動画解説はこちら|YouTube

電験三種 電力 変電所|変圧器の結線・遮断器・避雷器・保護継電器

電験三種 電力 変電所|変圧器の結線・遮断器・避雷器・保護継電器

最終確認:2026年11月3日

電験三種の電力で、変電所の機器と働きの7つの論点をまとめた辞書です。変圧器の結線から、開閉器・避雷器(ひらいき)・計器用変成器(けいきようへんせいき)・保護継電器・調相設備の順に確かめます。

電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電|新エネルギーと分散型電源|変電所|架空送電線路|送電の特性

変圧器の結線と保全 ── Δは第三調波を中で回し、Yは中性点を接地できる

変圧器の結線と第3高調波:Y-Yは接地でき第3高調波は外へ出て、三次巻線のΔを加えたY-Y-Δは接地でき第3高調波がΔの中を回る。Δ-Δは接地できず、Y-ΔとΔ-Yは接地でき第3高調波がΔの中を回って30°ずれる
結線(一次-二次)中性点の接地と第3高調波一次と二次の位相差(いそうさ)・使い道
Y-Y結線(すたーすたーけっせん)接地できる。接地すると第3高調波が大地へ流れ、誘導障害が出る位相差なし。難点が多く、三次巻線を付けて使う
Y-Y-Δ結線接地できる。第3高調波は三次のΔの中を回り、外へ出ない位相差なし。特別高圧の主変圧器に広く使う
Δ-Δ結線(でるたでるたけっせん)中性点が無く、接地できない。第3高調波はΔの中を回る位相差なし。1台壊れてもV結線で運転できる
Δ-Y結線(でるたすたーけっせん)Y側で接地できる。第3高調波はΔの中を回る二次側が30°進む。昇圧に向き、送電端に使う
Y-Δ結線Y側で接地できる。第3高調波はΔの中を回る二次側が30°遅れる。降圧に向き、受電端に使う
V結線(ぶいけっせん)接地できない位相差なし。2台で三相をつくるが、出力(利用率)が小さい

Y結線は中性点を接地でき、Δ(デルタ)結線は第3高調波の電流を輪の中で回して外へ出しません。だからY-Yには、Δの三次巻線(さんじまきせん)を付けて両方の利点を取ります。

言葉の式 一次電圧 ÷ 二次電圧 = 一次の巻数 ÷ 二次の巻数(= 巻数比 a)

N1N2=V1V2=a

N1:一次の巻数〔回〕 N2:二次の巻数〔回〕 V1:一次電圧〔V〕 V2:二次電圧〔V〕 a:巻数比(変圧比)

よくある誤り正しくは
Y-Yに付ける三次巻線は、Y結線にする三次巻線はΔ結線。第3高調波の電流は、Δの輪の中だけを回れる
中性点を接地すると、地絡(ちらく)のときの異常電流を抑えられる抑えるのは異常電圧(健全な相の電圧の上昇)。地絡電流が流れるので、保護継電器も確実に動く
第3高調波の電流による通信線の障害は、静電誘導障害電流の磁界が原因なので、電磁誘導障害。静電誘導障害は電圧が原因
昇圧にはY-Δ、降圧にはΔ-Yが多い逆。発電所の昇圧にΔ-Y、配電の降圧にY-Δ(左が一次側、右が二次側)
  • 変圧器(へんあつき)は、巻数の違う一次と二次のコイルを、1つの鉄心に巻いた機器です。電圧の比は巻数の比に等しく、電圧を上げること(昇圧)も下げること(降圧)もできます。計器用変圧器(けいきようへんあつき)も、同じ巻数比の式で電圧を変えます。
  • 励磁電流(れいじでんりゅう)には、鉄心の磁気飽和などのため、第3高調波(だいさんこうちょうは)(基本の周波数の3倍の波。第三調波とも書く)が含まれます。3相の第3高調波はそろって同じ向きなので、Δの輪の中なら回れます。
  • Y結線の中性点接地(ちゅうせいてんせっち)をすると、1線地絡のときに健全な相の電圧が上がるのを抑え、電線路と機器の絶縁を低くできます。地絡電流が流れるので、保護継電器が遮断器(しゃだんき)を確実に開かせます。
  • Y-Yで中性点を接地すると、第3高調波の電流が線路の静電容量を通って大地へ流れます。通信線に電磁誘導障害を起こします。
  • 接地しなければ通り道が無く、相電圧(そうでんあつ)が第3高調波を含むひずんだ波になります。線間電圧には現れません。三次巻線は安定巻線とも呼び、調相設備や所内電源をつなぐのにも使います。

V結線と結線の使い分け、鉄心と保全

言葉の式 V結線の出力 = √3 × 変圧器1台の定格容量

PV=3P

PV:V結線の出力〔kV·A〕 P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕

言葉の式 利用率 = V結線の出力 ÷ 設備容量(2台分)

利用率=3P2P≒0.866

P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕

言葉の式 出力比 = V結線の出力 ÷ Δ-Δ結線(3台)の出力

出力比=3P3P≒0.577

P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕

  • V結線は、単相変圧器2台で三相をつくる結線です。Δ-Δの1台が壊れたとき、残りの2台をV結線にして運転を続けられます。
  • V結線では、線の電流がそのまま巻線に流れ、力率(りきりつ)1の負荷でも巻線の電圧と電流が30°ずれます。そのため1台の容量をPとすると、出力は2Pではなく√3Pです。
  • 利用率は、V結線の出力÷2台の容量で、√3/2(約0.866)です。出力比は、V結線の出力÷Δ-Δ(3台)の出力で、1/√3(約0.577)です。分母が違うので、取り違えに注意します。
  • 1台100 kV·Aの変圧器2台なら、V結線で出せるのは次の値です。Δ-Δ(3台)なら300 kV·Aです。
PV=3×100 kV·A=173.2 kV·A
  • 2台で済むので、電柱への設置が簡素になります。利用率が低く各相の電圧降下(でんあつこうか)もそろわないので、負荷が軽いときや1台が壊れたときの応急に使います。
  • 電灯と動力の共用の変圧器は、電灯と動力の両方の電流が流れます。そのため、動力だけの変圧器より容量を大きくします。
  • 容量の違う2台のV結線で、三相負荷と単相負荷を一緒に受ける型もあります。単相負荷をつないだ側の変圧器には、三相負荷の電流と単相負荷の電流が重なって流れます。
  • 三相負荷の力率は相電圧と、単相負荷の力率は線間電圧と比べた位相(いそう)で決まります。この2つの電流は、ベクトルで足します(同じ位相になれば大きさをそのまま足します)。その和がその変圧器の容量を超えない範囲で、単相負荷の最大を求めます。
V結線の利用率:Δ-Δは3台のそれぞれP(容量)で出力3P、V結線は2台で容量2Pのうち出せるのは√3Pだけで、利用率は√3P÷2P≒0.866になる
結線実際の使い方
Δ-Y発電所の昇圧。Δ側に発電機、Y側を系統につなぐ。並行運転をしないので、30°のずれは困らない
Y-Δ配電用の降圧。Y側を高い電圧、Δ側を低い電圧につなぐ。低い電圧の側では接地できない
Y-Y-Δ配電用や、275 kVと154 kVのような違う電圧の系統の連系。両側で接地でき、位相のずれも無い
Δ-Δ中性点の接地が要らない所の配電用。第3高調波や地絡の電流がΔの中を回る
  • Δ-YでもY-Δでも、Y結線を高い電圧の側に使うのがふつうです。Yの巻線は絶縁を低くでき、外形を小さく、軽く、安くできます。
  • 鉄心には、鉄にケイ素を混ぜたケイ素鋼と、非結晶のアモルファス合金が使われます。アモルファス合金は鉄損が少なく腐食に強い一方、加工しにくく高価です。
  • 絶縁を被せた薄い鋼板を積み重ねた積層鉄心(せきそうてっしん)で、渦電流損(うずでんりゅうそん)(鉄損の一部)を減らします。渦電流損は、板の厚さの2乗に比例します。
  • 負荷時タップ切換変圧器(ふかじたっぷきりかえへんあつき)は、負荷をつないだままタップを切り換えて変圧比を変え、二次側の電圧を一定に保ちます。停電させずに電圧を調整できます。
点検・測定何を調べるか
巻線の絶縁抵抗(ぜつえんていこう)と誘電正接(ゆうでんせいせつ)(tanδ)の測定巻線の絶縁の劣化。鉄心の材料の劣化を見るものではない
絶縁油(ぜつえんゆ)の油中ガス分析(ゆちゅうがすぶんせき)変圧器の内部の異常の診断
部分放電の測定絶縁が破れる前ぶれ。部分放電は絶縁破壊の前に出ることが多い
目視点検と油面計ガスケットの劣化による漏油(ろうゆ)
  • 予防保全は、運転を続けることと、事故を防ぐことが目的です。
  • 測定の名前と、調べる場所を入れ替えた文に注意します。絶縁抵抗と誘電正接は、巻線の絶縁を見ます。
  • 油入変圧器の内部の故障を、油の急な流れやガスで見つける継電器もあります(保護継電器の論点)。

解き方:Δ-Δの変圧器から、負荷の電力へ

  • ① 最初の一手は、一次側か二次側か、同じ側の線間電圧と線電流の組を決めることです。一次と二次の量を混ぜません。
  • ② Δ-Δは線間電圧が相電圧と等しいので、変圧比をそのまま線間電圧に使えます。理想変圧器なら、電流は電圧と逆の比になります。
  • ③ 三相電力は、√3×線間電圧×線電流×力率です。
  • ④ Wで出た値を1 000で割って、kWにします。

言葉の式 三相有効電力 = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率

P=3VIcosθ

P:有効電力〔W〕 V:線間電圧〔V〕 I:線電流〔A〕 cosθ:力率

例の条件を短くまとめます(平成30年度 問8)。単相変圧器3台をΔ-Δにし、定格電圧は6 600 V/210 Vです。一次の線電流は20 A、二次の線間電圧は200 V、負荷の力率は0.8です。

  • 二次の線電流は、20×6 600÷210≒628.6 Aです。電流は、電圧が低い側ほど大きくなります。
  • 負荷の電力は、√3×200×628.6×0.8≒1.742×10⁵ Wで、約174 kWです。
  • 一次側でも計算できます。一次の線間電圧は200×6 600÷210≒6 286 Vで、20 Aと組むと同じ約174 kWです。
  • √3を落とすと約101 kW、力率を掛け忘れると約218 kWになり、外れます。

関連:Y結線とΔ結線|三相電力と二電力計法|保護継電器

遮断器とガス絶縁開閉装置 ── アークを電流零点で消す。GISはSF₆で小さく

ガス遮断器の消弧:接点が開いても電流はアークを通って流れ続け、交流の電流が0になる点(零点)で消える。消し方はガスが吹き付ける(高い電圧)、真空が散らす(低い電圧・静か)、空気が吹き付ける(音が大きい)
遮断器アークの消し方特徴
ガス遮断器(がすしゃだんき)(GCB)SF₆ガスを圧縮して、アークに吹き付ける空気遮断器(くうきしゃだんき)より静かで小型。遮断性能が高く、高い電圧に使う
真空遮断器(しんくうしゃだんき)(VCB)真空の中で接点を開き、アークの金属蒸気を散らす空気遮断器より静かで小型・軽量。ガス遮断器より低い電圧に使う
空気遮断器(ABB)圧縮空気を、アークに吹き付ける開閉の音が大きく、大型。保守は容易
油遮断器(あぶらしゃだんき)(OCB)絶縁油の中で接点を開き、油で消す静かで構造が簡単。火災に注意する
磁気遮断器(MBB)遮断する電流の磁力で、アークをアークシュートに押し込む高い頻度の開閉に耐え、保守が容易

遮断器は、接点の間に出るアークを交流の電流零点で消して、電流を切ります。GISは、SF₆ガスを大気圧より高い圧力で詰めた金属の容器に機器をまとめ、小さくした装置です。

よくある誤り正しくは
直流には電流零点が無いので、交流より遮断しやすい逆。交流は電流が周期的に0になり、そこでアークを消せる。直流は遮断が難しい
真空遮断器は、空気遮断器より開閉の音が大きい音が大きいのは、圧縮空気を外へ吹き出す空気遮断器。真空遮断器の音は、機構の動く音くらい
GISの絶縁ガスは、大気圧以下のSF₆大気圧を超える圧力で使う。大気圧以下で使うことはない
GISは密閉されているので、内部で事故が起きても復旧が早い中を直接目で点検できず、内部の事故の復旧には時間がかかる
  • 遮断器は、ふだんの負荷電流の開閉に加え、短絡(たんらく)や地絡の事故の電流を切って、事故の所を系統から切り離します。断路器(だんろき)と違い、電流が流れたままでも動かせます。負荷開閉器(ふかかいへいき)は、負荷電流までしか切れません。
  • 短絡は、違う相の電線どうしがつながり、大きな電流が流れる状態です。地絡は、電線が大地につながり、電流が大地へ漏れる状態です。
  • 気体の絶縁が破れると、1万 ℃を超える熱と光を伴う電流が流れます。これがアークで、アークを消すことを消弧(しょうこ)と呼びます。
  • 接点が開いても、電流はアークを通って流れ続けます。交流の電流は向きを変えるたびに0になるので、接点が十分に開いたあとの電流零点で消します。
  • 電圧の高い系統では、真空遮断器よりガス遮断器が広く使われます。真空遮断器は主に6.6 kVの配電線用で、特別高圧では22 kV程度までです。

真空遮断器と、ガス絶縁開閉装置(GIS)

  • 真空遮断器の電極は、真空バルブの中にあります。可動部をベローズで覆って真空を保ち、アークシールドでアークの金属蒸気を吸い付けます。
  • 真空遮断器は電極の寿命が長く、保守も容易です。SF₆ガスや油を使わず、多い回数の開閉にも向きます。
  • 真空遮断器は開閉サージが高くなることがあり、そのときは避雷器などで、つながる機器を守ります。
見る所ガス絶縁開閉装置(GIS)の中身
しくみ断路器・遮断器・避雷器・計器用変成器・変流器(へんりゅうき)・母線などを金属の容器に収め、SF₆ガスを封入する
大きさ機器を1つの容器にまとめ、変電所の用地と体積を大幅に縮める。電圧が高いほど縮む割合が大きい
信頼性天候・塩害・塵埃(じんあい)の影響を受けにくい。大都市の地下変電所や、塩害の対策に向く
安全SF₆は不燃性・不活性。充電部が密閉され、金属の容器は接地されるので、感電しにくい
工期工場で組み立てて検査してから運ぶので、据付(すえつけ)の工期が短い
短所中の機器を直接目で点検できず、内部の事故の復旧時間が長い。点検のときはガスの回収も要る
  • 充電部を支える絶縁物(スペーサ)には、エポキシ樹脂などの固体の絶縁物を使います。磁器がいしではありません。
  • SF₆(六ふっ化硫黄(ろくふっかいおう))は、無色・無臭・無毒で、化学的に安定です。絶縁の強さは、平等な電界で同じ圧力の空気の約3倍、アークを消す力は空気の約100倍です。
  • GISでは、SF₆をゲージ圧で0.4〜0.5 MPa程度(約4〜5気圧)で使うことが多くなります。窒素ガスではありません。
  • SF₆は温室効果ガスなので、使う量を減らし、保守や廃棄のときに回収します。我が国では、大部分が回収されています。
  • 金属の異物が容器に入ると、絶縁の性能が下がります。製造や据付のときに、入らないよう注意します。
気中絶縁とGIS:気中は離れた設備の間隔で絶縁し、GISは円形の容器の中にガスを詰めて小さくまとめて中は見えない。SF₆の絶縁の強さは空気の約3倍で、さらに高い圧力で詰めて強くできる

関連:断路器・負荷開閉器・ヒューズ|避雷器と絶縁協調

断路器・負荷開閉器・ヒューズ ── 切れる電流の大きさで使い分ける

開閉器の使い分け:断路器は充電電流くらい、負荷開閉器は負荷電流まで、遮断器は短絡電流まで切れ、電力ヒューズは短絡電流の範囲を受け持つ。操作は止めるときが遮断器→断路器、入れるときが断路器→遮断器の順
開閉器切れる電流主な役目
断路器(DS)電流が流れていないとき(無負荷)だけ開閉する。切れるのは充電電流くらい点検・修理のとき回路を電源から切り離す。接続を変える
負荷開閉器(LBS)負荷電流・変圧器の励磁電流など、定格電流以下ふだんの負荷の入り切り。短絡電流は切れない
遮断器(CB)負荷電流から、短絡電流・地絡電流まで保護継電器と組み、事故の電流を自動で切る
電力ヒューズ(でんりょくひゅーず)(PF)短絡電流が流れると溶けて切る負荷開閉器と組み合わせて、短絡から守る

断路器は電流を切れないので、止めるときは遮断器を開いてから断路器を開きます。入れるときは逆に、断路器を閉じてから遮断器を閉じます。

よくある誤り正しくは
断路器の種類によっては、短い線路や母線の地絡電流を遮断できる切れるのは、短い線路や母線の充電電流くらい。地絡電流のような事故の電流は切れない
点検のとき回路を電源から切り離すのは、遮断器断路器。遮断器は、負荷電流の入り切りと事故の電流の遮断に使う
負荷開閉器は、短絡電流も遮断できる切れるのは定格電流以下まで。短絡電流は電力ヒューズで切る
高圧カットアウトのヒューズは、雷サージのような短時間の大電流でもすぐ溶ける雷サージのような短時間の大電流からは守らない。受け持つのは過負荷・短絡と、変圧器の内部の故障
  • 断路器は、定格電圧のもとで、充電されただけの電路を開閉する開閉器です。負荷電流の開閉は、もともと受け持ちません。
  • 断路器には消弧の装置がありません。負荷電流が流れたまま開くと接触子の間にアークが出て、焼損や短絡事故、人身事故になります。
  • 断路器は電源の側(一次側)、遮断器は負荷の側(二次側)に置き、組にして使います。断路器は、負荷電流や事故の電流を流しておくこと(通電)はできます。
  • インタロックは、遮断器が入っている間は、断路器を開閉できなくするしくみです。操作の順番の間違いを防ぎます。
  • 開閉の「開」は開放・切る、「閉」は投入・入れると言います。事故で自動で開くことを「動作する」、それを閉じ直すことを「再投入」と言います。

受電設備と配電線の開閉器

開閉器置き場所と役目
PF・S形の主遮断装置高圧の受電設備で、電力ヒューズと負荷開閉器を組み合わせる。短絡はヒューズで切る
CB形の主遮断装置遮断器と過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)で、過負荷も短絡も切る。容量の大きい受電設備に使う
区分開閉器(くぶんかいへいき)配電線を区間ごとに切り離す。負荷電流は切れるが、短絡の電流は切れない
高圧カットアウトヒューズを内蔵し、柱上変圧器の一次側に置く。変圧器の開閉と、過負荷・短絡の保護
  • PF・S形は、容量の小さい受電設備に使います。過負荷くらいの電流は過電流継電器と負荷開閉器で、短絡のような大きな電流はヒューズで切ります。
  • 柱上開閉器には気中形・真空形・ガス形があり、手動で操作するものと、制御器で自動で動くものがあります。
  • 配電線の開閉器は、主に事故や作業のとき、その部分だけを切り離すのに使います。

関連:遮断器とガス絶縁開閉装置|保護継電器

避雷器と絶縁協調 ── 雷サージを制限電圧に抑え、絶縁をその上に置く

避雷器の働き:避雷器なしでは雷サージの頭が絶縁の強さの線に届くが、酸化亜鉛形の避雷器は電圧を制限電圧に抑え、サージが過ぎると避雷器を流れる電流は止まって続流がない
語意味
外部過電圧(がいぶかでんあつ)雷による過電圧(雷サージ電圧)。直撃雷(ちょくげきらい)によるものと、誘導雷(ゆうどうらい)によるものがある
内部過電圧(ないぶかでんあつ)回路の開閉で出る開閉サージ電圧と、地絡のときなどに出る短時間の交流の過電圧
制限電圧(せいげんでんあつ)避雷器が放電している間に、避雷器の両端子に残る電圧
続流(ぞくりゅう)放電が終わったあとも、系統から避雷器へ流れ続けようとする交流の電流
絶縁協調(ぜつえんきょうちょう)機器の絶縁の強さを制限電圧より上に決め、絶縁を経済的・合理的に設計すること

避雷器は、過電圧の波高値がある値を超えたときだけ大地へ放電し、機器にかかる電圧を制限電圧に抑えます。機器の絶縁の強さを制限電圧より上に決めるのが、絶縁協調です。

よくある誤り正しくは
避雷器は、直撃雷の侵入を防ぐために置く直撃雷は防げない。入ってきた過電圧を放電で制限して、機器の絶縁を守る
絶縁協調は、外部過電圧そのものの大きさを小さくすること雷サージの大きさは小さくできない。制限電圧と機器の絶縁の強さを合わせて設計する
避雷器が放電のあとに遮断するのは、制限電圧遮断するのは続流。制限電圧は、放電の間に残る電圧
避雷器の特性要素はSF₆で、動くかどうかは波頭長で決まる特性要素は酸化亜鉛(ZnO)。動くかどうかは、過電圧の波高値(山の高さ)で決まる
  • 避雷器は、雷や回路の開閉による過電圧を放電で制限して絶縁を守り、続流を短い時間で切って元の状態に戻る装置です。線と大地の間につなぎます。
  • 続流が流れ続けると、地絡と同じ状態になります。だから放電のあとは、続流をなるべく早く切ります。
  • 波高値(はこうち)は山の高さ、波頭長(はとうちょう)は山が立ち上がるまでの時間です。避雷器が動くかどうかは、波高値で決まります。
  • 高圧の受電設備では、引込口などに避雷器を置き、接地工事を施します(接地工事の種類は法規の論点)。

酸化亜鉛形と、ギャップレス避雷器

素子電圧と電流の関係構造
炭化けい素(SiC)電圧に応じて電流がなだらかに増えるすきま(ギャップ)を直列に付け、過電圧でギャップに放電させる
酸化亜鉛(ZnO)低い電圧ではほとんど流れず、ある電圧を超えると急に流れるギャップを省けるので、ギャップレス避雷器にできる
  • 電圧が低い間はほとんど流れず、ある電圧を超えると急に流れる性質を、非直線特性と呼びます。非線形の抵抗特性とも言います。
  • 酸化亜鉛形は、ふだんの電圧ではほとんど電流を流しません。だから続流がほとんど流れず、直列のギャップを省けます。
  • 発変電所では、酸化亜鉛形のギャップレス避雷器が主流です。大きな放電電流に耐え、放電の遅れも無いからです。直列ギャップ付きは、配電用に多く使われます。
  • 避雷器の特性は、主に放電を始める電圧と制限電圧で表します。

絶縁協調の考え方

  • 考えられるすべての過電圧に耐える絶縁は、費用の面で現実的ではありません。避雷器で制限電圧を設け、機器の絶縁の強さをその上にします。
  • こうして、機器の絶縁の強さの設計だけでなく、発変電所の中の機器の配置も、経済的・合理的に決めます。
  • 発変電所の避雷器が受け持つのは、雷による過電圧と、開閉による過電圧です。
  • 開閉サージなどの内部過電圧には、送電線でも発変電所の機器でも、絶縁そのもので耐えるのが原則です。雷による外部過電圧まで、架空送電線の絶縁だけで受け止めることは必ずしも求めません。
  • 発変電所の機器は、雷サージを避雷器が制限電圧まで抑えることを前提に、絶縁の強さを決めます。どこまで守れるか(保護レベル)の基準は、制限電圧です。
避雷器と絶縁の費用:雷サージの高さに合わせて機器の絶縁を決めると費用が大きいが、避雷器で抑えた制限電圧を基準にすれば機器の絶縁は制限電圧の少し上で足りる
  • 送電線の雷の対策(架空地線(かくうちせん)・アークホーン)は、架空送電線路の論点で扱います。

関連:遮断器とガス絶縁開閉装置|断路器・負荷開閉器・ヒューズ

計器用変成器 ── 変流器は二次を開かず、計器用変圧器は短絡しない

変流器と計器用変圧器:変流器は電線に直列につなぎ、二次側を開いてはいけず、開くと尖った高い電圧の波形が出る。計器用変圧器は電線に並列につなぎ、二次側を短絡してはいけない
比べる所変流器(CT)計器用変圧器(VT)
変えるもの大きい電流を、小さい電流に高い電圧を、低い電圧に
一次のつなぎ方測る線路に直列線と線の間(または線と大地の間)に並列
巻数一次を少なく、二次を多く。電流は巻数の逆の比一次を多く、二次を少なく。電圧は巻数の比
定格の二次5 Aか1 A110 V
二次の負荷インピーダンスの低い負荷(ほぼ短絡)インピーダンスの高い負荷(ほぼ開放)
してはいけないこと一次に電流が流れたまま、二次を開く二次を短絡する

変流器は二次を開くと高い電圧が出るので、二次はインピーダンスの低い負荷につないだままにします。計器用変圧器は逆に、二次を短絡してはいけません。

言葉の式 二次電流 ÷ 一次電流 = 一次の巻数 ÷ 二次の巻数

N1N2=I2I1

N1:一次の巻数〔回〕 N2:二次の巻数〔回〕 I1:一次電流〔A〕 I2:二次電流〔A〕

よくある誤り正しくは
変流器の二次には、インピーダンスの高い負荷をつなぐインピーダンスの低い負荷。高くすると開放に近づき、定格負担も超える
変流器の一次は、測る線路に並列につなぐ直列。並列につなぐのは計器用変圧器
変流器の二次を開くと、銅損が大きくなって焼ける二次に高い電圧が出て、鉄損が大きくなる。絶縁が破れて焼損するおそれがある
計器用変圧器の計器を外すときは、先に二次を短絡する先に短絡するのは変流器。計器用変圧器の二次を短絡すると、二次巻線に大きな電流が流れて焼ける
  • 計器用変成器は、高い電圧や大きい電流を、計器(メータ)や保護継電器(リレー)が扱える大きさに変えます。計器用変圧器と変流器の2つがあります。
  • 計器用の変流器は、JISではたんに変流器と呼びます。計器用変圧器は、ふつうの変圧器と区別して必ずこの名前で呼びます。
  • 変流器では、一次と二次の巻数×電流(アンペアターン)が等しくなります。だから電流の比は、巻数の比の逆です。
  • 一次に電流が流れたまま二次を開くと、二次の電流が止まり、一次の磁束(じそく)を打ち消すものが無くなります。一次の電流がすべて励磁電流になって鉄心が飽和し、二次に高い電圧が出ます。
  • 工場・現場では、盤の電流計や継電器を外すとき、先に変流器の二次を試験端子で短絡してから外します。

地絡を見つける変流器と、取引用の計器用変成器

  • 零相変流器(れいそうへんりゅうき)は、3相の電線をまとめて鉄心に通し、地絡のときの電流の不平衡を見つけます。ふつうの変流器は1本の電線を通し、短絡の保護に使います。
  • ふだんは3相の電流の和(ベクトルの和)が0なので、二次に電流は出ません。地絡で不平衡になると二次に電流が出て、保護継電器が遮断器を開きます。
  • 地絡のときに流れる電流を、零相電流(れいそうでんりゅう)と呼びます。三相短絡は平衡なので、零相変流器の二次には電流が出ません。
  • 電力需給用計器用変成器(でんりょくじゅきゅうようけいきようへんせいき)(VCT)は、計器用変圧器と変流器をまとめた物です。電力量計と組み合わせて、取引の電力量を量ります。
変流器の二次を開く危険:二次をつないでいると鉄心の磁束は小さい向きのまま、二次を開くと鉄心の磁束が大きくなり、二次に尖った高い電圧が出る

解き方:変流器の二次電流と、二次回路のインピーダンス

  • ① 最初の一手は、変流比で一次の電流を二次の電流に直すことです。変流比400/5なら、一次が400 Aのとき二次は5 Aです。
  • ② 計器や継電器の計算は、二次の電流で行います。
  • ③ 変流器の二次につなぐ負荷を負担と呼び、定格負担は定格二次電流で負荷が使う皮相電力(ひそうでんりょく)〔V·A〕です。
  • ④ 二次回路のインピーダンスは、定格負担÷定格二次電流の2乗以下にします。電流を2乗し忘れないようにします。

言葉の式 二次回路のインピーダンス = 定格負担 ÷ (定格二次電流)²

Z=SnIn2

Z:二次回路(計器と配線)のインピーダンスの上限〔Ω〕 Sn:定格負担〔V·A〕 In:定格二次電流(1 A または 5 A)〔A〕

説明用の例です。変流比400/5の変流器に、一次で300 Aが流れています。定格負担は40 V·A、定格二次電流は5 Aです。

I2=300 A×5 A400 A=3.75 A

I1:変流器の一次電流〔A〕 I2:変流器の二次電流〔A〕 I1n:一次定格電流〔A〕 I2n:二次定格電流〔A〕

Z=40 V·A(5 A)2=1.6 Ω
  • 計器と配線のインピーダンスの合計は、1.6 Ω以下にします。5 Aで割るだけだと8 Ωになり、外れます。

関連:保護継電器|分流器と倍率器

保護継電器 ── 事故点にいちばん近い遮断器だけが先に切れるよう整える

保護協調:反限時特性の3本の曲線で継電器1・2・3の動作時間はタップ整定電流の倍数が大きいほど短くなり、事故点にいちばん近い継電器3は0.20 sで動いて、いちばん近い遮断器だけが切れる
継電器動くとき主な使い道
過電流継電器電流が設定した値を上回ったとき短絡は瞬時に、過負荷は一定の時間のあとに切る
不足電流・不足電圧継電器(ふそくでんあつけいでんき)電流や電圧が設定した値を下回ったとき電流や電圧が下がったことを見つける
地絡継電器(ちらくけいでんき)零相変流器で見つけた地絡電流が、設定した値を上回ったとき地絡の保護
地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき)零相電流の大きさと、零相電圧に対する位相ケーブルが長い所で、不必要な動作を防ぐ
差動継電器保護する区間に入る電流と、出る電流の差変圧器の保護(一次と二次の電流の差)
比率差動継電器(ひりつさどうけいでんき)電流の比(誤差で動くのを防ぐ)差動継電器の一種で、変圧器の保護
ブッフホルツ継電器急な油の流れや、分解ガスの量油入変圧器の内部の故障を、機械的に見つける

保護継電器は事故を見つけて遮断器に切る信号を送り、電源に近いものほど動作を遅く整定します。すると、事故点にいちばん近い遮断器だけが先に切れます。

言葉の式 タップ整定電流の倍数 = 継電器に流れる二次電流 ÷ 電流タップ値

n=I2Itap

n:タップ整定電流の倍数〔倍〕 I2:継電器に流れる電流(変流器の二次電流)〔A〕 Itap:電流タップ値〔A〕

言葉の式 動作時間 = タイムレバー10 のグラフの時間 × タイムレバーの位置 ÷ 10

t=t10×L10

t:動作時間〔s〕 t10:タイムレバー10 のときの動作時間(グラフから読む)〔s〕 L:タイムレバーの位置

よくある誤り正しくは
事故のとき、電源に近い配電用変電所の継電器を先に動かす先に動くのは事故点にいちばん近い継電器。需要家の構内の事故なら、需要家の継電器が先
タイムレバーを10から3にすると、動作時間は10/3倍に長くなる動作時間はレバーの位置に比例し、3/10倍に短くなる
継電器の信号で開くのは断路器で、事故のあと一定時間で行うのは点検開くのは遮断器。架空送電線では、一定時間のあと再閉路(さいへいろ)で送電を戻す
右下がりの2本の曲線は、左の端が高いほうが反限時定限時曲線は途中で交わることがある。右の端で横ばいになるほうが、反限時定限時
  • 保護継電器(ほごけいでんき、保護リレー)は、計器用変成器を通して系統の故障を見つけます。すばやく切り離す信号を遮断器に送り、切るのは遮断器です。
  • 限時(げんじ)は、異常を見つけてから動作するまでの時間です。一瞬の過電流のたびに切ると停電が増えるので、限時特性を使います。
  • 主保護は、事故のときにはじめに動作して設備を守ります。後備保護は、主保護が働かないときに、遅れて動作して守ります。
  • 動作時間や動作する電流の値を決めることを整定(せいてい)、決めた値を整定値と呼びます。
  • 保護協調(ほごきょうちょう)は、故障の系統だけを切り離すよう、各継電器の動作時間や動作電流をそろえることです。需要家の継電器は、配電用変電所の継電器より先に動くように整定します。

限時特性の4つ、地絡の保護と再閉路

限時特性動作時間主な使い道
瞬時特性(しゅんじとくせい)電流の大きさによらず、すぐ動く変圧器の内部の短絡(瞬時の要素を付けた反限時として)
定限時特性(ていげんじとくせい)電流の大きさによらず、一定の時間で動く変圧器や線路の過負荷の保護
反限時特性(はんげんじとくせい)電流が大きいほど、早く動く配電線の短絡の保護
反限時定限時特性(はんげんじていげんじとくせい)小さい電流では反限時、大きい電流では一定の時間保護区間が直列に多く、時間の差をつけにくい所
  • グラフに横一定の線が2本あれば、低いほうが瞬時、高いほうが定限時です。右下がりの曲線は、右の端まで下がり続けるほうが反限時です。
  • 6.6 kVの非接地方式(ひせっちほうしき)の配電線では、母線に地絡過電圧継電器(ちらくかでんあつけいでんき)を置き、零相電圧で地絡を見つけます。零相電圧だけでは、どの配電線の地絡かは分かりません。
  • そこで各配電線には地絡方向継電器を置き、零相電流と零相電圧を組み合わせて事故の配電線を選びます。零相電圧は、接地用変圧器で取り出します。
  • 地絡継電器(地絡過電流継電器)は、向きを見ない無方向の継電器です。構内のケーブルが長いと、構外の地絡でも構内の充電電流で動いてしまうことがあります。
  • 架空送電線の事故の多くは、落雷による気中のフラッシオーバ(ふらっしおーば)です。遮断してアークが消えれば、絶縁が戻ります。
  • そこで一定時間のあと、遮断器を入れ直して送電を戻します。これが再閉路です。
  • 再閉路は、遮断から1秒程度以内の高速、1〜15秒程度の中速、1分程度の低速に分かれます。
継電器の動作時間の比較:同じ事故で継電器3は0.20 s、継電器2は0.39 s、継電器1は0.65 sで動く整定なので、0.20 sで開く遮断器3が先に動き、継電器2と1は0.20 sの時点でまだ途中にある

解き方:電流タップとタイムレバーから、動作時間へ

  • ① 最初の一手は、事故の電流を変流比で二次の電流に直すことです。継電器に流れるのは、変流器の二次の電流です。
  • ② 二次の電流を電流タップの値で割り、タップの何倍かを出します。グラフの横じくは、この倍数です。
  • ③ タイムレバー10のグラフで、その倍数の動作時間を読みます。
  • ④ タイムレバーの位置÷10を掛けます。時間から逆に求めるときは、10÷レバーの位置を掛けてからグラフを読みます。

例の条件を短くまとめます(令和5年度下期 問16(b))。変流比400/5、事故の電流1 800 A、タイムレバーは3です。

0.09 sで動かす電流タップの値を求めます。グラフ(レバー10)では、5倍のとき0.30 sです。

I2=1800 A×5 A400 A=22.5 A

I1:変流器の一次電流〔A〕 I2:変流器の二次電流〔A〕 I1n:一次定格電流〔A〕 I2n:二次定格電流〔A〕

  • レバー10に直すと、0.09×10÷3=0.30 sです。グラフで0.30 sになるのは、5倍のときです。
  • 電流タップの値は、22.5÷5=4.5 Aです。倍数の式で確かめます。
n=22.5 A4.5 A=5 倍
  • 3/10倍してからグラフを読むと、0.027 sになってグラフで読めず、外れます。

次の例の条件です(令和元年度 問8)。変流比1 000/5、電流タップ5 A、タイムレバー1です。三相短絡の電流は約6 005 Aで、グラフでは6倍のとき3.8 sです。

  • 継電器の電流は、6 005×5÷1 000≒30 Aです。タップの倍数は、次のとおり6倍です。
n=30 A5 A=6 倍
t=3.8 s×110=0.38 s
  • レバー1なので3.8 sの1/10で、約0.38 sです。短絡の電流は、%インピーダンスから求めます(電力の計算の論点)。

関連:計器用変成器|断路器・負荷開閉器・ヒューズ

変電所の役割と調相設備 ── 重い負荷にはコンデンサ、軽い負荷にはリアクトル

受電端電圧の調整:何も入れないと軽い負荷で上限を上回り重い負荷で下限を下回るが、重い負荷ではコンデンサを入れて上限と下限の間へ上げ、軽い負荷では分路リアクトルを入れて間へ下げる
調相設備働き調整のしかた
電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ)力率を進める。重い負荷のとき入れて、電圧が下がるのを抑える段階的(入れるか切るか)
分路リアクトル(ぶんろりあくとる)力率を遅らせる。軽い負荷のとき入れて、電圧が上がるのを抑える段階的(入れるか切るか)
同期調相機(どうきちょうそうき)無負荷で運転する同期電動機。界磁電流を増やすと進み、減らすと遅れになる連続的。回転機なので保守に手間がかかり、騒音があり、高価
静止形無効電力補償装置(せいしけいむこうでんりょくほしょうそうち)(SVC)進みも遅れも。半導体スイッチ(サイリスタ)でリアクトルの電流を調整する連続的で速い。運転と保守の面でも、同期調相機より優れる

重い負荷で電圧が下がるときは電力用コンデンサ、軽い負荷で電圧が上がるときは分路リアクトルを入れます。調相設備は負荷と並列につなぎ、無効電力を調整して受電端の電圧を保ちます。

言葉の式 電圧降下 ≒ √3 × 電流 ×(抵抗 × cosθ + リアクタンス × sinθ)

v≒3I(Rcosθ+Xsinθ)

v:電圧降下〔V〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 X:線路リアクタンス(1線あたり)〔Ω〕 θ:負荷の力率角(遅れ)〔rad または °〕

よくある誤り正しくは
軽い負荷のとき電力用コンデンサ、重い負荷のとき分路リアクトルを入れる逆。重い負荷にコンデンサ、軽い負荷に分路リアクトルを入れる
送電線の有効電力の損失は、電圧に反比例する同じ電力・同じ力率なら、電圧の2乗に反比例する。電圧を高めにすると損失が減る
同期調相機は電機子電流を、SVCは半導体整流装置で調整する同期調相機は界磁電流を加減し、SVCは半導体スイッチでリアクトルの電流を調整する
調相設備は、負荷と直列につなぐ負荷と並列につなぐ
  • 調相設備(ちょうそうせつび)は、受電端の電圧を一定に保つため、無効電力を調整して力率を改善する設備です。電圧を保つほか、損失を減らし、系統の安定度を上げます。
  • 負荷の多くは遅れの無効電力をとります。重い負荷では遅れの無効電力が送電線を流れ、受電端の電圧が下がります。
  • 電力用コンデンサは、負荷の遅れの無効電力を打ち消し(遅れの無効電力を出し)、送電線の電圧降下を小さくします。
  • 夜間などの軽い負荷では、送電線やケーブルの静電容量の進みの無効電力で、受電端の電圧が上がります(フェランチ効果(ふぇらんちこうか))。分路リアクトルで遅れの無効電力をとらせ、上昇を抑えます。
  • 遅れは遅相・誘導性、進みは進相・容量性とも言います。電圧は、負荷時タップ切換変圧器のタップや、発電機の励磁でも調整します。タップの切換は電圧の調整で、無効電力の調整ではありません。
  • 同期調相機の界磁電流と電機子電流の関係(V曲線)は、機械の同期電動機の論点で扱います。

式で見る、力率と電圧と損失

  • 皮相電力S・有効電力P・無効電力Qは直角三角形をつくります。力率は、有効電力を皮相電力で割った値です。力率を改善するとは、Qを0に近づけて力率を1に近づけることです。
  • 遅れのQが大きいときは電力用コンデンサで進ませ、進みのQが大きいときは分路リアクトルで遅らせます。同期調相機とSVCは、どちらの向きにも動かせます。

言葉の式 線路損失 = 3 × 電流² × 線路抵抗

p=3I2R=P2R(Vrcosθ)2

p:線路損失〔W〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 cosθ:負荷力率

  • 電圧降下は、(RP+XQ)÷Vrとも書けます。有効電力Pが変わっても、無効電力Qを調整すれば受電端の電圧を一定にできます。
  • 線路リアクタンスの大きい送電線ほど、Qの項が効きます。受電端でコンデンサを並列に入れると、受電端の電圧が上がります。
  • 同じ電力・同じ力率で電圧を1.1倍にすると、損失は1÷1.1²≒0.83倍になります。「電圧に反比例」なら0.91倍で、答えが違います。
  • 電力用コンデンサの容量を求める計算は、電力の計算の論点(力率改善(りきりつかいぜん))で扱います。
電圧降下とコンデンサ:送電端から抵抗R・リアクタンスXを経た受電端にコンデンサを入れた回路で、電圧降下は(RP+XQ)÷Vrで近似でき、送電端と受電端の電圧の差にRPの分がある

変電所の役割と分類、名前の似たリアクトル

役割すること
変成変圧器で昇圧・降圧し、送電や配電に合った電圧にする
電圧の調整調相設備や負荷時タップ切換変圧器で、負荷の変化に合わせる
電力潮流の調整開閉装置で系統を切り換え、局所的な過負荷の運転を避ける
系統の保護短絡・地絡のとき、保護継電器と遮断器で事故の回線を切り離し、波及を防ぐ
分け方変電所の例
用途送電用変電所・配電用変電所・周波数変換所
電圧超高圧変電所・一次変電所・二次変電所・配電用変電所
監視と制御常時監視・断続監視・遠隔監視・簡易監視の各制御変電所
形式屋外式・屋内式・半屋内式・地下式・移動式
  • 変電所は、発電所やほかの変電所から送られた電気の電圧や周波数を変え、需要家やほかの変電所へ送り出す施設です。
  • 50 Hz(ヘルツ)の東日本と60 Hzの西日本の連系には、周波数変換所を使います。北海道と本州の連系は直流送電なので、交直変換所を使います。
リアクトルつなぎ方目的
分路リアクトル母線や変圧器の二次・三次に並列遅れの無効電力をとり、軽い負荷のときの電圧の上昇を抑える
直列リアクトル(ちょくれつりあくとる)電力用コンデンサと直列入れたときの突入電流と、高調波の広がりを抑える
限流リアクトル(げんりゅうりあくとる)守る機器と直列事故のときの大きな電流を抑える
消弧リアクトル(しょうこりあくとる)変圧器の中性点と大地の間1線地絡のアークの電流を打ち消して消す
補償リアクトル中性点の接地抵抗器と並列ケーブルの対地充電電流を打ち消す
  • 調相設備に数えるのは、分路リアクトルです。目的の違うリアクトルや、負荷時タップ切換変圧器と取り違えないようにします。

関連:交流電力と力率|変圧器の結線と保全

まとめ

変圧器はY結線で中性点を接地し、Δ結線で第3高調波を回して外へ出しません。

遮断器はアークを電流零点で消し、断路器は電流を切れないので、遮断器のあとに開きます。

避雷器・計器用変成器・保護継電器・調相設備が、絶縁と測定と保護と電圧を受け持ちます。

次に読む

参考文献

  • 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH05 変電所の章(SEC01)
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 機械の教科書&問題集』TAC出版 変圧器の章(三相結線とV結線)
  • 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第4章 変電
  • 『電験3種過去問マスタ 法規の20年間』2026年版 電気書院 第4章 施設管理等(キュービクル式高圧受電設備)
  • 第三種電気主任技術者試験 電力・法規 問題(電気技術者試験センター) 平成28年度・平成29年度・平成30年度・令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期

内容の誤りに気づいた方へ:誤りの報告フォーム

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む