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重要度:○ 押さえておきたい論点です
最終確認:2026年9月23日
危険物乙4では、事故の場面を読んで、原因と防ぐ一手を選ぶ問題が出ます。燃える蒸気をつくらない、静電気(せいでんき)などの火花を出さない、漏れた油を広げない、の3つで考えると答えが決まります。
ガソリンの後に灯油 ── 濃すぎる蒸気が薄まると燃える

ガソリンの蒸気が残るタンクに灯油を入れると、蒸気が灯油に溶けこんで薄まり、燃える濃さになることがあります。そこへ静電気の火花が飛ぶと、タンクの中で燃え出します。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 火元は、液どうしがこすれて出た熱 | × | 主な原因は静電気の火花 |
| 火がつきにくい灯油なら、前の積み荷がガソリンでも気にしなくてよい | × | 残った蒸気が薄まり、燃える濃さになる |
| 残っていた蒸気の一部が灯油に吸いこまれ、燃える濃さに入る | ○ | 濃すぎて燃えない状態から薄まる |
燃える濃さの幅を、燃焼範囲(ねんしょうはんい)といいます。タンクに残ったガソリンの蒸気は、濃すぎて燃焼範囲より上にあることがあります。灯油を注ぐとその蒸気が灯油に溶けこんで薄まり、燃焼範囲に入ります。
原因は摩擦熱や圧縮熱ではなく、燃焼範囲に入った蒸気と静電気の火花の組合せです。 「蒸気どうしの摩擦熱」「吸収熱」のような、それらしい熱の話の選択肢は誤りです。
- 注いだ灯油の流れで生まれた静電気が火花になって飛ぶと、タンクの中で引火(いんか)します。
- ガソリンの詳しい性質はガソリンの性質で扱います。
注入の事故 ── 注入管の先は底に着け、計量口は閉じ、品名と量を確かめてから

注入管の先はタンクの底につけ、ゆっくり注ぎます。地下のタンクの計量口(けいりょうこう)は計量するとき以外は閉じ、注入の前に品名と数量を受け入れ側の責任者と確かめます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 液面より上で注入管を止め、そこから流しこむ | × | 底につけ、液を上から落とさない |
| 残りの量が見えるよう、注入中は計量口を開けておく | × | 計量するとき以外は閉じておく |
| ローリーが着いたら、確かめずにすぐ注ぎ始める | × | 品名・数量と残量を先に確かめる |
| 電気を通しにくい服を着て、できるだけ速く注ぐ | × | どちらも事故の原因になる |
液を上から落とすと飛び散り、こすれ合って静電気が起きやすくなります。注入管の先はタンクの底につけ、注ぐ速さはできるだけ小さくします。 作業服と靴は、電気を通しやすいものにします。
計量口を開けたまま注ぐと、タンクの中の燃える蒸気が外へ出たり、注いだ危険物(きけんぶつ)が噴き出したりするおそれがあります。品名を間違えると別の油が混ざり、量を間違えるとタンクからあふれます。
- タンクローリーから地下タンクへ注ぐときは、ローリーの接地(せっち)導線を、施設の接地端子につなぎます。接地とは、たまった電気を地面へ逃がす道をつくることです。
- 注入中はローリーのそばを離れず、何かあればすぐ止められるようにします。
- タンクの中を窒素などの不活性ガスに置きかえる操作は、事故の原因ではなく安全側の操作です。
給油の静電気 ── 除去シートに触れてから開ける

セルフ給油では、給油口のキャップを開ける前に、静電気除去シートや車体の金属部分に触れて、体の静電気を逃がします。地面に水をまくと、人の体にたまった静電気が地面へ逃げやすくなります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 火花が出ないよう、キャップを開ける前は金属に触れない | × | 先に除去シートに触れて逃がす |
| 地面をぬらすと、静電気がかえってたまりやすい | × | ぬれた地面へ静電気が逃げる |
体に静電気がたまったままキャップを開けると、噴き出したガソリンの蒸気に放電(ほうでん)の火花が飛ぶおそれがあります。 セルフ給油のスタンドでは、給油口の近くで静電気が原因と考えられる火災が起きています。
- 乾いた地面は電気を通しにくく、靴を通して静電気が逃げにくくなります。地面がぬれると、静電気が少しずつ逃げていきます。
- 消防庁がまとめた危険物施設の事故の概要(令和3年中)では、火災事故の着火の原因で静電気の火花が最も多くなっています。
- 静電気の起き方と逃がし方は静電気の記事で扱います。
消防庁が公表している事故の例には、製造所でポンプと配管の中の油を仮設のホースで抜き取っていた例があります。ホースが劣化し、静電気を逃がす対策もなく、火花で油の蒸気に引火しました。工場では、点検や修理のときの仮設のホースも接地し、ゆっくり流します。
流出の事故 ── 排出設備は止めない、ドラムは引きずらない、ピットはコンクリート
| 場面 | すること | 理由 |
|---|---|---|
| 蒸気の排出設備・換気 | 止めずに動かし続ける | 止めると蒸気が低い所にたまる |
| 金属製のドラム | 床を引きずらない | 火花と静電気が出る |
| 床に流れた油 | 乾いた砂などで吸い取る | 広げずに回収する |
| 給油設備の下のピット | 内側をコンクリートで覆う | アスファルトは油に溶ける |
油が流れ出たら、まず火の気を遠ざけ、周りに知らせて消防に通報します。排出設備は止めず、ドラムは引きずらず、流れた油は乾燥砂(かんそうずな)などで吸い取って広げません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| スイッチの火花がこわいので、換気の装置を止めて対処する | × | 動かし続けて蒸気を外へ出す |
| 急いで運び出すため、ドラムを床の上で引きずる | × | こすれて火花、揺れて静電気 |
| ピットの内張りには、防水に使うアスファルトが向いている | × | アスファルトは油に溶ける。コンクリートで覆う |
| 屋外では、側溝や下水道へ流れこまないよう土のうでせき止める | ○ | 水に浮いて広がるのを防ぐ |
排出設備を止めると、室内の低い所に燃える濃さの蒸気がたまります。スイッチを入れたり切ったりする小さな火花でも、たまった蒸気に火がつくおそれがあります。
アスファルトは原油を分けて得られる物なので、同じく原油から得られるガソリンや軽油に溶けます。溶けた所から油が地下へしみこむので、固定給油設備の下のピットはコンクリートで覆います。
- 金属製のドラムを床で引きずると、こすれて火花が出るうえ、中の油が揺れて静電気が起きやすくなります。
- 第4類(だいよんるい)の蒸気が低い所にたまる理由は、第4類の貯蔵・取扱いで扱います。
- 移動タンク貯蔵所(いどうタンクちょぞうしょ)が注入ホースをしまわずに走り出し、道路に灯油が流れ出た例があります。
- 配管を切る作業でタンク側の弁を閉め忘れ、重油が漏れた例もあり、作業の前後の確かめが最後の一手になります。
配管のさび ── 被覆の傷は直してから埋め、銅とふれると鉄の配管がさびる

地中の鋼の配管は、覆いの傷、銅とのふれ合い、地中の電流、海の砂などの条件がそろった所からさびます。被覆(ひふく)に傷がついたら直してから埋め、山の砂で埋め戻します。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 覆いの小さな傷なら、そのまま埋めてもさびない | × | 傷から鉄が出てさびが進む |
| 銅の棒にふれていれば、鉄の配管はさびにくくなる | × | とけ出しやすい鉄が先にさびる |
| 原因として考えにくいのは「コンクリートの中に埋めた」 | ○ | さびを防ぐ側の条件 |
| 埋め戻しに海の砂を使うと、さびにくくなる | × | さびの原因になる。山の砂を使う |
迷走電流・銅との接触・2種類の土・被覆のはがれ・海の砂は、どれもさびの原因です。 「原因として考えにくいもの」を選ぶ問題では、防ぐ側の選択肢が答えです。塗料で覆う、コンクリートの中に埋める、などがそれにあたります。
- さびやすいのは、湿った土や海の砂のそば、性質の違う2種類の土をまたぐ所です。直流の電流が地中を流れる所(迷走電流(めいそうでんりゅう))も危なくなります。
- 種類の違う金属がふれ合うと、電池のような働きが生まれます。鉄と銅では、とけ出しやすい鉄のほうが先にさびます。鉄が銅よりさびやすい理由は、イオン化傾向(イオンかけいこう)と金属の腐食(ふしょく)の記事で扱います。
- 正常なコンクリートの中は強いアルカリ性で、中の鋼の配管はさびにくくなります。
- 事故の件数や割合、損害の金額、塗料の名前やコンクリートのアルカリ性の数値は、覚えなくてかまいません。
関連:イオン化傾向と金属の腐食
消防庁の事故の概要(令和3年中)では、流出事故の原因は腐食や疲労などの劣化が最も多くなっています。地中の配管が腐食して穴があき、灯油が漏れ続けて雨水管から川へ流れ出た例もあります。工場やスタンドでタンクの在庫の量を毎日記録して比べるのは、こうした見えない漏れを早く見つけるためです。
確認問題
問1 移動タンク貯蔵所にガソリンを積みこむときは、注入管を、先端が底に届くまで差しこむ。
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答え:○
根拠:静電気が起きやすい液体は、落としたり飛び散らせたりせず、静かに流しこみます。
なぜか:注入管の先を底につけると、液が上から落ちずに済みます。飛び散りが少ないぶん、静電気も起きにくくなります。
狙われる形:「注入管の先はタンクの底から離して入れる」と逆にした形で出ます。
問2 第1石油類を貯蔵する屋内貯蔵所でガソリンが流れ出たときは、スイッチの火花を防ぐため、蒸気の排出設備を止めるのがよい。
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答え:×
訂正:排出設備は止めずに動かし続け、蒸気を屋外へ出し続ける。
根拠:可燃性蒸気(かねんせいじょうき)が出ている場所では、換気を止めずに蒸気をためないことを優先します。
なぜか:換気を止めると、床近くに燃える濃さの蒸気がたまります。スイッチを切る操作そのものも、火花の原因になります。
狙われる形:「火花を防ぐ」という理由で換気を止める処置を、正しいように見せた形で出ます。
問3 銅のアース棒とふれ合った鉄の配管では、鉄のほうが先にさびていく。
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答え:○
根拠:種類の違う金属がふれ合うと、イオン化傾向の大きいほうの金属が腐食しやすくなります。
なぜか:鉄は銅よりイオン化傾向が大きいので、ふれ合った状態では鉄がとけ出し、さびが進みます。
狙われる形:「銅とふれていれば鉄は守られる」と逆にした形で出ます。
まとめ
事故の場面は、注入・流出・静電気・配管のさびの4つに分けて読みます。注入と静電気は、燃える蒸気に火花が届くのを防ぐため、管の先を底につけ、ゆっくり注ぎ、接地します。流出は換気を止めずに広げないこと、配管は異なる金属や地中の電流、海の砂から離して塗料で覆うことが防ぐ一手です。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-6 静電気・2-7 金属・イオン化傾向と腐食・7-1 貯蔵・取扱の基準 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、3-4 第4類危険物の貯蔵・取扱い・3-5 事故事例と対策(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 消防庁危険物保安室『令和3年中の危険物に係る事故の概要』(令和4年5月)
- 消防庁危険物保安室「セルフスタンドにおける安全な給油について」『消防の動き』2018年12月号
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