※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。
重要度:◎ よく問われます
最終確認:2026年9月22日
油火災(あぶらかさい)にホースの水を棒状(ぼうじょう)でかけると、かえって火が広がることがあります。
危険物乙4では、霧状(きりじょう)の強化液(きょうかえき)など、消火剤(しょうかざい)ごとの使える火災が問われます。
水と強化液 ── 油火災(B火災)に棒状の水は使えない、霧状の強化液は使える

油火災に棒状の水をかけると、油が水に浮いて燃える面が広がるので使いません。強化液は霧状にすると油火災にも使え、水も強化液も霧状なら電気火災(でんきかさい)に使えます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 水は冷やす力が大きいので、油の火にもまっすぐ当てればよい | × | 油が水に浮いて火が広がる |
| 電気火災には、水は霧にしても使えない | × | 霧状なら使える。棒状は感電のおそれ |
| 強化液は水の仲間なので、霧にしても油の火には向かない | × | 霧状の強化液は抑制が効き、油火災に使える |
| 燃える液体の火災を、木や紙の火災と同じ区分に入れる | × | ガソリン・灯油の火災はB火災(油火災) |
火災は、消火(しょうか)のしかたを選ぶために3つに分けます。木や紙・布の普通火災(ふつうかさい)がA火災、ガソリンや灯油・アルコールなどの油火災がB火災です。モーターや変圧器など電気設備の電気火災は、C火災です。
危険物乙4で扱う液体の火災は、すべて油火災に入ります。

棒状はホースから出る1本の流れ、霧状は霧吹きのような細かい粒で当てるかけ方です。水の流れがつながっていると電気が伝わり、かける人が感電するおそれがあります。水を霧状にしてはっきり変わるのは、電気火災に使えるようになる点です。
強化液とは、水に炭酸カリウムを濃く溶かした液のことです。冷やす力と再び燃え出すのを防ぐ力に加え、燃える反応を止める抑制の働きも持ちます。強化液は霧状にすると油火災にも使え、油火災では抑制の働きがよく効きます。
| 消火剤 | 使える火災 | 主な効き方 |
|---|---|---|
| 水(棒状) | 普通 | 冷却 |
| 水(霧状) | 普通・電気 | 冷却 |
| 強化液(棒状) | 普通 | 冷却 |
| 強化液(霧状) | 普通・油・電気 | 冷却・抑制 |
| 泡(一般の泡) | 普通・油 | 窒息・冷却 |
- 上の表は消火器で使うときの区分です。いちばん下の泡消火剤(あわしょうかざい)は、次の論点で見ます。
- 水を細かい霧にして出す水噴霧消火設備は、法令で油火災にも使える扱いで、消火器の水とは別の話です。
泡消火剤 ── 窒息で消すが電気火災は不可
| 火災の種類 | 一般の泡 | わけ |
|---|---|---|
| 油火災 | 使える | 泡が浮いて広がり、空気を断つ |
| 電気火災 | 使えない | 泡は水を含み、感電のおそれ |
| アルコールなど水に溶ける液の火災 | 使えない | 泡が溶けて消える。専用の泡を使う |
泡消火剤は、燃えている面を泡で覆って空気を断ち、主に窒息で消します。水を多く含むので電気火災に使えず、水溶性(すいようせい)の液の火災には専用の泡を使います。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 泡は空気を断つので、火災の種類を選ばない | × | 電気火災は感電のおそれで使わない |
| 泡が火を消す主な働きは、反応を止める抑制 | × | 主に窒息。水分で冷やす働きもある |
| 水に溶ける液の火災も、ふつうの泡で覆えば消える | × | 泡が溶けてこわれる。水溶性液体用の泡を使う |
泡は油の表面に浮いて広がり、ふたのように空気をさえぎります。
アルコールのように水に溶ける液体の火災では、一般の泡は溶けて消えてしまいます。そのときは、水溶性液体用泡消火剤(すいようせいえきたいようあわしょうかざい)という専用の泡を使います。
電気火災には泡の代わりに、電気を通さない二酸化炭素消火剤(にさんかたんそしょうかざい)などを使います。
- 粉末の色分けや、泡の種類ごとの細かい性質は、危険物乙4では覚えなくてかまいません。
- 第4類(だいよんるい)の物ごとの泡の選び方は、第4類の消火:なぜ水はだめで泡なのか、水溶性には専用の泡で扱います。
ガス・粉末の消火剤 ── リン酸塩類の粉末はどの火災にも
| 消火剤 | 使える火災 | 主な効き方 |
|---|---|---|
| ハロゲン化物 | 油・電気 | 抑制・窒息 |
| 二酸化炭素消火剤 | 油・電気 | 窒息・冷却 |
| 粉末(リン酸塩類) | 普通・油・電気 | 抑制・窒息 |
| 粉末(炭酸水素塩類) | 油・電気 | 抑制・窒息 |
二酸化炭素とハロゲン化物はガスで電気を通さないので、油火災と電気火災に使えます。粉末のうちリン酸塩類が主成分のものは、普通・油・電気のすべての火災に使えます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 二酸化炭素の消火剤は、電気設備の火には向かない | × | 電気を通さないので使える |
| ハロゲン化物は、主に冷やして消す | × | 主に抑制と窒息 |
| 3つの火災すべてに使える粉末は、炭酸水素塩類のもの | × | リン酸塩類。炭酸水素塩類は普通火災に使えない |
| ガスで消す消火剤は、普通火災にもよく効く | × | 普通火災には効きにくい扱い |
二酸化炭素消火剤は電気を通さず、消したあとに汚れも残りにくい消火剤です。ハロゲン化物消火剤(ハロゲンかぶつしょうかざい)は燃焼(ねんしょう)の反応のつながりを止め、重い気体が空気もさえぎります。
粉末消火剤(ふんまつしょうかざい)のうち、リン酸塩類のものはABC消火器と呼ばれます。粉末は油の面に広がって覆う窒息の働きも強く、油火災によく効きます。3つの火災すべてに使えるのは、強化液の霧状とリン酸塩類の粉末です。
- ガスで消す消火剤は、狭い部屋で使うと人が酸欠になる危険もあります。
- 法令の消火設備の区分(第1種〜第5種)は、設備の種類と大きさで分けたもので、どの火災に使えるかの表とは別に覚えます。関連:消火設備 第1種〜第5種:実物を大きい順に並べて覚える
化学プラントなどの工場では、その場所で起きる火災の種類に合わせて消火器や消火設備を選びます。溶剤や油を扱う場所には粉末や泡、電気室や計器室には電気を通さないガスや粉末を置くのがふつうです。アルコールなど水に溶ける溶剤のタンクには、専用の泡を使う設備を選びます。
確認問題
問1 灯油が燃えているときは、ホースの水を勢いよく当てると早く消える。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:×
訂正:灯油など油の火災に棒状の水をかけると、油が水に浮いて火が広がるおそれがあるので使わない。
根拠:油は水より軽く水に溶けないので、棒状の水をかけると水に浮いて広がります。
なぜか:灯油は水より軽く、水に溶けません。水をかけると灯油が水に浮いて流れ、燃えている面が広がります。
狙われる形:水の冷やす力の大きさを理由に、油の火災にも水が使えるとした形で出ます。
問2 油が燃えている火災でも、強化液を霧のように細かくして放てば消火に使える。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:○
根拠:強化液は、霧状にすると普通・油・電気のどの火災にも使えます。
なぜか:強化液は、冷やす力に加えて燃える反応を抑える力をもちます。細かい霧にすると、油の火災にも使えます。
狙われる形:強化液を水と同じに扱い、油火災には使えないとした形で出ます。
問3 アセトンの火災には、ふつうの泡消火剤で表面をおおえばよく消える。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:×
訂正:アセトンの火災には、ふつうの泡は消えてしまうので、水溶性液体用泡消火剤(すいようせいえきたいようあわしょうかざい)を使う。
根拠:水に溶ける液体の火災には、水溶性液体用泡消火剤を使います。
なぜか:アセトンは水に溶ける液体なので、ふつうの泡はふれたところから溶けて消えます。水に溶ける液体の火災用に作られた、こわれにくい泡を使います。
狙われる形:水に溶ける液体(アルコール、アセトン)の火災に、一般の泡を使わせる形で出ます。
まとめ
油の火災に棒状の水は使わず、水を霧状にすると電気火災にも使えるようになります。強化液は霧状にすると油火災にも使え、泡・ガス・粉末は油火災に使えます。すべての火災に使えるのは、強化液の霧状とリン酸塩類の粉末です。
次に読む
- 前に戻る:消火の4つの方法:除去・窒息・冷却・抑制
- 次へ進む:ためた電気が火花になる:給油と荷下ろしの注意
- もっと詳しく(甲種レベル):消火方法一覧:第1〜6類と頻出例外
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、3-5 火災の種類と消火法 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-8 消火と消火剤(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 
