動画解説はこちら|YouTube

危険物乙4の電気の基礎|オームの法則・電池・電気分解を出る形だけ

危険物乙4の電気の基礎|オームの法則・電池・電気分解を出る形だけのアイキャッチ

※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。

重要度:△ 出題は少なめですが電卓なしで解ける計算の型です

最終確認:2026年9月24日

懐中電灯の豆電球が光るのは、乾電池から出た電気が導線と豆電球を通ってひと回りしているからです。危険物乙4では、この電気の流れを、オームの法則(オームのほうそく)の計算や、電池と電気分解(でんきぶんかい)の形で問われます。

オームの法則と合成抵抗 ── 直列は大きく、並列は小さく

解き方の手順(3ステップ):合成抵抗→オームの法則(直列は大きく、並列は小さく)

電流は電圧を抵抗で割った値なので、電圧が同じなら、抵抗が大きいほど電流は小さくなります。抵抗は直列につなぐと足し算で大きくなり、並列につなぐとどの抵抗よりも小さくなります。

問われる形○×ポイント
電圧をそのままに抵抗を大きくすると、電流も増える×割る数が大きいほど電流は小さい
直列の抵抗を1本足すと、全体の抵抗は下がる×直列は足し算なので大きくなる
同じ抵抗2本を並列にすると、合成抵抗は2本の和×和になるのは直列。並列は小さくなる
電圧と電流から、抵抗=電流÷電圧で求める×抵抗=電圧÷電流。割る順に注意

懐中電灯の中では、乾電池、スイッチ、豆電球が導線で1つの輪につながっています。この電気の通り道の輪を、回路(かいろ)といいます。

導線の中を流れる電気の流れを電流(でんりゅう)といい、単位はA(アンペア)です。電流を流そうとする働きの大きさを電圧(でんあつ)といい、単位はV(ボルト)です。電流の流れにくさを抵抗(ていこう)といい、単位はΩ(オーム)です。

オームの法則とは、回路を流れる電流が電圧に比例し、抵抗に反比例するという決まりのことです。式は「電圧=電流×抵抗」で、変形すると「電流=電圧÷抵抗」「抵抗=電圧÷電流」になります。単位で書けば、V=A×Ωです。

抵抗が2つ以上あるときは、まとめて1つとみなした合成抵抗(ごうせいていこう)を先に出します。直列につなぐと合成抵抗は足し算で大きくなり、並列につなぐとどの抵抗よりも小さくなります。

  • 直列:合成抵抗=R1+R2
  • 並列:合成抵抗の逆数=R1の逆数+R2の逆数(1/R=1/R1+1/R2)

逆数とは、分数の上と下を入れかえた数のことで、3の逆数は1/3です。並列の合成抵抗は、逆数どうしを足したあと、もう一度ひっくり返して求めます。細い管を続けてつなぐと流れにくくなり、横に並べて通り道を増やすと流れやすくなるのと同じです。

  • ステップ1 つなぎ方を見る:一本道なら直列、枝分かれしていれば並列
  • ステップ2 合成抵抗を出す:直列は足し算、並列は逆数を足してからひっくり返す
  • ステップ3 オームの法則に入れる:電流=電圧÷合成抵抗(単位も式に書く)

例題1は、2Ωと4Ωの抵抗を直列につなぎ、12Vの電池につないだときの電流を求める問題です。数値は説明のための例の条件です。

  • ステップ1 一本道なので直列
  • ステップ2 合成抵抗=2Ω+4Ω=6Ω
  • ステップ3 電流=12V÷6Ω=2A

例題2は、3Ωと6Ωの抵抗を並列につなぎ、12Vの電池につないだときの電流を求める問題です。

  • ステップ1 枝分かれしているので並列
  • ステップ2 逆数の和=1/3+1/6=2/6+1/6=3/6=1/2。ひっくり返して、合成抵抗=2Ω
  • ステップ3 電流=12V÷2Ω=6A

並列の合成抵抗2Ωは、3Ωと6Ωのどちらよりも小さくなります。 答えが元の抵抗より大きくなったら、どこかで計算をまちがえています。

たとえば、10Ωの抵抗を2本、並列にした場合も手順は同じです。逆数の和は1/10+1/10=2/10です。ひっくり返して、合成抵抗は5Ωになります。

  • 2本を足した20Ωは、直列にした場合の値です。並列の答えにしないようにします。
  • 回路図の問題では、並列の部分を先に1つの合成抵抗にまとめます。電池が直列に2つあれば、電圧を足してからオームの法則に入れます。
  • 冬にドアノブでパチッと来る静電気(せいでんき)は、物にたまって流れずにとどまる電気です。たまる条件と逃がし方は、静電気はなぜ危ないかで扱っています。
  • 電線の長さや太さから抵抗を求める式(抵抗率)は、危険物乙4では後回しでかまいません。

電池のどちらの極がとけるかは、金属のイオン化傾向(イオンかけいこう)で決まります。次の論点で見ます。

電池 ── イオン化傾向の大きい金属が負極(リチウムイオン電池は起電力が大きい)

電池と電気分解は、電子の出入りで極が決まる(電子と電流の向き)

電池では、イオン化傾向の大きい金属が電子を手放してとけ出し、負極(ふきょく)になります。身近な電池の起電力(きでんりょく)は、リチウムイオン電池がいちばん大きい側です。

問われる形○×ポイント
亜鉛と銅の電池で、イオン化傾向の小さい銅がとけて負極になる×とけて負極になるのは亜鉛
起電力はリチウムイオン電池>鉛蓄電池の順○大小の順で問われる
鉛蓄電池は使い切りの一次電池×充電してくり返し使う二次電池

電池とは、酸化(さんか)と還元(かんげん)の反応で出るエネルギーを、電気として取り出す装置のことです。イオン化傾向の違う2種類の金属の板を電解液(でんかいえき)にひたし、導線でつなぐと電流が流れます。電解液とは、電気を通す水溶液のことです。

イオン化傾向の大きい金属は、電子を手放して陽イオン(ようイオン)になり、電解液にとけ出します。電子が導線へ出ていくこの極が負極で、電子が流れこむもう一方の極を正極(せいきょく)といいます。電子は導線を負極から正極へ流れ、電流の向きはその反対で、正極から負極へ流れます。

亜鉛板と銅板の電池なら、イオン化傾向の大きい亜鉛がとけて負極になり、銅が正極になります。2種類の金属がふれ合うと、イオン化傾向の大きいほうが先にとける、というイオン化傾向と金属の腐食の話と同じしくみです。

電池の両極の間の電圧を起電力といい、2つの金属のイオン化傾向の差が大きいほど大きくなります。使い切りの電池を一次電池、充電してくり返し使える電池を二次電池といいます。

  • 身近な電池の起電力は、リチウムイオン電池、鉛蓄電池(なまりちくでんち)、マンガン乾電池、ニッケル・カドミウム電池の順に小さくなります。
  • リチウムイオン電池や鉛蓄電池は、充電してくり返し使える二次電池です。
  • 電池ごとの起電力の値や、正極・負極に使う材料の名前は、危険物乙4では後回しでかまいません。大小の順だけ押さえます。

電気分解 ── 外から電気を流して化学変化を起こす(電池の逆)

しくみ何を何に変えるか例
電池化学変化のエネルギーを電気に乾電池、鉛蓄電池
電気分解電気の力で化学変化を起こす水を水素と酸素に分ける

電気分解は、電源から電流を流し込んで化学変化を起こす操作で、反応から電気を取り出す電池とは向きが逆です。電源の負極につないだ電極を陰極(いんきょく)、正極につないだ電極を陽極(ようきょく)といいます。

問われる形○×ポイント
電気分解は、反応から電気を生み出すしくみだ×それは電池の説明
硫酸銅の水溶液を白金の電極で分けると、陰極に銅が出る○陽極には酸素が出る
静電気がたまると、電気分解が起きる×静電気は流れない電気

電気分解とは、電解液に電極を入れて電流を流し、電気の力で化学変化を起こすことです。電池が反応から電気を取り出すのに対し、電気分解は電気を使って反応を起こします。

陰極では電子が流れこむので還元が起き、陽極では電子が出ていくので酸化が起きます。次の表の例では、陰極には金属か水素が、陽極には酸素か塩素が出てきます。

電気分解する液(電極)陰極に出る物陽極に出る物
少量の水酸化ナトリウムを加えた水(白金)水素酸素
硫酸銅の水溶液(白金)銅酸素
硝酸銀の水溶液(白金)銀酸素
塩化銅の水溶液(炭素)銅塩素

静電気は物にたまった電気で、回路を流れ続けないので、静電気がたまっても電気分解は起きません。極で起きる反応の式は、危険物乙4では後回しでかまいません。

化学プラントなどの工場では、地中の鋼の配管やタンクの底を直流の電源につないで守る、電気防食(でんきぼうしょく)も使われます。電源のマイナス側を配管につなぎ、土に埋めた電極から配管へ電流が流れこむようにすると、配管はとけ出しにくくなります。電流や電圧は定期的に測って記録し、防食が効いているかを確かめます。

確認問題

問1 直列の回路に抵抗を1本足すと、合成抵抗(ごうせいていこう)が大きくなる。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:○

根拠:直列につないだ抵抗の合成抵抗は、それぞれの抵抗の値を足した大きさになります。

なぜか:電流は、直列につないだ抵抗を1本ずつ順に通ります。通る抵抗が増えるので、回路全体では電流が流れにくくなります。

狙われる形:並列の性質と入れかえ、直列でも合成抵抗が小さくなるとした形で出ます。

問2 銅と亜鉛で作った電池では、イオン化傾向(イオンかけいこう)の小さい銅が溶け出して負極になる。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:×

訂正:イオン化傾向の大きい亜鉛が溶け出して負極になり、銅は正極になる。

根拠:電池では、イオン化傾向の大きい金属が溶け出して負極になり、小さい金属が正極になります。

なぜか:亜鉛は、銅より陽イオンになりやすい金属です。亜鉛が溶け出すときに出た電子が、導線を通って銅のほうへ流れます。

狙われる形:負極と正極の金属を入れかえた形で出ます。

問3 電気分解も電池も、化学変化を利用して電気を取り出すしくみである。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲

答え:×

訂正:電気を取り出すのは電池で、電気分解は電気を流して化学変化を起こすしくみである。

根拠:電池と電気分解は、電気と化学変化のエネルギーの向きが逆になるしくみです。

なぜか:電池は、化学変化から電気を生みます。電気分解では、電源から流した電気で、水などの物質を分けます。

狙われる形:電池と電気分解の役割を入れかえた形で出ます。

まとめ

電圧は電流×抵抗で、抵抗が2つ以上なら合成抵抗を先に出します。直列は足し算、並列はどの抵抗よりも小さくなります。電池ではイオン化傾向の大きい金属が負極になってとけ、電気分解では陰極に金属や水素、陽極に酸素や塩素が出ます。

次に読む

参考文献

  • 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-9 電気の計算/電池・2-11 電気分解(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
  • 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-7 金属・イオン化傾向と腐食(電池の起電力) Amazonで見る

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む