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最終確認:2026年10月24日
電験三種の理論で、交流回路の計算の中心になる4つの論点をまとめた辞書です。RLC直列回路、RLC並列回路、共振、交流電力と力率(りきりつ)の順に確かめます。
理論の論点:直流回路①|直流回路②|静電気|磁気|電磁誘導|交流の基本
RLC直列回路 ── 電流が共通で、電圧を三平方で合成

| 素子 | 電流に対する電圧の向き | 電圧の大きさ |
|---|---|---|
| 抵抗 | 電流と同相(どうそう) | 抵抗×電流 |
| コイル | 90°進み(すすみ) | 誘導性リアクタンス(ゆうどうせいりあくたんす)×電流 |
| コンデンサ | 90°遅れ(おくれ) | 容量性リアクタンス(ようりょうせいりあくたんす)×電流 |
直列では、電流がどの素子でも同じです。抵抗の電圧とリアクタンスの電圧は90°ずれるので、足し算ではなく三平方の定理で合わせます。力率は、抵抗をインピーダンスで割った値です。
言葉の式 インピーダンス = √(抵抗² +(誘導性リアクタンス − 容量性リアクタンス)²)
Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 XL:誘導性リアクタンス〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕
言葉の式 力率 = 抵抗 ÷ インピーダンス
cosθ:力率 θ:力率角(インピーダンス角)〔rad〕 R:抵抗〔Ω〕 Z:インピーダンス〔Ω〕
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| コイルのリアクタンスがコンデンサより大きいと、電流は電圧より遅れる | ○ | コイルの性質が勝つ。小さいときは電流が進む |
| 抵抗とリアクタンスの直列は、2つの和がインピーダンス | × | 直角に合わせる。8 Ωと6 Ωなら14 Ωではなく10 Ω |
| 抵抗とリアクタンスの比が1:√2のRL直列で、力率は約0.71 | × | 0.71は抵抗÷リアクタンス。斜辺のインピーダンスで割り、約0.577 |
| 直列のコイルの電圧は電流より90°進み、コンデンサの電圧は90°遅れる | ○ | 直列は電流を基準にして電圧を見る |
- インピーダンス(いんぴーだんす)(Z、単位Ω)は、交流の電流の流れにくさです。リアクタンス(りあくたんす)は、コイルとコンデンサの流れにくさです。
- コイルとコンデンサの電圧は向きが正反対なので、直列ではリアクタンスを引き算します。差が正なら誘導性(遅れ)、負なら容量性(進み)です。
- 電圧と電流の位相差(いそうさ)の tan は、リアクタンスの差を抵抗で割った値です。cos は抵抗÷インピーダンスで、これが力率です。
解き方:周波数を変えたRC直列回路の電流
- ① 最初の一手は、初めの条件からインピーダンスを出し、リアクタンスを逆にたどることです。
- ② 容量性リアクタンスは周波数に反比例するので、新しい周波数の値に直します。
- ③ 抵抗と新しいリアクタンスを三平方で合わせ、電圧をインピーダンスで割ります。
例の条件を短くまとめます(令和6年度下期 問9)。4 Ωの抵抗とコンデンサの直列に、50 Hz(ヘルツ)・100 Vをかけると20 Aでした。同じ回路に60 Hz・100 Vをかけたときの電流を求めます。
- 50 Hz:インピーダンスは100÷20=5 Ωです。抵抗が4 Ωなので、リアクタンスは3:4:5の直角三角形から3 Ωです。
- 60 Hz:リアクタンスは3×50÷60=2.5 Ωに下がります。インピーダンスは次のとおりです。
Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕
- 電流は次のとおりで、約21.2 Aです。
I:電流(実効値)〔A〕 V:電圧(実効値)〔V〕 Z:インピーダンス〔Ω〕
- 電流を周波数に比例させて24 Aとするのは誤りです。周波数で変わるのはリアクタンスだけで、抵抗は変わりません。
RLC並列回路 ── 電圧が共通で、電流を矢印で合成

| 比べる所 | 直列 | 並列 |
|---|---|---|
| どの素子でも同じ量 | 電流 | 電圧 |
| 基準にする矢印 | 電流 | 電圧 |
| 90°進む矢印 | コイルの電圧 | コンデンサの電流 |
| 90°遅れる矢印 | コンデンサの電圧 | コイルの電流 |
| 三平方で合わせる量 | 電圧 | 電流 |
並列では電圧がどの枝でも同じで、枝の電流を矢印で合わせます。コンデンサの電流は電圧より90°進み、コイルの電流は90°遅れます。インピーダンスの逆数(流れやすさ)で考えると、並列は流れやすさを矢印として足す(向きも含めて足す)計算になります。
言葉の式 全電流 = √(抵抗の電流² +(コイルの電流 − コンデンサの電流)²)(電圧と同相の成分と 90° ずれた成分を直角に合成)
I:全電流(電源電流)〔A〕 IR:抵抗の電流〔A〕 IL:コイルの電流〔A〕 IC:コンデンサの電流〔A〕
言葉の式 アドミタンス = √(コンダクタンス² + サセプタンス²)
Y:アドミタンス〔S〕 G:コンダクタンス〔S〕 B:サセプタンス〔S〕
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 並列のコイルの電流は電圧より進み、コンデンサの電流は遅れる | × | 逆。並列は電圧を基準に電流を見て、コンデンサの電流が進む |
| コイルのリアクタンスがコンデンサの2倍の並列で、コンデンサの電流はコイルの電流の2倍 | ○ | 電圧が同じなので、電流はリアクタンスの逆の比 |
| 抵抗が十分大きく、コンデンサの電流がコイルの2倍の並列では、全電流は電圧よりほぼ90°進む | ○ | 打ち消し合った残りは、進みの1倍分 |
| LCを含む並列回路の電源の電流は、角周波数が低いほど大きい | × | 低い高いでは決まらない。共振から遠いほど大きく、共振に近いと2つの差が小さい |
- アドミタンス(あどみたんす)は、インピーダンスの逆数です(単位S、ジーメンス)。抵抗の逆数をコンダクタンス(こんだくたんす)、リアクタンスの逆数をサセプタンス(させぷたんす)と呼びます。
- コイルとコンデンサの電流は向きが正反対なので、先に引き算してから、抵抗の電流と三平方で合わせます。
- 枝の電流の大きさを、そのまま足すのは誤りです。向きの違う電流は、電圧と同じ向きの成分と直角の成分に分けて合わせます。
解き方:角周波数を変えたときの並列の電流
- ① 最初の一手は、電圧が共通なので、枝ごとの電流を別々に出すことです。
- ② コイルとコンデンサの電流の差をとり、抵抗の電流と三平方で合わせます。
- ③ 角周波数ごとに同じ手順をくり返し、大きさを比べます。
例の条件を短くまとめます(令和元年度 問9)。1 Vの電源に、100 kΩ・10 μF(マイクロファラド)・1 mH(ミリヘンリー)が並列です。角周波数が5 krad/sと30 krad/sのときの電流を比べます。
- 抵抗の電流は10 μAで、ほかの枝に比べてごく小さい値です。
- 5 krad/sのとき、コイルの電流は次のとおりです。
IL:コイルを流れる電流〔A〕 V:コイルの両端の電圧〔V〕 ω:角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕
- 同じとき、コンデンサの電流は次のとおりです。
IC:コンデンサを流れる電流〔A〕 ω:角周波数〔rad/s〕 C:静電容量〔F〕 V:コンデンサの両端の電圧〔V〕
- 全電流は次のとおりで、約0.15 Aです。
- 30 krad/sでは、コイルが約0.033 A、コンデンサが0.3 Aです。差は約0.267 Aで、5 krad/sのときより大きくなります。
- 10 krad/sでは2つの電流が等しくなって打ち消し合い、電源の電流は抵抗の10 μAだけです。
共振 ── リアクタンスが打ち消し合い、直列は電流最大・並列は最小

| 比べる所 | 直列共振(ちょくれつきょうしん) | 並列共振(へいれつきょうしん) |
|---|---|---|
| 打ち消し合う量 | コイルとコンデンサの電圧 | コイルとコンデンサの電流 |
| インピーダンス | 最小(抵抗だけ) | LとCの部分は無限大 |
| 電源の電流 | 最大 | 最小 |
| 電圧と電流の位相(いそう) | 同相 | 同相 |
| LとCの中 | 電圧は0ではない | 電流は0ではない |
誘導性と容量性のリアクタンスが等しい周波数(共振周波数(きょうしんしゅうはすう))で、2つが打ち消し合います。直列共振は電流が最大、並列共振は電源の電流が最小になります。どちらも電源の電流は、電圧を抵抗で割った値です。
言葉の式 共振の条件:誘導性リアクタンス = 容量性リアクタンス(ωL = 1 ÷ ωC)。このとき電圧と電流が同相になる
XL:誘導性リアクタンス〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕 ω:角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕
言葉の式 共振周波数 = 1 ÷(2π × √(インダクタンス × 静電容量))
f0:共振周波数〔Hz〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 直列共振では、LとCの電圧がどちらも0になる | × | 大きさが等しく逆向きで、0になるのは合計。1つずつは電源電圧より大きいこともある |
| 並列共振では、電源の電流が最大になる | × | 最小。電流が最大になるのは直列共振 |
| RLC直列で、共振周波数より低い周波数では電流が電圧より遅れる | × | 低い周波数は容量性で、電流は進む。高い周波数は誘導性で遅れる |
| コイルを2倍にすると、共振周波数は約0.707倍に下がる | ○ | 共振周波数はLとCの積の平方根に反比例する |
- 周波数が低いほどコンデンサの流れにくさが、高いほどコイルの流れにくさが目立ちます。
- RLC直列で抵抗の電圧が0になるのは、直流と、限りなく高い周波数の両端です。直流ではコンデンサが、高い周波数ではコイルが電流を止めます。共振では逆に最大です。
- 共振の式は、角周波数(かくしゅうはすう)のωでも書けます。周波数は、角周波数を2π(パイ)で割った値です。
解き方:直列共振のときのコイルの電圧
- ① 最初の一手は、「電流が最大」を直列共振と読むことです。
- ② 共振の角周波数を出し、そのときのコイルのリアクタンスを出します。
- ③ 直列は電流が同じなので、電圧の比はリアクタンスと抵抗の比です。
例の条件を短くまとめます(令和4年度上期 問9)。5 Ω・200 mH・20 μFの直列に交流をかけ、電流が最大になるよう周波数を変えます。コイルの電圧は、抵抗の電圧の何倍かを求めます。
- 共振の角周波数は次のとおりです。
ω0:共振角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕
- 200 mHは0.2 Hなので、そのときのコイルのリアクタンスは次のとおりです(500×0.2=100 Ωと同じ)。
XL:共振時の誘導性リアクタンス(=共振時の容量性リアクタンス)〔Ω〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕
- コイルの電圧÷抵抗の電圧は、100÷5=20倍です。
- 500は角周波数の値で、周波数ではありません。周波数は500÷2πで、約79.6 Hzです。
交流電力と力率 ── 消費されるのは電流の同相分だけ

| 電力 | 記号と単位 | 意味 |
|---|---|---|
| 有効電力(ゆうこうでんりょく) | P〔W〕 | 抵抗で消費される分 |
| 無効電力(むこうでんりょく) | Q〔var〕 | 電源とコイル・コンデンサの間を行って戻るだけの分 |
| 皮相電力(ひそうでんりょく) | S〔V·A〕 | 電圧×電流の、見かけの電力 |
| 力率 | cosθ | 皮相電力のうち、有効電力の割合 |
消費されるのは、電流のうち電圧と同じ向きの成分だけです。有効電力・無効電力・皮相電力は、直角三角形の3辺の関係になります。力率は有効電力を皮相電力で割った値で、1を超えません。
言葉の式 有効電力 = 電圧 × 電流 × 力率
P:有効電力〔W〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕 cosθ:力率
言葉の式 無効電力 = 電圧 × 電流 × sinθ(直列回路では 電流² × リアクタンス)
Q:無効電力〔var〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕 θ:電圧と電流の位相差〔rad〕
言葉の式 皮相電力² = 有効電力² + 無効電力²(変形:Q = √(S² − P²))
S:皮相電力〔V·A〕 P:有効電力〔W〕 Q:無効電力〔var〕
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 力率は、皮相電力を有効電力で割った値 | × | 上下が逆。有効電力÷皮相電力で、1以下になる |
| 電源電圧と電流の積が、そのまま有効電力 | × | それは皮相電力。有効電力は、抵抗を流れる電流の2乗×抵抗 |
| 電圧がsin、電流がcosの式で、cosの中の角度をそのまま位相差とする | × | sinはcosより90°遅れる。どちらかにそろえてから差をとる |
| 誘導性の負荷の電流は、電圧より時計回りにずれた矢印で描く | ○ | 誘導性は遅れ電流。進み(反時計回り)は容量性 |
- コイルとコンデンサは電気をためては返すだけで、電力を消費しません。消費するのは抵抗だけです。
- 力率の値は位相差の大きさだけで決まり、進みか遅れかには関係しません。
- 電流を、電圧と同じ向きの成分(力率を掛けた分)と直角の成分に分けると、並列に抵抗を足す問題も三平方で解けます。
- 工場・現場では、モーターの遅れ無効電力を電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ)の進み無効電力で打ち消し、力率を1に近づけます(力率改善(りきりつかいぜん))。
解き方:計器の指示から無効電力とリアクタンスを出す
- ① 最初の一手は、電圧計と電流計の積が皮相電力、電力計の指示が有効電力だと読むことです。
- ② 電力の三角形から、無効電力を出します。
- ③ 無効電力はコイルだけが受け持つので、コイルの電圧と無効電力からリアクタンスを出します。
例の条件を短くまとめます(平成26年度 問15)。コイルと抵抗の並列回路で、電流計が12.5 A、電圧計が300 V、電力計が2250 Wを指しました。
- 皮相電力は次のとおりです。
S:皮相電力〔V·A〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕
- Qは三平方から3000 var(バール)です(2250・3000・3750は3:4:5)。確かめると次のとおりです。
- コイルには300 Vがかかるので、リアクタンスは次のとおりです。
X:コイルの誘導性リアクタンス〔Ω〕 V:コイルにかかる電圧〔V〕 Q:コイルの無効電力〔var〕
- 300÷12.5=24 Ωは並列全体のインピーダンスで、コイルのリアクタンスではありません。
まとめ
直列は電流が共通で電圧を、並列は電圧が共通で電流を、三平方で合わせます。
リアクタンスが打ち消し合う共振では、直列は電流が最大、並列は電源の電流が最小です。
消費されるのは同相の電流の分だけで、有効・無効・皮相電力は直角三角形の3辺です。
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参考文献
- 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 第5章(交流回路) Amazonで見る
- 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH04 交流回路の章 最新版をAmazonで見る
- 第三種電気主任技術者試験 理論 問題(電気技術者試験センター) 平成26年度・令和元年度・令和4年度上期・令和6年度下期
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