〔一般〕第6条(定置式製造設備の技術上の基準)のうち、号ごとの対象ガスの読み方と、配置・距離・基礎の論点を並べた記事です。見出しが論点名なので、目次から引いてください。
〔一般〕第6条(技術上の基準):①号の読み方と配置・距離|②設備・安全装置・防災設備|③製造の方法|液石則と取扱主任者
目次
- 号ごとの対象ガス ── 高圧の号は全ガス、燃える・毒の号は可燃性・毒性、火災の号は酸素も
- 窒素の扱い ── 外れるのは「燃える・毒」の号だけ。高圧の号には入る
- 火気との距離(8m) ── 可燃性・特定不活性ガスだけ。取れなければ流動防止か連動消火
- 設備の間の距離(5m・10m) ── 可燃性から酸素の設備まで10m。ポンプも入り、障壁で縮まない
- 防液堤 ── 毒性は5t以上、可燃性・酸素は1,000t以上。規模とガス種のANDで決まる
- ガスが滞留しない構造 ── 可燃性・特定不活性ガスの室だけ。酸素・窒素の室には定めがない
- 貯槽の支柱と沈下状況の測定 ── 100m³または1t以上なら、ガスの種類を問わない
- 耐震設計 ── 塔・貯槽・配管と支持構造物・基礎。ポンプ・圧縮機・容器置場は入らない
号ごとの対象ガス ── 高圧の号は全ガス、燃える・毒の号は可燃性・毒性、火災の号は酸素も

〔一般〕第6条には50を超える号がありますが、対象ガスは号ごとに条文で決まります。「燃える?」「毒?」「燃焼を助ける?」「高圧である?」の4つを当てれば、その場で導けます。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 漏えい検知警報設備は、アセチレンの製造施設には要り、酸素の製造施設には要らない | ○ | 第31号は可燃性・毒性・特定不活性ガス |
| 防消火設備は、アセチレンの製造施設には要り、酸素の製造施設には要らない | × | 第39号は酸素も対象 |
| 窒素は不活性なので、第6条の号はどれも窒素の設備にかからない | × | 耐圧試験・安全装置・止め弁・点検などは全ガス |
- 平成28年度 問14では、「アセチレンには必要、酸素には不要」という同じ形が、漏えい検知警報設備(ロ)では○、防消火設備(ハ)では×でした。号が変われば答えが変わるので、設問ごとに号を見分けます
- 事業所例に出るガスは、だいたいアセチレン(可燃)・アンモニア(可燃+毒)・酸素(支燃)・窒素(不活性)の4つです
- 同じ知識は保安管理技術の得点にもなります
号ごとの対象ガスの一覧
| 号 | 内容 | アセチレン | アンモニア | 酸素 | 窒素 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1項第3号 | 火気距離 8m | ○ | ○ | × | × |
| 第1項第4号 | 可燃性⇔酸素の設備間距離 | ○ | ○ | ○ | × |
| 第1項第7号 | 流出防止措置(防液堤) | ○ 1,000t以上 | ○ 5t以上 | ○ 1,000t以上 | × |
| 第1項第11号 | 耐圧試験 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第1項第19号 | 圧力計+安全装置 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第1項第25号 | 緊急遮断措置(5,000L以上) | ○ | ○ | ○ | × |
| 第1項第31号 | 漏えい検知警報設備 | ○ | ○ | × | × |
| 第1項第32号 | 温度上昇防止措置 | ○ | ○ | △ 可燃性の貯槽・設備の周辺 | △ 同左 |
| 第1項第39号 | 防消火設備 | ○ | ○ | ○ | × |
| 第2項第1号イ | 安全弁・逃し弁の止め弁は全開 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第2項第2号イ | 液化ガス充塡90%以下 | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第2項第2号イ後段 | 90%超過の自動検知・警報 | × | ○ 毒性のみ | × | × |
| 第2項第4号 | 製造施設の異常の有無の点検(令和7年4月改正前は「使用開始・終了時+1日1回以上」) | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 第2項第8号イ | 充塡容器と残ガス容器の区分 | ○ | ○ | ○ | ○ |
表を眺めると、設備の健全性に関する号は全ガス、燃える・毒の号は可燃性ガスが中心、火災被害の号(防消火設備・緊急遮断・防液堤)は酸素も入るという法則が見えます。火気距離は可燃性ガスと特定不活性ガス、検知警報は毒性ガス・特定不活性ガスも対象、緊急遮断と防液堤は毒性ガスも対象です。
ガスの性質から号を導く
| ガスの性質 | 対象になる号 |
|---|---|
| 燃える? | 火気距離・検知警報 |
| 毒? | 検知警報・緊急遮断(5,000L)・防液堤(5t)・90%自動検知(火気距離は対象外) |
| 燃焼を助ける? | 防消火設備・緊急遮断・可燃性との距離 |
| 高圧である? | 耐圧試験・圧力計・安全装置・点検・容器区分(全ガス) |
①設問がどの号の話かを見分け、②その号の対象ガスをガスの性質から導き、③数値要件があれば事業所例の数字と突き合わせます。各号の中身は次の章と、②・③の記事にあります(安全装置と放出管/安全弁・逃し弁の止め弁/液化ガスの貯槽は90%まで)。
窒素の扱い ── 外れるのは「燃える・毒」の号だけ。高圧の号には入る

窒素は不活性ですが、高圧であることに変わりはありません。 窒素が外れるのは「化学的な危険」に関する号だけで、「物理的な危険(高圧・破裂)」に関する号からは外れません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 窒素の容器は、充塡容器と残ガス容器を区分しないで置いた(平成28年度 問16ロ) | × | ガスの種類に関係なく区分が必要 |
| 窒素は不活性なので、製造施設の異常の有無の点検をしないで製造してよい | × | 点検にガスの種類の例外はない(第2項第4号) |
| 窒素のポンプの逃し弁の止め弁は、運転を終えた後は閉じた(平成28年度 問16イ) | × | 常に全開 |
- 窒素が外れるのは、火気距離・漏えい検知警報設備・防消火設備・緊急遮断措置・防液堤です(可燃性⇔酸素の設備間距離、滞留しない構造も窒素は対象外)
- 窒素も入る号:耐圧試験・気密試験、圧力計と安全装置、支柱の緊結と沈下測定、耐震設計、停電対策、バルブの操作、止め弁、点検、修理・清掃(第5号ロの危険防止措置を除く)
- 平成30年度 問19ハ(窒素は開始・終了時の点検だけで1日1回以上は不要=×)は、令和7年4月に改正される前の条文での出題。現行の条文は点検の時期と回数を定めていない(→ 使用開始時・終了時の点検)
- これは酸素欠乏の危険とは別問題で、酸欠という物理的な危険は現場で最大級です
火気との距離(8m) ── 可燃性・特定不活性ガスだけ。取れなければ流動防止か連動消火

可燃性ガス・特定不活性ガスの製造設備は、外面から火気を取り扱う施設まで8m以上。取れないときは、漏えいしたガスが火気へ流れるのを防ぐ措置(流動防止措置)か、漏えい時に連動装置で使用中の火気を直ちに消す措置で足ります(第1項第3号)。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 8m取れないので、アンモニアが漏れたら連動装置で使用中の火気を直ちに消す措置をとった | ○ | 距離に代わる措置として条文にある |
| 8m取れないので、漏れたアンモニアが火気の施設へ流れない措置をとった | ○ | 流動防止措置 |
| 8m確保できていれば、流動防止措置は要らない | ○ | 距離か措置のどちらか |
| 8mの定めがかかるのは、窒素以外のすべての製造設備 | × | 酸素も対象外。可燃性のアンモニア・アセチレンだけ |
出題:7記述(平成28〜令和7年度)
- 対象は可燃性ガス・特定不活性ガスの製造設備の、そのガスが通る部分。酸素・窒素の製造設備には定めがない
- 製造設備の中にある火気は除く。漏れたガスが火気に届く前に薄まることを見込んだ距離(→ ガス拡散の考え方)
- 流動防止措置の一例が、図の防火壁(ガスが回り込む距離で8mを取る)
- 液石則の特定高圧ガス消費者にも同じ形の8mがある(〔液石〕第53条第1項第3号)
関連:液石則の周囲5m
設備の間の距離(5m・10m) ── 可燃性から酸素の設備まで10m。ポンプも入り、障壁で縮まない

可燃性ガスの製造設備の高圧ガス設備は、外面からほかの可燃性ガスの製造設備の高圧ガス設備まで5m以上、酸素の高圧ガス設備(酸素が通る部分)まで10m以上(第1項第4号)。「高圧ガス設備」には貯槽もポンプも配管も含まれます。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| アセチレンの設備から液化酸素の貯槽には距離が要るが、液化酸素のポンプには要らない(平成30年度 問15イ) | × | ポンプも酸素の高圧ガス設備 |
| アンモニアの設備から酸素の高圧ガス設備まで5m以上とればよい | × | 10m以上 |
| 所定の強度の障壁を間に置けば、アンモニアと酸素の設備の距離を縮められる | × | この距離に障壁による緩和はない |
| アンモニアの設備にもアセチレンの設備にも、酸素の設備までの距離がかかる | ○ | アンモニアは毒性ガスで可燃性ガスでもある |
| 液化酸素の貯槽にはアセチレンの設備からの距離が要るが、液化窒素の貯槽には定めがない(平成28年度 問14イ) | ○ | 可燃性と酸素の間だけ |
出題:9記述(平成28〜令和7年度)
- 設備の名前を貯槽からポンプに差し替えて、対象外に見せるのが手口。酸素ポンプの危険性はポンプの選定と運転でも触れています
- 障壁で距離を縮められるのは容器置場などの別の規定。条文に緩和が書いていなければ緩和はない
- 貯槽の間の距離は別の号(第1項第5号)。可燃性ガスの貯槽(300m³または3t以上)から他の可燃性ガス・酸素の貯槽まで、最大直径の和の1/4か1mの大きいほう。防火上・消火上有効な措置を講じれば不要だが、コンビ則にはこのただし書がない
防液堤 ── 毒性は5t以上、可燃性・酸素は1,000t以上。規模とガス種のANDで決まる

規模要件を満たしていても、ガス種が対象外なら適用されません。2つの条件をANDで見るのが第1項第7号です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化アンモニアの貯槽の周囲には流出防止措置が要り、液化窒素の貯槽には定めがない | ○ | 不活性ガスは規定なし |
| 液化アンモニアも液化酸素も貯蔵能力1,000t未満なので、どちらにも定めはない | × | アンモニアは毒性で5t以上なら要る |
| 流出防止措置は、ここにある貯槽すべてに講じる | × | 窒素などの不活性ガスは対象外 |
| この事業所で流出防止措置が要るのは液化アンモニアの貯槽だけ | ○ | 「だけ」が正しい例 |
| 防液堤の内側と外面から所定の距離以内には、定められたもの以外の設備を置かない | ○ | 第8号。第7号の設置義務とは別の規定 |
出題:8記述(平成28〜令和7年度)
防液堤が要る貯蔵能力
| ガス | 防液堤が必要になる貯蔵能力 |
|---|---|
| 毒性ガス | 5トン以上 |
| 可燃性ガス(液化ガス) | 1,000トン以上 |
| 液化酸素 | 1,000トン以上 |
| 不活性ガス | 規定なし |
- 事業所例では「液化アンモニア30トン」「液化酸素20トン」のような設定が出ます。アンモニアは該当、酸素は該当しません
- 毒性ガスの閾値が極端に低いのは、少量でも人体に重大な被害を出すからです(→ 毒性の指標)
- 第8号の距離は、防液堤の外面から10m(毒性ガスの貯槽は、ガスの種類と貯蔵能力に応じて定める距離)
ガスが滞留しない構造 ── 可燃性・特定不活性ガスの室だけ。酸素・窒素の室には定めがない

| ガス | 製造設備を置く室を滞留しない構造に(第1項第9号) |
|---|---|
| アセチレン(可燃性) | 要る |
| アンモニア(可燃性・毒性) | 要る(可燃性ガスとして) |
| 特定不活性ガス | 要る |
| 酸素(支燃性) | 要らない |
| 窒素(不活性) | 要らない |
第9号の対象は「可燃性ガス又は特定不活性ガスの製造設備を設置する室」です。毒性ガスという理由で入るのではなく、アンモニアは可燃性ガスでもあるので対象になります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化アンモニアの製造設備を置く室は、漏れても滞留しない構造にする | ○ | アンモニアは可燃性ガス |
| 酸素と窒素の製造設備を置く室にも、滞留しない構造の定めがある | × | 可燃性・特定不活性ガスだけ |
| 滞留しない構造は、ここにある製造設備の室すべてに要る | × | 「すべて」で範囲を広げる形 |
| アンモニアとアセチレンの室には要り、酸素(窒素)の室には要らない | ○ |
出題:6記述(平成28〜令和7年度)
- 窒素を「危険がないから何も要らない」と一般化しすぎない。この号で外れる理由は「燃えない」から
- 漏えい検知警報設備(第31号)は毒性ガスも対象なので、対象ガスが違う(→ 漏えい検知警報設備)
貯槽の支柱と沈下状況の測定 ── 100m³または1t以上なら、ガスの種類を問わない

| 定め | 対象 | 代わりにならないもの |
|---|---|---|
| 基礎は不同沈下等で有害なひずみが生じないもの(第1項第15号前段) | 高圧ガス設備(配管・ポンプ・圧縮機などを除く)。ガス種・規模を問わない | ― |
| 支柱(支柱のない貯槽は底部)を同一の基礎に緊結(第15号後段) | 貯蔵能力100m³または1t以上の貯槽。ガス種を問わない | 基礎の措置・距離・地盤 |
| 沈下状況を測る措置と測定(第16号) | 同じ規模の貯槽(第15号の定義を引用) | 耐震設計・基礎の品質 |
支柱の緊結と沈下測定は規模(100m³または1t以上)だけで決まり、窒素の貯槽も対象です。基礎の措置や耐震性能と引き換えにはできません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化窒素の貯槽は不活性なので、支柱を同一の基礎に緊結しなかった | × | 規模で決まる。ガス種は問わない |
| 基礎を不同沈下等でひずまないものにすれば、支柱の緊結は要らない | × | 基礎の措置と緊結は両方要る |
| 耐震設計の基準を満たす基礎にしたので、沈下状況の測定は省いた | × | 耐震と沈下測定は目的が違う |
| 貯蔵能力80m³の窒素ガスの貯槽を新設するとき、沈下測定の定めはない | ○ | 100m³未満 |
| ここにある貯槽はすべて、沈下状況を測定する | ○ | 全貯槽が1t以上の事業所例 |
出題:12記述(平成28〜令和7年度)
- 第16号は「貯槽」としか書いていない。規模要件は第15号の「貯槽(貯蔵能力が100m³又は1t以上のもの)」を引用する形
- 測定の結果、沈下していれば程度に応じた措置を講じる
- 支柱は温度上昇防止措置(第32号)の対象でもある。火災で加熱されると強度が落ち、貯槽が倒壊して大量漏えいにつながる(→ 温度上昇防止措置)
関連:液石則の貯槽の支柱
耐震設計 ── 塔・貯槽・配管と支持構造物・基礎。ポンプ・圧縮機・容器置場は入らない

| 耐震設計構造物(第1項第17号) | 入るか |
|---|---|
| 塔(貯槽以外の高圧ガス設備で、正接線間の長さ5m以上) | 入る |
| 貯槽(貯蔵能力300m³または3t以上) | 入る |
| 所定の配管(地盤面上で外径45mm以上のものなど) | 入る |
| 上の支持構造物と基礎 | 入る |
| ポンプ・圧縮機・容器置場 | 入らない(蒸発器・熱交換器も、縦形で正接線間5m以上なら「塔」として入る) |
対象はガスの種類ではなく設備の種類で決まります。塔・貯槽・所定の配管と、その支持構造物と基礎までがセットです。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 液化窒素の貯槽は、本体だけでなく支持構造物と基礎も耐震設計の対象 | ○ | 不活性ガスでも対象 |
| 耐震性能が要るのは液化アンモニアの貯槽と支持構造物だけ | × | ガスを問わず、塔・貯槽・配管と支持構造物・基礎 |
| 耐震性能が要るのは貯槽と支持構造物まで | × | 配管・基礎も入る |
| ポンプ・圧縮機・容器置場は耐震設計構造物にあたらない | ○ | |
| 貯槽・ポンプ・圧縮機・蒸発器・容器置場のすべてが耐震設計構造物 | × | 挙げた設備のうち入るのは貯槽だけ(蒸発器も正接線間5m以上なら塔) |
出題:6記述(平成28〜令和7年度)
- 「本体だけ」に絞る形と、「全部」に広げる形の両方が出る
- 耐震性能があっても沈下状況の測定は省けない(→ 貯槽の支柱と沈下状況の測定)
次は危険時の措置と事故届です。「直ちに」と「遅滞なく」の使い分けを扱います。→ 危険時の措置と事故届
コンビナート則・液石則を含む事業所例の解き方は事業所例問題の解き方、法令全体の骨格は法令20問の攻略へ。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。平成28〜令和7年度の法令20問×10年分を1記述ずつ整理しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
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いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
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