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危険物乙4の灯油と軽油の性質|常温では引火しないのに危ない場面

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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と収録問題数から。当サイトの判断)

最終確認:2026年9月23日

冬になると、石油ストーブやファンヒーターに灯油を入れる機会が増えます。灯油は、液面にマッチを近づけただけでは燃え始めない油です。それでも使い方しだいで火がつきやすくなる場面があり、危険物乙4ではその場面がよく問われます。

この記事でわかること

  • 灯油と軽油の引火点(いんかてん)と発火点(はっかてん)
  • 常温(じょうおん)では引火(いんか)しないのに、火がつきやすくなる4つの場面
  • 灯油にガソリンを混ぜてはいけない理由

灯油と軽油は、常温では引火しない油です。

温める、霧にする、布にしみこませる、ガソリンが混ざる、の4つで火がつきやすくなります。

まず場面で:灯油のつもりでガソリンをストーブに入れたら

灯油とガソリンは、どちらも家庭でポリタンクや携行缶に入れて使う油です。自動車用のガソリンはオレンジ系の色がつけてあり、灯油は無色かうすい黄色です。それでも、灯油のつもりでガソリンをストーブに入れてしまう誤給油(ごきゅうゆ)が起きることがあります。

常温とは、ふだんの気温くらいの温度のことです。灯油は常温では、液面に火を近づけても燃え始めません。ガソリンは真冬でも、火を近づければ燃え始めます。

灯油にガソリンが混ざると、灯油だけのときより低い温度で火がつくようになります。ストーブは灯油を燃やす前提で作られているので、ガソリンが入ると思わぬ火の出方をします。この記事では、灯油と性質のよく似た軽油(けいゆ)もあわせて見ていきます。

灯油と軽油が常温でも燃えやすくなる4つの場面

引火点とは、火を近づけたときに燃え始める、いちばん低い液温のことです。灯油の引火点はふだんの気温より高いので、液のままでは燃えられる濃さの蒸気が液面の上にそろいません。ところが、次の4つの場面では、この前提がくずれます。

灯油と軽油が常温でも燃えやすくなる場面(液のまま・霧・布にしみた灯油の比較)

1つめは、温めて液温が引火点以上になる場面です。加熱する設備や高温の機械の近くでは、灯油の液温も上がります。液温が引火点に届けば、灯油も火花などで引火します。

2つめは、霧状(きりじょう)にする場面です。霧状とは、液を細かい粒にして空気中に散らした状態のことです。粒が細かいほど空気にふれる面が広がり、液温が引火点より低くても火がつきやすくなります。

3つめは、布にしみこませる場面です。布の繊維に広がった灯油は、空気にふれる面が大きくなり、蒸発が進みます。ぼろ布やウエスにしみた灯油は、液のままより火がつきやすい状態です。

霧や布にしみた灯油は、角砂糖を粉にしたようなものです。同じ量の砂糖でも、粉にすると水にずっと早く溶けます。正確には、霧や布では液が空気にふれる面が広がり、燃えられる濃さの蒸気ができやすくなる、ということです。

4つめは、ガソリンが混ざる場面です。ガソリンは引火点がとても低く、灯油と混ぜると分かれずに混ざり合います。灯油にガソリンが混ざると常温でも引火しやすくなるので、混ぜてはいけません。

引火点と発火点の違い:火を近づけるか、近づけないか

覚える数字はこれだけ:灯油40℃以上、軽油45℃以上

灯油と軽油は、第4類(だいよんるい)の引火性液体(いんかせいえきたい)のうち、第2石油類(だいにせきゆるい)という品名に入ります。品名の区切りの温度は、第4類の7品名の記事で1本の物差しにまとめています。ここで覚えるのは、灯油と軽油の引火点と発火点です。

数字についている「以上」「約」も、答えの一部です。たとえば「40℃以上」は、40℃ちょうども含みます。比べる相手として、ガソリンの値も並べます。

覚える数字は灯油40℃以上、軽油45℃以上(ガソリンと並べた温度の物差し)
物質引火点発火点
灯油40℃以上約220℃
軽油45℃以上約220℃
ガソリン−40℃以下約300℃

灯油と軽油は、引火点はガソリンよりずっと高く、発火点はガソリンより低くなります。引火点の並びだけを見て、発火点も同じ順だと思わないようにします。

数字のほかに、灯油と軽油に共通する性質が3つあります。どちらも水より軽く、水に溶けません。蒸気は空気より重いので、床の近くや低い所にたまります。

さらに、どちらも電気を通しにくい不良導体(ふりょうどうたい)です。配管やホースの中を流すと、静電気(せいでんき)がたまりやすくなります。色は、灯油が無色かうすい黄色、軽油はうすい黄色から褐色のものが多い液体です。

ここは覚えなくていい

沸点や燃える濃さの幅、蒸気の重さの細かい値は、いまは覚えなくてかまいません。軽油は「引火点が灯油より少し高い」と、並び順で覚えておけば足ります。

試験ではこう聞かれる:「灯油は常温で引火する」は誤り

1つめは、常温での引火です。「灯油も軽油も、ふだんの気温で引火する」という形は誤りです。常温では引火しないが、温める・霧・布・ガソリンの混入で火がつきやすくなる、が正しい組み合わせです。

2つめは、霧と布の向きの逆転です。「霧状にすると引火しにくくなる」「布にしみこませると燃えにくい」は誤りです。どちらも空気にふれる面が広がり、火がつきやすくなります。

3つめは、ガソリンとの比べ方です。「灯油は引火点がガソリンより高いので、発火点も高い」は誤りです。発火点は、灯油と軽油がどちらも約220℃で、ガソリンより低くなります。

ほかに、性質を逆にした形も出ます。「静電気がたまりにくい」「蒸気は空気より軽い」「ガソリンを混ぜても分かれるので安全」は、どれも誤りです。「灯油は自然発火(しぜんはっか)しやすい」も誤りで、自然発火しやすいのは動植物油類の中の乾性油(かんせいゆ)です。

工場・現場ではこうなる:燃料配管のもれとウエスの片づけ

化学プラントでは、灯油や軽油をボイラーや非常用発電機の燃料として使います。配管のつなぎ目やポンプから圧力のかかった油がもれると、霧状に吹き出して火がつきやすくなります。そのため、もれはすぐに止めて火気を遠ざけ、油をふいたウエスもふた付きの金属容器に入れて片づけます。

確認問題

問1 霧吹きで細かい粒にした灯油は、液温が低くても、火を近づけると燃えることがある。

答え:○

根拠:引火点より液温が低くても、霧状や布にしみた状態では燃えることがあります。

なぜか:石油ファンヒーターは、灯油を細かい霧にして燃やしています。粒が細かいほど空気と混ざりやすく、火がつきやすくなります。

狙われる形:「引火点より液温が低いので燃えない」とした形で出ます。

問2 灯油にガソリンが混ざると、灯油だけのときより低い温度で引火しやすくなる。

答え:○

根拠:引火点の低い液体が混ざると、混ざった液体は引火しやすくなります。

なぜか:ガソリンは引火点がとても低く、灯油とよく混ざります。少し混ざっただけでも、ストーブの周りで火がつくおそれがあります。

狙われる形:「ガソリンは灯油と混ざらず分離する」とした形で出ます。

問3 引火点が高い灯油は、ストーブの上などでどれだけ温められても、引火することはない。

答え:×

訂正:灯油でも、液温が引火点以上になれば引火する。

根拠:引火点が高い液体でも、液温が引火点に届けば引火します。

なぜか:灯油も、液温が引火点に届けば燃える濃さの蒸気を出します。熱い物の近くに置いた灯油は、ガソリンと同じように引火するおそれがあります。

狙われる形:「灯油は温めても引火しない」とした形で出ます。

まとめ

灯油と軽油は、引火点が常温より高いので、液のままでは火を近づけても燃え始めません。ただし、温めて引火点以上にする、霧にする、布にしみこませる、ガソリンを混ぜる、の4つで火がつきやすくなります。引火点はガソリンよりずっと高い一方で、発火点はガソリンより低いことも押さえておきます。

次に読む

第2石油類(灯油・軽油以外):キシレン・酢酸・アクリル酸の見分け

参考文献

  • 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、4-6 第2石油類 Amazonで見る
  • 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、第3章 9 第2石油類の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る

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