容器検査・刻印・表示・充塡・再検査・附属品・くず化・譲渡)の論点を並べた記事です。見出しが論点名なので、目次から引いてください。
分野F(容器):容器(刻印・表示・充塡・再検査)(この記事)|容器置場と充塡容器の取扱い
容器検査と輸入した容器 ── 空の容器を輸入したら容器検査、ガス入りで輸入したら輸入検査
| 容器の出どころ | 譲渡・引渡しの前に要るもの |
|---|---|
| 国内で製造した容器 | 容器検査に合格して刻印等(登録容器製造業者の製造なら自主検査刻印等でもよい) |
| 高圧ガスを充塡していない容器を輸入 | 容器検査に合格して刻印等(外国登録容器製造業者の製造で自主検査刻印等があるものは不要) |
| 高圧ガスを充塡して輸入し、充塡してある容器 | 輸入検査(法第22条)に合格すれば、容器検査は不要 |
| 内容積500L以下の容器の容器検査 | 都道府県知事等・高圧ガス保安協会・指定容器検査機関のどれでも受けられる |
〔法〕第44条第1項。容器を製造・輸入した者は、容器検査に合格して刻印等がされた容器でなければ、譲渡も引渡しもできません。主な例外は、登録容器製造業者・外国登録容器製造業者の自主検査刻印等がある容器と、高圧ガスを充塡して輸入し、充塡してある容器です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 空の容器を輸入した者が譲渡できるのは、容器検査に合格して刻印等がされたものに限られる(H30問6イ) | ○ | 空容器の輸入は容器検査 |
| ガスを充塡して輸入し、輸入検査に合格した容器は、容器検査を経ずに譲渡・引渡しできる(R1問5イ・R3問5ロ) | ○ | 輸入検査がガスと容器の両方を見る |
| 内容積500L以下の空容器を輸入したときの容器検査は、知事等・協会・指定容器検査機関のいずれかが行う(R6問5イ) | ○ | 3者の顔ぶれを入れ替える形に注意 |
| 空容器を輸入した者が譲渡できるのは、容器検査の刻印等か、外国登録容器製造業者の自主検査刻印等がある容器(R7問5ハ) | ○ | このルートを落とすと× |
| 容器を製造した者が譲渡・引渡しできるのは、容器検査の刻印等か自主検査刻印等がある容器(R3問5イ・R5問5イ) | ○ | 例外の断りなしに「容器検査の刻印等に限る」と言い切ると× |
出題:7記述(平成28〜令和7年度)。すべて正しい記述として出ています。
- 容器検査に合格した容器には、検査をした者が速やかに刻印をする。刻印が困難な容器には標章を掲示する(法第45条)
- 容器再検査に合格したときも、刻印等の定めがある(→ 刻印)
- 譲渡できる容器の3つのルートは「容器の譲渡」の図で確かめる(→ 容器の譲渡)
関連:輸入検査
刻印 ── 最大充塡質量は刻印にも表示にもない

〔容器〕第8条第1項。刻印は容器の厚肉の部分の見やすい箇所に、明瞭に、かつ、消えないように打ちます。ガスの種類・内容積(V)・質量(W)・耐圧試験圧力(TP)などが並びますが、最大充塡質量は刻印にも表示にも入りません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化ガス用の容器には、最大充塡質量(充塡できる液化ガスの質量)が刻印される(H29問5ハ・H30問5ロ・R2問6ロ・R5問6イ・R6問5ロ) | × | 刻印するのは内容積。質量は G=V/C で計算する |
| 充塡する液化ガスは、刻印された最大充塡質量以下でなければならない(R1問5ロ) | × | 最大充塡質量はそもそも刻印されない |
| 内容積の刻印は液化ガス用の容器だけで、圧縮ガス用にはない(R1問6イ・R3問6イ) | × | 圧縮ガス用にも刻印される |
| ガスの名称を表示しておけば、ガスの種類の刻印は省ける(H29問5イ・R4問6イ) | × | 刻印と表示は別の義務。省けない |
| 容器検査に合格すると、厚肉の部分の見やすい箇所に、明瞭かつ消えないように刻印される(R4問5イ) | ○ | 条文の言葉どおり |
出題:15記述(平成28〜令和7年度)
充塡できる質量はガスの種類と温度で変わるからです。だから容器には内容積を刻印しておき、質量は計算で出す(G=V/C)。
刻印の圧力・再検査の刻印・表示との取り違え
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化ガス用の容器の刻印に、気密試験圧力(記号P)がある(R6問6イ) | × | 刻印される圧力は耐圧試験圧力 TP(圧縮ガス用などは最高充塡圧力 FP も) |
| 刻印等は、容器検査の合格時にはされるが、容器再検査の合格時は定めがない(H28問5イ) | × | 再検査の合格時も定めがある(法第49条) |
| 毒性ガスの容器は名称が刻印されているので、表示は性質を示す文字だけでよい(R7問6イ) | × | 表示には名称も入る |
| 液化炭酸ガスを一般継目なし容器に充塡できる質量は G=0.9wV(R5問6ロ) | × | 低温容器などの式。一般の容器は G=V/C |
- 厚肉部に刻印する理由:薄い部分に刻印すると応力集中点になり、割れの起点になる。刻印は表面のキズという認識(→ 応力集中と割れ)
- 刻印と表示は互いに代替できない:刻印は消えない恒久的な情報、表示は塗り替えられる情報で、役割が違う
表示と塗色 ── 水素は赤・「燃」、性質を示す文字は「燃」と「毒」だけ

〔容器〕第10条第1項。表示は刻印とは別の制度で、塗色(表面積の2分の1以上)・高圧ガスの名称・性質を示す文字を外面に明示します(所有者の氏名等も)。文字は「燃」と「毒」だけで、「爆」「危」はありません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化塩素の容器は、表面積の2分の1以上を黄色に塗る(H29問5ロ) | ○ | 範囲の「2分の1以上」も条文どおり |
| 液化炭酸ガスの容器の塗色は緑色(R2問6イ) | ○ | 7種類をセットで覚える |
| 水素の容器は青色に塗り、性質を示す文字は「爆」(R3問6ハ) | × | 赤色・「燃」 |
| 液化塩素の容器は、外面に製造者名と「危」を明示する(H30問5ハ) | × | 明示するのは名称と「毒」。製造者名・「危」の定めはない |
| 所有者の氏名等が変わったら、次の容器再検査のときに表示し直せばよい(R1問6ロ) | × | 変更があったら遅滞なく |
出題:6記述(平成28〜令和7年度)
塗色と性質を示す文字
| ガス | 塗色 | 性質を示す文字 |
|---|---|---|
| 酸素 | 黒 | ── |
| 水素 | 赤 | 燃 |
| 液化炭酸ガス | 緑 | ── |
| 液化アンモニア | 白 | 燃・毒 |
| 液化塩素 | 黄 | 毒 |
| アセチレン | かっ色(褐色) | 燃 |
| その他のガス | ねずみ色 | 性質に応じて |
- 液化アンモニアの最高充塡質量を外面に明示する、という形(H28問6ハ)は×。充塡質量は刻印にも表示にもない
- 液化アンモニアは可燃性かつ毒性なので「燃」と「毒」の両方が付く。毒性の指標と爆発範囲の両方で押さえると、ガス各論とつながる
- 刻印と表示を「片方があれば足りる」形にすり替えるのが定番。両方必要
充塡(圧力の上限と G=V/C) ── 圧縮ガスは刻印の圧力以下、液化ガスは G=V/C 以下

〔法〕第48条第4項第1号・〔容器〕第22条。圧縮ガスは刻印等で示された圧力以下、液化ガスは刻印等の内容積から G=V/C で計算した質量以下で充塡します。超低温容器・低温容器では C が「比重×0.9 の逆数」なので G=0.9wV になり、本質的には同じ式です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 圧縮ガスの充塡圧力は、刻印等または自主検査刻印等で示された圧力を超えてはならない(H30問5イ・R2問5ロ・R3問5ハ・R5問5ロ) | ○ | 4回とも正しい記述 |
| 液化塩素の充塡量は G=P×V/C(Pは最高充塡圧力)(R4問6ロ) | × | Pは入らない |
| 液化炭酸ガスを一般継目なし容器へ充塡する質量は G=0.9wV(R5問6ロ) | × | それは低温容器などの式 |
| G=V/C で、超低温容器では C=(最高常用温度の比重×0.9)の逆数(R6問6ロ) | ○ | 「十分の九」「逆数」「最高のもの」を入れ替える形に注意 |
| 損傷を受けた容器でも、容器再検査を受けさえすれば、刻印等がないまま充塡できる(R4問5ロ) | × | 合格と刻印の両方が必要 |
出題:6記述(平成28〜令和7年度)
2つの式の使い分け
| 容器 | 式 | 記号 |
|---|---|---|
| 低温容器等以外(一般の容器) | G = V / C | G:充塡できる質量[kg]、V:容器の内容積[L]、C:容器保安規則の定める定数 |
| 超低温容器・低温容器 | G = 0.9 × w × V | w:容器の常用の温度のうち最高のものにおける液化ガスの比重[kg/L]。0.9 は気相部を残すための係数 |
- 一般の容器の C は規則の表でガスごとに決まっている(例:液化アンモニア 1.86、液化炭酸ガス 1.34、液化塩素 0.80)
- 0.9を掛けるのは、満液にすると温度上昇で液が膨張し、容器が破裂するから。気相部を1割残す(→ 安全弁の設計・BLEVE)
- 損傷を受けた容器は、容器再検査に合格し、かつ所定の刻印または標章の掲示がされて初めて充塡できる。合格しても刻印がなければダメ(→ 容器再検査)
容器再検査 ── 溶接容器は経過年数20年で5年→2年、一般継目なし容器は一律5年

溶接容器には溶接部があります。溶接部は母材より劣化が進みやすいので、古い容器ほど検査間隔を短くする(〔容器〕第24条)。継目なし容器は経年劣化が緩やかなので一律です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化アンモニア用の溶接容器の再検査期間は、製造後の経過年数で決まる(H28問5ロ・R4問6ハ) | ○ | 溶接容器は経過年数しだい |
| 溶接容器は経過年数で決まり、一般継目なし容器は経過年数と関係なく一律(H30問6ロ・R5問6ハ) | ○ | 容器の種類を先に読む |
| 一般継目なし容器の期間は5年で、起算点は刻印等で示された月の末日(R6問6ハ) | × | 刻印等で示された月の前月の末日 |
| 所有者が代われば、一般継目なし容器の再検査期間も改められる(H29問6ロ) | × | 所有者が代わっても期間は変わらない |
| 損傷を受けた容器に充塡できるのは、容器再検査に合格し、刻印等がされたものに限る(R2問5イ・R7問5イ) | ○ | 受けるだけでは足りない |
出題:10記述(平成28〜令和7年度)
期間・起算点・超低温容器の項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 溶接容器・超低温容器・ろう付け容器 | 経過年数20年未満は5年、20年以上は2年 |
| 一般継目なし容器 | 経過年数と関係なく一律5年 |
| 起算点(再検査を受けたことのない容器) | 刻印等で示された月の前月の末日 |
| 超低温容器の再検査 | 気密試験に加えて断熱性能試験(R7問6ロ「断熱性能試験は含まれない」は×) |
- R6問6ハは、期間の5年は合っている。ずらしてくるのは起算点のほう
- 所有者が代わるたびにリセットできるなら、転売を繰り返して検査を逃れられてしまう
- 損傷を受けた容器は、期間内でも再検査に合格して刻印等がされるまで充塡できない(R4問5ロ「受けさえすれば充塡できる」は×)
附属品検査と附属品再検査 ── バルブにも刻印があり、装置中は容器の再検査と連動

| 項目 | 附属品(バルブなど) |
|---|---|
| 刻印する主な事項 | 合格年月日、検査実施者の符号、製造業者の名称、記号・番号、質量 W、耐圧試験圧力 TP、装置されるべき容器の種類 |
| 容器の種類の記号 | AG(圧縮アセチレン)、PG(圧縮ガス)、LG(液化ガス)、LPG(液化石油ガス)、LT(超低温・低温容器) |
| 刻印されないもの | 装置先の容器の内容積 |
| 再検査の期間(容器に装置) | 附属品検査から2年を過ぎて最初に受ける容器再検査まで(容器の再検査と連動) |
| 再検査の期間(装置していない) | 2年 |
〔容器〕第18条・第27条。附属品検査に合格したバルブには、耐圧試験圧力(TP)と、装置されるべき容器の種類の記号が刻印されます。附属品再検査の期間は、容器に装置されているものは容器の再検査に連動し、装置されていないものは2年です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 容器に装置されているバルブの附属品再検査の期間は、その容器の容器再検査の期間と結び付いている(H28問5ハ・R7問6ハ) | ○ | 容器と切り離して「一律◯年」とすると× |
| 附属品検査に合格したバルブの刻印に、耐圧試験圧力(TP)と M がある(H28問6イ・R3問6ロ) | ○ | 附属品にも刻印がある |
| バルブには、装置先の容器の内容積を示す記号が刻印される(H29問6イ) | × | 刻印されるのは容器の種類 |
| 装置されていない附属品には再検査期間がなく、装置した日から1年以内に受ける(H30問6ハ) | × | 装置していないものは2年。「1年以内」の定めもない |
| 液化塩素の容器(超低温・低温容器を除く)に装置するバルブの容器の種類の記号は LG(R2問6ハ) | ○ | 容器の種類は刻印事項(R1問6ハも○) |
出題:8記述(平成28〜令和7年度)
- 記号は「どの容器に付けるバルブか」を示す。圧縮ガスは PG、液化ガスは LG、液化石油ガスは LPG、アセチレンは AG、超低温・低温容器は LT
- 附属品検査・附属品再検査に合格しなかった附属品も、容器と同じくくず化の対象になる(→ くず化と廃棄)
くず化と廃棄 ── 附属品も、不合格容器も、くず化する

〔法〕第56条(不合格容器は第3項、廃棄は第6項)。容器を廃棄する者は附属品もくず化するなどして処分する。再検査に不合格で3か月以内に刻印等がされなかった容器は、所有者が遅滞なくくず化するなどして処分するしかありません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 容器の廃棄はくず化が必要だが、附属品の廃棄には定めがない/くず化は不要(R1問5ハ・R4問5ハ・R5問5ハ) | × | 附属品もくず化 |
| 容器や附属品を廃棄する者は、くず化などで使えないように処分する(H28問6ロ) | ○ | 附属品にも及ぶ |
| 不合格容器は、処分するか、外面に「使用禁止」と表示するかのどちらか(R2問5ハ・R7問5ロ) | × | 処分するしかない |
| 不合格で所定の期間内に刻印等がされなくても、使い続けることができる(R6問5ハ) | × | くず化などで使えないようにする |
| 不合格で所定の期間内に刻印等がされなかった容器は、所有者が遅滞なくくず化などで処分する(H29問6ハ) | ○ | 物理的に使えなくする |
出題:8記述(平成28〜令和7年度)。うち6つが誤り記述で、論点は「附属品も」と「表示では済まない」の2つだけです。
- 「附属品」が出て「定めがない」と続いたら即×。附属品もそのまま流通すれば別の容器に付けて使われてしまう
- 「使用禁止と表示する」という選択肢は存在しない。表示は消せる。物理的に使えなくする発想はLOTO(ロックアウト・タグアウト)と同じ
容器の譲渡 ── 刻印等がある容器に限る

〔法〕第44条第1項。譲渡も引渡しも、刻印等(または自主検査刻印等)がある容器に限られます。高圧ガスを充塡して輸入し、充塡してある容器は、輸入検査で確かめるので容器検査は要りません。
| 譲渡・引渡しができる容器 | 条件 |
|---|---|
| ① 国内で検査したもの | 容器検査に合格して刻印等がされたもの |
| ② 登録容器製造業者(外国登録容器製造業者を含む)が製造したもの | 自主検査刻印等がされたもの |
| ③ 高圧ガスが充塡された状態で輸入したもの | 高圧ガスを充塡してあるもの(輸入検査に合格して移動したもの) |
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 容器を製造した者が譲渡・引渡しできるのは、容器検査の刻印等か自主検査刻印等がある容器に限られる(R3問5イ・R5問5イ) | ○ | ①と② |
| 空の容器を輸入した者は、外国登録容器製造業者の自主検査刻印等がある容器も譲渡・引渡しできる(R7問5ハ) | ○ | ②の外国のルート |
出題は「容器検査と輸入した容器」の7記述と同じ条文で、すべて正しい記述として出ています。
③は輸入検査に合格した容器なので、容器検査を重ねる必要がありません(空容器を輸入した場合は容器検査が必要。ただし外国登録容器製造業者が製造し、自主検査刻印等がある容器を除く)。詳しくは完成検査・保安検査・定期自主検査の輸入検査の節へ。
- 「譲渡し、又は引き渡し」の両方が対象。片方だけに絞る形も出る
- 自主検査刻印等のルート(②)を落として「容器検査に合格したものに限る」とする形に注意。「特に定めるものを除く」の断りがあれば○、なければ×(→ 容器検査と輸入した容器)
法令全体の骨格は法令20問の攻略へ。製造施設の基準は製造の技術上の基準、容器置場は容器置場と充塡容器の取扱いへ。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。平成28〜令和7年度の法令20問×10年分を筆者が1記述ずつ集計しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
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