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重要度:◎ よく問われます(市販問題集2冊の頻出印と論点の重みから。当サイトの判断)
最終確認:2026年9月22日
ガソリンの携行缶のふたを開けると、つんとした蒸気のにおいがします。この蒸気は、濃ければ濃いほど燃えやすいわけではありません。危険物乙4では、蒸気が燃えられる濃さの幅を燃焼範囲(ねんしょうはんい)と呼び、vol%(ボリュームパーセント)で表します。
この記事でわかること
- 蒸気は薄すぎても濃すぎても燃えない理由
- 燃える濃さの下の端と、燃え始める温度とのつながり
- 蒸気の濃さを3ステップで計算する方法
蒸気は、燃焼範囲の中の濃さのときだけ、火を近づけると燃えます。
燃焼範囲が広いほど、また下の端の濃さが低いほど、危険です。
濃さは「蒸気÷(空気+蒸気)×100」で求めます。
蒸気は薄すぎても濃すぎても燃えない(燃焼範囲)
燃焼範囲とは、空気と混ざった蒸気が、火を近づけると燃えられる濃さの幅のことです。蒸気が薄すぎると、燃える物が足りずに燃えません。濃すぎると、今度は酸素が足りずに燃えません。
燃焼範囲は、ごはんを炊くときの水加減に似ています。水が少なすぎても多すぎても、ふっくらとは炊けません。正確には、燃焼範囲は、空気と蒸気を混ぜた気体のうち、蒸気が占める体積の割合の幅です。
濃さの薄いほうの端を下限界(かげんかい)、濃いほうの端を上限界(じょうげんかい)といいます。ガソリンの下限界は1.4 vol%です。上限界は7.6 vol%です。

| 物質 | 燃焼範囲(vol%) |
|---|---|
| ガソリン | 1.4〜7.6 |
| 灯油 | 1.1〜6.0 |
| ジエチルエーテル | 1.9〜36 |
| エタノール | 3.3〜19 |
濃いほど危ないのではなく、燃焼範囲に入っているかどうかが分かれ目です。 範囲が広い物ほど、燃える濃さになる場面が増えます。下限界が低い物ほど、少しの蒸気で燃える濃さに届きます。
ここは覚えなくていい
ガソリン以外の数値は、この記事では覚えなくてかまいません。ジエチルエーテルの範囲がとても広いことだけ、名前と組にしておけば足ります。燃焼範囲が温度や圧力で変わることも、いまは深追いしなくて大丈夫です。
燃焼範囲の下限界は、液体の引火点(いんかてん)とも結びついています。次の見出しで、液温と蒸気の濃さのつながりを見ます。
引火点は「下限界の濃さの蒸気が出る液温」
液体の温度が上がると、液面から出る蒸気が増え、液面の上の蒸気は濃くなります。温度が低いうちは、蒸気が薄すぎて燃焼範囲に届きません。蒸気の濃さがちょうど下限界に届いたときの液温が、引火点です。

引火点とは、火を近づけたときに燃え始める、いちばん低い液温のことです。言いかえると、液面の上の蒸気の濃さが下限界になる液温です。ガソリンの引火点は−40℃以下(マイナス40度以下)なので、冬でも液面の上には下限界を超える濃さの蒸気が出ています。
引火点より液温が高くても、蒸気が上限界を超えるほど濃ければ、その場では燃えません。 ただし、それは安全という意味ではありません。空気が入って薄まれば、すぐに燃焼範囲に入ります。
解き方の手順(3ステップ):vol%の計算
vol%とは、混ざった気体全体の体積のうち、ある気体が占める割合を百分率で表したものです。蒸気の濃さは、次の3ステップで求めます。
- ステップ1:蒸気の体積と、空気の体積を書き出す
- ステップ2:分母は「空気+蒸気」、つまり混ざった気体全体にする
- ステップ3:蒸気÷全体×100を計算し、燃焼範囲と比べる
例題1は、空気98 Lにガソリンの蒸気2 Lが混ざっている場合です。
- ステップ1:蒸気2 L、空気98 L
- ステップ2:全体=98 L+2 L=100 L
- ステップ3:2 L÷100 L×100=2 vol%
2 vol%は、ガソリンの燃焼範囲の中にあります。この混ざった気体は、火を近づけると燃えます。
例題2は、空気116 Lにガソリンの蒸気9 Lが混ざっている場合です。
- ステップ1:蒸気9 L、空気116 L
- ステップ2:全体=116 L+9 L=125 L
- ステップ3:9 L÷125 L×100=7.2 vol%
7.2 vol%は、ガソリンの上限界より低く、燃焼範囲の中にあります。この混ざった気体は、火を近づけると燃えます。
ここで分母を空気の116 Lだけにすると、約7.8 vol%になり、上限界を超えたように見えてしまいます。ステップ2を飛ばすと、燃える・燃えないの答えが逆になることがあります。
試験ではこう聞かれる:「濃いほど燃えやすい」は誤り
1つめは、定義のすり替えです。燃焼範囲を「燃えるのに必要な酸素の量の範囲」や「燃えて被害が出る範囲」と書いた文は誤りです。燃焼範囲は、空気と混ざった蒸気の濃さの範囲です。
2つめは、引火点とのつなぎ方です。「引火点は、上限界の濃さの蒸気が出る液温」は誤りです。引火点につながるのは、薄いほうの端の下限界です。
3つめは、計算の分母です。「100 Lの容器に空気と蒸気が入っている」なら、全体は容器の大きさのままです。「空気に蒸気を混ぜる」なら、全体は空気と蒸気を足した量になります。
分母に蒸気の体積を入れ忘れると、濃さを大きく見積もってしまいます。 問題文が「全体の量」を言っているのか、「空気の量」を言っているのかを先に確かめます。
工場・現場ではこうなる:タンクの中で火を使う前のガス検知
タンクや槽の中で溶接などの火を使う工事をする前には、ガス検知器で中の蒸気の濃さを測ります。検知器の多くは、蒸気の濃さを下限界に対する割合で表示します。上限界を超える濃い状態でも、空気が入れば燃焼範囲に入るので、安全とはみなしません。
確認問題
問1 可燃性蒸気(かねんせいじょうき)が空気の中で燃えられる、蒸気の濃さの幅を燃焼範囲という。
答え:○
根拠:燃焼範囲は、空気と混ざった蒸気が燃えられる濃さの幅です。
なぜか:燃焼範囲は「濃さ」の幅です。温度や距離の幅ではありません。
狙われる形:燃焼範囲を温度の範囲や広さ(面積)の話にすり替えた形で出ます。
問2 可燃性蒸気は、濃ければ濃いほど燃えやすく、濃すぎて燃えなくなることはない。
答え:×
訂正:可燃性蒸気は、上限界を超えるほど濃くなると酸素が足りず、燃えなくなる。
根拠:燃焼範囲には下限界と上限界があり、上限界を超えると酸素が足りません。
なぜか:蒸気が濃くなるほど、同じ体積の中の空気が減ります。上限界を超えると酸素が足りず、火を近づけても燃えません。
狙われる形:上限界の存在を消して「濃いほど危険」と言い切る形で出ます。
問3 空気37Lにガソリン蒸気3Lを混ぜた混合気は、ガソリンの燃焼範囲に入る。
答え:○
根拠:空気37Lと蒸気3Lの混合気の濃さは3÷40=7.5vol%で、ガソリンの燃焼範囲1.4〜7.6vol%に入ります。
なぜか:混合気全体は37+3=40Lで、蒸気は3Lなので7.5vol%です。ガソリンの燃焼範囲1.4〜7.6vol%の中にあります。3÷37で計算すると約8.1vol%になり、範囲の外だと誤って答えてしまいます。
狙われる形:分母を空気の37Lにして、3÷37で計算させる形で出ます。
まとめ
蒸気は、燃焼範囲の中の濃さのときだけ燃え、薄すぎても濃すぎても燃えません。燃焼範囲の薄いほうの端の濃さになる液温が、引火点です。濃さを計算するときは、分母に空気と蒸気の両方を入れます。
次に読む
- 前に戻る:燃え始める温度の3つの違い:火を近づけるか、近づけないか
- 次へ進む:火の消し方の4つの方法を場面で覚える
- もっと詳しく(甲種レベル):燃え方と消し方の基礎
燃えやすさの条件:大きいほど危険・小さいほど危険を仕分ける
計算問題の5つの型:電卓なしで解ける型と算数のやり直し
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、3-3 危険物の燃焼特性 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、第2章 燃焼範囲(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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