動画解説はこちら|YouTube

危険物乙4のイオン化傾向と金属の腐食|地下の配管はなぜさびるのか

危険物乙4のイオン化傾向と金属の腐食|地下の配管はなぜさびるのかのアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

重要度:○ 押さえておきたい論点です

最終確認:2026年9月24日

ガソリンスタンドや工場の地面の下の鉄の配管は、見えないところでさびて穴があくことがあります。危険物乙4では、どんな場所でさびやすいかを、イオン化傾向(イオンかけいこう)という金属の性質で問われます。

イオン化傾向 ── 鉄より大きい金属が先にとけて守る

イオン化列で鉄より左か右か(左の金属は先にとけて鉄を守る)

イオン化傾向は、金属が水の中で電子を手放し、陽イオンになろうとする度合いです。種類の違う金属がふれ合うと大きいほうが先にとけるので、鉄より大きい金属をつなぐと鉄が守られます。

問われる形○×ポイント
金属がマイナスの電気を帯びた粒になる性質、と説明する×プラスの陽イオンになる性質
亜鉛と鉄では、鉄のほうが陽イオンになりやすい×亜鉛のほうが大きい
塩酸に入れると、白金や金も水素を出して溶ける×イオン化傾向が小さく、溶けにくい
鉄の配管を守るには、鉄より小さい銅をつなぐ×つなぐのは鉄より大きい金属
マグネシウムを身代わりにつなぐと、鉄より先に減っていく○そのあいだ鉄はとけずにすむ

陽イオン(ようイオン)とは、プラスの電気を帯びた粒のことです。イオン化傾向の大きい金属ほど、とけ出しやすく、さびやすい金属です。

金属がまわりの水や空気と反応して、とけたり、さびたりして傷むことを腐食(ふしょく)といいます。鉄がさびるのは、鉄が酸素と結びつく酸化(さんか)の一つです。酸化の考え方は、酸化と還元(かんげん)の見分け方で扱っています。

鉄とつなぐ金属鉄と比べたイオン化傾向つないだときの鉄
マグネシウム大きい守られる(相手が先にとける)
アルミニウム大きい守られる(相手が先にとける)
亜鉛大きい守られる(相手が先にとける)
ニッケル・スズ・鉛小さい先にさびる
銅小さい先にさびる

鉄より左のマグネシウム・アルミニウム・亜鉛は身代わりになり、鉄より右の銅は鉄のさびを進めます。 金属をイオン化傾向の大きい順に並べた列を、イオン化列(イオンかれつ)といいます。

イオン化列の左の端には、カリウムやナトリウムのように、水とも反応する金属が並びます。右の端は白金や金で、陽イオンになりにくく、化学的に安定しています。水素は金属ではありませんが、陽イオンになるので、鉛と銅の間に入れて並べます。

塩酸と反応して水素を出すのは、イオン化列で水素より左の金属です。 イオン化傾向のとても小さい白金や金は、塩酸にとけにくい金属です。

トタンは、鉄の板を亜鉛(あえん)でめっきした板です。表面に傷がついても、鉄より亜鉛が先にとけるので、中の鉄はさびにくくなります。

  • 覚え方:マ・ア・ア(マグネシウム・アルミニウム・亜鉛)は鉄の身代わり、銅は身代わりにならない。
  • イオン化列の17個を全部そろえて並べられなくても、かまいません。水とどの金属が反応するかの細かい区切りも、危険物乙4では後回しでかまいません。

化学式の読み方の超入門:元素記号10個とH2Oが読めれば足りる

さびやすい場所 ── 迷走電流と性質の違う土の境目

地面の下の鉄の配管は、見えないところでさびる(銅とふれる所・湿った土・迷走電流が出ていく所)

地中の鉄の配管は、湿った土、海の砂、迷走電流(めいそうでんりゅう)の流れる所、性質の違う土の境目でさびやすくなります。中性化したコンクリートや、海砂を使ったコンクリートの中でも、鉄はさびやすくなります。

問われる形○×ポイント
直流の電車の線路のそばなら、埋めた配管はさびにくい×迷走電流でさびが進む
乾いた土と湿った土をまたいで埋めても、さびやすさは同じ×境目でさびが進む
アルカリ性を失ったコンクリートの中では、鉄がさびやすい○鉄を守る膜が保てない
海砂を混ぜたコンクリートなら、中の鉄はさびにくい×塩分でさびが進む
さびにくいのは、塗料で完全に覆って埋めた配管○水や土に直接ふれない
ステンレスの管とつなぐと、鋼の管がさびにくくなる×鋼の管のほうが激しくさびる
さびやすくなる条件例
水分が多い湿った土
塩分が多い海の砂、海水
酸性が強い酸性の土
種類の違う金属がふれる銅の棒、ステンレスの管
迷走電流が流れる直流の電気鉄道のそば
性質の違う所をまたぐ乾いた土と湿った土の境目
中性化したコンクリート古いコンクリートの中

迷走電流は、線路などから地中へ漏れて流れる電流です。漏れた電流が配管に入り、配管から土へ抜ける所で、鉄が陽イオンになってとけ出します。土の湿り気や成分が場所によって違うと、配管の部分ごとに電気的な差が生まれ、同じように電流が流れてさびが進みます。

正常なコンクリートは強いアルカリ性で、中の鉄の表面にうすい膜ができ、さびにくくなります。中性化が進むとこの膜が保てず、さびが進みます。土の中とコンクリートの中にまたがって埋めた配管も、さびやすくなります。

またいだ配管は、境目でさびる:土とコンクリート、乾いた土と湿った土をまたぐ配管は境目の近くでさびやすく、コンクリート中の部分は強いアルカリ性でさびにくい

海砂は塩分を含みます。塩分は水に溶けて電気を通しやすくし、鉄がとけ出す反応を進めるので、コンクリートの調合には海砂ではなく山砂を使います。

化学プラントなどの工場では、地面に埋める鋼の配管を樹脂の被覆(ひふく)で覆い、傷があれば直してから埋め戻します。さらに、鉄よりイオン化傾向の大きい金属をつなぎ、身代わりにとかす電気防食(でんきぼうしょく)も使われます。身代わりの金属は減っていくので、定期的に点検して取り替えます。

  • 鋼(はがね)の配管を埋めたとき最もさびにくい状況を選ぶ問題では、塗料で完全に覆って埋めた場合が答えになります。ほかの選択肢は、上のさびやすくなる条件から作られています。
  • 事故の場面から見た埋設配管のさびは、事故事例と対策で扱っています。

確認問題

問1 鉄と亜鉛(あえん)をくらべると、鉄のほうがイオン化傾向が大きい。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:×

訂正:イオン化傾向は、亜鉛のほうが鉄より大きい。

根拠:イオン化傾向は、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅の順に小さくなります。

なぜか:亜鉛は鉄より陽イオンになりやすい金属です。鉄板に亜鉛をめっきしたトタンは、この性質を使って鉄のさびを防いでいます。

狙われる形:2つの金属のイオン化傾向の大小を逆にした形で出ます。

問2 地中の鉄管に亜鉛(あえん)をつないでおくと、亜鉛が先に溶け出して、鉄管のさびがおさえられる。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:○

根拠:鉄よりイオン化傾向の大きい金属を鉄につなぐと、その金属が先に溶け出し、鉄の腐食をおさえられます。

なぜか:亜鉛は鉄より陽イオンになりやすいので、2つがつながっていると亜鉛のほうが先に溶けていきます。そのあいだ、鉄は溶けずにすみます。

狙われる形:鉄より陽イオンになりにくい金属をつなげば守れる、と入れかえた形で出ます。

問3 迷走電流(めいそうでんりゅう)が流れている土では、埋めた鉄管は腐食しにくい。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:×

訂正:迷走電流が流れる土では、埋めた鉄管の腐食が進みやすい。

根拠:埋めた金属から土へ電流が流れ出る所では、金属が陽イオンになって溶け出し、腐食が進みます。

なぜか:電気鉄道のレールなどから漏れた電流が鉄管を通り、土へ抜けていきます。電流が抜ける所で鉄が溶け出し、穴があくこともあります。

狙われる形:迷走電流を腐食を防ぐものと取り違えた形で出ます。

まとめ

2種類の金属がふれ合うと、イオン化傾向の大きいほうが陽イオンになって先にとけ、小さいほうは守られます。鉄より左のマグネシウム・アルミニウム・亜鉛は鉄の身代わりになり、鉄より右の銅がふれると鉄が先にさびます。地下の配管は、湿った土・海の砂・迷走電流・性質の違う所をまたぐ埋め方でさびやすく、塗料での被覆と電気防食で守ります。

次に読む

有機化合物の基礎:アルコール→アルデヒド→カルボン酸の1本の線

参考文献

  • 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-7 金属・イオン化傾向と腐食 Amazonで見る
  • 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-27 イオン化傾向・2-28 金属の腐食(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む