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重要度:△ 後回しにしてよい計算の型です(問題集の目次の頻出印はなく、公式公開問題でも見当たりません。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月24日
ガソリンの蒸気は空気より重く、足元にたまります。では、ほかの物質の蒸気が空気より重いか軽いかは、どう確かめればよいのでしょうか。危険物乙4では、分子量(ぶんしりょう)とモルを使って、その重さを数で比べる計算が出ます。
この記事でわかること
- モルが「粒をまとめて数える単位」であることと、原子量(げんしりょう)・分子量の関係
- 質量をmolに直す手順と、蒸気比重(じょうきひじゅう)を分子量から求める手順(例題2題)
- 質量パーセント濃度とモル濃度の違い(何で割るか)
モルは粒をまとめて数える単位で、1molの質量は分子量にgを付けた値です。
蒸気比重は、蒸気の分子量を空気の平均分子量で割って求めます。
濃度は、質量パーセント濃度なら溶液(ようえき)の質量で、モル濃度なら溶液の体積(L)で割ります。
まず場面で:蒸気が空気より重いかを分子量で比べる
蒸気比重は、蒸気の重さを同じ体積の空気と比べた値です。1より大きい蒸気は、低い所にたまります。蒸気比重の意味と、蒸気がたまる場所の話は、比重(ひじゅう)と蒸気比重で扱いました。
この記事では、その蒸気比重を計算で出す方法を扱います。手がかりは、アボガドロの法則です。
アボガドロの法則とは、同温・同圧で同じ体積の気体には、種類によらず同じ数の分子が入る、という決まりのことです。
同じ体積に入る分子の数が同じなら、重さの違いは分子1個の重さの違いで決まります。分子1個の重さを比べる目盛りが、分子量です。蒸気が空気より重いかどうかは、分子量どうしを比べれば分かります。
モルは粒をまとめて数える単位:原子量と分子量
原子量とは、原子1個の重さを、炭素の原子を基準にして比べた値のことです。原子1個はとても軽いので、グラムのままでは扱いにくく、比べた値で表します。炭素の原子量を12として、ほかの原子の重さを比べた値です。
分子量とは、分子をつくる原子の原子量を、すべて足した値のことです。化学式の右下の数字は、その原子の個数を表します。原子量に個数を掛けてから足せば、分子量が出ます。
モル(mol)とは、決まった数の粒をひとまとめにして数える単位のことで、この粒の量を物質量といいます。1molの物質の質量は、その分子量にgを付けた値になります。 分子量が50の物質なら、1molは50gです。
モルは、鉛筆12本を1ダースと数えるような、まとめ買いの単位です。粒が小さすぎて1個ずつは数えられないので、決まった数をひと袋にして数えます。正確には、1molは決まった数の原子や分子の集まりで、その質量は分子量にgを付けた値です。

解き方の手順(3ステップ):分子量を出し、質量をmolに直す
計算の型の中で、モルと分子量の計算は後回しにしてよい型です。どの型を先にやるかは、電卓なしで解ける計算の5つの型で見渡せます。問題集の計算問題では、使う原子量の多くが問題文に示されています。
- ステップ1 分子量を出す:原子ごとに「原子量×個数」を出して足す
- ステップ2 molに直す:質量(g)を、1molの質量(分子量にgを付けた値)で割る
- ステップ3 蒸気比重にする:分子量を、空気の平均分子量で割る
化学式から分子量を出すときは、ステップ1の足し算をします。原子の種類ごとに掛け算を書いてから足すと、個数の数え落としを防げます。
たとえばブタン(C4H10)は、炭素が4個、水素が10個です。
- ステップ1 12×4+1×10=48+10=58
水素の原子量1を掛け忘れて10を足さないと、分子量を48と間違えます。
例題1は、分子量が58の物質116gが、何molかを求める問題です。
- ステップ1 分子量は、問題文の58をそのまま使う
- ステップ2 1molの質量は58gなので、116g÷58g/mol=2mol
逆に58÷116とすると0.5molになり、答えが4分の1にずれます。 割られる数は、いつも手元にある質量です。
例題2は、分子量が58の物質の蒸気比重を求める問題です。
- ステップ1 分子量は58
- ステップ3 58÷29=2.0で、1より大きいので空気より重く、低い所にたまる
空気の平均分子量は約29です。分子量が29より大きい気体は、空気より重くなります。逆に29÷58とすると0.5になり、軽いと読み違えます。
分子量を空気の値で割る向きを逆にすると、重い蒸気を軽いと読み違えます。 蒸気比重は、いつも「蒸気の分子量÷空気の平均分子量」です。
ここは覚えなくていい
1molに含まれる粒の数(アボガドロ数)の値と、気体1molが占める体積の値は、覚えなくてかまいません。溶媒1kgあたりのmolで表す質量モル濃度も、後回しでかまいません。
質量パーセント濃度とモル濃度は割る相手が違う
溶液とは、ある物が液体に溶けて一様に混ざったもののことです。溶けている物を溶質(ようしつ)、溶かしている液体を溶媒(ようばい)といいます。濃度とは、溶液の中に溶質がどれだけ含まれるかの割合です。
質量パーセント濃度は、溶質の質量を溶液の質量で割り、100を掛けた値です。20gの溶質を80gの水に溶かすと、溶液は100gになります。20÷(20+80)×100=20で、20%です。
割る相手は溶媒ではなく溶液なので、20÷80×100=25%とすると誤りです。 モル濃度は、溶質の物質量(mol)を、溶液の体積(L)で割った値で、単位はmol/Lです。0.5molの溶質を溶かして250mLの溶液にすると、250mL=0.25Lなので、0.5÷0.25=2mol/Lです。
試験ではこう聞かれる:割る相手と単位のすり替え
1つめは、1molの質量を問う形です。1molの質量は分子量にgを付けた値で、分子量が大きいほど1molは重くなります。 選択肢では、分子量を足し間違えた値が並びます。
2つめは、蒸気比重の向きです。分子量が空気の平均分子量より大きい蒸気は、空気より重く低い所にたまります。割る向きを逆にした値が、選択肢に混ぜてあります。
3つめは、濃度の割る相手と単位です。質量パーセント濃度を溶媒の質量で割った値や、モル濃度をmLのまま割った値が並びます。0.5÷250とすると、正しい値の1000分の1になります。
工場・現場ではこうなる:原料の量をmolの比でそろえる
化学プラントでは、反応させる原料どうしの量を、重さではなくmolの比で考えて仕込み量を決めます。分析に使う試薬の濃さはmol/L、製品や薬品の濃さは質量パーセントで表すことが多く、ラベルの単位を見て読み分けます。溶剤の蒸気が空気より重いかは分子量からも見当がつき、換気口や検知器の高さを決める手がかりになります。
確認問題
問1 物質量(ぶっしつりょう)が同じなら、水と二酸化炭素の分子の数は等しいが、質量は等しくない。
答え:○
根拠:1molは粒の数のまとまりで、1molの質量は物質ごとに、分子量(原子量)にgを付けた値になります。
なぜか:水1molも二酸化炭素1molも、分子の数は同じです。分子1個の重さが違うので、1molあたりの質量は二酸化炭素のほうが大きくなります。
狙われる形:物質量が同じなら質量も同じ、とした形で出ます。
問2 分子量87の気体は、空気の分子量を29とすれば、蒸気比重(じょうきひじゅう)が約0.33になる。
答え:×
訂正:蒸気比重は分子量÷29なので、87÷29=3で、空気の3倍重い。
根拠:蒸気比重は、気体の分子量を空気の分子量(約29)で割って求めます。
なぜか:分子量の大きい気体ほど、同じ体積あたりの重さが大きくなります。29÷87と逆に割ると約0.33になり、空気より軽いと間違えます。
狙われる形:割る数と割られる数を逆にした値を示す形で出ます。
問3 溶質(ようしつ)の質量を溶液の質量で割って100をかけた値を、モル濃度という。
答え:×
訂正:その値は質量パーセント濃度で、モル濃度は溶液1Lに溶けている溶質の物質量で表す。
根拠:質量パーセント濃度は質量の割合、モル濃度は溶液1Lあたりの物質量で表します。
なぜか:食塩水なら、食塩が溶質、水が溶媒、食塩水全体が溶液です。質量どうしの割合を百分率で表したものが、質量パーセント濃度です。
狙われる形:2つの濃度の名前と求め方を入れかえた形で出ます。
まとめ
モルは決まった数の粒をまとめて数える単位で、1molの質量は、原子量を足して出した分子量にgを付けた値です。質量をmolに直すには質量を1molの質量で割り、蒸気比重は蒸気の分子量を空気の平均分子量で割って出します。質量パーセント濃度は溶液の質量で、モル濃度は溶液の体積(L)で割り、溶媒やmLのままで割らないようにします。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-1 共通の予備知識 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-14 比重と蒸気比重・2-21 化学の基礎(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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