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電験三種 電力 新エネルギーと分散型電源|太陽光・風力・燃料電池・系統連系

電験三種 電力 新エネルギーと分散型電源|太陽光・風力・燃料電池・系統連系

最終確認:2026年11月3日

電験三種の電力で、新エネルギーと分散型電源の5つの論点をまとめた辞書です。太陽光・風力・地熱とバイオマス・燃料電池と電力の貯蔵、そして逆潮流(ぎゃくちょうりゅう)や解列(かいれつ)を含む配電線へのつなぎ方の順に確かめます。

電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電|新エネルギーと分散型電源|変電所|架空送電線路|送電の特性

太陽光発電 ── 光で直流が出るので、パワーコンディショナで交流にして送る

太陽光発電の出力:日射1.0 kW/m²で当たる光1 000 Wに対して電気の出力は150 Wで、太陽電池の直流をPCS(パワーコンディショナ)が交流にして系統へ送る
見る所太陽光発電
しくみ光のエネルギーを、太陽電池で直接電気に変える。回る機械が無い
出る電気直流(ちょくりゅう)。系統へはパワーコンディショナ(ぱわーこんでぃしょな)で交流(こうりゅう)に変えて送る
燃料とCO₂燃料が要らず、発電のときにCO₂を出さない
出力の変わり方日射の強さに比例し、気象条件や日照時間で大きく変わる。夜は0
変換効率光のうち電気になるのは15〜20%程度で、低い
置き場所電気を使う所(需要地点)で発電できる。広い面積が要る

太陽電池は光を受けて直流を出すので、系統へはパワーコンディショナで交流にして送ります。出力は日射の強さに比例し、光が直角に当たるほど大きくなります。

よくある誤り正しくは
太陽電池は交流を出すので、そのまま系統につなげる出すのは直流。パワーコンディショナ(中のインバータ(いんばーた))で交流に変える
直流を交流に変えるのは、逆流防止ダイオード逆流を防ぐのは接続箱の働きで、交流には変えない。交流にするのはパワーコンディショナ
地上の日射は1 m²に1秒で約10 kJ、セル1つの電圧は約10 V約1 kJ(約1 kW/m²)と、約1 V。セルを直列につないで電圧を上げる
太陽光の電気が余るのは夜間発電する日中に余る。余りは揚水式(ようすいしき)の発電や二次電池に貯める
  • 光のうち電気になる割合が変換効率です。最新の汽力発電の熱効率より、ずっと低い値です。
  • 1 m²のパネルに1 kW/m²の光が直角に当たり、変換効率が15%なら、出力は150 Wです。日射が半分なら、出力も約半分の75 Wです。
  • 出力は、太陽電池の温度によっても変わります。発電のコストは高めで、エネルギーの密度が低いので広い敷地が要ります。
  • 置くときは、光ができるだけ直角に近く当たるよう、方位と傾斜を確かめます。その地域の1年の発電電力量も、先に見積もります。
  • 回る機械が無いので、しくみが単純で保守が容易です。燃料電池と同じく、「電池」という名前でも充電はできません。

太陽電池のしくみ(pn接合)

太陽電池のしくみ:p形とn形のつなぎ目に光が当たると、n形側へ負の電荷、p形側へ正の電荷が分かれ、外の回路に直流が流れる
順起きること
①p形半導体(ぴーがたはんどうたい)は正孔(せいこう)が、n形半導体(えぬがたはんどうたい)は自由電子が、多数キャリヤとしてある
②2つを接合すると、拡散で正孔はn形へ、自由電子はp形へ移る
③接合面の近くで結びつき、キャリヤの無い空乏層(くうぼうそう)ができる
④空乏層のp形の側が負、n形の側が正に帯電し、内蔵電界ができる
⑤光が当たると自由電子と正孔ができ、内蔵電界で電子はn形へ、正孔はp形へ移る
⑥n形が負、p形が正になって起電力(きでんりょく)が出る。外の線には一方向の電流が流れる
  • p形とn形をつないだ所がpn接合(ぴーえぬせつごう)です。光を当てて起電力が出る現象を、光起電力効果と呼びます。
  • 構造は、上部電極・反射防止膜・n形半導体・p形半導体・裏面電極の重ねです。反射防止膜は、入った光が外へはね返って逃げるのを防ぎます。
  • 電子と正孔はいつも同じ向きに分かれるので、出る電気は直流です。向きを変える仕組みが無いので、交流にはインバータが要ります。

太陽電池の種類と、住宅用の設備

太陽電池変換効率価格
シリコン系の単結晶高高
シリコン系の多結晶中中
シリコン系のアモルファス(非結晶)低低
設備役目
太陽電池アレイセル(約1 V)を直並列につないだモジュールを、さらに直並列につないだもの
接続箱配線を集め、直流の電気をパワーコンディショナへ送る。直流開閉器・逆流防止・雷サージの過電圧の放電
パワーコンディショナ直流を交流に変えるインバータ、系統連系保護装置、高調波フィルタでできている
分電盤交流の電気を、家の中の負荷に分ける
電力量計売電用は電力会社に売る余りの電力量を、買電用は買う電力量を量る
  • シリコン系のほかに、化合物系の太陽電池もあります。
  • 地上に降り注ぐ太陽の光は、1 m²に1秒で約1 kJ(約1 kW/m²)です。大気の外で受ける光は約1.37 kW/m²で、太陽定数と呼びます。
  • セル1つの開放電圧は、おおむね0.6〜1 Vです。
  • 系統連系保護装置は、太陽光の設備か系統に異常が起きたとき、設備を系統から切り離すか安全に止めます。高調波フィルタは、直流を交流に変えるときに出る高調波を抑えます。
  • パワーコンディショナは、日射や温度で変わる出力のうち、いちばん大きな電力が取れる点で運転するよう追いかけます。これを最大電力点追従制御と呼びます。

関連:燃料電池と電力貯蔵|分散型電源の系統連系|pn接合ダイオード|ホール効果・熱電効果・光電効果

風力発電 ── 出力は受風面積と風速の三乗に比例し、パワー係数を掛ける

風力発電の出力:風速10 m/s・半径30 mのロータの受風面積は2 827 m²で出力は848 kWになり、P=1/2・Cp・ρ・A・v³のとおり出力は風速の3乗で立ち上がる曲線になる
量求め方単位
受風面積円周率に、ロータの半径の2乗を掛けるm²
1秒に通る空気の体積受風面積に、風速を掛けるm³/s
1秒に通る空気の質量体積に、空気の密度を掛けるkg/s
風の持つ出力質量に風速の2乗を掛け、2で割るW
風車の出力風の持つ出力に、パワー係数(ぱわーけいすう)を掛けるW

風車の出力は受風面積に比例し、風速の3乗に比例します。風速が2倍なら出力は8倍、半径が2倍なら面積が4倍で、出力も4倍です。

言葉の式 受風面積 = 円周率 × ロータの半径²

A=πr2

A:受風面積〔m²〕 r:ロータ(風車)の半径〔m〕

言葉の式 風の持つ出力 = 1/2 × 空気の密度 × 受風面積 × 風速³

Pw=12ρAv3

Pw:風の持つ出力(単位時間に風車を通る空気の運動エネルギー)〔W〕 ρ:空気の密度〔kg/m³〕 A:受風面積〔m²〕 v:風速〔m/s〕

言葉の式 風車の出力 = パワー係数 × 風の持つ出力

P=CpPw

P:風車(ロータ軸)の出力〔W〕 Cp:パワー係数(風のエネルギーのうち風車が取り出せる割合) Pw:風の持つ出力〔W〕

よくある誤り正しくは
取り出せる電力は、風速の2乗(または風速)に比例する風速の3乗に比例する。1 kgの空気のエネルギーが2乗、1秒に通る量が1乗で、合わせて3乗
受風面積には、半径をそのまま、または直径の2乗を使う面積は、円周率に半径の2乗を掛けた値。直径が与えられたら、半分にしてから2乗する
大電力用の風車は主に垂直軸で、出力変動の小さい電源大電力用は主に水平軸。風で出力が変わるので、出力変動の大きい電源
誘導発電機は単独でも発電でき、系統に並列するときの突入電流が小さい系統から励磁電流(れいじでんりゅう)を受けるので、単独では発電できない。並列のときの突入電流は大きい
  • 風の運動エネルギーで風車を回し、つながった発電機で電気をつくります。燃料が要らず、発電のときにCO₂を出しません。
  • 出力は、風の強さや向きなどの気象条件に左右されます。風の運動エネルギーのうち、電気になるのは40%程度です。
  • パワー係数は、風のエネルギーのうち風車(ロータ)が取り出す割合で、掛けるとロータ軸の出力になります。発電機の出力は、これに発電機の効率も掛けた値で、2つを合わせた割合を総合効率と呼ぶ参考書もあります。上の40%程度は、この総合効率の目安です。
  • 地上でも洋上でも発電できます。離島でディーゼル発電と組み合わせると、重油の使用量を減らせることがあります。
  • 翼が風を切る音が騒音になることがあり、翼の形を工夫して低減します。安定して強い風が吹く場所が向きます。
  • 風が弱すぎても強すぎても発電できません。発電を始める風速をカットイン風速、強すぎて止める風速をカットアウト風速と呼びます。
  • プロペラ形の風車は、羽根の角度で回る速さを調整できます。強風のときは羽根の面を風向きと平行にし、ブレーキで止めます。
  • 風の変動で、出力が急に上下することがあります。系統の周波数や電圧が揺れる原因になり、二次電池を併せて置くのが対策の1つです。

解き方:半径と風速から、風車の出力へ

  • ① 最初の一手は、ロータの半径から受風面積を出すことです。半径を2乗して円周率を掛けます。直径なら半分にします。
  • ② 空気の密度・受風面積・風速の3乗を掛けて2で割り、風の持つ出力をWで出します。
  • ③ パワー係数(%なら100で割る)を掛けて、風車(ロータ軸)の出力にします。
  • ④ 1 000で割ってkWにし、選択肢の値にそろえます。

例の条件を短くまとめます(平成30年度 問5)。ロータの半径は30 m、風速は10 m/s、パワー係数は50%です。空気の密度は1.2 kg/m³とします。

A=π(30 m)2=2827 m²
Pw=12×1.2 kg/m³×2827 m²×(10 m/s)3=1.696×106 W
P=0.5×1.696×106 W=8.48×105 W
  • 約848 kWで、選ぶ値は850 kWです。
  • パワー係数を掛け忘れると約1 700 kW、風速を2乗にすると約85 kWで、どちらも外れます。
  • 比で考えると速く解けます。同じ風車で風速が10 m/sから12 m/sになると、1.2の3乗で約1.73倍、約1 466 kWです。

発電機:誘導発電機と同期発電機

誘導発電機の系統連系:系統から励磁電流を受けて固定子に回転磁界ができ、回転子を回転磁界の回転より速く回すと、電力が系統へ流れ出る
比べる所誘導発電機(ゆうどうはつでんき)同期発電機
系統へのつなぎ方固定子の巻線を、系統に直接つなぐ交流を一度直流にし、系統の周波数の交流に変え直す(電力変換装置を通す)
回る速さ同期速度に近い速さに限られ、ほぼ一定系統の周波数によらず、可変速で運転できる
励磁系統から励磁電流を受ける。励磁装置が要らない回転子の電磁石か、永久磁石で磁界をつくる
運転の操作構造が簡単で、始動や並列の操作が簡単。単独では発電できない並列のときに、系統と同期を合わせる
  • 誘導発電機の回転子は、かごのような導体だけで磁石がありません。系統から受けた励磁電流で、固定子に回転磁界(かいてんじかい)をつくります。
  • 回転子を、回転磁界の速さである同期速度(どうきそくど)より少し速く回すと、電力が系統へ流れ出ます。このとき滑り(すべり)は負で、回転磁界と回転子の速さに差があります。
  • 誘導発電機の弱点は、並列のときの突入電流が大きいことです。励磁のための無効電力も、系統から受けます。
  • 風力には、同期発電機・永久磁石式発電機・誘導発電機が使われます。同期発電機で回る速さを変えると、周波数も変わるので、電力変換装置を通して送ります。

関連:分散型電源の系統連系|水力発電所の出力|力・仕事・電力

地熱・バイオマス発電 ── 地熱は地下の蒸気、バイオマスは吸ったCO₂だけ出す

再生可能エネルギーの出力とCO₂:太陽光と風力は出力が変わりCO₂を出さず、地熱は出力が一定で燃料を燃やさず、バイオマスは出力が一定でCO₂は差し引き0になる
比べる所地熱発電バイオマス発電
エネルギーのもと地中のマグマで熱せられた熱水と蒸気動植物が生成・排出する有機物
タービンを回すもの地下から取り出し、熱水と分けた蒸気燃料を燃やした熱でつくる蒸気など
CO₂燃料を燃やさない出すが、植物が吸った量とつり合う
規模・場所火山地域に多い。適地調査に多額の費用と長い期間設備は小規模分散型が一般的
出力一定にできる一定にできる

地熱は地下にたまった蒸気でタービンを回し、バイオマスは燃やして出るCO₂が植物の吸った量とつり合います。どちらも熱源や燃料をためておけるので、天気によらず一定の出力で運転できます。

よくある誤り正しくは
地熱発電は、地下の熱水の流れでタービンを回し、平野部に多い熱水から分けた蒸気でタービンを回す。発電に向く資源は火山地域に多い
バイオマスの燃料は無機物で、家畜のふんからは液体燃料をつくる有機物。家畜のふんはメタン発酵させて気体燃料に、木くずは固形化燃料にする
バイオマス発電は、燃やしてもCO₂をまったく出さないCO₂は出る。植物が育つときに吸った量と同じなので、全体として増えないとみなす
バイオマスで吸う量と出す量をつり合わせるのは窒素化合物、設備は大規模集中型つり合わせるのは二酸化炭素。設備は小規模分散型が一般的
太陽光・風力と地熱・バイオマス・石炭:太陽光・風力は光や風を受けて発電するだけで出力の棒が低く、地熱の蒸気やバイオマス・石炭の燃料は管や弁を通して発電機へ送れるので出力の棒が高い
  • 太陽光と風力は、そのとき届いた光や風だけで発電するので、ためておけません。地熱は地下に蒸気がたまり、バイオマスは燃料を積んでおけます。
  • 1日中ほぼ一定で発電する電源を、ベース供給力と呼びます。原子力・大容量の石炭火力と、地熱・流込み式水力・バイオマスが、一定の出力で運転します。
  • 水力のうち、季節で変わる川の流量を貯めて使うのは貯水池式(ちょすいちしき)です。

地熱発電のしくみ

順起きること
①雨水が地下深くへしみ込み、マグマの熱で熱せられて、地熱貯留層にたまる
②生産井(せいさんせい)で、深さ1 000〜3 000 mから蒸気と熱水を取り出す
③気水分離器(きすいぶんりき)で蒸気と熱水に分け、蒸気だけをタービンへ送る
④蒸気でタービンと発電機を回し、復水器で水に戻す。温水は冷却塔で冷やす
⑤分けた熱水は、還元井(かんげんせい)で再び地下へ戻す
  • 地熱発電は、蒸気の力でタービンを回すので、汽力発電の一種です。燃料を燃やす代わりに、地下の熱を使います。
  • 取り出す蒸気には、地下の蒸気と、熱水を気化させた蒸気があります。分ける装置の名前は、資料によって「汽水分離器」とも書きます。
  • 日本は火山が多く、地熱の資源が豊富です。商用の地熱発電所は、国内で稼働しています。

バイオマス発電と廃棄物発電

燃料もと形
固形化燃料木材を加工するときに出る木くず固体
エタノールさとうきび液体
メタンガス家畜のふん(メタン発酵)気体
  • バイオマスは、石油などの化石燃料を除いた、動植物による有機性の資源です。生物を表すバイオと、かたまりを表すマスを合わせた語です。
  • 燃料は、そのまま燃やすか、ガスにしてから燃やします。できた蒸気やガスでタービンを回します。
  • 植物は光合成でCO₂を吸い、炭素をためます。燃やして出るCO₂は吸った量と等しく、全体として増えません。これをカーボンニュートラルと呼びます(カーボンは炭素)。
  • 課題は、燃料になる作物などの量を確保することです。食料を燃料に回すと、作物の値段に響くおそれもあります。
  • 廃棄物発電は、ごみなどを焼却する熱で蒸気をつくり、蒸気タービンを回します。捨てるだけの物から電力が得られますが、発電効率が低く、出力が安定しません。
  • 廃棄物から水分や不純物を除いて固めた燃料(RDF)を使うこともあります。

関連:蒸気タービンと保護装置|燃料消費量と CO2|水力発電所の分類

燃料電池と電力貯蔵 ── 燃料電池は直流と熱を出し、二次電池と揚水は余りを貯める

1日の需要と電力貯蔵:需要の線に一定の発電を敷き、昼に太陽光で余る分を貯め、夕方から夜に足りない分を出す。揚水はくみ上げと発電、蓄電池は充電と放電、燃料電池は水素と酸素から直流と熱を出す
装置働き押さえる所
燃料電池(ねんりょうでんち)水素と酸素から、直流の電気と熱を出す水の電気分解の逆。発熱反応。電気は貯めない
二次電池(にじでんち)(蓄電池)充電と放電をくり返す余る時間に充電し、足りない時間に放電する
一次電池(いちじでんち)放電だけ(使い切り)充電できないので、電力の貯蔵には使わない
揚水式の発電余る電気で水をくみ上げ、足りない時間に発電電気を水の高さにして貯める。往復で損失がある

燃料電池は水素と酸素から直流の電気と熱を出す発電装置で、電気を貯めるのは二次電池や揚水式の発電です。二次電池や揚水は、余る時間に貯めて足りない時間に出し、需要とのつり合いを保ちます。

よくある誤り正しくは
燃料電池は、燃料を外から受けて、直接、交流の電力を出す出すのは直流。交流の負荷や系統には、インバータで交流に変えてつなぐ
燃料電池で水ができる反応は吸熱反応発熱反応。出る熱は、給湯や冷暖房に使える
燃料電池は、発電のときの振動や騒音が大きい回る機械が無く、騒音や振動が少ない。だから需要家の近くに置ける
充電してくり返し使えるのは一次電池で、大電力の貯蔵に使うくり返し使えるのは二次電池。大電力の貯蔵には、ナトリウム・硫黄電池(NAS電池)を使う
  • 燃料電池の発電効率は35〜60%程度と高めです。排熱も使うコージェネレーションにすると、総合効率は80%程度まで上がります。
  • 窒素酸化物を出しません。負荷の変動に対する応答が早いのも特徴です。
  • 燃料は外から供給します。天然ガスやメタノールなどを改質して取り出した水素も使えます。

燃料電池のしくみと種類

燃料電池と直流・交流:負極から外の線を通って正極へ電流がいつも同じ向きに流れる直流が出て、インバータで交流(正負に振れる波)に変えて送り出す
順起きること
①改質器で、天然ガスなどの燃料から水素を取り出す。このときCO₂が出る
②負極(燃料極)の触媒で、水素が水素イオンと電子に分かれる
③電子が負極から負荷を通って正極(空気極)へ移り、電流が流れる
④正極で、水素イオンと電子と空気中の酸素が結びついて水になり、大きな熱が出る
⑤できた水を外へ出す
  • 負極の反応は 2H₂ → 4H⁺+4e⁻、正極の反応は 4H⁺+4e⁻+O₂ → 2H₂O です。
  • 電子の流れと、電流の向きは逆です。電子はいつも同じ向きに流れるので、出る電気は直流です。
  • 発電のときはCO₂を出しませんが、燃料から水素を取り出す改質のときにCO₂を出します。
形式電解質(燃料)動作温度
固体高分子形固体高分子膜(水素)常温〜約90 ℃
りん酸形りん酸(水素)約200 ℃
溶融炭酸塩形炭酸リチウムなど(水素・一酸化炭素)約650 ℃
固体酸化物形安定化ジルコニア(水素・一酸化炭素)約1 000 ℃
  • 燃料電池は、使う電解質の種類で分けます。高温で動く形式ほど、一酸化炭素も燃料に使えます。
  • 溶融炭酸塩形は電極の触媒が劣化しにくく、石炭ガス化ガス・天然ガス・メタノールなど多様な燃料を使えます。

二次電池と、需要と供給のつり合い

  • 二次電池の代表はリチウムイオン電池(りちうむいおんでんち)で、ほかに鉛蓄電池(なまりちくでんち)・ニッケル水素電池などがあります。酸化銀電池は一次電池です。
  • 風力や太陽光と一緒に二次電池を置くと、出力の変動をならせます。これを平滑化と呼びます。
  • NAS電池は、負極にナトリウム、正極に硫黄を使い、約300 ℃で動かします。大容量・長寿命で、単位質量あたりのエネルギー密度は鉛蓄電池の約3倍です。
  • 太陽光がたくさん入ると、日中に発電が需要を上回ることがあります。余りは揚水式の発電所で水をくみ上げ、二次電池にも貯めます。
  • 鉛蓄電池などの二次電池の充電のしかたには、次の4つがあります。
充電方式すること
トリクル充電電池の自己放電に見合う、ごく小さな電流で、いつも充電しておく
浮動充電負荷と二次電池を並列につなぎ、整流器から負荷へ電力を送りながら、自己放電に見合う小さな電流で充電する
均等充電直列につないだ電池ごとの充電のばらつきをなくすため、3〜6か月に1度程度、電圧を上げて過充電する
回復充電停電で放電した分をなるべく早く補うため、定格より高い電圧で充電し、その後、定格電圧で充電する
  • 回復充電は定格電圧のままでは行いません。次の停電に備え、定格より高い電圧で早く戻してから、定格電圧に下げます。
  • 電力の需要と供給は、受け持つ負荷で分けた供給力と、急な変化に備える予備力で考えます。
供給力受け持つ負荷主な電源
ベース供給力ほぼ一定の出力で、1日中の底の負荷原子力・大容量の石炭火力・地熱・流込み式水力・バイオマス
ミドル供給力ベースとピークの間の、変わる負荷中容量の火力・効率の低い火力
ピーク供給力最大電力の時間帯の負荷調整池式(ちょうせいちしき)の調整分・貯水池式・揚水式の水力、LNGのガスタービン
予備力供給力を増やせるまで主なもの
瞬動予備力10秒程度以内ガバナフリー運転中の発電機の余力
運転予備力10分程度以内部分負荷で運転中の火力・水力の上げ余力、停止待機中の調整池式・揚水式の水力
待機予備力起動に数時間以上停止待機中の火力など
  • すべての供給力と需要との差が、供給予備力(きょうきゅうよびりょく)です。天候の急変や発電所の故障で周波数を元へ戻すときは、運転予備力を使います。
  • 運転予備力の対象は、資料によって書き方が2つあります。「部分負荷運転中の水力・火力」と、「火力の上げ余力と停止待機中の水力」です。原子力は一定の出力で運転するので、当たりません。
  • 蓄電所は、電気を貯めて同じ電圧・周波数で送り出す所です。
  • 工場・現場では、無停電電源装置(UPS)も同じ考え方です。ふだん二次電池を充電しておき、停電のときにインバータで交流にして計器や制御装置へ送ります。

関連:揚水発電と調整池の運用|ガスタービンとコンバインドサイクル|太陽光発電

分散型電源の系統連系 ── 逆潮流で上がる電圧を抑え、停電したら解列する

分散型電源の逆潮流と電圧:夜は変電所から家へ流れ、昼は逆潮流で家から変電所へ流れて遠い家ほど電圧が上限に近づき、停電したら単独運転を見つけて解列する
ことば意味
分散型電源(ぶんさんがたでんげん)比較的小規模の発電設備を、消費地の近くに分散して置いたもの
系統連系(けいとうれんけい)分散型電源を、電力会社などの系統につなぐこと
逆潮流分散型電源を置いた構内から、系統の側へ向かう有効電力の流れ
単独運転(たんどくうんてん)系統が事故などで切り離されたのに、分散型電源が発電を続け、線路の負荷へ送り続ける状態
自立運転(じりつうんてん)系統から切り離したうえで、自分の構内の負荷だけに電力を送る状態
解列分散型電源を、系統から切り離すこと

逆潮流のときは配電線の電圧が上がるので出力抑制などで抑え、系統が停電したら単独運転を見つけて解列します。どちらも、パワーコンディショナの働きが中心です。

よくある誤り正しくは
逆潮流の電圧上昇を抑えるには、受電点の力率(りきりつ)を系統側から見て進み力率にする進み力率にすると、電圧はさらに上がる。逆潮流がある場合は、系統側から見て進み力率にならないようにする
単独運転とは、系統から切り離して、構内の負荷だけに電気を送る運転それは自立運転。単独運転は、停電した系統へ送り続ける、防ぐべき状態
逆潮流は、構内から系統へ向かう無効電力の流れ有効電力の流れ
太陽光や燃料電池をつないでも、高調波の対策は要らないインバータなどで直流を交流にするときに高調波が出るので、系統へ流れ出ないようフィルタを置くことがある
  • 分散型電源には、太陽光・風力・燃料電池のほか、小規模の水力や、ディーゼルエンジンなどのコージェネレーションがあります。
  • 小規模の水力は、川や用水路の流込み式が多く使われます。
  • 太陽光や風力は天候で出力が変わるので、つないでも配電系統に支障を与えないようにします。
  • 工場・現場でも、自家用のコージェネレーションを系統につなぐときは同じです。単独運転を見つけて解列する保護と、受電点の電圧・力率の管理が要ります。

逆潮流で電圧が上がるわけと、その対策

逆潮流の電圧上昇と力率:昼の逆潮流で遠い家の電圧が上限に近づくが、パワーコンディショナが無効電力を吸い込む遅れ力率なら上限の内側に収まり、進み力率にすると上限を超える
  • 配電線には抵抗があり、電流の流れる向きに電圧が下がります。これが電圧降下(でんあつこうか)です。
  • 夜は電流が変電所から家へ流れるので、変電所から遠い家ほど電圧が低くなります。
  • 昼に発電が構内で使う電気を上回ると、電流は家から変電所へ流れます。今度は遠い家ほど電圧が高くなり、上限を超えるおそれがあります。
  • 大規模な太陽光がつながると、配電用変電所の変圧器にも逆向きの潮流が増えます。
対策中身
出力抑制電圧が上限に届いたら、パワーコンディショナが出力を抑える
電圧調整機能パワーコンディショナに、逆潮流による電圧上昇を抑える働きを持たせる
受電点の力率逆潮流がある場合は、原則85%以上とし、系統側から見て進み力率にならないようにする
ステップ式自動電圧調整器(すてっぷしきじどうでんあつちょうせいき)(SVR)逆潮流で近くの低圧の家の電圧が範囲を外れるとき、途中の配電線に置いて電圧を整える
配電系統の増強大きな分散型電源は、専用の配電線でつないだり、配電線の負荷を分けたりする
  • 電圧は、無効電力(むこうでんりょく)の向きでも変わります。パワーコンディショナが無効電力を吸い込むと、電圧の上がり方が小さくなります。
  • 吸い込むとき、系統の側から見た受電点の力率は遅れ力率です。発電設備の側から見ると、進み力率です。
  • 変電所の分路リアクトル(ぶんろりあくとる)が遅れ無効電力を吸い込み、電圧の上昇を抑えるのと同じ向きです。
  • 低圧の100 Vは、101 Vの上下6 Vを超えない値に保つよう努める決まりがあります(電気事業法施行規則)。逆潮流で電圧が上がると、この範囲を外れるおそれがあります。

単独運転を見つけて、解列する

  • 単独運転では、事故が続いている系統に電気を送り続けるので、非常に危険です。だから必ず見つけて、系統から切り離します。
  • パワーコンディショナの系統連系保護装置は、電圧の位相(いそう)や周波数の急な変化を、いつも見張っています。配電線の瞬時電圧低下では、不要な切り離しをしません。
  • 見つけ方は2つです。受動的方式は、単独運転になったときの電圧位相や周波数の変化で見つけます。能動的方式は、出力にふだんから小さな変動を与えておき、単独運転で起きる周波数の変化で見つけます。
  • 電力会社が遮断器(しゃだんき)を入れ直す再閉路(さいへいろ)のときには、分散型電源が解列されていなければなりません。
  • 高圧でつなぐときは、周波数上昇継電器・周波数低下継電器と、転送遮断装置か単独運転検出装置(たんどくうんてんけんしゅつそうち)を置きます。
  • 太陽光のような回る機械の無い電源は、回転体の慣性で周波数の低下を抑える働きが期待できません。こうした電源が増えると、周波数が乱れたときの回復力が下がります。
  • 洋上の風力発電所と陸上の系統は、海底ケーブルの直流送電でつなぐことがあります。直流では定常的な充電電流が流れないので、その補償が要らず、誘電損も考えなくてよくなります。

関連:太陽光発電|風力発電|交流電力と力率|オームの法則

まとめ

太陽光と燃料電池は直流を出すので、パワーコンディショナやインバータで交流にしてつなぎます。

風車の出力は受風面積と風速の3乗に比例し、地熱・バイオマスは蒸気や燃料で一定の出力を出せます。

逆潮流で上がる電圧は出力抑制や力率で抑え、系統が停電したら単独運転を見つけて解列します。

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参考文献

  • 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH04 その他の発電の章(SEC01)
  • 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第3章 原子力・その他の発電、第7章 配電
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 機械の教科書&問題集』TAC出版 CH11 電気化学の章(SEC01 各種電池)、パワーエレクトロニクスの章(無停電電源装置・パワーコンディショナ)
  • 『電験3種過去問マスタ 機械の20年間』2026年版 電気書院 第2章 誘導機、第6章 パワーエレクトロニクス、第10章 電気化学
  • 『First Stage シリーズ 電気回路入門』日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司、実教出版 第2章 3節 電流の化学作用と電池
  • 『First Stage シリーズ 新訂電気機器概論』千葉 明、実教出版 パワーエレクトロニクスの章(インバータの応用:無停電電源装置・パワーコンディショナ)
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 法規の教科書&問題集』TAC出版 CH01 電気事業法の章(SEC01 電圧及び周波数の値)
  • 『電験3種過去問マスタ 法規の20年間』2026年版 電気書院 第3章 電気設備技術基準(分散型電源の系統連系)
  • 第三種電気主任技術者試験 電力・法規 問題(電気技術者試験センター) 平成28年度・平成29年度・平成30年度・令和2年度・令和3年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期

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