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電験三種 電力 原子力発電|核分裂と質量欠損・軽水炉・核燃料サイクル

電験三種 電力 原子力発電|核分裂と質量欠損・軽水炉・核燃料サイクル

最終確認:2026年11月3日

電験三種の電力で、原子力発電の3つの論点をまとめた辞書です。核分裂で出る熱と質量欠損(しつりょうけっそん)の計算、原子炉と軽水炉のしくみ、核燃料サイクルの順に確かめます。

電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電

核分裂と質量欠損 ── 分裂で減ったわずかな質量が、けた外れに大きな熱になる

質量欠損とエネルギー:ウラン235の1×10⁻³ kgに0.09%を掛けた質量欠損9×10⁻⁷ kgに光速の2乗(9×10¹⁶)を掛けると熱8.1×10¹⁰ Jになり、発熱量で割ると石炭3 240 kgに相当する
量求め方単位
核分裂するウラン235の質量燃料の質量に、ウラン235の割合を掛ける。gはkgに直すkg
質量欠損核分裂するウラン235の質量に、質量欠損の割合を掛けるkg
核分裂エネルギー質量欠損に、光速の2乗を掛ける。光速は3×10⁸ m/sJ
同じ熱を出す燃料の量熱をkJに直し、燃料の発熱量で割るkgかL
取り出せる電力量熱に、電力量にする割合を掛けるJ

核分裂で減ったわずかな質量に、光速の2乗という、けた外れの数を掛けた熱が出ます。ウラン235の1 gでも、石炭約3 tぶんの熱になります。

言葉の式 質量欠損 = 核分裂するウラン235の質量 × 質量欠損の割合

m=mu×k

m:質量欠損〔kg〕 mu:核分裂するウラン235の質量〔kg〕 k:質量欠損の割合(0.09 % = 0.0009)

言葉の式 核分裂エネルギー = 質量欠損 × 光速の2乗

E=mc2

E:核分裂エネルギー〔J〕 m:質量欠損〔kg〕 c:光速(c = 3×10⁸)〔m/s〕

言葉の式 燃料の量 = 発生エネルギー[kJ]÷ 燃料の発熱量[kJ/kg や kJ/L]

B=Eq

B:燃料の量〔kg または L〕 E:発生エネルギー(kJ に直したもの)〔kJ〕 q:燃料の発熱量〔kJ/kg または kJ/L〕

よくある誤り正しくは
核分裂のあとの質量の合計は、分裂の前より、わずかに大きくなるわずかに小さくなる。この差が質量欠損で、その分が熱になる
光速の2乗を掛ける式の質量には、gのままの値を入れてよい質量はkgで入れる。gのまま入れると、答えが1 000倍ずれる
燃料1 kgにウラン235が3.5%なら、燃料1 kg全体に0.09%を掛ける0.09%は、核分裂するウラン235の0.035 kgだけに掛ける
出るエネルギーは質量と光速の積で、原子力発電は核融合を使う光速は2乗する。原子力発電は、核分裂の前後の結合エネルギーの差を使う
連鎖反応:核分裂で出た速い中性子は減速材で遅くなるとウラン235を分裂させ、一部はウラン238に吸われても、1個以上が次の分裂を起こせば連鎖反応が続く
  • 原子力発電は、この熱で蒸気をつくり、タービンを回して発電します。
  • 質量欠損の割合0.09%は、0.0009です。%の数を100で割ります。
  • 燃料の発熱量はkJで表すので、Jで出た熱を1 000で割り、kJにしてから割ります。
  • 同じ重さで比べると、ウラン235 1 kgの核分裂は8.1×10¹³ Jです。石炭1 kgの2.5×10⁷ Jの、約320万倍です。

原子核のつくりと、核分裂が続くしくみ

粒電荷決まり
陽子(ようし)正原子核の陽子の数が、原子番号
中性子(ちゅうせいし)なし陽子と中性子をあわせて核子(かくし)と呼ぶ
電子負原子核のまわりを回る。原子核には入らない
  • 原子核の陽子と中性子の数の和が、質量数(しつりょうすう)です。ヘリウムは陽子2個・中性子2個で、原子番号2・質量数4です。
  • 陽子どうしは反発しますが、核力(かくりょく)という強い力で引き合い、原子核にとどまります。
  • 原子核の質量は、それをつくる陽子と中性子の質量の和より小さくなります。この差も、質量欠損と呼びます。
  • 陽子と中性子が結びついて原子核になるとき、エネルギーが出ます。これが結合エネルギーで、逆にばらばらにするには同じだけのエネルギーを外から加えます。結びつくときは同じだけのエネルギーが出ます。
  • ある原子核が、外からの働きかけで別の原子核に変わることが核反応です。核分裂はその1つです。原子力発電は、核分裂の前後の結合エネルギーの差を使います。
  • ウラン235の原子核1個の核分裂で出るエネルギーは、約200 MeVです。MeVはエネルギーの単位で、出力の単位MWとは別です。
中性子が原子核に当たると呼び名起きること
跳ね返る散乱(さんらん)中性子は向きを変え、別の原子核へ飛ぶ
吸収され、取り込まれる捕獲(ほかく)ウラン238は捕獲して、プルトニウム239になる
吸収され、2つ(まれに3つか4つ)に分かれる核分裂ウラン235は、遅い中性子で核分裂する
  • 核分裂させるには、遅い中性子(熱中性子)を当てます。速い中性子(高速中性子)は吸収されにくく、ほとんど核分裂を起こしません。
  • 1回の核分裂では、速い中性子が2〜3個飛び出します。そこで燃料のまわりを減速材(げんそくざい)(軽水など)で満たし、中性子を遅くします。
  • 遅くなった中性子が次のウラン235を分裂させ、また中性子が出ます。こうして核分裂が続くことを、連鎖反応(れんさはんのう)と呼びます。
  • 全部の中性子が次の核分裂を起こすわけではありません。減速材に吸収されたり、ウラン238に捕獲されたりします。
  • 1個以上が次の核分裂を起こせば、連鎖反応は続きます。続きすぎると原子炉の温度が上がりすぎるので、制御棒(せいぎょぼう)やほう素で抑えます。

解き方:ウラン235から、燃料の量・揚水の量へ

  • ① 最初の一手は、核分裂するウラン235の質量を、kgで確定することです。燃料に含まれる割合を掛け、gは10⁻³倍します。
  • ② 質量欠損の割合(0.09%なら0.0009)を掛けて、質量欠損を出します。
  • ③ 光速3×10⁸ m/sの2乗、9×10¹⁶を掛けて、熱をJで出します。
  • ④ 1 000で割ってkJにし、燃料の発熱量で割ります。最後に、選択肢の単位(tやkL)にそろえます。

例の条件を短くまとめます(令和6年度上期 問4)。ウラン235の1 gが核分裂し、質量欠損は0.09%です。比べる石炭の発熱量は、25 000 kJ/kgです。

  • 質量欠損は、1×10⁻³×0.0009=9×10⁻⁷ kgです。
E=9×10−7 kg×(3×108 m/s)2=8.1×1010 J
  • 8.1×10¹⁰ Jを1 000で割ると、8.1×10⁷ kJです。
B=8.1×107 kJ25000 kJ/kg=3240 kg
  • 約3.2 tで、選ぶ値は3 200 kgです。発熱量が2.51×10⁴ kJ/kgでも約3 227 kgで、同じ値を選びます(令和元年度 問4)。

次の例の条件です(令和5年度上期 問4)。燃料1 kgに、ウラン235が3.5%含まれます。質量欠損は0.09%、重油の発熱量は40 000 kJ/L、熱効率は100%とします。

  • 核分裂するウラン235は、1×0.035=0.035 kgです。質量欠損は、0.035×0.0009=3.15×10⁻⁵ kgです。
E=3.15×10−5 kg×(3×108 m/s)2=2.835×1012 J
  • 熱は2.835×10⁹ kJです。重油の量は、2.835×10⁹÷40 000≒7.09×10⁴ Lです。
  • 1 kLは1 000 Lなので約70.9 kLで、選ぶ値は70 kLです。kJに直し忘れると約7.1×10⁴ kLになり、外れます。

核分裂の熱で揚水する問題では、揚水に要る電力量と、核分裂から取り出せる電力量を、同じ単位で等しくおきます。

言葉の式 揚水に必要な電力量[kJ] = 9.8 × 揚水する水量[m³]× 揚程[m]÷ 揚水時の総合効率

Ww=9.8VHηpm

Ww:揚水に必要な電力量〔kJ〕 V:揚水する水量〔m³〕 H:揚程(全揚程)〔m〕 ηpm:揚水時の電動機とポンプの総合効率

言葉の式 取り出せる電力量 = 熱効率(割合)× 発生エネルギー

We=ηE

We:取り出せる電力量〔J〕 η:熱から電力量にする割合(熱効率) E:核分裂エネルギー〔J〕

  • 揚水に要る電力量は、くみ上げる仕事を総合効率で割ります。水量をm³で入れると、答えはkJです。
  • 取り出せる電力量は、核分裂の熱に、電力量にする割合を掛けます。

例の条件を短くまとめます(平成29年度 問4)。M〔g〕のウラン235の核分裂の熱の30%を電力量にし、水90 000 m³を揚程240 mへくみ上げます。

  • 電動機とポンプの総合効率は84%、質量欠損は0.09%です。送電の損失は考えません。
  • 揚水に要る電力量は、9.8×90 000×240÷0.84=2.52×10⁸ kJです。Jに直すと、2.52×10¹¹ Jです。
  • ウラン235 1 gの熱は、前の例と同じ8.1×10¹⁰ Jです。電力量にできるのは、8.1×10¹⁰×0.3=2.43×10¹⁰ Jです。
  • Mは、2.52×10¹¹÷2.43×10¹⁰≒10.4 gです。問題に出るウランの原子番号92は、計算に使いません。
  • 効率で割らずに掛けると約7.3 gになり、外れます。

関連:原子炉と軽水炉|揚水発電と調整池の運用|10の何乗と接頭語

原子炉と軽水炉 ── BWRは炉の中で沸かし、PWRは別の水を沸かす

BWRとPWR:BWRは原子炉で沸かした蒸気をそのままタービンへ送り制御棒と再循環で出力を調整し、PWRは原子炉の水とは別の水を蒸気発生器で沸かして制御棒とほう素で調整する
比べる所沸騰水型軽水炉(ふっとうすいがたけいすいろ)(BWR)加圧水型軽水炉(かあつすいがたけいすいろ)(PWR)
蒸気をつくる所原子炉の中で沸騰させ、蒸気を直接タービンへ原子炉では沸かさず、蒸気発生器で別の水を沸かす
特有の装置再循環ポンプ・圧力抑制プール加圧器・蒸気発生器
出力の調整制御棒の抜き差しと、再循環ポンプの流量制御棒の抜き差しと、一次冷却材のほう素の濃さ
制御棒を入れる向き原子炉の下から上へ原子炉の上から下へ
タービンの側放射性物質が行くので、遮へいが要る放射性物質が行かず、汚れない
原子炉の圧力約7 MPa。PWRより低く、構成が簡単約16 MPa。加圧器で高める

軽水炉は、ふつうの水を減速材と冷却材(れいきゃくざい)に兼用し、BWRは炉の中で沸かし、PWRは別の水を沸かします。出力が上がると、泡や燃料の温度の働きで、出力はひとりでに下がります。

よくある誤り正しくは
軽水炉は、減速材に黒鉛、冷却材に軽水を使う減速材も冷却材も軽水。黒鉛を減速材にするのは、別の型の炉
BWRの制御棒は、炉心の上から入れる炉の上に気水分離器と乾燥器があるので、下から入れる。上から入れるのはPWR
PWRの出力は、再循環ポンプの流量で調整する制御棒と、一次冷却材のほう素の濃さで調整する。再循環ポンプはBWRの装置
燃料の温度が上がってウラン238が中性子を多く吸う働きは、ボイド効果ドップラー効果。ボイド効果は、冷却材の泡が増えて減速が弱まる働き
制御棒を入れる向き:BWRは原子炉の上に気水分離器があるので制御棒を下から入れ、PWRは上から入れて重さで落とせる
  • BWRには蒸気発生器が無く、炉心でできた蒸気だけをタービンへ送ります。
  • BWRの圧力抑制プールは、蒸気が原子炉格納容器に漏れたとき、蒸気を凝縮させて格納容器の中の圧力を抑える装置です。
  • PWRの一次冷却材は、原子炉と蒸気発生器の間を回ります。二次冷却材は、蒸気発生器・タービン・復水器を回ります。
  • 工場・現場では、熱媒油の一次系と二次系を熱交換器で分けるのと同じ考え方です。汚れた流体を内側に閉じ込め、熱だけを渡します。
  • 軽水炉は、熱中性子で核分裂させる熱中性子炉です。日本の発電用の原子炉は、軽水炉が主流です。

原子炉の構成材と、出力の調整

構成材役目主な材料
燃料棒核燃料を管に詰めた物。ここで核分裂が起きるウラン235・プルトニウム239
減速材速い中性子を、遅い熱中性子にする軽水・重水・黒鉛
制御棒中性子を吸う。入れると核分裂が減り、抜くと増えるほう素・カドミウム・ハフニウム
冷却材原子炉を冷やし、核分裂の熱を外へ運ぶ軽水・重水・二酸化炭素・液体金属
反射材炉心から逃げる中性子を、炉心へはね返す軽水・重水・ベリリウム・黒鉛
遮へい材放射線が外へ漏れないようにするコンクリート・鉛・鉄
  • 原子炉は、核分裂の連鎖反応の熱で冷却材を熱くする装置です。火力発電のボイラにあたります。
  • 減速材には、中性子を吸いにくく、減速の効果が大きい物を使います。中性子は原子核にぶつかるたびに勢いを失い、遅くなります。
  • 冷却材には、中性子を吸いにくく、熱を伝えやすく、比熱が大きい物が向きます。
  • 原子炉は、圧力容器・格納容器・原子炉建屋で何重にも囲まれます。どれも、放射線をさえぎる遮へいの役目をします。
  • 放射性物質は、放射線を出す能力(放射能)をもつ物質です。放射線には、α(アルファ)線・β(ベータ)線・γ(ガンマ)線などがあります。
  • 軽水は、ふつうの水です。重水は水素の質量数が2の水で、自然の水の約0.015%しかありません。
  • 低濃縮ウランを焼き固めたペレットを、数百個ずつ被覆管(ひふくかん)に詰めて燃料棒にします。燃料棒を数百本束ねたものが、燃料集合体です。
出力が上がると起きること呼び名
BWRの冷却材沸騰が激しくなって泡が増え、熱中性子が減るボイド効果
PWRの冷却材温度が上がって密度が下がり、減速が弱まる減速材の温度効果
燃料(軽水炉に共通)ウラン238が中性子を吸いやすくなり、ウラン235の核分裂が減るドップラー効果
  • どれも、出力が上がると核分裂が減る向きに働きます。外からの制御に頼らずに出力を抑える性質を、自己制御性(原子炉の固有の安全性)と呼びます。
  • BWRで再循環ポンプの流量を増やすと、燃料のまわりの泡が押し流され、出力が上がります。流量を減らすと泡が残り、出力が下がります。
  • PWRの一次冷却材には、ほう素を溶かします。ほう素は中性子を吸うので、濃くすると出力が下がります。
  • 起動や停止のような大きな出力の変化は、制御棒で行います。引き抜くと出力が上がり、入れると下がります。
  • PWRの加圧器は、原子炉の圧力を高めて沸点を上げ、水を沸かさずに熱水のまま回します。
  • 制御棒が上にあれば、いざというとき、重さで落として入れられます。安全の上で有利なので、PWRは上に置きます。
  • BWRは燃料の上に、蒸気から水分を除く気水分離器と乾燥器があります。上からは燃料の間に入れられないので、下から入れます。
  • PWRは原子炉の中に気水分離器と乾燥器が無いので、原子炉が小さくなります。熱効率は、BWRより若干低くなります。

原子力発電の特徴と、蒸気タービン・新型炉

見る所中身
しくみ核分裂の熱で蒸気をつくり、タービンを回す。火力と同じ汽力発電
蒸気過熱しない飽和蒸気で、火力より圧力も温度も低い。熱効率も低い
蒸気の量同じ出力で、火力のタービンの約2倍の蒸気が要る
排出二酸化炭素や窒素酸化物を出さない
課題放射性廃棄物の処理が難しく、事故のときの周りへの被害が大きい
  • 高圧タービンを出た湿った蒸気は、湿分分離器で湿分を除いてから、低圧タービンへ送ります。
  • 低圧タービンの最後の段は翼が長いので、湿分で翼が削られないよう、翼の先の速さを抑えます。
  • そのため回転速度は、火力のタービンの半分にします。
周波数原子力のタービン火力のタービン
50 Hz(ヘルツ)1 500 min⁻¹3 000 min⁻¹
60 Hz1 800 min⁻¹3 600 min⁻¹
新型炉使う物特徴
高速増殖炉減速しない高速中性子ウラン238をプルトニウム239に変え、消費した量より多くつくる
高温ガス炉ヘリウムガスの冷却材、黒鉛の減速材冷却材と減速材が別の物
核融合炉重水素などの軽い原子核プラズマ状態の原子核を高速で衝突させ、融合させる
  • 高速増殖炉は、名前のとおり高速中性子を使います。遅い熱中性子でウラン238を変える、とする文は誤りです。

関連:核分裂と質量欠損|蒸気タービンと保護装置|汽力発電所の効率

核燃料サイクル ── 濃縮して使い、再処理で取り出したプルトニウムもまた使う

核燃料サイクル:鉱山・製錬・転換・濃縮(0.7%から3〜5%)・再転換・加工・発電所・再処理と一巡りし、再処理の後はMOX燃料にして発電所でまた使う(プルサーマル)。再処理からは廃棄物も出る
工程できる物すること
採掘・製錬(せいれん)ウラン精鉱(イエローケーキ)ウラン鉱石を化学処理して、粉にする
転換六ふっ化ウラン濃縮のため、気体にしやすい形にする
濃縮濃縮した六ふっ化ウラン遠心分離などで、ウラン235の割合を3〜5%程度に高める
再転換・加工二酸化ウラン → 燃料集合体粉を焼き固めたペレットを、燃料棒にして束ねる
発電所使用済み燃料燃料として使う。ウラン238の一部がプルトニウム239に変わる
再処理回収ウラン・プルトニウム使用済み燃料から、ウランとプルトニウムを取り出す

ウラン235を濃縮して使い、使用済み燃料から取り出したプルトニウムも、また使います。天然ウランのウラン235は約0.7%しかないので、軽水炉用に濃縮します。

言葉の式 転換比 = 生成した核分裂性物質の量 ÷ 消費した核分裂性物質の量

転換比=生成した核分裂性物質の量消費した核分裂性物質の量

転換比:転換比 生成量:生成した核分裂性物質の量〔kg など〕 消費量:消費した核分裂性物質の量〔kg など(生成量と同じ単位)〕

よくある誤り正しくは
軽水炉の燃料には、濃縮度90%程度の高濃縮ウランを使うウラン235を3〜5%程度に高めた低濃縮ウラン。数%でも「高濃縮」と書けば誤り
天然ウランに含まれるウラン235は、約1.5%約0.7%。残りのほとんどは、ウラン238
使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出す工程は、再加工再処理。加工は、粉をペレットや燃料棒に形づくる工程
ウランとプルトニウムを混ぜた燃料は、イエローケーキMOX燃料。イエローケーキは製錬でできるウラン精鉱で、燃料ではない
ウラン238からプルトニウム239:ウラン238が中性子を吸ってウラン239になり、β崩壊を2回経てネプツニウム239、プルトニウム239(核分裂する)に変わる
  • 天然のウランには、質量数234・235・238の同位体(どういたい)があります。同位体は、陽子の数が同じで中性子の数が違う原子です。
  • 天然ウランのほとんど(約99.3%)はウラン238です。核燃料になるのは、核分裂しやすいウラン235です。
  • ウラン235が少ないと、次の核分裂にたどり着く中性子が足りず、連鎖反応が止まります。だから濃縮します。
  • 低濃縮ウランの濃縮度は、問題によって「3%程度」や「2〜4%」とも書かれます。どれも数%で、低濃縮です。
  • 濃縮には、遠心分離法やガス拡散法を使います。遠心分離では、重いウラン238が外側に、軽いウラン235が中心に集まります。

物質の呼び名と、転換比

呼び名意味例
核分裂性物質(かくぶんれつせいぶっしつ)中性子を吸収して核分裂し、連鎖反応を続けられる物ウラン233・ウラン235・プルトニウム239・プルトニウム241
親物質(おやぶっしつ)中性子を吸収して、核分裂性物質に変わる物ウラン238(→プルトニウム239)・トリウム232(→ウラン233)
核分裂生成物核分裂でできた、割れたあとの原子核再処理で分け、高レベル放射性廃棄物になる
  • 親物質が核分裂性物質に変わることを、転換と呼びます。親物質を「中間物質」、核分裂性物質を「核分裂生成物」と取り違えないようにします。
  • ウラン238は中性子を1つ吸って、ウラン239になります。そのあとベータ崩壊を2回くり返し、ネプツニウム239を経てプルトニウム239に変わります。
  • プルトニウムは、天然にはほとんどありません。軽水炉の使用済み燃料には、プルトニウムが1%程度含まれます。
  • 転換比は、軽水炉で0.6程度です。高速中性子を使う高速増殖炉は1を超え、消費より多くの核分裂性物質ができます。
  • 消費より多くできる炉は、高速増殖炉です。新型転換炉と取り違えないようにします。

再処理とプルサーマル

  • 再処理では、使用済み燃料からウランとプルトニウムを分けて取り出します。残りは高レベル放射性廃棄物で、貯蔵管理したのちに処分します。
  • 取り出したウラン(回収ウラン)は、転換の工程へ戻して、もう一度使います。
  • プルトニウムをウランと混ぜた混合酸化物の燃料が、MOX燃料です。軽水炉でMOX燃料を使うことを、プルサーマルと呼びます。
  • 使用済み燃料を再生して、くり返し使う一巡りを、核燃料サイクルと呼びます。

関連:核分裂と質量欠損|原子炉と軽水炉

まとめ

核分裂で減ったわずかな質量に、光速の2乗を掛けた大きな熱が出ます。

軽水炉はふつうの水を減速材と冷却材に兼用し、BWRは炉の中で、PWRは別の水を沸かします。

ウラン235を濃縮して使い、再処理で取り出したプルトニウムもMOX燃料でまた使います。

次に読む

参考文献

  • 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH03 原子力発電の章(SEC01)
  • 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第3章 原子力・その他の発電
  • 第三種電気主任技術者試験 電力・法規 問題(電気技術者試験センター) 平成28年度・平成29年度・平成30年度・令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期

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