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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
法令の基準日:2026年9月22日/最終確認:2026年9月23日
危険物(きけんぶつ)を扱う工場を上から見ると、敷地の外には家や学校があり、タンクの足元には何も置かれていない空き地があります。危険物乙4では、この2つを保安距離(ほあんきょり)と保有空地(ほゆうくうち)という別々の決まりで覚えます。名前は似ていても、測る場所も、守るものも違います。
この記事でわかること
- 保安距離と保有空地の、測る場所と目的の違い
- 保安距離の相手ごとの距離と、保有空地の幅の決まり方
- 保安距離が要る5施設と、保有空地が要る施設の違い
保安距離は、外の学校や住居などの相手から、施設の外壁までに保つ距離です。
保有空地は、施設の周りに空けておく空き地で、物を置いてはいけません。
保安距離は相手の種類で、保有空地の幅は施設の種類と指定数量(していすうりょう)の倍数で決まります。
まず場面で:工場の外の学校と、タンクの足元の空き地
化学工場の敷地を、真上から見下ろしたところを思い浮かべてください。敷地の外には住宅や学校があり、敷地の中には危険物のタンクや、危険物を扱う建物が並んでいます。タンクや建物の周りには、何も置かれていない帯のような空き地があります。

外の学校までの間合いが保安距離、タンクや建物のすぐ周りの空き地が保有空地です。保安距離は敷地の外へ向かう線、保有空地は施設を囲む帯、と思い浮かべると区別できます。
どちらも、危険物をためたり扱ったりする施設である製造所等(せいぞうしょとう)の決まりです。ただし、すべての製造所等に要るわけではありません。どの施設に要るかも、あわせて覚えます。
保安距離は外の相手から測り、保有空地は自分の周りに取る
保安距離とは、製造所等と、外にある学校や住居などの建物との間に保つ距離のことです。測るのは、相手の建物から、製造所等の外壁か、それに当たる工作物の外側までです。目的は、施設で火事や爆発が起きても、周りの建物に被害を広げないことです。
保安距離の長さは、相手の種類ごとに決まっています。住居より学校や病院、学校や病院より重要文化財(じゅうようぶんかざい)のほうが、長い距離を取ります。自分の敷地の中にある住居は、相手に入りません。
保有空地とは、危険物を扱う建物やタンクなどの周りに、決まった幅で空けておく空き地のことです。目的は、火事のときに消防隊が動ける場所を確保し、隣へ燃え広がる延焼(えんしょう)を防ぐことです。保有空地には、物を置いてはいけません。
保有空地の幅は、施設の種類と、指定数量の倍数で決まります。倍数とは、ためる量が指定数量の何倍かを表す数のことです。製造所なら、倍数が大きい段階のほうが、表の上で広い空地になります。
保安距離は、庭でバーベキューをするときの「お隣の家から何メートル離れるか」という決まりです。保有空地は、コンロの周りに「何も置かない輪」を空けておく決まりです。正確には、保安距離は外の相手ごとに決まる距離で、保有空地は施設の種類と倍数で幅が決まる空き地です。
覚える数字:保安距離は相手で、保有空地は倍数で決まる
保安距離の数字は、相手の種類ごとに決まっています。数字についている「以上」は、その距離ちょうども含むという意味です。電線だけは、水平に測った距離で決まります。

建物や施設が相手のときの距離です。
| 相手 | 保安距離 |
|---|---|
| 敷地の外にある住居 | 10m以上 |
| 高圧ガス・液化石油ガスの施設 | 20m以上 |
| 学校・病院・劇場など | 30m以上 |
| 重要文化財などの建造物 | 50m以上 |
電線が相手のときの距離です。
| 相手 | 保安距離 |
|---|---|
| 特別高圧架空電線(7,000V超35,000V以下) | 水平距離3m以上 |
| 特別高圧架空電線(35,000V超) | 水平距離5m以上 |
架空電線(かくうでんせん)とは、電柱や鉄塔で空中に張った電線のことです。学校には、幼稚園から高校までと高等専門学校が入り、福祉施設も相手になります。劇場や映画館は、300人以上が入れるものが相手です。
保有空地の幅は、製造所と一般取扱所の2段階だけ押さえます。
| 製造所・一般取扱所(指定数量の倍数) | 保有空地の幅 |
|---|---|
| 10倍以下 | 3m以上 |
| 10倍を超える | 5m以上 |
保安距離が要るのは、次の5施設です。
- 製造所
- 一般取扱所
- 屋内貯蔵所
- 屋外貯蔵所
- 屋外タンク貯蔵所
保有空地が要るのは、この5施設に、次の2つを足した施設です。
- 屋外に設ける簡易タンク貯蔵所
- 移送取扱所(地上に置く配管)
5施設は、製造所と一般取扱所に、名前に屋内・屋外がつく貯蔵所のうち屋内タンク以外の3つを足すと数えられます。保有空地のほうは、移送取扱所まで数えて7施設とする問題集と、省いて6施設とする問題集があります。
どちらで数えても、両方とも要らない施設は変わりません。屋内タンク・地下タンク・移動タンクの各貯蔵所と、給油取扱所・販売取扱所です。
ここは覚えなくていい
製造所と一般取扱所のほかの施設の保有空地の幅は、細かく分かれていますが、覚えなくてかまいません。2026年4月の改正で、耐火構造(たいかこうぞう)の塀などを設けて空地の幅を減らせる場合が広がりましたが、この条件も覚えなくて足ります。
試験ではこう聞かれる:保安距離の相手と施設のすり替え
1つめは、保安距離の相手のすり替えです。大学は、保安距離の相手になる学校に入りません。電線も、空中に張った特別高圧架空電線だけが相手で、地中に埋めた電線は相手になりません。
重要文化財も、相手になるのは建造物そのものです。重要文化財を保管している倉庫は、保安距離の相手ではありません。問題文の「防火上有効な塀はないものとする」は、表の距離どおりに判断してよいという合図です。
2つめは、施設のすり替えです。給油取扱所や屋内タンク貯蔵所に「保安距離が要る」と書いた文は誤りです。給油取扱所には給油空地(きゅうゆくうち)という別の空き地の決まりがありますが、保有空地とは別物です。
3つめは、保有空地の使い方です。保有空地には、火を消すための物であっても置けません。「防火に必要な物だけは置ける」という形の文は誤りです。
工場・現場ではこうなる:タンクを建てる前の配置図
化学プラントで新しいタンクを建てるときは、配置図の段階で保安距離と保有空地を確かめます。建てた後は、空地に工事の資材やパレットを置かないよう気を配ります。空地は、火事のときに消防車やホースが入る場所だからです。
確認問題
問1 製造所と、敷地の外にある住宅との保安距離は、20m以上である。
答え:×
訂正:敷地の外にある住宅との保安距離は、10m以上である。
根拠:保安距離は、守る相手の建物の種類ごとに長さが決まっています。
なぜか:住居は10m以上、高圧ガスの施設は20m以上、学校や病院は30m以上、重要文化財は50m以上です。20mは高圧ガスの施設の値です。
狙われる形:対象物と距離の組合せを1つずらした形で出ます。
問2 ガソリンスタンド(給油取扱所)には、学校や住居からの保安距離の決まりがない。
答え:○
根拠:保安距離の決まりがあるのは、製造所と一般取扱所、それに屋内貯蔵所・屋外貯蔵所・屋外タンク貯蔵所です。
なぜか:ガソリンスタンドは町なかの住宅のそばにもあります。保安距離ではなく、給油取扱所としての構造や設備の基準で火災を防ぎます。
狙われる形:給油取扱所を、保安距離が要る施設に入れた形で出ます。
問3 保有空地は広く空いているので、空のドラム缶を一時的に置いてもよい。
答え:×
訂正:保有空地には、一時的であっても物品を置いてはならない。
根拠:保有空地は消防活動と延焼防止のための空き地で、物品を置けません。
なぜか:空き地に物があると、火災のときに消防隊の通り道がふさがります。空の容器でも、残った蒸気で燃えることがあります。
狙われる形:「短い間なら」「消火器(しょうかき)なら」と条件を付けて、置いてよいと思わせる形で出ます。
まとめ
保安距離は、外の学校や住居などから施設の外壁までの距離で、相手の種類ごとに決まります。保有空地は施設の周りに空けておく空き地で、物を置けず、幅は施設の種類と倍数で決まります。保安距離は5施設に要り、保有空地はその5施設に屋外の簡易タンク貯蔵所などを足した施設に要ります。
次に読む
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- もっと詳しく(甲種レベル):製造所等の位置・構造・設備の基準
次へ進む(同じ章):製造所と一般取扱所の基準:屋根を軽く、床を傾ける理由
屋外タンク貯蔵所と防油堤:敷地の中のタンクまわりの決まり
法令の早見表:どの施設に何が必要かを1枚で
参考文献
- 『危険物の規制に関する政令』第9条・第10条・第11条・第14条・第16条・第19条e-Gov法令検索
- 『危険物の規制に関する規則』第11条・第12条・第13条・第28条の16e-Gov法令検索
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、1-20 保安距離・1-21 保有空地(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、6-1 保安距離と保有空地 Amazonで見る
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