最終確認:2026年11月3日
電験三種の電力で、変電所の機器と働きの7つの論点をまとめた辞書です。変圧器の結線から、開閉器・避雷器(ひらいき)・計器用変成器(けいきようへんせいき)・保護継電器・調相設備の順に確かめます。
電力の論点:水力発電①|水力発電②|火力発電①|火力発電②|原子力発電|新エネルギーと分散型電源|変電所|架空送電線路|送電の特性
変圧器の結線と保全 ── Δは第三調波を中で回し、Yは中性点を接地できる

| 結線(一次-二次) | 中性点の接地と第3高調波 | 一次と二次の位相差(いそうさ)・使い道 |
|---|---|---|
| Y-Y結線(すたーすたーけっせん) | 接地できる。接地すると第3高調波が大地へ流れ、誘導障害が出る | 位相差なし。難点が多く、三次巻線を付けて使う |
| Y-Y-Δ結線 | 接地できる。第3高調波は三次のΔの中を回り、外へ出ない | 位相差なし。特別高圧の主変圧器に広く使う |
| Δ-Δ結線(でるたでるたけっせん) | 中性点が無く、接地できない。第3高調波はΔの中を回る | 位相差なし。1台壊れてもV結線で運転できる |
| Δ-Y結線(でるたすたーけっせん) | Y側で接地できる。第3高調波はΔの中を回る | 二次側が30°進む。昇圧に向き、送電端に使う |
| Y-Δ結線 | Y側で接地できる。第3高調波はΔの中を回る | 二次側が30°遅れる。降圧に向き、受電端に使う |
| V結線(ぶいけっせん) | 接地できない | 位相差なし。2台で三相をつくるが、出力(利用率)が小さい |
Y結線は中性点を接地でき、Δ(デルタ)結線は第3高調波の電流を輪の中で回して外へ出しません。だからY-Yには、Δの三次巻線(さんじまきせん)を付けて両方の利点を取ります。
言葉の式 一次電圧 ÷ 二次電圧 = 一次の巻数 ÷ 二次の巻数(= 巻数比 a)
N1:一次の巻数〔回〕 N2:二次の巻数〔回〕 V1:一次電圧〔V〕 V2:二次電圧〔V〕 a:巻数比(変圧比)
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| Y-Yに付ける三次巻線は、Y結線にする | 三次巻線はΔ結線。第3高調波の電流は、Δの輪の中だけを回れる |
| 中性点を接地すると、地絡(ちらく)のときの異常電流を抑えられる | 抑えるのは異常電圧(健全な相の電圧の上昇)。地絡電流が流れるので、保護継電器も確実に動く |
| 第3高調波の電流による通信線の障害は、静電誘導障害 | 電流の磁界が原因なので、電磁誘導障害。静電誘導障害は電圧が原因 |
| 昇圧にはY-Δ、降圧にはΔ-Yが多い | 逆。発電所の昇圧にΔ-Y、配電の降圧にY-Δ(左が一次側、右が二次側) |
- 変圧器(へんあつき)は、巻数の違う一次と二次のコイルを、1つの鉄心に巻いた機器です。電圧の比は巻数の比に等しく、電圧を上げること(昇圧)も下げること(降圧)もできます。計器用変圧器(けいきようへんあつき)も、同じ巻数比の式で電圧を変えます。
- 励磁電流(れいじでんりゅう)には、鉄心の磁気飽和などのため、第3高調波(だいさんこうちょうは)(基本の周波数の3倍の波。第三調波とも書く)が含まれます。3相の第3高調波はそろって同じ向きなので、Δの輪の中なら回れます。
- Y結線の中性点接地(ちゅうせいてんせっち)をすると、1線地絡のときに健全な相の電圧が上がるのを抑え、電線路と機器の絶縁を低くできます。地絡電流が流れるので、保護継電器が遮断器(しゃだんき)を確実に開かせます。
- Y-Yで中性点を接地すると、第3高調波の電流が線路の静電容量を通って大地へ流れます。通信線に電磁誘導障害を起こします。
- 接地しなければ通り道が無く、相電圧(そうでんあつ)が第3高調波を含むひずんだ波になります。線間電圧には現れません。三次巻線は安定巻線とも呼び、調相設備や所内電源をつなぐのにも使います。
V結線と結線の使い分け、鉄心と保全
言葉の式 V結線の出力 = √3 × 変圧器1台の定格容量
PV:V結線の出力〔kV·A〕 P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕
言葉の式 利用率 = V結線の出力 ÷ 設備容量(2台分)
P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕
言葉の式 出力比 = V結線の出力 ÷ Δ-Δ結線(3台)の出力
P:変圧器1台の定格容量〔kV·A〕
- V結線は、単相変圧器2台で三相をつくる結線です。Δ-Δの1台が壊れたとき、残りの2台をV結線にして運転を続けられます。
- V結線では、線の電流がそのまま巻線に流れ、力率(りきりつ)1の負荷でも巻線の電圧と電流が30°ずれます。そのため1台の容量をPとすると、出力は2Pではなく√3Pです。
- 利用率は、V結線の出力÷2台の容量で、√3/2(約0.866)です。出力比は、V結線の出力÷Δ-Δ(3台)の出力で、1/√3(約0.577)です。分母が違うので、取り違えに注意します。
- 1台100 kV·Aの変圧器2台なら、V結線で出せるのは次の値です。Δ-Δ(3台)なら300 kV·Aです。
- 2台で済むので、電柱への設置が簡素になります。利用率が低く各相の電圧降下(でんあつこうか)もそろわないので、負荷が軽いときや1台が壊れたときの応急に使います。
- 電灯と動力の共用の変圧器は、電灯と動力の両方の電流が流れます。そのため、動力だけの変圧器より容量を大きくします。
- 容量の違う2台のV結線で、三相負荷と単相負荷を一緒に受ける型もあります。単相負荷をつないだ側の変圧器には、三相負荷の電流と単相負荷の電流が重なって流れます。
- 三相負荷の力率は相電圧と、単相負荷の力率は線間電圧と比べた位相(いそう)で決まります。この2つの電流は、ベクトルで足します(同じ位相になれば大きさをそのまま足します)。その和がその変圧器の容量を超えない範囲で、単相負荷の最大を求めます。

| 結線 | 実際の使い方 |
|---|---|
| Δ-Y | 発電所の昇圧。Δ側に発電機、Y側を系統につなぐ。並行運転をしないので、30°のずれは困らない |
| Y-Δ | 配電用の降圧。Y側を高い電圧、Δ側を低い電圧につなぐ。低い電圧の側では接地できない |
| Y-Y-Δ | 配電用や、275 kVと154 kVのような違う電圧の系統の連系。両側で接地でき、位相のずれも無い |
| Δ-Δ | 中性点の接地が要らない所の配電用。第3高調波や地絡の電流がΔの中を回る |
- Δ-YでもY-Δでも、Y結線を高い電圧の側に使うのがふつうです。Yの巻線は絶縁を低くでき、外形を小さく、軽く、安くできます。
- 鉄心には、鉄にケイ素を混ぜたケイ素鋼と、非結晶のアモルファス合金が使われます。アモルファス合金は鉄損が少なく腐食に強い一方、加工しにくく高価です。
- 絶縁を被せた薄い鋼板を積み重ねた積層鉄心(せきそうてっしん)で、渦電流損(うずでんりゅうそん)(鉄損の一部)を減らします。渦電流損は、板の厚さの2乗に比例します。
- 負荷時タップ切換変圧器(ふかじたっぷきりかえへんあつき)は、負荷をつないだままタップを切り換えて変圧比を変え、二次側の電圧を一定に保ちます。停電させずに電圧を調整できます。
| 点検・測定 | 何を調べるか |
|---|---|
| 巻線の絶縁抵抗(ぜつえんていこう)と誘電正接(ゆうでんせいせつ)(tanδ)の測定 | 巻線の絶縁の劣化。鉄心の材料の劣化を見るものではない |
| 絶縁油(ぜつえんゆ)の油中ガス分析(ゆちゅうがすぶんせき) | 変圧器の内部の異常の診断 |
| 部分放電の測定 | 絶縁が破れる前ぶれ。部分放電は絶縁破壊の前に出ることが多い |
| 目視点検と油面計 | ガスケットの劣化による漏油(ろうゆ) |
- 予防保全は、運転を続けることと、事故を防ぐことが目的です。
- 測定の名前と、調べる場所を入れ替えた文に注意します。絶縁抵抗と誘電正接は、巻線の絶縁を見ます。
- 油入変圧器の内部の故障を、油の急な流れやガスで見つける継電器もあります(保護継電器の論点)。
解き方:Δ-Δの変圧器から、負荷の電力へ
- ① 最初の一手は、一次側か二次側か、同じ側の線間電圧と線電流の組を決めることです。一次と二次の量を混ぜません。
- ② Δ-Δは線間電圧が相電圧と等しいので、変圧比をそのまま線間電圧に使えます。理想変圧器なら、電流は電圧と逆の比になります。
- ③ 三相電力は、√3×線間電圧×線電流×力率です。
- ④ Wで出た値を1 000で割って、kWにします。
言葉の式 三相有効電力 = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率
P:有効電力〔W〕 V:線間電圧〔V〕 I:線電流〔A〕 cosθ:力率
例の条件を短くまとめます(平成30年度 問8)。単相変圧器3台をΔ-Δにし、定格電圧は6 600 V/210 Vです。一次の線電流は20 A、二次の線間電圧は200 V、負荷の力率は0.8です。
- 二次の線電流は、20×6 600÷210≒628.6 Aです。電流は、電圧が低い側ほど大きくなります。
- 負荷の電力は、√3×200×628.6×0.8≒1.742×10⁵ Wで、約174 kWです。
- 一次側でも計算できます。一次の線間電圧は200×6 600÷210≒6 286 Vで、20 Aと組むと同じ約174 kWです。
- √3を落とすと約101 kW、力率を掛け忘れると約218 kWになり、外れます。
遮断器とガス絶縁開閉装置 ── アークを電流零点で消す。GISはSF₆で小さく

| 遮断器 | アークの消し方 | 特徴 |
|---|---|---|
| ガス遮断器(がすしゃだんき)(GCB) | SF₆ガスを圧縮して、アークに吹き付ける | 空気遮断器(くうきしゃだんき)より静かで小型。遮断性能が高く、高い電圧に使う |
| 真空遮断器(しんくうしゃだんき)(VCB) | 真空の中で接点を開き、アークの金属蒸気を散らす | 空気遮断器より静かで小型・軽量。ガス遮断器より低い電圧に使う |
| 空気遮断器(ABB) | 圧縮空気を、アークに吹き付ける | 開閉の音が大きく、大型。保守は容易 |
| 油遮断器(あぶらしゃだんき)(OCB) | 絶縁油の中で接点を開き、油で消す | 静かで構造が簡単。火災に注意する |
| 磁気遮断器(MBB) | 遮断する電流の磁力で、アークをアークシュートに押し込む | 高い頻度の開閉に耐え、保守が容易 |
遮断器は、接点の間に出るアークを交流の電流零点で消して、電流を切ります。GISは、SF₆ガスを大気圧より高い圧力で詰めた金属の容器に機器をまとめ、小さくした装置です。
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 直流には電流零点が無いので、交流より遮断しやすい | 逆。交流は電流が周期的に0になり、そこでアークを消せる。直流は遮断が難しい |
| 真空遮断器は、空気遮断器より開閉の音が大きい | 音が大きいのは、圧縮空気を外へ吹き出す空気遮断器。真空遮断器の音は、機構の動く音くらい |
| GISの絶縁ガスは、大気圧以下のSF₆ | 大気圧を超える圧力で使う。大気圧以下で使うことはない |
| GISは密閉されているので、内部で事故が起きても復旧が早い | 中を直接目で点検できず、内部の事故の復旧には時間がかかる |
- 遮断器は、ふだんの負荷電流の開閉に加え、短絡(たんらく)や地絡の事故の電流を切って、事故の所を系統から切り離します。断路器(だんろき)と違い、電流が流れたままでも動かせます。負荷開閉器(ふかかいへいき)は、負荷電流までしか切れません。
- 短絡は、違う相の電線どうしがつながり、大きな電流が流れる状態です。地絡は、電線が大地につながり、電流が大地へ漏れる状態です。
- 気体の絶縁が破れると、1万 ℃を超える熱と光を伴う電流が流れます。これがアークで、アークを消すことを消弧(しょうこ)と呼びます。
- 接点が開いても、電流はアークを通って流れ続けます。交流の電流は向きを変えるたびに0になるので、接点が十分に開いたあとの電流零点で消します。
- 電圧の高い系統では、真空遮断器よりガス遮断器が広く使われます。真空遮断器は主に6.6 kVの配電線用で、特別高圧では22 kV程度までです。
真空遮断器と、ガス絶縁開閉装置(GIS)
- 真空遮断器の電極は、真空バルブの中にあります。可動部をベローズで覆って真空を保ち、アークシールドでアークの金属蒸気を吸い付けます。
- 真空遮断器は電極の寿命が長く、保守も容易です。SF₆ガスや油を使わず、多い回数の開閉にも向きます。
- 真空遮断器は開閉サージが高くなることがあり、そのときは避雷器などで、つながる機器を守ります。
| 見る所 | ガス絶縁開閉装置(GIS)の中身 |
|---|---|
| しくみ | 断路器・遮断器・避雷器・計器用変成器・変流器(へんりゅうき)・母線などを金属の容器に収め、SF₆ガスを封入する |
| 大きさ | 機器を1つの容器にまとめ、変電所の用地と体積を大幅に縮める。電圧が高いほど縮む割合が大きい |
| 信頼性 | 天候・塩害・塵埃(じんあい)の影響を受けにくい。大都市の地下変電所や、塩害の対策に向く |
| 安全 | SF₆は不燃性・不活性。充電部が密閉され、金属の容器は接地されるので、感電しにくい |
| 工期 | 工場で組み立てて検査してから運ぶので、据付(すえつけ)の工期が短い |
| 短所 | 中の機器を直接目で点検できず、内部の事故の復旧時間が長い。点検のときはガスの回収も要る |
- 充電部を支える絶縁物(スペーサ)には、エポキシ樹脂などの固体の絶縁物を使います。磁器がいしではありません。
- SF₆(六ふっ化硫黄(ろくふっかいおう))は、無色・無臭・無毒で、化学的に安定です。絶縁の強さは、平等な電界で同じ圧力の空気の約3倍、アークを消す力は空気の約100倍です。
- GISでは、SF₆をゲージ圧で0.4〜0.5 MPa程度(約4〜5気圧)で使うことが多くなります。窒素ガスではありません。
- SF₆は温室効果ガスなので、使う量を減らし、保守や廃棄のときに回収します。我が国では、大部分が回収されています。
- 金属の異物が容器に入ると、絶縁の性能が下がります。製造や据付のときに、入らないよう注意します。

断路器・負荷開閉器・ヒューズ ── 切れる電流の大きさで使い分ける

| 開閉器 | 切れる電流 | 主な役目 |
|---|---|---|
| 断路器(DS) | 電流が流れていないとき(無負荷)だけ開閉する。切れるのは充電電流くらい | 点検・修理のとき回路を電源から切り離す。接続を変える |
| 負荷開閉器(LBS) | 負荷電流・変圧器の励磁電流など、定格電流以下 | ふだんの負荷の入り切り。短絡電流は切れない |
| 遮断器(CB) | 負荷電流から、短絡電流・地絡電流まで | 保護継電器と組み、事故の電流を自動で切る |
| 電力ヒューズ(でんりょくひゅーず)(PF) | 短絡電流が流れると溶けて切る | 負荷開閉器と組み合わせて、短絡から守る |
断路器は電流を切れないので、止めるときは遮断器を開いてから断路器を開きます。入れるときは逆に、断路器を閉じてから遮断器を閉じます。
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 断路器の種類によっては、短い線路や母線の地絡電流を遮断できる | 切れるのは、短い線路や母線の充電電流くらい。地絡電流のような事故の電流は切れない |
| 点検のとき回路を電源から切り離すのは、遮断器 | 断路器。遮断器は、負荷電流の入り切りと事故の電流の遮断に使う |
| 負荷開閉器は、短絡電流も遮断できる | 切れるのは定格電流以下まで。短絡電流は電力ヒューズで切る |
| 高圧カットアウトのヒューズは、雷サージのような短時間の大電流でもすぐ溶ける | 雷サージのような短時間の大電流からは守らない。受け持つのは過負荷・短絡と、変圧器の内部の故障 |
- 断路器は、定格電圧のもとで、充電されただけの電路を開閉する開閉器です。負荷電流の開閉は、もともと受け持ちません。
- 断路器には消弧の装置がありません。負荷電流が流れたまま開くと接触子の間にアークが出て、焼損や短絡事故、人身事故になります。
- 断路器は電源の側(一次側)、遮断器は負荷の側(二次側)に置き、組にして使います。断路器は、負荷電流や事故の電流を流しておくこと(通電)はできます。
- インタロックは、遮断器が入っている間は、断路器を開閉できなくするしくみです。操作の順番の間違いを防ぎます。
- 開閉の「開」は開放・切る、「閉」は投入・入れると言います。事故で自動で開くことを「動作する」、それを閉じ直すことを「再投入」と言います。
受電設備と配電線の開閉器
| 開閉器 | 置き場所と役目 |
|---|---|
| PF・S形の主遮断装置 | 高圧の受電設備で、電力ヒューズと負荷開閉器を組み合わせる。短絡はヒューズで切る |
| CB形の主遮断装置 | 遮断器と過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)で、過負荷も短絡も切る。容量の大きい受電設備に使う |
| 区分開閉器(くぶんかいへいき) | 配電線を区間ごとに切り離す。負荷電流は切れるが、短絡の電流は切れない |
| 高圧カットアウト | ヒューズを内蔵し、柱上変圧器の一次側に置く。変圧器の開閉と、過負荷・短絡の保護 |
- PF・S形は、容量の小さい受電設備に使います。過負荷くらいの電流は過電流継電器と負荷開閉器で、短絡のような大きな電流はヒューズで切ります。
- 柱上開閉器には気中形・真空形・ガス形があり、手動で操作するものと、制御器で自動で動くものがあります。
- 配電線の開閉器は、主に事故や作業のとき、その部分だけを切り離すのに使います。
避雷器と絶縁協調 ── 雷サージを制限電圧に抑え、絶縁をその上に置く

| 語 | 意味 |
|---|---|
| 外部過電圧(がいぶかでんあつ) | 雷による過電圧(雷サージ電圧)。直撃雷(ちょくげきらい)によるものと、誘導雷(ゆうどうらい)によるものがある |
| 内部過電圧(ないぶかでんあつ) | 回路の開閉で出る開閉サージ電圧と、地絡のときなどに出る短時間の交流の過電圧 |
| 制限電圧(せいげんでんあつ) | 避雷器が放電している間に、避雷器の両端子に残る電圧 |
| 続流(ぞくりゅう) | 放電が終わったあとも、系統から避雷器へ流れ続けようとする交流の電流 |
| 絶縁協調(ぜつえんきょうちょう) | 機器の絶縁の強さを制限電圧より上に決め、絶縁を経済的・合理的に設計すること |
避雷器は、過電圧の波高値がある値を超えたときだけ大地へ放電し、機器にかかる電圧を制限電圧に抑えます。機器の絶縁の強さを制限電圧より上に決めるのが、絶縁協調です。
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 避雷器は、直撃雷の侵入を防ぐために置く | 直撃雷は防げない。入ってきた過電圧を放電で制限して、機器の絶縁を守る |
| 絶縁協調は、外部過電圧そのものの大きさを小さくすること | 雷サージの大きさは小さくできない。制限電圧と機器の絶縁の強さを合わせて設計する |
| 避雷器が放電のあとに遮断するのは、制限電圧 | 遮断するのは続流。制限電圧は、放電の間に残る電圧 |
| 避雷器の特性要素はSF₆で、動くかどうかは波頭長で決まる | 特性要素は酸化亜鉛(ZnO)。動くかどうかは、過電圧の波高値(山の高さ)で決まる |
- 避雷器は、雷や回路の開閉による過電圧を放電で制限して絶縁を守り、続流を短い時間で切って元の状態に戻る装置です。線と大地の間につなぎます。
- 続流が流れ続けると、地絡と同じ状態になります。だから放電のあとは、続流をなるべく早く切ります。
- 波高値(はこうち)は山の高さ、波頭長(はとうちょう)は山が立ち上がるまでの時間です。避雷器が動くかどうかは、波高値で決まります。
- 高圧の受電設備では、引込口などに避雷器を置き、接地工事を施します(接地工事の種類は法規の論点)。
酸化亜鉛形と、ギャップレス避雷器
| 素子 | 電圧と電流の関係 | 構造 |
|---|---|---|
| 炭化けい素(SiC) | 電圧に応じて電流がなだらかに増える | すきま(ギャップ)を直列に付け、過電圧でギャップに放電させる |
| 酸化亜鉛(ZnO) | 低い電圧ではほとんど流れず、ある電圧を超えると急に流れる | ギャップを省けるので、ギャップレス避雷器にできる |
- 電圧が低い間はほとんど流れず、ある電圧を超えると急に流れる性質を、非直線特性と呼びます。非線形の抵抗特性とも言います。
- 酸化亜鉛形は、ふだんの電圧ではほとんど電流を流しません。だから続流がほとんど流れず、直列のギャップを省けます。
- 発変電所では、酸化亜鉛形のギャップレス避雷器が主流です。大きな放電電流に耐え、放電の遅れも無いからです。直列ギャップ付きは、配電用に多く使われます。
- 避雷器の特性は、主に放電を始める電圧と制限電圧で表します。
絶縁協調の考え方
- 考えられるすべての過電圧に耐える絶縁は、費用の面で現実的ではありません。避雷器で制限電圧を設け、機器の絶縁の強さをその上にします。
- こうして、機器の絶縁の強さの設計だけでなく、発変電所の中の機器の配置も、経済的・合理的に決めます。
- 発変電所の避雷器が受け持つのは、雷による過電圧と、開閉による過電圧です。
- 開閉サージなどの内部過電圧には、送電線でも発変電所の機器でも、絶縁そのもので耐えるのが原則です。雷による外部過電圧まで、架空送電線の絶縁だけで受け止めることは必ずしも求めません。
- 発変電所の機器は、雷サージを避雷器が制限電圧まで抑えることを前提に、絶縁の強さを決めます。どこまで守れるか(保護レベル)の基準は、制限電圧です。

- 送電線の雷の対策(架空地線(かくうちせん)・アークホーン)は、架空送電線路の論点で扱います。
関連:遮断器とガス絶縁開閉装置|断路器・負荷開閉器・ヒューズ
計器用変成器 ── 変流器は二次を開かず、計器用変圧器は短絡しない

| 比べる所 | 変流器(CT) | 計器用変圧器(VT) |
|---|---|---|
| 変えるもの | 大きい電流を、小さい電流に | 高い電圧を、低い電圧に |
| 一次のつなぎ方 | 測る線路に直列 | 線と線の間(または線と大地の間)に並列 |
| 巻数 | 一次を少なく、二次を多く。電流は巻数の逆の比 | 一次を多く、二次を少なく。電圧は巻数の比 |
| 定格の二次 | 5 Aか1 A | 110 V |
| 二次の負荷 | インピーダンスの低い負荷(ほぼ短絡) | インピーダンスの高い負荷(ほぼ開放) |
| してはいけないこと | 一次に電流が流れたまま、二次を開く | 二次を短絡する |
変流器は二次を開くと高い電圧が出るので、二次はインピーダンスの低い負荷につないだままにします。計器用変圧器は逆に、二次を短絡してはいけません。
言葉の式 二次電流 ÷ 一次電流 = 一次の巻数 ÷ 二次の巻数
N1:一次の巻数〔回〕 N2:二次の巻数〔回〕 I1:一次電流〔A〕 I2:二次電流〔A〕
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 変流器の二次には、インピーダンスの高い負荷をつなぐ | インピーダンスの低い負荷。高くすると開放に近づき、定格負担も超える |
| 変流器の一次は、測る線路に並列につなぐ | 直列。並列につなぐのは計器用変圧器 |
| 変流器の二次を開くと、銅損が大きくなって焼ける | 二次に高い電圧が出て、鉄損が大きくなる。絶縁が破れて焼損するおそれがある |
| 計器用変圧器の計器を外すときは、先に二次を短絡する | 先に短絡するのは変流器。計器用変圧器の二次を短絡すると、二次巻線に大きな電流が流れて焼ける |
- 計器用変成器は、高い電圧や大きい電流を、計器(メータ)や保護継電器(リレー)が扱える大きさに変えます。計器用変圧器と変流器の2つがあります。
- 計器用の変流器は、JISではたんに変流器と呼びます。計器用変圧器は、ふつうの変圧器と区別して必ずこの名前で呼びます。
- 変流器では、一次と二次の巻数×電流(アンペアターン)が等しくなります。だから電流の比は、巻数の比の逆です。
- 一次に電流が流れたまま二次を開くと、二次の電流が止まり、一次の磁束(じそく)を打ち消すものが無くなります。一次の電流がすべて励磁電流になって鉄心が飽和し、二次に高い電圧が出ます。
- 工場・現場では、盤の電流計や継電器を外すとき、先に変流器の二次を試験端子で短絡してから外します。
地絡を見つける変流器と、取引用の計器用変成器
- 零相変流器(れいそうへんりゅうき)は、3相の電線をまとめて鉄心に通し、地絡のときの電流の不平衡を見つけます。ふつうの変流器は1本の電線を通し、短絡の保護に使います。
- ふだんは3相の電流の和(ベクトルの和)が0なので、二次に電流は出ません。地絡で不平衡になると二次に電流が出て、保護継電器が遮断器を開きます。
- 地絡のときに流れる電流を、零相電流(れいそうでんりゅう)と呼びます。三相短絡は平衡なので、零相変流器の二次には電流が出ません。
- 電力需給用計器用変成器(でんりょくじゅきゅうようけいきようへんせいき)(VCT)は、計器用変圧器と変流器をまとめた物です。電力量計と組み合わせて、取引の電力量を量ります。

解き方:変流器の二次電流と、二次回路のインピーダンス
- ① 最初の一手は、変流比で一次の電流を二次の電流に直すことです。変流比400/5なら、一次が400 Aのとき二次は5 Aです。
- ② 計器や継電器の計算は、二次の電流で行います。
- ③ 変流器の二次につなぐ負荷を負担と呼び、定格負担は定格二次電流で負荷が使う皮相電力(ひそうでんりょく)〔V·A〕です。
- ④ 二次回路のインピーダンスは、定格負担÷定格二次電流の2乗以下にします。電流を2乗し忘れないようにします。
言葉の式 二次回路のインピーダンス = 定格負担 ÷ (定格二次電流)²
Z:二次回路(計器と配線)のインピーダンスの上限〔Ω〕 Sn:定格負担〔V·A〕 In:定格二次電流(1 A または 5 A)〔A〕
説明用の例です。変流比400/5の変流器に、一次で300 Aが流れています。定格負担は40 V·A、定格二次電流は5 Aです。
I1:変流器の一次電流〔A〕 I2:変流器の二次電流〔A〕 I1n:一次定格電流〔A〕 I2n:二次定格電流〔A〕
- 計器と配線のインピーダンスの合計は、1.6 Ω以下にします。5 Aで割るだけだと8 Ωになり、外れます。
保護継電器 ── 事故点にいちばん近い遮断器だけが先に切れるよう整える

| 継電器 | 動くとき | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 過電流継電器 | 電流が設定した値を上回ったとき | 短絡は瞬時に、過負荷は一定の時間のあとに切る |
| 不足電流・不足電圧継電器(ふそくでんあつけいでんき) | 電流や電圧が設定した値を下回ったとき | 電流や電圧が下がったことを見つける |
| 地絡継電器(ちらくけいでんき) | 零相変流器で見つけた地絡電流が、設定した値を上回ったとき | 地絡の保護 |
| 地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき) | 零相電流の大きさと、零相電圧に対する位相 | ケーブルが長い所で、不必要な動作を防ぐ |
| 差動継電器 | 保護する区間に入る電流と、出る電流の差 | 変圧器の保護(一次と二次の電流の差) |
| 比率差動継電器(ひりつさどうけいでんき) | 電流の比(誤差で動くのを防ぐ) | 差動継電器の一種で、変圧器の保護 |
| ブッフホルツ継電器 | 急な油の流れや、分解ガスの量 | 油入変圧器の内部の故障を、機械的に見つける |
保護継電器は事故を見つけて遮断器に切る信号を送り、電源に近いものほど動作を遅く整定します。すると、事故点にいちばん近い遮断器だけが先に切れます。
言葉の式 タップ整定電流の倍数 = 継電器に流れる二次電流 ÷ 電流タップ値
n:タップ整定電流の倍数〔倍〕 I2:継電器に流れる電流(変流器の二次電流)〔A〕 Itap:電流タップ値〔A〕
言葉の式 動作時間 = タイムレバー10 のグラフの時間 × タイムレバーの位置 ÷ 10
t:動作時間〔s〕 t10:タイムレバー10 のときの動作時間(グラフから読む)〔s〕 L:タイムレバーの位置
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 事故のとき、電源に近い配電用変電所の継電器を先に動かす | 先に動くのは事故点にいちばん近い継電器。需要家の構内の事故なら、需要家の継電器が先 |
| タイムレバーを10から3にすると、動作時間は10/3倍に長くなる | 動作時間はレバーの位置に比例し、3/10倍に短くなる |
| 継電器の信号で開くのは断路器で、事故のあと一定時間で行うのは点検 | 開くのは遮断器。架空送電線では、一定時間のあと再閉路(さいへいろ)で送電を戻す |
| 右下がりの2本の曲線は、左の端が高いほうが反限時定限時 | 曲線は途中で交わることがある。右の端で横ばいになるほうが、反限時定限時 |
- 保護継電器(ほごけいでんき、保護リレー)は、計器用変成器を通して系統の故障を見つけます。すばやく切り離す信号を遮断器に送り、切るのは遮断器です。
- 限時(げんじ)は、異常を見つけてから動作するまでの時間です。一瞬の過電流のたびに切ると停電が増えるので、限時特性を使います。
- 主保護は、事故のときにはじめに動作して設備を守ります。後備保護は、主保護が働かないときに、遅れて動作して守ります。
- 動作時間や動作する電流の値を決めることを整定(せいてい)、決めた値を整定値と呼びます。
- 保護協調(ほごきょうちょう)は、故障の系統だけを切り離すよう、各継電器の動作時間や動作電流をそろえることです。需要家の継電器は、配電用変電所の継電器より先に動くように整定します。
限時特性の4つ、地絡の保護と再閉路
| 限時特性 | 動作時間 | 主な使い道 |
|---|---|---|
| 瞬時特性(しゅんじとくせい) | 電流の大きさによらず、すぐ動く | 変圧器の内部の短絡(瞬時の要素を付けた反限時として) |
| 定限時特性(ていげんじとくせい) | 電流の大きさによらず、一定の時間で動く | 変圧器や線路の過負荷の保護 |
| 反限時特性(はんげんじとくせい) | 電流が大きいほど、早く動く | 配電線の短絡の保護 |
| 反限時定限時特性(はんげんじていげんじとくせい) | 小さい電流では反限時、大きい電流では一定の時間 | 保護区間が直列に多く、時間の差をつけにくい所 |
- グラフに横一定の線が2本あれば、低いほうが瞬時、高いほうが定限時です。右下がりの曲線は、右の端まで下がり続けるほうが反限時です。
- 6.6 kVの非接地方式(ひせっちほうしき)の配電線では、母線に地絡過電圧継電器(ちらくかでんあつけいでんき)を置き、零相電圧で地絡を見つけます。零相電圧だけでは、どの配電線の地絡かは分かりません。
- そこで各配電線には地絡方向継電器を置き、零相電流と零相電圧を組み合わせて事故の配電線を選びます。零相電圧は、接地用変圧器で取り出します。
- 地絡継電器(地絡過電流継電器)は、向きを見ない無方向の継電器です。構内のケーブルが長いと、構外の地絡でも構内の充電電流で動いてしまうことがあります。
- 架空送電線の事故の多くは、落雷による気中のフラッシオーバ(ふらっしおーば)です。遮断してアークが消えれば、絶縁が戻ります。
- そこで一定時間のあと、遮断器を入れ直して送電を戻します。これが再閉路です。
- 再閉路は、遮断から1秒程度以内の高速、1〜15秒程度の中速、1分程度の低速に分かれます。

解き方:電流タップとタイムレバーから、動作時間へ
- ① 最初の一手は、事故の電流を変流比で二次の電流に直すことです。継電器に流れるのは、変流器の二次の電流です。
- ② 二次の電流を電流タップの値で割り、タップの何倍かを出します。グラフの横じくは、この倍数です。
- ③ タイムレバー10のグラフで、その倍数の動作時間を読みます。
- ④ タイムレバーの位置÷10を掛けます。時間から逆に求めるときは、10÷レバーの位置を掛けてからグラフを読みます。
例の条件を短くまとめます(令和5年度下期 問16(b))。変流比400/5、事故の電流1 800 A、タイムレバーは3です。
0.09 sで動かす電流タップの値を求めます。グラフ(レバー10)では、5倍のとき0.30 sです。
I1:変流器の一次電流〔A〕 I2:変流器の二次電流〔A〕 I1n:一次定格電流〔A〕 I2n:二次定格電流〔A〕
- レバー10に直すと、0.09×10÷3=0.30 sです。グラフで0.30 sになるのは、5倍のときです。
- 電流タップの値は、22.5÷5=4.5 Aです。倍数の式で確かめます。
- 3/10倍してからグラフを読むと、0.027 sになってグラフで読めず、外れます。
次の例の条件です(令和元年度 問8)。変流比1 000/5、電流タップ5 A、タイムレバー1です。三相短絡の電流は約6 005 Aで、グラフでは6倍のとき3.8 sです。
- 継電器の電流は、6 005×5÷1 000≒30 Aです。タップの倍数は、次のとおり6倍です。
- レバー1なので3.8 sの1/10で、約0.38 sです。短絡の電流は、%インピーダンスから求めます(電力の計算の論点)。
変電所の役割と調相設備 ── 重い負荷にはコンデンサ、軽い負荷にはリアクトル

| 調相設備 | 働き | 調整のしかた |
|---|---|---|
| 電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ) | 力率を進める。重い負荷のとき入れて、電圧が下がるのを抑える | 段階的(入れるか切るか) |
| 分路リアクトル(ぶんろりあくとる) | 力率を遅らせる。軽い負荷のとき入れて、電圧が上がるのを抑える | 段階的(入れるか切るか) |
| 同期調相機(どうきちょうそうき) | 無負荷で運転する同期電動機。界磁電流を増やすと進み、減らすと遅れになる | 連続的。回転機なので保守に手間がかかり、騒音があり、高価 |
| 静止形無効電力補償装置(せいしけいむこうでんりょくほしょうそうち)(SVC) | 進みも遅れも。半導体スイッチ(サイリスタ)でリアクトルの電流を調整する | 連続的で速い。運転と保守の面でも、同期調相機より優れる |
重い負荷で電圧が下がるときは電力用コンデンサ、軽い負荷で電圧が上がるときは分路リアクトルを入れます。調相設備は負荷と並列につなぎ、無効電力を調整して受電端の電圧を保ちます。
言葉の式 電圧降下 ≒ √3 × 電流 ×(抵抗 × cosθ + リアクタンス × sinθ)
v:電圧降下〔V〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 X:線路リアクタンス(1線あたり)〔Ω〕 θ:負荷の力率角(遅れ)〔rad または °〕
| よくある誤り | 正しくは |
|---|---|
| 軽い負荷のとき電力用コンデンサ、重い負荷のとき分路リアクトルを入れる | 逆。重い負荷にコンデンサ、軽い負荷に分路リアクトルを入れる |
| 送電線の有効電力の損失は、電圧に反比例する | 同じ電力・同じ力率なら、電圧の2乗に反比例する。電圧を高めにすると損失が減る |
| 同期調相機は電機子電流を、SVCは半導体整流装置で調整する | 同期調相機は界磁電流を加減し、SVCは半導体スイッチでリアクトルの電流を調整する |
| 調相設備は、負荷と直列につなぐ | 負荷と並列につなぐ |
- 調相設備(ちょうそうせつび)は、受電端の電圧を一定に保つため、無効電力を調整して力率を改善する設備です。電圧を保つほか、損失を減らし、系統の安定度を上げます。
- 負荷の多くは遅れの無効電力をとります。重い負荷では遅れの無効電力が送電線を流れ、受電端の電圧が下がります。
- 電力用コンデンサは、負荷の遅れの無効電力を打ち消し(遅れの無効電力を出し)、送電線の電圧降下を小さくします。
- 夜間などの軽い負荷では、送電線やケーブルの静電容量の進みの無効電力で、受電端の電圧が上がります(フェランチ効果(ふぇらんちこうか))。分路リアクトルで遅れの無効電力をとらせ、上昇を抑えます。
- 遅れは遅相・誘導性、進みは進相・容量性とも言います。電圧は、負荷時タップ切換変圧器のタップや、発電機の励磁でも調整します。タップの切換は電圧の調整で、無効電力の調整ではありません。
- 同期調相機の界磁電流と電機子電流の関係(V曲線)は、機械の同期電動機の論点で扱います。
式で見る、力率と電圧と損失
- 皮相電力S・有効電力P・無効電力Qは直角三角形をつくります。力率は、有効電力を皮相電力で割った値です。力率を改善するとは、Qを0に近づけて力率を1に近づけることです。
- 遅れのQが大きいときは電力用コンデンサで進ませ、進みのQが大きいときは分路リアクトルで遅らせます。同期調相機とSVCは、どちらの向きにも動かせます。
言葉の式 線路損失 = 3 × 電流² × 線路抵抗
p:線路損失〔W〕 I:負荷電流〔A〕 R:線路抵抗(1線あたり)〔Ω〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 cosθ:負荷力率
- 電圧降下は、(RP+XQ)÷Vrとも書けます。有効電力Pが変わっても、無効電力Qを調整すれば受電端の電圧を一定にできます。
- 線路リアクタンスの大きい送電線ほど、Qの項が効きます。受電端でコンデンサを並列に入れると、受電端の電圧が上がります。
- 同じ電力・同じ力率で電圧を1.1倍にすると、損失は1÷1.1²≒0.83倍になります。「電圧に反比例」なら0.91倍で、答えが違います。
- 電力用コンデンサの容量を求める計算は、電力の計算の論点(力率改善(りきりつかいぜん))で扱います。

変電所の役割と分類、名前の似たリアクトル
| 役割 | すること |
|---|---|
| 変成 | 変圧器で昇圧・降圧し、送電や配電に合った電圧にする |
| 電圧の調整 | 調相設備や負荷時タップ切換変圧器で、負荷の変化に合わせる |
| 電力潮流の調整 | 開閉装置で系統を切り換え、局所的な過負荷の運転を避ける |
| 系統の保護 | 短絡・地絡のとき、保護継電器と遮断器で事故の回線を切り離し、波及を防ぐ |
| 分け方 | 変電所の例 |
|---|---|
| 用途 | 送電用変電所・配電用変電所・周波数変換所 |
| 電圧 | 超高圧変電所・一次変電所・二次変電所・配電用変電所 |
| 監視と制御 | 常時監視・断続監視・遠隔監視・簡易監視の各制御変電所 |
| 形式 | 屋外式・屋内式・半屋内式・地下式・移動式 |
- 変電所は、発電所やほかの変電所から送られた電気の電圧や周波数を変え、需要家やほかの変電所へ送り出す施設です。
- 50 Hz(ヘルツ)の東日本と60 Hzの西日本の連系には、周波数変換所を使います。北海道と本州の連系は直流送電なので、交直変換所を使います。
| リアクトル | つなぎ方 | 目的 |
|---|---|---|
| 分路リアクトル | 母線や変圧器の二次・三次に並列 | 遅れの無効電力をとり、軽い負荷のときの電圧の上昇を抑える |
| 直列リアクトル(ちょくれつりあくとる) | 電力用コンデンサと直列 | 入れたときの突入電流と、高調波の広がりを抑える |
| 限流リアクトル(げんりゅうりあくとる) | 守る機器と直列 | 事故のときの大きな電流を抑える |
| 消弧リアクトル(しょうこりあくとる) | 変圧器の中性点と大地の間 | 1線地絡のアークの電流を打ち消して消す |
| 補償リアクトル | 中性点の接地抵抗器と並列 | ケーブルの対地充電電流を打ち消す |
- 調相設備に数えるのは、分路リアクトルです。目的の違うリアクトルや、負荷時タップ切換変圧器と取り違えないようにします。
まとめ
変圧器はY結線で中性点を接地し、Δ結線で第3高調波を回して外へ出しません。
遮断器はアークを電流零点で消し、断路器は電流を切れないので、遮断器のあとに開きます。
避雷器・計器用変成器・保護継電器・調相設備が、絶縁と測定と保護と電圧を受け持ちます。
次に読む
- 前:新エネルギーと分散型電源の論点
- 次:架空送電線路の論点
- 関連:原子力発電の論点|Y結線とΔ結線|三相電力と二電力計法|交流電力と力率|電磁誘導
- 準備編:ベクトル|三角比とラジアン
参考文献
- 『みんなが欲しかった!電験三種 電力の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH05 変電所の章(SEC01)
- 『みんなが欲しかった!電験三種 機械の教科書&問題集』TAC出版 変圧器の章(三相結線とV結線)
- 『電験3種過去問マスタ 電力の20年間』2026年版 電気書院 第4章 変電
- 『電験3種過去問マスタ 法規の20年間』2026年版 電気書院 第4章 施設管理等(キュービクル式高圧受電設備)
- 第三種電気主任技術者試験 電力・法規 問題(電気技術者試験センター) 平成28年度・平成29年度・平成30年度・令和元年度・令和2年度・令和3年度・令和4年度上期・令和4年度下期・令和5年度上期・令和5年度下期・令和6年度上期・令和6年度下期・令和7年度上期・令和7年度下期・令和8年度上期
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