法令は択一20問で、3科目でいちばん短い勉強時間で合格ラインに届く科目です。平成28年度〜令和7年度の10年分・20問・600記述を1記述ずつ「○×/誤りの型/根拠条文/分野」に分解して集計すると、出題の構造はほぼ固定されています。
- 問1〜問20のテーマは毎年ほぼ同じ。問5・問6・問7は10年すべて同じテーマ
- 技術基準と容器で全体の51%。ここに時間を配分する
- 誤り選択肢は「例外の削除・捏造」と「範囲の拡大・縮小」で76%。断定表現を疑う
法令の記事を問1〜問20の順に並べた一覧は、法令の記事マップにまとめています。
問番号別の記事と論点 ── 分からない論点へ直接とぶ
| 問 | 記事と主な論点 |
|---|---|
| 問1 定義 | 高圧ガスの定義と適用除外:法の目的・圧縮ガス・液化ガス・適用除外 |
| 問2〜問4 許可・届出、危険時の措置 | 製造の許可と届出:100m³と300m³・混合ガスの判定式・変更の許可・地位の承継 貯蔵所の許可と届出:第一種貯蔵所・第一種製造者の例外 販売・消費・移動・廃棄:販売の届出・特定高圧ガスの消費・移動 危険時の措置・事故届・火気の制限:危険時の措置・事故届・火気の制限 |
| 問5・問6 容器 | 容器:容器検査・刻印・表示と塗色・充塡・容器再検査・くず化 |
| 問7 液石則 | 液石則と取扱主任者:設備距離と減圧設備・周囲5m・取扱主任者 |
| 問8〜問12 コンビ則の事業所例 | コンビナート等保安規則:区画間30m・保安用不活性ガスと50m・貯槽どうしの距離・特殊反応設備 保安体制の選任:組織と職務・選任の要件・代理者 危害予防規程・保安教育計画・帳簿:危害予防規程・保安教育計画 検査:4つの検査の違い・完成検査・保安検査・定期自主検査 |
| 問13〜問20 一般則の事業所例 | 技術上の基準①配置・距離:号ごとの対象ガス・火気との距離・設備の間の距離・防液堤 技術上の基準②設備・安全装置・防災設備:耐圧試験と気密試験・安全装置・緊急遮断・漏えい検知警報設備 技術上の基準③製造の方法:止め弁・貯槽は90%まで・点検 容器置場と充塡容器の取扱い:置場の距離と面積・火気2m |
| 問7〜問20 読み方 | 事業所例問題の解き方:先に適用規則を判定する。コンビナート地域内の特定製造事業所 → コンビ則/一般の製造所 → 一般則/液化石油ガスの消費施設(問7) → 液石則 |
各記事は1つの見出しが1つの論点です。アプリで間違えた記述の論点名から開くと、その章の図と「問われる形」をすぐ見られます。
問番号は令和5年度からの並びです(令和4年度まではコンビ則が問8〜問13、一般則が問14〜問20)。
問1〜問20は毎年ほぼ同じテーマ ── 前半は横断、後半は事業所例

問5・問6・問7は、10年すべてで同じテーマでした(容器2問と特定高圧ガス消費1問)。ここは「出るかもしれない」ではなく「必ず出る」と考えて構いません。
各問は「イ・ロ・ハ」の3記述から正しい組合せを5択で選びます。10年で1問あたり30記述です。
| 問 | 10年分の内訳 | テーマ |
|---|---|---|
| 問1 | 定義・法の目的 27/許可届出 2/保安体制 1 | 高圧ガスの定義と法の目的(ほぼ固定) |
| 問2 | 許可届出 23/危険時措置 5/検査 2 | 製造・貯蔵の許可届出、承継、事故届 |
| 問3 | 許可届出 21/危険時措置 4/技術基準 3 | 製造の変更、応急措置、車両移動 |
| 問4 | 許可届出 12/危険時措置 6/保安体制 4/定義 3 | 特定高圧ガス消費、火気規制 |
| 問5 | 容器 30 | 容器の製造・検査・再検査(10年すべて) |
| 問6 | 容器 30 | 容器の塗色・刻印・表示(10年すべて) |
| 問7 | 技術基準 30(根拠は〔液石〕31) | 特定高圧ガス消費の技術基準(10年すべて) |
| 問8〜12 (〜問13) | コンビ則 60/保安体制 67/検査 44 | 事業所例①:コンビナート等保安規則 |
| 問13〜20 (問14〜) | 技術基準 178/容器 32/検査 9 | 事業所例②:一般高圧ガス保安規則 |
前半(問1〜7)は法全体からの横断問題、後半(問8〜20)は「事業所の例」2つに適用される規則で答える連問です。後半も、適用規則を判定できれば前半と同じ知識で解けます。読み方は事業所例問題の解き方へ。
事業所例の境目は、令和5年度に1問ずれた
| 年度 | コンビ則の事業所 | 一般則の事業所 |
|---|---|---|
| 平成28年度〜令和4年度 | 問8〜問13(6問) | 問14〜問20(7問) |
| 令和5年度〜令和7年度 | 問8〜問12(5問) | 問13〜問20(8問) |
配点の比重がコンビ則から一般則へ1問ぶん移っています。直近の傾向に合わせるなら、一般則の技術基準を厚めにやってください。
根拠の86%は〔法〕〔一般〕〔コンビ〕

| 法令区分 | 根拠として引かれた回数 | 割合 |
|---|---|---|
| 〔法〕高圧ガス保安法 | 273 | 37.0% |
| 〔一般〕一般高圧ガス保安規則 | 246 | 33.3% |
| 〔コンビ〕コンビナート等保安規則 | 119 | 16.1% |
| 〔容器〕容器保安規則 | 38 | 5.1% |
| 〔液石〕液化石油ガス保安規則 | 33 | 4.5% |
| 〔令〕施行令 | 29 | 3.9% |
甲種化学の主戦場は〔法〕+〔一般〕+〔コンビ〕で全体の86%です。問題文は〔法〕〔一般〕のような略称で根拠を示すので、この対応を先に覚えると過去問の解説がすらすら読めます。
体系は3層で、法律〔法〕・政令〔令〕・省令(〔一般〕〔液石〕〔コンビ〕〔容器〕、特定設備検査規則、冷凍保安規則 ほか+各種告示)です。
時間配分 ── 技術基準と容器で51%

技術基準と容器で全体の51%。この2つを固めるだけで、合格ラインの12問に手が届きます。
| 分野 | 記述数 | 比率 | 扱い |
|---|---|---|---|
| 製造施設の技術上の基準(一般則・液石則) | 214 | 35.7% | 最大。事業所例の後半がここ |
| 容器(刻印・充填・再検査・容器置場) | 92 | 15.3% | 問5・問6で固定。暗記が効く |
| 保安体制・危害予防規程・保安教育・帳簿 | 72 | 12.0% | 引っかけの宝庫 |
| コンビナート等保安規則 | 60 | 10.0% | 事業所例の前半 |
| 検査(完成・保安・定期自主)・変更工事 | 59 | 9.8% | 3つの区別が全て |
| 許可・届出・適用除外 | 58 | 9.7% | 問2〜問4 |
| 高圧ガスの定義・法の目的 | 30 | 5.0% | 問1。落とせない |
| 危険時の措置・事故届・火気制限 | 15 | 2.5% | 少ないが確実に取れる |
時間がない場合は、記述数の多い順に 技術基準(①・②・③・液石則)→ 容器(容器・容器置場)→ 保安体制 → コンビ則 → 検査。
覚える数値は論点の章にまとめています:定義の1MPa・35℃/アセチレンの0.2MPa・15℃/処理能力100・300m³/貯蔵所3,000・1,000m³/保安検査の周期/移動監視者/容器の塗色。
繰り返し問われた条文 TOP15 ── 〔法〕第1条は10年連続
| 条文 | 10年の出題数 | 出題年度数 | 論点 |
|---|---|---|---|
| 〔法〕第1条 | 10 | 10/10年 | 法の目的(協会の自主活動・容器の規制も含む) |
| 〔法〕第20条第3項 | 10 | 8/10年 | 完成検査 |
| 〔令〕第5条 | 10 | 6/10年 | 第一種貯蔵所の数量(3,000/1,000m³) |
| 〔令〕第3条 | 9 | 9/10年 | 第一種製造者の処理能力(100/300m³) |
| 〔一般〕第6条第1項第4号 | 9 | 9/10年 | 可燃性ガス設備と他の可燃性ガス設備(5m)・酸素設備(10m)との設備間距離 |
| 〔一般〕第6条第2項第1号イ | 9 | 9/10年 | 製造方法の基準(安全弁・逃し弁の止め弁は常に全開) |
| 〔一般〕第6条第2項第4号 | 9 | 9/10年 | 製造方法の基準(製造中の点検)。令和7年4月の改正で文言が変わった |
| 〔液石〕第53条第1項第2号 | 9 | 9/10年 | 液石則の技術基準(減圧設備からの設備距離) |
| 〔一般〕第6条第1項第19号 | 9 | 8/10年 | 製造施設の技術基準(圧力計と安全装置) |
| 〔法〕第14条第1項 | 9 | 8/10年 | 製造方法等の変更許可 |
| 〔法〕第2条第1号 | 8 | 8/10年 | 圧縮ガスの定義 |
| 〔法〕第2条第3号 | 8 | 8/10年 | 液化ガスの定義 |
| 〔法〕第5条第1項第1号 | 8 | 8/10年 | 製造の許可 |
| 〔一般〕第6条第1項第11号 | 8 | 8/10年 | 製造施設の技術基準(耐圧試験) |
| 〔一般〕第6条第2項第2号イ | 8 | 8/10年 | 製造方法の基準(貯槽への充塡は内容積の90%以下) |
〔法〕第1条(法の目的)は10年連続で問われています。 いちばん最初のページの条文で、ここを落とすのはもったいない。
10年で引かれた条文は全部で264(号・イの単位で数えた数)、うち149条文が複数年度にまたがって出ています。1回しか出ていない条文も115あるので、細部を追うより上位の条文を確実にするほうが効率がいい。
誤り選択肢は5パターン ── 例外の削除と範囲の拡大縮小で76%

誤り記述280本のうち、⑤と③だけで76%。「主体のすり替え」と「義務と任意のすり替え」は、印象ほど多くありません。
| # | 誤りの型 | 本数 | 比率 |
|---|---|---|---|
| ⑤ | 例外の削除・捏造(「〜のみ」「〜に限る」「必要はない」) | 123 | 43.9% |
| ③ | 範囲の勝手な拡大・縮小(条文にない限定・除外を足す) | 91 | 32.5% |
| ① | 数値・基準のすり替え | 60 | 21.4% |
| ② | 主体のすり替え(誰が、を入れ替える) | 4 | 1.4% |
| ④ | 義務と任意のすり替え(許可↔届出、しなければならない↔できる) | 2 | 0.7% |
実際に出た誤り記述(すべて×)です。
| 型 | 誤りの記述 | 正しくは |
|---|---|---|
| ⑤(令和7年度・問1) | 刻印または標章の掲示は、容器検査に合格したときにはされるが、容器再検査に合格したときについては定めがない | 再検査に合格した場合の刻印・標章も条文に定めがある |
| ⑤ | 引火性や発火性の物を貯蔵設備から5m以内へ置くことは、静電気を除去する措置を講じてあれば認められる | 静電気の除去措置があっても、周囲5m以内に引火性・発火性の物は置けない |
| ③ | オートクレーブの中にある水素は、どのような場合でも法の適用を受けない | 水素・アセチレン・塩化ビニルには法の適用がある |
| ③ | 製造について知事の許可を得ている以上、特定高圧ガス消費者と第一種製造者を兼ねる者は、消費を届け出る必要がない | 第一種製造者でも、特定高圧ガスの消費については届出が必要 |
①の数値のすり替えは 1MPa ↔ 0.2MPa、100m³ ↔ 300m³、35℃ ↔ 40℃、3,000m³ ↔ 1,000m³ の形です。数値が出てきたら必ず立ち止まる。
選択肢に「いかなる場合であっても」「〜に限る」「〜のみ」「必要はない」が出たら、まず疑ってください。過去問を解くとき「この選択肢はどのパターンで誤りにされたか」を毎回メモすると、知らない条文が出ても構造で切れるようになります。
- 文末の動詞:「届け出ればよい(実際は許可が必要)」「くず化しなくてもよい(実際は義務)」。出たときに確実に取れる
- 一般則とコンビ則の対比:「毒性ガスのみか、すべてのガスか」「10メートル以上か、8メートル以上か」
勉強の回し方 ── 過去問5年分を3周する
| 周 | やること |
|---|---|
| 1周目 | 解きながら「誤りパターン①〜⑤のどれか」を書き込む |
| 2周目 | 間違えた問題+数値問題だけ |
| 3周目 | 全問を時間を計って。確実に8割以上を狙う |
教材は過去問5年分+その解説で完結させます。法規集の通読は不要で、解説で引かれた条文だけ確認すれば足ります。
法令は本番でスピード勝負にしない科目です。先に片付けて、学識に時間を移します。
法改正への注意 ── 令和8年度の基準は令和8年4月1日現在の条文
| 改正 | 施行 | 令和8年度の試験 |
|---|---|---|
| 〔一般〕第6条第2項第4号(製造中の点検) | 令和7年4月18日 | 改正後の条文が基準 |
| 〔法〕の検査の認定(認定完成検査実施者・認定保安検査実施者) | 令和8年12月21日 | 基準日より後の施行なので、改正前の条文が基準 |
過去問集の解説は受験時の条文ベースです。令和8年度の国家試験は、令和8年4月1日現在施行されている法令で出題されます(高圧ガス保安協会「令和8年度 受験案内書」)。
- 製造中の点検:令和7年4月18日施行の改正で「使用開始時・使用終了時」「1日1回以上」の文言がなくなり、ガスの種類と製造設備の態様に応じて製造施設の異常の有無を点検する形になった。令和7年度の試験は令和7年4月1日現在の法令で出題されたので改正前が基準だったが、令和8年度は改正後の条文が基準。解説の「使用開始時・使用終了時」「1日1回以上」を正解として覚えない(→ 使用開始時・終了時の点検)
- 検査の認定:令和8年12月21日施行の改正で、自ら完成検査を行う認定完成検査実施者(〔法〕第20条第3項第2号)と、自ら保安検査を行う認定保安検査実施者(〔法〕第35条第1項第2号)の制度が条文からなくなり、自ら検査できるのは認定高度保安実施者に一本化される。すでに認定を受けている者には経過措置がある(改正法の附則。施行から3年6月は従前の例)。令和8年度の試験には改正前の制度で出る範囲だが、その後の年度は改正後の条文に注意(→ 認定完成検査実施者・認定保安検査実施者)
基準日は毎年受験案内書で確かめ、条文はe-Gov法令検索で最新版(施行前の改正も)を確認できます。
実務の背景 ── 規制の理由が見えると引っかからない
| テーマ | 記事 |
|---|---|
| 規制の背景 | 化学プラントの法規制マップ|保安四法で全体像をつかむ |
| 保安教育の実務 | 教育訓練と技術伝承・プロセス知識管理 |
「なぜこの規制があるのか」が見えると、引っかけに引っかかりにくくなります。
次は保安管理技術です。範囲は広いですが、狙われるテーマとひっかけ方は法令と同じくらい固定されています。全体の地図に戻る場合は高圧ガス甲種化学の勉強法 完全ガイドへ。
出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』、同『高圧ガス保安法概要』、高圧ガス保安法・同法等の一部を改正する法律(令和4年法律第74号)附則。平成28〜令和7年度の法令20問×10年分を筆者が1記述ずつ集計しました。問題文は転載せず、要約して解説しています。
この試験は、机に向かえる時間だけでは足りません。通勤・昼休み・移動中のすきま時間を使えるように、iPhoneアプリを3本作りました。ダウンロード無料でお試しできます。
いずれも私が個人で作って売っているもので、高圧ガス保安協会とは無関係の非公式アプリです。受験にあたっては必ず公式テキストで確認してください。
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 

