※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。
重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月23日
物置の携行缶を開けると、真冬でもガソリンのにおいがします。液面から、目に見えない燃える蒸気が出ているからです。危険物乙4では、ガソリンの引火点(いんかてん)や発火点(はっかてん)の数字と、灯油との違いがよく問われます。
この記事でわかること
- ガソリンの引火点・発火点・燃焼範囲(ねんしょうはんい)・蒸気の重さ・色
- 引火点は灯油より低いのに、発火点は灯油より高い理由
- 試験で入れ替えられやすいガソリンの性質
ガソリンの引火点は−40℃以下で、真冬でも火を近づければ燃えます。
ガソリンの発火点は約300℃で、灯油の発火点より高くなります。
蒸気は空気より重く、自動車ガソリンはオレンジ系の色に着色されています。
まず場面で:真冬に携行缶を開けると、見えない蒸気が出てくる
ガソリンの携行缶を開けると、冬でもつんとしたにおいがします。においは、液面から蒸気が出ている合図です。ガソリンの引火点は真冬の気温よりずっと低いので、常温(じょうおん)でも燃える濃さの蒸気が出ています。
常温とは、ふだんの気温くらいの温度のことです。真冬の屋外でも、ガソリンの液面の上には燃焼範囲の下限界(かげんかい)を超える濃さの蒸気が出ていて、火を近づければ引火(いんか)します。

出てきた蒸気は空気より重く、地面をはうように広がって、低い所にたまります。ガソリンの蒸気は空気より重く、低い所を伝って離れた火の気まで届くことがあります。だから、ガソリンは火の気のない、風通しのよい場所で扱います。
ガソリンの引火点が低く、発火点が灯油より高いのはなぜか
引火点とは、火を近づけたときに燃え始める、いちばん低い液温のことです。ガソリンは、蒸発しやすい軽い成分がたくさん混ざった液体です。そのため、とても低い温度でも燃える濃さの蒸気が出て、引火点は−40℃以下(マイナス40度以下)になります。
発火点とは、火を近づけなくても、熱だけで自分から燃え始める、いちばん低い温度のことです。発火点は、蒸気の出やすさではなく、熱だけで燃え始めるかどうかで決まります。引火点とは、別の性質を測った温度です。
ガソリンも灯油も、炭化水素(たんかすいそ)という、炭素と水素でできた物質が混ざったものです。灯油は、ガソリンより沸点(ふってん)の高い、重い成分でできています。一般に炭化水素は、炭素の数が多い重いものほど、発火点が低くなる傾向があります。
そのため、火を近づけたときの燃えやすさはガソリンが上でも、熱だけで燃え出すのは灯油のほうが先です。引火点の大小と発火点の大小は、同じ順番になるとは限りません。
ガソリンは、第4類(だいよんるい)の中の第1石油類に入ります。1つの物質ではなく、たくさんの炭化水素が混ざった混合物です。沸点が1つに決まらず、幅があるのはこのためです。
ガソリンは、玄関先にいつも燃える蒸気を並べている家です。灯油は、蒸気はあまり出さないけれど、熱には弱い家です。正確には、引火点は燃える蒸気の出やすさ、発火点は熱だけで燃え始める温度で決まる、別々の性質です。
覚える数字はガソリンの引火点・発火点・燃焼範囲・蒸気の重さ
覚える数字は、ガソリンの4つです。灯油の2つは、比べるために並べました。数字についている「以下」「以上」「約」も、答えの一部です。

| 物質 | 引火点 | 発火点 |
|---|---|---|
| ガソリン | −40℃以下 | 約300℃ |
| 灯油 | 40℃以上 | 約220℃ |
引火点はガソリンのほうがずっと低く、発火点は灯油のほうが低くなります。
燃焼範囲は、空気と混ざった蒸気の割合で表し、単位はvol%(ボリュームパーセント)です。蒸気比重(じょうきひじゅう)は、空気を基準にした蒸気の重さの比べ方です。同じ体積で比べると、ガソリンの蒸気は空気の3〜4倍の重さです。
ガソリンは電気を通しにくく、流したりかき混ぜたりすると静電気(せいでんき)がたまりやすい液体です。
| 性質 | ガソリン |
|---|---|
| 燃焼範囲(vol%) | 1.4〜7.6 |
| 蒸気比重(空気と比べた重さ) | 3〜4 |
| 液の重さ | 水より軽く、水に浮く |
| 水への溶けやすさ | 溶けない |
| 色(自動車ガソリン) | オレンジ系に着色 |
| 電気の通しやすさ | 通しにくく、静電気がたまりやすい |
自動車ガソリンは、灯油や軽油と見分けられるように、オレンジ系の色に着色されています。工業用のガソリンは無色透明です。自動車ガソリンの色は、もともとの色ではなく着色したものです。
ここは覚えなくていい
沸点は約40〜200℃で、製品によって幅があります。沸点や液の比重(ひじゅう)の細かい値は、覚えなくてかまいません。「沸点に幅がある=混合物」と分かれば足ります。
試験ではこう聞かれる:「発火点も灯油より低い」「自動車ガソリンは無色」は誤り
1つめは、発火点の逆転です。「ガソリンは引火点が低いので、発火点も灯油より低い」という形で出ます。発火点は、ガソリンのほうが灯油より高いので誤りです。
2つめは、性質の入れ替えです。「自動車ガソリンは無色」「電気を通しやすく、静電気がたまりにくい」は、どちらも誤りです。「蒸気は空気より軽い」「水によく溶ける」も誤りです。
3つめは、混合物と化合物のすり替えです。「ガソリンは1つの化学式で表せる化合物である」は誤りで、ガソリンは混合物です。
4つめは、自然発火(しぜんはっか)です。「ガソリンは自然発火しやすい」は誤りです。第4類で自然発火が問題になるのは、動植物油類の一部です。
燃焼範囲の数字を、灯油のものと入れ替える形もあります。ガソリンの燃焼範囲は1.4〜7.6vol%です。
工場・現場ではこうなる:ガソリンを運んだタンクに灯油を積むとき
ガソリンを運んだタンクローリーに灯油を積むときは、特に注意がいります。タンクに残った濃すぎるガソリンの蒸気が灯油に溶け込み、薄まって燃焼範囲に入ることがあるからです。そこで工場や油槽所の出荷場では、接地(せっち)をしたうえで、積み込みの初めは流速(りゅうそく)を落として注ぎます。
確認問題
問1 ガソリンスタンドで車に入れる自動車ガソリンは、無色透明の液体である。
答え:×
訂正:自動車ガソリンは、オレンジ系の色に着色されている。
根拠:第4類の多くは無色ですが、自動車ガソリンは区別のために着色してあります。
なぜか:ガソリンは、灯油と間違えないようにオレンジ系の色が付けてあります。灯油用のポリタンクに入れても、色で気づけます。
狙われる形:色が付いた物品を「無色」とした形や、着色を軽油の性質とした形で出ます。
問2 こぼれたガソリンから出た蒸気は、空気より重いので、床やみぞなど低い所にたまりやすい。
答え:○
根拠:第4類の蒸気は空気より重く、低い所にたまったり遠くまで流れたりします。
なぜか:空気より重い蒸気は、水が低い所へ流れるように下へ集まります。離れた所の火の近くまで流れていくこともあります。
狙われる形:蒸気が「上へ逃げる」とした形で出ます。
問3 引火点の低いガソリンは、沸点くらいまで熱すれば、火を近づけなくても燃え出す。
答え:×
訂正:ガソリンの発火点は沸点の範囲より高いので、沸点まで熱しただけでは燃え出さない。
根拠:引火点が低くても、発火点が低いとは限りません。
なぜか:火を近づけて燃えるかは引火点、熱だけで燃え出すかは発火点で決まります。ガソリンの発火点は、成分が沸とうし終わる温度よりも高いところにあります。
狙われる形:引火点の低さに引きずられて「熱するだけで燃え出す」とした形で出ます。
まとめ
ガソリンの引火点は−40℃以下と低く、真冬でも燃える蒸気が出ています。発火点は約300℃で、灯油より高く、引火点とは順番が逆になります。燃焼範囲は1.4〜7.6vol%、蒸気は空気より重く、自動車ガソリンはオレンジ系に着色されています。
次に読む
- 前に戻る:特殊引火物:4つの物品の「いちばん」を取り違えない
- 次へ進む:灯油と軽油の性質:常温では引火しないのに危ない場面
- もっと詳しく(甲種レベル):第4類を品名ごとにまとめて復習する
第1石油類:ベンゼン・トルエン・アセトンは水に溶けるかで分ける
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、4-4 第1石油類 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-4 引火と発火・3-7 第1石油類の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 『初歩から学ぶ乾燥技術 基礎と実践』中村正秋・立元雄治、丸善出版、第10章 10.2.2 可燃物の性質
内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 
