動画解説はこちら|YouTube

危険物乙4の事故事例と対策|注入・流出・静電気・配管のさびの場面で何を選ぶか

危険物乙4の事故事例と対策|注入・流出・静電気・配管のさびの場面で何を選ぶかのアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

重要度:○ 押さえておきたい論点です(市販問題集の頻出印から。公式公開問題では見当たりません。当サイトの判断)

最終確認:2026年9月23日

ガソリンスタンドの地下タンクには、タンクローリーが油を運んできて、ホースで注ぎ込みます。この短い作業の中にも、あふれ、静電気(せいでんき)、入れ違いといった事故の種があります。危険物乙4では、事故の場面を読んで「何が原因で、どうすれば防げたか」を選ぶ問題が出ます。

この記事でわかること

  • 事故の場面が、注入・流出・静電気・配管のさびの4つに分けられること
  • それぞれの場面で、事故の原因になる操作と、防ぐための一手
  • 埋設配管がさびやすくなる条件と、さびにくい条件の見分け方

事故の場面で問われるのは、燃える蒸気・火花・漏れのどれを止めるかです。

注入はゆっくり底から、流出は広げずに吸い取り、配管は異なる金属や電流から離します。

「原因として考えにくいもの」を選ぶ問題では、逆の効果を持つ選択肢が答えになります。

まず場面で:事故は注入・流出・静電気・配管のさびの4つで起きる

試験に出る事故の場面は、大きく4つに分けられます。タンクへ油を注ぐとき、油が漏れて流れ出たとき、静電気の火花が出たとき、地中の配管がさびて穴があいたときです。どれも、工場やガソリンスタンドで実際に起きている事故の型です。

事故の場面は注入・流出・静電気・配管のさびの4つ(それぞれに防ぐ一手の札)

消防庁がまとめた危険物(きけんぶつ)施設の事故の概要(令和3年中)にも、この型が出てきます。油が漏れる流出事故の原因では、腐食(ふしょく)や疲労などの劣化が最も多くなっています。火災事故の着火の原因では、静電気の火花が最も多くなっています。

4つの場面は別々に見えますが、防ぎ方の考え方は共通です。燃える蒸気をつくらない、火花を出さない、漏れた油を広げない、の3つです。次の2つの節で、場面ごとに原因と防ぐ一手を見ていきます。

注入と静電気の事故は、燃える蒸気に火花が届いて起きる

注入の事故でよく問われるのは、ガソリンを運んだタンクに灯油を注ぐ場面です。タンクに残ったガソリンの蒸気は、濃すぎて燃えない状態のこともあります。ところが灯油を注ぐと、その蒸気が灯油に溶け込んで薄まり、燃える濃さの幅である燃焼範囲(ねんしょうはんい)に入ります。

そこへ、注いだ灯油の流れで生まれた静電気が火花になって飛ぶと、タンクの中で引火(いんか)します。原因は摩擦熱や圧縮熱ではなく、燃焼範囲に入った蒸気と静電気の火花の組合せです。詳しい性質はガソリンの性質で扱います。

防ぐ一手は、静電気を起こさないことと、ためないことです。注入管の先はタンクの底につけ、液がはねたり落ちたりしないようにします。注ぐ速さはできるだけ小さくし、作業服と靴は電気を通しやすいものにします。

タンクローリーから地下タンクへ注ぐときは、ローリーの接地(せっち)導線を、施設の接地端子につなぎます。接地とは、たまった電気を地面へ逃がす道をつくることです。注ぐ前には、施設の責任者と品名・数量を確かめ、注入中はローリーのそばを離れません。

セルフ給油のスタンドでも、給油口の近くで静電気が原因と考えられる火災が起きています。キャップを開ける前に、静電気除去シートや車体の金属部分に触れて、体の静電気を逃がします。静電気の起き方と逃がし方は静電気の記事で扱います。

流出と配管のさびの事故は、広げない・早く見つけるで防ぐ

油が流れ出たときは、まず火の気を遠ざけ、周りに知らせて消防に通報します。床に流れた油は、乾燥砂(かんそうずな)などで吸い取ります。屋外では、土のうなどで側溝や下水道へ流れ込まないようにします。

流出の場面では、やってはいけない操作もよく問われます。蒸気を外へ出す換気の設備は、止めてはいけません。スイッチを入れたり切ったりする小さな火花でも、低い所にたまった蒸気に火がつくおそれがあるからです。

油の入った金属製のドラムを、床の上で引きずって運ぶのも誤りです。こすれて火花が出るうえ、中の油がゆれて静電気が起きやすくなります。第4類(だいよんるい)の蒸気が低い所にたまる理由は、第4類の貯蔵・取扱いで扱います。

地中に埋めた鋼の配管は、さびて穴があくと、気づかないうちに油が漏れ続けます。さびやすくなるのは、湿った土や海の砂のそば、性質の違う2種類の土をまたぐ所です。電気の通り道になる場所も危なく、銅の棒と配管が触れた所や、直流の電流が地中を流れる所がそうです。

逆に、さびを防ぐ側の条件もあります。配管の表面を塗料で覆うこと、埋め戻しに海の砂でなく山の砂を使うことです。正常なコンクリートの中は強いアルカリ性で、中の鋼の配管はさびにくくなります。

鉄が銅よりさびやすい理由は、イオン化傾向(イオンかけいこう)と金属の腐食の記事で扱います。

埋設配管のさびは、歯の虫歯のようなものです。表面の覆いがはがれた所や、条件の悪い所から、目に見えないうちに進みます。正確には、配管のさびは金属の酸化(さんか)で、水・塩分・異なる金属・地中の電流などの条件がそろった所で進みます。

イオン化傾向と金属の腐食

試験ではこう聞かれる:場面ごとの原因と防ぐ一手を選ぶ

場面ごとの原因と防ぐ一手を、1つの表にまとめます。問題文の場面を読んだら、まずこの4つのどれにあたるかを決めます。

場面事故の原因防ぐ一手
ガソリンの後に灯油を注ぐ薄まった蒸気と静電気の火花ゆっくり注ぎ、接地する
タンクへの注入速い流れ、上からの落とし込み管の先を底につける
給油口を開ける体にたまった静電気開ける前に金属に触れて逃がす
油の流出換気を止める、ドラムを引きずる換気は止めず、乾燥砂で吸い取る
埋設配管のさび異なる金属、迷走電流、土の違い塗料で覆い、山の砂で埋める

1つめの型は、事故の文章から原因を選ぶ形です。ガソリンの後に灯油を注いだ火災なら、答えは「燃焼範囲に入った蒸気と静電気の火花」です。「蒸気どうしの摩擦熱」「吸収熱」のような、それらしい熱の話は誤りです。

2つめの型は、下線を引いた操作から事故の原因を選ぶ形です。「電気を通しにくい服」「管の先を底から離す」「注入の速さを大きく」は、どれも事故の原因です。タンクの中を窒素などの不活性ガスに置きかえる操作は、原因ではなく安全側の操作です。

3つめの型は、配管のさびの原因として「考えにくいもの」を選ぶ形です。答えになるのは、「コンクリートの中に埋めた」や「表面を塗料で覆った」のような、さびを防ぐ側の選択肢です。迷走電流・銅との接触・2種類の土・被覆のはがれ・海の砂は、どれもさびの原因です。

ここは覚えなくていい

事故の件数や割合、損害の金額は覚えなくてかまいません。配管の塗料の名前や、コンクリートがアルカリ性であることを示す数値も同じです。「さびを進める側か、防ぐ側か」の見分けができれば足ります。

工場・現場ではこうなる:仮設ホースの静電気と、減り方で気づく漏れ

消防庁が公表している事故の例には、製造所でポンプと配管の中の油を仮設のホースで抜き取っていた例があります。ホースが劣化していたうえ静電気を逃がす対策がされておらず、静電気の火花で油の蒸気に引火しました。工場では、ふだんの配管だけでなく、点検や修理のときの仮設のホースも接地し、ゆっくり流します。

流出の例では、地中に埋めた配管が腐食して穴があき、灯油が漏れ続けて雨水管から川へ流れ出た例があります。地下タンクの油の減り方がおかしいと気づいて点検し、配管の腐食による漏れが見つかった例もあります。工場やスタンドで、タンクの在庫の量を毎日記録して比べるのは、こうした見えない漏れを早く見つけるためです。

作業の手順が原因になった例もあります。移動タンク貯蔵所(いどうタンクちょぞうしょ)で注入ホースをしまわずに走り出し、ホースが切れて道路に灯油が流れ出た例です。配管を切る作業でタンク側の弁を閉め忘れ、重油が漏れた例もあり、作業の前後の確かめが事故を防ぐ最後の一手になります。

確認問題

問1 移動タンク貯蔵所にガソリンを積みこむときは、注入管を、先端が底に届くまで差しこむ。

答え:○

根拠:静電気が起きやすい液体は、落としたり飛び散らせたりせず、静かに流しこみます。

なぜか:注入管の先を底につけると、液が上から落ちずに済みます。飛び散りが少ないぶん、静電気も起きにくくなります。

狙われる形:「注入管の先はタンクの底から離して入れる」と逆にした形で出ます。

問2 第1石油類を貯蔵する屋内貯蔵所でガソリンが流れ出たときは、スイッチの火花を防ぐため、蒸気の排出設備を止めるのがよい。

答え:×

訂正:排出設備は止めずに動かし続け、蒸気を屋外へ出し続ける。

根拠:可燃性蒸気(かねんせいじょうき)が出ている場所では、換気を止めずに蒸気をためないことを優先します。

なぜか:換気を止めると、床近くに燃える濃さの蒸気がたまります。スイッチを切る操作そのものも、火花の原因になります。

狙われる形:「火花を防ぐ」という理由で換気を止める処置を、正しいように見せた形で出ます。

問3 銅のアース棒とふれ合った鉄の配管では、鉄のほうが先にさびていく。

答え:○

根拠:種類の違う金属がふれ合うと、イオン化傾向の大きいほうの金属が腐食しやすくなります。

なぜか:鉄は銅よりイオン化傾向が大きいので、ふれ合った状態では鉄がとけ出し、さびが進みます。

狙われる形:「銅とふれていれば鉄は守られる」と逆にした形で出ます。

まとめ

事故の場面は、注入・流出・静電気・配管のさびの4つに分けて読みます。注入と静電気は、燃える蒸気に火花が届くのを防ぐため、管の先を底につけ、ゆっくり注ぎ、接地します。流出は換気を止めずに広げないこと、配管は異なる金属や地中の電流、海の砂から離して塗料で覆うことが防ぐ一手です。

次に読む

参考文献

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む