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重要度:△ 後回しにしてよい計算の型です
最終確認:2026年9月24日
寒い朝に石油ストーブをたくと、灯油が燃えてできた水が水蒸気になり、窓ガラスがくもることがあります。危険物乙4では、この燃える反応を化学反応式に書いて係数(けいすう)を合わせ、必要な酸素の量を求める計算が出ます。
係数の付け方 ── 左辺と右辺で原子の種類ごとの数をそろえる

反応の前後で原子の数は変わらないので、係数は、矢印の左右で原子を種類ごとに数えて同じになるように付けます。燃焼(ねんしょう)の式は、炭素→水素→酸素の順に合わせると迷いません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 係数は、矢印の左右で分子の数がそろうように付ける | × | そろえるのは原子の種類ごとの数 |
| 水の係数を、燃える物の水素の数そのものにする | × | 水1個に水素は2個。Hの数を2で割る |
| 酸素の係数が半端なとき、燃える物の係数だけ整数にする | × | すべての係数に同じ数を掛ける |
化学反応式とは、反応する物質の化学式を左側に、できる物質の化学式を右側に書き、矢印で結んだ式です。反応では原子の組み合わせが変わるだけなので、左右で原子の種類ごとの数が等しくなります。
係数とは、左右の原子の数をそろえるために、化学式の前に付ける数です。係数はいちばん簡単な整数の比にし、1は書きません。
分子の数は、そろうとは限りません。2H2+O2→2H2Oでは、Hは左右とも4個、Oは左右とも2個でそろいます。一方、分子は左が2H2とO2で3個、右が2個で、数が変わります。
灯油やガソリンは、おもに炭素と水素でできています。完全燃焼(かんぜんねんしょう)すると、炭素は二酸化炭素に、水素は水になるので、燃焼の式の右側にはこの2つが並びます。
計算の型の中で、反応式の係数合わせは後回しにしてよい型です。どの型を先にやるかは、電卓なしで解ける計算の5つの型で見渡せます。
- ステップ1 炭素(C)を合わせる:燃える物のCの数を、二酸化炭素(CO2)の係数にする
- ステップ2 水素(H)を合わせる:Hの数を2で割って、水(H2O)の係数にする
- ステップ3 酸素(O)を合わせる:右側のOの数を数え、2で割って酸素(O2)の係数にする
例題1は、エチレン(C2H4)が完全燃焼する式です。
- 式の形 C2H4+□O2→□CO2+□H2O
- ステップ1 Cは2個なので、2CO2
- ステップ2 Hは4個で、H2Oの1個にHは2個なので、4÷2=2で2H2O
- ステップ3 右側のOは2CO2に2×2=4個、2H2Oに2×1=2個で合計6個なので、6÷2=3で3O2
- 答え C2H4+3O2→2CO2+2H2O(Cが2個、Hが4個、Oが6個で左右が等しい)
H2Oの1個にHが2個あることを忘れて4H2Oとすると、右側のOが8個になり、O2の係数が4にずれます。
例題2は、ブタン(C4H10)が完全燃焼する式です。
- ステップ1 Cは4個なので、4CO2
- ステップ2 Hは10個なので、10÷2=5で5H2O
- ステップ3 右側のOは4×2+5×1=13個で、13÷2は整数にならない
- 全体を2倍する 2C4H10+13O2→8CO2+10H2O(Cが8個、Hが20個、Oが26個で左右が等しい)
O2の係数が半端になり、整数にそろえたいときは、すべての係数を2倍します。 燃える物だけを2倍すると、左右の原子の数がまたずれます。
- 化学反応は、ブロックのおもちゃをばらして、別の形に組み立て直すようなものです。形は変わっても、使ったブロックの数と種類は同じで、そのため質量の合計も変わりません。
- 燃焼で出る熱を書き足した式は、熱化学方程式の読み方で扱います。燃える物の化学式から酸素の係数を一度に出す公式は、覚えなくてかまいません。
係数の比 ── 係数の比はmolの比

係数の比は、反応する物質量(mol)の比です。同じ温度・圧力の気体どうしなら体積の比にもなりますが、質量(g)の比にはなりません。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 係数の比を、反応する質量の比として使う | × | molの比。gにするには分子量を掛ける |
| 係数が同じ物どうしは、反応する質量も等しい | × | molは等しくても、質量は分子量しだい |
| 水素を燃やすには、水素と同じmolの酸素が要る | × | 係数を見る。酸素は水素の半分のmol |
| 温度・圧力をそろえた気体なら、係数から体積の比も読める | ○ | 分子の数の比が体積の比になるため |
係数は、その物質の分子がいくつ反応するか、molなら何molかの比を表します。水素の燃焼は2H2+O2→2H2Oです。
係数を読むと、水素2molに対して酸素は1molです。水素が4molなら、酸素はその半分の2molで足ります。
同じ温度・圧力の気体なら、同じ体積に同じ数の分子が入ります(アボガドロの法則)。分子の数の比である係数の比は、温度と圧力をそろえた気体の体積の比としても読めます。
例題1の式では、エチレン1molに酸素3molが反応します。エチレンが1.5molなら、酸素は1.5×3=4.5molです。
質量(g)で聞かれたら、燃える物の質量を分子量で割ってmolにします。係数の比で酸素のmolを出し、酸素の分子量を掛けてgに戻します。molとgの行き来は、モルと分子量の計算と同じ手順です。
たとえばエチレン70gなら、70g÷28g/mol=2.5molです。酸素は2.5mol×3=7.5molで、7.5mol×32g/mol=240gになります。
係数の比はmolの比で、質量の比ではありません。 エチレン70gに係数の比の3をそのまま掛けて210gとするのは誤りです。
酸素が足りないまま燃えると不完全燃焼(ふかんぜんねんしょう)になり、一酸化炭素やすすが出ます。この記事の計算は、酸素が十分にある完全燃焼の式で考えます。
ボイラーや加熱炉のある工場では、燃料が燃えるのに要る酸素の量を反応式から見積もり、それより少し多めの空気を送ります。空気が足りないと不完全燃焼になり、一酸化炭素やすすが出るためです。そこで排ガスに残る酸素の濃さを測りながら、送る空気の量を調整します。
- 空気の量を求める計算や、気体の体積をLの値で答える計算は、危険物乙4では後回しでかまいません。
確認問題
問1 係数(けいすう)を付けるときは、矢印の左右で原子の数を種類ごとにそろえる。
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答え:○
根拠:化学反応では原子の組み合わせが変わるだけで、原子の数は増えも減りもしません。
なぜか:2H2+O2→2H2Oでは、水素原子が左右とも4個、酸素原子が左右とも2個です。分子の数は左が3個、右が2個で、そろっていません。
狙われる形:原子の数ではなく、分子の数をそろえるとした形で出ます。
問2 反応式で係数が同じ物質どうしは、反応する質量(g)も等しい。
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答え:×
訂正:係数が同じなら反応する物質量(mol)は等しいが、質量は分子量によって違う。
根拠:係数の比は物質量(mol)の比で、質量にするには分子量をかけます。
なぜか:2H2+O2→2H2Oでは、水素と水の係数はどちらも2です。それでも分子量は水素2、水18なので、質量は水のほうが大きくなります。
狙われる形:物質量の比を、そのまま質量の比とした形で出ます。
問3 水素6molを完全燃焼(かんぜんねんしょう)させるには、酸素も6mol要る。
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答え:×
訂正:水素と酸素は2対1で反応するので、要る酸素は3molである。
根拠:反応式の係数の比が、反応する物質量(mol)の比になります。
なぜか:水素が燃える反応は2H2+O2→2H2Oで、水素2molに酸素1molが反応します。水素6molなら、その半分の3molの酸素で足ります。
狙われる形:係数を見ずに、同じ物質量が要るとした形で出ます。
まとめ
化学反応式は、左右で原子の種類ごとの数が等しくなるように、化学式の前に係数を付けて書きます。燃焼の式は、炭素→水素→酸素の順に係数を決め、酸素の係数を整数にそろえるときは全体を2倍します。係数の比はmolの比なので、質量で聞かれたら分子量でmolに直し、比を使ってから質量に戻します。
次に読む
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- もっと詳しく(甲種レベル):甲種の化学反応式・燃焼計算:モルと酸素量を5段階で解く
参考文献
- 『7日間で集中学習! 乙種4類危険物取扱者 王道問題集』飯島晃良、オーム社、第1版、2-3 化学反応式と熱化学方程式・3-1 燃焼の三要素と消火法 Amazonで見る
- 『乙種4類 危険物取扱者試験 令和8年版』公論出版、2-20 単体・化合物・混合物・2-21 化学の基礎(最新版は令和9年前期版)最新版をAmazonで見る
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