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重要度:△ 出題は少なめですが土台の論点です(市販問題集の頻出印はなく、公式公開問題でも見当たりません。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月23日
ガソリンを入れるとき、においは顔の高さより足元のほうに残ります。液から出た蒸気が、空気より重くて下へ流れるからです。危険物乙4では、この重さを比重(ひじゅう)と蒸気比重(じょうきひじゅう)という2つの物差しで表します。
この記事でわかること
- 比重と蒸気比重が、それぞれ何と比べた値なのか
- 数字が1より大きいか小さいかで、沈むか浮くかを読む方法
- 試験で狙われる「基準のすり替え」と「大小の逆転」
比重は同じ体積の水と、蒸気比重は同じ体積の空気と比べた重さです。
どちらも1より大きければ重いので、液は水に沈み、蒸気は低い所へたまります。
ガソリンは液の比重が1より小さく、蒸気比重は1より大きいので、液は水に浮き、蒸気は足元にたまります。
まず場面で:ガソリンの蒸気は足元を流れる
セルフスタンドで給油すると、給油口のまわりにガソリンのにおいがします。においのもとは、液から出た燃える蒸気で、可燃性蒸気(かねんせいじょうき)と呼びます。この蒸気は、上へ逃げずに地面に沿って広がります。

床の排水溝やピットのように低い所があると、蒸気はそこへ流れ込んでたまります。低い所を伝って、思ったより遠くまで流れることもあります。たまった蒸気が燃焼範囲(ねんしょうはんい)の濃さになれば、小さな火花でも引火(いんか)します。
一方で、こぼれたガソリンに水をかけると、ガソリンは水の上に浮きます。液は水より軽く、蒸気は空気より重い、という2つの向きを分けて覚えます。 この2つを表す物差しが、比重と蒸気比重です。
比重と蒸気比重は「何と比べるか」が違う
比重とは、ある物の重さを、同じ体積の水の重さと比べた値のことです。基準にする水は、密度がいちばん大きくなる温度の水と決まっています。比重は重さの比なので、単位はありません。
比重が1より大きい液は、水に溶けなければ水に沈みます。1より小さい液は、水に溶けなければ水に浮きます。ガソリンは比重が1より小さいので、水に浮きます。

水に沈む第4類(だいよんるい)の例が、二硫化炭素です。二硫化炭素は水より重く水に溶けにくいので、水を張って保管します。くわしくは特殊引火物(とくしゅいんかぶつ)の記事で扱います。
蒸気比重とは、ある気体や蒸気の重さを、同じ体積の空気の重さと比べた値のことです。比重は水と比べ、蒸気比重は空気と比べます。 同じ「比重」という言葉でも、比べる相手が違います。
蒸気比重が1より大きい蒸気は、空気の中で下へ沈み、低い所にたまります。1より小さい気体は、上へのぼっていきます。第4類の危険物(きけんぶつ)の蒸気比重は、すべて1より大きい値です。
お風呂の水に浮くアヒルのおもちゃと、沈む石を思い浮かべてください。比重は「水のお風呂」、蒸気比重は「空気のお風呂」で浮くか沈むかを見る物差しです。正確には、比重は同じ体積の水の重さとの比、蒸気比重は同じ体積の空気の重さとの比です。
比重が同じ2つの物は、同じ体積なら同じ重さになります。反対に、体積が同じでも比重が違えば、重さは違います。比重の数字は、物どうしの重さを同じ体積で比べるための目盛りです。
覚える言葉と数字はこれだけ:1より大きいか小さいか
覚えるのは、2つの物差しの比べる相手と、1を境にした向きです。数字そのものより、1より大きいか小さいかが答えを決めます。
| 物差し | 1より大きい | 1より小さい |
|---|---|---|
| 比重(水と比べる) | 水に沈む | 水に浮く |
| 蒸気比重(空気と比べる) | 低い所へたまる | 高い所へのぼる |
水に溶ける液は、比重が1より小さくても水に浮かず、水と混ざります。 浮くか沈むかの判定は、水に溶けない液にだけ使えます。
数字で覚えるのは、ガソリンの蒸気比重の3〜4だけです。空気の3〜4倍の重さの蒸気なので、低い所にたまり、遠くまで流れます。
ここは覚えなくていい
基準にする水や空気の温度・圧力の条件は、覚えなくてかまいません。蒸気比重を分子量から計算する方法は、この記事では扱いません。
蒸気比重を分子量から求める計算は、物理・化学のモルと分子量の記事で扱います。
試験ではこう聞かれる:蒸気比重の基準を水にすり替える形
1つめは、基準のすり替えです。「蒸気比重は、蒸気の重さを水の重さと比べた値である」は誤りです。蒸気比重の基準は空気で、水と比べるのは液の比重です。
2つめは、大小の向きの逆転です。「蒸気比重が1より大きい蒸気は、高い所にたまる」は誤りです。1より大きいのは重い蒸気なので、低い所にたまります。
3つめは、同じ体積の重さを問う形です。「比重が同じなら、同じ体積の物の重さは同じ」は正しい文です。「体積が同じなら重さも同じ」は、比重が違えば成り立たないので誤りです。
4つめは、水に溶ける液を混ぜる形です。「比重が1より小さい液は、すべて水に浮く」は誤りです。アルコールのように水に溶ける液は、浮かずに水と混ざります。
工場・現場ではこうなる:ガス検知器の高さを蒸気比重で決める
化学プラントでは、漏れを見張るガス検知器の高さを、ねらうガスが空気より重いか軽いかで変えます。溶剤やガソリンのように空気より重い蒸気は床の近くに、空気より軽い水素やメタンは天井の近くに付けます。排水の出口に油を浮かせて分ける槽を置くのも、多くの油の比重が1より小さいことを使った設備です。
確認問題
問1 比重が0.7の液体は、同じ体積の水より軽い。
答え:○
根拠:液体の比重は水を1とした重さの比で、1より小さければ同じ体積の水より軽くなります。
なぜか:比重0.7は、同じ体積の水の0.7倍の重さという意味です。水より軽いので、水に溶けなければ水に浮きます。
狙われる形:比重が1より小さいのに「水より重い」と答えさせる形で出ます。
問2 蒸気比重(じょうきひじゅう)は、蒸気の重さを同じ体積の水の重さと比べた値である。
答え:×
訂正:蒸気比重は、蒸気の重さを同じ体積の空気の重さと比べた値である。
根拠:液体の比重は水を、蒸気比重は空気を基準にして比べます。
なぜか:蒸気比重は、空気(1気圧・0℃)を1として蒸気の重さを表します。1より大きい蒸気は空気より重く、低い所へ流れます。
狙われる形:「比重」と「蒸気比重」の基準を入れかえた形で出ます。
問3 空気に出たメタンは、蒸気比重が1より小さいので上へ広がっていく。
答え:○
根拠:気体が上へ行くか低い所へたまるかは、同じ体積の空気と比べた重さで決まります。
なぜか:メタンは、同じ体積の空気より軽い気体です。ガソリンの蒸気のように空気より重いものは、反対に床の近くへたまります。
狙われる形:空気より軽い気体と重い蒸気の動き方を入れかえた形で出ます。
まとめ
液の重さは同じ体積の水と比べた比重で、蒸気の重さは同じ体積の空気と比べた蒸気比重で表します。どちらも1より大きいと重く、液は水に沈み、蒸気は低い所にたまります。ガソリンは液が水に浮き、蒸気は3〜4倍の重さで足元を流れます。
次に読む
沸点と蒸気圧:山の上で低い温度で沸く理由と引火とのつながり
参考文献
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-14 比重と蒸気比重、3-2 第4類危険物の性状(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、1-1 共通の予備知識 Amazonで見る
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