動画解説はこちら|YouTube

危険物乙4の移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準|間仕切りと防波板の役割

危険物乙4の移動タンク貯蔵所(タンクローリー)の基準|間仕切りと防波板の役割のアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

重要度:◎ よく問われます

法令の基準日:2026年9月22日/最終確認:2026年9月24日

危険物乙4では、タンクローリーの間仕切り(まじきり)と防波板(ぼうはばん)の違いがよく問われます。

置き場所と保有空地(ほゆうくうち)の有無、荷下ろしと書類の決まりも出ます。

常置場所 ── 屋内なら耐火か不燃の建物の1階。保安距離・保有空地の決まりはない

常置する場所置けるかポイント
屋外の防火上安全な場所○屋外ならここ
耐火構造か不燃材料で造った建物の1階○屋内なら1階だけ
建物の地階×耐火構造でも置けない
難燃材料で造った建物×耐火構造か不燃材料に限る

移動タンク貯蔵所は、屋外の防火上安全な場所か、耐火構造か不燃材料で造った建物の1階に常置します。保安距離や保有空地の決まりはありません。

問われる形○×ポイント
耐火構造の建物なら、地階に常置してよい×屋内は1階だけ
製造所と同じく、学校などからの保安距離が要る×保安距離・保有空地の決まりはない
常置する場所を変えるときは、届出でよい×変更の許可が要る

移動タンク貯蔵所(いどうタンクちょぞうしょ)とは、車両に固定したタンクで危険物(きけんぶつ)をためたり扱ったりする貯蔵所です。常置(じょうち)とは、決まった場所に置いておくこと、つまり駐車しておく場所を決めることです。

屋内なら、壁・床・はり・屋根を耐火構造(たいかこうぞう)にするか、不燃材料(ふねんざいりょう)で造った建物の1階に置きます。地階は、空気より重い蒸気がたまりやすい場所でもあります。

  • 位置の基準は常置場所の決まりだけで、保安距離や保有空地の決まりはありません。保安距離を保つ施設は、製造所や屋外タンク貯蔵所などです。
  • 常置する場所を変えるときは、変更の許可が要ります。
  • 「移動タンク取扱所」という区分は無く、正しくは移動タンク貯蔵所です。
  • タンクローリーで危険物を運ぶ移送(いそう)の決まりは、運搬と移送の違いにまとめています。

タンクの構造 ── 間仕切りは部屋を分け、防波板は揺れを抑える

タンクローリーの上に並ぶいくつものマンホール(間仕切りと防波板の透視図)

間仕切りはタンクの中を部屋に分けるすき間のない壁で、部屋ごとにマンホールと安全装置を付けます。防波板は、部屋の中で油の片寄りを抑える板です。

問われる形○×ポイント
部屋を分ける壁と、揺れを抑える板を取りちがえる×部屋を分けるのが間仕切り
防波板の役目を、衝突からタンクを外側で守ることとする×外側を守るのは防護枠や側面枠

タンクローリーの上にマンホールのふたが並ぶのは、中が前後にいくつもの部屋に分かれているからです。

間仕切りは、タンクの中を4,000L以下ごとの部屋に分けます。タンクを輪切りにする向き、つまり車の進む向きに直角に入ります。部屋ごとのマンホールは出入口で、安全装置は中の圧力が上がりすぎるのを防ぎます。

防波板は、車が曲がったり止まったりしたとき、中の油が片側へ寄るのを抑えます。車の進む向きと平行に入れます。防波板は、容量が2,000L以上の部屋に、高さか間仕切りからの距離を変えて入れます。

間仕切りは進む向きに直角の壁、防波板は進む向きと平行の板です。 タンクを外からの衝撃から守るのは、防護枠や側面枠で、防波板とは別の装置です。

決まり数字ひとこと
タンク全体の容量30,000L以下上限がある
間仕切りで仕切る容量4,000L以下ごと部屋ごとにマンホールと安全装置
防波板を入れる部屋の容量2,000L以上進む向きと平行に入れる
  • タンクは決まった厚さ以上の鋼板で気密に造り、外側にはさびどめの塗装をします。
  • 排出口の底弁(そこべん)には、非常のときにすぐ閉められる手動と自動の閉鎖装置を付けます。
  • ガソリンのように静電気(せいでんき)の災害が起きるおそれのある液体のタンクには、接地導線(せっちどうせん)を付けます。
  • すべてのタンクに接地導線が要る、とした文は誤りです。
  • 鋼板の厚さ、水圧試験の圧力、閉鎖装置のレバーの長さ、車に備える消火器(しょうかき)の種類は、危険物乙4では覚えなくてかまいません。
部品役割付け方
間仕切りタンクを部屋に分ける進む向きに直角
防波板部屋の中の油の片寄りを抑える進む向きと平行
マンホール・安全装置部屋ごとに付けるタンクの上
底弁使うとき以外は閉めておくタンクの下の排出口
接地導線静電気を地面へ逃がすガソリンなどのタンク

注入と詰め替え ── 接地・緊結・エンジン停止

移動タンク貯蔵所での取扱いはこう聞かれる:エンジン停止の温度(引火点40℃が境目)

荷下ろしでは、タンクを接地し、注入ホースを注入口に緊結し、引火点(いんかてん)が40℃未満の物ならエンジンを止めます。ガソリンは、タンクから容器へ詰め替えられません。

問われる形○×ポイント
ガソリンの出し入れで、タンクを接地しない×静電気を大地へ逃がすために接地する
ホースを人が押さえていれば、緊結しなくてよい×金具などで外れないように結合する
ガソリンを荷下ろしする間、ローリーのエンジンは止めなくてよい×引火点の低い物ではエンジンを止める
例外を広げ、ガソリンもローリーから容器へ移せるとする×例外は引火点の高い灯油・軽油など

タンクローリーで油を出し入れするときの決まりは、次の5つです。

  • 注入ホースを、受け入れるタンクの注入口に緊結(きんけつ)する
  • タンクから容器へ、液体の危険物を詰め替えない
  • ガソリンなど静電気の災害のおそれがある液体を出し入れするときは、タンクを接地する
  • 引火点が40℃未満の危険物を注入するときは、エンジンを止める
  • ガソリンなどをタンクローリーのタンクに上から積み込むときは、注入管の先をタンクの底に着ける
注入管の先は底に着ける:タンクローリーのタンクに上から入れるときは注入管の先を底に着けて液の中から静かに入れ、上で止めると落ちて跳ねる

緊結とは、留め具などで、外れないようにしっかりつなぐことです。注入ホースを手で押さえておくだけでは、緊結になりません。 接地は、導線でタンクと接地電極をつなぎ、たまった静電気を逃がします。

エンジンの熱や電気の火花は、注入口の周りに広がった蒸気に火をつけるおそれがあります。ガソリンは引火点がとても低いので、荷下ろしではエンジンを止める側に入ります。 注入管の先を「底に着けないようにする」とした文は、向きが逆で誤りです。

容器への詰め替えには例外があります。対象は、引火点が40℃以上の第4類(だいよんるい)の油で、灯油や軽油がこれに当たります。手で開け閉めする注入ノズルを使うなどの条件を満たせば、容器に詰め替えられます。

化学プラントなどの工場でタンクローリーから溶剤を受け入れるときは、車を止めてエンジンを切ります。接地線をつないでからホースを受入口に結合し、荷下ろしの間はつなぎ目から漏れがないかをそばで見ています。終わったら底弁が閉まっていることを確かめてからホースを外し、最後に接地線を外します。

備え付ける書類 ── 完成検査済証や定期点検の記録など

書類備え付けるかひとこと
完成検査済証○検査に通った車両かを確かめる
定期点検の記録○点検した結果の記録
譲渡・引渡の届出書○持ち主が変わったときの届出
品名・数量などの変更の届出書○積む物を変えたときの届出
予防規程、危険物施設保安員の届出書×備え付ける書類に入らない

移動タンク貯蔵所には、完成検査済証(かんせいけんさずみしょう)や定期点検の記録など、4つの書類を車に備え付けます。予防規程は入りません。

問われる形○×ポイント
検査に通った証や点検の記録を、車そのものに置く○4つの書類を車に備える
予防規程などを、備え付ける書類に混ぜる×予防規程は入らない

品名などの変更の届出書は、正しくは品名・数量・指定数量(していすうりょう)の倍数の変更の届出書です。

書類は事務所に置くのではなく、移動タンク貯蔵所そのものに備え付けます。走行先でも、検査に通った車両かどうかを確かめられるからです。

確認問題

問1 ガソリンを積むタンクローリーの常置場所には、住宅や病院から離す保安距離は定められていない。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:○

根拠:保安距離が求められるのは製造所や屋外タンク貯蔵所などで、移動タンク貯蔵所は含まれません。

なぜか:移動タンク貯蔵所の位置の基準は、常置する場所の条件です。屋外の防火上安全な場所か、耐火構造などの建物の1階に置きます。

狙われる形:移動タンク貯蔵所にも、製造所と同じ保安距離が要るとした形で出ます。

問2 移動貯蔵タンクの防波板(ぼうはばん)は、車体の外に張り出して、衝突からタンクを守る。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:×

訂正:防波板はタンクの室の中に設け、走行中の液体の揺れを抑える。

根拠:防波板は、タンクの中の液体が走行中に片寄らないようにする、内部の板です。

なぜか:カーブや急ブレーキで液体が一方へ寄ると、揺れが大きくなります。外からの衝撃に備えるのは、防護枠などの別の装置です。

狙われる形:防波板と防護枠の役目を取りかえた形で出ます。

問3 タンクローリーからガソリンを荷下ろしするときは、ローリーのエンジンを止めておく。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:○

根拠:ガソリンのように引火点の低い危険物を他のタンクへ注入する間は、エンジンを止めておきます。

なぜか:注入口の周りには、空気より重いガソリンの蒸気が広がることがあります。エンジンの熱や電気の火花が、その蒸気に火をつけないようにします。

狙われる形:注入中もエンジンをかけたままでよいとした形で出ます。

まとめ

タンクローリーのタンクは間仕切りで部屋に分けられ、大きさが一定以上の部屋には、油の片寄りを抑える防波板が入ります。置き場所は屋外の安全な場所か、耐火構造か不燃材料の建物の1階で、車には完成検査済証など4つの書類を備えます。荷下ろしでは注入ホースを緊結し、接地をとり、引火点の低い油ならエンジンを止めます。

次に読む

前に戻る(学習順の1つ前):地下タンク・屋内タンク・簡易タンク貯蔵所:地面の下はどうなっているか

参考文献

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む