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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と公式公開問題から。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月22日
真冬の朝でも、セルフスタンドで入れるガソリンは、火を近づければ燃え始めます。ところが同じ油の灯油は、液面にマッチを近づけただけでは燃え始めません。危険物乙4では、この差を引火点(いんかてん)と発火点(はっかてん)という2つの温度で説明します。
この記事でわかること
- 引火点・発火点・燃焼点(ねんしょうてん)の違い
- ガソリンが真冬でも引火(いんか)する理由
- ガソリンと灯油で、引火点と発火点の大小が逆になること
引火点は、火を近づけると燃え始める、いちばん低い液温です。
発火点は、火を近づけなくても自分から燃え始める、いちばん低い温度です。
ガソリンは引火点がとても低いのに、発火点は灯油より高くなります。
まず場面で:真冬のガソリンと、灯油ストーブにマッチを近づけると
なぜガソリンは、真冬でも火がつくのでしょうか。答えは、ガソリンが寒い日でも、火がつくのに足りる濃さの蒸気を液面から出しているからです。灯油は常温(じょうおん)では、火がつくほどの蒸気を出しません。
常温とは、ふだんの気温くらいの温度のことです。ガソリンの引火点は真冬の気温よりずっと低いので、冬の屋外でも火を近づければ燃えます。灯油の引火点はふだんの気温より高いので、温めない限り液面に火は移りません。
石油ストーブは、芯の先で灯油を温めて蒸気にしながら燃やしています。同じ「油」でも、燃える蒸気がどの温度から出るかが違うのです。この温度の目印が、引火点です。
引火点と発火点は「火を近づけるか、近づけないか」で分かれる
2つの温度を分けるのは、火種(ひだね)があるかないかです。火種とは、マッチの炎や電気の火花のような、燃え始めるきっかけのことです。

引火点とは、火種を近づけたときに燃え始める、いちばん低い液温のことです。液温が引火点に届くと、液面のすぐ上に、燃えられる濃さの蒸気がそろいます。
その濃さの幅を、燃焼範囲(ねんしょうはんい)といいます。液温が引火点より低いうちは、蒸気が薄すぎて、火を近づけても燃えません。
発火点とは、火種がなくても、熱だけで自分から燃え始める、いちばん低い温度のことです。発火点を「火をつける温度」と読むと、定義が入れ替わってしまいます。
引火点は、マッチを持った人が来て、はじめて火がつく温度です。発火点は、だれも来なくても勝手に燃え出す温度です。正確には、引火点は火種がある条件、発火点は火種がない条件での、燃え始めるいちばん低い温度です。
燃焼点は、火種を離しても燃え続けられる、いちばん低い液温です。引火点では火がついても、蒸気の出方が足りずに消えてしまうことがあります。燃焼点は引火点より数℃高い、と覚えれば十分です。
覚える数字はガソリンと灯油の4つだけ
覚える数字は、ガソリンと灯油の引火点と発火点の4つです。数字についている「以上」「以下」「約」も、答えの一部です。たとえば「40℃以上」は、その温度ちょうども含みます。
ガソリンの引火点は、−40℃以下(マイナス40度以下)です。灯油の引火点は40℃以上で、ガソリンよりずっと高い温度です。

| 物質 | 引火点 | 発火点 |
|---|---|---|
| ガソリン | −40℃以下 | 約300℃ |
| 灯油 | 40℃以上 | 約220℃ |
引火点はガソリンのほうがずっと低く、発火点は灯油のほうが低くなります。
ガソリンは、真冬の気温でも引火点を上回っています。常温でも、燃焼範囲の下限界(かげんかい)を超える濃さの蒸気が出ています。下限界とは、燃える濃さの幅の、薄いほうの端のことです。
灯油は、引火点まで温めない限り、火を近づけても引火しません。一方で、火種のない熱だけで燃え出すのは、灯油のほうが先です。
物差しの上で見ると、常温の帯は、ガソリンの引火点より上で、灯油の引火点より下にあります。これが「ガソリンは常温で引火し、灯油は常温では引火しない」の中身です。数字を丸暗記するより、この並び順を1本の線で覚えるほうが崩れません。
ここは覚えなくていい
ガソリンと灯油のほかの物質の発火点の値は、この記事では覚えなくてかまいません。燃焼点も、正確な温度ではなく「引火点より数℃高い」だけで足ります。
試験ではこう聞かれる:「引火点が低いほど発火点も低い」は誤り
1つめは、定義のすり替えです。発火点の説明に「火を近づけたとき」を付けたり、引火点の説明に「火種がなくても」を付けたりします。火種があるのが引火点、火種がないのが発火点です。
2つめは、大小の逆転です。「ガソリンは引火点が低いので、発火点も灯油より低い」という形で出ます。引火点の大小と発火点の大小は、同じ向きになるとは限りません。
3つめは、燃焼点との取り違えです。燃え続けられるいちばん低い温度を「引火点」と書いた文は誤りで、それは燃焼点です。「燃焼点は引火点より低い」も誤りです。
もう1つ、引火点を燃焼範囲の上の端と結びつける形もあります。引火点の液面の上にあるのは、燃焼範囲の下限界、つまり薄いほうの端の濃さの蒸気です。上限界(じょうげんかい)と書いてあれば誤りです。
工場・現場ではこうなる:防爆の範囲と高温の配管
化学プラントでは、電気機器を防爆(ぼうばく)構造にする範囲を考えるとき、扱う液体の引火点を見ます。引火点が40℃以上の液体でも、引火点を超える温度に温めて扱う場所は、防爆の対象に入ります。一方、高温の配管や機器の表面は火種がなくても油を燃やすことがあるので、漏れた油が触れないよう発火点も意識します。
確認問題
問1 液体に炎を近づけて燃え出すかどうかを見たとき、燃え出す最低の液温を引火点という。
答え:○
根拠:引火点は、火種があるときに燃え始める、いちばん低い液温です。
なぜか:引火点は、点火源(てんかげん)があることを前提にした温度です。液温がそこに届くと、液面の上に燃えられる濃さの蒸気がそろいます。
狙われる形:点火源が要らない発火点の説明と入れかえた形で出ます。
問2 灯油とガソリンのうち、火を近づけなくても燃え出す温度(発火点)が高いのは灯油である。
答え:×
訂正:発火点が高いのはガソリン(約300℃)で、灯油(約220℃)より高い。
根拠:引火点の大小と発火点の大小は、同じ向きになるとは限りません。
なぜか:灯油の発火点は約220℃、ガソリンは約300℃です。火のつきやすさ(引火点)とは順番が逆になります。
狙われる形:引火点の大小に引きずられて、発火点の大小まで同じにした形で出ます。
問3 灯油の引火点はガソリンより高く、40℃以上である。
答え:○
根拠:灯油の引火点は40℃以上で、ガソリンの引火点(−40℃以下)よりずっと高い温度です。
なぜか:灯油は液温を上げないと燃える蒸気が出にくく、引火点は40℃以上です。ガソリンの引火点は−40℃以下で、ずっと低い温度です。
狙われる形:ガソリンと灯油の引火点を入れかえた形で出ます。
まとめ
火を近づけて燃え始めるのが引火点、火がなくても自分から燃え出すのが発火点です。ガソリンは引火点がとても低い一方で、発火点は灯油より高くなります。燃え続けられる温度は燃焼点で、引火点より数℃高いところにあります。
次に読む
- 前に戻る:燃え方の種類:ガソリンは液体ではなく蒸気が燃えている
- 次へ進む:燃焼範囲:濃すぎても薄すぎても燃えない理由
- もっと詳しく(甲種レベル):燃え方と消し方の基礎
第4類の7品名:引火点の物差しに並べると区切りが覚えられる
ガソリンの性質:引火点は低いのに、発火点は灯油より高い
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、3-3 危険物の燃焼特性 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、第2章 引火と発火、燃焼範囲(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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