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電験三種 理論 三相交流|Y結線・Δ結線・平衡三相の計算・三相電力

電験三種 理論 三相交流|Y結線・Δ結線・平衡三相の計算・三相電力

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最終確認:2026年10月24日

電験三種の理論で、三相交流(さんそうこうりゅう)の3つの論点をまとめた辞書です。Y結線とΔ(デルタ)結線、平衡三相回路の計算、三相電力と二電力計法の順に確かめます。

理論の論点:直流回路①|直流回路②|静電気|磁気|電磁誘導|交流の基本

交流回路|三相交流|過渡現象|半導体|電子回路|電気計測

Y結線とΔ結線 ── Yは線間電圧が、Δは線電流が相の√3倍

Y結線とΔ結線:相回転a→b→cの3本の相電圧で、Ėa−Ėbの線間電圧は長さが√3倍、向きが30°進む。Y結線は線間電圧、Δ結線は線電流が相の√3倍
比べる所Y結線(わいけっせん)Δ結線(でるたけっせん)
素子1つにかかる電圧(相電圧(そうでんあつ))線間電圧(せんかんでんあつ)の1/√3線間電圧と同じ
電線を流れる電流(線電流(せんでんりゅう))素子の電流(相電流(そうでんりゅう))と同じ相電流の√3倍
√3倍になる量線間電圧線電流
30°のずれ(相回転がa→b→cのとき)線間電圧が相電圧より30°進む線電流が相電流より30°遅れる

Y結線は線間電圧が相電圧の√3倍、Δ結線は線電流が相電流の√3倍です。√3は、120°ずれた同じ長さの2本の矢印の差が、√3倍の長さになることから出ます。

言葉の式 線間電圧 = √3 × 相電圧(相回転 a→b→c のとき、線間電圧は相電圧より位相が π/6 進む)

V=3Ep

V:線間電圧〔V〕 Ep:相電圧〔V〕

言葉の式 線電流 = √3 × 相電流(相回転 a→b→c のとき、線電流は相電流より位相が π/6 遅れる)

I=3Ip

I:線電流〔A〕 Ip:相電流〔A〕

言葉の式 Ė_a + Ė_b + Ė_c = 0(大きさが等しく 2π/3 ずつずれた3つのベクトルの和)

E˙a+E˙b+E˙c=0

Ėa:a相の起電力〔V〕

問われる形○×ポイント
Δ電源の各辺の200 Vを、そのままY負荷の1相にかけて電流を出す×Y負荷の1相にかかるのは200÷√3≒115.5 V。√3を忘れると電流が√3倍の誤答になる
Δ結線の辺の電流は、線電流の1/√3の大きさで、位相(いそう)は線電流より30°進む○大きさと位相のずれを組で使う
Y結線の負荷の1相のインピーダンスは、線間電圧を線電流で割って出す×割るのは相電圧(線間電圧÷√3)。Yの線電流は相電流と同じ
2つの電源を同じ向きに、残り1つを逆向きに通る道の電圧は、線間電圧に等しい×3つの和が0なので、2つの和は残り1つの逆向きと同じ。道の電圧は1つ分の2倍になる
  • 3つの相電圧は大きさが等しく、120°ずつずれています。3本の矢印を足すと0になります。平衡負荷の3つの線電流も、足すと0です。
  • Y結線の中心の点を中性点(ちゅうせいてん)と言います。平衡なら、中性点どうしを結ぶ線に電流は流れません。
  • V結線(ぶいけっせん)は、単相の変圧器2台で三相を送る結線です。線間電圧が等しく120°ずつずれていれば、負荷からはふつうの三相電源に見えます。
  • 30°の進み・遅れは、相回転がa→b→cの電源のときの向きです。相回転は、各相の電圧が最大になる順です。線間電圧は、a相からb相を引いたVabをa相と比べます。試験でも「相回転はa、b、cの順」と条件を付ける問題があります。順が逆なら、進みと遅れが入れ替わります。
  • 問題では、角度がラジアンで書かれることがあります。30°はπ(パイ)/6です。

解き方:Y負荷とΔ負荷の電流をそろえる

  • ① 最初の一手は、素子1つにかかる電圧を結線ごとに出すことです。Y結線は線間電圧÷√3、Δ結線は線間電圧そのままです。
  • ② Y結線の1相の電流を、相電圧と1相のインピーダンスから出します。
  • ③ Δの素子の電流を同じ値とおき、知りたい抵抗を出します。

例の条件を短くまとめます(令和4年度下期 問15)。線間電圧200 Vの対称三相電源に、6 Ωと誘導性リアクタンス8 ΩのY結線の負荷と、抵抗rのΔ結線の負荷をつなぎます。Y結線の電流とrの電流が等しいときのrを求めます。

  • Y結線の1相のインピーダンスは、6 Ωと8 Ωの三平方で出します。
Z=(6 Ω)2+(8 Ω)2=10 Ω

Z:インピーダンス〔Ω〕 R:抵抗〔Ω〕 X:リアクタンス(まとめた値)〔Ω〕

  • Y結線の相電圧は200÷√3≒115.5 Vです。1相の電流は次のとおりです。
I=115.5 V10 Ω=11.55 A

I:電流(実効値)〔A〕 V:電圧(実効値)〔V〕 Z:インピーダンス〔Ω〕

  • Δのrには200 Vがそのままかかり、11.55 Aが流れます。rは200÷11.55≒17.3 Ωです。
  • Y結線にも200 Vがかかるとすると、10 Ωの誤答になります。Y結線は√3で割り、Δ結線は割らない、と整理します。

関連:平衡三相回路の計算|フェーザ表示|ベクトル|三角比とラジアン

平衡三相回路の計算 ── 1相分を出して3倍、ΔはYに直してから

平衡三相の計算:Δ結線の30 ΩをY結線の10 Ωに直し、線の15 Ωと足した1相25 Ωに相電圧115.5 Vをかけて4.62 A、1相の電力を3倍して1.6 kW
手順すること気を付ける所
① 結線をそろえるΔ結線の負荷をY結線に直す(3つが等しいとき、インピーダンスは1/3)コンデンサの容量は逆に3倍
② 1相分を取り出す相電圧(線間電圧÷√3)と1相のインピーダンス線の抵抗は1相分に足す
③ 1相の電流と電力相電圧を1相のインピーダンスで割って電流を出す有効電力を消費するのは抵抗だけ
④ 3倍する有効電力も無効電力も3倍線間電圧と線電流で書くなら係数は√3
⑤ 元の結線に戻すΔの素子の電圧は√3倍、電流は1/√3倍聞かれた量が線か相かを見る

平衡三相は、Δ結線の負荷をY結線に直し、1相分の電流と電力を出してから3倍します。最後に、聞かれた量がΔの素子の電圧・電流かを確かめます。

言葉の式 Y 側の1辺 = Δ 側の1辺 ÷ 3(逆に Y → Δ は 3 倍)

ZY=ZΔ3

ZΔ:Δ結線の1辺のインピーダンス〔Ω〕 ZY:Y結線の1相のインピーダンス〔Ω〕

言葉の式 三相有効電力 = 3 × 線電流² × 1相の抵抗

P=3I2R

P:有効電力〔W〕 I:線電流〔A〕 R:抵抗〔Ω〕

言葉の式 三相無効電力 = 3 × 線電流² × 1相のリアクタンス(Y 結線の負荷。Δ 結線は Y に換算した1相で使う)

Q=3I2X

Q:無効電力〔var〕 I:線電流〔A〕 X:リアクタンス〔Ω〕

言葉の式 コンデンサ3個(Δ結線)の無効電力 = 3 × 角周波数 × 静電容量 × 線間電圧²

QC=3ωCV2

QC:コンデンサの無効電力(進み)〔var〕 ω:角周波数〔rad/s〕 C:静電容量〔F〕 V:線間電圧〔V〕

問われる形○×ポイント
三相電力を、線間電圧と線電流と力率(りきりつ)の積の3倍で出す×線の量で書くなら係数は√3。3を掛けると√3倍の誤答になる
Δ結線のコンデンサの端子には、線間電圧がかかる○相電圧で計算すると、容量が約3倍の誤答になる
有効電力は、線電流の2乗に1相のインピーダンスを掛けて3倍する×電力を消費するのは抵抗だけ。掛けるのは1相の抵抗
等しい3つのΔ結線の負荷をY結線に直すと、1相のインピーダンスは3倍になる×1/3になる。3倍になるのはコンデンサの容量
  • 力率改善(りきりつかいぜん)では、コンデンサの進み無効電力を、負荷の遅れ無効電力と等しくすると力率が1になります。
  • 遅れ無効電力の一部を残すときは、打ち消す量は「負荷の分−残す分」です。全部を打ち消すと、容量が大きすぎる誤答になります。
  • 1線が断線すると、残る2線の間の単相の回路になります。三相の式は使わず、直列と並列で解きます。
  • 電源の電圧が最大値で書かれていたら、√2で割って実効値(じっこうち)にしてから使います。
  • 工場・現場では、受電設備の電力用コンデンサ(でんりょくようこんでんさ)で、電動機などの遅れ無効電力を打ち消して力率を改善します。

解き方:Δ→Y→1相分で全消費電力を出す

  • ① 最初の一手は、Δ結線の抵抗をY結線に直すことです。等しい3本なら、1本の値を3で割ります。
  • ② 線の抵抗を足して、1相分の抵抗を出します。
  • ③ 相電圧(線間電圧÷√3)で1相の電力を出し、3倍します。

例の条件を短くまとめます(令和5年度上期 問15)。各線に15 Ωの抵抗があり、その先に30 Ωの抵抗3本がΔ結線です。端子に線間電圧200 Vの対称三相電源をつなぎます。

  • 3つが等しいΔ結線の30 Ωは、Y結線に直すと1/3になります。
ZY=30 Ω3=10 Ω
  • 1相分は15+10=25 Ωです。相電圧は200÷√3≒115.5 Vです。
P=3(115.47 V)225 Ω=1600 W

P:有効電力〔W〕 Ep:相電圧〔V〕 R:抵抗〔Ω〕

  • 全消費電力は約1.6 kWです。200 Vを相電圧に使うと3倍の4.8 kWになり、誤りです。

関連:Y結線とΔ結線|交流電力と力率|力率改善|実効値と平均値|平方根と三平方の定理

三相電力と二電力計法 ── 2台の電力計の和が三相電力

二電力計法:電流コイルをa線とb線、電圧コイルをc線との間につなぐと、2台はV̇acとİa(位相差30°−θ)、V̇bcとİb(30°+θ)を測り、2台の和が三相電力になる
測り方・量式の形気を付ける所
三相の有効電力(ゆうこうでんりょく)線間電圧・線電流・力率の積の√3倍相の量で書くなら係数は3
三相の皮相電力(ひそうでんりょく)線間電圧と線電流の積の√3倍有効電力と無効電力(むこうでんりょく)を2辺とする直角三角形の斜辺
電力計1台の指示電圧と電流の積に、2つの位相差(いそうさ)のcosを掛ける線間電圧と相電圧は30°ずれる
二電力計法(にでんりょくけいほう)2台の指示の和逆振れした方は負の値で足す

二電力計法では、2台の電力計の指示を符号付きで足すと三相電力になります。力率が0.5より低いと片方が負の値を指す(逆振れ)ので、その分は引きます。

言葉の式 三相有効電力 = √3 × 線間電圧 × 線電流 × 力率

P=3VIcosθ

P:有効電力〔W〕 V:線間電圧〔V〕 I:線電流〔A〕 cosθ:力率

言葉の式 電力計の指示 = 電圧コイルの電圧 × 電流コイルの電流 × cos(その電圧と電流の位相差。負荷の力率角とは限らない)

W=VIcosφ

W:電力計の指示〔W〕 V:電圧コイルにかかる電圧〔V〕 I:電流コイルに流れる電流〔A〕 φ:電圧コイルの電圧と電流コイルの電流の位相差(負荷の力率角とは限らない)〔°〕

言葉の式 三相電力 = 電力計1の指示 + 電力計2の指示(逆振れのときは一方が負の値)

P=W1+W2

P:有効電力〔W〕 W1:電力計1の指示〔W〕 W2:電力計2の指示〔W〕

問われる形○×ポイント
逆振れで極性を反転して読んだ値を、そのまま足して三相電力とする×反転して読んだ値は、本当は負の指示。引き算に戻す
抵抗だけの負荷でも、線間電圧と線電流をつないだ電力計の指示にはcos30°が掛かる○線間電圧は相電圧から30°ずれている
線間電圧Vbcは、c相の電圧からb相の電圧を引いた値×添字の順に、b相からc相を引く
線電流と、それと別の2線の間の電圧をつないだ1台の指示は、電圧と電流の積にsinθを掛けた値○位相差が90°−θで、cos(90°−θ)はsinθ
  • 1台の電力計は、三相電力の全体ではなく、つないだ電圧と電流の組の分だけを指します。
  • 2台の位相差は、30°をはさんで力率角(りきりつかく)θだけ狭い角と広い角の対になります。足すとθのずれが打ち消し合い、上の三相電力の式に等しくなります。
  • 二電力計法は、中性点の無いΔ結線の負荷にも、不平衡の負荷にも使えます。
  • 皮相電力・有効電力・無効電力の関係は、三相でも直角三角形の三平方で結べます。

解き方:逆振れした電力計の指示を足す

  • ① 最初の一手は、逆振れした電力計の指示に負の符号を付けることです。
  • ② 2台の指示を、符号のまま足します。
  • ③ 答えが、2台のうち大きい方の指示より小さくなるかを確かめます。

例の条件を短くまとめます(令和5年度上期 問14)。線間電圧200 Vの平衡三相負荷を二電力計法で測ると、W₂が逆振れしました。W₂の電圧端子を反転すると、W₁は490 W、W₂は25 Wでした。

  • W₂の本当の指示は−25 Wです。
P=490 W+(−25 W)=465 W
  • 490+25=515 Wとするのは、符号を忘れた誤りです。

関連:交流電力と力率|電力の測定|三角比とラジアン

まとめ

Y結線は線間電圧が、Δ結線は線電流が相の√3倍で、向きが30°ずれます。

平衡三相はΔ結線をY結線に直し、1相分で電流と電力を出して3倍します。

三相電力は線間電圧・線電流・力率の積の√3倍で、二電力計法は2台の指示を符号付きで足します。

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参考文献

  • 日高 邦彦・堀 桂太郎・井上 弘司『First Stage シリーズ 新訂電気回路入門』実教出版 第5章6節(三相交流) Amazonで見る
  • 『みんなが欲しかった!電験三種 理論の教科書&問題集』TAC出版 初版(2018年) CH05 三相交流回路の章・CH08 電気測定の章(SEC01 二電力計法) 最新版をAmazonで見る
  • 第三種電気主任技術者試験 理論 問題(電気技術者試験センター) 令和4年度下期・令和5年度上期

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