法令の基準日:2026年4月1日
最終確認:2026年10月16日
電験三種の法規のB問題で問われる施設管理の計算を、7つの論点に分けた辞書です。力率改善(りきりつかいぜん)、電圧降下(でんあつこうか)、短絡(たんらく)・地絡(ちらく)などを、計算の例で確かめます。
法規の論点:電気事業法①|電気事業法②|関係法規|電技の総則・絶縁|接地工事
保護と発変電所|電線路|分散型電源|電気使用場所|施設管理の計算|受電設備と自家発
需要率・負荷率・不等率 ── 分母と分子を取り違えない

| 率 | 何を何で割るか | 大きさ |
|---|---|---|
| 需要率(じゅようりつ) | 最大需要電力を、設備容量で割る | ふつう100%以下 |
| 負荷率(ふかりつ) | 平均需要電力を、最大需要電力で割る | 100%以下 |
| 不等率(ふとうりつ) | 各最大需要電力の和を、合成最大需要電力で割る | 1以上 |
| 総合負荷率 | 合成の平均需要電力を、合成最大需要電力で割る | 100%以下 |
最大需要電力(さいだいじゅようでんりょく)は、需要率では分子、負荷率では分母です。どの率も、先に分母が何かを確かめてから割ります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 2つの工場を合わせた総合負荷率の分母に、各工場の最大の和を使う | × | 分母は合成最大需要電力 |
| 最大の時刻がずれているほど、不等率は大きい | ○ | 合わせた山が低くなる |
| 変圧器の台数を、最大需要電力のkWのまま変圧器のkV·Aで割って決める | × | kWをkV·Aに直してから割る |
| 月の電力量は、最大需要電力に月負荷率と月の時間を掛けた値 | ○ | 最大に負荷率を掛けると平均 |
- 1日の電力量は、日負荷曲線(にちふかきょくせん)の下の面積です。階段の形なら、長方形に分けて足します。
- 3つの率の決まりは、法令ではなく一般の技術の約束です。法令では、需要率や力率(りきりつ)が明らかなら幹線の電流を修正できるとしています(電気設備の技術基準の解釈 第148条第1項・第2項)。
- 工場・現場では、電力の山を見張る監視の装置で、山が近づくとブロワーや冷凍機の一部を止めます。工程の立ち上げの時刻をずらすのは、不等率を上げて合わせた山を下げることと同じです。
解き方:3つの率を出す
- ① 最初の一手は、各工場の最大と、その時刻をグラフから読むことです。
- ② 時刻ごとに足して合わせた曲線を作り、合成最大需要電力(ごうせいさいだいじゅようでんりょく)を読みます。
- ③ 面積から1日の電力量を出し、24時間で割って平均にします。
言葉の式 平均需要電力 = その期間の電力量 ÷ 期間の時間
Pa:平均需要電力〔kW〕 W:その期間に使った電力量(日負荷曲線の下の面積)〔kW·h〕 T:期間の時間(1日なら24 h)〔h〕
- ④ 分母を確かめて割ります。負荷率は100%以下、不等率は1以上かを見ます。
例は、令和5年度上期 法規 問11 の条件です。設備容量は、A工場が400 kW、B工場が700 kWです。
A工場の需要電力は、0〜6時が100 kW、6〜18時が200 kW、18〜24時が100 kWです。
B工場は、0〜6時が600 kW、6〜12時が300 kW、12〜18時が400 kW、18〜24時が600 kWです。
- 合わせた需要電力は700 kW、500 kW、600 kW、700 kWと変わり、合成最大需要電力は700 kWです。
- 設備容量の合計は、400+700=1,100 kWです。合わせた需要率は次のとおりです。
需要率:需要率〔%〕 最大需要電力:最大需要電力〔kW〕 設備容量:設備容量(総設備容量)〔kW〕
- 1日の電力量は、合わせた曲線の面積で、(700+500+600+700)×6=15,000 kW·hです。
- 合わせた平均需要電力は625 kWです。総合負荷率は次のとおりです。
総合負荷率:総合負荷率(複数の需要家を合わせた負荷率)〔%〕 合成平均需要電力:合成平均需要電力(各需要家の平均需要電力の合計)〔kW〕 合成最大需要電力:合成最大需要電力〔kW〕
- 各工場の最大需要電力は200 kWと600 kWで、和は800 kWです。不等率は次のとおりです。
不等率:不等率(1以上。単位なし) 各需要家の最大需要電力の合計:各需要家の最大需要電力の合計〔kW〕 合成最大需要電力:合成最大需要電力〔kW〕
変圧器の全日効率 ── 鉄損は一定、銅損は負荷率の2乗

| 損失 | 大きさの決まり方 | 1日の電力量 |
|---|---|---|
| 鉄損(てっそん)(無負荷損) | 電圧がかかっていれば一定 | 鉄損×24時間 |
| 銅損(負荷損) | 変圧器の負荷率の2乗に比例 | 時間帯ごとに出して足す |
鉄損は負荷が0の時間も出続け、銅損は変圧器の負荷率の2乗で増えます。全日効率(ぜんじつこうりつ)は、1日の出力電力量を、それと損失電力量の和で割ります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 変圧器の負荷率を、負荷のkWを定格のkV·Aで割って出す | × | kWを力率で割ってから |
| 負荷率0.4のときの負荷損を0.4で割ると、定格の負荷損 | × | 0.4の2乗の0.16で割る |
| 無負荷の時間は、鉄損を数えない | × | 電圧がかかっていれば24時間 |
| 変圧器の二次側に太陽電池があると、変圧器を通るのは負荷と発電の差 | ○ | 銅損はその差で出す |
- ここでの負荷率は、変圧器の負荷率(負荷の皮相電力(ひそうでんりょく)÷定格容量)です。需要率の仲間の負荷率とは別の量です。
- 変圧器の効率がいちばん高いのは、鉄損と銅損が等しいときです。全日効率とは別の量です。
解き方:全日効率を出す
- ① 最初の一手は、時間帯ごとに変圧器の負荷率を出すことです。kWを力率で割り、定格容量で割ります。
言葉の式 変圧器の負荷率 = 負荷の皮相電力 ÷ 変圧器の定格容量
α:変圧器の負荷率(割合。1が定格) S:変圧器を通る負荷の皮相電力(有効電力÷力率)〔kV·A〕 Pn:変圧器の定格容量〔kV·A〕
- ② 銅損の電力量を時間帯ごとに出して、1日分を足します。
言葉の式 その時間帯の銅損の電力量 = 負荷率の2乗 × 全負荷銅損 × 時間
Wc:その時間帯の銅損の電力量〔W·h〕 α:その時間帯の変圧器の負荷率 pc:全負荷銅損〔W〕 t:その時間帯の長さ〔h〕
- ③ 鉄損の電力量は、鉄損に24時間を掛けます。
言葉の式 鉄損の電力量 = 鉄損 × 電圧をかけている時間(1日なら24時間)
Wi:鉄損の電力量〔W·h〕 pi:鉄損〔W〕 T:電圧をかけている時間〔h〕
- ④ 全日効率を出します。損失と出力の単位をそろえ、100%に近い値かを確かめます。
言葉の式 全日効率 = 1日の出力電力量 ÷(1日の出力電力量 + 鉄損の電力量 + 銅損の電力量)× 100
ηd:全日効率〔%〕 Wo:24時間分の出力電力量〔kW·h〕 Wi:24時間分の鉄損の電力量〔kW·h〕 Wc:24時間分の銅損の電力量〔kW·h〕
例は、平成23年度 法規 問11 の条件です。定格容量30 kV·A、鉄損90 W、全負荷銅損550 Wの単相変圧器です。
1日の負荷は、24 kW・力率80%で4時間、15 kW・力率90%で8時間です。
続いて10 kW・力率100%で6時間、無負荷で6時間です。
- 皮相電力は、24÷0.8=30 kV·A、15÷0.9(kV·A)、10÷1.0=10 kV·Aです。変圧器の負荷率は次のとおりです。
- 銅損の電力量は、時間帯ごとに出して足します。
- 3つを足した答えは約3.92 kW·hです。
- 鉄損の電力量は次のとおりです。
- 出力電力量は、24×4+15×8+10×6=276 kW·hです。
- 答えは約97.8%です。力率を考えずに負荷率を出すと、約98.2%になります。
関連:需要率・負荷率・不等率
力率改善と進相コンデンサ ── 容量は改善前後の無効電力の差

| 量 | 改善の前後で | 理由 |
|---|---|---|
| 有効電力(ゆうこうでんりょく) | 変わらない | コンデンサは有効電力を使わない |
| 遅れの無効電力(むこうでんりょく) | コンデンサの分だけ減る | 進みの無効電力で打ち消す |
| 皮相電力と電流 | 減る | 三角形の斜辺が短くなる |
| 力率 | 上がる | 電圧と電流のずれが小さくなる |
要るコンデンサの容量は、改善前と改善後の無効電力の差です。直列リアクトル(ちょくれつりあくとる)を付けると、コンデンサの端子電圧は電源電圧より高くなります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| コンデンサの無効電力を、遅れの無効電力と同じ向きに足す | × | 逆向き。遅れを打ち消す |
| 6%の直列リアクトル付きなら、端子電圧は電源電圧に1.06を掛けて出す | × | 電源電圧を0.94で割る |
| 直列リアクトル付きのコンデンサ単体の容量は、設備の出力より大きい | ○ | リアクトルが打ち消す分を見込む |
| V結線の2台のバンクは、2台分の容量まで使える | × | 1台の容量の√3倍まで |
- 力率を改善すると、同じ変圧器の容量で、より多くの有効電力を送れます。
- 直列リアクトルの割合は、組み合わせるコンデンサの容量で変わります。容量の違うコンデンサと組むと、第5調波で共振に近くなることがあります。
解き方:要る容量と端子電圧を出す
- ① 最初の一手は、改善前と改善後の無効電力を出すことです。有効電力に、力率から出したtanを掛けます。
言葉の式 無効電力 = 有効電力 × tanθ = 有効電力 × sinθ ÷ cosθ
Q:無効電力(遅れ)〔kvar〕 P:有効電力〔kW〕 θ:力率角(cosθ が力率)
- ② 2つの差が、設備として要る容量です。単位はkvar(キロバール)です。
言葉の式 要るコンデンサの容量 = 改善前の無効電力 − 改善後の無効電力
QC:要る電力用コンデンサの容量(設備としての出力)〔kvar〕 Q1:改善前の無効電力〔kvar〕 Q2:改善後の無効電力〔kvar〕
- ③ 直列リアクトルが付くときは、コンデンサの端子電圧を出します。単体の容量は、設備の容量×100÷(100−リアクトルの%)です。
言葉の式 コンデンサの端子電圧 = 電源電圧 × コンデンサのリアクタンス ÷(コンデンサのリアクタンス − リアクトルのリアクタンス)
VC:コンデンサの端子電圧〔V〕 V:電源電圧(受電電圧)〔V〕 XC:コンデンサのリアクタンス(%で与えられることが多い)〔%〕 XL:直列リアクトルのリアクタンス(コンデンサと同じ基準の%)〔%〕
- ④ ③の値が、電源電圧や②の容量より数%大きいかを確かめます。
例は、令和6年度上期 法規 問12 の条件です。線間電圧6,600 Vの高圧電路に、300 kW、遅れ力率0.6の三相負荷があります。
直列リアクトルのリアクタンスは、コンデンサのリアクタンスの6%です。力率を遅れ0.8に改善します。
- 改善前と改善後の無効電力は次のとおりです。
- コンデンサ単体の容量は、次のとおり約186 kvarです。
QC′:コンデンサ単体の容量(定格)〔kvar〕 QC:設備としての出力(電源に出す進みの無効電力)〔kvar〕 XC:コンデンサのリアクタンス〔%〕 XL:直列リアクトルのリアクタンス〔%〕
配電線の電圧降下 ── 無効電力を減らすと電圧が戻る

| 電圧降下の項 | 中身 | 力率を改善すると |
|---|---|---|
| 抵抗の項 | 有効電力×1線の抵抗 | 変わらない |
| リアクタンスの項 | 無効電力×1線のリアクタンス | 小さくなる |
| 三相の電圧降下 | 2つの項の和÷受電端の線間電圧 | 小さくなる |
配電線の電圧降下は、有効電力と抵抗の項、無効電力とリアクタンスの項の和で決まります。遅れの無効電力を減らすと後ろの項が小さくなり、電圧が戻ります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 三相の電圧降下で、√3を掛けずに送電端の電圧を出す | × | 1線分の降下を√3倍する |
| 力率改善の前後の電圧降下の比は、電流の比と同じ | × | 抵抗の項とリアクタンスの項で減り方が違う |
| 電源に近い区間には、下流の負荷の電流がまとめて流れる | ○ | 区間ごとに電流を足す |
| 受電端の電圧を上げるコンデンサの容量は、設置後に残る無効電力 | × | 設置前の無効電力との差 |
- 一般送配電事業者は、供給する電気の電圧を、101±6 Vなどの値に保つよう努めます(電気事業法 第26条第1項)。
- 配電線では、リアクタンスが抵抗より大きいことが多く、無効電力を減らすと電圧降下がよく下がります。
解き方:送電端の電圧と降下の比を出す
- ① 最初の一手は、力率からsinを出し、1線の抵抗の項とリアクタンスの項をそろえることです。送電端と受電端の電圧の角度のずれが小さいとした近似式です。
言葉の式 sinθ = √(1 − 力率の2乗)
θ:力率角(cosθ が力率)
言葉の式 電圧降下 = √3 × 線電流 ×(1線の抵抗 × cosθ + 1線のリアクタンス × sinθ)
v:三相3線式の電圧降下(送電端と受電端の線間電圧の差)〔V〕 I:線電流〔A〕 R:電線1線当たりの抵抗〔Ω〕 X:電線1線当たりのリアクタンス〔Ω〕 θ:負荷の力率角(遅れ)
- ② 線電流は、有効電力と受電端の電圧と力率から出します。
言葉の式 線電流 = 有効電力 ÷(√3 × 線間電圧 × 力率)
I:線電流〔A〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 θ:負荷の力率角(cosθ が力率)
- ③ 降下に受電端の電圧を足して、送電端の電圧にします。
言葉の式 送電端の電圧 = 受電端の電圧 + 電圧降下
Vs:送電端の線間電圧〔V〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕 v:電圧降下〔V〕
- ④ 力率を改善した後は、電力の形の式で、無効電力だけを入れ替えます。単位の桁をそろえてから入れます。
言葉の式 電圧降下 =(有効電力 × 1線の抵抗 + 無効電力 × 1線のリアクタンス)÷ 受電端の線間電圧
v:三相3線式の電圧降下〔V〕 P:三相負荷の有効電力〔W〕 R:電線1線当たりの抵抗〔Ω〕 Q:三相負荷の無効電力(遅れ)〔var〕 X:電線1線当たりのリアクタンス〔Ω〕 Vr:受電端の線間電圧〔V〕
例は、令和6年度上期 法規 問11 の条件です。三相3線式(さんそうさんせんしき)1回線の配電線で、電線1条の抵抗は3 Ω、リアクタンスは5 Ωです。
使用電力は8,000 kW、力率は0.8(遅れ)、受電電圧は20 kVです。改善後の力率は0.95(遅れ)で、受電電圧は変わらないとします。
- 線電流は次のとおりです。sinは0.6です。
- 電圧降下は次のとおり約2,700 Vです。
- 改善前と改善後の無効電力は次のとおりです。
Q:無効電力(遅れ)〔kvar〕 P:有効電力〔kW〕 θ:力率角(cosθ が力率)
- 改善後の降下は次のとおり約1,857 Vです。
- 比は、1,857÷2,700×100≒68.8%です。
短絡電流と%Z ── %Zが小さいほど短絡電流は大きい

| 手順 | すること | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 基準容量 | 配電線の値を、変圧器の容量にそろえる | そろえずに足す |
| 合成 | 抵抗分どうし、リアクタンス分どうしを足してから三平方 | 先に三平方してから足す |
| 定格電流 | 短絡点の側の電圧で出す | 一次側の電圧で出す |
| 継電器に入る電流 | 一次側に換算し、変流比で割る | 二次側のまま割る |
短絡電流(たんらくでんりゅう)は、定格電流をパーセントインピーダンスで割って100を掛けた大きさです。パーセントインピーダンスが小さいほど、短絡電流は大きくなります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 10 MV·A基準の配電線の値を、そのまま300 kV·A基準の変圧器の値と足す | × | 300÷10,000倍してから足す |
| 合成は、抵抗分とリアクタンス分を別々に足してから三平方 | ○ | 先に三平方すると誤る |
| 変圧器の二次側の短絡を一次側の変流器(へんりゅうき)で見るときは、電圧の比で換算する | ○ | 一次側の電流に直す |
| 高圧の過電流遮断器は、通過する短絡電流を遮断できる能力が要る | ○ | 解釈 第34条第1項 |
- パーセントインピーダンス(ぱーせんといんぴーだんす)とは、定格電流を流したときの電圧降下を、定格電圧に対する%で表した量です。基準容量に比例します。
- 変流器は、大きな電流を、継電器で扱える小さな電流に変えます。過電流を見る過電流継電器(かでんりゅうけいでんき)には変流器を、地絡を見る地絡継電器(ちらくけいでんき)には零相変流器(れいそうへんりゅうき)をつなぎます。
解き方:短絡電流と変流器の電流を出す
- ① 最初の一手は、パーセントインピーダンスの基準容量をそろえることです。
言葉の式 そろえた後の%Z = 元の%Z × 新しい基準容量 ÷ 元の基準容量
%Z′:新しい基準容量にそろえた%インピーダンス〔%〕 %Z:元の基準容量での%インピーダンス〔%〕 P′:新しい基準容量〔V·A〕 P:元の基準容量〔V·A〕
- ② 抵抗分とリアクタンス分を別々に足し、三平方で1つにします。
言葉の式 合成の%Z = √(%R の合計の2乗 + %X の合計の2乗)
%Z:短絡点から電源側を見た合成の%インピーダンス〔%〕 %R:直列の%抵抗の合計〔%〕 %X:直列の%リアクタンスの合計〔%〕
- ③ 短絡点の側の電圧で定格電流を出し、短絡電流にします。
言葉の式 三相の定格電流 = 容量 ÷(√3 × 線間電圧)
In:三相の定格電流(変圧器なら最大供給電流)〔A〕 S:三相の容量(変圧器の定格容量・負荷の皮相電力)〔V·A〕 V:線間電圧〔V〕
言葉の式 短絡電流 = 基準容量での定格電流 × 100 ÷ 合成の%Z
Is:三相短絡電流〔A〕 %Z:短絡点から電源側を見た合成の%インピーダンス〔%〕 In:基準容量での定格電流(短絡点の側の電圧で出す)〔A〕
- ④ 変流器の電流は、一次側に換算してから変流比で割ります。
言葉の式 一次側の電流 = 二次側の電流 × 二次電圧 ÷ 一次電圧
I1:変圧器の一次側に流れる電流〔A〕 I2:変圧器の二次側に流れる電流(短絡電流など)〔A〕 V2:二次電圧〔V〕 V1:一次電圧〔V〕
言葉の式 CT の二次電流 = 一次電流 × 定格二次電流 ÷ 定格一次電流
i2:CT の二次側に出る電流(過電流継電器に流れる電流)〔A〕 I1:CT の一次側に流れる電流〔A〕 I2n:CT の定格二次電流(ふつう5 A)〔A〕 I1n:CT の定格一次電流(変流比 75 A/5 A の 75 A)〔A〕
例は、平成29年度 法規 問12 の条件です。三相300 kV·A、6.6 kV/210 Vの変圧器の二次側のF点で、三相短絡が起きます。
変圧器は、300 kV·A基準で百分率抵抗降下2%、百分率リアクタンス降下4%です。配電線路は、10 MV·A基準で20%と40%です。
変流器は変圧器の一次側にあり、変流比は75 A/5 Aです。
- 配電線路を300 kV·A基準にします。
- 合計は抵抗分2.6%、リアクタンス分5.2%です。合成は次のとおりです。
- 定格電流は、300 kV·Aと210 Vから出します。
- 短絡電流は次のとおり約14.2 kAです。
- 一次側の電流と、変流器の二次側の電流は次のとおりです。
- 過電流継電器に入る電流は約30 Aです。基準容量をそろえずに足すと、約1.7 kAと誤ります。
地絡電流と地絡継電器 ── 構外の事故でも構内の電流が流れる

| 量 | 決まり方 | 注意 |
|---|---|---|
| 1線完全地絡の電流 | 相電圧(そうでんあつ)と、3線分の対地静電容量で決まる | 3線分の3を落とさない |
| 構外の事故で零相変流器を通る電流 | 地絡電流を容量の比で分けた、構内側の分 | 分子は構内側の容量 |
| 地絡方向継電器(ちらくほうこうけいでんき) | 電流と電圧の関係から、地絡の向きを見る | 構内と構外を見分ける |
構外の地絡でも、構内のケーブルの対地静電容量を通る電流が、零相変流器を流れます。構内のケーブルが長いと、地絡継電器が不必要に動くことがあります。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 地絡電流の式で、3線分の対地静電容量の3を落とす | × | 3線の容量が並列で3倍 |
| 構外の事故で検出される分は、地絡電流を配電線側の容量の割合で分けた値 | × | 分子は零相変流器の負荷側の容量 |
| 構内のケーブルが極めて短ければ、無方向の地絡継電器でも不必要動作は少ない | ○ | 構内側の容量が小さい |
| 地絡方向継電器の整定は、動作時限だけ変電所と協調すればよい | × | 動作電流などの整定値も小さくする |
- 対地静電容量(たいちせいでんようりょう)とは、電線と大地の間の静電容量です。非接地方式(ひせっちほうしき)では、地絡電流はこの容量を通って戻ります。
- 需要家の地絡継電器は、動作電流も動作時限も、配電用変電所より小さく整定します。構内の地絡を先に切り、配電線全体の停電を防ぎます。
- 地絡で感電や火災が起きないよう、必要な所には地絡遮断装置(ちらくしゃだんそうち)などを置きます(電気設備に関する技術基準を定める省令 第15条)。
解き方:零相変流器を通る電流を出す
- ① 最初の一手は、配電線側と構内側の対地静電容量を並べ、分かれる比を作ることです。
- ② 1線完全地絡の電流を出します。μF(マイクロファラド)の値には、10⁻⁶を掛けます。
言葉の式 1線完全地絡電流 = 2√3 × π × 周波数 × 線間電圧 ×(配電線側と構内側の1線の対地静電容量の和)
Ig:1線完全地絡のときの地絡電流〔A〕 f:周波数〔Hz〕 V:線間電圧〔V〕 C1:配電線側の1線の対地静電容量〔F〕 C2:構内側(需要設備)の1線の対地静電容量〔F〕
- ③ 零相変流器の負荷側にある容量の割合を掛けます。
言葉の式 零相変流器が検出する電流 = 地絡電流 × 零相変流器の負荷側の容量 ÷(2つの容量の和)
I0:零相変流器で検出される地絡電流〔A〕 Ig:1線完全地絡電流〔A〕 C2:零相変流器の負荷側にある1線の対地静電容量(構外の事故なら構内側)〔F〕 C1:反対側の1線の対地静電容量〔F〕
- ④ 地絡電流はAの桁、構外の事故で構内に分かれる電流はmAの桁かを確かめます。
例は、令和5年度下期 法規 問11 の条件です。中性点非接地方式の三相3線式の高圧配電線路で、線間電圧は6,600 V、周波数は60 Hz(ヘルツ)です。
配電線路の一相の対地静電容量は2.3 μF、需要設備の一相は0.02 μFです。需要設備の外で1線完全地絡が起きます。
- 地絡電流は次のとおり約10.0 Aです。
- 零相変流器を通る電流は次のとおりです。
- 0.0862 Aは、約86 mAです。分ける比を逆にすると、ほとんど全部が流れる値になります。
関連:接地工事のB種接地抵抗|短絡電流
高調波の流出電流 ── リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍

| 第n調波で | リアクタンス | 理由 |
|---|---|---|
| リアクトル(配電系統も) | n倍 | 周波数に比例 |
| コンデンサ | 1/n倍 | 周波数に反比例 |
| 直列リアクトル付きの設備 | 2つの差 | 差が正ならコイルとして振る舞う |
第n調波では、リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍になります。系統へ流れ出る電流は、2つの枝のインピーダンスの逆の比で分かれます。
| 問われる形 | ○× | ポイント |
|---|---|---|
| 第5調波では、コンデンサのリアクタンスも5倍 | × | 5分の1。周波数に反比例 |
| 発生した第5調波電流の全部が、配電系統へ流れ出る | × | コンデンサ設備側にも分かれる |
| 分流の式で、系統側のインピーダンスを分子に置く | × | 分子は相手側のコンデンサ設備側 |
| 6%の直列リアクトル付きの設備は、第5調波でコイルとして振る舞う | ○ | 30%が20%を上回る |
- 高調波(こうちょうは)とは、基本波(きほんは)の整数倍の周波数の成分です。インバータや整流器が発生源になります。
- 直列リアクトルの割合が足りないと、第5調波で直列共振に近くなります。大きな電流が流れ、焼損のおそれがあります。
- 系統へ流れ出る電流の上限は、法令ではなく指針で示されています。
解き方:系統へ流れ出る電流を出す
- ① 最初の一手は、基本波のリアクタンスを、リアクトルはn倍、コンデンサは1/n倍にすることです。
言葉の式 第n調波のリアクトルのリアクタンス = 基本波のリアクタンス × n
XLn:第n調波に対するリアクトルのリアクタンス〔%〕 n:高調波の次数〔次〕 XL:基本波に対するリアクトルのリアクタンス〔%〕
言葉の式 第n調波のコンデンサのリアクタンス = 基本波のリアクタンス ÷ n
XCn:第n調波に対するコンデンサのリアクタンス〔%〕 XC:基本波に対するコンデンサのリアクタンス〔%〕 n:高調波の次数〔次〕
- ② 負荷の定格電流に発生の割合を掛けて、発生する高調波電流を出します。
- ③ 系統へ流れ出る電流は、発生した電流に、コンデンサ設備側の値÷(系統側+コンデンサ設備側)を掛けた値です。2つの枝がどちらもコイルとして振る舞うときに、この形で使えます。
- ④ 系統へ出る電流が、発生した電流より小さいかを確かめます。
例は、令和7年度上期 法規 問12 の条件です。6,600 Vで受電する定格容量500 kV·Aの三相負荷設備に、6%の直列リアクトル付きコンデンサ設備があります。
第5調波電流は、定格電流の15%が発生します。インピーダンスは問題の式で与えられ、10 MV·A基準です。
- 定格電流は、500 kV·Aと6.6 kVから出します。
In:三相の定格電流(変圧器なら最大供給電流)〔A〕 S:三相の容量(変圧器の定格容量・負荷の皮相電力)〔V·A〕 V:線間電圧〔V〕
- 発生する第5調波電流は次のとおりです。
Ih:負荷から発生する第n調波の電流〔A〕 kn:第n調波の発生の割合(定格電流に対する比。小数) In:負荷の定格電流(受電点の電流に換算した値)〔A〕
- 問題の式に第5調波を入れると、配電線路側は30%、コンデンサ設備側は500%で、どちらもコイルとして振る舞います。
- 系統へ流れ出る電流は次のとおりです。
Io:系統へ流れ出る高調波電流〔A〕 Ih:負荷から発生した高調波電流〔A〕 ZS:系統側の第n調波のインピーダンス(同じ基準の%)〔%〕 ZC:コンデンサ設備側の第n調波のインピーダンス(リアクトル分−コンデンサ分)〔%〕
- 答えは約6.2 Aです。15%を掛け忘れると、約41.2 Aと誤ります。
関連:力率改善
まとめ
3つの率は、分母が設備容量・最大需要電力・合成最大需要電力のどれかを先に確かめます。
変圧器の損失は鉄損が一定、銅損が負荷率の2乗で、力率改善は無効電力の差で考えます。
短絡と地絡と高調波は、基準をそろえ、インピーダンスや容量の比で電流を分けます。
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参考文献
- 電気事業法 第26条
- 電気設備に関する技術基準を定める省令 第15条
- 電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正) 第34条・第148条
- 第三種電気主任技術者試験(電気技術者試験センター) 法規 平成23年度 問11・平成29年度 問12・令和5年度上期 問11・令和5年度下期 問11・令和6年度上期 問11・問12・令和7年度上期 問12
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