※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。
重要度:◎ よく問われます(市販問題集の頻出印と収録数から。当サイトの判断)
法令の基準日:2026年9月22日/最終確認:2026年9月24日
石油基地や化学工場の丸いタンクの足元は、コンクリートや土の低い壁でぐるりと囲まれています。この壁が防油堤(ぼうゆてい)で、タンクから漏れた油を外へ流さないための土手です。危険物乙4では、防油堤の容量を「いちばん大きいタンクの110%以上」で求める問題が出ます。
この記事でわかること
- 防油堤の容量が、いちばん大きいタンクを基準に決まる理由
- 防油堤の容量を求める3つの手順と、答えを誤る2つの計算
- 水抜口(みずぬきぐち)を普段閉めておく理由と、敷地内距離(しきちないきょり)という3つ目の距離
防油堤の容量は、中にあるタンクのうち、いちばん大きいタンクの容量の110%以上です。
全部のタンクの合計に掛けるのではありません。
第4類(だいよんるい)の液体のタンクなら、いちばん大きいタンクの容量に1.1を掛ければ答えが出ます。
まず場面で:石油タンクを囲む低い土手が防油堤
屋外にある大きな丸いタンクを、少し高い所から見下ろしたところを思い浮かべてください。数基のタンクがまとめて、四角い低い壁で囲まれています。壁の外側の下のほうには、弁の付いた排水の口があります。

この低い壁が防油堤です。タンクから油が漏れたとき、壁の内側にためて外へ流さないために設けます。屋外に置いたタンクで危険物(きけんぶつ)をためる施設を、屋外タンク貯蔵所(おくがいタンクちょぞうしょ)といいます。
壁の外の排水の口が水抜口で、堤の中にたまった雨水を外へ出すために使います。屋外タンク貯蔵所には、もう1つ特有の決まりとして敷地内距離があります。タンクの側面の板から、敷地の境界線までに取る距離のことです。
敷地内距離は、引火点(いんかてん)のある液体をためる屋外タンク貯蔵所だけに要る決まりで、隣の敷地へ火が燃え移るのを防ぎます。外の学校などから測る保安距離(ほあんきょり)とも、施設の周りに空ける保有空地(ほゆうくうち)とも別の、3つ目の距離です。保安距離と保有空地の違いは、保安距離と保有空地の違いで確かめられます。
防油堤の容量110%は、いちばん大きいタンクが基準
防油堤とは、液体の危険物のタンクの周りに設ける、漏れた危険物が外へ流れ出るのを防ぐ土手のことです。鉄筋コンクリートか土で造り、中にたまった危険物が外へ出ない造りにします。液体の危険物のタンクには必要ですが、二硫化炭素(にりゅうかたんそ)のタンクだけは例外で、防油堤を設けません。
二硫化炭素のタンクは、水を張ったコンクリートの水槽に沈めてためる決まりです。二硫化炭素は水より重く、水に溶けにくいので、漏れても水の下にたまります。
防油堤の容量は、タンクを1基だけ囲むなら、そのタンクの容量の110%以上にします。2基以上をまとめて囲むなら、その中でいちばん大きいタンクの容量の110%以上です。どちらも、中のタンク1基分の中身がそっくり漏れても、堤の中に収まる大きさになります。
110%は、タンク1基分の100%に、その1割を上乗せした値です。合計ではなく、いちばん大きいタンク1基の容量に1.1を掛けます。
防油堤は、鉢植えの下に敷く受け皿に似ています。受け皿は鉢からあふれた水を受け止め、床をぬらさないように、鉢より一回り大きく作ります。正確には、防油堤の容量は、囲んだタンクのうち、いちばん大きい1基の容量の110%以上と決まっています。
防油堤の水抜口を開け閉めする弁は、堤の外側に付けます。弁が内側にあると、水がたまったときに開け閉めできないからです。水抜口は、普段は閉めておきます。
開けたままにしておくと、油が漏れたとき、水抜口からそのまま外へ流れ出てしまいます。堤の中に油や水がたまったら、遅滞なく(ちたいなく)外へ出します。遅滞なくとは、理由なく後回しにせず、すぐにという意味です。
解き方の手順(3ステップ):いちばん大きいタンクに1.1を掛ける
防油堤の数字は、次の表のとおりです。第4類の液体はどれも引火点を持つので、容量は110%以上で計算します。数字についている「以上」は、その数ちょうども含むという意味です。
| 防油堤の決まり | 数字 |
|---|---|
| 容量(引火点のある液体のタンク) | いちばん大きいタンクの110%以上 |
| 容量(引火点のない液体のタンク) | いちばん大きいタンクの100%以上 |
| 高さ | 0.5m以上 |
防油堤の中の面積は、80,000㎡以下と決まっています。中に置くタンクの数は、原則として10基以下です。

手順は、いつも次の3つです。
- ステップ1 選ぶ:堤の中のタンクから、容量がいちばん大きい1基を選ぶ
- ステップ2 掛ける:その容量に1.1を掛ける(110%は1.1倍)
- ステップ3 答える:出た値の「以上」が、防油堤に要る容量
1.1を掛ける計算は、もとの量に、その1割を足すと考えると筆算が楽です。1割は、もとの量の小数点を1つ左へずらした値です。
例題1は、灯油8,000Lのタンク1基を囲む防油堤です。
- 選ぶ:タンクは1基なので、8,000L
- 掛ける:8,000L×1.1=8,000L+800L=8,800L
- 答える:防油堤の容量は8,800L以上
110%を落として100%で計算すると、8,000Lと答えてしまいます。灯油は第4類なので、1割を足すのを忘れないようにします。
例題2は、軽油12,000L、重油25,000L、ガソリン6,000Lの3基を、1つの防油堤で囲む場合です。
- 選ぶ:いちばん大きいのは重油の25,000L
- 掛ける:25,000L×1.1=25,000L+2,500L=27,500L
- 答える:防油堤の容量は27,500L以上
3基を合計してから1.1を掛けると、答えを誤ります。 合計してしまうと、次のように大きすぎる値になります。
- 合計:12,000L+25,000L+6,000L=43,000L
- 誤った掛け算:43,000L×1.1=43,000L+4,300L=47,300L
1割を足さずに、25,000Lと答えるのも誤りです。
危険物乙4で残す計算の型は、電卓なしで解ける計算の5つの型で見渡せます。
ここは覚えなくていい
敷地内距離の具体的な長さは、タンクの大きさや油の引火点で細かく分かれますが、覚えなくてかまいません。高い防油堤に付ける階段の間隔や、大きなタンクごとに設ける仕切堤(しきりてい)も、乙4では覚えなくて足ります。
試験ではこう聞かれる:「全部のタンクの合計の110%」は誤り
1つめは、掛ける相手のすり替えです。「2基以上のタンクがあるときは、容量の合計の110%以上」という文は誤りです。いちばん大きいタンク1基の容量の110%以上が、正しい決まりです。
2つめは、割合のすり替えです。100%以上は、引火点のない液体のタンクの値です。ガソリンや灯油のような第4類のタンクなら、110%以上で答えます。
3つめは、水抜口の弁の位置と、普段の開け閉めです。「弁は防油堤の内側に付け、普段は開けておく」という文は、位置も開け閉めも逆で誤りです。
4つめは、例外と距離の名前です。二硫化炭素のタンクには、防油堤を設けません。敷地内距離を、保安距離や保有空地と取り違えた文も誤りです。
工場・現場ではこうなる:雨のあとの防油堤の水抜き
化学プラントのタンクヤードでは、雨が降ると防油堤の中に雨水がたまります。水抜きをするときは、水面に油が浮いていないかを確かめてから、堤の外の弁を開けます。水を出し終えたら弁を閉め、閉め忘れがないかを見回りで確かめます。
確認問題
問1 12ある製造所等(せいぞうしょとう)の区分で、敷地内距離(しきちないきょり)の決まりを持つのは屋外タンク貯蔵所である。
答え:○
根拠:敷地内距離は、屋外貯蔵タンクの火災が隣の敷地へ広がるのを防ぐための、屋外タンク貯蔵所の距離です。
なぜか:タンクの側板から敷地の境界線までを測ります。製造所や屋内貯蔵所の位置の決まりには、この距離はありません。
狙われる形:ほかの製造所等にも同じ距離の決まりがあるように書いた形で出ます。
問2 灯油を入れた屋外のタンクには、そのタンクと同じ容量の防油堤(ぼうゆてい)を設ければ足りる。
答え:×
訂正:防油堤の容量は、タンク容量の110%以上でなければならない。
根拠:防油堤は、タンクの中身がすべて流れ出ても受け止められるよう、タンク容量に1割を上乗せした110%以上で造ります。
なぜか:引火点を持つ液体のタンクは110%以上です。引火点を持たない液体のタンクは100%以上で、液体の性質で割合が分かれています。
狙われる形:割合を100%に下げた形で出ます。
問3 軽油の36000Lと15000Lのタンクをまとめて囲む防油堤には、56100L以上の容量が要る。
答え:×
訂正:必要な容量は、最大のタンク36000Lの110%で、39600L以上である。
根拠:複数のタンクを1つの防油堤で囲むときは、いちばん大きいタンクの容量を基準にして、その110%以上とします。
なぜか:56100Lは、2基の合計51000Lに1.1を掛けた値です。基準は最大のタンク1基なので、36000×1.1=39600Lで足ります。
狙われる形:2基の容量を足してから1.1を掛けさせる形で出ます。
まとめ
防油堤は、屋外のタンクから漏れた油を堤の中にとどめる土手で、容量はいちばん大きいタンクの110%以上です。計算は、いちばん大きい1基を選び、1.1を掛け、「以上」で答える3つの手順です。水抜口は普段閉めておき、敷地内距離は屋外タンク貯蔵所に要る3つ目の距離です。
次に読む
- 前に戻る:保安距離と保有空地の違い:どこからどこまでかを工場の図で
- 次へ進む:移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準:間仕切りと防波板の役割
- もっと詳しく(甲種レベル):製造所等の位置・構造・設備の基準
前に戻る(同じ章):屋内貯蔵所と屋外貯蔵所:屋外にガソリンを置けない理由
次へ進む(同じ章):地下タンク・屋内タンク・簡易タンク貯蔵所:地面の下はどうなっているか
参考文献
- 『危険物の規制に関する政令』第11条・第26条e-Gov法令検索
- 『危険物の規制に関する規則』第22条e-Gov法令検索
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、1-24 屋外タンク貯蔵所の基準(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、6-5 屋外タンク貯蔵所 Amazonで見る
内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 
