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危険物取扱者甲種の酸・塩基と酸化還元・電池攻略|計算と極性を整理

危険物取扱者甲種の酸・塩基、酸化還元、電池を解説する記事のアイキャッチ

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困っている人
困っている人

「pHと中和の計算式が混ざってしまう」

「酸化剤と還元剤は、結局どちらが酸化されるの?」

「電池の正極・負極と、電子の向きを毎回逆にする」

そんな疑問を解決します。

この記事の内容

酸・塩基の価数、強弱、pHの計算手順

中和に必要なH⁺とOH⁻の物質量のそろえ方

酸化・還元、酸化数、酸化剤・還元剤の判定

イオン化傾向から負極・正極を決める方法

試験で間違えやすい10項目

先に結論を言うと、この範囲は用語を別々に暗記するより、粒子の移動を追うと安定します。

  • 酸・塩基ではH⁺とOH⁻の量を追う
  • 酸化還元では電子の受け渡しを追う
  • 電池では電子を出す金属から受け取る側へ矢印を引く

pHは水素イオン濃度を求めてから計算します。中和は酸と塩基の体積をそのまま比べず、価数を含めたH⁺とOH⁻の物質量を比べます。

電池では、イオン化傾向が大きい金属が電子を失って酸化され、負極になります。電子は外部回路を負極から正極へ流れ、電流の向きはその反対です。

物理・化学10問全体の学習順序を先に確認したい人は、危険物取扱者甲種の物理・化学の出題傾向|10問中6問以上を取る勉強法を確認してください。

4分野は「イオンと電子」でつながる

酸・塩基、pH、中和、酸化還元、電池は、別々の章に見えても次の二つへ整理できます。

酸・塩基問題を価数と強弱の確認、イオン量の計算、pHまたは中和後の液性判定の3段階で示した図
酸・塩基問題は、価数と強弱を確認し、H⁺・OH⁻の量を求め、pHまたは中和後の液性を判定します。(一次資料を参考に当サイト作成)
分野追う粒子最初に見るもの最後に判定するもの
酸・塩基H⁺、OH⁻価数、濃度、電離度酸性・中性・アルカリ性
pHH⁺またはOH⁻水素イオン濃度pHの大小
中和H⁺、OH⁻価数、濃度、体積過不足と中和点の液性
酸化還元電子酸化数の増減酸化・還元、酸化剤・還元剤
電池電子金属のイオン化傾向負極・正極、電子の向き

計算式を思い出す前に「何の粒子を数える問題か」を特定してください。pHならH⁺、中和ならH⁺とOH⁻、電池なら電子です。

この整理により、酸・塩基の計算と電池の極性を同じ手順で解く必要がないと分かります。前半はイオンの量、後半は電子の向きが中心です。

酸・塩基は価数と強弱を分けて考える

水溶液中でH⁺を生じる物質を酸、OH⁻を生じる物質を塩基として扱います。甲種の計算では、まず価数と強弱を区別します。

項目意味
酸の価数1分子から放出できるH⁺の数HClは1価、H₂SO₄は2価
塩基の価数1式量から放出できるOH⁻の数NaOHは1価、Ca(OH)₂は2価
強酸・強塩基水溶液中でほぼ完全に電離するものとして扱うHCl、HNO₃、NaOHなど
弱酸・弱塩基一部だけが電離するCH₃COOH、NH₃など

価数は「放出できる数」、強弱は「どの程度電離するか」です。2価だから強酸、1価だから弱酸という関係ではありません。

たとえば硫酸は2価の酸であり、酢酸は1価の弱酸です。試験では価数と強弱を別々に問う選択肢へ注意してください。

pH計算は3段階で解く

pHは次の順番で求めます。

  1. 酸か塩基か、価数はいくつかを確認する
  2. 電離度を考慮して、水素イオン濃度[H⁺]を求める
  3. pH=−log₁₀[H⁺]へ代入する

基本的な酸では、水素イオン濃度は次の形です。

[H⁺]=酸の価数×モル濃度×電離度

強酸は、甲種の基本問題では電離度を1として扱う場合が多くあります。ただし、問題文に電離度が与えられていれば、その値を使います。

例として、1価の強酸が1.0×10⁻³ mol/Lなら、[H⁺]=1.0×10⁻³ mol/LなのでpHは3です。

塩基性水溶液で[OH⁻]が与えられた場合は、25℃でpH+pOH=14を使います。純水のpHが7になるのも25℃での関係です。問題文に温度条件があるときは、その条件を優先してください。

濃度の指数を見て、10⁻²ならpH2、10⁻⁴ならpH4という基本を先に固めると、対数計算で迷いにくくなります。

中和計算はH⁺とOH⁻の物質量をそろえる

中和は、酸が出すH⁺と塩基が出すOH⁻の物質量が等しくなる反応です。

酸の価数×酸の濃度×酸の体積=塩基の価数×塩基の濃度×塩基の体積

記号で書けば、nₐcₐVₐ=nᵦcᵦVᵦです。左右の体積を同じ単位でそろえれば、mLのまま比較できます。

解く順序は次のとおりです。

  1. 酸と塩基の価数を書く
  2. モル濃度と体積を対応させる
  3. H⁺とOH⁻の物質量が等しい式を作る
  4. 求める濃度・体積・質量へ変換する

体積だけを比べると、1価と2価が混ざった問題で誤ります。硫酸と水酸化ナトリウムなら、硫酸1 molから生じるH⁺を2 molとして数えるのが要点です。

また、中和後に酸または塩基が余る問題では、最初の物質量から反応した量を引き、余ったH⁺またはOH⁻から液性を判定します。

中和点の液性と指示薬を区別する

「中和」と「中性」は同じ意味ではありません。酸と塩基が当量反応しても、生成した塩の加水分解によって中和点の液性が変わります。

組合せ中和点付近の液性適する指示薬の考え方
強酸+強塩基ほぼ中性変色域が急変範囲に入るもの
弱酸+強塩基アルカリ性フェノールフタレイン
強酸+弱塩基酸性メチルオレンジ

フェノールフタレインは酸性側で無色、アルカリ性側で赤色系へ変化します。メチルオレンジは酸性側で赤色、アルカリ性側で黄色です。

試験では「中和点だから必ずpH7」「弱酸と強塩基の滴定にメチルオレンジ」といった選択肢を疑ってください。指示薬は名前ではなく、当量点付近のpH変化と変色域の関係で選びます。

酸化還元は電子で判定する

酸化と還元は、電子の受け渡しで整理すると最も安定します。

判定軸酸化還元
電子失う受け取る
酸化数増加する減少する
酸素受け取る失う
水素失う受け取る

四つの見方は同じ現象を別の角度から表しています。反応式に酸素や水素が出てこない場合でも、電子または酸化数を見れば判定できます。

酸化と還元は必ず同時に起こります。電子を失う物質があれば、その電子を受け取る物質が必要です。

たとえば金属ZnがZn²⁺になる変化では、Znは2個の電子を失うため酸化です。H⁺が電子を受け取ってH₂になる変化は還元です。

酸化数は基本ルールから求める

共有結合を含む反応では、電子の移動が反応式から見えにくいため、酸化数の増減を使います。

基本ルールは次のとおりです。

  • 単体の酸化数は0
  • 単原子イオンの酸化数はイオンの価数と同じ
  • 化合物中のHは原則+1
  • 化合物中のOは原則−2。ただし過酸化物などに例外がある
  • 電気的に中性な化合物では、酸化数の総和は0
  • 多原子イオンでは、酸化数の総和はイオンの電荷に等しい

たとえばCO₂では、Oが−2で2個あるため合計−4です。分子全体は0なので、Cは+4になります。

NH₄⁺ではHが+1で4個、イオン全体が+1です。N+4=+1となるため、Nの酸化数は−3です。

酸化数が上がった原子は酸化され、下がった原子は還元されています。係数を合わせる前でも、反応前後の酸化数を比較すれば酸化還元反応かを判定できます。

酸化剤・還元剤は「相手」ではなく「自分」を見る

名称と自分自身の変化が逆向きに見えるため、ここは頻出の混乱点です。

役割相手に起こすこと自分自身の変化
酸化剤相手を酸化する電子を受け取り、自分は還元される
還元剤相手を還元する電子を与え、自分は酸化される

判定するときは「相手をどうするか」より、まずその物質の酸化数が上がったか下がったかを確認してください。

  • 酸化数が下がった物質=自分は還元された=酸化剤
  • 酸化数が上がった物質=自分は酸化された=還元剤

「酸化剤だから自分が酸化する」は誤りです。酸化剤は電子を受け取る側なので、自分自身は還元されます。

イオン化傾向から電池を読む

イオン化傾向は、金属が電子を失って陽イオンになろうとする傾向です。異なる二つの金属を用いる電池では、イオン化傾向の大きい金属を起点に考えます。

比較イオン化傾向が大きい金属イオン化傾向が小さい側
電子の授受電子を失う電子を受け取る反応が起こる
反応酸化還元
電極負極正極
外部回路の電子出発側到着側

たとえばZnとCuを使う基本的な電池では、ZnのほうがCuよりイオン化傾向が大きいため、Znが電子を失ってZn²⁺になります。Zn極が負極、Cu側が正極です。

甲種の公式公開問題でも、二つの金属のイオン化傾向の差から起電力の大小を考える問題が示されています。基本問題では、二金属のイオン化傾向の差が大きいほど、起電力も大きくなる方向で比較します。

ただし、実際の電池電圧は電極反応、濃度、温度などの条件にも左右されます。資格試験の単純比較と実務の設計計算を混同しないでください。

負極・正極と電子・電流の向き

電池の放電時は、次の一続きで覚えます。

電池の放電時に負極で酸化、正極で還元が起こり、電子と電流が逆向きに流れる関係を示した図
放電時は、イオン化傾向が大きい金属が負極となって電子を失い、電子は正極へ流れます。電流は電子と逆向きです。(一次資料を参考に当サイト作成)

イオン化傾向が大きい→電子を失う→酸化→負極→電子が出る

イオン化傾向が小さい側→電子を受け取る反応→還元→正極→電子が入る

外部回路では、電子は負極から正極へ流れます。電流の向きは電子と反対で、正極から負極です。

項目負極正極
放電時の反応酸化還元
電子放出する受け取る
外部回路電子の出発点電子の到着点

「マイナスだから電子を引き寄せる」と考えると逆になります。負極は電子を生み出して外部回路へ送り出す側です。

一次電池は基本的に充電して繰り返し使うことを前提とせず、二次電池は充電により繰り返し使用できます。鉛蓄電池は代表的な二次電池です。放電と充電では反応の向きが逆になるため、問題文がどちらを問うているか確認してください。

電池と電気分解を混同しない

電池と電気分解は、化学反応と電気エネルギーの向きが逆です。

項目電池の放電電気分解
エネルギー変換化学エネルギーから電気エネルギー電気エネルギーから化学変化
反応自発的な酸化還元反応を利用する外部電源で反応を進める
外部電源不要必要

電池の放電では負極で酸化、正極で還元が起こります。一方、電気分解では陽極で酸化、陰極で還元が起こります。正極・負極と陽極・陰極を機械的に同じものとして覚えると、装置を変えた問題で混乱します。

甲種の基本問題では、まず「電池の放電か、電気分解か」を判定してから、それぞれの電極名と反応を対応させてください。

試験で間違えやすい10項目

2価の酸は必ず強酸である

価数と強弱は別の性質です。価数は放出できるH⁺の数、強弱は電離の程度を表します。

pHが大きいほど水素イオン濃度も大きい

pH=−log[H⁺]なので逆です。[H⁺]が大きいほどpHは小さくなります。

中和では酸と塩基の体積を等しくする

等しくするのはH⁺とOH⁻の物質量です。価数、濃度、体積をすべて考えます。

中和点は必ずpH7である

弱酸と強塩基ならアルカリ性、強酸と弱塩基なら酸性側になります。

電子を失う反応が還元である

電子を失うのが酸化、受け取るのが還元です。

酸化剤は自分自身が酸化される

酸化剤は相手を酸化し、自分は電子を受け取って還元されます。

酸化数が減ると酸化である

酸化数が増えると酸化、減ると還元です。

イオン化傾向が大きい金属が正極になる

基本的な電池の放電では、電子を出しやすい金属が負極になります。

電子は正極から負極へ流れる

外部回路の電子は負極から正極へ流れます。電流は逆向きです。

充電時も放電時と同じ反応が起こる

二次電池の充電では、放電と逆向きの反応が進みます。問題文の運転状態を確認します。

5段階の解答手順

選択肢は、次の順番で処理します。

  1. pH・中和・酸化還元・電池のどの問題か分類する
  2. 追う粒子を決める:H⁺、OH⁻、電子
  3. 与えられた価数、濃度、体積、電離度、酸化数、金属の組合せへ印を付ける
  4. 粒子の量または移動方向を式・矢印で書く
  5. 液性、酸化・還元、酸化剤・還元剤、極性を判定する

電池問題なら、二つの金属のイオン化傾向を比較し、大きい側から小さい側へ電子の矢印を一本引きます。矢印の出発側へ「負極・酸化」、到着側へ「正極・還元」と書けば混乱しません。

中和問題なら、酸側と塩基側へそれぞれ「価数×濃度×体積」を書き、先にH⁺とOH⁻の当量を比較します。いきなりpH式へ入れないことが重要です。

30秒セルフテスト

次の十問に答えてください。

  1. 価数と酸・塩基の強弱は同じ意味か
  2. [H⁺]が10倍になるとpHはどうなるか
  3. 中和で等しくなる粒子の物質量は何か
  4. 弱酸と強塩基の中和点は何性側か
  5. 電子を失う変化は酸化か還元か
  6. 酸化数が減少した物質は酸化されたか還元されたか
  7. 酸化剤自身は酸化されるか還元されるか
  8. イオン化傾向が大きい金属は、基本的な電池で何極か
  9. 外部回路の電子は何極から何極へ流れるか
  10. 電子と電流の向きは同じか

答えは、同じではない、1小さくなる、H⁺とOH⁻、アルカリ性、酸化、還元、還元、負極、負極から正極、反対、です。

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まとめ

危険物取扱者甲種の酸・塩基、pH、中和、酸化還元、電池を、イオンと電子の移動で整理しました。

  • 価数と酸・塩基の強弱は別々に考える
  • pHは水素イオン濃度を求めてから計算する
  • 中和では価数、濃度、体積からH⁺とOH⁻の物質量をそろえる
  • 中和点が必ず中性になるとは限らない
  • 電子を失うと酸化、受け取ると還元である
  • 酸化数が増えると酸化、減ると還元である
  • 酸化剤は自分自身が還元され、還元剤は自分自身が酸化される
  • イオン化傾向が大きい金属が負極となり、電子を出す
  • 外部回路の電子は負極から正極、電流はその逆へ流れる
  • 電池の放電と電気分解、二次電池の充電を区別する

迷ったら、酸・塩基ではH⁺とOH⁻、酸化還元・電池では電子へ矢印を付けてください。粒子の量と向きが決まれば、選択肢の言い換えにも対応できます。

参考文献