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製造の許可と届出|100と300の使い分け、判定式T=100+(2/3)Sまで【甲種化学・法令】

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困っている人
困っている人

第一種製造者と第二種製造者の境目が、100なのか300なのか毎回迷う。

「変更」に許可が要るのか届出でいいのか、判断がつかない。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

処理能力100m³/300m³の使い分けと、混合ガスの判定式

「以上」か「超える」か ── 境界値で結論が変わる出題

変更は何を変えるかで許可か届出かが決まる

地位の承継が認められるのは相続・合併・分割だけ

この分野は10年で20記述。数値のすり替えと「許可↔届出」のすり替えが、ほぼすべてです。

この分野の攻略法は1つです。

「誰が・何をするとき・許可か届出か」を、表で固定する。

覚える対象は多くありません。むしろ数値の境界と、手続きの重さだけに集中してください。

第一種製造者と第二種製造者 ── 分けるのは処理能力

区分処理能力(1日あたり)手続き
第一種製造者100m³以上
(第一種ガスは300m³以上
都道府県知事等の許可
第二種製造者上記未満(一定量以上)届出
〔法〕第5条第1項第1号、〔令〕第3条

なぜ第一種ガスだけ300m³なのか

第一種ガスとは不活性ガス・空気などのことです。燃えず、毒性もない。危険度が低いので、規制の線を緩めに引いてあります。

ガスの危険性に応じて線を動かす。これが高圧ガス保安法の基本的な考え方です。

同じ構造は貯蔵所にもあります。第一種ガス3,000m³/第二種ガス1,000m³。貯蔵所の記事で扱いますが、「危険度が低いほど緩い」という発想が共通していることを押さえてください。

10年で8回、狙われ方は2つだけ

狙い方出た形年度
「種類にかかわらず」と言い切る許可が要るのは100m³以上で、この値はガスの種類によって変わらない → ×H29・R6
100と300を入れ替える第一種ガスだけを製造する場合の下限は100m³ → ×(300m³)R1

逆に、「300m³以上なら種類を問わず許可」は正しい記述として出ています(平成30年・令和3年)。

300m³は高いほうの閾値なので、これを超えていればどちらのガスでも許可が要る——という論法です。「種類を問わず」という言葉が出ても、反射的に×にしないでください。数値と閾値の関係を見ます。

「以上」と「超える」── 境界値で結論が変わる

令和4年度の問3イは、この分野で最も細かい引っかけでした。

出た誤り記述(令和4年度 問3イ)

許可を要するのは、処理できるガスの容積が1日100m³を超える場合に限られる。この線引きはガスの種類と関係しない。

× 誤りが2つ重なっている。

  1. 「種類と関係しない」が誤り。第一種ガスは300m³という別枠がある
  2. 「超える」が誤り。条文は「以上」なので、ちょうど100m³も含まれる

ちょうど100m³のとき、「以上」なら許可が要り、「超える」なら要らない。1つの助詞で結論が逆になります。

法令では境界値の扱いが決定的な差になります。 数値が出てきたら、必ず「以上/以下」「超える/未満」まで読んでください。

混合ガスの判定式 T=100+(2/3)×S

第一種ガスとそれ以外が混ざっている事業所では、計算で判定します。

製造の判定式

T=100+(2/3)×S

T:許可が必要になる処理容積の閾値[m³/日]

S:第一種ガスの処理容積[m³/日]

合計処理容積がT以上なら許可が必要

式の意味

第一種ガスが多いほど、閾値Tが上がります。危険度の低いガスの割合が高いほど、許容量が増えるという仕組みです。

Sが0なら T=100(普通のガスだけ)、Sが300なら T=300(第一種ガスだけ)。両端でちゃんと100と300になるように作られた式です。

実際に出た計算(令和2年度 問2イ)

窒素ガスを1日210m³、酸素ガスを1日30m³処理できる設備で、窒素と酸素の混合ガスを製造する。許可は必要か。

〔解答〕

第一種ガス(窒素)の処理容積 S=210

T=100+(2/3)×210=100+140=240

合計処理容積=210+30=240

240 ≧ 240 なので、許可が必要

ちょうど閾値と一致しました。ここでも「以上」がものを言います。「超える」だと判定が逆になる、という作りです。

貯蔵側にも同じ形の式があります(N=1,000+(2/3)×M)。貯蔵所の記事で扱います。構造が同じなので、片方を理解すれば両方使えます。

変更は「何を変えるか」で手続きが変わる

〔法〕第14条は10年で7記述。誤りの5本すべてが「許可」と「届出」のすり替えでした。

変更する対象手続き
製造する高圧ガスの種類事前に許可
製造の方法事前に許可
製造施設の位置・構造・設備の変更工事事前に許可
ただし軽微な変更の工事は届出(完成後)

「軽微だから届出でいい」が使えるのは、位置・構造・設備の工事だけです。ガスの種類と製造方法の変更には使えません。

なぜ種類の変更に許可が要るのか

扱うガスが変われば、必要な設備も保安体制も根本から変わるからです。

可燃性ガスを毒性ガスに変えれば、除害設備や検知警報設備の要否が変わります。検知器の設置高さ除害設備も、扱うガスで決まる。だから事後の届出では足りず、事前の審査が要ります。

実際に出た誤り記述(3回)

年度出た形
平成29年種類だけの変更を「軽微な変更として変更後に届け出る」→ ×
平成30年種類や製造方法の変更を「あらかじめ届け出る」→ ×(許可)
令和2年種類の変更に「許可は要らないが、変更後に届け出る」→ ×

3回とも同じ論点を、言い回しを変えて出しています。 「種類の変更=事前の許可」だけ覚えれば全部取れます。

変更の許可でも、審査基準は新規と同じ

平成28年度に出た正しい記述です。

変更の許可を受けるとき、第一種製造者に適用される技術上の基準は、新規に製造の許可を受ける場合のものが準用される

○(正しい)

既存施設だからといって基準を緩めれば、古い施設ほど危険な状態が残ることになります。改造後の施設が、新しく作った施設と同じ安全水準を満たすことを求める——という考え方です。

これは実務の老朽化設備のリスク管理変更管理の発想とまったく同じです。

「軽微な変更」の線引き(コンビ則で出題)

何が軽微に当たるかは、令和元年度と令和2年度の問12で問われました。

対象軽微か理由
高圧ガス設備でないガス設備の工事軽微(届出)高圧に達しない部分なので保安への影響が小さい
特定設備の取替えで処理能力が変わるもの軽微でない(許可)能力が変われば保安距離などの前提が崩れる

製造施設>製造設備>ガス設備>高圧ガス設備という入れ子構造で、内側ほど圧力が高く規制が厳しい。「ガス設備」と「高圧ガス設備」の言い換えで、結論が逆になります。

また、取替えという言葉だけで判断しないでください。 同等品への取替えでも、処理能力が変わるなら軽微ではありません。

地位の承継は「相続・合併・分割」だけ

〔法〕第10条は10年で3記述。ここは覚えるべきことが1つです。

承継が認められる場合

相続・合併・分割 この3つだけ。

事業の譲渡には、承継の規定がありません。

出た誤り記述(令和3年度 問2イ)

事業の全部を譲り受けた者は、譲り渡した第一種製造者の地位をそのまま引き継ぐ。

× 承継が生じるのは相続・合併・分割の場合のみ。

なぜ譲渡だけ違うのか

相続・合併・分割は、当事者の意思とは別に、法律上の地位がまとめて移る事象です。施設と組織が一体のまま引き継がれます。

一方、事業の譲渡は当事者間の契約です。どこまで引き継ぐかは自由に決められるので、保安体制がそのまま維持される保証がない。だから譲受人は改めて許可を取る必要があります。

承継したら届出は必要

許可を取り直す必要はありませんが、事実を証する書面を添えて、遅滞なく届け出ます(〔法〕第10条第2項)。

行政が「誰に許可が及んでいるか」を把握できないと監督ができないからです。

製造の開始・廃止は「事後に、遅滞なく届出」

場面手続きタイミング
製造の開始届出遅滞なく(事後)
製造の廃止届出遅滞なく(事後)
〔法〕第21条第1項

出た誤り記述(令和7年度 問3ハ)

第一種製造者が高圧ガスの製造をやめようとするときは、あらかじめ都道府県知事等の許可を受ける必要がある。

× 事前の許可ではなく、やめた後の届出で足りる。

許可は「危険な行為を始めることを行政が認める」制度です。やめるときに許可は要りません。

ただし施設が残ったまま管理者不在になると危険なので、事後の届出は求められます。

そして「廃止しようとするとき(事前)」ではなく「廃止したとき(事後)」である点も、そのまま出題されます。

「事前20日」との対比で覚える

同じ届出でも、事前に20日必要なものがあります。

場面タイミング条文
製造の開始・廃止事後・遅滞なく〔法〕第21条
販売事業の開始事前・20日前まで〔法〕第20条の4
特定高圧ガスの消費開始事前・20日前まで〔法〕第24条の2

製造だけが事後です。 販売と消費は事前20日。この対比で覚えると混ざりません。

→ 販売と消費は販売・特定高圧ガス消費・廃棄の記事で扱います。

暗記カードにするならこれだけ

処理能力の閾値

第一種製造者(許可):100m³/日以上

第一種ガス(不活性ガス・空気等)だけなら:300m³/日以上

混合の判定式:T=100+(2/3)×S(S=第一種ガスの処理容積)

条文は「以上」。「超える」ではない。

変更の手続き

ガスの種類の変更 → 事前に許可

製造の方法の変更 → 事前に許可

位置・構造・設備の変更工事 → 事前に許可(軽微なものは完成後に届出)

変更の許可でも、審査基準は新規許可のものが準用される

承継と開始・廃止

地位の承継 → 相続・合併・分割のみ(事業譲渡には規定なし)

承継したとき → 事実を証する書面を添えて遅滞なく届出

製造の開始・廃止 → 事後に遅滞なく届出(許可ではない)

まとめ

  • 第一種製造者は100m³/日以上で許可。第一種ガスだけなら300m³/日以上
  • 混合は T=100+(2/3)×S で判定。貯蔵の N=1,000+(2/3)×M と同じ構造
  • 条文は「以上」。「超える」とすり替える出題がある
  • 変更はガスの種類・製造方法なら必ず事前の許可。軽微の除外は使えない
  • 変更の許可でも審査基準は新規と同じ
  • 承継は相続・合併・分割だけ。事業譲渡は改めて許可が要る
  • 製造の開始・廃止は事後に遅滞なく届出。販売・消費の「事前20日」と対比する

次は貯蔵です。3,000m³/1,000m³と、質量10kg=容積1m³の換算を扱います。→ 貯蔵所の許可と届出

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出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。集計は平成28年度〜令和7年度の法令20問を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。問題文そのものの転載は行っていません。