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重要度:○ 押さえておきたい論点です(市販問題集の頻出印から。公式公開問題では見当たりません。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月23日
実験室や工場の棚には、メタノールとエタノールのびんが並んでいることがあります。どちらも無色で、においもよく似ていますが、メタノールには強い毒があります。危険物乙4では、この2つの共通点と違いを入れ替えた問題が出ます。
この記事でわかること
- メタノールとエタノールに共通する性質(水に溶ける、炎が見えにくい)
- 2つの違い(毒性、引火点(いんかてん)と沸点(ふってん)の大小)
- アルコール類の火災に水溶性(すいようせい)液体用の泡を使う理由
メタノールとエタノールは、どちらも水によく溶け、燃えても炎が見えにくい液体です。
毒があるのはメタノールで、引火点と沸点もメタノールのほうが低くなります。
どちらも水溶性なので、火災には水溶性液体用の泡を使います。
まず場面で:見た目では区別できないメタノールとエタノール
メタノールとエタノールは、どちらも無色透明で、特有の香りがある液体です。同じ量を並べても、見た目ではまず区別できません。けれど、メタノールは誤って飲むと失明や死亡につながることがある、毒の強い液体です。

2つとも、第4類(だいよんるい)のアルコール類という品名に入ります。アルコール類は、分子の中の炭素の数と、水で薄めたときの濃さで範囲が決まる品名です。範囲の決め方は第4類の7品名で扱います。
2つの違いで問われやすいのは、毒性と、引火点・沸点の大小です。共通点のほうは、次の節でまとめて見ていきます。
メタノールとエタノールに共通する性質と、違う性質
まず共通点です。2つとも水によく溶け、どんな割合でも水と混ざり合います。水溶性の液体なので、火災にはふつうの泡消火剤(あわしょうかざい)が使えません。
ふつうの泡は、水に溶ける液体の上では溶けて消えてしまいます。そこで、泡が溶けにくい水溶性液体用泡消火剤(すいようせいえきたいようあわしょうかざい)を使います。理由は第4類の消火(しょうか)で扱います。
2つめの共通点は、炎の色です。どちらも青白い淡い炎で燃えるので、明るい場所では燃えていることに気づきにくくなります。アルコールの炎は明るい所では見えにくいので、火が消えたと思い込まないことが大切です。
3つめは、燃えやすさです。引火点は2つとも低く、常温(じょうおん)でも引火(いんか)します。常温とは、ふだんの気温くらいの温度のことです。
燃える蒸気の濃さの幅を燃焼範囲(ねんしょうはんい)といいます。2つとも、燃焼範囲はガソリンより広い液体です。蒸気は空気より重く、液は水より軽くなっています。
メタノールとエタノールは、顔がそっくりな兄弟のようなものです。見た目やにおいは似ていても、性格には大きな違いがあります。正確には、2つは炭素の数が違う別の物質で、毒性や引火点などの性質がそれぞれ決まっています。
次に違いです。メタノールには毒性がありますが、エタノールにはメタノールのような毒性はありません。エタノールの蒸気には、吸うと意識がぼんやりする麻酔性(ますいせい)があります。
もう1つの違いは、温度の大小です。引火点も沸点も、メタノールのほうが低くなります。ところが、火を近づけなくても燃え出す発火点(はっかてん)は、エタノールのほうが低いのです。
覚える数字はメタノールとエタノールの引火点と沸点
覚える数字は、2つの引火点と沸点の4つです。どちらの数字も、メタノールのほうが小さいと押さえます。発火点は、比べるために並べました。
| 性質 | メタノール | エタノール |
|---|---|---|
| 引火点 | 11℃ | 13℃ |
| 沸点 | 64℃ | 78℃ |
| 発火点 | 464℃ | 363℃ |
引火点と沸点はメタノールのほうが低く、発火点はエタノールのほうが低くなります。沸点は、どちらも水の沸点より低い温度です。
燃焼範囲は、2つともガソリンより広く、メタノールのほうがエタノールより広くなります。アルコール類の指定数量(していすうりょう)は、400L {NUM-L-0004} です。
| 性質 | メタノール | エタノール |
|---|---|---|
| 毒性 | ある | メタノールのような毒性はない |
| 水への溶けやすさ | よく溶ける | よく溶ける |
| 炎 | 青白く見えにくい | 青白く見えにくい |
ここは覚えなくていい
比重(ひじゅう)や蒸気比重(じょうきひじゅう)の細かい値、化学式、酸化(さんか)するとできる物質の名前、燃焼範囲の数値は、覚えなくてかまいません。プロパノールもアルコール類ですが、まずはメタノールとエタノールの2つで足ります。
試験ではこう聞かれる:「メタノールの毒性は低い」は誤り
1つめは、毒性の逆転です。「メタノールの毒性はエタノールより低い」「2つとも毒性はない」は誤りです。毒があるのはメタノールです。
2つめは、温度の入れ替えです。「2つとも0℃で引火する」は誤りで、引火点は11℃と13℃です。「沸点は水より高い」「引火点はエタノールのほうが低い」も誤りです。
3つめは、燃焼範囲と蒸気です。「燃焼範囲はガソリンより狭い」は誤りで、ガソリンより広くなります。「蒸気は空気より軽い」も誤りです。
4つめは、反応とにおいです。ナトリウムと反応して出るのは水素で、「酸素が出る」は誤りです。「無色無臭」も誤りで、特有の香りがあります。
5つめは、泡の選び方です。「アルコール類の火災に一般の泡消火剤が適する」は誤りです。水溶性液体用の泡を使います。
覚え方:メタが先に燃えて先に沸く、毒があるのもメタのほう。
工場・現場ではこうなる:工業用エタノールとメタノールのタンク
化学プラントでは、メタノールを原料や溶剤として、タンクにためて使います。工業用のエタノールには、メタノールなどを混ぜて飲めなくした変性(へんせい)アルコールもあり、これも品名はアルコール類です。どちらのタンクも水溶性の液体として、水溶性液体用の泡が出る消火設備を選びます。
確認問題
問1 メタノールとエタノールのうち、飲みこむと失明のおそれがあるのはエタノールである。
答え:×
訂正:失明などの強い毒性があるのは、メタノールである。
根拠:メタノールとエタノールは性質がよく似ていますが、毒性には大きな差があります。
なぜか:エタノールは酒の成分として飲まれます。一方、メタノールは飲みこむと失明や死亡のおそれがあります。
狙われる形:毒性のあるほうを、エタノールに入れかえた形で出ます。
問2 エタノールが燃えているとき、昼間の明るい場所では炎に気づきにくいことがある。
答え:○
根拠:炎の色が淡い物質は、明るい場所では燃えていることに気づきにくくなります。
なぜか:メタノールやエタノールは、青白く淡い炎を出して燃えます。
狙われる形:「アルコールの炎は明るく目立つ」と逆にした形で出ます。
問3 メタノールの蒸気は空気より軽いので、天井の近くにたまりやすい。
答え:×
訂正:メタノールの蒸気は空気より重く、床近くの低い所にたまりやすい。
根拠:蒸気が空気より重いかどうかは、分子の小ささの印象ではなく、蒸気比重で判断します。
なぜか:メタノールの蒸気は空気よりわずかに重い程度ですが、それでも下にたまります。
狙われる形:分子の小さいメタノールだけは空気より軽い、とした形で出ます。
まとめ
メタノールとエタノールは、どちらも水によく溶け、青白い炎で燃えるので明るい所では見えにくい液体です。毒があるのはメタノールで、引火点と沸点もメタノールのほうが低く、発火点はエタノールのほうが低くなります。水溶性なので、火災には水溶性液体用の泡を使います。
次に読む
- 前に戻る:第1石油類:ベンゼン・トルエン・アセトンは水に溶けるかで分ける
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- もっと詳しく(甲種レベル):第4類を品名ごとにまとめて復習する
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、4-5 アルコール類 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、3-3 第4類危険物の消火・3-8 アルコール類の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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