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危険物乙4の物質の三態と状態変化|融解・蒸発・昇華は熱を吸うのか出すのか

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重要度:○ 押さえておきたい論点です(公式公開問題と市販問題集の出題から。当サイトの判断)

最終確認:2026年9月24日

夏の台所では、コップの氷が溶け、やかんの湯が沸き、ぬれた手は風に当たるとひやっとします。どれも、物が固体・液体・気体のあいだで姿を変える状態変化です。危険物乙4では、この変化の名前と、そのとき熱を吸うのか出すのかが問われます。

この記事でわかること

  • 融解(ゆうかい)・凝固(ぎょうこ)・蒸発・凝縮(ぎょうしゅく)・昇華(しょうか)の向き
  • 状態変化のとき、熱を吸うのか出すのか
  • 温め続けても温度が止まる区間と、潜熱(せんねつ)の意味

固体→液体→気体の向きの変化は熱を吸い、逆の向きの変化は熱を出します。

水のような1種類の物は、状態が変わっている間は温度が止まります。

熱を吸うのは融解・蒸発・昇華、熱を出すのは凝固・凝縮と、気体から固体への昇華です。

まず場面で:氷が溶け、湯が沸き、ぬれた手が冷える

コップの氷は、まわりの空気から熱をもらって溶け、水になります。やかんの水は、コンロの火から熱をもらい続けて沸き、目に見えない水蒸気に変わります。どちらも、熱をもらう側の変化です。

ぬれた手に風が当たると冷たく感じるのは、手の水が蒸発するときに、手から熱を奪うからです。反対に、冷たいコップの外側に水滴がつくのは、空気中の水蒸気が冷やされて液体に戻るからです。このとき水蒸気は、熱を手放しています。

冷凍庫から出したドライアイスは、液体にならないまま小さくなって消えていきます。固体から直接気体になる、この変化が昇華です。3つの場面に共通するのは、姿が変わるときに熱が出入りしていることです。

状態変化で熱を吸うと、温度が止まる区間ができる

物は、目に見えない小さな粒が集まってできています。固体では粒がほとんど動かずに並び、液体では粒が入れかわりながら動き、気体では粒がばらばらに飛び回ります。固体→液体→気体の順に、粒の動きが活発になります。

粒の動きを活発にするには、外から熱を加える必要があります。そのため、固体→液体→気体の向きに変わるときは熱を吸い、逆の向きでは熱を出します。 熱を吸うことを吸熱(きゅうねつ)、熱を出すことを放熱(ほうねつ)ともいいます。

固体は教室の席に全員が座った状態、液体は教室の中を歩き回る状態、気体は校庭に散らばって走り回る状態です。席を立って走り出すには元気が要り、席に戻るときはその元気が余って外へ出ていきます。正確には、粒の動きを活発にするために熱を吸い、動きが穏やかになるときに熱を出します。

氷をゆっくり温め続けると、温度は上がっていきますが、溶け始めると途中で上がらなくなります。溶けきると再び上がり、沸騰が始まると、また温度が止まります。加えた熱が、温度を上げることではなく、状態を変えることに使われているからです。

状態変化で温度が止まる区間ができる(氷を温め続けたときの加熱曲線)

温度の変化に使われる熱を顕熱(けんねつ)、温度を変えずに状態の変化に使われる熱を潜熱といいます。溶けるときの潜熱が融解熱(ゆうかいねつ)、蒸発するときの潜熱が蒸発熱(じょうはつねつ)です。水が沸騰している間は、火を強めても温度は沸点のまま上がりません。

温度が止まるのは、水のように1種類の物でできている場合です。ガソリンのように多くの物が混ざった液体は、1つの沸点を持たず、沸点に幅があります。混ざった物の見分け方は、単体・化合物・混合物の見分け方で扱います。

蒸発熱は、火を消すときにも使われています。燃えている物に水をかけると、水が蒸発するときに熱を奪い、温度を下げます。この消し方が冷却消火(れいきゃくしょうか)です。

覚える言葉はこれだけ:6つの矢印と熱を吸う向き

覚えるのは、固体・液体・気体を結ぶ6つの矢印の名前と、熱の向きです。粒の動きが活発になる向き(固体→液体→気体)は熱を吸い、その逆は熱を出します。 覚える数字はありません。

蒸発は気化(きか)、凝縮は液化(えきか)とも呼びます。気体から直接固体になる変化も昇華と呼びますが、凝華(ぎょうか)と呼び分けることもあります。どちらの名前で出ても、向きは気体→固体で、熱を出す側です。

6つの矢印と熱を吸う向き(固体・液体・気体を結ぶ状態変化の名前)
変化の名前向き熱
融解固体→液体吸う
凝固液体→固体出す
蒸発(気化)液体→気体吸う
凝縮(液化)気体→液体出す
昇華固体→気体吸う
昇華(凝華)気体→固体出す

固体が液体になる温度を融点(ゆうてん)、液体が沸騰を始める温度を沸点(ふってん)といいます。沸点が気圧で変わるしくみは、物理・化学の沸点と蒸気圧の記事で扱います。

ここは覚えなくていい

水の状態図にある三重点や臨界点の温度と圧力は、この記事では覚えなくてかまいません。水に物を溶かすと沸点が上がる、沸点上昇の計算も同じです。

沸点が気圧で変わるしくみは、物理・化学の沸点と蒸気圧の記事で扱います。

試験ではこう聞かれる:気体→液体は凝固ではなく凝縮

1つめは、名前の取り違えです。気体が液体になる変化を「凝固」とする文は誤りで、正しくは凝縮です。凝固は液体→固体、凝縮は気体→液体で、どちらも熱を出す側です。

2つめは、熱の向きの逆転です。「水が水蒸気になるとき熱を出す」「水が氷になるとき熱を吸う」は、どちらも誤りです。蒸発は熱を吸い、凝固は熱を出します。

3つめは、昇華の例のすり替えです。硫黄(いおう)は加熱すると、溶けて液体になってから気体になるので、昇華ではありません。昇華は、液体を通らずに固体と気体が直接入れかわる変化です。

4つめは、温度の問いです。「氷と水が同じ温度で混ざっているのは、融点と凝固点が違うから」は誤りです。1種類の物では、融点と凝固点は同じ温度です。

「水の沸騰中に加熱を続けると、温度が上がり続ける」も誤りです。沸騰している間の熱は、蒸発熱として使われます。

工場・現場ではこうなる:蒸気の凝縮で温め、冷却水で液に戻す

化学プラントでは、タンクや反応器を温めるのに水蒸気をよく使います。熱交換器の中で水蒸気が水に戻るとき、凝縮で出る熱を相手に渡して温めます。反対に蒸留塔の塔頂では、上がってきた蒸気を冷却水で冷やして凝縮させ、液に戻して取り出します。

確認問題

問1 打ち水をすると涼しくなるのは、水が蒸発するときにまわりから熱をうばうからである。

答え:○

根拠:液体が気体になる蒸発は、まわりから熱を吸収する変化です。

なぜか:地面にまいた水が水蒸気になるとき、そのための熱を地面やまわりの空気から取り込みます。そのぶん、まわりの温度が下がります。

狙われる形:蒸発を「熱を出す変化」と、向きを逆にした形で出ます。

問2 防虫剤のナフタレンがだんだん小さくなるのは、固体が液体になる融解による。

答え:×

訂正:ナフタレンが小さくなるのは、固体が液体を経ずに直接気体になる昇華による。

根拠:固体が液体を経ずに直接気体になる変化を、昇華といいます。

なぜか:ナフタレンは、ふつうの温度でも固体の表面から少しずつ気体になって空気中へ出ていきます。液体の段階は通りません。

狙われる形:昇華の例を、融解や蒸発と取り違えた形で出ます。

問3 温度を変えずに、物質の状態を変えるために使われる熱を、顕熱(けんねつ)という。

答え:×

訂正:温度を変えずに状態変化に使われる熱は潜熱(せんねつ)で、顕熱は物質の温度を変える熱である。

根拠:温度を変えずに状態変化に使われる熱を潜熱、温度を変える熱を顕熱といいます。

なぜか:水が沸騰している間は、加えた熱が水蒸気になるほうに使われ、温度計の目盛りは動きません。この目に見えない熱が潜熱です。

狙われる形:潜熱と顕熱の名前を入れかえた形で出ます。

まとめ

固体・液体・気体のあいだの変化には6つの名前があり、粒の動きが活発になる向きは熱を吸い、逆の向きは熱を出します。水のような1種類の物は、溶けている間や沸騰している間は温度が止まり、加えた熱は潜熱として状態の変化に使われます。気体→液体は凝縮、固体と気体の直接の変化は昇華と、名前の取り違えに気をつけます。

次に読む

沸点と蒸気圧:山の上で低い温度で沸く理由と引火とのつながり

参考文献

  • 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-2 物質の状態変化 Amazonで見る
  • 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-12 物質の三態(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る

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