ガス各論は49ガス。全部を同じ深さでやると破綻するので、令和2〜6年度の試験問題集からガス名の出現を集計して、覚える順番を作りました。
- 上位5ガス(酸素・水素・窒素・塩素・アンモニア)で全体の約半分
- 12ガスが5年連続で出ている ── ここは確実に
- 出題実績0のガスもある。捨てずに優先度だけ下げる
ガスごとの中身はガス各論①(水素・酸素・炭化水素・硫黄化合物系24ガス)・ガス各論②(ハロゲン・特殊材料ガス25種)にあります。この記事は「どの順で読むか」の地図です。
上位5ガスで約半分 ── ここまでで大勢が決まる

上位5ガスの合計が202。49ガス全体(407)のおよそ半分がここに集中しています。
| 順 | ガス | 分類 | 保安 管理技術 | 学識 | 計 | 出題 年度数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 酸素 | 酸素・窒素系 | 38 | 19 | 57 | 5/5 |
| 2 | 水素 | 水素系 | 23 | 22 | 45 | 5/5 |
| 3 | 窒素 | 酸素・窒素系 | 20 | 17 | 37 | 5/5 |
| 4 | 塩素 | ハロゲン | 26 | 11 | 37 | 5/5 |
| 5 | アンモニア | 窒素化合物 | 19 | 7 | 26 | 5/5 |
| 6 | 貴ガス | 酸素・窒素系 | 9 | 7 | 16 | 5/5 |
| 7 | 二酸化炭素 | 炭素酸化物 | 6 | 8 | 14 | 5/5 |
| 8 | メタン | 炭化水素 | 8 | 6 | 14 | 4/5 |
| 9 | アセチレン | 炭化水素 | 4 | 8 | 12 | 5/5 |
| 10 | 塩化水素 | ハロゲン | 8 | 4 | 12 | 5/5 |
| 11 | 酸化エチレン | 炭化水素 | 8 | 4 | 12 | 4/5 |
| 12 | 二酸化硫黄 | 硫黄化合物 | 7 | 4 | 11 | 5/5 |
| 13 | シアン化水素 | 窒素化合物 | 7 | 3 | 10 | 5/5 |
| 14 | エチレン | 炭化水素 | 1 | 9 | 10 | 3/5 |
| 15 | LPガス | 炭化水素 | 3 | 6 | 9 | 5/5 |
| 16 | フッ素 | ハロゲン | 3 | 5 | 8 | 4/5 |
| 17 | ホスゲン | ハロゲン | 3 | 4 | 7 | 4/5 |
| 18 | エタン | 炭化水素 | 3 | 4 | 7 | 3/5 |
| 19 | プロピレン | 炭化水素 | 0 | 6 | 6 | 4/5 |
| 20 | 硫化水素 | 硫黄化合物 | 4 | 2 | 6 | 4/5 |
5年連続の12ガスは、上位5(酸素・水素・窒素・塩素・アンモニア)に、貴ガス・二酸化炭素・アセチレン・塩化水素・二酸化硫黄・シアン化水素・LPガスの7種類を足したものです。
集計は、試験問題集のテキストで各ガス名が現れたページを数えたページ数による概数です(溶解度計算や法令の定義文にも大量に出る酸素・水素・窒素は、可燃性・毒性・爆発範囲・許容濃度・腐食・製法といったガス各論らしい語と同じページにあることを条件に絞った)。設問数とは一致しないので、相対比較として使ってください。
分類別の投資効率 ── 特殊材料ガスは1ガスあたり最下位

| 分類 | ガス数 | 出題ページ計 | 1ガスあたり |
|---|---|---|---|
| 2. 酸素・窒素・貴ガス系 | 3 | 110 | 36.7 |
| 1. 水素・炭素酸化物系 | 3 | 64 | 21.3 |
| 3. 炭化水素ガス系 | 9 | 71 | 7.9 |
| 5. ハロゲン・ハロゲン化合物系 | 11 | 78 | 7.1 |
| 4. アンモニア・窒素化合物・硫黄化合物系 | 9 | 62 | 6.9 |
| 6. 特殊材料ガス系(半導体用) | 14 | 22 | 1.6 |
特殊材料ガスは14種類もあるのに、出題は22ページ分しかない。 個別に覚えず、グループの性質で一気に片づけます。
- 最優先は分類2(酸素・窒素・貴ガス)で、たった3ガスで110。次点は分類1(水素・CO・CO₂)で、3ガスで64。分類3・4・5は中位で、ガス数が多いので代表を絞る
- 最後:分類6(特殊材料ガス)── 「シラン系は自然発火性」「ヒ素・リン系は毒性」のようなグループの性質で押さえる(→ ガス各論②の横断整理)
特殊材料ガスで名前が出たのはモノシラン・ジシラン・アルシン・ホスフィン・ジボラン・ゲルマン・三フッ化窒素・四フッ化硫黄の8種で、すべて検定(学識の問5と保安管理技術の問2)でした。国試には出ていません。個別に見るのはこの8種で十分です。
出題実績0のガス ── 捨てずに優先度を下げる

| ガス | 分類 |
|---|---|
| 六フッ化硫黄 | 窒素化合物・硫黄化合物 |
| 塩化エチル/臭化メチル | ハロゲン |
| ジクロロシラン/トリクロロシラン | 特殊材料 |
| 四塩化ケイ素/四フッ化ケイ素 | 特殊材料 |
| ヒ素系ハロゲン化物 | 特殊材料 |
| リン系ハロゲン化物 | 特殊材料 |
| ホウ素系ハロゲン化物 | 特殊材料 |
| セレン化水素 | 特殊材料 |
ゼロのガスに時間を使うのではなく、グループの性質で網をかける。 大半は特殊材料ガスです。
- 5年間出ていないだけで、試験範囲には入っている。次に出ない保証はない
- グループの性質を押さえれば、個別に覚えなくても答えられるものが多い
例:ヒ素系ハロゲン化物は「ヒ素だから毒性」「ハロゲン化物だから加水分解して腐食性」で○×を判定できます。
推奨する進め方 ── 4段階で深さを変える

| 段階 | ガス | 押さえる深さ |
|---|---|---|
| 第1段階:上位5ガス | 酸素・水素・窒素・塩素・アンモニア | 性質・製法・危険性・材料・除害まで全部(→ ガス各論①) |
| 第2段階:5年連続の残り7ガス | 貴ガス・二酸化炭素・アセチレン・塩化水素・二酸化硫黄・シアン化水素・LPガス | 特徴的な性質と、他と混同しやすい点 |
| 第3段階:上位20位の残り8ガス(6〜20位から第2段階の7ガスを除く) | 酸化エチレン・エチレン・フッ素・ホスゲン・エタン・プロピレン・硫化水素・メタン | 「このガスといえばこれ」を1つずつ |
| 第4段階:残り | 特殊材料ガスはシラン系/ヒ素・リン系/ホウ素系/ハロゲン化物系の4群 | グループの性質で網をかける(→ ガス各論②の横断整理) |
第1・第2段階(12ガス)までで、学識問4はかなり戦えるようになります。
学識 問4(20点)は記述で、毎年2ガスについて製法・用途・危険性を説明できる深さが要ります。保安管理技術は択一で、性質の方向が言えれば足ります。学識問4は第1・第2段階、保安管理技術は第3・第4段階の「浅く広く」が効きます。学識の全体像は学識の出題マップ、保安管理技術は保安管理技術の攻略へ。
ただしこの4段階は、一度通せば終わりではありません。第3段階に入るころには第1段階が抜けています。効くのは一度の長さより何回戻ったかで、戻る回数は「机に向かえた回数」で頭打ちになります。
読み上げはAzure AI Speechによる合成音声です。高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリなので、受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
移動時間に、ガス各論を音声とドリルで復習できます。
学識 問4に実際に出たガス ── 下位ガスも出る

| 年度 | 国家試験 問4 | 検定 問5 |
|---|---|---|
| R2 | 塩化ビニル/ブタジエン | イオン交換膜法/ガス選定6問 |
| R3 | エチレン/二酸化硫黄 | シアン化水素/ガス選定5問 |
| R4 | ブテン/塩素 | 塩化ビニル/ガス選定6問 |
| R5 | ブタン/窒素 | 二酸化硫黄/特殊材料ガスの分類 |
| R6 | アセトアルデヒド/亜酸化窒素 | 酸化エチレン/ガス選定5問 |
国試の問4は、必ずしも上位ガスから出ていません。 それでも全ガスを深くやるのは費用対効果が悪い。上位ガスを深くやり、下位ガスが出たらグループの性質から書ける範囲で埋めて、白紙にしない。
- 問4は20点だが、部分点は取れる
- たとえば「ブテン」なら、「炭化水素だから可燃性」「炭素数4だから常温で気体、液化しやすい」「重合しやすい(二重結合)」と書ける。知らないガスでも、分類が分かれば半分は書ける
- 検定の問5は「〜に適したガスを選べ」というガス選定が5〜6問付く。「不活性ならパージに使える」「毒性なら除害が要る」といった原則で答えられるものが多い
- R5検定では「特殊材料ガスの分類」が出た(ゲルマン・ホスフィン・ジシラン・ジボラン・四フッ化硫黄を、系統と分子式に振り分ける)。個別ではなく分類を問うている
横断整理の3軸 ── 個別暗記の前にこれ

可燃性かつ毒性の両属性のガスは出題の宝庫です。「可燃性だが毒性ではない」といった誤り記述が作りやすいからです。
| 軸 | 区分 | ガス |
|---|---|---|
| 1. 可燃性か | 可燃性 | 水素・メタン・エタン・プロパン・アセチレン・エチレン・アンモニア・一酸化炭素・硫化水素・シアン化水素・酸化エチレン・LPガス・シラン系ほか |
| 支燃性 | 酸素・塩素・フッ素・亜酸化窒素・三フッ化窒素 | |
| 不活性 | 窒素・貴ガス・二酸化炭素・六フッ化硫黄 | |
| 2. 毒性か | 強い毒性 | ホスゲン・シアン化水素・フッ素・アルシン・ホスフィン・セレン化水素 |
| 毒性 | 塩素・アンモニア・硫化水素・二酸化硫黄・一酸化炭素(塩化水素は毒劇法の劇物で、一般則の毒性ガスには当たらない) | |
| 両属性(可燃性かつ毒性)の代表 | アンモニア・一酸化炭素・硫化水素・シアン化水素・酸化エチレン(網羅はガス各論②の横断整理へ) | |
| 3. 特異な性質 | 分解爆発 | アセチレン・酸化エチレン・亜酸化窒素・高圧のエチレン・モノゲルマン(空気がなくても爆発する) |
| 自然発火性 | シラン系(モノシラン・ジシラン)・ホスフィンは常温の空気中で発火。ジボランは80℃付近で発火 | |
| 重合性 | 塩化ビニル・ブタジエン・酸化エチレン・シアン化水素 | |
| 加水分解して腐食性 | ハロゲン(塩素・フッ素)とハロゲン化物(ハロゲン化ケイ素ほか) |
この3軸で切れば、知らないガスでも8割方の判断ができます。
関連する概念は爆発範囲・毒性の指標・自然発火・重合と暴走反応を参照してください。
上位5ガスで約半分。特殊材料ガスは個別ではなくグループで、知らないガスは3軸で切る ── これがガス各論の順番です。
ガスごとの中身はガス各論①|水素・酸素・炭化水素・硫黄化合物系24ガス・ガス各論②|ハロゲン・特殊材料ガス25種と横断整理へ。記述対策は問6の記述問題を参照してください。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』と講習テキスト。令和2〜6年度の問題集で、ガス名が出てくるページを筆者が数えた概数です(設問数ではありません)。
この試験は、机に向かえる時間だけでは足りません。通勤・昼休み・移動中のすきま時間を使えるように、iPhoneアプリを3本作りました。ダウンロード無料でお試しできます。
いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
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