課目Ⅰの発電と、使うエネルギーの中身・使う時間を変える論点を、表と例題で並べました。火力発電の効率、コージェネレーション、太陽光発電、非化石エネルギーへの転換、電気の需要の最適化を扱います。
燃焼は熱Ⅲの論点です:空気比/排ガス損失/高発熱量と低発熱量/空気予熱
ボイラと蒸気は熱Ⅱ・熱Ⅳの論点です:乾き度/ボイラの分類/ボイラの効率/蒸気の輸送/スチームトラップ/ドレン回収
熱機関と熱交換は熱Ⅱ・熱Ⅳの論点です:ランキンサイクル/コンバインドサイクル/並流と向流/熱交換器の種類/廃熱回収
炉と空調は熱Ⅳの論点です:炉の省エネルギー/炉壁と断熱材/空調負荷/ヒートポンプ
火力発電の効率(発電端と送電端) ── 送電端は所内電力の分だけ低い

| はかる点 | 分子に入れる電力量 | 効率 |
|---|---|---|
| 発電端 | 発電機の端子で測った発生電力量 | いちばん高い |
| 送電端 | 送電線への送り出し点で測った電力量。発電所の中で使った分が抜ける | 発電端より低い |
| 受電端(需要端) | 需要家が受け取る点の電力量。送配電の損失も抜ける | さらに低い |
なぜ:発電所はボイラの送風機や給水ポンプなどの補機を、自分の電気で動かします。分母の燃料の熱は同じでも、はかる点が下流になるほど分子の電力が減るので、効率は発電端>送電端>受電端の順になります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 送電端熱効率は、所内で使う電力を除いた送り出し点の電力で数えるので、発電端熱効率より低い | ○ | 分子が小さくなる |
| 10,000 kWh を発電するのに高発熱量 43,000 kJ/kg の燃料を 2,200 kg 使ったときの発電端熱効率は約38% | ○ | 3,600×10,000÷(2,200×43,000) |
| 汽力の発電専用設備の部分負荷では、蒸気圧力を定格のまま保つほうが熱消費率がよい | × | 圧力を下げる変圧運転(減圧運転)で改善 |
| 発電効率は、燃料の低発熱量を分母にとって表すのが一般的 | × | 高発熱量が一般的。判断基準も高発熱量基準 |
例題
重油 1,000 kg を燃やして 5,000 kWh を発電し、そのうち 300 kWh を所内の補機で使いました。重油の高発熱量を 45,000 kJ/kg として、発電端と送電端の熱効率を求めます。
①燃料の熱:1,000×45,000=45,000,000 kJ。
②発電端:η=3,600W/(B·H)×100 に入れる。3,600×5,000=18,000,000 kJ、18,000,000÷45,000,000×100=40%。
③送電端:送り出す電力量は 5,000−300=4,700 kWh。3,600×4,700=16,920,000 kJ、16,920,000÷45,000,000×100=37.6%。
④桁を確かめる:1 kWh=3.6 MJ なので、5,000 kWh は 18 GJ。燃料は 45 GJ で、18÷45=0.4 と合う。所内で使ったのは 300÷5,000=6% なので、送電端は 40×0.94=37.6%。
- 式の 3,600 は 1 kWh を kJ に直す数(W:電力量 kWh、B:燃料 kg、H:発熱量 kJ/kg)。
- 火力発電(大部分は汽力)の発電専用設備の発電端熱効率は平均で約41%。残りの多くは復水器で冷却水に捨てる。
- 判断基準(工場)は、火力発電を「熱の動力等への変換の合理化」で扱う。発電専用設備とコージェネレーション設備に分けている。
- 部分負荷では、タービン入口の弁を絞ると絞りで圧力を無駄に落とす。ボイラの圧力ごと下げれば弁を開いたまま蒸気量を減らせる。
関連:ランキンサイクル/ガスタービンの性能と再生・コンバインドサイクル
コージェネレーション ── 排熱を使い切れる所でだけ総合効率が高い

| 比べる点 | 発電専用の発電所 | コージェネレーション |
|---|---|---|
| 置く所 | 発電所 | 熱と電気を使う需要の場所(工場など) |
| 電気になる割合 | コンバインドサイクルでも発電端で50%程度 | 25〜45%程度 |
| 電気にならなかった熱 | 多くを復水器や排ガスで捨てる | 加熱や冷暖房に使う |
| 燃料のうち役立つ割合 | 発電効率とほぼ同じ | 熱を使い切れれば70〜80%程度。使えない熱は損失 |
なぜ:コージェネの利点は、発電で出る熱を捨てずに同じ場所の熱需要へ回すことにあります。熱の行き先がなければ、発電効率の低い小さな発電所と同じで、大きな発電所の電気を買うより燃料が増えることもあります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 電気になるのは燃料の25〜45%程度でも、排熱まで使い切れば70〜80%程度を役立てられる | ○ | 電気と熱を同じ燃料から取り出す |
| 電力の需要が大きければ、熱の需要が小さい工場でもコージェネの総合効率は高い | × | 熱の需要が大きく、将来も続く所で検討 |
| 発電効率35%・排熱回収効率40%でも、回収した熱の半分しか使わなければ、役立つのは55% | ○ | 35+40×0.5 |
| ガスタービンのコージェネは、排熱の大部分を冷却水から温水で回収する | × | 主に高温の排ガスから蒸気で回収。冷却水は要らない |
| 燃料電池は交流を出すので、系統につなぐときインバータは要らない | × | 出力は直流。インバータで交流に変える |
例題
熱入力 1,000 kW の燃料を使うコージェネで、発電効率 30%、回収できる排熱 45% とします。工場の熱の需要が 300 kW しかないときの総合効率を求めます。
①電力:1,000×0.30=300 kW。
②熱:回収できるのは 1,000×0.45=450 kW。使えるのは熱の需要の 300 kW だけで、150 kW は捨てる。
③総合効率:(300+300)÷1,000×100=60%。
④比べる:熱を 450 kW 使い切れば (300+450)÷1,000×100=75%。同じ機械でも、熱の使い道で15ポイント違う。
- 排熱の出口:ディーゼル機関・ガスエンジンは排ガスと冷却水、ガスタービンは主に排ガス(蒸気にしやすい)。燃料電池は直流を出すので、インバータで交流に変える。
- 導入の前に、電力と熱の負荷の時間・季節の変動をつかみ、利用率が最大になる原動機の種類・容量・台数を選ぶ。判断基準も、年間を通して廃熱と電力を十分に使えることを確かめてから設置するよう求めている。
- 運転では、熱と電力の需要の変動に合わせ、部分負荷運転を避けながら余る熱・電力を出さないようにする。
- 最大電力を抑えて契約電力を下げられることもある。系統につなぐときは、停電時に電力を逆に送らないよう保護設備を整える。
太陽光発電 ── 光を直接電気に、出力は日射で変わる
| 比べる点 | 太陽光発電 | 火力発電 |
|---|---|---|
| 電気にする仕組み | 半導体(太陽電池)に光が当たると電気が生じる。光から直接 | 燃料の熱で蒸気を作り、タービン(熱機関)で発電機を回す |
| 燃料 | 要らない | 要る |
| 出力 | 時刻・季節・天気で変わる。夜は発電せず、曇りの日は小さい | 燃料の量で調整できる |
| 置き場所 | 地域の制限が少ない。屋根・壁などの空いた所にも置ける | 大容量の発電所 |
なぜ:出力は太陽電池が受ける光の強さで決まります。光が弱い・無い時間を燃料で補うことはできないので、時刻・季節・天気で出力が変わり、夜は発電しません。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 太陽光発電は光を半導体で直接電気に変えるので、熱機関を使わない | ○ | 熱も回転も経ない |
| 燃料が要らないので、天候や時刻によらずほぼ一定の出力が得られる | × | 夜は発電せず、曇天では小さい |
- 判断基準(工場)は、太陽光発電設備などを置くとき、供給される電気の量を把握するよう求めている。発電効率を高く保つよう、保守・点検の管理標準を決めて定期的に行う。
- 出力が昼に集まるので、晴れた昼に電気が余る時間帯が生まれる。これが電気の需要の最適化(上げDR)につながる。
- 自家の太陽光で作った電気は、化石燃料の火力の電気に代えて使う非化石電気に当たる。
- 導入のコストは下がってきたが、導入をさらに広げるには、より低いコストに向けた技術開発が重要とされる。
関連:電気の需要の最適化(上げと下げ)/エネルギーと非化石エネルギーの定義
非化石エネルギーへの転換の進め方 ── 燃料・熱・電気の中身を非化石に替える

| 使い道 | 非化石転換の判断基準の事項(法第5条第2項第2号) | 例 |
|---|---|---|
| 燃焼 | イ 燃焼における非化石燃料の使用 | 水素・アンモニア・黒液・木材など |
| 加熱・冷却 | ロ 加熱及び冷却における非化石熱の使用 | 太陽熱・地熱など |
| 動力 | ハ 非化石熱を使用した動力等の使用 | 非化石熱で作った動力 |
| 電気 | ニ 非化石電気を使用した動力、熱等の使用 | 自家の太陽光、非化石の割合の高い電気を買う |
| (別物)合理化 | 合理化の判断基準の事項(同条第1項第2号イ〜ヘ) | 燃焼の合理化、廃熱の回収利用など。量を減らす取組 |
なぜ:合理化は使う量を減らす取組、非化石転換は使うエネルギーの中身を替える取組で、物差しが違います。だから判断基準を別々に立て、両者の調和を求めています(法第5条第5項)。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 非化石転換の判断基準の事項には、化石燃料の燃焼の合理化や廃熱の回収利用が入る | × | それは合理化の判断基準(第5条第1項第2号) |
| 非化石への転換の措置は、エネルギーの使用の合理化を著しく妨げないよう留意して講じる | ○ | 中身を替えても総量が増えては困る |
| 合理化の原単位を出すとき、同じ熱量なら非化石燃料を化石燃料より大きく数える | × | 0.8 を掛けて小さく数える |
| 電気事業者から買った電気の非化石の割合は、小売電気事業者のメニューごとの非化石電源の比率で評価する | ○ | 電気の買い方も転換の手段 |
- 非化石エネルギーへの転換=使うエネルギーのうちに占める非化石エネルギーの割合を上げること(法第2条第5項)。量を減らすことではない。
- 転換の判断基準(告示)は、Ⅰ 転換の基準、Ⅱ 目標と計画的に取り組む事項、Ⅲ 合理化の判断基準との関係、の3部。Ⅱは、非化石の割合を上げる目標を定め、中長期計画に書いて達成に努めること。
- 転換の措置には合理化の効果を必ずしも生まないものがあるので、Ⅲで合理化を著しく妨げないよう留意するとしている。
- 合理化の判断基準(告示)では、原単位を出すとき非化石燃料の熱量に 0.8 を掛けるとされる。燃やし方の無駄は原単位に残しつつ、転換が不利にならないようにする数え方。
関連:非化石転換の目標と計画・報告/エネルギーと非化石エネルギーの定義
電気の需要の最適化(上げと下げ) ── 余る時間に使い、厳しい時間に減らす

| 時間帯 | 電気の状態 | すること |
|---|---|---|
| 再エネの出力制御が行われている時間帯(出力制御時) | 電気が余り、発電できる再エネを止めている | 上げDR:使用を増やす、燃料・熱から電気へ切り替える、機器を使う時間をこの時間へ移す |
| 電気の需給の状況が厳しい時間帯 | 供給の余裕が小さい(指針では予備率5%未満) | 下げDR:使用を減らす、電気から燃料・熱へ切り替える、機器を使う時間をこの時間から外す |
なぜ:太陽光のように天気で出力が変わる電源が増えると、晴れた昼には電気が余り、日没後は足りなくなります。一律に減らすだけでは余った電気が捨てられ、足りない時間に火力を焚き増すので、使う時間を動かします。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 電気の需要の最適化とは、需要量を減らして最大需要電力を下げること(平準化)をいう | × | 需給の変動に応じて増やす又は減らす |
| 再エネの出力制御が行われている時間帯は、電気の使用を減らすべき時間帯 | × | 電気が余っているので増やす(上げDR) |
| 需給の状況が厳しい時間帯とは、広域的運営推進機関が公表する広域エリアの予備率が5%未満の場合 | ○ | 指針(告示)で定める |
| 指針の事項には、電気と燃料・熱の間の切り替えと、電気を使う機器の使用時間の変更が入る | ○ | 法第5条第3項第1号・第2号 |
| 最適化が求められるようになったのは、出力が変動する再エネが増え、時間帯で電気が余ったり足りなくなったりするから | ○ | 2023年4月施行の改正の背景 |
- 定義:季節又は時間帯による電気の需給の状況の変動に応じて、電気の需要量を増加又は減少させること(法第2条第6項)。以前の「電気需要平準化」を見直したもの。
- 電気需要最適化時間帯は、経済産業大臣が指定する(法第5条第3項第1号)。
- 卸電力市場の価格が安い・高い時間帯も、ディマンドリスポンスに適した時間帯。指針は、そこでも需給の状況に応じて使用量を増減するよう求めている。
- 電気事業者には、最適化に役立つ料金体系などを整える計画の作成が求められる。トップランナー機器には、最適化に係る性能を上げる努力義務がある。
関連:電気事業者の措置/法の目的/需要率・負荷率とデマンド管理
出典:省エネ法 第2条・第5条(2026年4月1日時点)。エネルギー管理士試験講座 共通Ⅰ(省エネルギーセンター)1編2章、3編2章 2.2.5〜2.2.7・3章。
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