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容器保安規則|刻印に「最大充填質量」はない ── ここだけで10年5点【甲種化学・法令】

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困っている人
困っている人

容器の刻印と表示、どっちに何が入るのか毎回あやふや。

G=V/C と G=0.9wV、どっちがどっちの容器の式か分からない。

そんな悩みを解決します。

この記事の内容

刻印に最大充填質量は入らない ── 10年で5回出た最頻出

塗色と文字(水素は赤・燃、炭酸は、酸素は

充填量の式 G=V/CG=0.9wV の使い分け

再検査期間は溶接容器=経過年数/継目なし=一律5年

この分野は10年で55記述。問5・問6が毎年ここです。パターンが固定されているので、得点効率は法令随一。

この分野の攻略法は明確です。

刻印と表示の「入るもの/入らないもの」を先に切り分ける。

誤り記述の半分以上が、刻印に入らないものを入れる形で作られています。

刻印 ── 最大充填質量は入らない(10年で5回)

〔容器〕第8条第1項。この一点だけで10年5点です。

年度・問誤りの作り方
H29問5ハ充填できる液化ガスの質量の数値が刻印で示されている → ×
H30問5ロ液化アンモニア容器は最大充填質量を刻印する → ×
R1問5ロ充填する液化ガスは刻印で示された最大充填質量以下でなければならない → ×
R2問6ロ刻印の項目のひとつに最大充填質量の数値がある → ×
H28問6ハ(表示側)液化アンモニアの最高充填質量を外面に明示する → ×

刻印にも表示にも、充填質量は入りません。5回とも同じ論点です。

なぜ入らないのか

充填できる質量はガスの種類と温度で変わるからです。同じ容器でも、液化アンモニアと液化塩素では充填できる質量が違う。

だから容器そのものには内容積を刻印しておき、質量は計算で出す(後述の G=V/C)という設計になっています。

内容積は「圧縮ガス用にも」刻印される(10年で2回)

年度・問記述判定
R1問6イ内容積の刻印は液化ガス用の容器だけ×
R3問6イ液化ガス用には定めがあるが圧縮ガス用にはない×

圧縮ガス用・液化ガス用のどちらにも刻印されます。

刻印される場所(令和4年度 問5イ・正しい記述)

容器検査に合格すると、その容器の厚肉の部分の見やすい箇所へ、所定の事項が明瞭かつ消えない形で刻印される。

○(正しい)

薄い部分に刻印すると、そこが応力集中点になって割れの起点になります。だから厚肉部です。

この発想は応力集中と割れの話と同じで、刻印は表面のキズだという認識が根本にあります。

ガスの種類の刻印は省けない(平成29年度 問5イ)

充填できる高圧ガスの名称を明示しておけば、ガスの種類の刻印は不要になる。

× 名称の明示があっても、刻印は省けない。

刻印は消えない恒久的な情報、表示は塗り替えられる情報。役割が違うので互いに代替できません。

表示 ── 塗色と、性質を示す文字と、ガスの名称

〔容器〕第10条第1項。刻印とは別の制度です。

表示すべき3点セット

塗色(表面積の2分の1以上)

性質を示す文字(可燃性は「燃」、毒性は「毒」)

高圧ガスの名称

塗色(覚える対象は5つ)

ガス塗色性質を示す文字
酸素──
水素
液化炭酸ガス──
液化アンモニア燃・毒
液化塩素
その他のガスねずみ色性質に応じて

液化アンモニアは可燃性かつ毒性なので「燃」と「毒」の両方が付きます。ここは実務でもそのまま効く知識です。

アンモニアの性質は毒性の指標爆発範囲の両方で押さえておくと、ガス各論とつながります。

出た形

年度・問記述判定
H29問5ロ表面積の2分の1以上を黄色に塗る(液化塩素)
R2問6イ液化炭酸ガスの塗色は緑色
R3問6ハ水素は青色に塗り、文字は「爆」× 赤色・「燃」
H30問5ハ液化塩素は外面に製造者名「危」を明示×

「爆」「危」という文字は存在しません。 性質を示す文字は「燃」と「毒」だけです。

名称も明示する(令和7年度 問6イ)

毒性ガスの容器は、ガスの名称が刻印で示されているので、表示は性質を示す文字だけでよい。

× 表示すべき事項にはガスの名称も入る

刻印と表示を「片方があれば足りる」形にすり替えるのが定番です。両方必要。

所有者名が変わったら遅滞なく(令和元年度 問6ロ)

所有者の氏名等が変わったときは、次に容器再検査を受ける時点で表示し直す。

× 変更があった時点で遅滞なく改める。

事故のとき誰の容器か分からないと連絡が取れません。次の検査まで待つという発想がそもそもない、と考えてください。

充填 ── 圧力の上限と、液化ガスの質量の式

圧縮ガスは「刻印された圧力を超えない」(10年で4回、すべて正しい記述)

平成30年度 問5イ/令和2年度 問5ロ/令和3年度 問5ハ/令和5年度 問5ロ。

容器へ充填するときの圧力は、その容器に刻印等または自主検査刻印等で示された圧力を超えてはならない

○(正しい)

4回とも正しい記述。ここは「知っていれば取れる」サービス問題です。

液化ガスは計算で出す ── 2つの式

低温容器等以外(一般の容器)

G = V / C

G:充填できる質量[kg]

V:容器の内容積[L]

C:容器保安規則の定める定数

超低温容器・低温容器

G = 0.9 × w × V

w:容器の常用の温度における液化ガスの比重[kg/L]

0.9 は気相部を残すための係数

出た形(10年で3回、うち2回が式のすり替え)

年度・問記述判定
R4問6ロ液化塩素の充填量は G=P×V/C(Pは最高充填圧力)× Pは入らない
R5問6ロ液化炭酸ガスを一般継目なし容器へ → G=0.9wV× それは低温容器用
R6問6ロG=V/C。超低温容器では C=(最高常用温度の比重×0.9)の逆数

令和6年度の記述が2つの式の関係を明かしています。C を「比重×0.9 の逆数」とすれば、G=V/C は G=0.9wV と一致する。

つまり本質的には同じ式です。一般の容器では定数Cが表で与えられ、低温容器では比重から計算する ── その違いだけ。

なぜ0.9を掛けるのか。満液にすると温度上昇で液が膨張し、容器が破裂するからです。気相部を1割残しておく。これは安全弁の設計BLEVEの話と直結する、実務上きわめて重要な考え方です。

損傷を受けた容器(10年で3回)

充填してよい条件(両方が必要)

容器再検査に合格している

所定の刻印または標章の掲示がされている

出た誤り記述(令和4年度 問5ロ)

損傷を受けた容器でも、再検査期間内に容器再検査を受けさえすれば、刻印等がないままでも充填できる。

× 合格と刻印の両方がそろって初めて充填できる。

「受ければよい」ではなく「合格し、かつ刻印されて」初めてOK。合格しても刻印がなければダメです。

容器再検査の期間 ── 溶接容器と継目なし容器で考え方が違う

容器の種類再検査までの期間
溶接容器製造からの経過年数に応じて決まる
一般継目なし容器経過年数と関係なく一律5年
〔容器〕第24条第1項

なぜ違うのか

溶接容器には溶接部があります。 溶接部は母材より劣化が進みやすく、年数が経つほどリスクが上がる。だから古い容器ほど検査間隔を短くしています。

継目なし容器には溶接部がないので、経年による劣化の進み方が緩やか。一律の間隔で足りるという設計です。

これは溶接部の腐食・割れの話そのものです。法令の数字にも技術的な理由があります。

起算点は「刻印の月の前月末日」(令和6年度 問6ハ)

一般継目なし容器の再検査期間は5年で、起算点は刻印等で示された月の末日である。

× 起算点は刻印等で示された月の前月の末日

期間の5年は合っています。ずらしてくるのは起算点のほうです。

所有者が変わっても期間は変わらない(平成29年度 問6ロ)

再検査期間は容器に紐づくもので、所有者に紐づくものではありません。

所有者が代わるたびにリセットできるなら、転売を繰り返して永久に検査を逃れられてしまいます。

刻印は再検査に合格したときもされる(平成28年度 問5イ)

刻印または標章の掲示は容器検査に合格したときにはされるが、容器再検査に合格したときについては定めがない

× 再検査に合格した場合の刻印・標章にも定めがある。

そうでなければ、いつ再検査を受けたか分からなくなります。

廃棄 ── 附属品も、くず化する

〔法〕第56条。10年で8記述、うち6つが誤り記述。論点は2つだけです。

論点1:附属品も対象

容器を廃棄する者はくず化するなどして使用できないよう処分する

容器の附属品についても同じ義務がある

年度・問誤りの作り方
R1問5ハ附属品の廃棄については定めがない×
R4問5ハ附属品はくず化する必要はない×
R5問5ハ附属品には同じ定めがない×

3回とも同じ論点。「附属品」という言葉が出て「定めがない」と続いたら即×です。

バルブなどの附属品も、そのまま流通すれば別の容器に付けられて使われてしまいます。容器だけ潰しても意味がないという理屈。

論点2:不合格容器は「処分する」しかない

容器再検査に不合格で、所定の期間内に刻印等がされなかったとき

→ 所有者は遅滞なくくず化するなどして処分する

「使用禁止と表示する」という選択肢は存在しない

年度・問誤りの作り方
R2問5ハ処分するか、外面に使用禁止と表示するかのいずれか → ×
R7問5ロ同上(まったく同じ形)→ ×
R6問5ハ刻印されなくても使い続けることができる×

表示は消せます。 剥がれることもある。不合格になった容器を物理的に使えなくしなければ、いつか誰かが使ってしまいます。

この「表示ではなく物理的に不可能にする」という発想は、LOTO(ロックアウト・タグアウト)とまったく同じです。札を掛けるだけでは足りず、施錠する。

容器の譲渡 ── 刻印等があるものに限る

〔法〕第44条第1項。10年で7記述、すべて正しい記述として出ています。

譲渡・引渡しができる容器

容器検査に合格して刻印等がされたもの

外国登録容器製造業者が製造し、自主検査刻印等がされたもの

③ 高圧ガスが充填された状態で輸入し、輸入検査に合格したもの

③は検査の記事で扱った論点です。輸入検査は高圧ガス及びその容器が対象なので、容器検査を重ねる必要がありません。

逆に、高圧ガスを充填していない空容器を輸入した場合は容器検査が必要になります。充填の有無で扱いが変わります。

空容器の容器検査は、内容積500L以下なら知事等・協会・指定容器検査機関のいずれでも受けられます(令和6年度 問5イ)。

暗記カードにするならこれだけ

刻印(〔容器〕第8条)

最大充填質量は刻印されない(10年で5回)

内容積は圧縮ガス用にも液化ガス用にも刻印される

場所は厚肉の部分の見やすい箇所、明瞭かつ消えない形

表示があっても刻印は省けない

表示(〔容器〕第10条)

塗色・性質を示す文字・ガスの名称の3点

酸素/水素/液化炭酸/液化アンモニア/液化塩素/その他ねずみ色

文字は「燃」と「毒」だけ(「爆」「危」は存在しない)

所有者名の変更は遅滞なく改める

充填(〔法〕第48条・〔容器〕第22条)

圧縮ガス:刻印された圧力を超えない

液化ガス(一般):G=V/C(Pは入らない)

液化ガス(超低温・低温):G=0.9wV

損傷容器:再検査合格+刻印の両方がそろって初めて充填可

再検査と廃棄

溶接容器=経過年数に応じて/一般継目なし容器=一律5年

起算点は刻印の月の前月末日

所有者が代わっても期間は変わらない

廃棄は附属品もくず化する

不合格容器は処分するしかない(使用禁止の表示という選択肢はない)

まとめ

  • 刻印に最大充填質量は入らない。10年で5回、この一点だけで5点
  • 刻印と表示は互いに代替できない
  • 塗色は酸素黒・水素赤・炭酸緑・アンモニア白・塩素黄、文字は燃と毒だけ
  • 液化ガスの充填量は G=V/C(低温容器は G=0.9wV
  • 溶接容器は経過年数、継目なし容器は一律5年。溶接部の有無が理由
  • 廃棄は附属品もくず化。不合格容器に「使用禁止の表示」という逃げ道はない

次は移動と貯蔵の技術基準です。車両での移動、警戒標、消火設備などを扱います。→ 移動と貯蔵の技術基準

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出典:高圧ガス保安協会『甲種化学・機械 試験問題集 令和7年度版』ほか。集計は平成28年度〜令和7年度の法令20問を筆者が1記述ずつ分解して独自に行ったものです。問題文そのものの転載は行っていません。