保安管理技術の計装のうち、計測機器と制御の論点を並べた記事です。見出しが論点名なので、目次から引いてください。
分野F:安全装置|計測と制御(この記事)|シール・フランジと漏えい防止
目次
- 流量計 ── オリフィスは圧力損失が大きく、直管は上流のほうが長い
- 圧力計 ── ブルドン管の変位は圧力にほぼ比例、隔膜式は低圧・特殊な流体に向く
- 温度計(熱電対・測温抵抗体・バイメタル) ── バイメタルは膨張率の小さいほうへ曲がる
- 液面計 ── 界面は透視式のゲージグラス、差圧式は h=ΔP/(ρg)
- ガス分析計 ── ガスクロは通過時間の差で分け、熱伝導度式は分子量の小さいガスほど熱をよく伝える
- 制御動作(P・I・D) ── I と D は単独で使わず、P と組み合わせる
- 制御方式(フィードバック・フィードフォワード・カスケード・比率) ── 定義のすり替えを見抜く
- 調節弁と信号の伝送 ── 配管抵抗が大きい系はイコールパーセント、電気式は4〜20 mA
流量計 ── オリフィスは圧力損失が大きく、直管は上流のほうが長い

オリフィス=圧力損失が大きい/ベンチュリ=小さい。 必要直管長は上流のほうが長い。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| オリフィスは、圧力損失を小さくしたいときに使う | × | 圧力損失が大きい |
| オリフィスは、エッジが摩耗しても誤差を生じない | × | 誤差を生じる |
| ベンチュリ管は、オリフィスより圧力損失が大きい | × | 小さい |
| 必要な直管部は、上流が管内径の4〜8倍、下流が5〜80倍程度 | × | 上流5〜80倍、下流4〜8倍 |
| 電磁流量計は、電気を通さない気体や炭化水素液にもそのまま使える | × | 導電性の液体に限る |
出題:国試6記述・検定17記述(平成28〜令和7年度)
- 圧力損失:オリフィスは急に絞って急に広げるので渦(縮流)ができ、エネルギーが熱として散逸する。ベンチュリはなめらかなので圧力が回復する
- エッジ摩耗:エッジが摩耗して丸くなると流量係数が変わり、測定誤差になる。流体に固形物が混じらないようにし、エッジを点検する
- 直管長:エルボやバルブで乱れた流れが整うまで距離が要るので上流が長い
差圧式の3つ
| オリフィス | ベンチュリ管 | フローノズル | |
|---|---|---|---|
| 圧力損失 | 大きい | 小さい | 中間 |
| 構造 | 単純・安価 | 複雑・高価・長い | 中間 |
| 異物 | 詰まりやすい | 詰まりにくい | 中間 |
| 精度の維持 | エッジ摩耗で劣化 | 劣化しにくい | 中間 |
Vコーンはオリフィスに比べ、必要直管長が短く、流量レンジが広く、圧力損失が小さく、付着や摩耗に強い。
ほかの流量計は原理で見分ける
| 方式 | 何を測るか |
|---|---|
| 面積式 | 鉛直のテーパ管を下から上へ流し、フロートの高さを読む |
| 渦 | 渦発生体の後ろにできるカルマン渦の周波数(流速に比例) |
| 容積式 | 一定容積の計量室を通った回数。密度・粘度の影響が小さい |
| タービン式 | 流速に比例して回るロータの回転速度 |
| コリオリ式 | チューブのねじれから質量流量を直接。スラリーにも使え、レンジアビリティが広い |
| 電磁 | 導電性の液体が磁界を横切る起電力。圧力損失がほとんどない |
| 超音波 | 伝ぱ時間差か、混入物で反射した波のドップラー偏移 |
レンジアビリティは、校正できる最大スパンと最小スパンの比です(流量計では、精度内の最大流量と最小流量の比をいうこともある)。
関連:流量計の種類と選び方
圧力計 ── ブルドン管の変位は圧力にほぼ比例、隔膜式は低圧・特殊な流体に向く

| 計器 | 押さえる点 |
|---|---|
| ブルドン管圧力計 | だ円・平円形断面の管を円弧状に曲げ、自由端の変位が圧力にほぼ比例(目盛が等間隔)。背面の安全窓は、管が破れたときケース内圧を逃がし前面ガラスの破損・飛散を防ぐ |
| 名称(JIS) | 正のゲージ圧=圧力計、負のゲージ圧=真空計、正と負の両方=連成計 |
| 隔膜式圧力計 | 受圧面積が広く低圧に感度が高い。封入液で伝えるので腐食性・高粘度・スラリー・凝固しやすい流体に使える |
| 静電容量式差圧発信器 | 静電容量は電極面積に比例し、電極間の距離に反比例。差圧による移動電極の変位を容量差で取り出す |
ブルドン管の自由端は圧力にほぼ比例して動くので、目盛は等間隔です。2乗に比例するのではありません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| ブルドン管圧力計の自由端は、圧力の2乗に比例して変位する | × | 圧力にほぼ比例 |
| 隔膜式圧力計はスラリーには使えるが、低圧や固まりやすい流体には向かない | × | 低圧にも、凝固しやすい流体にも向く |
| ブルドン管圧力計の背面の安全窓は、管が破れたときに前面ガラスの破損・飛散を防ぐためのもの | ○ | ケース内圧を後ろへ逃がす |
| 正圧と真空圧を1つの目盛で測るブルドン管計器は、連成計という | ○ | JIS の分類 |
| 平行な電極の間隔を広げると、静電容量は大きくなる | × | 間隔に反比例して小さくなる |
出題:国試6記述・検定9記述(平成28〜令和7年度)
関連:圧力計と圧力伝送器
温度計(熱電対・測温抵抗体・バイメタル) ── バイメタルは膨張率の小さいほうへ曲がる

よく伸びる側が外側になるので、膨張率の小さいほうへ曲がります。 ほぼ同じ誤りの記述が繰り返し出ています。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| バイメタル式温度計は、温度が上がると熱膨張率の大きいほうへ曲がる | × | 熱膨張率の小さいほう |
| 熱電対は、異種金属の膨張差で生じる曲がりを指針へ伝える | × | 2つの接点の温度差で生じる熱起電力(ゼーベック効果) |
| 測温抵抗体の金属線は、銅が白金より安定で最も適する | × | 最も適するのは白金 |
| 全放射を使う放射温度計では、放射エネルギーは絶対温度の4乗に比例して増える | ○ | ステファン・ボルツマンの法則 |
| 液体充満圧力式温度計は、封入した液体の膨張・収縮による圧力変化をブルドン管に伝える | ○ | 現場指示用に多い |
出題:国試3記述・検定12記述(平成28〜令和7年度)
温度計の原理
| 温度計 | 原理 |
|---|---|
| バイメタル式 | 熱膨張率の違う2枚の金属を貼り合わせた板の曲がり |
| 液体充満圧力式 | 密閉系の液体の膨張による圧力変化をブルドン管で読む |
| 熱電対 | 熱起電力。白金ロジウム合金と白金の組合せは高温用(1000 ℃付近の監視にも使える) |
| 測温抵抗体 | 金属の電気抵抗が温度で変わる。金属線は白金が最適 |
| 放射温度計 | 物体から出る放射エネルギー(絶対温度の4乗に比例) |
関連:温度計の種類と選び方
液面計 ── 界面は透視式のゲージグラス、差圧式は h=ΔP/(ρg)

| 液面計 | しくみ | 使う場面 |
|---|---|---|
| 透視式ゲージグラス | 前後のガラスを通して液を直接見る | 不透明な液・2つの液の界面 |
| 反射式ゲージグラス | 液部は暗く、気部は銀白色に見える反射の差 | 透明な液の液面 |
| 差圧式 | 大気開放槽で ΔP=ρgh | h=ΔP/(ρg)。同じ差圧なら密度が大きいほど液面は低い |
| ディスプレーサ式(浮力比例式) | 浮力が液に沈む長さに比例 | 液面・界面 |
2つの液体の界面には、透過光で直接見る透視式を使います。反射式は、液のある部分が暗く、ない部分が銀白色に見える差で透明な液の液面を読むものです。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 2つの液体の界面を測るには、一般に反射式のゲージグラスを使う | × | 透視式 |
| 大気開放槽の差圧式液面計では、同じ差圧なら液の密度が大きいほど液面は高い | × | h=ΔP/(ρg)なので低い |
| 円筒形ディスプレーサの浮力は、同じ液なら浸っている長さに比例して増える | ○ | 排除した液の重さ=浮力 |
出題:国試2記述・検定3記述(平成28〜令和7年度)
- 着色液・界面・懸濁液や油水分離槽では、透過光で直接見る透視式を使う
関連:レベル計の種類と選び方
ガス分析計 ── ガスクロは通過時間の差で分け、熱伝導度式は分子量の小さいガスほど熱をよく伝える
| 分析計 | 原理 |
|---|---|
| ガスクロマトグラフ | 混合ガスをカラムに通すと、成分ごとに通過する速さが違い、時間的に分かれて出てくる。それを検出器で測る |
| 熱伝導度式 | 一般に分子量の小さい気体ほど熱伝導度が大きい。基準ガスとの差を温度変化として電気的に取り出す |
| 赤外線式 | CO・CO2・CH4 など異なる原子からなる分子が吸収する赤外線の量を測る。H2・N2・O2 や He・Ar は吸収しない |
ガスクロマトグラフはカラムで成分を時間的に分けてから検出します。熱伝導度式は、測定ガスと基準ガスの熱の伝わり方の差を電気信号にします。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| ガスクロマトグラフでは全成分が同じ速さでカラムを通るので、分離は要らない | × | 成分ごとに通過時間が違う |
| 熱伝導度式分析計は、基準ガスとの熱の伝わり方の違いを電気信号にして濃度を求める | ○ | 分子量の小さいガスほど熱伝導度が大きい |
出題:国試1記述・検定1記述(平成28〜令和7年度)
関連:工業用分析計の基礎
制御動作(P・I・D) ── I と D は単独で使わず、P と組み合わせる

| 動作 | 何をするか | 効果 | 副作用 |
|---|---|---|---|
| P(比例) | 偏差に比例して操作 | 基本の応答 | オフセット(定常偏差)が残る |
| I(積分) | 偏差の累積に比例 | オフセットを消す | 遅れやむだ時間の大きいプロセスでサイクリングしやすい |
| D(微分) | 偏差の変化速度に比例 | 応答を速める | ノイズに弱い |
| オンオフ | 調節弁を全開か全閉の二位置にする | しくみが単純 | 制御量が目標値の周りで上下を繰り返す |
PI・PD・PIDの組み合わせで使い、I単独やD単独では使いません。 組み合わせる相手は比例動作で、オンオフ動作ではありません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 微分動作と積分動作は単独では使わず、オンオフ動作と組み合わせる | × | 比例動作と組み合わせる |
| 微分動作は、偏差の変化速度に反比例して操作量を変える | × | 変化速度に比例 |
| 積分動作を加えても比例動作のオフセットは残るので、PI 制御に除去の効果はない | × | 偏差が残る限り操作量を変え、オフセットを消す |
| オンオフ動作では操作端を全開か全閉にし、制御量は目標値の周りで上下を繰り返す | ○ | 中間の操作量がないため |
出題:国試3記述・検定5記述(平成28〜令和7年度)
- PID は応答の速さ・定常偏差の解消・変化の抑えを組み合わせられ、いろいろなプロセスに合わせやすい
- 流量制御はノイズが多いのでPI、温度制御は応答が遅いのでDで先読みするPIDが定石
関連:PID 制御とは
制御方式(フィードバック・フィードフォワード・カスケード・比率) ── 定義のすり替えを見抜く

「偏差が生じると」とあればフィードバック(ずれてから直す)。外乱を見てずれる前に手を打つのがフィードフォワードです。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 目標値と制御量の間に偏差が生じると操作量を変える制御を、フィードフォワード制御という | × | フィードバック制御 |
| 1つの調節計の出力で、他の調節計の目標値を制御する方法をフィードフォワード制御という | × | カスケード制御 |
| 基準となる量に所定の比率を掛けたものを追従側の目標値とするのが、カスケード制御 | × | 比率制御 |
| フィードフォワード制御は単独では偏差を直せないので、通常はカスケード制御と組み合わせる | × | フィードバック制御と組み合わせる |
| 将来の挙動をモデルで予測し、順次最適な操作を求める方式をシーケンス制御という | × | それはモデル予測制御(アドバンスト制御) |
出題:国試3記述・検定22記述(平成28〜令和7年度)
- フィードバックは外乱の種類を問わないが必ず遅れる。フィードフォワードは応答が速いが外乱を測れないと使えない。実務では両方を組み合わせる
- カスケード制御:1つの調節計の出力が、他の調節計の目標値になる(入れ子)。熱交換器の出口温度調節計の出力で加熱流体の流量調節計の目標値を決める例が典型で、加熱流体の圧力変動のような外乱を早く打ち消せる
- 比率制御:基準量に比率を掛けた値を目標値にする(掛け算。燃空比など)
そのほかの制御
| 方式 | しくみ |
|---|---|
| プログラム制御 | 目標値を時間とともに決めたパターンで変える(昇温・保持・降温など)。ループはフィードバックと同じ |
| シーケンス制御 | 決めた手順どおりに次々と自動で操作する。バッチ工程や、連続プロセスのスタートアップ・シャットダウン |
| アドバンスト制御 | モデル予測制御など。プロセスをモデル化して将来の挙動を予測し、順次最適な操作を求める |
計器や計装設備を組み合わせて、計測・制御・監視・操作を行う全体を計装制御システムといいます。
調節弁と信号の伝送 ── 配管抵抗が大きい系はイコールパーセント、電気式は4〜20 mA

| 項目 | 押さえる点 |
|---|---|
| 固有流量特性 | 調節弁前後の差圧を一定にして測った開度と流量の関係(リニア・イコールパーセント・クイックオープン) |
| リニア特性 | 差圧一定なら、開度と流量がほぼ直線 |
| イコールパーセント特性 | 弁以外の配管の圧力損失や弁差圧の変動が大きい系で選ぶ(系全体をリニアに近づける) |
| クイックオープン特性 | 主にオンオフ弁に使う |
| ケージ弁 | ケージがプラグを直接案内して振動を抑え、高差圧でも安定 |
| 空気式の伝送 | 空気の圧縮性で遅れが出るので、伝送距離は100 m以内が望ましい(統一信号は20〜100 kPa) |
| 電気式の伝送 | 直流4〜20 mAが国際標準。応答が速く DCS とつなぎやすい |
| 光式の伝送 | 電磁ノイズの影響を受けず、長距離に向く |
弁以外の配管系の圧力損失が大きいほど、弁の特性は実際の配管でゆがみます。だからイコールパーセント特性で補います。クイックオープンは主にオンオフ用です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 配管系の圧力損失が大きい場合は、クイックオープン特性の調節弁が望ましい | × | イコールパーセント特性 |
| 配管に組み込んだあと、弁前後の差圧が変わる条件で測った特性を固有流量特性という | × | 差圧を一定にして測る |
| 空気式の伝送は電気式より長距離向きで、500 mを超えても遅れを考えなくてよい | × | 遅れがあり100 m以内が望ましい |
| 電気式伝送の国際標準は0〜20 mAで、0 mAを測定の下限として使う | × | 4〜20 mA。信号の0%は4 mA なので、0 mA になれば断線などの異常と分かる |
| ケージ弁は、高差圧になるほどプラグが振動しやすいので向かない | × | プラグを直接案内するので高差圧でも安定 |
出題:国試3記述・検定5記述(平成28〜令和7年度)
関連:調節弁の流量特性
出典:高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』ほか。平成28〜令和7年度の国家試験・技術検定の出題を論点ごとに整理しました。
この試験は、机に向かえる時間だけでは足りません。通勤・昼休み・移動中のすきま時間を使えるように、iPhoneアプリを3本作りました。ダウンロード無料でお試しできます。
いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 

