熱Ⅱの伝熱のうち、対流(境界層・無次元数・管内流・沸騰と凝縮)と放射(黒体・放射率・物体間・ガス)の論点を並べました。課目Ⅰで問われる放射の4乗則もここで扱います。
伝導は伝熱の三形態と熱伝導、熱交換器は熱通過と熱交換の記事にあります。
境界層と熱伝達率 ── 境界層が薄く壁の温度勾配が急なほど大きい

| 見るもの | 式・性質 | 熱伝達率 h が大きくなる向き |
|---|---|---|
| 壁から流体へ入る熱流束 | q=−λ(∂T/∂y)w(λ は流体の値) | 壁ぎわの温度勾配が急 |
| 熱伝達率の定義 | q=h(T∞−Tw)〔W/(m²·K)〕 | 同じ温度差で多く運ぶ |
| 温度境界層の厚さ | Pr=ν/a が大きい流体ほど、速度境界層より薄い | Pr が大きい |
| 平板に沿う層流 | 先端から下流へ境界層が厚くなる(hx は x−1/2 に比例) | 先端付近 |
| 強制対流の概略値 | 空気の平板 5、水の平板 5,000 W/(m²·K) | 空気より水 |
なぜ:壁に接した流体は動かないので、壁から流体へ熱は伝導で入ります。q=−λ(∂T/∂y)w と q=h(T∞−Tw) を等しいとおくと、h は壁の温度勾配に比例します。境界層が薄いほど勾配が急になり、h が大きくなります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 壁ぎわの流体の温度勾配が緩やかなほど、熱伝達率は大きい | × | 急なほど(温度境界層が薄いほど)大きい |
| 熱伝達率は流体に固有の物性値なので、流速や物体の形によらない | × | 流速・層流か乱流か・形・表面上の位置で大きく変わる |
| 同じ強制対流なら、水の熱伝達率は空気より2〜3桁大きい | ○ | 概略値で水 5,000、空気 5〜40 |
| プラントル数が大きい流体ほど、温度境界層は速度境界層より厚い | × | 薄い(Pr が小さいと厚い) |
| 平板に沿う層流では、局所熱伝達率は先端付近で大きく、下流ほど小さい | ○ | 下流ほど境界層が厚い |
- 平板の層流では、先端から x までの平均熱伝達率は位置 x の局所値の2倍。x−1/2 を 0〜x で平均すると2倍になる。
- 管の中では入口から境界層が厚くなり、やがて管全体が境界層になる(発達した流れ)。入口からそこまでを助走区間という。
- 層流か乱流か、助走区間か発達した流れかで境界層は大きく変わり、h も変わる。
- 熱伝達の抵抗は R=1/(hmA)(hm は平均熱伝達率)。
対流の無次元数と熱伝達の関係式 ── Nuは強制でRe・Pr、自然でGr・Pr

| 無次元数 | 式 | 何を表すか |
|---|---|---|
| ヌセルト数 Nu | hx/λ(λ は流体) | 対流が、厚さ x の静止流体の伝導の何倍運ぶか |
| レイノルズ数 Re | ux/ν | 流れの強さ(慣性力と粘性力の比) |
| プラントル数 Pr | ν/a=cpμ/λ | 速度の伝わりやすさ ν と温度の伝わりやすさ a の比。流体の物性値 |
| グラスホフ数 Gr | x³gβ(Tw−T∞)/ν² | 浮力の強さ(体膨張率 β と温度差が入る) |
| 強制対流 | Nu=f(Re, Pr) | 円管内の乱流:Nu=0.023Re0.8Pr1/3(コルバーンの式) |
| 自然対流 | Nu=f(Gr, Pr) | Nu が分かれば h=Nu·λ/x |
なぜ:Nu=hx/λ は、h を「厚さ x の静止した流体を伝導で通るときの λ/x」で割ったものです。つまり対流が伝導の何倍よく運ぶかを表します。それを決めるのは流れの強さ(強制は Re、自然は浮力の Gr)と、境界層の厚さの比を決める Pr です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| ヌセルト数 hx/λ の λ には、壁の材料でなく流体の熱伝導率を使う | ○ | 境界層の流体を伝導で通る熱と比べる数 |
| プラントル数は、温度伝導率を動粘度で割った a/ν | × | ν/a(=cpμ/λ) |
| 自然対流の Nu は、レイノルズ数とプラントル数で整理する | × | Gr と Pr。Re と Pr は強制対流 |
| グラスホフ数に体膨張率と温度差が入るのは、自然対流を起こすのが密度差による浮力だから | ○ | 温度差 → 密度差 → 浮力 |
| コルバーンの式が成り立つ範囲で流速を2倍にすると、熱伝達率は約4倍になる | × | Re0.8 に比例して 20.8≒1.74倍 |
例題
円管内を乱流で流れる水の熱伝達率が、条件を変えると何倍になるかを求めます。コルバーンの式(Nu∝Re0.8)を使い、物性値は変えません。
①流速を1.5倍にする:Re は流速に比例して1.5倍。Nu も h も 1.50.8=1.38倍。
②同じ流量のまま内径を0.8倍にする:流速は 1/0.8²=1.56倍。Re=uD/ν は 1.56×0.8=1.25倍。
③h=Nu·λ/D なので、h は 1.250.8÷0.8=1.195÷0.8=1.49倍。
④確かめる:流速を上げると h は増えるが、比例より弱い。圧力損失は流速のおよそ2乗で増えるので、上げすぎると動力の損が勝つ。
- コルバーンの式は、104<Re<1.2×105、0.7<Pr<120 の円管内の乱流で使う。物性値は入口と出口の混合平均温度の算術平均で読む(粘性係数だけは、その温度と壁温の平均の膜温度で読む)。
- 関係式には適用の条件がある(層流か乱流か、助走区間か発達した流れか、物性値をどの温度で読むか)。条件の外では使えない。
- 管内流で水が空気より h が大きいのは、Pr と λ が大きいため。
- 動粘度 ν=μ/ρ、温度伝導率 a=λ/(cpρ)。
円管内の対流と混合平均温度 ── 管内の熱収支は混合平均温度でとる

| 項目 | 式 | ポイント |
|---|---|---|
| 混合平均温度 T′ | T′=∫Tu dS/∫u dS | 流速で重みを付けた断面の平均(断熱して完全に混ぜた温度) |
| 発達した管内流 | 管内すべてが境界層 | 「主流の温度」が無いので T′ を使う |
| 壁温一定での温度差 | 流れ方向に指数関数で縮む | 入口側で速く、出口側でゆっくり |
| 伝わる熱量 | Q=hm·ΔTm·πDL | ΔTm=(ΔT₁−ΔT₂)/ln(ΔT₁/ΔT₂)(対数平均温度差) |
| 算術平均での近似 | ΔT₁/ΔT₂ が 1.2 で誤差 0.3%、2.0 で 4% | 差が小さければ算術平均でよい |
なぜ:断面を通って運ばれる熱は「その点の温度×その点を流れる量」の合計です。速い中心部は多く運び、遅い壁ぎわは少ししか運ばないので、流速で重みを付けた混合平均温度で収支をとります。壁温一定なら逃げる熱が温度差に比例するので、温度差は指数関数で縮み、平均は対数平均になります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 管内の熱収支に、断面の面積だけで平均した温度を使うと、運ばれる熱量と合わない | ○ | 運ぶ量は流速×温度で決まる |
| 発達した円管内の流れでは、中心付近に一様な主流が残るので、その温度を使う | × | 管内すべてが境界層。混合平均温度を使う |
| 壁温一定の管で流体を冷やすと、流体と壁の温度差は流れ方向に直線で縮まる | × | 指数関数的に縮む |
| 入口と出口の温度差が 30 K と 20 K なら、算術平均と対数平均の差は2%未満 | ○ | 10/ln1.5=24.7 K と 25 K |
例題
内径 0.05 m の管の外を 120℃ の蒸気で加熱し、管壁の温度を 120℃ 一定とみます。水 0.5 kg/s を 20℃ から 80℃ に温めます。平均熱伝達率を 2,000 W/(m²·K) として、要る管の長さを求めます。
①熱収支:Q=ṁc(T₂′−T₁′)=0.5×4.19×60=126 kW(比熱 4.19 kJ/(kg·K))。
②両端の温度差:入口 120−20=100 K、出口 120−80=40 K。
③対数平均温度差:ΔTm=(100−40)/ln(100/40)=60/0.916=65.5 K。
④面積と長さ:A=125,700/(2,000×65.5)=0.96 m²。長さは 0.96/(π×0.05)=6.1 m。
⑤確かめる:算術平均 70 K を使うと面積は 0.90 m² で、約6%小さく見積もる。両端の比が 2.5 と開いているので、対数平均が要る。
- 混合平均温度は、その断面の流体を断熱して完全に混ぜたときの温度。
- 流体が壁より冷たい(加熱される)ときも、温度差を絶対値でとれば同じ式で計算できる。
- 2流体の熱交換器でも、同じ形の対数平均温度差が出てくる。
関連:交換熱量と対数平均温度差
沸騰と凝縮の熱伝達 ── バーンアウト点を超えると膜沸騰、滴状凝縮は膜状の約6倍

| 段階(過熱度を上げる順) | 伝熱面のようす | 熱伝達率など |
|---|---|---|
| 自然対流 | まだ沸騰しない | 小さい |
| 核沸騰 | 気泡が面でできて離れ、液をかき混ぜる | 過熱度とともに急に大きくなる |
| 極大熱流束点(バーンアウト点) | 核沸騰の上限 | 大気圧の水で最大 約60 kW/(m²·K) |
| 遷移沸騰 | 核沸騰と膜沸騰の間(極小熱流束点まで) | — |
| 膜沸騰 | 薄く安定した蒸気の膜が面を覆う | 約1 kW/(m²·K) |
| 凝縮 | 膜状:液膜が面を覆う/滴状:液滴で面がのぞく | 滴状は膜状の約6倍 |
なぜ:電気ヒータのように熱流束を与える面でバーンアウト点を超えると、核沸騰では熱を運びきれず、蒸気の膜が面を覆います。蒸気は熱伝導率が小さいので、同じ熱を逃がすには面の温度が一気に上がるしかありません。熱が膜を通らなければならないほど伝熱は悪いので、凝縮でも面がのぞく滴状のほうが良くなります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 過熱度を上げると、自然対流 → 膜沸騰 → 遷移沸騰 → 核沸騰の順に移る | × | 自然対流 → 核沸騰 → 遷移沸騰 → 膜沸騰 |
| 膜沸騰で熱伝達率が小さいのは、熱伝導率の小さい蒸気の膜を熱が通るから | ○ | 蒸気の膜が抵抗になる |
| 熱流束を与える加熱面でバーンアウト点を超えても、面の温度は少し上がるだけで核沸騰が続く | × | 一気に膜沸騰へ移り、面の温度が急上昇する(溶けることもある) |
| 核沸騰で熱流束が過熱度の3乗に比例すれば、熱伝達率は過熱度の2乗に比例する | ○ | h=q/ΔT で次数が1つ下がる |
| 滴状凝縮の熱伝達率は、膜状凝縮の約1/6 | × | 約6倍 |
例題
核沸騰の熱流束が過熱度の3乗に比例するとします。過熱度を 10 K から 12 K に上げたときの、熱流束と熱伝達率の変化を求めます。
①過熱度の比:12/10=1.2。
②熱流束:q∝ΔT³ なので 1.2³=1.73倍。
③熱伝達率:h=q/ΔT∝ΔT² なので 1.2²=1.44倍。
④確かめる:1.73÷1.2=1.44 で一致。過熱度が少し上がるだけで、熱流束は大きく増えるのが核沸騰の強み。
- 教科書は q∝(Tw−Ts)n、n=3〜4 としている(Ts は飽和温度)。
- バーンアウト点を超えた先の面の温度は、金属の融点を超えることが多い(加熱体が溶ける)。
- 容器の液を加熱するのがプール沸騰、流しながら沸かすのが強制対流沸騰。液全体が飽和温度なら飽和沸騰、低ければサブクール沸騰。
- 膜状凝縮は液が面をよく濡らすとき、滴状凝縮は面が濡れにくく液が表面張力で滴になるときに起こる。
黒体放射 ── 放射は絶対温度の4乗で増え、強い波長は短くなる

| 法則 | 式 | 読み方 |
|---|---|---|
| ステファン・ボルツマンの法則 | Eb=σT⁴、σ=5.67×10⁻⁸ W/(m²·K⁴) | 絶対温度の4乗に比例 |
| ウィーンの変位則 | λmaxT=2.90×10⁻³ m·K | 温度が高いほど、最も強い波長が短い |
| 実際の物体 | E=εσT⁴(ε は放射率) | 黒体の ε 倍 |
| 黒体 | 吸収率 α=1(反射も透過もしない) | 同じ温度で最も多く放射する |
| 絶対温度を2倍・3倍 | 放射は 2⁴=16倍・3⁴=81倍 | 比を4乗する |
なぜ:放射で出る量は相手との温度差ではなく、その面の絶対温度だけで決まります。だから温度は必ず K に直してから4乗します。227℃ から 727℃ は℃では約3.2倍です。K では 500 K から 1,000 K の2倍で、放射は 2⁴=16倍です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 黒体の温度が上がると、単色放射能が最大になる波長は長い側へ移る | × | 短い側へ移る(λmaxT=一定) |
| 1,000 K の黒体で放射が最も強い波長は約 2.9 µm で、赤外域にある | ○ | 2.90×10⁻³÷1,000=2.9×10⁻⁶ m |
| ステファン・ボルツマン定数 σ の単位は W/(m²·K) | × | W/(m²·K⁴) |
| 小さな穴をあけた空洞の穴は、吸収率がほぼ1の黒体とみなせる | ○ | 入った放射が中で吸収・反射を繰り返し、戻らない |
| 放射率と面積が同じなら、表面温度を 127℃ から 527℃ に上げると放射は約16倍になる | ○ | 400 K → 800 K の2倍で 2⁴ |
例題
放射率 0.8 の面が 527℃ のとき、1 m² から出る放射の量と、最も強い波長を求めます。
①絶対温度に直す:527+273=800 K。
②4乗する:800⁴=4.10×10¹¹ K⁴。
③放射の量:E=0.8×5.67×10⁻⁸×4.10×10¹¹=1.86×10⁴ W/m²。つまり 18.6 kW/m²。
④最も強い波長:2.90×10⁻³÷800=3.6×10⁻⁶ m=3.6 µm(赤外)。
⑤桁を確かめる:黒体の 1,000 K は σT⁴=56.7 kW/m²。800 K はその 0.8⁴=0.41倍で 23.2、放射率を掛けて 18.6 kW/m²。
- 温度を上げると、物体は暗赤色から白色へ光って見える(強い波長が短くなる)。
- 黒体は実在しないが、ランプブラック(放射率 0.97)は黒体に近い。
- 物体に当たる放射は、吸収・反射・透過に分かれ、α+ρ+τ=1。黒体は α=1。
関連:放射温度計
放射率・吸収率と灰色体 ── 同じ温度・波長では放射率=吸収率

| 表面 | 放射率 ε | 読み方 |
|---|---|---|
| アルミニウム 研磨面(23℃) | 0.040 | 光る金属面は放射しにくく、はね返す |
| 銅 研磨面(100℃)/600℃で酸化 | 0.052/0.57 | 酸化すると大きくなる |
| 鋼 研磨面(100℃)/600℃で酸化 | 0.066/0.79 | 同じ材料でも表面の状態で大きく違う |
| 耐火れんが | 0.4〜0.7 | — |
| 水・氷 | 0.96・0.97 | 黒体に近い |
| ランプブラック | 0.97 | 黒体に近い |
なぜ:熱平衡の空洞に置いた物体は、温度が変わりません。それには吸収した分と同じだけ放射するしかありません。だから同じ温度・同じ波長では、放射しやすい物体ほど吸収もしやすい(キルヒホッフの法則 ελ=αλ)。灰色体は ελ が波長によらず一定なので、全体でも ε=α です。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| α+ρ+τ=1 で、気体は一般に透過率 τ が0に近い | × | 気体は α・ρ が非常に小さく、τ が1に近い(固体の工業材料は τ=0 が多い) |
| 同じ温度・波長で単色放射率と単色吸収率が等しいのは、平衡の空洞内で吸収した分だけ放射しないと温度が変わるから | ○ | キルヒホッフの法則 |
| 鋼の表面は、研磨面より 600℃ で酸化させた面のほうが放射率がずっと大きい | ○ | 0.066 と 0.79 |
| 灰色体は、単色放射率が波長で変わり、放射の分布の形が黒体と違う物体 | × | ελ が全波長で一定。分布は黒体と相似で ε 倍 |
- 灰色体は、ελ が全波長で一定で、温度でも変わらない物体。酸化した金属や非鉄金属の表面は、灰色体とみなせるものが多い。
- 工業で使う固体は τ=0 のものが多く、α+ρ=1。放射率の小さい面ほど反射率が大きい。
- 放射率は材質だけでなく、研磨・粗面・酸化といった表面の状態で大きく変わる。
物体間の放射伝熱(形態係数・遮へい) ── 遮熱板n枚で1/(n+1)に減る

| 場合 | 放射伝熱量 | 形態係数など |
|---|---|---|
| 黒体の2面 | Q₁₂=σ(T₁⁴−T₂⁴)A₁F₁₂ | A₁F₁₂=A₂F₂₁。配置だけで決まる |
| 広い平行2平面(灰色体) | Q₁₂/A₁=σ(T₁⁴−T₂⁴)/(1/ε₁+1/ε₂−1) | F₁₂=F₂₁=1 |
| 凹部のない物体1が物体2に囲まれる | 分母は 1/ε₁+(A₁/A₂)(1/ε₂−1) | F₁₂=1、F₂₁=A₁/A₂ |
| 物体1が十分に小さい(A₁≪A₂) | Q₁₂/A₁=ε₁σ(T₁⁴−T₂⁴) | 囲む壁の放射率によらない |
| 遮熱板 n 枚(放射率がすべて等しい) | 板なしの 1/(n+1) | 同じ抵抗が n+1 個の直列 |
なぜ:遮熱板を入れると、熱は「面 → 板 → 板 → … → 面」と順に渡されます。放射率がすべて等しければ、どの隙間も同じ大きさの抵抗になり、n 枚で n+1 個の直列です。両端の4乗の差は変わらないので、伝熱量は 1/(n+1) になります。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| A₁F₁₂=A₂F₂₁ で、形態係数は面の温度・放射率によらず、配置だけで決まる | ○ | 幾何学的な関係 |
| 凹部のない物体1が物体2の内面に完全に囲まれると、F₁₂=1、F₂₁=A₂/A₁ | × | F₂₁=A₁/A₂(1より小さい) |
| 放射率の等しい広い平行2平面の間に遮熱板を2枚入れると、伝熱量は 1/3 | ○ | 1/(2+1) |
| 広い部屋の中の小さな凹部のない物体と壁の放射伝熱は、壁の放射率にも左右される | × | A₁≪A₂ なら ε₁σ(T₁⁴−T₂⁴) で、壁の放射率によらない |
| 平行2平面の式の分母 1/ε₁+1/ε₂−1 は、放射率が小さいほど大きく、伝わりにくさを表す | ○ | 面の間で反射を繰り返す |
例題
放射率 0.8 の広い平行2平面が 600 K と 400 K のとき、1 m² あたりの放射伝熱量を求めます。次に、間に放射率 0.8 の遮熱板を1枚入れます。
①4乗の差:600⁴−400⁴=1.296×10¹¹−0.256×10¹¹=1.04×10¹¹ K⁴。
②黒体どうしなら:σ×4乗の差=5.67×10⁻⁸×1.04×10¹¹=5,900 W/m²。
③放射率の分:分母は 1/0.8+1/0.8−1=1.5。q=5,900/1.5=3,930 W/m²。
④遮熱板1枚:同じ抵抗が2つの直列になり、3,930/2=1,970 W/m²。
⑤確かめる:温度差 200 K を4乗しても 1.6×10⁹ で、4乗の差 1.04×10¹¹ と桁が合わない。4乗してから引く。
- 形態係数 F₁₂ は、面1から出る放射のうち、面2に届く割合。
- 式の前提:灰色体で、各面の温度が一様、面1に凹部がなく、2面の間だけでやり取りし、間の空間が放射を吸収しない。
- 同心円筒も F₁₂=1、F₂₁=A₁/A₂(すき間が小さければ1に近い)。
関連:放射率・吸収率と灰色体
ガスの放射 ── 燃焼ガスで放射するのはCO₂と水蒸気、N₂・O₂はほぼしない

| ガス・火炎 | 熱放射 | 補足 |
|---|---|---|
| 水素・酸素・窒素・乾燥空気 | 普通の条件ではほとんど放射せず、ほぼ透過する | — |
| CO₂・水蒸気・SO₂・NH₃ | 決まった波長帯で放射・吸収する | 燃焼ガスでは CO₂ と水蒸気が重要 |
| ガスの放射率 εg | E=εgσTg⁴ | ガスの種類・分圧・温度・層の厚さで決まる |
| CO₂ と水蒸気が共存 | 個々の放射率の和にならない | 放射・吸収する波長帯が重なる |
| 不輝炎(青) | CO₂・水蒸気の放射 | — |
| 輝炎(すすを含む黄赤色) | 不輝炎より格段に強い | 大きなすすの粒は固体とほぼ同じ |
なぜ:固体は連続した波長で放射します。気体は分子どうしの相互作用が弱く、分子の振動や回転に対応した限られた波長帯でしか放射・吸収しません。窒素・酸素・乾燥空気は普通の条件では放射しないので、燃焼ガスの放射は量の少ない CO₂ と水蒸気が担います。
| 問われる形 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| 窒素・酸素・乾燥空気は、高温になると強く放射し、燃焼ガスの放射の主役になる | × | ほとんど放射せず、ほぼ透過する。主役は CO₂ と水蒸気 |
| 気体の放射が連続した波長分布にならないのは、分子の振動や回転に対応した限られた帯でしか放射・吸収しないから | ○ | 分子どうしの相互作用が弱い |
| CO₂ と水蒸気が共存する燃焼ガスの放射率は、それぞれ単独の放射率の和になる | × | 帯が重なるので和にはならない |
| すすを含む輝炎の放射は、青い不輝炎より格段に強い | ○ | すすの粒は固体に近い |
- 固体はごく薄い表面層から放射するが、気体は体積の内部から放射する。そのため、ガスの放射率はガス層の厚さ(相当厚さ)でも変わる。
- 帯が重なると、一方が出した放射の一部をもう一方が吸収する。単純に足すと多く見積もる。
- 一様な温度のガス塊と、それを囲む黒体面の間の伝熱量は Q=σ(εgTg⁴−αgTb⁴)Ab。
出典:エネルギー管理士試験講座(省エネルギーセンター)熱分野Ⅱ「熱と流体の流れの基礎」3編2〜3章、共通Ⅰ 3編2章
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