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重要度:△ 出題は少なめで、余力がある人向けの論点です
最終確認:2026年9月24日
ガソリンの蒸気は火花ひとつで一瞬のうちに燃え広がりますが、鉄のさびは何か月もかけてゆっくり進みます。この反応の速さと触媒(しょくばい)、化学平衡(かがくへいこう)は、危険物乙4では出題が少なく、余力がある人向けの論点です。
反応の速さ ── 濃度や温度が高いほど速い(吸熱反応でも温度を上げれば速い)

反応は、粒どうしがぶつかる回数が多いほど速く進みます。濃度や温度が高いほど速くなり、熱を吸う吸熱反応(きゅうねつはんのう)でも、温度を上げれば速くなります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 反応する物が濃いほど、反応はおそくなる | × | ぶつかる回数が増えて速くなる |
| 吸熱反応では、温度を上げると速さが落ちる | × | 吸熱でも発熱でも、温めれば速い |
| 固体を細かい粉にすると、反応が速くなる | ○ | 相手とふれ合う面積が広がる |
反応速度(はんのうそくど)とは、化学反応が進む速さのことです。反応が起きるには、反応する物の粒どうしがぶつかる必要があります。ガソリンの燃焼(ねんしょう)も鉄のさびも、物が酸素と結びつく酸化(さんか)の反応ですが、速さが大きく違います。
- 反応する物の濃度(のうど)が高い:粒が多く、ぶつかる回数が増える
- 気体どうしなら、圧力が高い:同じ体積の中の粒の数が増える
- 温度が高い:粒の動きが活発になる
- 固体なら、細かい粉にする:相手とふれ合う面積が広くなる
吸熱反応でも、温度を上げれば反応は速くなります。 温度を上げると吸熱反応の向きに移るのは化学平衡の話で、速さの話と混ぜないようにします。
粉や霧にした物が燃えやすいのも、空気とふれ合う面積が広くなるからです。燃えやすさの条件は、燃えやすさの条件で整理しています。
温度が上がるごとに反応が何倍も速くなる計算は、問題文の条件どおりに、上がった回数だけ掛け算します。次の数は、説明のための例の条件です。
- 条件:温度が10℃上がるごとに、反応の速さが2倍になる
- 温度が30℃上がると、10℃ずつ3回上がったことになる
- 2倍×2倍×2倍で、反応の速さは8倍になる
触媒 ── 活性化エネルギーの山を低くするだけで、反応熱は変わらない

触媒は、反応を始めるのに越えるエネルギーの山、活性化エネルギー(かっせいかエネルギー)を低くして反応を速めます。出発点と終点の高さは変えないので、反応熱(はんのうねつ)は変わりません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 触媒を使うと、活性化エネルギーが大きくなる | × | 山が低くなるので速くなる |
| 触媒を入れると、反応熱が大きくなる | × | 反応熱は増えも減りもしない |
| 触媒は、反応の前後でそれ自身は変わらない | ○ | 変えるのは速さだけ |
燃える物と酸素を混ぜただけでは、ふつうは燃え始めません。火種を近づけるなど、反応を始めるきっかけのエネルギーが要ります。活性化エネルギーが大きい反応ほど、越える山が高いので、反応はゆっくりになります。
触媒とは、反応の前後でそれ自身は変わらずに、反応の速さを変える物のことです。触媒を使うと、活性化エネルギーの小さい別の道すじで反応が進むので、反応が速くなります。
図の中で、反応の前の物と後の物の高さの差が反応熱です。触媒で変わるのは山の高さだけで、出発点と終点の高さは同じなので、反応熱は変わりません。 触媒は、峠道の下にトンネルを掘るようなものです。
- 反応熱は、熱化学方程式の読み方で扱った、式の右側に書く+○kJのことです。触媒は、反応の式の中には書き込みません。
- 単に触媒というときは、反応を速める正触媒(せいしょくばい)を指します。反応をおそくする物は負触媒(ふしょくばい)です。
- ハロゲン化物消火剤(ハロゲンかぶつしょうかざい)が燃える反応をおさえるのは、負触媒の働きです。この消し方は、消火(しょうか)の4つの方法の抑制消火(よくせいしょうか)にあたります。
- 触媒の種類の名前(均一系触媒・不均一系触媒)や、酵素がどちらに入るかは、危険物乙4では後回しでかまいません。
化学プラントなどの工場では、固体の触媒を反応器に詰め、低い温度でも反応が十分な速さで進むようにした装置が多くあります。触媒は反応で使い減りしませんが、不純物が付くなどして働きが落ちるので、運転を止めたときに詰め替えます。触媒があっても反応熱は変わらないので、反応器を冷やす設備は反応熱をもとに設計します。
化学平衡 ── 変化を打ち消す向きに移る
| 変えた条件 | 平衡が移る向き |
|---|---|
| ある物の濃度を上げる | その物が減る向き |
| ある物の濃度を下げる | その物が増える向き |
| 圧力を上げる(気体) | 分子の数が減る向き |
| 圧力を下げる(気体) | 分子の数が増える向き |
| 温度を上げる | 吸熱反応の向き |
| 温度を下げる | 発熱反応の向き |
| 触媒を加える | 移らない |
平衡の状態で濃度・圧力・温度を変えると、その変化を打ち消す向きに平衡が移ります。温度を上げると吸熱反応の向きに移り、触媒を加えても移りません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 平衡の状態で温めると、熱を出す反応の向きへ移る | × | 熱を吸う吸熱反応の向きへ移る |
| 触媒を加えると、平衡が右(できる物の側)へ動く | × | 移らず、平衡に着くのが早まるだけ |
| 平衡は、加えた変化をやわらげる向きへ移る | ○ | ルシャトリエの法則 |
反応の中には、右向きと左向きの両方に進むものがあります。式の左側から右側へ進む反応を正反応(せいはんのう)、右側から左側へ進む反応を逆反応(ぎゃくはんのう)といいます。両方の向きに進む反応を、可逆反応(かぎゃくはんのう)といいます。
化学平衡とは、可逆反応で正反応と逆反応の速さが等しくなり、見かけの上で変化が止まった状態のことです。止まって見えても、中では両方の反応が同じ速さで進んでいます。
条件の変化を打ち消す向きに平衡が移る決まりを、ルシャトリエの法則(ルシャトリエのほうそく)といいます。平衡移動の法則とも呼びます。
たとえば温度を上げると、吸熱反応の向きに平衡が移り、上がった温度を下げようとします。反対に温度を下げると、熱を出す発熱反応(はつねつはんのう)の向きに移ります。
圧力の行は、気体の分子の数で考えます。気体のAと気体のBから気体のCが1つできる可逆反応なら、左側は分子が2つ、右側は1つです。圧力を上げると、分子の数が減る右向き(Cができる向き)に移ります。
触媒を加えても平衡は移らず、平衡の状態に着くまでの時間が短くなるだけです。
- 平衡の計算や、反応の速さを式で表す方法は、危険物乙4では後回しでかまいません。
確認問題
問1 触媒(しょくばい)のうち反応を速めるものは、エネルギーの山を低くして、低い温度でも反応が進むようにする。
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答え:○
根拠:反応を速める触媒は、活性化エネルギーを小さくします。
なぜか:反応を始めるには、エネルギーの山を越えなければなりません。山が低くなると越えられる粒がふえて、反応が速く進みます。
狙われる形:「触媒は活性化エネルギーを大きくする」と、向きを逆にした形で出ます。
問2 触媒(しょくばい)を入れた反応では、触媒なしのときより発生する熱が小さくなる。
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答え:×
訂正:触媒があってもなくても、反応熱は変わらない。
根拠:触媒は反応の速さを変えますが、反応熱は変えません。
なぜか:反応熱は、反応の前と後の物質がもつエネルギーの差で決まります。触媒が低くするのは、途中の山だけです。
狙われる形:触媒で反応熱が変わる、とした形で出ます。
問3 平衡(へいこう)の状態にある反応で温度を上げると、その温度上昇を打ち消す向きに平衡が移る。
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答え:○
根拠:化学平衡は、条件を変えると、その変化を打ち消す向きに移動します。
なぜか:温度を上げたときは、熱を吸収する反応の向きに移ります。温度を下げたときは、熱を出す反応の向きに移ります。
狙われる形:温度を上げると「発熱反応の向き」に移る、と逆にした形で出ます。
まとめ
反応は、濃度や気体の圧力を上げる、温度を上げる、固体を細かくすると速くなります。触媒は活性化エネルギーの山を低くして反応を速めますが、出発点と終点の高さは変えないので、反応熱も平衡も変わりません。化学平衡は、濃度・圧力・温度の変化を打ち消す向きに移ります。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-4 反応の速さと化学平衡 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-22 反応速度と化学平衡(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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