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重要度:△ 後回しにしてよい計算の型です
最終確認:2026年9月24日
ガソリンの蒸気は空気より重く、足元にたまります。危険物乙4では、蒸気の重さを表す蒸気比重(じょうきひじゅう)を、分子量(ぶんしりょう)とモルから求める計算と、濃度の計算が出ます。
1molの質量 ── 粒の数は同じだが質量は物質ごとに違い、分子量にgを付けた値

1molは粒の数でそろえた量なので、どの物質でも粒の数は同じです。粒ひとつの重さは物質で異なるので、1molの質量も物質で変わり、分子量にgを付けた値になります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 1molなら、どの物質も同じ質量になる | × | そろうのは粒の数。質量は分子量で決まる |
| 分子量の大きい物ほど、1molは軽い | × | 分子量が大きいほど重い |
| 質量をmolに直すとき、分子量を手元の質量で割る | × | 手元の質量を、分子量にgを付けた値で割る |
原子量(げんしりょう)とは、原子1個の重さを、炭素の原子を基準にして比べた値です。炭素の原子量を12として、ほかの原子の重さを比べます。
分子量とは、分子をつくる原子の原子量を、すべて足した値です。化学式の右下の数字は原子の個数なので、原子量に個数を掛けてから足します。
モル(mol)とは、決まった数の粒をひとまとめにして数える単位で、この粒の量を物質量(ぶっしつりょう)といいます。1molの物質の質量は、その分子量にgを付けた値になります。 分子量が50の物質なら、1molは50gです。
水と二酸化炭素を1molずつ量ると、入っている分子の数はそろいます。それでも、はかりの目盛りは二酸化炭素のほうが大きく出ます。
計算の型の中で、モルと分子量の計算は後回しにしてよい型です。どの型を先にやるかは、電卓なしで解ける計算の5つの型で見渡せます。問題集の計算問題では、使う原子量の多くが問題文に示されています。
- ステップ1 分子量を出す:原子ごとに「原子量×個数」を出して足す
- ステップ2 molに直す:質量(g)を、1molの質量(分子量にgを付けた値)で割る
- ステップ3 蒸気比重にする:分子量を、空気の平均分子量で割る(次の論点)
たとえばブタン(C4H10)は、炭素が4個、水素が10個です。
- ステップ1 12×4+1×10=48+10=58
水素の原子量1を掛け忘れて10を足さないと、分子量を48と間違えます。
例題1は、分子量が58の物質116gが、何molかを求める問題です。
- ステップ1 分子量は、問題文の58をそのまま使う
- ステップ2 1molの質量は58gなので、116g÷58g/mol=2mol
逆に58÷116とすると0.5molになり、答えが4分の1にずれます。 割られる数は、いつも手元にある質量です。
- モルは、鉛筆12本を1ダースと数えるような、まとめ買いの単位です。粒が小さすぎて1個ずつは数えられないので、決まった数をひと袋にして数えます。
- 1molに含まれる粒の数(アボガドロ数)の値と、気体1molが占める体積の値は、危険物乙4では覚えなくてかまいません。
蒸気比重の計算 ── 分子量÷空気の分子量29

蒸気比重は、蒸気の分子量を、空気の平均分子量の約29で割って求めます。答えが1より大きければ空気より重く、低い所にたまります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 空気の分子量を、蒸気の分子量で割る | × | 割られる数は蒸気の分子量 |
| 分子量が空気より大きい蒸気は、空気より軽い | × | 空気より重く、低い所にたまる |
蒸気比重は、蒸気の重さを同じ体積の空気と比べた値です。意味と、蒸気がたまる場所の話は、比重(ひじゅう)と蒸気比重で扱いました。
計算の手がかりは、アボガドロの法則です。同温・同圧で同じ体積の気体には、種類によらず同じ数の分子が入る、という決まりです。
同じ体積に入る分子の数が同じなら、重さの違いは分子1個の重さの違いで決まります。分子1個の重さを比べる目盛りが、分子量です。蒸気が空気より重いかどうかは、分子量どうしを比べれば分かります。
例題2は、分子量が58の物質の蒸気比重を求める問題です。
- ステップ1 分子量は58
- ステップ3 58÷29=2.0で、1より大きいので空気より重く、低い所にたまる
空気の平均分子量は約29なので、分子量が29より大きい気体は空気より重くなります。逆に29÷58とすると0.5になり、軽いと読み違えます。
分子量を空気の値で割る向きを逆にすると、重い蒸気を軽いと読み違えます。 蒸気比重は、いつも「蒸気の分子量÷空気の平均分子量」です。
工場などで使う溶剤の蒸気が空気より重いかは、分子量からも見当がつきます。換気口や検知器を置く高さを決める手がかりになります。
モル濃度 ── 溶液1Lに溶けている溶質のmol

モル濃度は、溶液1Lあたりに溶質が何mol溶けているかで表す濃度で、単位はmol/Lです。質量の割合を百分率にした値は、質量パーセント濃度という別の濃度です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 溶質の質量÷溶液の質量×100を、モル濃度と呼ぶ | × | それは質量パーセント濃度 |
| 質量パーセント濃度を、溶媒の質量で割って出す | × | 割る相手は溶液 |
| モル濃度を、mLのままの体積で割って出す | × | Lに直してから割る |
溶液とは、ある物が液体に溶けて一様に混ざったものです。溶けている物を溶質(ようしつ)、溶かしている液体を溶媒(ようばい)といいます。砂糖水なら、砂糖が溶質、水が溶媒で、砂糖水全体が溶液です。
質量パーセント濃度は、溶質の質量を溶液の質量で割り、100を掛けた値です。20gの溶質を80gの水に溶かすと、溶液は100gになります。20÷(20+80)×100=20で、20%です。
割る相手は溶媒ではなく溶液なので、20÷80×100=25%とすると誤りです。
モル濃度は、溶質の物質量(mol)を、溶液の体積(L)で割った値です。0.5molの溶質を溶かして250mLの溶液にすると、250mL=0.25Lなので、0.5÷0.25=2mol/Lです。0.5÷250とすると、正しい値の1000分の1になります。
- 化学プラントでは、分析に使う試薬の濃さはmol/Lで表すことが多くあります。製品や薬品の濃さは質量パーセントが多いので、ラベルの単位を見て読み分けます。反応させる原料どうしの量も、重さではなくmolの比で考えて仕込み量を決めます。
- 溶媒1kgあたりのmolで表す質量モル濃度は、危険物乙4では後回しでかまいません。
確認問題
問1 物質量(ぶっしつりょう)が同じなら、水と二酸化炭素の分子の数は等しいが、質量は等しくない。
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答え:○
根拠:1molは粒の数のまとまりで、1molの質量は物質ごとに、分子量(原子量)にgを付けた値になります。
なぜか:水1molも二酸化炭素1molも、分子の数は同じです。分子1個の重さが違うので、1molあたりの質量は二酸化炭素のほうが大きくなります。
狙われる形:物質量が同じなら質量も同じ、とした形で出ます。
問2 分子量87の気体は、空気の分子量を29とすれば、蒸気比重(じょうきひじゅう)が約0.33になる。
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答え:×
訂正:蒸気比重は分子量÷29なので、87÷29=3で、空気の3倍重い。
根拠:蒸気比重は、気体の分子量を空気の分子量(約29)で割って求めます。
なぜか:分子量の大きい気体ほど、同じ体積あたりの重さが大きくなります。29÷87と逆に割ると約0.33になり、空気より軽いと間違えます。
狙われる形:割る数と割られる数を逆にした値を示す形で出ます。
問3 溶質(ようしつ)の質量を溶液の質量で割って100をかけた値を、モル濃度という。
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答え:×
訂正:その値は質量パーセント濃度で、モル濃度は溶液1Lに溶けている溶質の物質量で表す。
根拠:質量パーセント濃度は質量の割合、モル濃度は溶液1Lあたりの物質量で表します。
なぜか:食塩水なら、食塩が溶質、水が溶媒、食塩水全体が溶液です。質量どうしの割合を百分率で表したものが、質量パーセント濃度です。
狙われる形:2つの濃度の名前と求め方を入れかえた形で出ます。
まとめ
モルは決まった数の粒をまとめて数える単位で、1molの質量は、原子量を足して出した分子量にgを付けた値です。質量をmolに直すには質量を1molの質量で割り、蒸気比重は蒸気の分子量を空気の平均分子量で割って出します。質量パーセント濃度は溶液の質量で、モル濃度は溶液の体積(L)で割り、溶媒やmLのままで割らないようにします。
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参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-1 共通の予備知識 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-14 比重と蒸気比重・2-21 化学の基礎(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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