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電験三種 理論 電磁誘導|ファラデー・インダクタンス・電磁エネルギー・単位

電験三種 理論 電磁誘導|ファラデー・インダクタンス・電磁エネルギー・単位

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最終確認:2026年10月24日

電験三種の理論で、磁束(じそく)の変化で起電力(きでんりょく)が生じる電磁誘導(でんじゆうどう)を、4つの論点にまとめた辞書です。誘導の法則、インダクタンス、電磁エネルギー、量と単位の順に確かめます。

理論の論点:直流回路①|直流回路②|静電気|磁気|電磁誘導|交流の基本

交流回路|三相交流|過渡現象|半導体|電子回路|電気計測

電磁誘導 ── 磁束の変化を妨げる向きに起電力が生じる

電磁誘導:棒磁石のN極をコイルに近づけると、増える磁束を妨げるようにコイルの近い側がN極になる向きに電流が流れる。磁界を横切る導体の起電力の向きは右手の親指が運動、人差し指が磁界、中指が起電力
法則決めるもの中身
レンツの法則(れんつのほうそく)起電力の向き磁束の変化を妨げる向きに生じる
ファラデーの法則(ふぁらでーのほうそく)起電力の大きさ巻数と、磁束の変化の割合の積
フレミングの右手の法則(ふれみんぐのみぎてのほうそく)動く導体の起電力の向き親指が運動、人差し指が磁界、中指が起電力

コイルを貫く磁束が変わると、その変化を妨げる向きに誘導起電力(ゆうどうきでんりょく)が生じます。大きさは、巻数と磁束の変化の割合の積です。磁束が多くても、変わらなければ起電力は0です。

言葉の式 誘導起電力の大きさ = 巻数 × 磁束の変化 ÷ かかった時間

e=NΔΦΔt

e:誘導起電力(大きさ)〔V〕 N:コイルの巻数〔回〕 ΔΦ:コイルを貫く磁束の変化〔Wb〕 Δt:磁束の変化にかかった時間〔s〕

言葉の式 誘導起電力 = 磁束密度 × 導体の長さ × 速さ × sinθ

e=Bℓvsin⁡θ

e:誘導起電力〔V〕 B:磁束密度〔T〕 ℓ:導体の長さ〔m〕 v:導体の速さ〔m/s〕 θ:導体の動く向きと磁界の間の角〔rad〕

問われる形○×ポイント
右手の法則で、親指を磁界、人差し指を導体の動く向きに合わせる×親指が動く向き、人差し指が磁界。中指が起電力
N極を近づけると、コイルの磁束をさらに増やす向きに電流が流れる×増える磁束を妨げる向き。コイルの近い側がN極になる
磁界と60°の向きに動く導体の起電力を、磁束密度(じそくみつど)・長さ・速さの積で出す×磁界を横切る分の速さ(速さ×sin60°)を使う
三角形のコイルが頂点から磁界に入る間、起電力は一定×境界を横切る辺が伸びるので、0 Vから直線的に増える
  • 変化の割合は、変化した量をかかった時間で割った値で、グラフの傾きです。磁束が直線的に変わる間は傾きが一定なので、起電力も一定です。
  • 巻数Nのコイルは、1回巻きの起電力をN個直列にしたのと同じです。巻数と磁束の積を磁束鎖交数(じそくさこうすう)と呼び、単位はWb(ウェーバ)です。
  • 教科書の式に付くマイナスは、変化を妨げる向き(レンツの法則)を表します。大きさを求めるときは、マイナスを外して考えます。
  • 導体が動くときは、導体が横切った面積に磁束密度を掛けると、横切った磁束になります。その量を時間で割れば、磁束の変化の割合です。
  • 工場・現場では、発電機も変圧器も、この電磁誘導で電圧をつくっています。

解き方:磁束鎖交数の変化と起電力

  • ① 最初の一手は、磁束の単位をWbにそろえることです。10 mWbは0.01 Wbです。
  • ② 巻数を掛けて、磁束鎖交数の変化を出します。
  • ③ その変化を、かかった時間で割ります。これが変化の割合(グラフの傾き)で、起電力の大きさです。

例の条件を短くまとめます(令和3年度 問4)。巻数200のコイルを貫く磁束が、0.5 sの間に10 mWbだけ直線的に増えます。

  • 磁束鎖交数の変化は200×0.01=2 Wbです。
  • 1秒あたりに直すと2÷0.5=4 Wb/sで、起電力の大きさは4 Vです。
e=200 回×10 mWb0.5 s=4 V
  • 2 Wbを0.5 sで割らずに2 Vとするのは誤りです。変化した量と、変化の割合は違います。

関連:変化の割合=グラフの傾き|電磁力|インダクタンス

インダクタンス ── 自己インダクタンスは巻数の2乗に比例

自己インダクタンスと巻数:同じ電流でも巻数を2倍にすると磁束が2倍になり、その磁束が貫く回数も2倍になるので、磁束鎖交数と自己インダクタンスは4倍になる
和動接続と差動接続:2つのコイルを直列にして鉄心の中の磁束が同じ向きになれば和動接続で全体のインダクタンスは2Mだけ増え、逆向きなら差動接続で2Mだけ減る
量決め方大きさを決めるもの
自己インダクタンス(じこいんだくたんす)1 Aあたりに自分を貫く磁束鎖交数巻数の2乗・断面積・透磁率(とうじりつ)に比例し、磁路の長さに反比例
相互インダクタンス(そうごいんだくたんす)相手の電流1 Aあたりに自分を貫く磁束鎖交数相手から届く磁束。漏れ磁束(もれじそく)が多いほど小さい
結合係数(けつごうけいすう)磁束が相手まで届く割合の目安漏れが無ければ1で、1を超えない

自己インダクタンスは巻数の2乗に比例し、コイルの電圧は自己インダクタンスと電流の変化の割合の積です。2つのコイルを直列にすると、磁束が強め合う和動接続(わどうせつぞく)では2Mだけ増え、弱め合う差動接続(さどうせつぞく)では2Mだけ減ります。

言葉の式 自己インダクタンス = 透磁率 × 断面積 × 巻数² ÷ 磁路の長さ

L=μSN2ℓ

L:自己インダクタンス〔H〕 μ:鉄心の透磁率〔H/m〕 S:鉄心の断面積〔m²〕 N:コイルの巻数〔回〕 ℓ:磁路の平均の長さ〔m〕

言葉の式 誘導起電力の大きさ = 自己インダクタンス × 電流の変化 ÷ かかった時間

e=LΔIΔt

e:自己誘導起電力(コイルの端子電圧の大きさ)〔V〕 L:自己インダクタンス〔H〕 ΔI:電流の変化〔A〕 Δt:電流の変化にかかった時間〔s〕

言葉の式 相互インダクタンス = 結合係数 × √(L₁ × L₂)

M=kL1L2

M:相互インダクタンス〔H〕 k:結合係数 L1:コイル 1 の自己インダクタンス〔H〕 L2:コイル 2 の自己インダクタンス〔H〕

言葉の式 合成インダクタンス = L₁ + L₂ + 2 × 相互インダクタンス

L=L1+L2+2M

L:合成自己インダクタンス〔H〕 L1:コイル 1 の自己インダクタンス〔H〕 L2:コイル 2 の自己インダクタンス〔H〕 M:相互インダクタンス〔H〕

言葉の式 合成インダクタンス = L₁ + L₂ − 2 × 相互インダクタンス

L=L1+L2−2M

L:合成自己インダクタンス〔H〕 L1:コイル 1 の自己インダクタンス〔H〕 L2:コイル 2 の自己インダクタンス〔H〕 M:相互インダクタンス〔H〕

問われる形○×ポイント
自己インダクタンスが9倍のコイルは、巻数も9倍×2乗に比例するので、巻数は√9=3倍
環状コイルの自己インダクタンスは、鉄心の断面積に反比例する×断面積には比例する。反比例するのは磁路の長さ
コイルの電圧は、電流がいちばん大きい区間で最大になる×電流のグラフの傾きがいちばん急な区間で最大。電流が一定なら0
相互インダクタンスの最大値は、2つの自己インダクタンスの和×最大は結合係数が1のときで、積の平方根
  • 巻数を2倍にすると、同じ電流がつくる磁束が2倍になり、その磁束が貫く回数も2倍になります。合わせて4倍なので、巻数の2乗に比例します。
  • コイルの電圧は、電流のグラフの傾きで決まります。同じ量の変化でも、短い時間で変わる区間ほど電圧が大きくなります。
  • 結合係数が1を超える答えが出たら、計算の誤りです。2Mの2を落としていないかを確かめます。

解き方:和動接続から結合係数を出す

  • ① 最初の一手は、直列にした値が自己インダクタンスの和より大きいか小さいかを見ることです。大きければ和動接続、小さければ差動接続です。
  • ② 和との差を2で割って、相互インダクタンスを出します。
  • ③ 相互インダクタンスを、2つの自己インダクタンスの積の平方根で割ります。

例の条件を短くまとめます(令和4年度上期 問3)。1つの環状鉄心に、40 mH(ミリヘンリー)と10 mHの2つのコイルが巻いてあります。2つを直列につなぐと、86 mHでした。

  • 和は40+10=50 mHで、86 mHのほうが大きいので和動接続です。
  • 86−50=36 mHが2Mの分なので、Mは36÷2=18 mHです。
  • 積の平方根は√(40×10)=20 mHで、kは18÷20=0.90です。
  • 確かめ:Mを18 mHとして和動の式に入れると、86 mHに戻ります。下の式の答えは、単位をヘンリーにそろえて出しています。
L=40 mH+10 mH+2×18 mH=0.086 H
  • 2で割るのを落としてMを36 mHとすると、kは1.8になります。1を超えるので、誤りと分かります。

関連:変化の割合=グラフの傾き|平方根と三平方の定理|RL回路の時定数

電磁エネルギー ── コイルは電流の2乗に比例してためる

項目コイルコンデンサ
何の形でためるか磁界のエネルギー(電磁エネルギー(でんじえねるぎー))電界のエネルギー(静電エネルギー(せいでんえねるぎー))
たまる量自己インダクタンスと電流の2乗の積の半分静電容量と電圧の2乗の積の半分
グラフの三角形横が電流、縦が磁束鎖交数横が電荷、縦が電圧
直流の定常状態(ていじょうじょうたい)での見え方導線と同じ(電圧は0)開放(かいほう)と同じ(電流は0)

コイルにたまるエネルギーは、自己インダクタンスと電流の2乗の積の半分です。電流を0から上げる間のグラフの三角形の面積で、「半分」は三角形の÷2です。

言葉の式 電磁エネルギー = ½ × 自己インダクタンス × 電流²

W=12LI2

W:電磁エネルギー〔J〕 L:自己インダクタンス〔H〕 I:電流〔A〕

言葉の式 静電エネルギー = ½ × 電荷 × 電圧 = ½ × 静電容量 × 電圧² = 電荷² ÷(2 × 静電容量)

W=12QV=12CV2=Q22C

W:静電エネルギー〔J〕 C:静電容量〔F〕 V:極板間の電圧〔V〕 Q:蓄えられた電荷〔C〕

問われる形○×ポイント
コイルに電流が流れる直流回路の定常状態で、エネルギーをためているのはコンデンサだけ×電流が流れ続けるコイルにもたまる。両方を足す
電流の最大値が50 Aの10 mHのコイルにたまる最大のエネルギーは25 J×半分を掛けて12.5 J。25 Jは半分の掛け忘れ
直列の2つの抵抗の一方と並列のコンデンサの電圧を、電源の電圧とする×並列の抵抗の電圧と同じ。電源の電圧は2つの抵抗で分かれる
直流の定常状態では、コイルは導線、コンデンサは開放とみなす○電流が変わらないのでコイルの電圧は0。コンデンサには電流が流れない
  • 横軸を電流、縦軸を磁束鎖交数にすると、グラフは原点を通る直線です。電流を0から上げる間にためた量は、その下の三角形の面積です。
  • 三角形の底辺は電流、高さは自己インダクタンスと電流の積なので、面積は底辺と高さの積の半分になります。コンデンサの、電荷と電圧の三角形と同じ考えです。
  • 電流を増やすには、コイルに生じる起電力に逆らって、電源が仕事をします。その仕事が、磁界にたまります。

解き方:定常状態でたまるエネルギーの総和

  • ① 最初の一手は、コイルを導線に、コンデンサを開放に置き換えることです。
  • ② 残った抵抗だけの回路で、電流と各抵抗の電圧を出します。
  • ③ コイルは流れる電流で、コンデンサは並列の抵抗の電圧で、エネルギーを出して足します。

例の条件を短くまとめます(令和6年度下期 問5)。100 Vの直流電源に、20 mHと20 Ωの枝と、40 mHと30 Ωの枝が直列です。前の枝に400 μF(マイクロファラド)、後ろの枝に600 μFのコンデンサが並列です。

  • 電流は、2つの抵抗の直列だけを流れます。
I=100 V20 Ω+30 Ω=2 A

I:電流〔A〕 E:電源電圧(起電力)〔V〕 R1:抵抗 1〔Ω〕 R2:抵抗 2〔Ω〕

  • 400 μFの電圧は20 Ωの電圧で2×20=40 V、600 μFは30 Ωの電圧で2×30=60 Vです。
  • コイルは20 mHで0.04 J、40 mHで0.08 Jです。
W=12×40 mH×(2 A)2=0.08 J
  • コンデンサは400 μFで0.32 J、600 μFで1.08 Jです。
W=12×600 μF×(60 V)2=1.08 J
  • 総和は0.04+0.08+0.32+1.08=1.52 Jです。コンデンサの分の1.40 Jだけで答えるのは誤りです。

関連:グラフの面積=ためた量|静電エネルギー|スイッチ直後と定常

量と単位 ── 単位は定義の式から組み立てられる

電気の量単位定義の式からの組み立て
電荷(でんか)C(クーロン)電流に時間を掛けて、A·s
電力(でんりょく)W(ワット)エネルギーを時間で割って、J/s
電圧V(ボルト)電力を電流で割って、W/A
静電容量(せいでんようりょう)F(ファラド)電荷を電圧で割る。1 Vで1 Cためる大きさ
コンダクタンス(こんだくたんす)S(ジーメンス)電流を電圧で割って、A/V(Ωの逆数)
電力量(でんりょくりょう)W·s電力に時間を掛ける。J(ジュール)と同じ
磁気の量単位定義の式からの組み立て
磁束Wb起電力に時間を掛けて、V·s
磁束密度T(テスラ)磁束を面積で割って、Wb/m²
自己インダクタンスH(ヘンリー)磁束鎖交数を電流で割って、Wb/A
磁気抵抗(じきていこう)H⁻¹起磁力(きじりょく)を磁束で割って、A/Wb
磁界の強さA/m起磁力を磁路の長さで割る
透磁率H/m磁束密度を磁界の強さで割る

単位は、量を決める式の掛け算・割り算を、そのまま単位に当てはめれば作れます。式を1本思い出せば単位が分かり、逆に単位から式の形を確かめられます。

言葉の式 電流 = 電荷 ÷ 時間

I=Qt

I:電流〔A〕 Q:通過した電荷〔C〕 t:時間〔s〕

言葉の式 自己インダクタンス = 磁束鎖交数 ÷ 電流

L=NΦI

L:自己インダクタンス〔H〕 N:コイルの巻数〔回〕 Φ:磁束〔Wb〕 I:電流〔A〕

問われる形○×ポイント
磁束の単位Wbは、V/sと同じ×起電力に時間を掛けるのでV·s。割り算ではない
磁束の単位はT×TはWb/m²で、磁束密度の単位。磁束はWb
インダクタンスの単位は、Wb/Vと書ける×電流で割ってWb/A。Wb/Vは秒になる
磁気抵抗の単位はH⁻¹、透磁率の単位はH/m○磁気抵抗はA/Wbでヘンリーの逆数。電気の誘電率はF/m
  • SI単位(えすあいたんい)は、長さ(m)・時間(s)・電流(A)などの基本単位(きほんたんい)と、それを組み合わせた組立単位(くみたてたんい)でできています。
  • 「/」は割り算、「·」は掛け算です。V·sとV/sのように、この1文字の違いがよく問われます。
  • 長さあたりの量には「/m」が付きます。電界の強さはV/m、導電率(どうでんりつ)はS/m、誘電率(ゆうでんりつ)はF/mです。
  • 磁気と電気は対になります。磁界の強さのA/mは電界の強さのV/mと、透磁率のH/mは誘電率のF/mと対です。

関連:ギリシャ文字と量の記号|力・仕事・電力|磁気回路

まとめ

磁束が変わると、その変化を妨げる向きに、巻数と変化の割合の積の起電力が生じます。

自己インダクタンスは巻数の2乗に比例し、直列のコイルは和動接続で2M増え、差動接続で減ります。

コイルは電流の2乗に比例してエネルギーをため、単位は定義の式から組み立てられます。

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参考文献

  • 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 第4章(電流と磁気)・第6章1節(測定量の取り扱い) Amazonで見る
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH03 電磁力の章(SEC04 電磁誘導・SEC05 インダクタンスの基礎) 最新版をAmazonで見る
  • 第三種電気主任技術者試験 理論 問題(電気技術者試験センター) 平成23年度・平成24年度・平成27年度・平成28年度・平成29年度・令和3年度・令和4年度上期・令和5年度上期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期

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