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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月22日
冬にドアノブでパチッと来る静電気(せいでんき)は、ガソリンの近くでは火事のきっかけになります。セルフのガソリンスタンドで給油の前に除去シートに触れるのは、体の静電気を先に逃がすためです。危険物乙4では、静電気がたまる条件と逃がし方がよく問われます。
この記事でわかること
- 静電気が油の取扱いで危ない理由
- 接地(せっち)が何をしているのか
- 対策を「起こさない」と「ためない」に仕分ける方法
静電気の対策は、ゆっくり流して「起こさない」ことと、接地や湿度で「ためない」ことの2本立てです。
静電気が危ないのは火花が蒸気に火をつけるからで、たまっても物の温度は上がりません。
まず場面で:セルフ給油の前に静電気除去シートに触るわけ
セルフのガソリンスタンドには、給油機のそばに静電気除去シートがあります。冬の乾いた日に車のドアでパチッと来るのは、体にたまった電気が一気に流れ出た音と火花です。
ガソリンスタンド(給油取扱所)の給油口のまわりには、ガソリンの蒸気があります。体の電気がそこで火花になると、蒸気に火がつくおそれがあります。だから給油口のキャップを開ける前に、除去シートや車体の金属部分に触れて、体の静電気を先に逃がします。
シートに触れる動作は、静電気を「ためない」ための対策です。この記事では、この「ためない」と、もう1つの「起こさない」を順に見ていきます。
接地は、たまった電気を地面へ逃がす道
タンクローリーが工場のタンクに油を下ろす場面を見てみます。ホースの中を油が流れると、油とホースの内側がこすれて静電気が生じます。そこで荷下ろしの前に、ローリーを接地線で地面につなぎます。

静電気とは、こすれ合いなどで物にたまり、流れずにとどまっている電気のことです。2つの物がこすれて離れると、片方がプラス、もう片方がマイナスに帯電(たいでん)します。
ガソリンや灯油の多くは、電気を通しにくい不良導体(ふりょうどうたい)です。電気を通しにくい物では、生じた電気が逃げずにたまります。油は電気を通しにくいので、流れるだけで静電気がたまります。
たまった電気は、近くの金属などへ一気に流れることがあります。これが放電(ほうでん)で、そのとき小さな火花が出ます。周りにガソリンの蒸気があれば、この火花が点火源(てんかげん)になります。
接地とは、電線で地面とつなぎ、たまった電気を逃がすことで、アースとも呼びます。つないでおけば、電気は少しずつ地面へ流れ、火花になるほどたまりません。接地は、静電気を「起こさない」対策ではなく「ためない」対策です。
接地線は、湯船の排水口のようなものです。栓を抜いておけば、お湯を注ぎ続けてもあふれません。正確には、接地は電気が生じるのを止めるのではなく、生じた電気がたまらないように逃がすものです。
静電気の対策は「起こさない」と「ためない」の2本立て
静電気の対策はたくさん並んで見えますが、分けると2つだけです。そもそも静電気を起こさない対策と、起きた静電気をためない対策です。

起こさない側の代表は、流速(りゅうそく)を落とすことです。流速とは、液体が管の中を流れる速さのことで、速いほど激しくこすれて静電気が多く生じます。かき混ぜる、激しくこするといった動作も、静電気を増やします。
ためない側には、接地のほかに湿度を高くする方法があります。湿った空気の中では、たまった電気が水分を伝って少しずつ逃げていくからです。電気を通しやすい材料の容器やホース、帯電防止の服や靴を使うのも、ためない側です。
| 分け方 | 対策 | なぜ効くか |
|---|---|---|
| 起こさない | 流速を落とす | こすれる勢いが弱くなる |
| 起こさない | 激しくこすらない・かき混ぜない | こすれる回数が減る |
| ためない | 接地する | 電気が地面へ逃げる |
| ためない | 湿度を高くする | 湿った空気を伝って逃げる |
| ためない | 電気を通す容器・服・靴を使う | 体や道具から逃げやすい |
| ためない | 作業のあと時間をおく | たまった電気が少しずつ減る |
湿度を高くするのも、接地と同じ「ためない」側の対策です。
ここは覚えなくていい
どちらがプラスになりやすいかの並び(帯電列)や、静電気の力やエネルギーの式は、いまは覚えなくてかまいません。複数の金属どうしを線でつなぐボンディングという方法もありますが、乙4では名前を知っていれば足ります。湿度は「高いほどたまりにくい」という向きだけ押さえます。
試験ではこう聞かれる:「絶縁すれば安全」は逆
1つ目は、静電気の働きのすり替えです。「帯電すると物の温度が上がる」「電気分解が起こる」と書いてきます。静電気がたまっても、物の温度が上がったり化学反応が起きたりはしません。
2つ目は、絶縁の逆転です。容器の下にゴムのマットを敷く、絶縁性の高い靴を履く、ポリエチレンの容器に入れる、はどれも逆です。電気を通しにくくすると、静電気は逃げずにたまります。
3つ目は、流速と作業時間の逆転です。「流速を上げて短い時間で済ませる」は誤りで、速く流すほど静電気は多く生じます。
合成繊維の服は、綿の服よりたまりやすいことも問われます。アルコールのように水に溶ける液体は、ガソリンよりたまりにくいとされます。
覚え方:ゆっくり・つなぐ・しめらす(流速を落とす・接地・湿度)で、静電気は火花にならない。
工場・現場ではこうなる:接地してから、ゆっくり受け入れる
化学プラントで溶剤をタンクへ受け入れるときは、ローリーの接地線をつないでからホースをつなぎます。配管で溶剤を送るときは流速に上限を決め、受け入れの初めは特にゆっくり流します。溶剤や粉を扱う場所では帯電防止の靴と作業服を着け、配管のフランジどうしも線でつなぎます。
確認問題
問1 ガソリンは電気を通しにくい液体なので、流したりかき混ぜたりすると静電気が起きやすい。
答え:○
根拠:電気を通しにくい液体ほど、生じた電気が逃げずにたまります。
なぜか:液体が管の壁とこすれると、電気が分かれて生まれます。電気を通しにくいガソリンでは、その電気が逃げずに残ります。
狙われる形:ガソリンを「電気をよく通す液体」とした形で出ます。
問2 容器に危険物(きけんぶつ)を移すときは、勢いよく速く注ぐほど静電気の対策になる。
答え:×
訂正:容器に危険物を移すときは、流速を遅くして静電気の発生をおさえる。
根拠:液体を流す速さが速いほど、静電気は多く発生します。
なぜか:注ぐ勢いが強いほど、液体と容器やホースのこすれが増えます。静電気を起こさないためには、ゆっくり注ぎます。
狙われる形:作業時間を短くする発想で、流速を上げさせる形で出ます。
問3 床に水をまいて空気を湿らせることは、静電気の蓄積を防ぐ対策になる。
答え:○
根拠:湿度を高くするのは、たまった電気を逃がす「ためない」側の対策です。
なぜか:湿った空気の中では、物の表面の水分を伝わって電気が逃げていきます。そのため、たまる量が減ります。
狙われる形:湿度と静電気の関係を逆にした形で出ます。
まとめ
静電気は、電気を通しにくい油が流れたりこすれたりするとたまり、放電の火花が蒸気に火をつけます。流速を落としてこすらないのが「起こさない」、接地・湿度・電気を通す材料が「ためない」です。たまっても温度は上がらず、絶縁するとかえってたまります。
次に読む
- 前に戻る:水・泡・ガス・粉末で消せる火事の違い
- 次へ進む:燃える蒸気の濃さの範囲:火花が出ても燃えるとは限らない
- もっと詳しく(甲種レベル):静電気攻略:発生・放電・着火防止
事故事例と対策:注入・流出・静電気・配管のさび
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-6 静電気 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-10 静電気・3-4 静電気による火災の予防(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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