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タンクの液面を測るレベル計は、原理の違う方式が 10 種類以上あります。液に触れて測るか、触れずに測るか。液の圧力を測るか、位置を測るか、時間を測るか。この3つの軸で整理すると、なぜその方式が選ばれているかが見えてきます。
化学プラントで最も多いのは、差圧伝送器で液の圧力を測る液圧式(差圧式)です。ただし液圧式は密度が変わると液位を間違えます。密度の変わる系、泡立つ系、粉体では、別の方式が要ります。
この記事では、レベル計の分類、液圧式の原理と計算例、ディスプレーサ式が差圧式に置き換わっている理由、非接触の超音波式とレーダ式、静電容量式、そして「レベル計を信じすぎた」事故の教訓を説明します。
この記事の結論
- レベル計は 接触か非接触か、圧力・位置・時間のどれを測るかで分類できる
- 液圧式(差圧式)が最も多い。液の高さ×密度が圧力になる。密度が変われば液位を間違える
- ディスプレーサ式は浮力で測る。機械部分が多く重く詰まりやすいので、差圧式に置き換わりつつある
- 超音波式・レーダ(マイクロ波)式は非接触で、可動部がなく密度の影響を受けない。泡・粉塵・構造物に弱い
- 静電容量式は液の誘電率で測る。導電性や付着に注意
- ガラス管(レベルゲージ)は電気を使わない直読。DCS の値を疑うときの基準になるが、固着や汚れで信用できないこともある
1. レベル計の分類
計装の教科書の分類表を、3つの軸で並べ直します。
| 方式 | 接触 | 測るもの | 対象 | 伝送 |
| サイトグラス | 接触 | 目で見る | 液体・界面 | なし |
| レベルゲージ(ガラス管) | 接触 | 連通管の液位を目で見る | 液体 | なし |
| 液圧式(差圧式) | 接触 | 液位に比例する圧力 | 液体・界面 | 可 |
| パージ式 | パージ管のみ | パージ管の背圧 | 液体 | 可 |
| フロート式 | 接触 | 浮いたフロートの位置 | 液体 | 可 |
| ディスプレーサ式 | 接触 | フロートの浮力 | 液体・界面 | 可 |
| 重量式 | 非接触 | 容器ごとの重量 | 液体・粉体・粒体 | 可 |
| 超音波式 | 非接触 | 反射波の往復時間 | 液体・粉体・粒体 | 可 |
| マイクロ波(レーダ)式 | 非接触 | 反射波の往復時間(位相差) | 液体・粉体・粒体 | 可 |
| 重錘式 | 接触 | おもりを下ろして表面に着く長さ | 粉体・粒体 | 可 |
| 静電容量式 | 接触 | 電極間の静電容量 | 液体・粉体・粒体 | 可 |
| 放射線式 | 非接触 | 放射線の吸収 | 液位・粒体 | 可 |
液体のプロセスで多いのは液圧式、ディスプレーサ式、超音波・レーダ式、静電容量式です。粉体では重量式、重錘式、レーダ式が使われます。
2. 液圧式(差圧式)|液の高さ×密度が圧力
液の中のある高さの圧力は、その位置から液面までの高さと密度の積に比例します。だからタンク底部の圧力を測れば液位が分かります。開放タンクでも密閉タンクでも使え、センサは差圧伝送器です。

計装の教科書の計算例です。測定範囲 0〜1 m の水槽で、伝送器の受圧部が最低液位より 0.2 m 下にあるとします。水の密度 1000 kg/m³、重力加速度 9.8 m/s² なら、
- 最高液位の差圧 = 1000 × 9.8 × (1 + 0.2) = 11,760 Pa = 1,200 mmH2O
- 最低液位の差圧 = 1000 × 9.8 × 0.2 = 1,960 Pa = 200 mmH2O
つまり伝送器の測定範囲は 200〜1,200 mmH2O です。液位ゼロでも 200 mmH2O の差圧があるのは、伝送器が最低液位より下にあるからで、この分を「ゼロ抑制」として設定します。ゼロ抑制とゼロ上昇の計算は差圧式レベル計のゼロ点で説明しています。
液圧式の弱点は密度です。 密度が設計値と違えば、同じ液位でも圧力が変わり、液位を間違えます。温度で密度が変わる液、組成が変わる液、泡立つ液では、この誤差を見込むか、密度補正をするか、別の方式にします。
密閉タンクでは、気相の圧力を低圧側にも導いて相殺します。低圧側の導圧管を乾いたままにするドライレグと、液で満たすウェットレグがあり、導圧管の記事で扱いました。
3. ディスプレーサ式|差圧式に置き換わりつつある
液に沈めた円筒(ディスプレーサ)に働く浮力が、液位とともに変わることを使います。タンクの中に直接入れる内筒式と、外に付けたチャンバに入れる外筒式があり、外筒式は仕切弁で縁を切って保守できる利点があります。
しかし計装の教科書は、「機械的な構造部分が多く、チャンバやフロート部の詰まり・漏れ、重い、動作確認や調整が厄介、特殊材質が高価などの理由で差圧式に置き換わりつつある」と書いています。教科書の置き換え例では、ディスプレーサ式が約 50 kg なのに対し、フランジ取付の差圧伝送器は 12 kg です。
古いプラントにはまだ多く残っています。ディスプレーサ式のレベル計が振れるときは、フロートの引っかかりや詰まりを疑います。
4. 超音波式とレーダ式|非接触で密度の影響なし
タンクの上から超音波やマイクロ波を発射し、液面で反射して戻るまでの時間から距離を測る方式です。

| 超音波式 | マイクロ波(レーダ)式 | |
| 周波数 | 10〜50 kHz | 約 9〜22 GHz |
| 測るもの | 往復時間 | 往復時間(位相差) |
| 音速の影響 | 気体の温度で音速が変わるので温度補償が要る(空気中 0℃ 331.6 m/s、100℃ 387.3 m/s) | 受けにくい |
| 送信部 | 送受波器 | セラミック・テフロンなど耐食材 |
どちらも可動部がなく、密度の影響を受けず、非接触なのが利点です。教科書は超音波式の注意として、測定空間に邪魔な構造物があると測れない、粉体では粉塵や粉体自体の音の吸収で測定困難、を挙げています。液面の泡や、撹拌による波立ちも反射を乱します。
5. 静電容量式|誘電率で測る
液の中に電極を浸し、電極間の静電容量が液の量と誘電率で変わることを使います。水の誘電率は空気の約 80 倍なので、水系では感度が高いです。
一方で、電極に導電性の液が付着したままだと、液位が下がっても静電容量が下がらず、指示が残ります。誘電率が組成で変わる液でも誤差になります。
6. ガラス管(レベルゲージ)|基準になるが、信じすぎない
連通管でタンクにつないだ透明な管の液位を目で見るのがレベルゲージ(ゲージグラス)です。教科書は、連通管の途中に保守用の元弁を付け、ガラス破損時に自動的に閉じる止め弁を付けることがある、と書いています。
電気も信号も使わないので、DCS のレベルが疑わしいときに突き合わせる基準になります。ただし、汚れで液面が見えない、元弁が閉まっている、粘度が高くて追従が遅い、といった理由で信用できないこともあります。
レベル計を信じすぎた事故の代表が、英国の油槽所の爆発です。タンクのレベル計が固着して満液を示さず、溢れたガソリンの蒸気雲が爆発しました。この事故の記事は別にあります。レベル計は1つの方式だけに頼らず、独立した高液位スイッチや別方式の計器で二重に見るのが、この事故から学ぶ設計です。
7. 極低温の液体|導圧管の工夫で伝送器を常温に
LNG や液体酸素のような −100℃ 以下の液に差圧伝送器を直接付けると、着氷や結露が問題になります。教科書は、高圧側の導圧管を水平に取り出せば、極低温の液化ガスが常温部で気化してガス圧と液圧がバランスし、伝送器本体は常温で使える、と説明しています。方式の選定だけでなく、導圧管の工夫で解決できる例です。
8. 現場で見る場所
- 方式:銘板と P&ID で。差圧式なら導圧管かダイアフラムシール、ディスプレーサなら外筒とチャンバ、超音波・レーダならタンク上部の送受波器
- 密度の変化:液圧式のタンクで、温度や組成が変わる運転をしていないか
- レベルゲージとの突き合わせ:DCS の値と現場のガラス管の値。元弁が開いているか、ガラスが汚れていないか
- 高液位スイッチ:レベル計とは別の独立した検出器があるか。試験されているか
- 泡・波立ち・構造物:超音波・レーダの視野に撹拌翼やノズルが入っていないか
9. 先輩に聞かれたら答えられる3問
- 液圧式レベル計が液位を間違えるのは、何が変わったときですか。
- ディスプレーサ式が差圧式に置き換わっている理由を2つ挙げてください。
- 超音波式レベル計に温度補償が要るのはなぜですか。
答えは順に、液の密度/機械部分が多く詰まりや漏れが起きる、重い(調整が厄介、特殊材質が高価でも可)/音速が気体の温度で変わるから、です。
まとめ
レベル計は接触か非接触か、圧力・位置・時間のどれを測るかで分類でき、化学プラントでは液圧式(差圧式)が最も多く使われます。液圧式は液の高さ×密度が圧力になる原理なので、密度が変わると液位を間違えます。ディスプレーサ式は機械部分の問題で差圧式に置き換わりつつあり、超音波式・レーダ式は非接触で密度の影響を受けませんが、泡や構造物に弱い方式です。
ガラス管のレベルゲージは DCS の値を疑うときの基準になりますが、固着や汚れで信用できないこともあります。レベル計は1つの方式に頼らず、独立した高液位スイッチで二重に見てください。
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参考文献
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- 横河電機編『計装メーカが書いた フィールド機器・虎の巻』工業技術社, Ⅱ 5.4「レベル計の導圧管設置」、6.3「レベル測定」
- 高圧ガス保安協会『高圧ガス保安技術』, 11.4.4「液面計(レベル計)」 最新版をAmazonで見る
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