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電験三種 準備編 数学の道具|比・接頭語・三角比・ベクトル・複素数・グラフ

電験三種 準備編 数学の道具|比・接頭語・三角比・ベクトル・複素数・グラフ

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最終確認:2026年10月24日

電験三種の理論・電力・機械の計算で使う数学の道具を、中学の数学から1段ずつ確かめる辞書です。比・接頭語(せっとうご)・三角比・複素数と、位相(いそう)・時定数(じていすう)などのグラフの読み方を並べます。

準備編:数学の道具|電気と力学のきほん

目次

分数・比・割合 ── 比は何倍か、割合は全体を1としたときの大きさ

比と比例・反比例:10を3:2に分けると6と4、比例は一方が2倍なら他方も2倍の直線、反比例は一方が2倍なら他方が半分の曲線
言葉意味例
比片方がもう片方の何倍か6:4は、6÷4で1.5倍
割合全体を1としたときの大きさ10のうちの6は0.6
比例(ひれい)一方が2倍なら、他方も2倍抵抗が同じときの電圧と電流
反比例(はんぴれい)一方が2倍なら、他方は半分電圧が同じときの抵抗と電流
逆数(ぎゃくすう)1をその数で割った数4の逆数は0.25

全体を比で分けるときは、全体に「自分の比÷比の合計」を掛けます。比は「何倍か」を表す数で、比例と反比例は倍率の向きが逆です。

  • 反比例は「掛けると一定」の関係です。片方を2倍にすると、もう片方は2の逆数の0.5倍になります。
  • 抵抗の逆数(流れやすさ)を考えると、反比例を比例に直して考えられます。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:10 Vを3:2に分けます。比の合計は5なので、10×3÷5=6 Vと、10×2÷5=4 Vです。
  • 3 Ωと2 Ωの直列に10 Vをかけたときの分圧の式も、同じ分け方です。
V1=10 V×3 Ω3 Ω+2 Ω=6 V

V1:R₁ にかかる電圧(電圧降下)〔V〕 V0:全体の電圧(電源電圧)〔V〕 R1:1つ目の抵抗〔Ω〕 R2:2つ目の抵抗〔Ω〕

  • 例2:電圧が同じで抵抗を4倍にすると、電流は4の逆数の0.25倍になります。
  • 間違えやすい所:比の合計で割るのを忘れて、10×3=30とする。
  • 間違えやすい所:反比例を「引き算で減る」と考える。2倍したときに半分になる関係です。

10の何乗と接頭語 ── k・M は大きく、m・μ・n・p は小さくする印

大きくする接頭語10の何乗例
k(キロ)10³(1000倍)6.6 kVは6600 V
M(メガ)10⁶(100万倍)1 MWは1000 kW
G(ギガ)10⁹(10億倍)1 GWは1000 MW
小さくする接頭語10の何乗例
m(ミリ)10⁻³(1000分の1)5 mAは0.005 A
μ(マイクロ)10⁻⁶(100万分の1)2 μFは2×10⁻⁶ F
n(ナノ)10⁻⁹(10億分の1)1000 pFは1 nF
p(ピコ)10⁻¹²(1兆分の1)100 pFは0.1 nF

計算の前に、接頭語を10の何乗に直してそろえます。10の何乗どうしの掛け算は、右肩の数(指数(しすう))の足し算になり、割り算は引き算になります。

  • 10³は10を3回掛けた1000で、10⁻³は1を10で3回割った0.001です。10⁰は1です。
  • 接頭語は3桁ごとに並んでいます。1つ隣へ移ると、1000倍か1000分の1になります。
  • 小文字のmは1000分の1、大文字のMは100万倍です。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:10³×10⁴は、右肩の数を足して10⁷です。10⁶÷10²は、引いて10⁴です。
  • 例2:2 μFのコンデンサに100 Vをかけたときの電荷を出します。μFを10⁻⁶ Fに直すと、2×10⁻⁶×100=2×10⁻⁴ Cです。
Q=2 μF×100 V=2×10−4 C

Q:電荷〔C〕 C:静電容量〔F〕 V:電圧〔V〕

  • 間違えやすい所:10⁻³×10⁻³を10⁻⁹とする。右肩の数は掛けずに足すので、10⁻⁶です。
  • 間違えやすい所:μFをFに直さずに、2×100=200 Cとする。

式の変形と連立方程式 ── 両辺に同じ操作をして、知りたい量を1つ残す

したいこと両辺にする操作結果
電流を出すオームの法則の両辺を抵抗で割る電流=電圧÷抵抗
抵抗を出す両辺を電流で割る抵抗=電圧÷電流
足してある数を消す両辺から同じ数を引く反対側へ移ると引き算になる
知りたい量が2つ式を2本立てて、片方を消す残った1つが求まる

等式は、両辺に同じ数を足す・引く・掛ける・割る操作をしても成り立ちます。知りたい量が2つなら式を2本立て、片方を消してから解きます。

言葉の式 電圧 = 抵抗 × 電流

V=RI

V:電圧(抵抗の両端の電位差・電圧降下)〔V〕 R:抵抗〔Ω〕 I:電流〔A〕

  • 等式はてんびんと同じで、両側に同じことをすれば釣り合ったままです。ただし、0で割ることはできません。
  • 数を等号の反対側へ移すことを移項(いこう)と言い、足し算は引き算に、掛け算は割り算に変わります。
  • 2本の式を足したり引いたりして1つの量を消すのが加減法、片方の式を他方に入れるのが代入法です。どちらも同じ答えになります。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:知りたい数をxとして、x+3=10です。両辺から3を引くと、xは10−3=7です。
  • 例2(連立方程式(れんりつほうていしき)):2本の枝の電流の和が5 A、差が1 Aです。
  • 2本の電流をI1・I2と置くと、式はI1+I2=5(和が5)と、I1−I2=1(差が1)の2本です。
  • 2本の式を足すとI2が消え、2×I1=6になります。
  • I1は6÷2=3 Aで、I2は5−3=2 Aです。
  • 間違えやすい所:移項で符号を変え忘れる。+3を反対側へ移すと−3です。
  • 間違えやすい所:片方の辺だけを割る。両辺を同じ数で割ります。

平方根と三平方の定理 ── 直角三角形の斜辺の2乗は、ほかの2辺の2乗の和

辺の比3つの角電験で出る形
3:4:5直角と、ほかの2つ抵抗3 Ωとリアクタンス4 Ωで5 Ω
1:1:√245°・45°・90°同じ大きさで直角の2つの矢印の合成
1:√3:230°・60°・90°三相の√3倍や、30°の力率(りきりつ)

直角三角形では、斜辺の2乗が、ほかの2辺の2乗の和に等しくなります(三平方の定理(さんへいほうのていり))。斜辺の長さは、その和の平方根(へいほうこん)です。

言葉の式 合成の大きさ = √(横² + 縦²)

A=a2+b2

A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)

言葉の式 インピーダンス = √(抵抗² + リアクタンス²)(Z² = R² + X²)

Z=R2+X2

Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 X:リアクタンス(まとめた値)〔Ω〕

  • √9は、2乗すると9になる正の数で、3です。√2は約1.414、√3は約1.732です。
  • 直角三角形の3つの辺のうち、直角の向かいにあるいちばん長い辺が斜辺です。
  • 斜辺と1辺が分かれば、残りの辺は「斜辺の2乗−分かっている辺の2乗」の平方根です。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:抵抗3 Ωとリアクタンス4 Ωの直列のインピーダンスです。
Z=(3 Ω)2+(4 Ω)2=5 Ω
  • 例2:6 Ωと8 Ωなら、6×6+8×8=100で、√100=10 Ωです。3:4:5の2倍の形です。
  • 例3:斜辺が10、1辺が8なら、残りの辺は10×10−8×8=36の平方根で、6です。
  • 間違えやすい所:√(9+16)を√9+√16=7とする。先に足してから平方根を取るので、5です。

三角比とラジアン ── sin・cos・tan は辺の比、角は弧の長さでも測る

三角比とラジアン:半径1の円で角30°の矢印の先の高さはsin30°=0.5、横はcos30°≒0.866で、弧の長さπ/6がその角のラジアン
三角比(さんかくひ)辺の比30°・45°・60°の値
sin(サイン)高さ÷斜辺0.5・約0.707・約0.866
cos(コサイン)底辺÷斜辺約0.866・約0.707・0.5
tan(タンジェント)高さ÷底辺約0.577・1・約1.732
度ラジアン(らじあん)円の上では
360°2π rad1周
180°π rad半周
90°π/2 rad4分の1周
30°π/6 rad12分の1周

三角比は、直角三角形の辺の比です。角は、半径1の円の弧の長さ(ラジアン)でも測ります。

言葉の式 角周波数 = 2π × 周波数

ω=2πf

ω:角周波数〔rad/s〕 f:周波数〔Hz〕

  • π(パイ)は円周率で、約3.14です。半径1の円の周の長さは2πなので、1周の角を弧の長さで2π radと数えます。
  • 1秒あたりに回る角が角速度(かくそくど)です。1秒にf回まわれば、1秒に回る角は2πのf倍です。交流では角周波数(かくしゅうはすう)と呼びます。
  • 半径1の円で角を回すと、矢印の先の高さがsin、横の位置がcosになります。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:斜辺10 Aの電流の矢印が、横の軸から30°傾いています。横の成分は10×cos30°で約8.66 A、縦の成分は10×sin30°で5 Aです。
  • 例2:50 Hz(ヘルツ)の角周波数です。
ω=2π×50 Hz=314.2 rad/s
  • 間違えやすい所:sinとcosを逆にする。cosは角に接する底辺の側、sinは角の向かいの高さの側です。
  • 間違えやすい所:π/6 radを6°と読む。πが180°なので、30°です。

ベクトル ── 矢印は向きと長さ、足し算は矢印をつなげて描く

ベクトルの足し算:大きさ10 Nで60°の2つの力は、矢印をつなげても平行四辺形を描いても同じ約17.3 Nの矢印になり、長さの和20 Nにはならない
比べることベクトル(べくとる)スカラ(すから)
持つもの大きさと向き大きさだけ
例力・電界・交流の電圧の矢印抵抗・電荷・エネルギー
足し算矢印をつなげて描く数をそのまま足す

ベクトルの足し算は、1本目の矢印の先に2本目の根元をつなぎ、始点から終点へ引いた矢印が答えです。2本で平行四辺形を描き、対角線を引いても同じ答えになります。

A=a2+b2

言葉の式 tan φ = 縦 ÷ 横

tanφ=ba

φ:矢印の角度(偏角・位相角)〔rad〕 a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)

言葉の式 合成の大きさ = 2 × 1つ分の大きさ × cos(挟む角 ÷ 2)

F′=2Fcos⁡(θ2)

F′:合成後の大きさ(合力・合成磁界・合成電界など。単位は合成する量と同じ) F:1つ分の大きさ(力〔N〕・磁界〔A/m〕・電界〔V/m〕など) θ:2つのベクトルが挟む角〔rad〕

  • 直角に交わる2本の矢印なら、合成の大きさは三平方の定理、向きはtanで出せます。
  • 向きの違う矢印の合成は、長さの和より短くなります。長さの和に等しいのは、向きがそろうときだけです。
  • 引き算は、引く矢印の向きを逆にしてから足します。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:横に3、縦に4の矢印を足します。
A=32+42=5

A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)

  • 向きは、横の軸からの角のtanが4÷3で、約1.33です。
  • 例2:大きさ10 Nの2つの力が、60°の角で働きます。
  • 合成の大きさは、2×10×cos30°で約17.3 Nです。cosに入れるのは、挟む角の半分です。
  • 間違えやすい所:向きの違う矢印の長さを、そのまま3+4=7と足す。

複素数 ── 矢印を横と縦の2つの数で書き、j を掛けると90°回る

複素数の矢印:3+j4は横3・縦4の矢印で、jを掛けるたびに長さ5のまま反時計回りに90°回り、−4+j3、−3−j4、4−j3になる
掛ける数矢印の回り方1の矢印が向かう先
j反時計回りに90°真上(j)
j×j180°(向きが逆)真左(−1)
−j時計回りに90°真下(−j)

複素数(ふくそすう)は、矢印を横の数(実部(じつぶ))と縦の数(虚部(きょぶ))の組で書いたものです。jを掛けると、矢印は反時計回りに90°回ります。

言葉の式 インピーダンス = 抵抗 + j × リアクタンス

Z˙=R+jX

Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 X:リアクタンス〔Ω〕 j:虚数単位

A=a2+b2
  • jは虚数単位(きょすうたんい)です。電気では、電流のiと紛れないようにjと書きます。
  • jを2回掛けると180°回り、矢印の向きが逆になります。だからj×jは−1です。
  • 横に実部、縦に虚部をとった平面が複素平面(ふくそへいめん)です。矢印の長さが絶対値(ぜったいち)です。

電験で使う所

  • 記号法:コイルの電圧が電流より90°進むことを、jを掛けて表す
  • ブリッジの平衡:交流のブリッジで、実部どうし・虚部どうしを等しくおく

計算の型

  • 例1:3+j4の大きさは、横3・縦4の矢印の長さです。
A=32+42=5

A:合成の大きさ(複素数・ベクトルの絶対値) a:横の成分(実部) b:縦の成分(虚部)

  • 例2:足し算は、実部どうし・虚部どうしを足します。(3+j4)+(1−j2)は4+j2です。
  • 例3:3+j4にjを掛けると、j3+j×j4で、−4+j3です。大きさは5のまま、矢印が90°回りました。
  • 間違えやすい所:j×jを+1とする。−1なので、実部の符号が変わります。

正弦波のグラフ ── 高さの最大が最大値、山から山までが周期、ずれが位相

正弦波のグラフ:回る矢印の先の高さを時間に沿って写すと正弦波になり、矢印の長さが最大値、1回転が周期で、右にずれた波が遅れ
グラフで読む所量記号と単位
山のいちばん高い所最大値(さいだいち)Vm〔V〕
山から次の山まで周期(しゅうき)T〔s〕
1秒間に繰り返す波の数周波数(しゅうはすう)f〔Hz〕
ある瞬間の高さ瞬時値(しゅんじち)v〔V〕
2つの波の山のずれ位相差(いそうさ)φ〔rad〕

正弦波(せいげんは)は、回る矢印の先の高さを、時間に沿って描いた波です。2つの波では、先に山が来るほうが位相が進んでいます。

言葉の式 周波数 = 1 ÷ 周期

f=1T

f:周波数〔Hz〕 T:周期〔s〕

言葉の式 瞬時値 = 最大値 × sin(角周波数 × 時間)

v=Vmsinωt

v:瞬時値〔V〕 Vm:最大値〔V〕 ω:角周波数〔rad/s〕 t:時間〔s〕

  • 矢印が1周すると、波は山と谷を1回ずつ通って元に戻ります。この時間が周期です。
  • 横軸が時間なので、左(早い時刻)に山がある波が進み、右に山がある波が遅れです。
  • φ(ファイ)は位相のずれの角です。1周期のずれが2π radに当たります。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:周期が20 msの波の周波数です。
f=120 ms=50 Hz
  • 例2:50 Hzの波で、山の頂上は周期20 msの4分の1の5 msです。矢印が90°(π/2 rad)回った所です。
  • 間違えやすい所:山から谷までを周期とする。周期は、山から次の山までです。
  • 間違えやすい所:右に山がある波を進みとする。後から山が来る波は遅れです。

指数関数と ε ── 同じ時間ごとに同じ割合で減り、時定数で約37 %になる

指数関数の減り方:時定数1つ分ごとに0.368倍ずつ減って0.368・0.135・0.050になり、充電は時定数1つ分で約63.2%まで上がる
経過時間放電の電圧(はじめを1)充電の電圧(最終値を1)
010
時定数の1倍約0.368約0.632
時定数の2倍約0.135約0.865
時定数の3倍約0.050約0.950
時定数の5倍約0.007約0.993

指数関数(しすうかんすう)は、同じ時間ごとに同じ割合で増えたり減ったりする変化です。時定数1つ分で、放電は約36.8%に減り、充電は約63.2%まで進みます。

言葉の式 時定数 = 抵抗 × 静電容量

τ=RC

τ:時定数〔s〕 R:抵抗〔Ω〕 C:静電容量〔F〕

言葉の式 コンデンサの電圧 = 放電前の電圧 × ε の −t/τ 乗

vC=Eε−tτ

vC:コンデンサの電圧〔V〕 E:放電の始めの電圧(充電が終わったときの電源電圧)〔V〕 t:放電を始めてからの時間〔s〕 τ:時定数〔s〕 ε:ネイピア数(自然対数の底、約 2.718。e とも書く)

言葉の式 コンデンサの電圧 = 電源電圧 ×(1 − ε の −t/τ 乗)

vC=E(1−ε−tτ)

vC:コンデンサの電圧〔V〕 E:電源電圧〔V〕 t:スイッチを入れてからの時間〔s〕 τ:時定数〔s〕 ε:ネイピア数(自然対数の底、約 2.718。e とも書く)

  • 例えば1秒ごとに半分になる量は、100、50、25、12.5と減ります。引く量は減っても、割合は同じままです。
  • ネイピア数(ねいぴあすう)は約2.718の数です。教科書では、電圧のeと紛れないようにε(イプシロン)と書きます。eとも書きます。この記事の式もεで書きます。
  • 式のεの右肩には、経過時間を時定数で割った数が、負の符号付きで入ります。時定数1つ分たつごとに0.368倍(1÷2.718)になる、という意味です。
  • 時定数の記号τは、タウと読みます。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:100 Vに充電したコンデンサを放電します。時定数は2 sで、4 s後の電圧を出します。
  • 4 sは時定数の2倍なので、100に0.368を2回掛けて、約13.5 Vです。
vC=100 V×ε−4 s2 s=13.53 V
  • 例2:同じ回路を100 Vで充電すると、2 s(時定数1つ分)後は約63.2 Vです。
vC=100 V×(1−ε−2 s2 s)=63.21 V
  • 間違えやすい所:放電で時定数1つ分たつと0.632倍とする。0.632は充電で届く割合で、放電は0.368倍です。
  • 間違えやすい所:時定数2つ分を0.368の2倍(0.736)とする。0.368を2回掛けて、約0.135です。

対数とデシベル ── 対数は桁を数える道具、電力が10倍なら10 dB

比(倍)電力の比のとき電圧・電流の比のとき
10 dB0 dB
2約3 dB約6 dB
1010 dB20 dB
10020 dB40 dB
100030 dB60 dB

常用対数(じょうようたいすう)は、10を何乗すればその数になるかを表す数です。dB(デシベル)は、電力の比なら常用対数の10倍、電圧・電流の比なら20倍です。

言葉の式 電圧利得[dB] = 20 × log10(電圧増幅度)(常用対数の20倍)

G=20log10Av

G:電圧利得〔dB〕 Av:電圧増幅度〔倍〕 log10:常用対数

  • 100は10の2乗なので、100の常用対数は2です。1000なら3、10なら1、1なら0です。
  • 掛け算は、常用対数では足し算に変わります。増幅器を続けてつなぐと、倍率は掛け算、dBは足し算です。
  • 同じ抵抗で比べると、電力は電圧の2乗に比例します。電圧が10倍なら電力は100倍で、どちらで数えても20 dBになるように、電圧には20倍を使います。
  • 電力の比をdBにする式(電力の比の常用対数の10倍)も、同じ考え方です。2の常用対数は約0.301なので、電力2倍は約3 dBです。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:電圧増幅度が100倍の増幅器の電圧利得です。100の常用対数は2なので、20×2=40 dBです。
  • 例2:電力が1000倍になる増幅器です。1000は10の3乗なので、3の10倍で30 dBです。
  • 例3:電圧利得20 dBの増幅器を2段つなぐと、20+20=40 dBです。倍率は10倍の2回掛けで100倍です。
  • 間違えやすい所:電圧の比に10倍を使う。電圧・電流は20倍、電力は10倍です。
  • 間違えやすい所:2段の利得を20×20=400 dBとする。dBは足し算です。

変化の割合 ── グラフの傾きが、1秒あたりにどれだけ変わるか

変化の割合:電流が0.2 sで4 A増える区間は傾き20 A/sで0.5 Hのコイルに10 V、電流が一定の区間は傾き0で0 V、減る区間は向きが逆の起電力
電流のグラフの形傾き(変化の割合)コイルに生じる起電力(きでんりょく)
右上がりの直線正で一定一定の大きさ
水平な直線00
右下がりの直線負で一定一定の大きさで、向きが逆
曲線場所ごとに違う傾きが急な所ほど大きい

変化の割合は「変わった量÷かかった時間」で、グラフの傾きです。傾きが0の所では、変化で生じる誘導起電力(ゆうどうきでんりょく)も0です。

言葉の式 誘導起電力の大きさ = 自己インダクタンス × 電流の変化 ÷ かかった時間

e=LΔIΔt

e:自己誘導起電力(コイルの端子電圧の大きさ)〔V〕 L:自己インダクタンス〔H〕 ΔI:電流の変化〔A〕 Δt:電流の変化にかかった時間〔s〕

言葉の式 誘導起電力の大きさ = 巻数 × 磁束の変化 ÷ かかった時間

e=NΔΦΔt

e:誘導起電力(大きさ)〔V〕 N:コイルの巻数〔回〕 ΔΦ:コイルを貫く磁束の変化〔Wb〕 Δt:磁束の変化にかかった時間〔s〕

  • 直線なら、どこで測っても傾きは同じです。曲線では、その点にちょうど触れるように引いた直線の傾きを使います。
  • 起電力を決めるのは、電流や磁束(じそく)の大きさではなく、その傾きです。大きくても変わらなければ、起電力は0です。
  • 傾きの単位は「縦の単位÷横の単位」です。電流と時間ならA/s(1秒あたりのアンペア)です。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:コイルの電流が、0.2 sの間に0 Aから4 Aまで直線で増えます。傾きは4÷0.2で、1秒あたり20 Aです。
  • 自己インダクタンスが0.5 H(ヘンリー)なら、起電力は次のとおりです。
e=0.5 H×4 A0.2 s=10 V
  • 例2:その後、電流が4 Aのまま続く間は、傾きが0なので起電力も0です。
  • 間違えやすい所:電流がいちばん大きい所で、起電力もいちばん大きいと読む。大きいのは傾きが急な所です。

グラフの面積 ── 電流のグラフの下の面積が電荷、ためた量は面積で読む

グラフの面積:2 Aを3 s流した長方形の面積が電荷6 C、10 μFを100 Vまで充電した電荷と電圧の三角形の面積が静電エネルギー0.05 Jで、長方形の半分
縦軸横軸グラフの下の面積
電流〔A〕時間〔s〕電荷(でんか)〔C〕
電力〔W〕時間〔s〕電力量(でんりょくりょう)〔W·s〕
電圧〔V〕ためた電荷〔C〕静電エネルギー(せいでんえねるぎー)〔J〕

縦軸×横軸が意味を持つグラフでは、グラフの下の面積が、ためた量になります。電荷と電圧が比例して増えるときは三角形なので、ためたエネルギーは長方形の半分です。

言葉の式 電力量 = 電力 × 時間

W=Pt

W:電力量〔W·s〕 P:電力〔W〕 t:時間〔s〕

言葉の式 静電エネルギー = ½ × 電荷 × 電圧 = ½ × 静電容量 × 電圧² = 電荷² ÷(2 × 静電容量)

W=12QV=12CV2=Q22C

W:静電エネルギー〔J〕 C:静電容量〔F〕 V:極板間の電圧〔V〕 Q:蓄えられた電荷〔C〕

言葉の式 電磁エネルギー = ½ × 自己インダクタンス × 電流²

W=12LI2

W:電磁エネルギー〔J〕 L:自己インダクタンス〔H〕 I:電流〔A〕

  • 一定の電流なら、グラフは長方形で、電荷は電流×時間です。電流が変わるときも、面積を数えれば電荷が分かります。
  • コンデンサは0 Vから充電されます。電圧が0から直線で上がるので、面積は三角形になり、½が付きます。
  • 波の平均値(へいきんち)は、面積を時間で割った高さです。面積を同じにならした長方形の高さ、と考えます。

電験で使う所

計算の型

  • 例1:2 Aの電流を3 s流すと、長方形の面積で2×3=6 Cです。
  • 例2:10 μFのコンデンサを100 Vまで充電したときのエネルギーです。
W=12×10 μF×(100 V)2=0.05 J
  • 例3:高さ10 Vが2 msだけ続き、周期が5 msの方形波です。平均値は面積を周期で割った高さです。
Vav=10 V×2 ms5 ms=4 V

Vav:平均値〔V〕 H:方形波の高さ〔V〕 ton:高さが続く時間〔s〕 T:周期〔s〕

  • 間違えやすい所:静電エネルギーを電荷×電圧として、½を忘れる。

まとめ

比は何倍かを表し、計算の前に接頭語を10の何乗にそろえ、式は両辺に同じ操作をして解きます。

直角三角形は三平方とsin・cos・tanで解き、矢印と複素数で交流の電圧と電流を足します。

指数のカーブは時定数ごとに同じ割合で変わり、変化の割合は傾き、ためた量は面積で読みます。

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参考文献

  • 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 交流回路の章(複素数と極座標表示)・過渡現象の章 Amazonで見る
  • 高木 茂孝・堀 桂太郎『First Stage シリーズ 新訂電子回路概論』実教出版 第2章(増幅度と利得) Amazonで見る
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH04 交流回路の章(SEC05 記号法による解析) 最新版をAmazonで見る

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