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最終確認:2026年10月24日
電験三種の理論・電力・機械の計算で使う数学の道具を、中学の数学から1段ずつ確かめる辞書です。比・接頭語(せっとうご)・三角比・複素数と、位相(いそう)・時定数(じていすう)などのグラフの読み方を並べます。
準備編:数学の道具|電気と力学のきほん
目次
- 分数・比・割合 ── 比は何倍か、割合は全体を1としたときの大きさ
- 10の何乗と接頭語 ── k・M は大きく、m・μ・n・p は小さくする印
- 式の変形と連立方程式 ── 両辺に同じ操作をして、知りたい量を1つ残す
- 平方根と三平方の定理 ── 直角三角形の斜辺の2乗は、ほかの2辺の2乗の和
- 三角比とラジアン ── sin・cos・tan は辺の比、角は弧の長さでも測る
- ベクトル ── 矢印は向きと長さ、足し算は矢印をつなげて描く
- 複素数 ── 矢印を横と縦の2つの数で書き、j を掛けると90°回る
- 正弦波のグラフ ── 高さの最大が最大値、山から山までが周期、ずれが位相
- 指数関数と ε ── 同じ時間ごとに同じ割合で減り、時定数で約37 %になる
- 対数とデシベル ── 対数は桁を数える道具、電力が10倍なら10 dB
- 変化の割合 ── グラフの傾きが、1秒あたりにどれだけ変わるか
- グラフの面積 ── 電流のグラフの下の面積が電荷、ためた量は面積で読む
- まとめ
- 次に読む
- 参考文献
分数・比・割合 ── 比は何倍か、割合は全体を1としたときの大きさ

| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 比 | 片方がもう片方の何倍か | 6:4は、6÷4で1.5倍 |
| 割合 | 全体を1としたときの大きさ | 10のうちの6は0.6 |
| 比例(ひれい) | 一方が2倍なら、他方も2倍 | 抵抗が同じときの電圧と電流 |
| 反比例(はんぴれい) | 一方が2倍なら、他方は半分 | 電圧が同じときの抵抗と電流 |
| 逆数(ぎゃくすう) | 1をその数で割った数 | 4の逆数は0.25 |
全体を比で分けるときは、全体に「自分の比÷比の合計」を掛けます。比は「何倍か」を表す数で、比例と反比例は倍率の向きが逆です。
- 反比例は「掛けると一定」の関係です。片方を2倍にすると、もう片方は2の逆数の0.5倍になります。
- 抵抗の逆数(流れやすさ)を考えると、反比例を比例に直して考えられます。
電験で使う所
- 分圧と分流:直列の電圧は抵抗の比、並列の電流は逆の比で分かれる
- コンデンサの直列・並列:直列の電圧は、容量の逆の比で分かれる
- 分流器と倍率器:測る範囲を何倍に広げるかで、足す抵抗が決まる
- 電流がつくる磁界:直線の電流の磁界は、距離に反比例する
計算の型
- 例1:10 Vを3:2に分けます。比の合計は5なので、10×3÷5=6 Vと、10×2÷5=4 Vです。
- 3 Ωと2 Ωの直列に10 Vをかけたときの分圧の式も、同じ分け方です。
V1:R₁ にかかる電圧(電圧降下)〔V〕 V0:全体の電圧(電源電圧)〔V〕 R1:1つ目の抵抗〔Ω〕 R2:2つ目の抵抗〔Ω〕
- 例2:電圧が同じで抵抗を4倍にすると、電流は4の逆数の0.25倍になります。
- 間違えやすい所:比の合計で割るのを忘れて、10×3=30とする。
- 間違えやすい所:反比例を「引き算で減る」と考える。2倍したときに半分になる関係です。
10の何乗と接頭語 ── k・M は大きく、m・μ・n・p は小さくする印
| 大きくする接頭語 | 10の何乗 | 例 |
|---|---|---|
| k(キロ) | 10³(1000倍) | 6.6 kVは6600 V |
| M(メガ) | 10⁶(100万倍) | 1 MWは1000 kW |
| G(ギガ) | 10⁹(10億倍) | 1 GWは1000 MW |
| 小さくする接頭語 | 10の何乗 | 例 |
|---|---|---|
| m(ミリ) | 10⁻³(1000分の1) | 5 mAは0.005 A |
| μ(マイクロ) | 10⁻⁶(100万分の1) | 2 μFは2×10⁻⁶ F |
| n(ナノ) | 10⁻⁹(10億分の1) | 1000 pFは1 nF |
| p(ピコ) | 10⁻¹²(1兆分の1) | 100 pFは0.1 nF |
計算の前に、接頭語を10の何乗に直してそろえます。10の何乗どうしの掛け算は、右肩の数(指数(しすう))の足し算になり、割り算は引き算になります。
- 10³は10を3回掛けた1000で、10⁻³は1を10で3回割った0.001です。10⁰は1です。
- 接頭語は3桁ごとに並んでいます。1つ隣へ移ると、1000倍か1000分の1になります。
- 小文字のmは1000分の1、大文字のMは100万倍です。
電験で使う所
- 抵抗率と温度係数:kmやmm²を、mの単位にそろえてから式に入れる
- 平行板コンデンサ:pF(ピコファラド)やμFを、Fに直して計算する
- ディジタル計器とA-D変換:パルスの数 2.0×10³÷1.0×10³ のように、10の何乗どうしを割って比を出す
計算の型
- 例1:10³×10⁴は、右肩の数を足して10⁷です。10⁶÷10²は、引いて10⁴です。
- 例2:2 μFのコンデンサに100 Vをかけたときの電荷を出します。μFを10⁻⁶ Fに直すと、2×10⁻⁶×100=2×10⁻⁴ Cです。
Q:電荷〔C〕 C:静電容量〔F〕 V:電圧〔V〕
- 間違えやすい所:10⁻³×10⁻³を10⁻⁹とする。右肩の数は掛けずに足すので、10⁻⁶です。
- 間違えやすい所:μFをFに直さずに、2×100=200 Cとする。
式の変形と連立方程式 ── 両辺に同じ操作をして、知りたい量を1つ残す
| したいこと | 両辺にする操作 | 結果 |
|---|---|---|
| 電流を出す | オームの法則の両辺を抵抗で割る | 電流=電圧÷抵抗 |
| 抵抗を出す | 両辺を電流で割る | 抵抗=電圧÷電流 |
| 足してある数を消す | 両辺から同じ数を引く | 反対側へ移ると引き算になる |
| 知りたい量が2つ | 式を2本立てて、片方を消す | 残った1つが求まる |
等式は、両辺に同じ数を足す・引く・掛ける・割る操作をしても成り立ちます。知りたい量が2つなら式を2本立て、片方を消してから解きます。
言葉の式 電圧 = 抵抗 × 電流
V:電圧(抵抗の両端の電位差・電圧降下)〔V〕 R:抵抗〔Ω〕 I:電流〔A〕
- 等式はてんびんと同じで、両側に同じことをすれば釣り合ったままです。ただし、0で割ることはできません。
- 数を等号の反対側へ移すことを移項(いこう)と言い、足し算は引き算に、掛け算は割り算に変わります。
- 2本の式を足したり引いたりして1つの量を消すのが加減法、片方の式を他方に入れるのが代入法です。どちらも同じ答えになります。
電験で使う所
計算の型
- 例1:知りたい数をxとして、x+3=10です。両辺から3を引くと、xは10−3=7です。
- 例2(連立方程式(れんりつほうていしき)):2本の枝の電流の和が5 A、差が1 Aです。
- 2本の電流をI1・I2と置くと、式はI1+I2=5(和が5)と、I1−I2=1(差が1)の2本です。
- 2本の式を足すとI2が消え、2×I1=6になります。
- I1は6÷2=3 Aで、I2は5−3=2 Aです。
- 間違えやすい所:移項で符号を変え忘れる。+3を反対側へ移すと−3です。
- 間違えやすい所:片方の辺だけを割る。両辺を同じ数で割ります。
平方根と三平方の定理 ── 直角三角形の斜辺の2乗は、ほかの2辺の2乗の和
| 辺の比 | 3つの角 | 電験で出る形 |
|---|---|---|
| 3:4:5 | 直角と、ほかの2つ | 抵抗3 Ωとリアクタンス4 Ωで5 Ω |
| 1:1:√2 | 45°・45°・90° | 同じ大きさで直角の2つの矢印の合成 |
| 1:√3:2 | 30°・60°・90° | 三相の√3倍や、30°の力率(りきりつ) |
直角三角形では、斜辺の2乗が、ほかの2辺の2乗の和に等しくなります(三平方の定理(さんへいほうのていり))。斜辺の長さは、その和の平方根(へいほうこん)です。
言葉の式 合成の大きさ = √(横² + 縦²)
A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)
言葉の式 インピーダンス = √(抵抗² + リアクタンス²)(Z² = R² + X²)
Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 X:リアクタンス(まとめた値)〔Ω〕
- √9は、2乗すると9になる正の数で、3です。√2は約1.414、√3は約1.732です。
- 直角三角形の3つの辺のうち、直角の向かいにあるいちばん長い辺が斜辺です。
- 斜辺と1辺が分かれば、残りの辺は「斜辺の2乗−分かっている辺の2乗」の平方根です。
電験で使う所
- RLC直列回路:抵抗の電圧とリアクタンスの電圧を、三平方で合成する
- 平衡三相回路の計算:1相分のインピーダンスの大きさを出す
- クーロンの法則と静電誘導:力は距離の2乗に反比例するので、距離の比は電荷の比の平方根になる
計算の型
- 例1:抵抗3 Ωとリアクタンス4 Ωの直列のインピーダンスです。
- 例2:6 Ωと8 Ωなら、6×6+8×8=100で、√100=10 Ωです。3:4:5の2倍の形です。
- 例3:斜辺が10、1辺が8なら、残りの辺は10×10−8×8=36の平方根で、6です。
- 間違えやすい所:√(9+16)を√9+√16=7とする。先に足してから平方根を取るので、5です。
三角比とラジアン ── sin・cos・tan は辺の比、角は弧の長さでも測る

| 三角比(さんかくひ) | 辺の比 | 30°・45°・60°の値 |
|---|---|---|
| sin(サイン) | 高さ÷斜辺 | 0.5・約0.707・約0.866 |
| cos(コサイン) | 底辺÷斜辺 | 約0.866・約0.707・0.5 |
| tan(タンジェント) | 高さ÷底辺 | 約0.577・1・約1.732 |
| 度 | ラジアン(らじあん) | 円の上では |
|---|---|---|
| 360° | 2π rad | 1周 |
| 180° | π rad | 半周 |
| 90° | π/2 rad | 4分の1周 |
| 30° | π/6 rad | 12分の1周 |
三角比は、直角三角形の辺の比です。角は、半径1の円の弧の長さ(ラジアン)でも測ります。
言葉の式 角周波数 = 2π × 周波数
ω:角周波数〔rad/s〕 f:周波数〔Hz〕
- π(パイ)は円周率で、約3.14です。半径1の円の周の長さは2πなので、1周の角を弧の長さで2π radと数えます。
- 1秒あたりに回る角が角速度(かくそくど)です。1秒にf回まわれば、1秒に回る角は2πのf倍です。交流では角周波数(かくしゅうはすう)と呼びます。
- 半径1の円で角を回すと、矢印の先の高さがsin、横の位置がcosになります。
電験で使う所
- 正弦波交流:回る矢印の高さと、角周波数の2πf
- 交流電力と力率:力率は、電圧と電流のずれの角のcos
- Y結線とΔ(デルタ)結線:30°(π/6 rad)のずれと、√3倍の関係
- 三相電力と二電力計法:30°から力率の角を引いた角と、足した角のcos
計算の型
- 例1:斜辺10 Aの電流の矢印が、横の軸から30°傾いています。横の成分は10×cos30°で約8.66 A、縦の成分は10×sin30°で5 Aです。
- 例2:50 Hz(ヘルツ)の角周波数です。
- 間違えやすい所:sinとcosを逆にする。cosは角に接する底辺の側、sinは角の向かいの高さの側です。
- 間違えやすい所:π/6 radを6°と読む。πが180°なので、30°です。
ベクトル ── 矢印は向きと長さ、足し算は矢印をつなげて描く

| 比べること | ベクトル(べくとる) | スカラ(すから) |
|---|---|---|
| 持つもの | 大きさと向き | 大きさだけ |
| 例 | 力・電界・交流の電圧の矢印 | 抵抗・電荷・エネルギー |
| 足し算 | 矢印をつなげて描く | 数をそのまま足す |
ベクトルの足し算は、1本目の矢印の先に2本目の根元をつなぎ、始点から終点へ引いた矢印が答えです。2本で平行四辺形を描き、対角線を引いても同じ答えになります。
言葉の式 tan φ = 縦 ÷ 横
φ:矢印の角度(偏角・位相角)〔rad〕 a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)
言葉の式 合成の大きさ = 2 × 1つ分の大きさ × cos(挟む角 ÷ 2)
F′:合成後の大きさ(合力・合成磁界・合成電界など。単位は合成する量と同じ) F:1つ分の大きさ(力〔N〕・磁界〔A/m〕・電界〔V/m〕など) θ:2つのベクトルが挟む角〔rad〕
- 直角に交わる2本の矢印なら、合成の大きさは三平方の定理、向きはtanで出せます。
- 向きの違う矢印の合成は、長さの和より短くなります。長さの和に等しいのは、向きがそろうときだけです。
- 引き算は、引く矢印の向きを逆にしてから足します。
電験で使う所
- クーロンの法則と静電誘導:2つの電荷から受ける力を合成する
- 磁気のクーロンの法則:磁極が受ける力を矢印で合成する
- フェーザ表示:同じ周波数の電圧の波を、矢印の足し算で合成する
- RLC並列回路:抵抗・コイル・コンデンサの電流を矢印で合成する
計算の型
- 例1:横に3、縦に4の矢印を足します。
A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)
- 向きは、横の軸からの角のtanが4÷3で、約1.33です。
- 例2:大きさ10 Nの2つの力が、60°の角で働きます。
- 合成の大きさは、2×10×cos30°で約17.3 Nです。cosに入れるのは、挟む角の半分です。
- 間違えやすい所:向きの違う矢印の長さを、そのまま3+4=7と足す。
複素数 ── 矢印を横と縦の2つの数で書き、j を掛けると90°回る

| 掛ける数 | 矢印の回り方 | 1の矢印が向かう先 |
|---|---|---|
| j | 反時計回りに90° | 真上(j) |
| j×j | 180°(向きが逆) | 真左(−1) |
| −j | 時計回りに90° | 真下(−j) |
複素数(ふくそすう)は、矢印を横の数(実部(じつぶ))と縦の数(虚部(きょぶ))の組で書いたものです。jを掛けると、矢印は反時計回りに90°回ります。
言葉の式 インピーダンス = 抵抗 + j × リアクタンス
Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 X:リアクタンス〔Ω〕 j:虚数単位
- jは虚数単位(きょすうたんい)です。電気では、電流のiと紛れないようにjと書きます。
- jを2回掛けると180°回り、矢印の向きが逆になります。だからj×jは−1です。
- 横に実部、縦に虚部をとった平面が複素平面(ふくそへいめん)です。矢印の長さが絶対値(ぜったいち)です。
電験で使う所
計算の型
- 例1:3+j4の大きさは、横3・縦4の矢印の長さです。
A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)
- 例2:足し算は、実部どうし・虚部どうしを足します。(3+j4)+(1−j2)は4+j2です。
- 例3:3+j4にjを掛けると、j3+j×j4で、−4+j3です。大きさは5のまま、矢印が90°回りました。
- 間違えやすい所:j×jを+1とする。−1なので、実部の符号が変わります。
正弦波のグラフ ── 高さの最大が最大値、山から山までが周期、ずれが位相

| グラフで読む所 | 量 | 記号と単位 |
|---|---|---|
| 山のいちばん高い所 | 最大値(さいだいち) | Vm〔V〕 |
| 山から次の山まで | 周期(しゅうき) | T〔s〕 |
| 1秒間に繰り返す波の数 | 周波数(しゅうはすう) | f〔Hz〕 |
| ある瞬間の高さ | 瞬時値(しゅんじち) | v〔V〕 |
| 2つの波の山のずれ | 位相差(いそうさ) | φ〔rad〕 |
正弦波(せいげんは)は、回る矢印の先の高さを、時間に沿って描いた波です。2つの波では、先に山が来るほうが位相が進んでいます。
言葉の式 周波数 = 1 ÷ 周期
f:周波数〔Hz〕 T:周期〔s〕
言葉の式 瞬時値 = 最大値 × sin(角周波数 × 時間)
v:瞬時値〔V〕 Vm:最大値〔V〕 ω:角周波数〔rad/s〕 t:時間〔s〕
- 矢印が1周すると、波は山と谷を1回ずつ通って元に戻ります。この時間が周期です。
- 横軸が時間なので、左(早い時刻)に山がある波が進み、右に山がある波が遅れです。
- φ(ファイ)は位相のずれの角です。1周期のずれが2π radに当たります。
電験で使う所
計算の型
- 例1:周期が20 msの波の周波数です。
- 例2:50 Hzの波で、山の頂上は周期20 msの4分の1の5 msです。矢印が90°(π/2 rad)回った所です。
- 間違えやすい所:山から谷までを周期とする。周期は、山から次の山までです。
- 間違えやすい所:右に山がある波を進みとする。後から山が来る波は遅れです。
指数関数と ε ── 同じ時間ごとに同じ割合で減り、時定数で約37 %になる

| 経過時間 | 放電の電圧(はじめを1) | 充電の電圧(最終値を1) |
|---|---|---|
| 0 | 1 | 0 |
| 時定数の1倍 | 約0.368 | 約0.632 |
| 時定数の2倍 | 約0.135 | 約0.865 |
| 時定数の3倍 | 約0.050 | 約0.950 |
| 時定数の5倍 | 約0.007 | 約0.993 |
指数関数(しすうかんすう)は、同じ時間ごとに同じ割合で増えたり減ったりする変化です。時定数1つ分で、放電は約36.8%に減り、充電は約63.2%まで進みます。
言葉の式 時定数 = 抵抗 × 静電容量
τ:時定数〔s〕 R:抵抗〔Ω〕 C:静電容量〔F〕
言葉の式 コンデンサの電圧 = 放電前の電圧 × ε の −t/τ 乗
vC:コンデンサの電圧〔V〕 E:放電の始めの電圧(充電が終わったときの電源電圧)〔V〕 t:放電を始めてからの時間〔s〕 τ:時定数〔s〕 ε:ネイピア数(自然対数の底、約 2.718。e とも書く)
言葉の式 コンデンサの電圧 = 電源電圧 ×(1 − ε の −t/τ 乗)
vC:コンデンサの電圧〔V〕 E:電源電圧〔V〕 t:スイッチを入れてからの時間〔s〕 τ:時定数〔s〕 ε:ネイピア数(自然対数の底、約 2.718。e とも書く)
- 例えば1秒ごとに半分になる量は、100、50、25、12.5と減ります。引く量は減っても、割合は同じままです。
- ネイピア数(ねいぴあすう)は約2.718の数です。教科書では、電圧のeと紛れないようにε(イプシロン)と書きます。eとも書きます。この記事の式もεで書きます。
- 式のεの右肩には、経過時間を時定数で割った数が、負の符号付きで入ります。時定数1つ分たつごとに0.368倍(1÷2.718)になる、という意味です。
- 時定数の記号τは、タウと読みます。
電験で使う所
計算の型
- 例1:100 Vに充電したコンデンサを放電します。時定数は2 sで、4 s後の電圧を出します。
- 4 sは時定数の2倍なので、100に0.368を2回掛けて、約13.5 Vです。
- 例2:同じ回路を100 Vで充電すると、2 s(時定数1つ分)後は約63.2 Vです。
- 間違えやすい所:放電で時定数1つ分たつと0.632倍とする。0.632は充電で届く割合で、放電は0.368倍です。
- 間違えやすい所:時定数2つ分を0.368の2倍(0.736)とする。0.368を2回掛けて、約0.135です。
対数とデシベル ── 対数は桁を数える道具、電力が10倍なら10 dB
| 比(倍) | 電力の比のとき | 電圧・電流の比のとき |
|---|---|---|
| 1 | 0 dB | 0 dB |
| 2 | 約3 dB | 約6 dB |
| 10 | 10 dB | 20 dB |
| 100 | 20 dB | 40 dB |
| 1000 | 30 dB | 60 dB |
常用対数(じょうようたいすう)は、10を何乗すればその数になるかを表す数です。dB(デシベル)は、電力の比なら常用対数の10倍、電圧・電流の比なら20倍です。
言葉の式 電圧利得[dB] = 20 × log10(電圧増幅度)(常用対数の20倍)
G:電圧利得〔dB〕 Av:電圧増幅度〔倍〕 log10:常用対数
- 100は10の2乗なので、100の常用対数は2です。1000なら3、10なら1、1なら0です。
- 掛け算は、常用対数では足し算に変わります。増幅器を続けてつなぐと、倍率は掛け算、dBは足し算です。
- 同じ抵抗で比べると、電力は電圧の2乗に比例します。電圧が10倍なら電力は100倍で、どちらで数えても20 dBになるように、電圧には20倍を使います。
- 電力の比をdBにする式(電力の比の常用対数の10倍)も、同じ考え方です。2の常用対数は約0.301なので、電力2倍は約3 dBです。
電験で使う所
- 小信号増幅回路:電圧増幅度を電圧利得(dB)に直し、段の数だけ足す
計算の型
- 例1:電圧増幅度が100倍の増幅器の電圧利得です。100の常用対数は2なので、20×2=40 dBです。
- 例2:電力が1000倍になる増幅器です。1000は10の3乗なので、3の10倍で30 dBです。
- 例3:電圧利得20 dBの増幅器を2段つなぐと、20+20=40 dBです。倍率は10倍の2回掛けで100倍です。
- 間違えやすい所:電圧の比に10倍を使う。電圧・電流は20倍、電力は10倍です。
- 間違えやすい所:2段の利得を20×20=400 dBとする。dBは足し算です。
変化の割合 ── グラフの傾きが、1秒あたりにどれだけ変わるか

| 電流のグラフの形 | 傾き(変化の割合) | コイルに生じる起電力(きでんりょく) |
|---|---|---|
| 右上がりの直線 | 正で一定 | 一定の大きさ |
| 水平な直線 | 0 | 0 |
| 右下がりの直線 | 負で一定 | 一定の大きさで、向きが逆 |
| 曲線 | 場所ごとに違う | 傾きが急な所ほど大きい |
変化の割合は「変わった量÷かかった時間」で、グラフの傾きです。傾きが0の所では、変化で生じる誘導起電力(ゆうどうきでんりょく)も0です。
言葉の式 誘導起電力の大きさ = 自己インダクタンス × 電流の変化 ÷ かかった時間
e:自己誘導起電力(コイルの端子電圧の大きさ)〔V〕 L:自己インダクタンス〔H〕 ΔI:電流の変化〔A〕 Δt:電流の変化にかかった時間〔s〕
言葉の式 誘導起電力の大きさ = 巻数 × 磁束の変化 ÷ かかった時間
e:誘導起電力(大きさ)〔V〕 N:コイルの巻数〔回〕 ΔΦ:コイルを貫く磁束の変化〔Wb〕 Δt:磁束の変化にかかった時間〔s〕
- 直線なら、どこで測っても傾きは同じです。曲線では、その点にちょうど触れるように引いた直線の傾きを使います。
- 起電力を決めるのは、電流や磁束(じそく)の大きさではなく、その傾きです。大きくても変わらなければ、起電力は0です。
- 傾きの単位は「縦の単位÷横の単位」です。電流と時間ならA/s(1秒あたりのアンペア)です。
電験で使う所
- 電磁誘導:起電力は、磁束の変化の割合と巻数で決まる
- インダクタンス:自己誘導の起電力は、電流の変化の割合に比例する
- 電位と等電位面:電界の強さは、距離に対する電位の傾き
- RL回路の時定数:電流のカーブの傾きが、時間とともに小さくなる
計算の型
- 例1:コイルの電流が、0.2 sの間に0 Aから4 Aまで直線で増えます。傾きは4÷0.2で、1秒あたり20 Aです。
- 自己インダクタンスが0.5 H(ヘンリー)なら、起電力は次のとおりです。
- 例2:その後、電流が4 Aのまま続く間は、傾きが0なので起電力も0です。
- 間違えやすい所:電流がいちばん大きい所で、起電力もいちばん大きいと読む。大きいのは傾きが急な所です。
グラフの面積 ── 電流のグラフの下の面積が電荷、ためた量は面積で読む

| 縦軸 | 横軸 | グラフの下の面積 |
|---|---|---|
| 電流〔A〕 | 時間〔s〕 | 電荷(でんか)〔C〕 |
| 電力〔W〕 | 時間〔s〕 | 電力量(でんりょくりょう)〔W·s〕 |
| 電圧〔V〕 | ためた電荷〔C〕 | 静電エネルギー(せいでんえねるぎー)〔J〕 |
縦軸×横軸が意味を持つグラフでは、グラフの下の面積が、ためた量になります。電荷と電圧が比例して増えるときは三角形なので、ためたエネルギーは長方形の半分です。
言葉の式 電力量 = 電力 × 時間
W:電力量〔W·s〕 P:電力〔W〕 t:時間〔s〕
言葉の式 静電エネルギー = ½ × 電荷 × 電圧 = ½ × 静電容量 × 電圧² = 電荷² ÷(2 × 静電容量)
W:静電エネルギー〔J〕 C:静電容量〔F〕 V:極板間の電圧〔V〕 Q:蓄えられた電荷〔C〕
言葉の式 電磁エネルギー = ½ × 自己インダクタンス × 電流²
W:電磁エネルギー〔J〕 L:自己インダクタンス〔H〕 I:電流〔A〕
- 一定の電流なら、グラフは長方形で、電荷は電流×時間です。電流が変わるときも、面積を数えれば電荷が分かります。
- コンデンサは0 Vから充電されます。電圧が0から直線で上がるので、面積は三角形になり、½が付きます。
- 波の平均値(へいきんち)は、面積を時間で割った高さです。面積を同じにならした長方形の高さ、と考えます。
電験で使う所
- 静電エネルギー:電荷と電圧の三角形の面積が、ためたエネルギー
- 電磁エネルギー:コイルも同じ三角形の考えで、半分が付く
- 実効値と平均値:平均値は、面積を時間で割った高さ
- ディジタル計器とA-D変換:電圧をためて測る方式の考え方
計算の型
- 例1:2 Aの電流を3 s流すと、長方形の面積で2×3=6 Cです。
- 例2:10 μFのコンデンサを100 Vまで充電したときのエネルギーです。
- 例3:高さ10 Vが2 msだけ続き、周期が5 msの方形波です。平均値は面積を周期で割った高さです。
Vav:平均値〔V〕 H:方形波の高さ〔V〕 ton:高さが続く時間〔s〕 T:周期〔s〕
- 間違えやすい所:静電エネルギーを電荷×電圧として、½を忘れる。
まとめ
比は何倍かを表し、計算の前に接頭語を10の何乗にそろえ、式は両辺に同じ操作をして解きます。
直角三角形は三平方とsin・cos・tanで解き、矢印と複素数で交流の電圧と電流を足します。
指数のカーブは時定数ごとに同じ割合で変わり、変化の割合は傾き、ためた量は面積で読みます。
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参考文献
- 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 交流回路の章(複素数と極座標表示)・過渡現象の章 Amazonで見る
- 高木 茂孝・堀 桂太郎『First Stage シリーズ 新訂電子回路概論』実教出版 第2章(増幅度と利得) Amazonで見る
- 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH04 交流回路の章(SEC05 記号法による解析) 最新版をAmazonで見る
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