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事業所例問題の解き方|問7〜20は「どの規則か」を先に見るだけで半分決まる【甲種化学・法令】

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困っている人
困っている人

問7以降の事業所例が長すぎて、読むだけで時間が溶ける。

一般則とコンビナート則で結論が変わると聞いたが、どこが違うのか分からない。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

問番号と適用規則の対応は10年間まったく動いていない

同じ論点でも一般則とコンビ則で結論が逆になる代表例

事業所例の読む順番を固定する(全文は読まない)

コンビ則だけの数字:30m・50m・直径和の1/4

法令20問のうち14問が事業所例です。ここを構造で解けるようにすることが、法令攻略の本体になります。

最初に、10年分を問番号で集計した結果を出します。

適用される規則内容
問1〜6法・政令・容器則単独の設問(事業所例なし)
問7液石則液化石油ガスの消費施設の例
問8〜13コンビ則+法コンビナート事業所の例
問14〜20一般則一般の製造事業所の例

この対応は平成28年度から令和7年度まで、10年間まったく動いていません。

つまり問番号を見た瞬間に、どの規則で判定すべきかが確定します。 これが事業所例攻略の出発点です。

各規則の中身は製造の技術上の基準(一般則)で扱っているので、この記事では規則どうしの違い読み方の手順に絞ります。

事業所例は全文を読まない

事業所例の本文は長く、A4で半ページ以上あります。全部読むと時間が足りません。

読む順番(この順で固定する)

設問(イロハ)を先に読む

② 設問に出てきたガス名と設備名だけを事業所例から拾う

③ 数値要件がある論点なら、その数字だけを拾う

④ 判定する

事業所例は辞書として使うものです。頭から通読する文章ではありません。

実際にどう拾うか

設問:「液化アンモニアの貯槽の周囲に、液状のガスが漏えいしたときの流出を防ぐ措置を講じるべき定めはない」

  1. 論点は防液堤(〔一般〕第6条第1項第7号)だと見分ける
  2. 防液堤は毒性ガス5トン以上液化酸素1,000トン以上
  3. 事業所例から液化アンモニアの貯蔵能力だけを拾う → 30トン
  4. 30 ≧ 5 なので該当する。よって記述は×

拾ったのは数字1つだけです。他の設備の情報は一切使っていません。

この読み方ができるかどうかで、問14〜20の7問にかける時間が倍以上変わります。

同じ論点でも一般則とコンビ則で結論が逆になる

これが事業所例で最も危険な落とし穴です。

代表例:貯槽どうしの距離

一般則コンビ則
必要な距離最大直径の和の1/4(または1m)のうち大きいほう同左(第5条第1項第13号
防火・消火措置による短縮認められる認められない

出た正しい記述(令和元年度 問9イ)

貯蔵能力2,000t・最大直径20mの液化ブタジエンの貯槽に隣接して、同じ貯槽を増設する。防火上および消火上有効な措置を講じたとしても、貯槽どうしの間には最小10mの距離が要る。

○(正しい) (20+20)÷4=10m

コンビナートは被害が大規模化しやすいため、短縮を認めていません。同じ計算式でも、緩和規定の有無が逆です。

「安全側の措置をとったのだから縮められるはず」という推測は通じません。 緩和は条文が個別に定めているもので、書かれていなければ緩和はない。

液石則にも同じ罠がある(令和元年度 問7イ)

減圧設備の外面から第一種保安物件までの第一種設備距離は、所定の強度の障壁を設けることで短縮できる

× 障壁を設けても設備距離は縮められない。

液石則の消費施設の設備距離には緩和規定がなく、一方で容器置場の置場距離には障壁による緩和がある

同じ規則の中でも、距離の種類によって緩和の有無が違います。「障壁=短縮できる」と一般化すると落とします。

距離の緩和を判定する手順

  1. その距離がどの条文の、どの距離かを特定する
  2. 緩和規定が明記されているかだけを見る
  3. 書かれていなければ緩和なし

推測しない。 これがこの分野の鉄則です。

コンビ則だけの数字と考え方

保安区画 ── 一律30m(〔コンビ〕第5条第1項第10号イ)

保安区画間の距離

保安区画内の高圧ガス設備の外面から、

隣接する保安区画内の高圧ガス設備まで 30m以上

燃焼熱量の大小によらず一律

出た誤り記述(平成29年度 問12ハ)

この距離は、その保安区画内の高圧ガス設備の燃焼熱量の数値をもとに算定する。

× 燃焼熱量によらず一律30m以上

コンビ則は保安区画という考え方をとります。事故が起きても隣の区画に燃え移らないよう、区画どうしを一定距離離す。

一律にしてあるのは、区画を分ける効果を確実にするためです。燃焼熱量が関係するのは保安区画の面積など別の規定。

この発想は被害局限措置蒸気雲爆発の影響範囲の設計思想と同じです。

保安用不活性ガスも保安物件距離の対象 ── 50m(第5条第1項第5号)

出た誤り記述(平成28年度 問12イ)

新たに保安用不活性ガスの製造施設を設ける場合、処理設備や貯蔵設備の外面から保安物件までの距離を定めた規定は置かれていない

× 保安用不活性ガスにも50m以上の距離が要る。

10年で3回、正しい記述としても出ています(H30問12ハ・R1問8ハ・R4問11ロ)。窒素の製造設備を増設する設定です。

ここでも「不活性ガスだから対象外」という思い込みが狙われます。→ 一般則でも同じ構図

特殊反応設備 ── コンビ則にしかない規定

緊急遮断の措置(第5条第1項第27号)

手段は 計器室から操作できるもの自動で遮断するもの に限られる

現場のバルブを手で閉めに行く方式は認められない

暴走反応が始まったら、現場に人を行かせずに止められることが要るからです(→ 暴走反応とSADT)。

年度・問記述判定
H28問13イ手段は自動遮断だけで、計器室からの操作は認められない×
H30問13イ手段は計器室からの操作か自動遮断に限られる

「〜に限られる」という限定表現は誤りの合図になりがちですが、ここでは条文どおり正しい。限定の中身で判断してください。

内部反応監視装置(第5条第1項第25号)

温度・圧力・流量等が正常な反応条件から外れたとき、または外れるおそれがあるとき自動で警報

最も早期に検知できるものは計測結果を自動で記録できること

インターロックを設けても、この警報は免除されない

おそれがあるとき」まで含めるのは、異常が確定してからでは手遅れだからです。

自動記録まで求めるのは、事故の原因究明において決定的な情報だからです。人が記録する余裕はない。

異常を「知らせる」だけでなく「残す」ことまで要求している ── 特殊反応設備の規制の厳しさが表れています。

実務での監視と遮断の設計はプロセス安全インターロック安全計装システムを参照してください。

計器室 ── 位置・構造と、扉・窓の耐火は別要件(第5条第1項第61号)

出た誤り記述(平成29年度 問13ロ)

計器室は、危険の程度と製造設備からの距離に照らして安全な構造であれば、扉と窓を耐火性のものにしなくてよい。

× 両方が必要。

計器室は事故時に運転員が最後まで残り、設備を安全に停止させる拠点です。

構造を強化しても、輻射熱でガラスが割れれば人は残れません。 片方を満たしても他方は免除されない。

導管の緊急遮断装置(第10条第30号)

出た誤り記述(令和元年度 問9ハ)

エチレンの導管に緊急遮断装置を設けるべきなのは、市街地を横断するものに限られる

× 主要河川や湖沼等を横断する導管も対象。

人が密集する場所と、漏れたガスが遠くまで運ばれる場所の両方が対象です。河川に漏れれば流下して広範囲に及びます。

問7(液石則)── 論点は3つしかない

問7は10年で31記述。条文が第53条と第71条にほぼ集中しています。

① 設備距離の起点は「減圧設備」(第53条第1項第2号)

出た誤り記述(平成29年度 問7イ)

保安物件までの距離は貯蔵設備から確保するが、減圧設備についてはその定めがない

× 減圧設備の外面を起点とする分も確保する。

減圧設備は貯槽から出たガスの圧力を下げる装置で、ここにも高圧のガスが通ります。 破損すれば貯槽と同じように周囲に危険が及ぶ。

距離を算定する基礎は、減圧設備に接続する貯蔵設備の貯蔵能力になります。

この「設備の名前が違うだけで危険性は同じ」という論法は、一般則の酸素ポンプの話とまったく同じ形です。

② 5m以内の引火性・発火性の物(第53条第2項第1号)

原則と例外

貯蔵設備等の周囲5m以内に引火性・発火性の物を置いてはならない

例外は 流動防止措置(漏れたガスが届かないようにする)

または 連動消火措置(自動で消す)だけ

年度・問例外としてすり替えられたもの判定
H28問7ロ静電気の除去措置を講じてあれば置いてよい×
R1問7ロ適切な防消火設備を設けたなら置いてよい×

静電気の除去は着火源のひとつを潰す措置です。しかし着火源は静電気だけではなく、摩擦や衝撃、外部からの火気もある(→ 静電気対策最小着火エネルギー)。

防消火設備は火が出た後に消すための備えです。引火性・発火性の物を近くに置かないのは、そもそも火を出さないための備え。目的の段階が違います。

どちらも「安全のための措置」ではありますが、守備範囲が違うので互いに代替できません。 これが例外のすり替えの見破り方です。

なお、「貯蔵設備等」には導管・減圧設備とその間の配管も入ります(平成30年度 問7ロ)。

条文が定義語を使っているときは、その語が何を含むかを別の号で確認する。 ここでも「設備の名前で絞らせない」という同じ構図です。

③ 特定高圧ガス取扱主任者は「免状 or 経験1年」(第71条)

選任要件(どちらか一方でよい)

① 所定の製造保安責任者免状を持つ

② 液化石油ガスの製造または消費について1年以上の経験がある

10年で8記述、すべて正しい記述です。誤り記述として出た例がありません。

免状は体系的な知識を保証し、経験は現場感覚を保証する。どちらか一方があれば監督者として務まるという設計です。

免状と経験の両方を求める保安係員(→ 保安体制の選任)と対比してください。取扱主任者は消費という限定された行為を監督する立場なので、要求される資格の幅が広くとられています。

問8〜13 ── 法とコンビ則が半々

問8〜13は、10年の集計で法とコンビ則がほぼ半々です。

コンビ則主な内容
問81820保安体制の選任・保安検査
問91823保安体制の職務・貯槽間距離
問102320選任と届出・職務
問112120講習・計器室
問122121完成検査・軽微な変更・保安距離
問132114危害予防規程・特殊反応設備

つまり問8〜13の半分は、事業所例を読まなくても解ける法の知識問題です。

保安体制(→ 保安体制の選任)、検査(→ 検査)、危害予防規程(→ 危害予防規程と保安教育)を固めておけば、事業所例を読む前に取れます。

事業所例の数値が必要になるのはどこか

数値を拾う必要がある論点

処理能力 → 保安技術管理者・保安主任者に必要な免状の種類

貯槽の最大直径 → 貯槽間距離(直径和の1/4)

貯蔵能力 → 防液堤・緊急遮断の要否

平成28年度 問9イでは、「可燃性ガスだけで9,950万m³/日」という巨大な規模が示され、乙種免状では足りないと判定させる出題でした。

免状の要件は事業所の規模で変わります。処理能力が大きいほど、最上位の甲種が求められる。この対応関係だけ押さえてください。

保安主任者は甲種に限らない(〔コンビ〕第28条第3項)

保安体制の選任で詳しく扱っていますが、事業所例でも繰り返し出ます。

  • 甲種または乙種の化学/機械責任者免状+所定の経験
  • 甲種に限るという記述は×(平成28年度 問8ハ)
  • 丙種では要件を満たさない(平成30年度 問9ロ)

事業所例の解き方 ── 4ステップ

  1. 問番号を見る → 適用規則が決まる(問7=液石/問8〜13=コンビ/問14〜20=一般)
  2. 設問を先に読む → 論点を特定する(距離/設備/点検/選任…)
  3. その論点の対象ガス・数値要件を思い出す
  4. 事業所例から必要な数字だけを拾って突き合わせる

①で規則が決まると、②の同じ論点でも結論が変わることが分かります。ここを飛ばすと、一般則の知識でコンビ則の設問を解いてしまいます。

時間配分の目安

問数目安時間
問1〜6(単独)6問1問1分=6分
問7(液石則)1問2分
問8〜13(コンビ則)6問1問2分=12分
問14〜20(一般則)7問1問2分=14分
見直し──方式による

事業所例を全文読む前提だと、この時間には収まりません。 設問先読みが必須です。

法令全体の時間配分と得点戦略は法令20問の攻略を参照してください。

暗記カードにするならこれだけ

問番号と適用規則(10年間不変)

問1〜6 = 法・政令・容器則(単独)

問7 = 液石則(消費施設)

問8〜13 = コンビ則+法(半々)

問14〜20 = 一般則

一般則とコンビ則の違い

貯槽間距離=直径和の1/4(式は同じ)

防火・消火措置による短縮:一般則は/コンビ則は不可

距離の緩和は条文に明記があるときだけ。推測しない

コンビ則だけの数字

保安区画間 30m以上(燃焼熱量によらず一律)

保安用不活性ガスの製造施設 → 保安物件まで 50m以上

特殊反応設備の遮断 → 計器室からの操作か自動遮断のみ

計器室 → 位置・構造扉・窓の耐火は別要件

導管の緊急遮断 → 市街地+主要河川・湖沼等

液石則(問7)

設備距離の起点は減圧設備も含む

5m以内の引火性・発火性の物 → 例外は流動防止措置連動消火措置のみ

「貯蔵設備等」には導管・減圧設備・配管も入る

取扱主任者 = 免状 or 経験1年(どちらか一方でよい)

まとめ

  • 問番号と適用規則の対応は10年間まったく動いていない
  • 事業所例は設問を先に読み、必要な数字だけ拾う。全文は読まない
  • 同じ論点でも一般則とコンビ則で結論が逆になる(貯槽間距離の短縮)
  • 距離の緩和は条文に書いてあるときだけ。「安全側だから縮められる」は通じない
  • コンビ則の数字は30m・50m・直径和の1/4
  • 液石則の例外は流動防止措置と連動消火措置だけ。静電気除去も防消火設備も例外にならない
  • 問8〜13の半分は法の知識問題。事業所例を読まずに取れる

これで法令の詳細記事11本は完結です。全体の骨格は法令20問の攻略、学習順序はルート選択と学習計画を参照してください。

保安管理技術・学識については保安管理技術の全体像学識の全体像へどうぞ。

出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。集計は平成28年度〜令和7年度の法令20問を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。問題文そのものの転載は行っていません。