動画解説はこちら|YouTube

危害予防規程と保安教育計画|届出があるほう・ないほうを1つの表で終わらせる【甲種化学・法令】

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

困っている人
困っている人

危害予防規程は届出、保安教育計画は届出なし。毎回どっちがどっちか分からなくなる。

変更命令と勧告の違いが説明できない。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

2つを1枚の対比表にして、そこから動かさない

届出/許可/認可 ── すり替えの3パターン

変更命令(中身が不十分)と勧告(守られていない)の使い分け

遵守義務は協力会社の従業者に及ばない(10年で2回)

この分野は10年で17記述。ほぼ毎年、しかも2つを並べて対比させる形で出ています。

この分野は表1枚で終わります。先に結論を置きます。

危害予防規程保安教育計画
根拠〔法〕第26条〔法〕第27条
定める義務ありあり
届出必要(制定時・変更時とも)不要
許可・認可不要(届出で足りる)不要
行政の関与変更命令(第2項)
勧告(第4項)
勧告のみ(第5項)
遵守・実行事業者とその従業者が守る忠実に実行する

届出があるのは危害予防規程だけ。ここが全出題の中心です。

なぜこう分かれるのか、理由が分かると忘れなくなります。

危害予防規程 ── 届出が要る理由

危害予防規程は、事業所の保安ルールそのものです。

行政はその内容を確認し、不十分なら変更を命じます。中身に踏み込む制度なので、まず届け出させて内容を把握する必要がある。

制定時だけでなく変更時も届出が要ります。変更を知らせなければ、行政が把握しているものと実際の運用がずれてしまうからです。

届出/許可/認可のすり替え(10年で2回)

年度・問記述判定
R1問13イ定めるときも変更したときも認可を受ける× 届出
R7問12イ許可を受けなければ変更できない× 届出

届出・許可・認可は行政手続の重さが違います。

  • 届出:事業者が知らせれば足りる
  • 許可:行政が事前に認めて初めて行える
  • 認可:行政が承認して初めて効力が生じる

危害予防規程は事業者が自ら作る自主的な保安ルールです。行政が事前に中身を認めるのではなく、届け出させて把握し、不適切なら変更を命じる。

自主保安を基本にしつつ、行政が後ろから監督する。これは高圧ガス保安法全体を貫く考え方です。

この構図は他の法規制を読むときにも効きます。労働安全衛生法のリスクアセスメントも同じで、やり方は事業者が決め、行政は結果を監督する形をとっています。

変更命令と勧告 ── 対象と強さが違う

行政の手段発動する場面根拠
変更命令規程の内容が不十分なとき〔法〕第26条第2項
勧告規程が守られていないとき〔法〕第26条第4項

命令は中身を直させる強い手段。勧告は運用を正させる穏やかな手段。

「内容 → 命令」「運用 → 勧告」。この2つを取り違えさせる出題が繰り返されています。

遵守義務は協力会社の従業者に及ばない

出た誤り記述(令和5年度 問12ハ)

危害予防規程を守る義務を負うのは、事業者本人とその従業者、それに協力会社の従業者である。

× 遵守義務を負うのは事業者とその従業者まで。

遵守義務は法が直接その人に課すものです。指揮命令関係のない協力会社の従業者にまで、法律上の義務を及ぼすことはできません。

ただし現実には協力会社も構内で作業します。 そこで危害予防規程の記載事項として「協力会社の作業管理」が別に定められていて、事業者が管理する形をとっています。

「協力会社は関係ない」のではなく、「協力会社の従業者に直接義務がかかるのではなく、事業者を通じて管理される」ということです。

実務では作業許可制度隔離管理が、まさにこの「事業者が協力会社を管理する」仕組みにあたります。

正しい記述として2回出た形

平成28年度 問10イ・令和4年度 問13イ(同一の記述)。

所定の事項を記載した危害予防規程を定めて都道府県知事等へ届け出る。この規程を守る義務を負うのは、事業者本人とその従業者である。

○(正しい)

保安教育計画 ── 届出がない理由

保安教育計画は、従業者の教育をどう進めるかという内部の計画です。

事業所の保安ルールそのものではないので、行政が中身に踏み込む制度になっていません。定めて、忠実に実行する。 求められるのはそこまでです。

〔法〕第27条の義務

① 従業者に対する保安教育計画を定める

② その計画を忠実に実行する

届出の規定はない(制定時も変更時も)

10年で5回、届出をねじ込む誤りが出た

年度・問誤りの作り方
H30問8ハ変更した場合は届け出たうえで実行する → ×
R3問9ハ実行の結果まで届け出る → ×
R5問12イ定めて届け出たうえで実行する → ×
R6問12イ危害予防規程と保安教育計画の両方を届け出る → ×
H29問8ハ認定を受けているので計画を定めなくてよい×

5回とも、「届出」または「不要」を差し込む形。逆に言えば、届出という言葉が保安教育計画に付いたら即×です。

認定を受けていても計画は要る(平成29年度 問8ハ)

認定完成検査実施者・認定保安検査実施者であっても、保安教育計画を定める義務は変わりません。

認定は検査を自ら行える資格であって、保安教育の義務とは別の話です。むしろ自主保安を担う以上、従業者の教育は欠かせない。

「計画を定めること」と「実際に教育を施すこと」は別の義務です。片方で他方を代替できません。

認定制度そのものは完成検査・保安検査の記事で扱います。

届出がない代わりに、勧告がある

令和7年度 問12ハ(正しい記述)。

保安教育計画が忠実に実行されていないとき、公共の安全の維持または災害の発生の防止に必要と知事等が認めれば、その計画を忠実に実行するよう勧告を受けることがある。

○(正しい)

行政が中身に踏み込めない代わりに、実行されていないときに勧告する権限が用意されています。

危害予防規程=「届出+変更命令+勧告」/保安教育計画=「届出なし+勧告のみ」。この組み合わせで対比して覚えてください。

実務での保安教育の中身は保安教育と技能伝承、運転知識の管理はプロセス知識の管理で扱っています。

同じ問の中で並べてくるのが定番

この2つは同一の問のイとロで並べられることが多いです。

年度
R1問13危害予防規程を認可×保安教育計画は届出不要
R5問12保安教育計画を届出×──
R6問12両方を届出×危害予防規程に変更命令

並べてくるということは、対比が論点だということです。片方を見たらもう片方を思い出す癖をつけてください。

暗記カードにするならこれだけ

危害予防規程(〔法〕第26条)

制定時・変更時とも 届出(許可でも認可でもない)

内容が不十分 → 知事等が変更を命じる(第2項)

守られていない → 知事等が勧告(第4項)

遵守義務は事業者とその従業者。協力会社の従業者は含まない

保安教育計画(〔法〕第27条)

定めて、忠実に実行する

届出の規定はない(制定時も変更時も、実行結果も)

実行されていない → 知事等が勧告(第5項)

認定完成検査実施者・認定保安検査実施者でも計画は必要

1行でまとめると

規程は届出あり・命令あり。教育計画は届出なし・勧告のみ。

まとめ

  • 危害予防規程は届出、保安教育計画は届出なし。これが全出題の中心
  • 危害予防規程は許可でも認可でもなく届出(10年で2回すり替えが出た)
  • 内容が不十分 → 変更命令守られていない → 勧告
  • 遵守義務は事業者とその従業者まで。協力会社の従業者には直接及ばない
  • 保安教育計画に「届出」が付いたら即×(10年で5回)
  • 認定を受けていても保安教育計画は必要
  • 保安教育計画にも勧告はある(実行されていないとき)

次は検査です。完成検査・保安検査・定期自主検査の3つと、認定制度を扱います。→ 完成検査・保安検査・定期自主検査

法令全体の骨格は法令20問の攻略へ。

出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。集計は平成28年度〜令和7年度の法令20問を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。問題文そのものの転載は行っていません。