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特定事業者・指定工場と原油換算の論点|指定の二段・換算の手順・電気と熱の数え方【エネ管・課目Ⅰ】

特定事業者・指定工場と原油換算の論点

課目Ⅰの省エネ法から、特定事業者と指定工場等の指定、その判定に使う原油換算(燃料・電気・熱)の論点を並べます。

同じ分野(工場等の措置)の記事:選任(統括者・企画推進者・管理者・管理員)/届出・定期報告・中長期計画と特例

特定事業者と特定連鎖化事業者 ── 合計は事業者単位、フランチャイズは本部

使用量はだれの合計に入るか:自社が設置する工場等(本社ビル・営業所も)は自社の合計へ、約款に報告と設備の指定の定めがある加盟店は本部の合計へ入り、合計1,500 kL以上で指定
区分足し合わせる範囲(年度の原油換算で1,500 kL以上なら指定)指定されるのは
特定事業者その事業者が設置する全ての工場等(工場・本社ビル・営業所など)その事業者
特定連鎖化事業者本部の工場等+加盟店の、そのチェーン事業に係る工場等本部(連鎖化事業者)

なぜ:設備投資や管理の体制を決めるのは、個々の工場ではなく事業者。だから判定も事業者の合計で行い、全社の責任を事業者に持たせる。加盟店の設備を約款で決めているのは本部なので、チェーンは本部にまとめる。

問われる形正誤ポイント
どの拠点も単独では1,500 kLに届かない会社は、合計が上回っても特定事業者にならない×判定は全工場等の合計。小さな拠点を足して届けば指定される
本社300 kL・工場700 kL・工場600 kLの会社は、特定事業者の指定の対象になる○合計1,600 kLで1,500 kL以上
約款に条件の定めがあるチェーンでは、加盟店がそれぞれ特定連鎖化事業者に指定される×指定されるのは本部。本部が加盟店の分も合計する
全工場等の合計で判定するのは、事業者に全社のエネルギー管理の責任を持たせるため○判定の単位と、統括者を置く単位がそろう
  • 線は「1,500 kL以上」。「超える」にすり替えた形に注意。年度は4月1日〜翌年3月31日。
  • 本部にまとめるのは、約款に2つの定めがそろうとき(則第39条)。①加盟店に使用状況を報告させる定め。②空調・冷凍冷蔵・照明・調理加熱のいずれかの機種・性能・使用方法の指定。
  • 1,500 kL未満の事業者も、判断基準に沿った努力と指導・助言への対応は求められる(法第4条〜第6条)。
  • まだ指定されていない事業者は、合計が1,500 kL以上になると使用状況届出書を出す。これをもとに経済産業大臣が指定する。

関連:使用状況の届出・定期報告・中長期計画の違い

第一種・第二種エネルギー管理指定工場等 ── 事業者と工場の二段で指定

工場を足す判定と、工場ごとの判定:A工場900 kLとB工場800 kLの事業者は合計1,700 kLで特定事業者の基準に達するが、工場はどちらも1,500 kL未満で指定工場等の基準には達しない
区分判定する範囲年度の原油換算使用量
特定事業者事業者の全工場等の合計1,500 kL以上
第一種エネルギー管理指定工場等特定事業者などの工場等1つずつ3,000 kL以上
第二種エネルギー管理指定工場等同上(第一種を除く)1,500 kL以上3,000 kL未満

なぜ:事業者の段で全社の体制(統括者・計画・報告)を、工場の段で現場の担い手(管理者・管理員)を求める二段構え。第二種の下限は事業者と同じ1,500 kL。この線の工場を1つでも持てば、その事業者は必ず特定事業者の規模になる。

問われる形正誤ポイント
特定事業者の工場等で、年度の使用量が3,000 kL以上のものは第一種に指定される○令第3条の3,000 kL
第二種の下限は1,000 kLである×下限は1,500 kL(事業者の線と同じ)
指定工場等は、特定事業者などに指定された事業者の工場等の中から選ばれる○事業者の指定が先、工場の指定はその下の段
年度の使用量が2,400 kLの工場は、第一種に当たる×1,500 kL以上3,000 kL未満なので第二種
3,000 kLちょうどの工場は第二種である×「以上」なので第一種の側
  • 指定工場等がない事業者でも、合計が1,500 kL以上なら事業者としての義務は残る(図の上段)。
  • 第二種の工場が3,000 kL以上になって第一種に指定されると、第二種の指定は取り消される(法第13条第4項)。
  • 第一種か第二種かで、置く人が変わる。第一種の製造業など5業種(事務所の用途を除く)は管理者、第一種のそれ以外と第二種は管理員。

関連:エネルギー管理者とエネルギー管理員

原油換算の手順 ── 熱量(GJ)にそろえ、0.0258を掛ける

原油換算の手順:kL・t・千m³の燃料をそれぞれの単位発熱量で熱量GJにそろえて足し、0.0258 kL/GJを1回掛けて原油kLにする。A重油1,000 kLは約1,004 kL
段計算単位の動き
① 燃料の量を熱量に使用量 × 単位発熱量(則 別表第1)kL・t・千m³ → GJ
② 熱量を原油の量に熱量 × 0.0258 kL/GJGJ → kL
③ 合算燃料・熱・電気の原油換算値を足すkL

なぜ:kL・t・千m³は体積と質量で、そのままでは足せない。エネルギーとしての共通の物差しは熱量なので、まず GJ にそろえる。最後に一つの係数で原油の量に直せば、規模の判定を一つの数字で行える。

問われる形正誤ポイント
燃料は使用量に単位発熱量を掛けて GJ にし、それに0.0258を掛けて原油換算する○「熱量にそろえる」→「原油に直す」の二段
熱量(GJ)を0.0258で割ると原油換算値(kL)になる×掛ける。割ると桁が大きくずれる
係数0.0258の単位は GJ/kL である×kL/GJ(1 GJ あたりの原油の量)
A重油は、原油換算値が使った量とほとんど変わらない○38.9 GJ/kL が 1÷0.0258 ≒ 38.8 GJ/kL に近い
単位の違う燃料・熱・電気を足すため、いったん熱量にそろえる○熱量が共通の物差し

例題

条件:ある工場の年度の使用量が B・C重油 500 kL、液化石油ガス(LPG)200 t。原油換算の合計はいくらか。

  • 手順1(B・C重油を熱量に):500 kL × 41.8 GJ/kL = 20,900 GJ
  • 手順2(LPG を熱量に):200 t × 50.1 GJ/t = 10,020 GJ
  • 手順3(熱量を足す):20,900 + 10,020 = 30,920 GJ
  • 手順4(原油に直す):30,920 GJ × 0.0258 kL/GJ ≒ 798 kL

桁の確かめ:原油1 kL はおよそ 38.8 GJ(1÷0.0258)。30,920 ÷ 38.8 ≒ 797 で、約800 kL と合う。単位は GJ × kL/GJ = kL で、kL が残る。

  • MJ のまま0.0258を掛けない。係数の分母は GJ なので、先に 1,000 で割って GJ にする。
  • 別表第1にない燃料は、発熱量(GJ)を求めてから0.0258を掛ける(則第4条第1項第2号)。

関連:エネルギーの単位と接頭語

購入した電気の熱量換算 ── 1,000 kWh=8.64 GJ、発電の損失込み

購入した電気の熱量換算:買った電気1,000 kWhは電気として届く3.6 GJではなく、発電で失われる分を含めた8.64 GJで数える。自家用の非化石電気は3.60 GJ
電気の区分1,000 kWh あたりの熱量原油換算(1,000 kWh あたり)
電気事業者などから買った電気(下の電気以外)8.64 GJ約0.223 kL
自家用・特定の需要家向けに発電された非化石電気(太陽光など)3.60 GJ約0.093 kL
(参考)電気そのものの熱量3.6 GJ―

なぜ:買った電気は発電所で燃料を燃やして作られ、届くまでに多くが損失になる。法令は使った電気を入口の燃料(一次エネルギー)で数えるので、電気そのものより大きい8.64 GJを使う。燃料を燃やさない非化石電気には上乗せする損失がないので、3.60 GJで数える。

問われる形正誤ポイント
買った電気は1,000 kWhを8.64 GJとして熱量にしてから原油換算する○則第4条第3項第2号
現行の規則でも、昼間と夜間の電気で別々の係数を使う×今は昼夜の区別なく8.64 GJ
8.64 GJで数えるのは、発電で失われる分まで一次エネルギーとして数えるため○3.6÷8.64 ≒ 0.42。平均4割強が電気になるとみなした値
自家消費のために発電した太陽光の電気も、8.64 GJで換算する×3.60 GJ
買った電気だけで1,500 kLに届くのは、年度におよそ6,700万kWh×約670万kWh(桁が1つ違う)
  • 電力(kW)ではなく、時間を掛けた電力量(kWh)で数える。1 kWh = 1 kW × 3,600 s = 3.6 MJ。
  • 以前は昼間(8時〜22時)9.97 GJ、夜間9.28 GJ(いずれも1,000 kWh あたり)だった。2023年4月の改正で全国一律の8.64 GJになり、時間帯の違いは電気の需要の最適化で扱う。
  • 1,500 kL ÷ 0.0258 ≒ 58,140 GJ、÷ 8.64 GJ ≒ 6,729(千kWh)。買った電気だけなら約673万kWhで特定事業者の線に届く。

関連:電気の需要の最適化(上げと下げ)

合算の範囲(自家発電・買った熱・非化石電気) ── 境界を入るものだけ数える

合算の範囲:工場の境界を入る燃料・買った電気・買った蒸気や温水冷水だけを係数を掛けて数え、中のボイラや自家発電機が作った蒸気・電気は燃料の側で数え済みなので数えない
入るもの・中で作るもの数えるか換算
燃料(化石・非化石)数える別表第1の発熱量 → ×0.0258
買った電気数える8.64 GJ/1,000 kWh → ×0.0258
買った蒸気・温水・冷水数える熱量 × 1.17(産業用蒸気)または 1.19(それ以外の蒸気・温水・冷水)→ ×0.0258
燃料を焚いて自家発電した電気、自家ボイラの蒸気数えない燃料の側で数え済み
自家の太陽光などの非化石電気数える3.60 GJ/1,000 kWh → ×0.0258

なぜ:使用量は事業所の境界を入るエネルギーで数える。境界の中で燃料→熱→電気と形を変えても、外から入ったのは燃料だけ。作った電気や熱まで足すと、同じエネルギーを二重に数えてしまう。

問われる形正誤ポイント
燃料を焚いて自家発電した電気は、使った燃料とは別に電気としても足す×燃料の側で数えているので電気としては数えない
自家発電の電気を数えないのは、燃料と電気で二重に数えないため○境界で一度だけ数える
他人から買った産業用蒸気は、受け入れた熱量にそのまま0.0258を掛ける×先に1.17を掛けて燃料の熱量に戻す
同じ1 GJの熱なら、温水・冷水のほうが産業用蒸気より原油換算値がわずかに大きい○係数1.19と1.17の差
自社の屋根の太陽光で発電して使った電気は、燃料を使わないので数えない×非化石電気として3.60 GJで数える
  • 係数1.17・1.19は「受け入れた熱1 GJを作るのに燃料が何GJ要ったか」。1.17なら効率約85%、1.19なら約84%とみなしている。
  • 産業用蒸気=製造業の工場等(専ら事務所の用途のものを除く)から供給された蒸気(則 別表第2の備考)。
  • コージェネのように1つの燃料から熱と電気を取り出しても、使用量は燃料の量で決まる。
  • 改正で非化石も「エネルギー」に入ったので、自家消費の太陽光も使用量に入る。

関連:エネルギーと非化石エネルギーの定義

出典:省エネ法 第6・7・10・13・19条、同法施行令 第2・3・6条。同法施行規則 第4・39条、別表第1・第2(2026年4月1日時点)。エネルギー管理士試験講座 共通Ⅰ(省エネルギーセンター)1編2章。

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