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検知警報設備の設定値や設置高さの根拠が、いまひとつ腑に落ちない。
フレアで逆火が起きるのは流速が速いときか遅いときか、毎回迷う。
そんな悩みを解決します。
可燃性ガスの警報設定値は爆発下限界の1/4以下
フレアは流速が遅いと逆火、速いと吹き消え ── 2回入れ替えられた
計装用空気の露点は最低気温より10℃以上低く(2回)
毒性ガスは除害してから放出。希釈放出では足りない

実務にそのまま効く分野です。数値の根拠まで押さえれば、記述の正誤が読めるようになります。
最初に集計結果です。
| 国家試験 | 技術検定 | 計 | |
|---|---|---|---|
| 該当する問 | 問12 | 問11 | ── |
| 記述数 | 20 | 25 | 45 |
検知警報設備・除害設備・フレア・防液堤・保護具が主なテーマです。
実務側は被害局限措置・緊急放出設備・ガス拡散を参照してください。
ガス漏えい検知警報設備
警報設定値は爆発下限界の1/4以下(R6検定問11ハ)
出た誤り記述
可燃性ガスの警報設定値を、当該可燃性ガスの爆発下限界の値とした。
→ × 爆発下限界の1/4以下。
可燃性ガス:爆発下限界の 1/4 以下
毒性ガス:許容濃度(TLV-TWA)以下
下限界に達してから警報を出しても、すでに爆発可能な濃度です。余裕を持たせるのが1/4の意味。
メタンなら 5.0 vol% × 1/4 = 1.25 vol%(=25%LEL)で警報。
実務では 25%LEL で警報、50%LEL で緊急停止という2段設定が一般的です。
→ 爆発範囲(LEL・UEL)/ガス検知警報設備の選定と設置
検知方式と対象ガス
| 方式 | 原理 | 検知できるもの | 備考 |
|---|---|---|---|
| 接触燃焼式 | 触媒上で燃焼させ、抵抗変化を見る | 可燃性ガス | 酸素が必要/被毒に注意 |
| 半導体式 | 金属酸化物の抵抗変化 | 還元性・酸化性ガス 不活性ガスは不可 | 還元性ガスの検知に有利 |
| 隔膜電極式 | 電気化学反応 | 毒性ガス(特定ガス) | 選択性が高い |
| 赤外線式 | 赤外吸収 | CO₂・炭化水素 | 酸素不要/被毒しない |
| 光波干渉式 | 屈折率の差 | 可燃性ガス | 酸素不要 |
半導体式の誤りが2回
R4国試問12ロ
半導体式は、可燃性ガス、不活性ガスのすべてのガスを検知できる。
→ × 不活性ガスは検知できない。
R4検定問11ロ
半導体式は、空気中では酸化性ガスの検知に有利である。
→ × 還元性ガスの検知に有利。
半導体(n型金属酸化物)は空気中で表面に酸素が吸着している
→ 電子が奪われて抵抗が高い状態
そこに還元性ガス(H₂・CO・炭化水素)が来ると
→ 吸着酸素と反応して電子が戻る → 抵抗が大きく下がる → 検出しやすい
だから窒素の漏れ(酸欠)は、酸素濃度計で検知します。 ガス検知器では見えない。
→ 酸素欠乏の管理
サンプリング方式(R5国試問12ハ)
出た誤り記述
ポンプ吸引型は、拡散型に比べて検知時間の遅れが大きい。
→ × 小さい(速い)。
| 拡散型 | ポンプ吸引型 | |
|---|---|---|
| ガスの取り込み | 自然拡散 | ポンプで強制吸引 |
| 応答 | 遅い | 速い |
| 設置 | 検知したい場所に直接 | 遠隔からサンプリング可 |
| 保守 | 簡単 | ポンプ・配管の保守が要る |
強制的に吸い込むほうが速いのは直感どおりです。
検知器の設置高さ ── ガスの比重で決まる
| ガスの比重 | 例 | 設置高さ |
|---|---|---|
| 空気より軽い | 水素・メタン・アンモニア | 天井付近 |
| 空気より重い | プロパン・LPガス・塩素・SO₂ | 床面付近 |
| ほぼ同じ | CO・N₂・エチレン | 呼吸域〜漏えい源の高さ |
放出時の温度も考慮が必要です。液化ガスの気化直後は冷たく、比重が大きくなる。
→ ガス検知警報設備の選定と設置/製造の技術上の基準(検知警報設備)
フレア ── 逆火と吹き消えが2回入れ替えられた
出た誤り記述(令和5年度 国試 問12ニ)
エレベーテッドフレアーでは、ガス流速がガス固有の燃焼速度を上回ると逆火現象が起きる。
→ × 上回ると吹き消える。
出た誤り記述(令和6年度 検定 問11ニ)
ガス流速が燃焼速度に比べて過少になると吹き消え、上回ると逆火が起きる。
→ × 完全に逆。
流速 < 燃焼速度 → 火炎が上流へ進む → 逆火(フラッシュバック)
流速 > 燃焼速度 → 火炎が保持できない → 吹き消え(ブローオフ)
2回とも入れ替えられています。 直感的に迷いやすい論点なので、この理屈で固定してください。
だから安定燃焼には範囲がある
下限:逆火を防ぐため、最低流速を確保する(パージガスを流し続ける)
上限:吹き消えを防ぐため、パイロットバーナとフレームホルダを設ける
フレアには常にパージガス(窒素や燃料ガス)を流します。 放出がないときも止めません。
止めると空気が逆流して、内部で爆発性混合気ができるからです。
モレキュラーシール(分子シール)で空気の逆流を防ぐ構造も併用されます。
スチーム吹込みとマフラ(R4検定問11ハ)
出た誤り記述
スチーム放出の際に発生する低周波の騒音防止対策として、スチームノズル部にマフラを設置する。
→ × 高周波の騒音防止のため。
目的:黒煙(スート)の発生防止
→ 空気を巻き込んで燃焼を促進する
→ 水性ガス反応(C + H₂O → CO + H₂)でも炭素を除く
副作用:高周波の騒音
→ マフラ(消音器)で対策
シールドラムとその他の構成
| 構成要素 | 役割 |
|---|---|
| ノックアウトドラム | 液滴を分離(燃える液滴の落下を防ぐ) |
| シールドラム(液封) | 逆流防止/背圧の保持 |
| モレキュラーシール | 空気の逆流防止(ガスの比重差を利用) |
| パイロットバーナ | 常時点火(吹き消え防止) |
| スチームノズル | 黒煙防止 |
液滴の落下は最も危険です。燃えたまま落ちれば地上で火災になります。
除害 ── 毒性ガスは除害してから放出
出た誤り記述(令和2年度 検定 問11ロ)
塩素ガスを緊急放出する場合、着地濃度が許容濃度以下になるように大量の窒素ガスで希釈しながら緊急用ベントスタックから放出してもよい。
→ × 毒性ガスは除害したのち、安全に放出する。
可燃性ガスならフレアで燃やせますが、毒性ガスは化学的に処理する必要があります。
除害剤の選び方 ── 酸性か塩基性か
| ガスの性質 | ガスの例 | 除害剤 |
|---|---|---|
| 酸性ガス | 塩素・塩化水素・SO₂・H₂S・ホスゲン・フッ化水素 | アルカリ(NaOH水溶液・消石灰) |
| 塩基性ガス | アンモニア・メチルアミン | 水(よく溶ける)/酸(希硫酸) |
| 酸化性ガス | フッ素・NOₓ | 還元剤(チオ硫酸ナトリウムなど) |
| 還元性ガス | シラン系・ホスフィン・アルシン | 酸化剤/燃焼 |
| 可燃性ガス | 炭化水素・水素 | 燃焼(フレア) |
塩素の除害には NaOH 水溶液を使います(2Cl₂ + 4NaOH → 2NaCl + 2NaClO + 2H₂O)。
アンモニアは水に極めてよく溶ける(ヘンリー定数が極小)ので、水洗だけでも高い除害率が出ます。
除害方式の種類
| 方式 | 適用 | 特徴 |
|---|---|---|
| 水洗 | 水溶性ガス(NH₃・HCl) | 簡単・安価 |
| アルカリ吸収 | 酸性ガス(Cl₂・SO₂・H₂S) | 中和反応 |
| 酸吸収 | 塩基性ガス(NH₃) | ── |
| 吸着 | 低濃度・多成分 | 活性炭/再生が必要 |
| 燃焼(除害燃焼) | 可燃性・還元性ガス | シラン系に有効 |
| 触媒分解 | NOₓ・特殊材料ガス | ── |
実務では多段(水洗+アルカリ+吸着)にすることが多い。
呼吸保護具(R6国試問12ロ)
出た誤り記述
送気式マスクは、空気呼吸器に比べて行動範囲が比較的自由だが、使用時間に制約を受ける。
→ × まったく逆。
| 送気式マスク | 空気呼吸器(SCBA) | |
|---|---|---|
| 空気源 | 外部からホースで送気 | 背負ったボンベ |
| 行動範囲 | 制約あり(ホースの長さ) | 自由 |
| 使用時間 | 制約なし | 制約あり(20〜30分程度) |
| 用途 | 長時間の定位置作業 | 緊急時の突入・救助 |
防毒マスク(吸収缶式)は酸欠では使えません。 空気を浄化するだけなので、酸素がなければ意味がない。
酸欠のおそれがある場所では、必ず給気式(送気式マスクか空気呼吸器)を使います。
防液堤・防火壁・断熱材
排水弁は常時閉(R2国試問12ロ)
出た誤り記述
防液堤内の雨水を排出するため、防液堤外において操作できる排水弁を設置し、常時開とした。
→ × 排水時以外は閉止しておく。
防液堤外から操作できる位置に設けるという点は正しい記述です。中に入らないと操作できないと、漏えい時に近づけない。
防火壁は高さ2m以上・迂回距離8m以上(R3検定問11ニ)
出た誤り記述
8m以上の距離を確保できないので、高さ1mの防火壁を設け、迂回水平距離を10mとした。
→ × 高さ2m以上の防火壁を設け、迂回水平距離を8m以上とする。
直線距離で8mを確保できないとき、壁を設けて迂回させる
→ ガスが壁を越えて回り込む実際の距離が8m以上になればよい
→ ただし壁の高さは2m以上必要
高さが足りないと、ガスが壁を越えてしまいます。 迂回させる効果が出ない。
火気距離8mの規定は法令にもあります。 → 製造の技術上の基準(火気距離)
断熱材は熱伝導率が小さいもの(R5検定問11イ)
出た誤り記述
液化ガス貯槽の温度上昇防止のために用いる断熱材に、熱伝導率が大きく、吸湿性が小さく、不燃性であるものを選定した。
→ × 熱伝導率が小さいものを選ぶ。
熱伝導率が小さい(断熱性能)
吸湿性が小さい(水を吸うと熱伝導率が上がる・保温材下腐食の原因)
不燃性(火災時に燃えない)
耐熱・耐寒性/施工性
吸湿は保温材下腐食(CUI)の原因にもなります。特にステンレスでは塩化物SCCを招く。
感震器は「地震の大きさ」を検出(R3国試問12イ)
出た誤り記述
地震の加速度を測定するのに、落球型感震器を設置した。
→ × 落球型は単に地震の大きさだけを検出する。
落球型:球が落ちるかどうか → しきい値を超えたかだけが分かる
加速度計型:加速度の値を測定できる
落球型は安価で単純ですが、定量的な測定はできません。緊急遮断のトリガとしては使えます。
計装用空気の露点(2回出題)
出た誤り記述(R2検定問11ハ・R6検定問11ホ:2回)
計装用空気の露点を、脱湿器を用いてその地域の最低気温に保つ。
→ × 最低気温より10℃以上低い値に保つ。
計装配管の中で水が凍る → 閉塞
→ 調節弁が動かない・信号が伝わらない
→ 制御不能
計装用空気は無給油圧縮機で作るのも重要です(油が混入すると弁が固着する)。
2回とも同じ数値(10℃)を問うています。 ここは覚えるだけ。
この分野の対策
- 警報設定値=爆発下限界の1/4以下
- フレアは流速が遅いと逆火、速いと吹き消え(2回入れ替えられた)
- 計装用空気の露点=最低気温−10℃以上(2回)
- 除害剤は酸性ガス→アルカリ、塩基性ガス→水か酸
覚える数値
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 可燃性ガスの警報設定値 | 爆発下限界の1/4以下 |
| 毒性ガスの警報設定値 | 許容濃度以下 |
| 計装用空気の露点 | 最低気温より10℃以上低く |
| 防火壁の高さ | 2m以上 |
| 火気までの迂回水平距離 | 8m以上 |
| 空気呼吸器の使用時間 | 20〜30分程度 |
よくある失点
| 失点 | 対策 |
|---|---|
| 警報設定値を下限界そのものと思う | 1/4以下 |
| 逆火と吹き消えを逆に | 遅い→逆火、速い→吹き消え |
| 半導体式が不活性ガスも検知すると思う | 不活性ガスは不可 |
| 半導体式が酸化性に有利と思う | 還元性に有利 |
| 送気式と空気呼吸器を逆に | 送気式=行動制約あり・時間制約なし |
| 断熱材の熱伝導率を大きいと思う | 小さい(他の2条件は正しい) |
| 希釈放出で毒性ガスを処理できると思う | 除害してから放出 |
暗記カードにするならこれだけ
可燃性:爆発下限界の1/4以下/毒性:許容濃度以下
半導体式は不活性ガスを検知できない/還元性ガスに有利
ポンプ吸引型は拡散型より応答が速い
設置高さはガスの比重で決める(軽い→天井、重い→床)
流速 < 燃焼速度 → 逆火
流速 > 燃焼速度 → 吹き消え
スチーム吹込み=黒煙防止/マフラ=高周波騒音対策
常時パージガスを流す(空気の逆流を防ぐ)
毒性ガスは除害してから放出(希釈だけでは不可)
酸性ガス→アルカリ(Cl₂・HCl・SO₂・H₂S)
塩基性ガス→水か酸(NH₃)
還元性ガス(シラン系)→燃焼
送気式マスク:行動制約あり・時間制約なし
空気呼吸器:行動自由・時間制約あり
酸欠では防毒マスク不可(給気式のみ)
防液堤の排水弁は常時閉
防火壁:高さ2m以上・迂回距離8m以上
断熱材は熱伝導率が小さいもの
計装用空気の露点は最低気温より10℃以上低く
まとめ
- 国試の問12・検定の問11がここ。10年で45記述
- 可燃性ガスの警報設定値は爆発下限界の1/4以下
- 半導体式は不活性ガスを検知できず、還元性ガスに有利(2回)
- フレアは流速が遅いと逆火、速いと吹き消え(2回入れ替えられた)
- スチーム吹込みは黒煙防止、マフラは高周波騒音対策
- 毒性ガスは除害してから放出。希釈だけでは不可
- 送気式マスクは行動に制約、空気呼吸器は時間に制約
- 防液堤の排水弁は常時閉
- 計装用空気の露点は最低気温より10℃以上低く(2回)
次は運転管理です。置換・入槽・非定常作業を扱います。→ 運転管理の出題
実務側は被害局限措置・緊急放出設備・ガス検知警報設備・除害設備の設計へ。
保安管理技術の全体像は保安管理技術15問の攻略を参照してください。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』甲種化学編。集計は令和2〜6年度の国家試験5回・技術検定5回、計150問671記述を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。設問の要約と解説にとどめ、問題文そのものの転載は行っていません。
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