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電験三種 電力 配電|機材・電気方式・配電方式・保護と電圧調整

電験三種 電力 P10 配電のアイキャッチ

最終確認:2026年11月5日

電験三種の電力で、配電の4つの論点をまとめた辞書です。電柱の上の機材、電気方式の比較、配電方式、配電線の保護と電圧調整の順に確かめます。

電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電|新エネルギーと分散型電源|変電所|架空送電線路|送電の特性|配電

架空配電線路の機材 ── 事故のすぐ手前の機材が切り、止まるのはその先だけ

低圧線事故の停電範囲:事故点のすぐ手前のヒューズ(カットアウトまたはケッチヒューズ)が切れて、そこから先の家だけが止まり、区分開閉器は短絡電流を切らない
機材置く所役割
支持物(しじぶつ)地上に建てる電線を支える電柱。おもに鉄筋コンクリート柱で、支線で傾きを防ぐ
がいし電柱の腕金の上電線と電柱の間を絶縁する
区分開閉器(くぶんかいへいき)高圧配電線の途中負荷電流を開閉し、点検や事故のときに区間を切り分ける
高圧カットアウト(こうあつかっとあうと)柱上変圧器の一次側ヒューズ入りの開閉器。変圧器と低圧側の事故を高圧側へ広げない
柱上変圧器電柱の上高圧の6.6 kVを、低圧の100 V・200 Vに下げる
避雷器(ひらいき)柱上変圧器・区分開閉器の近く雷による異常な電圧から機器を守る
ケッチヒューズ引込線の、電柱の側の取付点引込線の短絡(たんらく)などの過電流から守る

事故が起きると、その場所のすぐ手前のヒューズや遮断器(しゃだんき)が切り、止まるのはそこから先だけです。区分開閉器は区間を切り分ける開閉器で、短絡電流は切れません。

よくある誤り正しくは
区分開閉器は、おもに短絡事故の電流を遮断するために使う負荷電流を開閉して区間を切り分ける。短絡電流を切るのは変電所の遮断器
高圧カットアウトの形は、箱形の1種類だけ箱形のほかに、磁器製の円筒形(えんとうけい)もある
高圧カットアウトのヒューズは、雷サージの短い大電流でもすぐ溶ける雷サージのような短い時間の大電流では溶けない。雷から守るのは避雷器
DV線は、高圧の配電線路にも使うDV線は低圧の引込線に使う電線。高圧には使わない
  • 架空配電線路は、配電用変電所から需要家までの配電線路のうち、電柱を建てて電線を張るものです。
  • 配電用変電所は、需要家から見て一番手前の変電所です。ここから高圧(こうあつ)配電線で6.6 kVを送ります。
  • 柱上変圧器で100 V・200 Vに下げ、低圧(ていあつ)配電線と引込線(ひきこみせん)で家などへ届けます。
  • 配電線路は、柱上変圧器を境に、高圧配電線路と低圧配電線路に分かれます。
  • 支持物は、遠心成形で締め固めた鉄筋コンクリート柱が一般的です。鉄柱・木柱も使います。
  • 鋼板組立柱は、山間部など、柱を運び込みにくい所で使います。

保護の並びと、高圧カットアウト・区分開閉器

置く所機材受け持つ事故
配電用変電所の、高圧配電線の引出口遮断器と保護継電器高圧配電線の短絡・地絡(ちらく)
柱上変圧器の一次側(高圧側)高圧カットアウト変圧器の中と、低圧配電線の短絡・過負荷
低圧配電線から引込線への接続点ケッチヒューズ(電線ヒューズ)引込線の短絡などの過電流
需要家の屋内配線用遮断器・ヒューズ、漏電遮断器屋内配線の過電流と地絡
  • 保護の機材は、電気の流れの順に並びます。それぞれ、自分より先(負荷の側)だけを切り離します。
  • 引込線のヒューズは、過電流と短絡のためのものです。地絡を守るためのものではありません。
  • ケッチヒューズは、電柱の側に付けます。引込線の需要家の側の取付点ではありません。
  • 高圧カットアウトの使い道は、変圧器の二次側の短絡と過負荷の保護、変圧器の負荷の開閉です。
  • カットアウトから変圧器までの回路の故障と、変圧器の内部の故障も守ります。
  • 区分開閉器には、気中形(PAS)・真空形・ガス形があります。操作は、手動式と、制御器による自動式があります。
  • 区分開閉器は、開くときのアークを消せます。地絡電流を切れるものもありますが、短絡電流は切れません。
  • 架空電線路の支持物には、絶縁油(ぜつえんゆ)を使う開閉器を置けません。そのため、気中形などを使います。
  • 断路器(だんろき)は、負荷電流も故障電流も切れません。保護には使えないので、遮断器と取り違えないようにします。
  • 工場などの高圧受電設備でも、変圧器の一次側の開閉器に高圧カットアウトを使います。変圧器が300 kV·A以下のときです。
区分開閉器と遮断器の役割:事故の短絡電流は区分開閉器ではなく変電所の遮断器が切り、区分開閉器は閉じたままである

電線・柱上変圧器・避雷器

使う所電線の記号名前
高圧配電線OC(OEも)屋外用架橋ポリエチレン絶縁電線(屋外用ポリエチレン絶縁電線)
低圧配電線OW屋外用ビニル絶縁電線
低圧の引込線DV(IVも)引込用ビニル絶縁電線
地中の配電線路CVCVケーブル(しーぶいけーぶる)。架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル
  • 架空配電線路の電線は、感電を防ぐため、絶縁電線を使います。原則として、裸電線は使えません。
  • DV線は、交流600 V以下の低圧に使う電線です。高圧の配電線路の機材を選ぶ問では、DV線が外れます。
  • 導体は、硬銅線のほかに、鋼心アルミ線なども使います。
  • 高圧の配電線路には、中実がいし・柱上開閉器・避雷器・CVケーブルなどを使います。
項目中身
容量5〜100 kV·Aなどの小型が多い。MV·Aの桁ではない
三相に使うとき単相の変圧器2台をV結線にして、三相200 Vを出す
電灯と動力の共用V結線から中性線を出し、単相3線式(たんそうさんせんしき)の100 V・200 Vも出す(V結線三相4線式)
鉄心けい素鋼のほか、鉄損の小さいアモルファス合金(あもるふぁすごうきん)も使う(低損失化)
保護避雷器を内蔵したものもある。負荷時タップ切換装置付きは、大きく重くなるので使わない

言葉の式 出力比 = V結線の出力 ÷ Δ-Δ結線(3台)の出力

出力比=3P3P≒0.577

P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕

  • V結線(ぶいけっせん)の出力は、同じ変圧器3台のΔ(デルタ)結線の1/√3で、約57.7%です。
  • 約86.6%(√3/2)は、V結線の利用率です。比べる相手が違うので、取り違えないようにします。
  • V結線三相4線式では、電灯の負荷も受け持つ共用の変圧器のほうが、動力だけの変圧器より容量が大きくなります。
  • アモルファス合金の鉄心は、けい素鋼より鉄損(てっそん)がとても小さくなります。ただし高価で、同じ容量では大きくなります。
  • 避雷器は、守る機器のできるだけ近くに付けると効きます。配電線の避雷器は、おもに誘導雷(ゆうどうらい)のサージから機器とがいしを守ります。
機材関係の深い語
ギャップレス避雷器酸化亜鉛(ZnO)の素子
ガス開閉器六ふっ化硫黄(ろくふっかいおう、SF₆)のガス
CVケーブル絶縁体が劣化する水トリー(みずとりー)
柱上変圧器鉄損(無負荷損)
  • ギャロッピングは、着氷した架空電線が風で大きく揺れる現象です。配電の機材のどれとも結びつきません。

関連:断路器・負荷開閉器・ヒューズ|避雷器と絶縁協調|変圧器の結線と保全|電線の振動|配電線路の保護と電圧調整

電気方式の比較 ── 電線の電流を小さくできる方式ほど、損失が小さい

配電方式の電流と損失の比較:電圧線1本の電流は単相2線式を1として単相3線式1/2、三相3線式1/√3、三相4線式1/3、損失は同じく1、1/4、1/2、1/6で、損失は本数と電流の2乗の積で決まる
方式電圧線1本の電流電力損失
単相2線式(たんそうにせんしき)1(基準)100%
単相3線式1/225%
三相3線式(さんそうさんせんしき)1/√350%
三相4線式(さんそうよんせんしき)1/3約17%(1/6)

同じ電力を送るなら、電線1本の電流を小さくできる方式ほど、損失が小さくなります。損失は電流の2乗で効き、中性線は負荷がつり合えば電流が流れません。

よくある誤り正しくは
単相3線式では、巻線の両端から出した線の一方を接地する接地するのは、巻線の中点から出した中性線
単相3線式の電線1線あたりの供給電力は、単相2線式より小さい大きい。許容電流が同じなら、約4/3倍
三相3線式で送るときの電線の総重量は、単相2線式と同じ単相2線式の3/4で済む
単相3線式のバランサは、電源の近くに付けるほど効く負荷の近く(線路の末端)に付ける
  • 比べる条件は、送る電力・力率(りきりつ)・電線の長さと太さが同じで、負荷1つにかかる電圧も同じです。
  • 負荷1つにかかる電圧は、単相3線式と三相4線式では電圧線と中性線の間、三相3線式では線間です。
  • 電線1本の電力損失(でんりょくそんしつ)は、その線の電流の2乗に、1本の抵抗を掛けた値です。
  • 方式の損失は、電流の流れる線の本数分を足します。中性線は、負荷がつり合えば電流が0なので数えません。
  • 電流が半分になると、損失は1/4になります。本数が増えても、1本の電流が減る効き(2乗)のほうが大きいのです。
  • 単相3線式で負荷を上下に分けると、電圧線の電流が減るので、電線での電圧の下がりも単相2線式より小さくなります。
方式つくりおもに使う所
単相2線式2本。低圧側の1線を接地する小規模な住宅・商店の100 V
単相3線式巻線の両端と中点から3本。中点の中性線を接地する一般家庭の多く。100 Vは照明・コンセント、200 Vはエアコン・IH
三相3線式3本。電源の変圧器はΔ結線かV結線6.6 kVの高圧配電線、工場・事務所の200 Vの動力
三相4線式二次側をY結線(わいけっせん)にし、中性点から中性線を出す高層ビル・大規模な工場。415 Vを動力、240 Vを電灯に使う
  • 高圧配電線は、配電用変電所の変圧器の二次側(Δ結線)から出す、6.6 kVの三相3線式が一般的です。
  • 電力需要の多い都市部や、工場の多い所では、22 kV・33 kVの三相3線式も使います。
  • 低圧では、電灯には単相、動力には三相を使います。
  • 単相3線式の外側の2本は電圧線(外線)です。電圧線と中性線の間で100 V、電圧線どうしで200 Vが使えます。
  • 三相4線式は、線間電圧と相電圧(そうでんあつ)の両方を使う電灯・動力共用方式です。コンセントには、240 Vを変圧器で100 Vに下げて使います。
  • 柱上変圧器のV結線から中性線を出すV結線三相4線式も、電灯と動力を共用する方式です(架空配電線路の機材)。
  • 三相方式は、回転磁界(かいてんじかい)が作りやすく、三相誘導電動機を動かしやすいのが利点です。
  • 三相の負荷がつり合っていれば、3相の瞬時電力の和は時間によらず一定です。単相の脈動が無いので、同じ出力の発電機を小さく、効率よく作れます。

言葉の式 線路損失 = 3 × 電流² × 線路抵抗

p=3I2R=P2R(Vrcosθ)2

p:線路損失〔W〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 cosθ:負荷力率

解き方:方式ごとの損失・重量の比

  • ① 最初の一手は、送る電力を等しいとおいて、各方式の電圧線1本の電流を、単相2線式の電流で表すことです。
  • ② 送る電力は、単相2線式が電圧と電流の積です。単相3線式は2倍、三相3線式は√3倍、三相4線式は3倍の式になります。
  • ③ 電力が等しいので、電流は単相3線式が1/2、三相3線式が1/√3、三相4線式が1/3になります。
  • ④ 損失は、電流の流れる本数と、電流の2乗と、1本の抵抗の積で比べます。問われているのが損失の比か、抵抗の比かを確かめます。

例の条件を短くまとめます(平成29年度 問11)。単相2線式と三相4線式(Y結線・平衡)で、抵抗負荷へ同じ電力を送ります。1線の抵抗と、負荷1つにかかる電圧は、どちらも同じです。

  • 単相2線式の電流を1、1線の抵抗を1とおきます。損失は、2本×1²×1=2です。
  • 三相4線式の電流は1/3で、電流が流れるのは電圧線の3本です。損失は、3×(1/3)²=1/3です。
  • 比は、1/3÷2=1/6で、約16.7%です。
  • 2乗を忘れると50%、単相2線式の本数を1本と数えると33.3%になり、外れます。

単相3線式の例の条件を短くまとめます(令和5年度下期 問13)。単相2線式と単相3線式で、同じ総容量の100 Vの抵抗負荷へ送ります。単相3線式は負荷を上下に均等に分け、損失は単相2線式の1/5でした。

  • 単相3線式の電圧線の電流は1/2で、電流が流れるのは2本です。抵抗が同じなら、損失は単相2線式の1/4です。
  • 実際の損失は1/5なので、1線の抵抗は、(1/5)÷(1/4)=0.8倍です。
  • 損失の比の1/5を答えにしたり、逆数の1.25倍にしたりしないようにします。

送電電力・電線重量・損失は、同じにする条件がそれぞれ違います。単相2線式を100として並べます。表の電圧Vは、負荷1つにかかる電圧です。

比べる量同じにする条件単相2線式を100とした値(単相3線式・三相3線式・三相4線式)
電線1条あたりの送電電力電圧V・線電流・力率133・115・150
電力損失送電電力・電圧V・力率・こう長・電線の太さと材質25・50・17
電線重量送電電力・電圧V・力率・こう長・電力損失・材質37.5・75・33.3
  • 電圧Vは、単相2線式と三相3線式では線間の電圧、単相3線式と三相4線式では電圧線と中性線の間の電圧です。三相4線式では相電圧にあたります。
  • 参考書には、この条件を「線間電圧」と書くものもあります。比の値は、負荷1つにかかる電圧Vをそろえて比べたものとして読みます。
  • 損失の比と重量の比を取り違えないようにします。
  • 電線重量は、損失を同じにして比べます。電流の小さい方式は、1本の抵抗を大きく(電線を細く)できます。
  • 1本の抵抗は、単相3線式で4倍、三相3線式で2倍、三相4線式で6倍にしてよいことになります。
  • 重量は、本数と断面積の積に比例し、断面積は抵抗に反比例します。中性線も、電圧線と同じ太さで数えます。
  • 三相3線式は、本数が3本で断面積が1/2なので1.5です。単相2線式の2本と比べて、3/4です。
  • 1線あたりの供給電力は、許容電流を同じにして比べます。単相2線式の100 Vは、2本で100 V×電流を送ります。
  • 単相3線式の100/200 Vは、3本で200 V×電流を送ります。1本あたり約67対50で、単相3線式が大きくなります。
  • 同じ配電容量なら、100/200 Vの単相3線式は、100 Vの単相2線式より銅量が少なくて済みます。

単相3線式の中性線とバランサ

単相3線式の中性線の断線:中性線が切れると上下の負荷が直列になって電圧を分け合い、小さい負荷に100 Vを超える電圧がかかる
  • 上と下の負荷が不平衡だと、中性線には上と下の電流の差が流れ、損失が増えます。片側だけの負荷なら、単相2線式と同じ損失です。
  • 負荷が不平衡のまま中性線が切れると、上と下の負荷が直列になって、200 Vを分け合います。
  • 直列では電流が同じなので、抵抗の大きい側(容量の小さい負荷)に高い電圧がかかります。容量の大きい負荷の電圧は下がります。
  • 100 Vの機器に高い電圧がかかり、傷むことがあります。そのため、中性線にはヒューズやブレーカーなどの自動で切れる装置を入れません。
  • バランサは、巻数比が1の単巻変圧器(たんまきへんあつき)です。線路の末端に付けます。
  • 負荷が不平衡でも、中性線が切れても、上と下の負荷の電圧をそろえます。中性線の電流を0にし、線路損失を減らします。
  • バランサは単相3線式の不平衡の対策です。配電線の電圧を上げ下げする機器ではありません。

関連:分圧と分流|Y結線とΔ結線|平衡三相回路の計算|配電方式

  • 単相3線式の電圧降下(でんあつこうか)と中性線の電流の計算は、「電力の計算の論点②」の配電線路の計算で扱います。

配電方式 ── 送る道が多い方式ほど停電は狭いが、建設費は高い

スポットネットワーク方式の回線事故:回線2が事故になると、変電所の遮断器が開き、逆向きの電力でプロテクタが開いて回線2だけが切り離され、母線とビルの負荷は回線1と3で送電が続く
方式しくみ長所/短所
樹枝状方式(じゅしじょうほうしき)放射状方式とも呼ぶ。変圧器ごとに幹線を出し、分岐線を枝のように出す簡単で安く、需要の増加に対応しやすい/事故で先が停電し、損失・電圧変動が大きい
ループ方式(るーぷほうしき)環状方式とも呼ぶ。幹線を輪にし、結合開閉器はふだん開いておく事故のとき結合開閉器を入れて反対側から送り、信頼度が高い/建設費が高い
バンキング方式(ばんきんぐほうしき)同じ幹線の変圧器の二次側を、区分ヒューズを通して並列につなぐ電圧降下・損失・フリッカが少なく、停電の範囲が狭い/樹枝状より高く、カスケーディング(かすけーでぃんぐ)が起こりうる
スポットネットワーク方式(すぽっとねっとわーくほうしき)1つの大口需要家へ、複数の回線(ふつう3回線)から送る1回線が止まっても停電しない。電圧変動が小さく、フリッカが少なく、負荷を増やしやすい/回路と保護装置が複雑で高い
レギュラーネットワーク方式(れぎゅらーねっとわーくほうしき)低圧ネットワーク方式とも呼ぶ。複数の回線から、格子状の低圧線へ送る1回線が止まっても停電しない。変圧器の一次側のヒューズや遮断器を省ける/建設費が高い

負荷へ届く道が多い方式ほど、1か所が止まっても停電が広がりません。そのぶん設備が複雑になり、建設費は高くなります。

よくある誤り正しくは
低圧ネットワークでは、1回線の事故のとき、健全な回線に切り替える間だけ停電する停電しない。事故の回線だけをプロテクタが切り離し、残りの回線で送り続ける
ネットワーク変圧器の一次側にネットワークプロテクタ、二次側に断路器を置く逆。一次側に断路器、二次側にネットワークプロテクタ
カスケーディングを防ぐには、区分ヒューズを高圧カットアウトのヒューズより遅く切れるようにする短い時間で切れるようにする。区分ヒューズが先に切れる
樹枝状方式は信頼度が高いが、建設費が高い反対。構成が簡単で安いが、事故のときの停電の範囲が広い
  • 配電方式は、配電用変電所から需要家まで、配電線をどんな形で張るかの分け方です。
  • 高圧の配電線では、おもに樹枝状方式とループ方式を使います。
  • 低圧では樹枝状方式が一般的で、わが国のほとんどの低圧の系統で使っています。ほかに、スポットネットワーク・レギュラーネットワーク・バンキングがあります。
  • 樹枝状方式は、配電用変圧器ごとに低圧の幹線を引き出します。配電用変電所ごとではありません。
  • ループ方式の結合開閉器は、ふだんは開いておきます。事故のときに自動で入れ、健全な道で送り続けます。
  • ループ方式は、負荷が密集した地域で使います。
  • 2つの配電線の間の連系開閉器を入れて短い時間だけループにし、区分開閉器を開くと、無停電で送り先を切り替えられます。
  • このとき見るのは、切り替え先の配電線の過負荷、連系開閉器の両端の電圧の差と位相差(いそうさ)、ループにしたときの短絡容量です。
  • 電圧の差や位相差が大きいと、大きなループ電流が流れます。ループの時間は短いので、その間の電力損失は考えなくてよいのです。

ネットワーク方式の並びとプロテクタ

働き起きるときプロテクタ遮断器
無電圧投入ネットワーク母線(二次側)が無電圧で、回線(一次側)が充電されたとき入れる
差電圧投入両側に電圧があり、一次側の電圧のほうが高いとき入れる
逆電力遮断二次側から一次側へ、逆向きに電流が流れるおそれがあるとき開く
  • スポットネットワーク方式は、22 kV・33 kVの特別高圧の配電系統から、2回線以上で受電します。都心の高層ビルや大規模な工場などの大口需要家に使います。
  • 並びは、特別高圧の側から、断路器→ネットワーク変圧器→プロテクタヒューズ(ぷろてくたひゅーず)→プロテクタ遮断器(ぷろてくたしゃだんき)→ネットワーク母線です。
  • 母線の先には、負荷ごとに幹線保護装置を置きます。
  • ネットワークプロテクタ(ねっとわーくぷろてくた)は、プロテクタヒューズ・プロテクタ遮断器・電力方向継電器(ネットワークリレー)などでできています。
  • 回線で事故が起きると、変電所の遮断器が開きます。すると、母線の側から事故の回線へ、逆向きに電流が流れようとします。
  • ネットワークリレーがこれを見つけて、プロテクタ遮断器を開きます。残りの回線はつながったままなので、需要家は停電しません。
  • 事故の回線が直って、ネットワーク変圧器が充電されると、プロテクタ遮断器は自動で入ります。
  • ネットワーク変圧器の一次側で故障が1か所起きても、停電しません。ネットワーク母線そのものが故障すると、停電します。
  • レギュラーネットワーク方式は、大都市の中心部の、多くの低圧需要家に送る方式です。
  • レギュラーネットワーク方式は、樹枝状方式より電圧変動や電力損失を小さくできます。

バンキング方式とカスケーディング

区分ヒューズの保護協調:区分ヒューズがカットアウトより先に切れて変圧器2の区間だけが切り離され、変圧器1と3は自分の負荷に送電を続ける
  • バンキング方式は、同じ幹線から受ける隣り合う変圧器の低圧側を、区分ヒューズでつないで並べる方式です。
  • 負荷の電流を何台かの変圧器で分け合うので、低圧の幹線での電圧降下と損失が小さく、負荷が増えても融通できます。
  • フリッカは、電圧降下による蛍光灯などのちらつきです。バンキング方式では少なくなります。
  • 1台の変圧器が使えなくなると、両隣の変圧器がその負荷も受け持ちます。
  • 両隣の余裕が足りないと過負荷になり、両隣の高圧カットアウトのヒューズが切れます。さらに隣へと、次々に切れて停電が広がります。これがカスケーディングです。
  • 防ぐには、区分ヒューズ(バンキングブレーカ)を、高圧カットアウトのヒューズより短い時間で切れるようにします(保護協調(ほごきょうちょう))。
  • カスケーディングは、広い範囲が一度に停電するブラックアウトとは別の語です。電圧降下は、軽負荷で電圧が上がるフェランチ効果とも別の現象です。

関連:保護継電器|断路器・負荷開閉器・ヒューズ|線路定数とフェランチ効果|架空配電線路の機材

配電線路の保護と電圧調整 ── 時限順送で事故区間を見分け、電圧は段階的に整える

区分開閉器の時限投入と事故区間の判定:区分開閉器が7秒ごとにA、B、Cの順に入り、区間dの事故でCが入った21秒で遮断器が再び開き、Cがロックする
置く所機器役割
配電用変電所の引出口(配電線ごと)遮断器・過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)・地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき)短絡は過電流継電器、地絡は地絡方向継電器で見つけ、遮断器で切る
配電用変電所の6.6 kVの母線地絡過電圧継電器(ちらくかでんあつけいでんき)零相電圧で地絡を見つける。どの配電線かは見分けない
配電線の途中区分開閉器区間に分け、事故の区間を切り離す
柱上変圧器高圧カットアウト(一次側)、避雷器(変圧器と並列)変圧器と低圧側の短絡、雷などの異常な電圧
低圧配電線から引込線への接続点ケッチヒューズ引込線の短絡

区分開閉器を電源の側から一定の時間ずつ順に入れ、遮断器が再び開くまでの時間で、事故の区間を見分けます。電圧は、変電所・線路の途中・柱上変圧器で段階的に整えます。

よくある誤り正しくは
6.6 kVの配電線は、1線地絡電流(いっせんちらくでんりゅう)を大きくするため、中性点を接地する非接地方式(ひせっちほうしき)にして、1線地絡電流を小さくする
地絡方向継電器は、事故の線と健全な線で地絡電流が同じ位相(いそう)になることを使う逆位相(向きが反対)になることを使う
配電線の引出口ごとに、地絡過電圧継電器を置く地絡過電圧継電器は母線に置く。配電線ごとに置くのは地絡方向継電器
力率改善(りきりつかいぜん)のコンデンサは、上流の高圧配電線に付けたほうが効く負荷に近い低圧配電線ごとに付けたほうが、改善される範囲が広い
  • わが国の6.6 kVの高圧配電線は、変圧器の中性点を接地しない非接地方式です。
  • 1線地絡の電流は、母線につながる全部の配電線の、3線一括の対地充電電流に等しくなります。数A〜数十Aと小さくなります。
  • 地絡電流が小さいので、高圧と低圧の線が混触(こんしょく)しても、低圧側の対地電圧の上がりは小さく抑えられます。上がりは、高圧の地絡電流とB種接地の抵抗の積で決まります。
  • 地絡電流が小さいので、地絡のときの通信線への誘導障害も、ほとんど問題になりません。
  • 6.6 kVの電線路と変圧器は、60 kV以上の送電線より絶縁しやすい設備です。だから、地絡で健全相の電圧が上がっても、問題になりにくいのです。
  • 地絡のとき、出口で見る地絡電流(ちらくでんりゅう)の向きは、事故の配電線と健全な配電線で反対(逆位相)になります。
  • 地絡方向継電器は、零相電流と零相電圧を計器用変成器(けいきようへんせいき)で取り出し、大きさと位相の関係で働きます。
  • 多くの配電線の中から、事故の配電線だけを選んで切れます。地絡過電圧継電器は母線の零相電圧を見て、各配電線の地絡方向継電器と組み合わせて使います。
  • 零相変流器(れいそうへんりゅうき)で零相電流の大きさだけを見る地絡継電器(ちらくけいでんき)は、向きを見分けません。地絡過電流継電器とも呼びます。
  • 構内のケーブルのこう長が長いと、外の事故でも、構内の充電電流で不要動作することがあります。そのときは、地絡方向継電器を使います。
  • 不要動作しやすいのは、ケーブルが「短い」ときではなく「長い」ときです。
  • 短絡は、配電線ごとの過電流継電器で見つけます。主要変圧器の二次側の過電流継電器は、配電線の継電器より動作時限を長くします。
  • 22 kV・33 kVの配電は、中性点をおもに抵抗接地方式(ていこうせっちほうしき)にします(非接地もあります)。地絡電流を抑えて、通信線への誘導障害を防ぐためです。
  • 中性点の直接接地は、187 kV以上の系統で使う方式です。22 kV・33 kVの配電には使いません。
  • 22 kV・33 kVの配電は、6.6 kVより電圧対策や供給力の増強に有効です。長い距離の配電や、新しく開発する地域に使います。
  • 特別高圧の需要家へは直接送ります。高圧の需要家へは、途中の配電塔で6.6 kVに下げて送ります。
  • 33 kVは6.6 kVの5倍なので、負荷と線路定数が同じなら、電流は1/5、電力損失は1/25です。電流が同じなら、送れる容量は5倍です。
  • 時限順送方式(じげんじゅんそうほうしき)では、事故の前は、遮断器もすべての区分開閉器も入っています。
  • 事故が起きると、保護継電器が見つけて遮断器が開きます。電気が来なくなった区分開閉器も、自分で開きます。
  • 区分開閉器の動作時限は、電源の側に電気が戻ってから、その区分開閉器が入るまでの時間です。時限順送方式は、この時限で区分開閉器を電源の側から順に入れます。
  • 一定の時間の後、遮断器を自動で入れ直します(再閉路(さいへいろ))。区分開閉器は、電源の側から一定の時間ずつ順に入ります。
  • 事故が続いていると、事故の区間の直前の区分開閉器が入った直後に、遮断器がまた開きます。

解き方:時限順送で事故区間を見分ける

  • ① 最初の一手は、区分開閉器が入る時刻を、再閉路からの動作時限の倍数で並べることです。
  • ② 動作時限が7秒なら、Aは7秒、Bは14秒、Cは21秒、Dは28秒に入ります。
  • ③ 遮断器が再び開いた時刻の、直前に入った区分開閉器の先が、事故の区間です。
  • ④ 時刻を動作時限で割った整数の部分が、入った台数です。端数は、継電器が事故を見つけるまでの時間です。
再閉路から再び開くまで直前に入った区分開閉器事故の区間
0〜6.9秒なし(遮断器だけ)a
7〜13.9秒Ab
14〜20.9秒Bc
21〜27.9秒Cd
28秒から後De とその先
  • 自作の値で確かめます。動作時限が7秒で、再閉路から15秒で再び開いたとします。
  • 15÷7≒2.1で、2台目のBが入った直後です。事故は、Bの先の区間cです。
  • 割った数を切り上げて3台目とし、区間dと読むと外れます。
事故区間の切り分け:ロックしたCは遮断器を入れ直しても入らず、AとBだけが入って区間a〜cに送電が戻り、事故のある区間dと先の区間eは停電のままである
  • 入れた直後に停電した区分開閉器は、自分の先に事故があると判断して、入らないように固定します(投入ロック)。
  • もう一度遮断器を入れると(再々閉路)、電源の側の健全な区間は、すぐ送電に戻ります。
  • 時限順送方式と投入ロックを組み合わせたものが、時限順送式故障区間分離方式です。いまの配電線で一般に使われています。
  • 区分開閉器は、自分で入ったり開いたりするので、自動開閉器とも呼びます。
  • 樹枝状の高圧配電線では、事故の区間の、電源の側と反対側の区分開閉器を開いて、事故の区間だけを切り離します。
  • ループ方式と組み合わせると、事故点の前後の区分開閉器を開いて、事故の区間のほかへは送り続けられます。

電圧調整

配電線の電圧調整:重い負荷で先へ行くほど下がる電圧を、変電所のLRTで上限寄りに送り出し、途中のSVRで持ち上げ、柱上変圧器のタップで需要家の電圧を上下限の範囲に収める
場所機器・方法中身
配電用変電所負荷時タップ切換変圧器(ふかじたっぷきりかえへんあつき)・負荷時電圧調整器(LRA)送り出しの電圧を、重負荷のときは高めに、軽負荷のときは低めにする
線路の途中(電圧を直接変える)ステップ式自動電圧調整器(すてっぷしきじどうでんあつちょうせいき)・昇圧器こう長が長い、分散型電源が多いなどで電圧の変動が大きいとき、タップで電圧を直接整える
線路の途中(無効電力を変える)電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ)・分路リアクトル(ぶんろりあくとる)・静止形無効電力補償装置(せいしけいむこうでんりょくほしょうそうち)コンデンサは重い負荷で下がった電圧を上げ、リアクトルは軽い負荷で上がりすぎた電圧を下げる。SVCはどちらの向きにも整える
柱上変圧器柱上変圧器のタップ(ちゅうじょうへんあつきのたっぷ)の調整、負荷の中心に置く低圧の需要家への電圧を、適正な範囲に収める
配電線の増強太線化・複線化・配電線の増設・配電電圧の格上げ電圧降下そのものを減らす

言葉の式 電圧降下 ≒ √3 × 電流 ×(抵抗 × cosθ + リアクタンス × sinθ)

v≒3I(Rcosθ+Xsinθ)

v:電圧降下〔V〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 X:線路リアクタンス(1線あたり)〔Ω〕 θ:負荷の力率角(遅れ)〔rad または °〕

  • 電圧降下は、電流と、線路の抵抗とリアクタンスで決まります。電流・抵抗・リアクタンスのどれを小さくする手段かで、効くかどうかを判断します。
  • 送り出しの電圧を上げる、力率を改善して電流を減らす、太い電線に張り替える、のはどれも有効です。
  • 配電線のこう長を延ばすと、抵抗もリアクタンスも増えて、電圧降下は大きくなります。逆効果です。
  • 柱上変圧器を負荷の中心に置くと、低圧の線が短くなって、電圧降下が減ります。
  • ステップ式自動電圧調整器(SVR)は、変圧器・タップ切換装置・制御部などでできています。高圧配電線の途中に置き、電圧降下に応じて自動で電圧を整えます。
  • 単相3線式のバランサは、上と下の負荷の不平衡の対策です。配電線の電圧調整の機器ではありません。
  • 負荷時タップ切換変圧器(LRT)は、タップ切換器を付けた変圧器です。LRAは、タップ切換器を、単巻変圧器や直列巻線を持つ変圧器と組み合わせたものです。
  • 力率改善の効果は、コンデンサをつないだ所より上流(電源の側)に及びます。負荷に近い所に付けるほど、改善される範囲が広くなります。
  • 太陽光発電の逆潮流(ぎゃくちょうりゅう)による電圧の上がりすぎは、パワーコンディショナの電圧調整機能で抑えるものがあります。
  • 電圧降下の値の計算は、「電力の計算の論点②」の電圧降下で扱います。

関連:中性点接地方式|保護継電器|変電所の役割と調相設備|分散型電源の系統連系|架空配電線路の機材

まとめ

電柱の上の機材は電気の流れの順に並び、事故のすぐ手前が切れて、止まるのはその先だけです。

同じ電力なら、電線1本の電流を小さくできる方式ほど損失が小さく、中性線は平衡なら電流が流れません。

道の多い配電方式ほど停電は狭く、時限順送で事故区間を見分け、電圧は変電所・線路・柱上変圧器で整えます。

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参考文献

  • 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH07 配電の章(SEC01 架空配電線路、SEC02 電気方式、SEC03 配電の構成と保護)、CH05 変電所の章(保護継電器)
  • 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第7章 配電
  • 『絵とき 自家用電気技術者実務読本』大浜 庄司 オーム社 第3章 高圧受電設備の主回路結線と機器配置
  • 第三種電気主任技術者試験 電力 問題(電気技術者試験センター) 平成28年度・平成29年度・令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期

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