動画解説はこちら|YouTube

電験三種 理論 交流回路|RLC直列・並列・共振・交流電力と力率

電験三種 理論 交流回路|RLC直列・並列・共振・交流電力と力率

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

最終確認:2026年10月24日

電験三種の理論で、交流回路の計算の中心になる4つの論点をまとめた辞書です。RLC直列回路、RLC並列回路、共振、交流電力と力率(りきりつ)の順に確かめます。

理論の論点:直流回路①|直流回路②|静電気|磁気|電磁誘導|交流の基本

交流回路|三相交流|過渡現象|半導体|電子回路|電気計測

RLC直列回路 ── 電流が共通で、電圧を三平方で合成

RLC直列回路のベクトル図:電流を基準に、抵抗の電圧は同じ向き、コイルの電圧は90°進み、コンデンサの電圧は90°遅れで、差と抵抗の電圧を直角に合わせた斜辺が電源の電圧になる
素子電流に対する電圧の向き電圧の大きさ
抵抗電流と同相(どうそう)抵抗×電流
コイル90°進み(すすみ)誘導性リアクタンス(ゆうどうせいりあくたんす)×電流
コンデンサ90°遅れ(おくれ)容量性リアクタンス(ようりょうせいりあくたんす)×電流

直列では、電流がどの素子でも同じです。抵抗の電圧とリアクタンスの電圧は90°ずれるので、足し算ではなく三平方の定理で合わせます。力率は、抵抗をインピーダンスで割った値です。

言葉の式 インピーダンス = √(抵抗² +(誘導性リアクタンス − 容量性リアクタンス)²)

Z=R2+(XL−XC)2

Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 XL:誘導性リアクタンス〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕

言葉の式 力率 = 抵抗 ÷ インピーダンス

cosθ=RZ

cosθ:力率 θ:力率角(インピーダンス角)〔rad〕 R:抵抗〔Ω〕 Z:インピーダンス〔Ω〕

問われる形○×ポイント
コイルのリアクタンスがコンデンサより大きいと、電流は電圧より遅れる○コイルの性質が勝つ。小さいときは電流が進む
抵抗とリアクタンスの直列は、2つの和がインピーダンス×直角に合わせる。8 Ωと6 Ωなら14 Ωではなく10 Ω
抵抗とリアクタンスの比が1:√2のRL直列で、力率は約0.71×0.71は抵抗÷リアクタンス。斜辺のインピーダンスで割り、約0.577
直列のコイルの電圧は電流より90°進み、コンデンサの電圧は90°遅れる○直列は電流を基準にして電圧を見る
  • インピーダンス(いんぴーだんす)(Z、単位Ω)は、交流の電流の流れにくさです。リアクタンス(りあくたんす)は、コイルとコンデンサの流れにくさです。
  • コイルとコンデンサの電圧は向きが正反対なので、直列ではリアクタンスを引き算します。差が正なら誘導性(遅れ)、負なら容量性(進み)です。
  • 電圧と電流の位相差(いそうさ)の tan は、リアクタンスの差を抵抗で割った値です。cos は抵抗÷インピーダンスで、これが力率です。

解き方:周波数を変えたRC直列回路の電流

  • ① 最初の一手は、初めの条件からインピーダンスを出し、リアクタンスを逆にたどることです。
  • ② 容量性リアクタンスは周波数に反比例するので、新しい周波数の値に直します。
  • ③ 抵抗と新しいリアクタンスを三平方で合わせ、電圧をインピーダンスで割ります。

例の条件を短くまとめます(令和6年度下期 問9)。4 Ωの抵抗とコンデンサの直列に、50 Hz(ヘルツ)・100 Vをかけると20 Aでした。同じ回路に60 Hz・100 Vをかけたときの電流を求めます。

  • 50 Hz:インピーダンスは100÷20=5 Ωです。抵抗が4 Ωなので、リアクタンスは3:4:5の直角三角形から3 Ωです。
  • 60 Hz:リアクタンスは3×50÷60=2.5 Ωに下がります。インピーダンスは次のとおりです。
Z=(4 Ω)2+(2.5 Ω)2=4.717 Ω

Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕

  • 電流は次のとおりで、約21.2 Aです。
I=100 V4.717 Ω=21.2 A

I:電流(実効値)〔A〕 V:電圧(実効値)〔V〕 Z:インピーダンス〔Ω〕

  • 電流を周波数に比例させて24 Aとするのは誤りです。周波数で変わるのはリアクタンスだけで、抵抗は変わりません。

関連:RLC並列回路|リアクタンス|平方根と三平方の定理

RLC並列回路 ── 電圧が共通で、電流を矢印で合成

並列回路のベクトル図:電圧を基準に、抵抗の電流は同じ向き、コンデンサの電流は90°進み、コイルの電流は90°遅れで、電流を基準にする直列とは進む矢印と遅れる矢印の部品が入れ替わる
比べる所直列並列
どの素子でも同じ量電流電圧
基準にする矢印電流電圧
90°進む矢印コイルの電圧コンデンサの電流
90°遅れる矢印コンデンサの電圧コイルの電流
三平方で合わせる量電圧電流

並列では電圧がどの枝でも同じで、枝の電流を矢印で合わせます。コンデンサの電流は電圧より90°進み、コイルの電流は90°遅れます。インピーダンスの逆数(流れやすさ)で考えると、並列は流れやすさを矢印として足す(向きも含めて足す)計算になります。

言葉の式 全電流 = √(抵抗の電流² +(コイルの電流 − コンデンサの電流)²)(電圧と同相の成分と 90° ずれた成分を直角に合成)

I=IR2+(IL−IC)2

I:全電流(電源電流)〔A〕 IR:抵抗の電流〔A〕 IL:コイルの電流〔A〕 IC:コンデンサの電流〔A〕

言葉の式 アドミタンス = √(コンダクタンス² + サセプタンス²)

Y=G2+B2

Y:アドミタンス〔S〕 G:コンダクタンス〔S〕 B:サセプタンス〔S〕

問われる形○×ポイント
並列のコイルの電流は電圧より進み、コンデンサの電流は遅れる×逆。並列は電圧を基準に電流を見て、コンデンサの電流が進む
コイルのリアクタンスがコンデンサの2倍の並列で、コンデンサの電流はコイルの電流の2倍○電圧が同じなので、電流はリアクタンスの逆の比
抵抗が十分大きく、コンデンサの電流がコイルの2倍の並列では、全電流は電圧よりほぼ90°進む○打ち消し合った残りは、進みの1倍分
LCを含む並列回路の電源の電流は、角周波数が低いほど大きい×低い高いでは決まらない。共振から遠いほど大きく、共振に近いと2つの差が小さい
  • アドミタンス(あどみたんす)は、インピーダンスの逆数です(単位S、ジーメンス)。抵抗の逆数をコンダクタンス(こんだくたんす)、リアクタンスの逆数をサセプタンス(させぷたんす)と呼びます。
  • コイルとコンデンサの電流は向きが正反対なので、先に引き算してから、抵抗の電流と三平方で合わせます。
  • 枝の電流の大きさを、そのまま足すのは誤りです。向きの違う電流は、電圧と同じ向きの成分と直角の成分に分けて合わせます。

解き方:角周波数を変えたときの並列の電流

  • ① 最初の一手は、電圧が共通なので、枝ごとの電流を別々に出すことです。
  • ② コイルとコンデンサの電流の差をとり、抵抗の電流と三平方で合わせます。
  • ③ 角周波数ごとに同じ手順をくり返し、大きさを比べます。

例の条件を短くまとめます(令和元年度 問9)。1 Vの電源に、100 kΩ・10 μF(マイクロファラド)・1 mH(ミリヘンリー)が並列です。角周波数が5 krad/sと30 krad/sのときの電流を比べます。

  • 抵抗の電流は10 μAで、ほかの枝に比べてごく小さい値です。
  • 5 krad/sのとき、コイルの電流は次のとおりです。
IL=1 V5000 rad/s×1 mH=0.2 A

IL:コイルを流れる電流〔A〕 V:コイルの両端の電圧〔V〕 ω:角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕

  • 同じとき、コンデンサの電流は次のとおりです。
IC=5000 rad/s×10 μF×1 V=0.05 A

IC:コンデンサを流れる電流〔A〕 ω:角周波数〔rad/s〕 C:静電容量〔F〕 V:コンデンサの両端の電圧〔V〕

  • 全電流は次のとおりで、約0.15 Aです。
I=(10 μA)2+(0.2 A−0.05 A)2=0.15 A
  • 30 krad/sでは、コイルが約0.033 A、コンデンサが0.3 Aです。差は約0.267 Aで、5 krad/sのときより大きくなります。
  • 10 krad/sでは2つの電流が等しくなって打ち消し合い、電源の電流は抵抗の10 μAだけです。

関連:RLC直列回路|共振|ベクトル

共振 ── リアクタンスが打ち消し合い、直列は電流最大・並列は最小

共振:誘導性と容量性のリアクタンスが等しい角周波数で打ち消し合い、RLC直列では電流が最大、LC並列では電源の電流が最小になる
比べる所直列共振(ちょくれつきょうしん)並列共振(へいれつきょうしん)
打ち消し合う量コイルとコンデンサの電圧コイルとコンデンサの電流
インピーダンス最小(抵抗だけ)LとCの部分は無限大
電源の電流最大最小
電圧と電流の位相(いそう)同相同相
LとCの中電圧は0ではない電流は0ではない

誘導性と容量性のリアクタンスが等しい周波数(共振周波数(きょうしんしゅうはすう))で、2つが打ち消し合います。直列共振は電流が最大、並列共振は電源の電流が最小になります。どちらも電源の電流は、電圧を抵抗で割った値です。

言葉の式 共振の条件:誘導性リアクタンス = 容量性リアクタンス(ωL = 1 ÷ ωC)。このとき電圧と電流が同相になる

XL=XC⇔ωL=1ωC

XL:誘導性リアクタンス〔Ω〕 XC:容量性リアクタンス〔Ω〕 ω:角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕

言葉の式 共振周波数 = 1 ÷(2π × √(インダクタンス × 静電容量))

f0=12πLC

f0:共振周波数〔Hz〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕

問われる形○×ポイント
直列共振では、LとCの電圧がどちらも0になる×大きさが等しく逆向きで、0になるのは合計。1つずつは電源電圧より大きいこともある
並列共振では、電源の電流が最大になる×最小。電流が最大になるのは直列共振
RLC直列で、共振周波数より低い周波数では電流が電圧より遅れる×低い周波数は容量性で、電流は進む。高い周波数は誘導性で遅れる
コイルを2倍にすると、共振周波数は約0.707倍に下がる○共振周波数はLとCの積の平方根に反比例する
  • 周波数が低いほどコンデンサの流れにくさが、高いほどコイルの流れにくさが目立ちます。
  • RLC直列で抵抗の電圧が0になるのは、直流と、限りなく高い周波数の両端です。直流ではコンデンサが、高い周波数ではコイルが電流を止めます。共振では逆に最大です。
  • 共振の式は、角周波数(かくしゅうはすう)のωでも書けます。周波数は、角周波数を2π(パイ)で割った値です。

解き方:直列共振のときのコイルの電圧

  • ① 最初の一手は、「電流が最大」を直列共振と読むことです。
  • ② 共振の角周波数を出し、そのときのコイルのリアクタンスを出します。
  • ③ 直列は電流が同じなので、電圧の比はリアクタンスと抵抗の比です。

例の条件を短くまとめます(令和4年度上期 問9)。5 Ω・200 mH・20 μFの直列に交流をかけ、電流が最大になるよう周波数を変えます。コイルの電圧は、抵抗の電圧の何倍かを求めます。

  • 共振の角周波数は次のとおりです。
ω0=1200 mH×20 μF=500 rad/s

ω0:共振角周波数〔rad/s〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕

  • 200 mHは0.2 Hなので、そのときのコイルのリアクタンスは次のとおりです(500×0.2=100 Ωと同じ)。
XL=200 mH20 μF=100 Ω

XL:共振時の誘導性リアクタンス(=共振時の容量性リアクタンス)〔Ω〕 L:インダクタンス〔H〕 C:静電容量〔F〕

  • コイルの電圧÷抵抗の電圧は、100÷5=20倍です。
  • 500は角周波数の値で、周波数ではありません。周波数は500÷2πで、約79.6 Hzです。

関連:RLC並列回路|交流電力と力率|平方根と三平方の定理

交流電力と力率 ── 消費されるのは電流の同相分だけ

交流電力と力率:電圧300 V・電流12.5 Aが約53°ずれると、瞬時電力は正と負の間を行き来し、その平均2250 Wが有効電力で、無効電力3000 var、皮相電力3750 V·Aと直角三角形になる
電力記号と単位意味
有効電力(ゆうこうでんりょく)P〔W〕抵抗で消費される分
無効電力(むこうでんりょく)Q〔var〕電源とコイル・コンデンサの間を行って戻るだけの分
皮相電力(ひそうでんりょく)S〔V·A〕電圧×電流の、見かけの電力
力率cosθ皮相電力のうち、有効電力の割合

消費されるのは、電流のうち電圧と同じ向きの成分だけです。有効電力・無効電力・皮相電力は、直角三角形の3辺の関係になります。力率は有効電力を皮相電力で割った値で、1を超えません。

言葉の式 有効電力 = 電圧 × 電流 × 力率

P=VIcosθ

P:有効電力〔W〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕 cosθ:力率

言葉の式 無効電力 = 電圧 × 電流 × sinθ(直列回路では 電流² × リアクタンス)

Q=VIsinθ

Q:無効電力〔var〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕 θ:電圧と電流の位相差〔rad〕

言葉の式 皮相電力² = 有効電力² + 無効電力²(変形:Q = √(S² − P²))

S2=P2+Q2

S:皮相電力〔V·A〕 P:有効電力〔W〕 Q:無効電力〔var〕

問われる形○×ポイント
力率は、皮相電力を有効電力で割った値×上下が逆。有効電力÷皮相電力で、1以下になる
電源電圧と電流の積が、そのまま有効電力×それは皮相電力。有効電力は、抵抗を流れる電流の2乗×抵抗
電圧がsin、電流がcosの式で、cosの中の角度をそのまま位相差とする×sinはcosより90°遅れる。どちらかにそろえてから差をとる
誘導性の負荷の電流は、電圧より時計回りにずれた矢印で描く○誘導性は遅れ電流。進み(反時計回り)は容量性
  • コイルとコンデンサは電気をためては返すだけで、電力を消費しません。消費するのは抵抗だけです。
  • 力率の値は位相差の大きさだけで決まり、進みか遅れかには関係しません。
  • 電流を、電圧と同じ向きの成分(力率を掛けた分)と直角の成分に分けると、並列に抵抗を足す問題も三平方で解けます。
  • 工場・現場では、モーターの遅れ無効電力を電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ)の進み無効電力で打ち消し、力率を1に近づけます(力率改善(りきりつかいぜん))。

解き方:計器の指示から無効電力とリアクタンスを出す

  • ① 最初の一手は、電圧計と電流計の積が皮相電力、電力計の指示が有効電力だと読むことです。
  • ② 電力の三角形から、無効電力を出します。
  • ③ 無効電力はコイルだけが受け持つので、コイルの電圧と無効電力からリアクタンスを出します。

例の条件を短くまとめます(平成26年度 問15)。コイルと抵抗の並列回路で、電流計が12.5 A、電圧計が300 V、電力計が2250 Wを指しました。

  • 皮相電力は次のとおりです。
S=300 V×12.5 A=3750 V·A

S:皮相電力〔V·A〕 V:電圧(実効値)〔V〕 I:電流(実効値)〔A〕

  • Qは三平方から3000 var(バール)です(2250・3000・3750は3:4:5)。確かめると次のとおりです。
S2=(2250 W)2+(3000 var)2S=3750 V·A
  • コイルには300 Vがかかるので、リアクタンスは次のとおりです。
X=(300 V)23000 var=30 Ω

X:コイルの誘導性リアクタンス〔Ω〕 V:コイルにかかる電圧〔V〕 Q:コイルの無効電力〔var〕

  • 300÷12.5=24 Ωは並列全体のインピーダンスで、コイルのリアクタンスではありません。

関連:RLC並列回路|平衡三相回路の計算|三角比とラジアン

まとめ

直列は電流が共通で電圧を、並列は電圧が共通で電流を、三平方で合わせます。

リアクタンスが打ち消し合う共振では、直列は電流が最大、並列は電源の電流が最小です。

消費されるのは同相の電流の分だけで、有効・無効・皮相電力は直角三角形の3辺です。

次に読む

参考文献

  • 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 第5章(交流回路) Amazonで見る
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH04 交流回路の章 最新版をAmazonで見る
  • 第三種電気主任技術者試験 理論 問題(電気技術者試験センター) 平成26年度・令和元年度・令和4年度上期・令和6年度下期

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む