学識の計算・型7(反応速度)は、10回中6回出ています。覚える式が少なく、解法が固定されているのが特徴です。
- 1次・2次の積分形は2つ覚えるだけ。k の単位で次数が分かる
- アレニウスは3回。ln x = 2.303 log x で必ず対数表を使う
- 逐次反応の定常状態近似(2回)は「dC_B/dt = 0 と置く」だけ
型別の全体像は学識の計算は「10の型」しか出ないを参照してください。
出る形 ── 10回中6回、アレニウスと定常状態近似で5回
| 年度・ルート・問 | テーマ | 形 |
|---|---|---|
| R5 検定 問3 | エタン熱分解 | 1次+アレニウス |
| R2 検定 問3 | 1次不可逆反応 | 1次+アレニウス+ΔH |
| R5 国試 問3 | 2A→B | 2次+アレニウス |
| R3 国試 問3 | 逐次2段1次反応 | 定常状態近似 |
| R3 検定 問3 | 逐次2段1次反応 | 定常状態近似 |
| R2 国試 問3 | 固体触媒の吸着・被覆率 | ラングミュア型 |
アレニウスは3回、定常状態近似は2回。この2つで6回中5回に対応できます。
1次と2次 ── k の単位で次数が分かる

k の単位で次数が分かります。 問題文に k の単位が書いてあれば、そこで次数が確定します。
| 1次反応 | 2次反応 | |
|---|---|---|
| 速度式 | −dC/dt = kC | −dC/dt = kC² |
| 積分形 | ln(C₀/C) = kt (C = C₀ e^(−kt)) | 1/C − 1/C₀ = kt |
| 直線になるグラフ | ln C 対 t | 1/C 対 t |
| 傾き | −k | +k |
| 半減期 | 0.693/k(濃度によらない) | 1/(kC₀)(濃度による) |
| kの単位 | s⁻¹ | m³/(mol·s) |
一般形は −dC_A/dt = k C_A^n(n:反応次数)です。
令和5年度 国家試験 問3(2A → B、2次)
設問の要約:2A → B。不可逆で、反応速度は A の濃度に関して二次。800 K と 1000 K での反応速度定数はそれぞれ 0.572×10⁻³ と 0.145 m³/(mol·s)。(1) −dC_A/dt を C_A と k で表せ (2) 転化率 x = (C_A0 − C_A)/C_A0 を t の式で書け (3) 活性化エネルギー Ea[kJ/mol]を求めよ。
k の単位が m³/(mol·s) で、2次反応の単位です。問題文の「二次」と一致しています。
(1) 係数2の扱い:2A → B なので −dC_A/dt = 2k C_A²(k を「B の生成に対する速度定数」と定義した場合)。「A の消失速度に対する k」と書いてあれば −dC_A/dt = kC_A² です。問題文の定義に従い、迷ったら k の定義を引用して答案に書くと減点を防げます。
(2) 転化率で表す:2次の積分形に C_A = C_A0(1 − x) を入れます。
- 1/(C_A0(1−x)) − 1/C_A0 = 2kt
- (1/C_A0) × [1/(1−x) − 1] = 2kt
- (1/C_A0) × x/(1−x) = 2kt
- → x / (1 − x) = 2k C_A0 t
x について解くなら x = 2kC_A0 t / (1 + 2kC_A0 t)。どちらの形で答えても構いません。(1)の −dC_A/dt = 2kC_A² から出発しているので係数2が残り、協会の解答例もこの形です(k を A の消失速度で定義した場合は2が付きません)。
アレニウス ── ここで対数表を使う(R5国試問3の(3))

Ea は必ず正になります。負が出たら符号のどこかを間違えています。
アレニウスの式 k = A exp(−Ea / RT) の2点式 ln(k₂/k₁) = −(Ea/R) × (1/T₂ − 1/T₁) に代入します。
- k₂/k₁ = 0.145 / 0.572×10⁻³ = 253.5
- log 253.5 = log 2.535 + 2 = 0.404 + 2 = 2.404
- ln 253.5 = 2.303 × 2.404 = 5.536
- 温度の項:1/T₂ − 1/T₁ = 1/1000 − 1/800 = 0.001000 − 0.001250 = −2.50×10⁻⁴
- 代入:5.536 = −(Ea/8.31) × (−2.50×10⁻⁴)
- Ea = 5.536 × 8.31 / 2.50×10⁻⁴ = 46.0 / 2.50×10⁻⁴ = 1.84×10⁵ J/mol → 約184 kJ/mol
活性化エネルギーの意味は活性化エネルギー、アレニウスの式そのものはアレニウスの式で扱っています。
ln x = 2.303 log x ── 対数表の順引きと逆引き

| 値 | log | ln |
|---|---|---|
| 2 | 0.301 | 0.693 |
| 3 | 0.477 | 1.099 |
| 5 | 0.699 | 1.609 |
| 10 | 1.000 | 2.303 |
整数部は10の何乗か、小数部だけを表で引く。 これが対数表の使い方の全部です。
本番で必ず1回は使います。 関数電卓は使えないので、問題に添付されている常用対数表だけで処理します。使う公式は log(xy) = log x + log y、log(x/y) = log x − log y、log xⁿ = n log x、ln x = 2.303 log x の4つです。
順引き(ln 253.5 を出す)
- 分解する:253.5 = 2.535 × 10²
- 表から log 2.535 = 0.404
- log 253.5 = 0.404 + 2 = 2.404
- × 2.303 → ln 253.5 = 5.536
逆引き(ln K = 10.0 から K を出す)
- log K = 10.0 ÷ 2.303 = 4.34
- 整数部と小数部に分ける:4.34 = 0.34 + 4
- 表の中で 0.34 に近い値を探す → 真数 2.19
- K = 2.19 × 10⁴
(R6国試問3 は問題文が ln K = 2.30 log K と指定しているので、答えは 2.24 × 10⁴)
ln 2 = 0.693 は半減期の式にそのまま出てきます。 ln 10 = 2.303 は変換係数と同じ数字です。
逐次2段1次反応と定常状態近似 ── 10回中2回

中間体 B は生成するそばから消えるので、dC_B/dt ≒ 0 と置く。すると全体の速度が k₁ だけで決まり、A→B が律速段階だと分かります。
R3国試問3・R3検定問3。同じ年に国試と検定の両方で出ました。 反応は A → B → C(A→B が k₁、B→C が k₂。B は中間体)です。
- dC_A/dt = −k₁ C_A
- dC_B/dt = k₁ C_A − k₂ C_B … 生成と消失の差
- dC_C/dt = k₂ C_B
B の式が「生成 − 消失」になるのがポイントです。定常状態近似で k₁ C_A − k₂ C_B = 0 → C_B = (k₁/k₂) C_A。これを dC_C/dt = k₂ C_B に代入すると dC_C/dt = k₁ C_A です。
| 条件 | B は | 結果 |
|---|---|---|
| k₂ ≫ k₁ | ほとんど溜まらない | 近似が成立。律速は A→B |
| k₁ ≫ k₂ | 溜まる | 近似は使えない。律速は B→C |
「遅いほうが律速」が結論です。試験では次の順に問われます。
- 3つの物質の速度式を書け(dC_B/dt = k₁C_A − k₂C_B が書けるか)
- 定常状態近似を用いて C_B を C_A で表せ
- 全体の反応速度を求めよ
- 律速段階はどちらか、理由とともに述べよ
①が書ければ②③は自動的に出ます。 実務では、中間体が溜まる条件かどうかで反応暴走のシナリオの危険性がまったく変わります。積分と定常状態近似は反応速度式の積分で詳しく扱います。
固体触媒の吸着 ── ラングミュア型(10回中1回)

圧力を上げていくと、反応次数が1次から0次へ移る。 これが吸着律速の特徴です。
R2国試問3はラングミュアの吸着等温式 θ = Kp / (1 + Kp) を使う問題でした(θ:表面の被覆率(0〜1)、K:吸着平衡定数、p:分圧)。
| 条件 | θ は | 見かけの反応次数 |
|---|---|---|
| Kp ≪ 1(低圧) | θ ≒ Kp(圧力に比例) | 1次 |
| Kp ≫ 1(高圧) | θ ≒ 1(飽和) | 0次 |
表面が埋まってしまえば、それ以上圧力を上げても反応速度は増えません。問われ方は、θ の式を書く、低圧・高圧の極限で見かけの反応次数を答える、K と p から θ を計算する、の3つ。1回しか出ていないので、式1つだけ押さえておけば十分です。
本番前の確認 ── よくある失点
| 失点 | 対策 |
|---|---|
| 1次と2次の積分形を取り違える | k の単位を見る(s⁻¹ なら1次) |
| ln と log を混ぜる | 表は log 用。ln にするには×2.303 |
| Ea が負になる | 1/T₂ − 1/T₁ の符号を確認(T₂>T₁ なら負) |
| 単位が J か kJ かを間違える | R = 8.31 J/(mol·K) なので Ea は J。÷1000 で kJ |
| 逐次反応で dC_B/dt を生成だけ書く | 中間体は生成 − 消失 |
| 係数2の反応で k の定義を無視する | 問題文の定義を引用してから式を立てる |
練習は、①1次と2次の積分形を白紙に書く(各1分)、②半減期の違いを説明する、③アレニウス2点式で Ea を対数表で2回出す、④逐次反応の3つの速度式を書く、の順です。③が本番の山場で、対数表の往復に慣れていないとここで5分溶かします。
次は型3(蒸気圧・気液平衡)です。10回中6回、ラウールとヘンリーの使い分けが軸になります。→ 型3|蒸気圧と気液平衡
平衡定数の温度依存(ファントホッフ)との違いは型6|化学平衡、学識全体の攻略は学識の出題マップへ。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』。令和2〜6年度の国家試験5回・技術検定5回、計60大問を筆者が型に分けて集計しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
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