動画解説はこちら|YouTube

対流熱伝達と放射伝熱の論点|境界層・ヌセルト数・混合平均温度・沸騰・4乗則・遮熱板・ガス放射【エネ管・熱Ⅱ】

対流熱伝達と放射伝熱の論点(エネルギー管理士 熱分野)

熱Ⅱの伝熱のうち、対流(境界層・無次元数・管内流・沸騰と凝縮)と放射(黒体・放射率・物体間・ガス)の論点を並べました。課目Ⅰで問われる放射の4乗則もここで扱います。

伝導は伝熱の三形態と熱伝導、熱交換器は熱通過と熱交換の記事にあります。

境界層と熱伝達率 ── 境界層が薄く壁の温度勾配が急なほど大きい

境界層と熱伝達率:平板に沿う層流では先端の近くほど温度境界層が薄く、壁での温度勾配が急なので熱伝達率が大きい。局所熱伝達率は先端からの距離の−1/2乗に比例し、4倍下流で半分
見るもの式・性質熱伝達率 h が大きくなる向き
壁から流体へ入る熱流束q=−λ(∂T/∂y)w(λ は流体の値)壁ぎわの温度勾配が急
熱伝達率の定義q=h(T∞−Tw)〔W/(m²·K)〕同じ温度差で多く運ぶ
温度境界層の厚さPr=ν/a が大きい流体ほど、速度境界層より薄いPr が大きい
平板に沿う層流先端から下流へ境界層が厚くなる(hx は x−1/2 に比例)先端付近
強制対流の概略値空気の平板 5、水の平板 5,000 W/(m²·K)空気より水

なぜ:壁に接した流体は動かないので、壁から流体へ熱は伝導で入ります。q=−λ(∂T/∂y)w と q=h(T∞−Tw) を等しいとおくと、h は壁の温度勾配に比例します。境界層が薄いほど勾配が急になり、h が大きくなります。

問われる形正誤ポイント
壁ぎわの流体の温度勾配が緩やかなほど、熱伝達率は大きい×急なほど(温度境界層が薄いほど)大きい
熱伝達率は流体に固有の物性値なので、流速や物体の形によらない×流速・層流か乱流か・形・表面上の位置で大きく変わる
同じ強制対流なら、水の熱伝達率は空気より2〜3桁大きい○概略値で水 5,000、空気 5〜40
プラントル数が大きい流体ほど、温度境界層は速度境界層より厚い×薄い(Pr が小さいと厚い)
平板に沿う層流では、局所熱伝達率は先端付近で大きく、下流ほど小さい○下流ほど境界層が厚い
  • 平板の層流では、先端から x までの平均熱伝達率は位置 x の局所値の2倍。x−1/2 を 0〜x で平均すると2倍になる。
  • 管の中では入口から境界層が厚くなり、やがて管全体が境界層になる(発達した流れ)。入口からそこまでを助走区間という。
  • 層流か乱流か、助走区間か発達した流れかで境界層は大きく変わり、h も変わる。
  • 熱伝達の抵抗は R=1/(hmA)(hm は平均熱伝達率)。

関連:層流と乱流(レイノルズ数)

対流の無次元数と熱伝達の関係式 ── Nuは強制でRe・Pr、自然でGr・Pr

対流の無次元数:強制対流は流速・長さ・動粘度からレイノルズ数、自然対流は重力・体膨張率・温度差からグラスホフ数をつくり、どちらもプラントル数と合わせてヌセルト数が決まり、h=Nu·λ/x で熱伝達率が出る
無次元数式何を表すか
ヌセルト数 Nuhx/λ(λ は流体)対流が、厚さ x の静止流体の伝導の何倍運ぶか
レイノルズ数 Reux/ν流れの強さ(慣性力と粘性力の比)
プラントル数 Prν/a=cpμ/λ速度の伝わりやすさ ν と温度の伝わりやすさ a の比。流体の物性値
グラスホフ数 Grx³gβ(Tw−T∞)/ν²浮力の強さ(体膨張率 β と温度差が入る)
強制対流Nu=f(Re, Pr)円管内の乱流:Nu=0.023Re0.8Pr1/3(コルバーンの式)
自然対流Nu=f(Gr, Pr)Nu が分かれば h=Nu·λ/x

なぜ:Nu=hx/λ は、h を「厚さ x の静止した流体を伝導で通るときの λ/x」で割ったものです。つまり対流が伝導の何倍よく運ぶかを表します。それを決めるのは流れの強さ(強制は Re、自然は浮力の Gr)と、境界層の厚さの比を決める Pr です。

問われる形正誤ポイント
ヌセルト数 hx/λ の λ には、壁の材料でなく流体の熱伝導率を使う○境界層の流体を伝導で通る熱と比べる数
プラントル数は、温度伝導率を動粘度で割った a/ν×ν/a(=cpμ/λ)
自然対流の Nu は、レイノルズ数とプラントル数で整理する×Gr と Pr。Re と Pr は強制対流
グラスホフ数に体膨張率と温度差が入るのは、自然対流を起こすのが密度差による浮力だから○温度差 → 密度差 → 浮力
コルバーンの式が成り立つ範囲で流速を2倍にすると、熱伝達率は約4倍になる×Re0.8 に比例して 20.8≒1.74倍

例題

円管内を乱流で流れる水の熱伝達率が、条件を変えると何倍になるかを求めます。コルバーンの式(Nu∝Re0.8)を使い、物性値は変えません。

①流速を1.5倍にする:Re は流速に比例して1.5倍。Nu も h も 1.50.8=1.38倍。

②同じ流量のまま内径を0.8倍にする:流速は 1/0.8²=1.56倍。Re=uD/ν は 1.56×0.8=1.25倍。

③h=Nu·λ/D なので、h は 1.250.8÷0.8=1.195÷0.8=1.49倍。

④確かめる:流速を上げると h は増えるが、比例より弱い。圧力損失は流速のおよそ2乗で増えるので、上げすぎると動力の損が勝つ。

  • コルバーンの式は、104<Re<1.2×105、0.7<Pr<120 の円管内の乱流で使う。物性値は入口と出口の混合平均温度の算術平均で読む(粘性係数だけは、その温度と壁温の平均の膜温度で読む)。
  • 関係式には適用の条件がある(層流か乱流か、助走区間か発達した流れか、物性値をどの温度で読むか)。条件の外では使えない。
  • 管内流で水が空気より h が大きいのは、Pr と λ が大きいため。
  • 動粘度 ν=μ/ρ、温度伝導率 a=λ/(cpρ)。

関連:円管内の対流と混合平均温度

円管内の対流と混合平均温度 ── 管内の熱収支は混合平均温度でとる

混合平均温度:管の断面を流れる流体は中心ほど速く多く運ぶので、管内の熱収支は流量で重みを付けた混合平均温度でとる。例では面積だけの平均55℃に対し、混合平均は約48℃
項目式ポイント
混合平均温度 T′T′=∫Tu dS/∫u dS流速で重みを付けた断面の平均(断熱して完全に混ぜた温度)
発達した管内流管内すべてが境界層「主流の温度」が無いので T′ を使う
壁温一定での温度差流れ方向に指数関数で縮む入口側で速く、出口側でゆっくり
伝わる熱量Q=hm·ΔTm·πDLΔTm=(ΔT₁−ΔT₂)/ln(ΔT₁/ΔT₂)(対数平均温度差)
算術平均での近似ΔT₁/ΔT₂ が 1.2 で誤差 0.3%、2.0 で 4%差が小さければ算術平均でよい

なぜ:断面を通って運ばれる熱は「その点の温度×その点を流れる量」の合計です。速い中心部は多く運び、遅い壁ぎわは少ししか運ばないので、流速で重みを付けた混合平均温度で収支をとります。壁温一定なら逃げる熱が温度差に比例するので、温度差は指数関数で縮み、平均は対数平均になります。

問われる形正誤ポイント
管内の熱収支に、断面の面積だけで平均した温度を使うと、運ばれる熱量と合わない○運ぶ量は流速×温度で決まる
発達した円管内の流れでは、中心付近に一様な主流が残るので、その温度を使う×管内すべてが境界層。混合平均温度を使う
壁温一定の管で流体を冷やすと、流体と壁の温度差は流れ方向に直線で縮まる×指数関数的に縮む
入口と出口の温度差が 30 K と 20 K なら、算術平均と対数平均の差は2%未満○10/ln1.5=24.7 K と 25 K

例題

内径 0.05 m の管の外を 120℃ の蒸気で加熱し、管壁の温度を 120℃ 一定とみます。水 0.5 kg/s を 20℃ から 80℃ に温めます。平均熱伝達率を 2,000 W/(m²·K) として、要る管の長さを求めます。

①熱収支:Q=ṁc(T₂′−T₁′)=0.5×4.19×60=126 kW(比熱 4.19 kJ/(kg·K))。

②両端の温度差:入口 120−20=100 K、出口 120−80=40 K。

③対数平均温度差:ΔTm=(100−40)/ln(100/40)=60/0.916=65.5 K。

④面積と長さ:A=125,700/(2,000×65.5)=0.96 m²。長さは 0.96/(π×0.05)=6.1 m。

⑤確かめる:算術平均 70 K を使うと面積は 0.90 m² で、約6%小さく見積もる。両端の比が 2.5 と開いているので、対数平均が要る。

  • 混合平均温度は、その断面の流体を断熱して完全に混ぜたときの温度。
  • 流体が壁より冷たい(加熱される)ときも、温度差を絶対値でとれば同じ式で計算できる。
  • 2流体の熱交換器でも、同じ形の対数平均温度差が出てくる。

関連:交換熱量と対数平均温度差

沸騰と凝縮の熱伝達 ── バーンアウト点を超えると膜沸騰、滴状凝縮は膜状の約6倍

沸騰とバーンアウト:熱流束を上げていくと、核沸騰の間は気泡がかき混ぜて伝熱面の温度はあまり上がらないが、極大熱流束(バーンアウト点)を超えると蒸気の膜が面を覆い、面の温度が急上昇して膜沸騰に移る
段階(過熱度を上げる順)伝熱面のようす熱伝達率など
自然対流まだ沸騰しない小さい
核沸騰気泡が面でできて離れ、液をかき混ぜる過熱度とともに急に大きくなる
極大熱流束点(バーンアウト点)核沸騰の上限大気圧の水で最大 約60 kW/(m²·K)
遷移沸騰核沸騰と膜沸騰の間(極小熱流束点まで)—
膜沸騰薄く安定した蒸気の膜が面を覆う約1 kW/(m²·K)
凝縮膜状:液膜が面を覆う/滴状:液滴で面がのぞく滴状は膜状の約6倍

なぜ:電気ヒータのように熱流束を与える面でバーンアウト点を超えると、核沸騰では熱を運びきれず、蒸気の膜が面を覆います。蒸気は熱伝導率が小さいので、同じ熱を逃がすには面の温度が一気に上がるしかありません。熱が膜を通らなければならないほど伝熱は悪いので、凝縮でも面がのぞく滴状のほうが良くなります。

問われる形正誤ポイント
過熱度を上げると、自然対流 → 膜沸騰 → 遷移沸騰 → 核沸騰の順に移る×自然対流 → 核沸騰 → 遷移沸騰 → 膜沸騰
膜沸騰で熱伝達率が小さいのは、熱伝導率の小さい蒸気の膜を熱が通るから○蒸気の膜が抵抗になる
熱流束を与える加熱面でバーンアウト点を超えても、面の温度は少し上がるだけで核沸騰が続く×一気に膜沸騰へ移り、面の温度が急上昇する(溶けることもある)
核沸騰で熱流束が過熱度の3乗に比例すれば、熱伝達率は過熱度の2乗に比例する○h=q/ΔT で次数が1つ下がる
滴状凝縮の熱伝達率は、膜状凝縮の約1/6×約6倍

例題

核沸騰の熱流束が過熱度の3乗に比例するとします。過熱度を 10 K から 12 K に上げたときの、熱流束と熱伝達率の変化を求めます。

①過熱度の比:12/10=1.2。

②熱流束:q∝ΔT³ なので 1.2³=1.73倍。

③熱伝達率:h=q/ΔT∝ΔT² なので 1.2²=1.44倍。

④確かめる:1.73÷1.2=1.44 で一致。過熱度が少し上がるだけで、熱流束は大きく増えるのが核沸騰の強み。

  • 教科書は q∝(Tw−Ts)n、n=3〜4 としている(Ts は飽和温度)。
  • バーンアウト点を超えた先の面の温度は、金属の融点を超えることが多い(加熱体が溶ける)。
  • 容器の液を加熱するのがプール沸騰、流しながら沸かすのが強制対流沸騰。液全体が飽和温度なら飽和沸騰、低ければサブクール沸騰。
  • 膜状凝縮は液が面をよく濡らすとき、滴状凝縮は面が濡れにくく液が表面張力で滴になるときに起こる。

関連:蒸気の状態(圧縮液から過熱蒸気まで)

黒体放射 ── 放射は絶対温度の4乗で増え、強い波長は短くなる

黒体放射:絶対温度を300・600・900・1,200 Kと2・3・4倍にすると、放射は1・16・81・256倍になり、最も強い波長は9.7・4.8・3.2・2.4 μmと短くなる
法則式読み方
ステファン・ボルツマンの法則Eb=σT⁴、σ=5.67×10⁻⁸ W/(m²·K⁴)絶対温度の4乗に比例
ウィーンの変位則λmaxT=2.90×10⁻³ m·K温度が高いほど、最も強い波長が短い
実際の物体E=εσT⁴(ε は放射率)黒体の ε 倍
黒体吸収率 α=1(反射も透過もしない)同じ温度で最も多く放射する
絶対温度を2倍・3倍放射は 2⁴=16倍・3⁴=81倍比を4乗する

なぜ:放射で出る量は相手との温度差ではなく、その面の絶対温度だけで決まります。だから温度は必ず K に直してから4乗します。227℃ から 727℃ は℃では約3.2倍です。K では 500 K から 1,000 K の2倍で、放射は 2⁴=16倍です。

問われる形正誤ポイント
黒体の温度が上がると、単色放射能が最大になる波長は長い側へ移る×短い側へ移る(λmaxT=一定)
1,000 K の黒体で放射が最も強い波長は約 2.9 µm で、赤外域にある○2.90×10⁻³÷1,000=2.9×10⁻⁶ m
ステファン・ボルツマン定数 σ の単位は W/(m²·K)×W/(m²·K⁴)
小さな穴をあけた空洞の穴は、吸収率がほぼ1の黒体とみなせる○入った放射が中で吸収・反射を繰り返し、戻らない
放射率と面積が同じなら、表面温度を 127℃ から 527℃ に上げると放射は約16倍になる○400 K → 800 K の2倍で 2⁴

例題

放射率 0.8 の面が 527℃ のとき、1 m² から出る放射の量と、最も強い波長を求めます。

①絶対温度に直す:527+273=800 K。

②4乗する:800⁴=4.10×10¹¹ K⁴。

③放射の量:E=0.8×5.67×10⁻⁸×4.10×10¹¹=1.86×10⁴ W/m²。つまり 18.6 kW/m²。

④最も強い波長:2.90×10⁻³÷800=3.6×10⁻⁶ m=3.6 µm(赤外)。

⑤桁を確かめる:黒体の 1,000 K は σT⁴=56.7 kW/m²。800 K はその 0.8⁴=0.41倍で 23.2、放射率を掛けて 18.6 kW/m²。

  • 温度を上げると、物体は暗赤色から白色へ光って見える(強い波長が短くなる)。
  • 黒体は実在しないが、ランプブラック(放射率 0.97)は黒体に近い。
  • 物体に当たる放射は、吸収・反射・透過に分かれ、α+ρ+τ=1。黒体は α=1。

関連:放射温度計

放射率・吸収率と灰色体 ── 同じ温度・波長では放射率=吸収率

放射率と吸収率:不透明な面では当たった放射は吸収か反射になり、同じ温度・波長では放射率=吸収率。研磨したアルミは0.040でほとんどはね返し、酸化した鋼0.79、ランプブラック0.97はほとんど吸収する
表面放射率 ε読み方
アルミニウム 研磨面(23℃)0.040光る金属面は放射しにくく、はね返す
銅 研磨面(100℃)/600℃で酸化0.052/0.57酸化すると大きくなる
鋼 研磨面(100℃)/600℃で酸化0.066/0.79同じ材料でも表面の状態で大きく違う
耐火れんが0.4〜0.7—
水・氷0.96・0.97黒体に近い
ランプブラック0.97黒体に近い

なぜ:熱平衡の空洞に置いた物体は、温度が変わりません。それには吸収した分と同じだけ放射するしかありません。だから同じ温度・同じ波長では、放射しやすい物体ほど吸収もしやすい(キルヒホッフの法則 ελ=αλ)。灰色体は ελ が波長によらず一定なので、全体でも ε=α です。

問われる形正誤ポイント
α+ρ+τ=1 で、気体は一般に透過率 τ が0に近い×気体は α・ρ が非常に小さく、τ が1に近い(固体の工業材料は τ=0 が多い)
同じ温度・波長で単色放射率と単色吸収率が等しいのは、平衡の空洞内で吸収した分だけ放射しないと温度が変わるから○キルヒホッフの法則
鋼の表面は、研磨面より 600℃ で酸化させた面のほうが放射率がずっと大きい○0.066 と 0.79
灰色体は、単色放射率が波長で変わり、放射の分布の形が黒体と違う物体×ελ が全波長で一定。分布は黒体と相似で ε 倍
  • 灰色体は、ελ が全波長で一定で、温度でも変わらない物体。酸化した金属や非鉄金属の表面は、灰色体とみなせるものが多い。
  • 工業で使う固体は τ=0 のものが多く、α+ρ=1。放射率の小さい面ほど反射率が大きい。
  • 放射率は材質だけでなく、研磨・粗面・酸化といった表面の状態で大きく変わる。

関連:物体間の放射伝熱(形態係数・遮へい)

物体間の放射伝熱(形態係数・遮へい) ── 遮熱板n枚で1/(n+1)に減る

遮熱板:放射率0.8の広い平行2平面(600 Kと400 K)の間に放射率の等しい遮熱板を0・1・2・3枚入れると、放射伝熱量は3,930・1,970・1,310・983 W/m²と1/(n+1)に減る
場合放射伝熱量形態係数など
黒体の2面Q₁₂=σ(T₁⁴−T₂⁴)A₁F₁₂A₁F₁₂=A₂F₂₁。配置だけで決まる
広い平行2平面(灰色体)Q₁₂/A₁=σ(T₁⁴−T₂⁴)/(1/ε₁+1/ε₂−1)F₁₂=F₂₁=1
凹部のない物体1が物体2に囲まれる分母は 1/ε₁+(A₁/A₂)(1/ε₂−1)F₁₂=1、F₂₁=A₁/A₂
物体1が十分に小さい(A₁≪A₂)Q₁₂/A₁=ε₁σ(T₁⁴−T₂⁴)囲む壁の放射率によらない
遮熱板 n 枚(放射率がすべて等しい)板なしの 1/(n+1)同じ抵抗が n+1 個の直列

なぜ:遮熱板を入れると、熱は「面 → 板 → 板 → … → 面」と順に渡されます。放射率がすべて等しければ、どの隙間も同じ大きさの抵抗になり、n 枚で n+1 個の直列です。両端の4乗の差は変わらないので、伝熱量は 1/(n+1) になります。

問われる形正誤ポイント
A₁F₁₂=A₂F₂₁ で、形態係数は面の温度・放射率によらず、配置だけで決まる○幾何学的な関係
凹部のない物体1が物体2の内面に完全に囲まれると、F₁₂=1、F₂₁=A₂/A₁×F₂₁=A₁/A₂(1より小さい)
放射率の等しい広い平行2平面の間に遮熱板を2枚入れると、伝熱量は 1/3○1/(2+1)
広い部屋の中の小さな凹部のない物体と壁の放射伝熱は、壁の放射率にも左右される×A₁≪A₂ なら ε₁σ(T₁⁴−T₂⁴) で、壁の放射率によらない
平行2平面の式の分母 1/ε₁+1/ε₂−1 は、放射率が小さいほど大きく、伝わりにくさを表す○面の間で反射を繰り返す

例題

放射率 0.8 の広い平行2平面が 600 K と 400 K のとき、1 m² あたりの放射伝熱量を求めます。次に、間に放射率 0.8 の遮熱板を1枚入れます。

①4乗の差:600⁴−400⁴=1.296×10¹¹−0.256×10¹¹=1.04×10¹¹ K⁴。

②黒体どうしなら:σ×4乗の差=5.67×10⁻⁸×1.04×10¹¹=5,900 W/m²。

③放射率の分:分母は 1/0.8+1/0.8−1=1.5。q=5,900/1.5=3,930 W/m²。

④遮熱板1枚:同じ抵抗が2つの直列になり、3,930/2=1,970 W/m²。

⑤確かめる:温度差 200 K を4乗しても 1.6×10⁹ で、4乗の差 1.04×10¹¹ と桁が合わない。4乗してから引く。

  • 形態係数 F₁₂ は、面1から出る放射のうち、面2に届く割合。
  • 式の前提:灰色体で、各面の温度が一様、面1に凹部がなく、2面の間だけでやり取りし、間の空間が放射を吸収しない。
  • 同心円筒も F₁₂=1、F₂₁=A₁/A₂(すき間が小さければ1に近い)。

関連:放射率・吸収率と灰色体

ガスの放射 ── 燃焼ガスで放射するのはCO₂と水蒸気、N₂・O₂はほぼしない

ガスの放射:固体は連続した波長で放射するが、CO₂と水蒸気は限られた波長帯でだけ放射・吸収し、N₂・O₂・H₂・乾燥空気はほとんど放射せず透過する。すすを含む輝炎は固体に近く、不輝炎より格段に強い
ガス・火炎熱放射補足
水素・酸素・窒素・乾燥空気普通の条件ではほとんど放射せず、ほぼ透過する—
CO₂・水蒸気・SO₂・NH₃決まった波長帯で放射・吸収する燃焼ガスでは CO₂ と水蒸気が重要
ガスの放射率 εgE=εgσTg⁴ガスの種類・分圧・温度・層の厚さで決まる
CO₂ と水蒸気が共存個々の放射率の和にならない放射・吸収する波長帯が重なる
不輝炎(青)CO₂・水蒸気の放射—
輝炎(すすを含む黄赤色)不輝炎より格段に強い大きなすすの粒は固体とほぼ同じ

なぜ:固体は連続した波長で放射します。気体は分子どうしの相互作用が弱く、分子の振動や回転に対応した限られた波長帯でしか放射・吸収しません。窒素・酸素・乾燥空気は普通の条件では放射しないので、燃焼ガスの放射は量の少ない CO₂ と水蒸気が担います。

問われる形正誤ポイント
窒素・酸素・乾燥空気は、高温になると強く放射し、燃焼ガスの放射の主役になる×ほとんど放射せず、ほぼ透過する。主役は CO₂ と水蒸気
気体の放射が連続した波長分布にならないのは、分子の振動や回転に対応した限られた帯でしか放射・吸収しないから○分子どうしの相互作用が弱い
CO₂ と水蒸気が共存する燃焼ガスの放射率は、それぞれ単独の放射率の和になる×帯が重なるので和にはならない
すすを含む輝炎の放射は、青い不輝炎より格段に強い○すすの粒は固体に近い
  • 固体はごく薄い表面層から放射するが、気体は体積の内部から放射する。そのため、ガスの放射率はガス層の厚さ(相当厚さ)でも変わる。
  • 帯が重なると、一方が出した放射の一部をもう一方が吸収する。単純に足すと多く見積もる。
  • 一様な温度のガス塊と、それを囲む黒体面の間の伝熱量は Q=σ(εgTg⁴−αgTb⁴)Ab。

関連:すすの生成と火炎の放射(輝炎)

出典:エネルギー管理士試験講座(省エネルギーセンター)熱分野Ⅱ「熱と流体の流れの基礎」3編2〜3章、共通Ⅰ 3編2章

化学プラントニュース―週報と事故速報をわかりやすく紹介するnoteマガジン PLANT NEWS ON NOTE 化学プラントニュース 化学・石油プラントの重要ニュースを、毎週の週報と事故速報でお届けします。現場で押さえたい動きを、わかりやすく整理します。 noteで最新ニュースを読む