※本記事の参考文献には、Amazonアソシエイトのリンク(アフィリエイト広告)を含みます。
重要度:○ 押さえておきたい論点です
最終確認:2026年9月24日
酸(さん)と塩基(えんき)は、名前の似た酸化(さんか)とは別の、水素イオンのやりとりの話です。危険物乙4では、2つの見分け方、pH(ピーエイチ)の数字の向き、中和(ちゅうわ)が問われます。
酸と塩基 ── 水素イオンを出すか受け取るか
| 種類 | 何をする物か | 例 |
|---|---|---|
| 酸 | 水に溶けて水素イオンを出す、相手に水素イオンを与える | 塩酸など |
| 塩基 | 水に溶けて水酸化物イオンを出す、相手から水素イオンを受け取る | 水酸化ナトリウムなど |
酸は、水に溶けると水素イオンを出す物です。塩基は、水に溶けると水酸化物イオンを出す物、または相手から水素イオンを受け取る物です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 酸の定義を「水中で水酸化物イオンを出す物」とする | × | それは塩基。酸は水素イオンを出す |
| 水素イオンをもらう側の物は、塩基に入る | ○ | 水酸化物イオンを出す物だけではない |
| 「酸」の字のとおり、酸には必ず酸素原子がある | × | 塩酸は酸素を含まない |
水素イオンとは、プラスの電気を帯びた水素の粒のことです。酸の例は塩酸、硫酸(りゅうさん)、酢酸(さくさん)、塩基の例は水酸化ナトリウムや水酸化カリウムです。
酸は水素イオンを出す側、塩基は水素イオンを受け取る側と、向きを対にして覚えます。 水素イオンを受け取る物を酸の側に入れる文は誤りです。
塩酸は塩化水素の水溶液で、塩化水素は水素と塩素だけでできています。酸の性質のもとは水素イオンなので、塩酸のように酸素を含まない酸もあります。
- 塩基はアルカリとも呼ばれ、水に溶けた液の性質を塩基性(アルカリ性)といいます。
- 酸にはすっぱい味があり、亜鉛(あえん)などの金属と反応すると水素が出ます。酸と塩基が反応すると、塩(えん)と水ができます。どちらも最後の論点で見ます。
- 名前の似た酸化や還元(かんげん)は、酸素や電子のやりとりの話で、酸と塩基とは別です。
リトマス紙 ── 酸性は青色を赤色に、塩基性は赤色を青色に変える

酸性の液は青色リトマス紙を赤色に、塩基性の液は赤色リトマス紙を青色に変えます。変わったあとの色が赤なら酸性、青なら塩基性です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 赤い紙を青く変える液を、酸性と判定する | × | 赤→青は塩基性 |
| 塩基性の液につけると、青い紙が赤くなる | × | 青→赤は酸性 |
| 青い紙が赤く変われば、その液は酸性 | ○ | あとの色が赤なら酸性 |
リトマス紙は、液の性質によって色が変わる色素をしみこませた紙です。理科の実験で、青色のリトマス紙に食酢をつけると、赤色に変わります。食酢は、酢酸という酸を水にうすめた液です。
「青から赤」と変化の向きで覚えるより、変わったあとの色が赤なら酸性、青なら塩基性と覚えると迷いません。
覚え方:リトマスは「赤で酸、青で塩基」、あとの色だけ見る。
pH ── 7が中性、7より小さいと酸性で、小さいほど酸性が強い

pHは7が中性で、7より小さいと酸性、7より大きいと塩基性です。数字が小さいほど酸性が強く、大きいほど塩基性が強くなります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| pHが7を上回る液を、酸性とする | × | 7より小さい側が酸性 |
| pHの目盛りを14の側へ進むほど、酸性が強い | × | 大きいほど塩基性が強い |
| pHが1に近い液を、強い塩基性とする | × | 0に近いほど強い酸性 |
pHとは、水溶液が酸性か塩基性か、その度合いを表す数字のことで、ペーハーとも読みます。数字はふつう0から14の範囲で表し、7が境目です。
| pHの数字 | 性質 | 強さ |
|---|---|---|
| 7より小さい | 酸性 | 0に近いほど強い酸性 |
| 7 | 中性 | 酸性でも塩基性でもない |
| 7より大きい | 塩基性(アルカリ性) | 14に近いほど強い塩基性 |
塩酸はpHが7より小さく、水酸化ナトリウムの水溶液は7より大きくなります。純粋な水や、食塩水は中性です。7を少しだけ超える値は、中性に近い塩基性です。
pHの数字が小さいほど、液の中の水素イオンの濃さは高くなります。 数字が小さくなる向きと、水素イオンが増える向きが逆に見えるので、ここはひっかけになりやすい所です。
- 水素イオンの濃さからpHを求める計算は、危険物乙4では後回しでかまいません。
酸の反応と中和 ── 酸は亜鉛と反応して水素を出し、酸と塩基で塩と水ができる
| 反応 | 酸の相手 | できる物 |
|---|---|---|
| 金属との反応 | 亜鉛などの金属 | 水素(泡になって出る) |
| 中和 | 塩基 | 塩と水 |
酸は、亜鉛などの金属と反応して水素を出します。中和は、酸と塩基が反応してたがいの性質を打ち消し合い、塩と水ができる反応です。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| うすい酸に亜鉛を入れて出る泡は、酸素 | × | 出る気体は水素 |
| 酸と塩基を混ぜると、たがいの性質が強まる | × | 打ち消し合って塩と水ができる |
| 塩と水ができる酸と塩基の反応を、酸化や還元と呼ぶ | × | この反応の名前は中和 |
うすい硫酸や塩酸に亜鉛の粒を入れると、水素の泡が出ます。酸の中の水素イオンが亜鉛から電子を受け取って水素になり、亜鉛は溶けてイオンになります。
中和では、酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンが結びついて水になり、残ったイオンどうしが塩をつくります。塩酸と水酸化ナトリウムの水溶液を混ぜると、塩化ナトリウム(食塩)と水ができます。
中和では元とは別の物質ができるので、物理変化と化学変化でいう化学変化にあたります。酸と塩基は綱引きの両側のチームのようなもので、同じ力で引き合えば、どちらの勝ちでもなくなります。
化学プラントなどの工場では、塩酸や硫酸、水酸化ナトリウムの水溶液を、原料や洗浄の薬品として使います。酸性やアルカリ性の排水は、そのまま流さず、中和してから放流します。薬品を移し替えるときは、保護めがねや手袋を着け、液が肌や目にかからないようにします。
- 塩を正塩・酸性塩・塩基性塩に分ける分類や、塩が水に溶けて酸性や塩基性を示す加水分解(かすいぶんかい)のしくみは、覚えなくてかまいません。
確認問題
問1 青色のリトマス紙が赤く変われば、その水溶液は酸性だとわかる。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:○
根拠:酸性の水溶液は青色のリトマス紙を赤色に、塩基性の水溶液は赤色のリトマス紙を青色に変えます。
なぜか:リトマス紙は、液の性質によって色が変わる色素をしみこませた紙です。変わった後の色が赤なら酸性、青なら塩基性です。
狙われる形:酸性と塩基性で、リトマス紙の色の変わり方を入れかえた形で出ます。
問2 pHの数値が小さい水溶液ほど、塩基性(えんきせい)が強い。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:×
訂正:pHの数値が小さいほど酸性が強く、塩基性が強いのはpHの数値が大きい水溶液である。
根拠:pHは7を境に、小さい側が酸性、大きい側が塩基性です。
なぜか:pHは、水溶液の中の水素イオンが多いほど小さい数になります。水素イオンが多いほど、酸性が強い液です。
狙われる形:pHの大小と、酸性・塩基性の向きを逆にした形で出ます。
問3 酸と塩基(えんき)を混ぜて中和(ちゅうわ)させると、酸と塩基の性質がたがいに強め合う。
答えと解説を見る ▼閉じる ▲
答え:×
訂正:中和では、酸と塩基がたがいの性質を打ち消し合い、塩と水ができる。
根拠:中和は、酸と塩基が反応して、塩(えん)と水ができる反応です。
なぜか:酸の水素イオンと塩基の水酸化物イオンが結びつくと、水になります。そのため、酸らしさと塩基らしさが打ち消されます。
狙われる形:中和の結果を「性質が強まる」「酸素ができる」などとすりかえた形で出ます。
まとめ
pHは0から14までの数字で、7が中性、7より小さいと酸性、大きいと塩基性です。酸は青色リトマス紙を赤に、塩基は赤色リトマス紙を青に変え、あとの色で見分けます。酸と塩基が反応して塩と水ができるのが中和で、別の物質ができる化学変化です。
次に読む
- 前に戻る:酸化と還元:燃焼もさびも同じ酸化、3つの定義を1つにまとめる
- 次へ進む:反応の速さ・触媒・化学平衡:触媒は山を低くするだけ
- もっと詳しく(甲種レベル):酸・塩基と酸化還元・電池:計算と極性を整理
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-5 酸と塩基・中和・水素イオン指数(pH) Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-23 酸と塩基(アルカリ)(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム
PLANT NEWS ON NOTE
化学プラントニュース
化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。
noteで最新ニュースを読む ↗
化学プラント大全 
