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測定の基礎と温度・湿度の測定の論点|誤差・伝送信号・熱電対・補償導線・測温抵抗体・放射温度計・湿度【エネ管・熱Ⅳ】

温度・湿度の測定の論点

熱Ⅳの計測のうち、測定の誤差と伝送信号、温度・熱流・湿度の測り方の論点を並べました。温度は熱電対・測温抵抗体・放射温度計を、表と例題で比べます。

測定の誤差と精度・不確かさ ── 系統誤差は校正で、偶然誤差は平均で小さくする

測定値の分布と誤差:母平均と真の値のずれがかたより(系統誤差)で、何回平均しても残るので補正・校正で消す。山の広がりがばらつき(偶然誤差)で、回数を重ねて平均すると山の幅は縮む
用語中身押さえどころ
誤差測定値−真の値測定値が大きければ正、小さければ負
系統誤差測定結果にかたよりを与える原因による誤差原因が分かれば補正で除ける。計器の狂いは校正で見つけて除く
かたより母平均(無限回測った平均)−真の値何回平均しても残るずれ
偶然誤差突き止められない原因によるばらつき分布は一般に正規分布になり、大きさは標準偏差で表す
正確さ・精密さ・精度かたよりの小ささ・ばらつきの小ささ・両方を含めた総合的な良さ最近の JIS は精度の語を使わない方向で、不確かさを使う
不確かさ真の値がある範囲の推定値JIS の例では、測定値を中心に 95% の確率で真の値が入る範囲
精度定格形式仕様で許される最大誤差の限界(メーカーが明示)ふつうスパン(上限値−下限値)に対する %(±( )%FS)。指示値に対する % もある

なぜ:系統誤差はいつも同じ向きに同じだけ出るので、何回測って平均しても、平均は真の値でなく母平均に近づくだけです。原因を突き止めて補正・校正するしか消せません。偶然誤差は正にも負にも散るので、回数を重ねると打ち消し合い、平均は母平均に近づきます。

問われる形正誤ポイント
測定値が真の値より大きいとき、誤差は正の値になる○誤差=測定値−真の値
同じ測定を何回も繰り返して平均すれば、系統誤差も小さくなる×平均で減るのはばらつき。かたよりは補正・校正
y=x₁·x₂ で、互いに無関係な偶然誤差による相対不確かさが 6% と 8% なら、y の相対不確かさは 10%○√(6²+8²)
スパン 300℃ で精度定格 ±1%FS の計器なら、許される最大誤差は指示値によらず ±3℃○%FS はスパンが基準
測定範囲 −30〜120℃ の温度計のスパンは、120 と 30 の差の 90℃×120−(−30)=150℃

例題

熱量を「流量×温度差」で求めます。流量の相対不確かさは 2%、温度差の相対不確かさは 1.5% で、どちらも互いに無関係な偶然誤差です。熱量の相対不確かさを求めます。

①積の不確かさは二乗和の平方根:ΔQ/Q=√{(Δx₁/x₁)²+(Δx₂/x₂)²}(誤差伝播の法則)。

②数字を入れる:√(2²+1.5²)=√(4+2.25)=√6.25=2.5%。

③確かめる:単純に足した 3.5% より小さい。独立な誤差は、そのまま足すより小さく合成される。向きの分かった系統誤差なら、各量の誤差に寄与度を掛けて合計する(積で両方が同じ向きなら、相対誤差の和の 3.5%)。

  • 誤差の原因は、測定の原理・方法、測定装置の狂い、測定条件や環境、測定者のくせや過失の4つ。過失による誤差(まちがい)は予測しにくく、除去もできない。
  • 工業計器は性能を表示する前提の環境条件(基準動作条件)を決めている。大気の温度なら 23℃±2℃ など。外れた条件で使うと誤差が増える。
  • スパンはレンジの上限値と下限値の差(−30〜120℃ なら 150℃)。フルスケールもふつう同じ意味。%FS の計器は、指示が小さいところほど指示値に対する誤差の割合が大きくなる。

関連:計器の精度・誤差・校正

単位系と工業測定システム・伝送信号 ── 統一した信号で検出器と計器をつなぐ

区分役割例
発信器(検出器)測定値を検出して信号を送る。いわゆるセンサとほぼ同じ熱電対、電磁流量計検出器
発信器(変換器)検出器の信号を、受信器へ送る信号に変える温度変換器、電磁流量計変換器
発信器(伝送器)検出器と変換器が一体になったものをいうことが多い差圧伝送器
受信器信号を受けて指示・記録・制御などを行う指示計、記録計、調節計、分散形制御システム、警報器
一体のもの発信器と受信器が一体でも、1つの測定システムガラス製棒状温度計、ブルドン管式圧力指示計
非統一信号センサの出力のまま送る直流 mV(熱電対を受信計器で直接受ける)
統一信号測定値の 0〜100% を、測定量によらず同じ範囲に対応させる電流 4〜20 mA DC、空気圧 20〜100 kPa

なぜ:測定量ごとに信号の形がばらばらだと、受ける計器を検出器ごとに合わせなければなりません。測定値の 0〜100% を同じ 4〜20 mA に直しておけば、温度でも流量でも同じ規格の受信器や調節計につなげます。空気圧なら 20〜100 kPa です。信号は 0% の 4 mA から 100% の 20 mA まで一直線に増えます。

問われる形正誤ポイント
4〜20 mA の統一電流信号で、測定値がスパンの 75% なら信号は 15 mA×4+16×0.75=16 mA
熱電対は、検出器の信号を受信器向けの信号に直す変換器にあたる×熱電対は検出器。変換器は温度変換器など
温度の発信器も流量の発信器も、統一信号で送れば同じ規格の受信器で受けられる○0〜100% の対応が測定量によらない
空気圧で送る統一信号は、計量法の改正で 20〜100 kPa になった○従来の 0.2〜1.0 kgf/cm² とは約2%違う

例題

測定範囲 0〜300℃ の温度変換器が 9.6 mA を出しています。温度と、同じ測定値を空気圧の統一信号で送ったときの値を求めます。

①0% が 4 mA、100% が 20 mA なので、幅は 16 mA。

②測定値の割合:(9.6−4)÷16=0.35(35%)。

③温度:300×0.35=105℃。

④空気圧:20+80×0.35=48 kPa。

⑤確かめる:0 mA からでなく 4 mA から数える。9.6÷20=48% から 144℃ としない。

  • 日本の単位は計量法の法定計量単位で、取引・証明に使うことが義務。新計量法は国際単位系(SI)に切り換えた。
  • SI は7個の基本単位と2個の補助単位から組立単位をつくる。N=kg·m/s²、Pa=N/m²、J=N·m。
  • 大きい量・小さい量は 10 の整数乗倍の接頭語を付ける。bar(10⁵ Pa)は特殊な分野に限り SI 単位と併用してよい単位で、法定計量単位でもある。
  • 受信器には、パネル設置形と現場設置形がある。

関連:4〜20 mA と計装信号

熱電対の原理と法則 ── 起電力は両接点の温度だけで決まる

熱電対の起電力の決まり方:測温接点と基準接点の温度が同じなら、素線の途中を加熱しても、太くしても、長くしても電圧計の値は変わらず、測温接点の温度を変えたときだけ値が変わる。起電力は両接点の温度だけで決まる
法則・用語中身使いどころ
ゼーベック効果材質の異なる2本の金属線で閉回路をつくり、2つの接点を異なる温度に保つと電流が流れるこの電流を起こす起電力が熱起電力
熱起電力を決めるもの両接点の温度だけ金属線の太さ・長さ、接点以外の部分の温度には関係しない
基準接点(冷接点)温度を一定に保つ側の接点。ふつう0℃もう一方が測温接点
均質回路の法則単一で均質な材料の線は、温度分布がどうであっても熱起電力を出さない素線が使用で一部変質すると均質でなくなり、温度分布の影響を受ける
中間金属の法則途中に異種の金属線をはさんでも、その線の両端の温度が等しければ熱起電力は変わらない熱電対の出力を銅線で電圧計へ導ける
中間温度の法則直列につないだ熱電対の起電力は各々の和:E1·3=E1·2+E2·3基準接点が一定温度でなくても、その温度 t₂ を測り、t₂ と0℃の間の起電力を足せば0℃基準の値に直せる(E1·0=E1·2+E2·0)
温度目盛水の三重点を 273.16 K とし、熱力学温度から 273.15 を引いた値がセルシウス度水の三重点は 0.01℃。実用の目盛は ITS-90

なぜ:熱起電力は、2種類の金属の性質の違いから生まれます。均質な1本の線では途中に温度差があっても起電力が生まれないので、効くのは2種類の線がつながる2つの接点の温度だけです。だから基準接点の温度が決まっていないと、測温接点の温度は決まりません。

問われる形正誤ポイント
測温接点と基準接点の温度がそれぞれ変わらなければ、素線を太くしても長くしても熱起電力は同じ○両接点の温度だけで決まる
1種類の均質な金属線でも、途中に温度差があれば熱起電力が生じる×均質回路の法則:生じない
熱電対の途中に異種の金属線をはさむと、その線の両端の温度が違っていても熱起電力は変わらない×変わらないのは両端の温度が等しいとき
高温で素線の一部が変質すると、その部分の温度分布が熱起電力に影響しうる○均質でなくなるから
水の三重点はセルシウス度で 0.01℃○273.16−273.15
  • 熱電対は2種類の非金属材料を組み合わせたものもある。
  • +脚・−脚は、図の電流の向き(測温接点の温度が高いとき)で決める。実際の測定では、回路の一部を開いて電圧計を入れ、熱起電力を測る。
  • 熱電対の長所:構造が簡単、価格が比較的安い、特性が金属線の材質だけで決まる、低温から高温まで測れる。短所:基準接点の温度補償が要る、高温・長時間で劣化して起電力が変わる、精度は測温抵抗体よりやや劣る。
  • 国際温度目盛は改正のたびに温度値が変わり、ITS-90 で水の沸点は 99.974℃ になった。

関連:温度計の種類と選び方(熱電対と測温抵抗体)

熱電対の種類と使い分け ── 貴金属は高温向き、卑金属は起電力が大きい

記号+脚/−脚(常用限度)特徴
B白金ロジウム(Rh 30%)/白金ロジウム(Rh 6%)(1,500℃)JIS熱電対で使用温度がもっとも高い。100℃以下では起電力がほとんど出ない
R・S白金ロジウム(R は Rh 13%、S は Rh 10%)/白金(1,400℃)R は白金系でもっとも多く使われる。S は日本ではほとんど使われない
Nニッケル・クロム・シリコン系/ニッケル・シリコン系(850〜1,200℃)Kの改良品で、JISでもっとも新しい。非白金系で使用温度がもっとも高い
Kニッケル・クロム系/ニッケル系(650〜1,000℃)JIS熱電対でもっとも多く使われる(旧 CA)
Eニッケル・クロム系/銅・ニッケル系(450〜700℃)JIS熱電対で熱起電力がいちばん大きい(旧 CRC)
J鉄/銅・ニッケル系(400〜600℃)+脚の鉄線がさびやすい(旧 IC)
T銅/銅・ニッケル系(200〜300℃)細線の加工性が良く、実験用によく使われる(旧 CC)

なぜ:温度と起電力の関係を比べると、白金系(B・R・S)は1℃あたりの起電力が小さい代わりに、常用限度が高いです。E・J・K は起電力が大きい代わりに、常用限度が低くなっています。高温まで要るなら白金系、そこまで要らなければ起電力が大きく扱いやすい卑金属系、と温度域で選びます。

問われる形正誤ポイント
同じ温度で比べると、JIS熱電対で熱起電力がもっとも大きいのはE○旧クロメル・コンスタンタン
白金系を除くJIS熱電対で、もっとも高温まで使えるのはK×N。同じ素線径でKより常用限度が高い
J熱電対で、さびやすいのは−脚の鉄線×鉄は+脚
K熱電対の常用限度は、素線が細いほど高い×太いほど高い(0.65 mm で 650℃、3.20 mm で 1,000℃)
接地形のシース熱電対は、非接地形より応答が速いが、測定対象と電気的に絶縁できない○非接地形はその逆
  • 常用限度は空気中で連続使用できる温度の限度、過熱使用限度は必要上やむを得ないとき短時間使える限度。どちらも素線径で変わる。
  • 熱電対はふつう保護管に入れるので、雰囲気への強さはさほど気にしなくてよい。ただし B・R・S は金属蒸気に弱いので、保護管にアルミナ(Al₂O₃)を使う。
  • シース熱電対:細く薄い金属管(シース)に素線を通し、酸化マグネシウム(MgO)などで絶縁して曲げられるようにしたもの。細いので応答が速い。JIS にあるのは N・K・E・J・T で、記号の頭に S を付ける(例 SK)。露出形は応答がもっとも速いが、気密性・機械的強度が劣り JIS にはない。
  • JIS にない熱電対では、高温用にタングステン・レニウム熱電対(0〜2,300℃)がある。極低温用はクロメル/金鉄熱電対(1〜300 K)。

関連:温度計の種類と選び方

補償導線と基準接点補償 ── 補償導線で延ばし、基準接点の温度の分を補う

補償導線と基準接点の温度補償:熱電対を補償導線で延ばすと基準接点は計器の端子に移り、端子の温度 t₂ が0℃より高い分、測った起電力は小さく出る。計器の側で E(t₂,0) を足して0℃基準の起電力に戻す(例題は 10.8 mV+1.2 mV=12.0 mV で 300℃)
部品・方法役割押さえどころ
補償導線熱電対から受信計器(または温度変換器)まで延ばす線およそ100℃以下で熱電対とほぼ同じ熱起電力特性。価格は熱電対よりかなり安い
エクステンション形熱電対と同じ材質の心線を使う(例 KX)特性上は良いが、価格が高い
コンペンセーション形異なる材質で、低い温度では熱電対とほぼ同じ特性の心線を使う(例 KCA・KCB・KCC)安いが、特性が一致しないので誤差が出る。使用温度範囲を考え、価格と精度の兼ね合いで選ぶ
基準接点補償導線が受信計器(または温度変換器)の端子につながる所ここの温度は一定とは限らない
基準接点の温度補償基準接点の温度 t₂ を測り、E2·0 に等しい電圧をつくって足すE1·0=E1·2+E2·0(中間温度の法則)
基準接点装置基準接点の温度を一定に保つ装置(実験室形)氷点式・電子冷却式・補償式。精度は氷点式がいちばん高い

なぜ:熱電対が出すのは、測温接点と基準接点の温度で決まる起電力です。基準接点が0℃より高いと、測った起電力は0℃基準の値より E2·0 だけ小さく出ます。その分を計器の側で足して0℃基準に戻すのが、基準接点の温度補償です。補償導線は熱電対とほぼ同じ特性なので、素線のまま延ばさなくても、基準接点を計器の端子まで移せます。

問われる形正誤ポイント
計器が遠いとき補償導線を使うのは、素線のまま延ばすより安く、低い温度では素線とほぼ同じ起電力が得られるから○中間温度の法則の応用
補償導線の特性が熱電対とほぼ同じとされるのは、およそ300℃以下の範囲×およそ100℃以下
熱電対と同じ材質の心線を使う補償導線を、コンペンセーション形という×同じ材質はエクステンション形
基準接点の温度補償をしないと、端子が0℃より高い分だけ指示は低めに出る○E2·0 が足りない
基準接点装置のうち、精度がもっとも高いのは電子冷却式×氷点式(魔法瓶の氷で冷やす)

例題

計算のため、熱起電力は温度に比例し 1℃あたり 0.04 mV と仮定します(実際は正確には比例しません)。受信計器の端子(基準接点)が 30℃ のとき、測った熱起電力は 10.8 mV でした。測温接点の温度を求めます。

①基準接点の分:E2·0=0.04×30=1.2 mV。

②0℃基準に直す:E1·0=10.8+1.2=12.0 mV。

③温度:12.0÷0.04=300℃。

④確かめる:補償をせずに 10.8÷0.04 とすると 270℃ で、基準接点の温度の分(30℃)だけ低く出る。引くのではなく足す。

  • 熱電温度計は、熱電対・補償導線・基準接点装置・温度変換器・受信計器でできている。
  • 直接入力形は記録計や小規模な制御システムに多く、受信計器の端子部に基準接点の温度補償部が付く。統一信号形は温度変換器から 4〜20 mA DC か 1〜5 V DC を送り、大規模な計装に多い。実験室形は基準接点装置を使い、その先は銅線でつなぐ。
  • 補償導線は現場に布設されることが多いので、耐候性や機械的強度をもたせている。
  • 補償式の基準接点装置は、基準接点の温度補償部を独立させたもの。

関連:熱電対・測温抵抗体の配線とトラブル

熱電対の施工と測温上の誤差 ── 挿入を深くして熱の逃げによる誤差を防ぐ

熱電対の施工と測温上の誤差:測温接点は流体から熱を受ける一方、保護管と取付部を伝って外へ熱が逃げるため、接点の温度は高温の流体より低くなる。挿入を深くし取付部を保温すると、逃げる熱が減って流体の温度に近づく
誤差の原因指示のずれ対策
挿入が短く、保護管・取付部を伝って熱が逃げる低め挿入を長く(金属保護管は外径の15〜20倍、非金属は10〜15倍)、細い保護管、取付部の保温
取付部が保温されていない放射伝熱で冷やされて低め取付部を保温する。保温がないままなら、保護管は熱伝導率の小さいものほどよい
炉壁や火炎からの強い熱放射炉内の気体の温度より高めになることが多い放射シールド
表面に点で当てる熱電対を通して熱が逃げ、表面温度より低め素線を表面にはわせる
検出器の熱容量が大きく、流れが遅い対象の温度になかなか一致しない(気体で著しい)熱容量の小さい検出器、流れの速い所に付ける

なぜ:熱電対が示すのは、測温接点そのものの温度です。接点は流体から熱を受け取る一方で、保護管や素線を伝って外へ熱を逃がします。受け取りと逃げが釣り合う温度は、流体より低くなります。挿入を深くし、細くし、取付部を保温すれば、熱が逃げにくくなって接点が流体の温度に近づきます。配線や基準接点の補償が正しくても、このずれは直りません。

問われる形正誤ポイント
熱電対の挿入が短いと、測温接点の温度が壁や外界の温度の影響を受けて誤差が出る○熱が逃げる
保護管の挿入長さは、非金属保護管のほうを金属保護管より長め(外径の15〜20倍)にとる×逆。金属で15〜20倍、非金属で10〜15倍
外気が冷たく管内の気体が高温の配管では、保護管を深く差し込むほど低めの誤差は小さくなる○逃げる熱の割合が減る
取付部に保温がない高温ガス配管では、熱伝導率の大きい保護管ほど誤差が小さい×熱伝導率は小さいほどよい
表面温度は、素線を測定面にはわせて付けると、点で当てるより表面温度に近く出る○測定点からの熱の移動を防ぐ
  • 挿入長さを十分にとれないときは、なるべく細い外径のもの(シース熱電対など)を使う。
  • 接触による影響は、測定対象の熱容量や熱伝導率が小さいほど、熱電対の熱容量や熱伝導率が大きいほど著しい。熱伝導率の小さいコルクで誤差が大きいのは、逃げた熱を周りから補えないから。
  • 高温ガス配管に取付け方を変えて付けた例では、誤差は 0〜−45℃ まで開き、取付部が保温されていないものほど大きい。
  • 高温で使う熱電対は劣化しやすいので、ときどき校正ずみの熱電対と比べて検定する。途中が劣化していても、温度が一様な場所では正常な起電力を示すので、実際の使用場所か同じ温度分布で比べる。

関連:保護管と応答の遅れ

測温抵抗体とその他の温度計・熱流計 ── 導線抵抗の影響を結線の方式で減らす

測温抵抗体の導線方式:2線式は往復の導線抵抗 r₀ がそのまま足されて誤差になり、3線式は r₀ がブリッジの隣り合う2辺に1本ずつ入って平衡条件 (Rx+r₀)/(Rs+r₀)=RB/RA の分子と分母の両方に現れるので影響をほぼなくせる。4線式は電流の線と電圧の線を分け、影響はまったくない
導線の方式導線の抵抗の扱い使われ方
2線式測温抵抗体と受信計器の間の導線抵抗の変化が、そのまま誤差になる導線が2本で経済的だが、あまり使われない
3線式受信計器のブリッジ回路で、導線抵抗 r₀ がブリッジの隣り合う2辺に1本ずつ入り、平衡条件 (RX+r₀)/(RS+r₀)=RB/RA の左辺の分子と分母の両方に現れる導線抵抗の影響をほぼなくせるので、工業用で一般的
4線式一定の電流を流し、電圧の形で抵抗値を測る導線抵抗の影響はまったくない。とくに高精度が要るとき

なぜ:測温抵抗体は抵抗値から温度を出すので、計器から見える抵抗に導線の抵抗が混じると、その分だけ温度が高く出ます。Pt100 は1℃あたり約 0.4 Ω しか変わらないので、往復 1 Ω の導線でも約 2.5℃ 分の誤差になります。3線式は導線抵抗をブリッジの隣り合う2辺に入れてほぼ打ち消します。4線式は電圧で測るので導線抵抗を拾いません。

問われる形正誤ポイント
3線式が工業用で一般的なのは、受信計器のブリッジ回路で導線抵抗の影響をほぼなくせるから○完全に消えるわけではない
工業用の測温抵抗体では、導線が2本で済む2線式がもっとも一般的×一般的なのは3線式
Pt100 を2線式で使い、往復の導線抵抗の合計が 1.2 Ω あると、指示はおよそ 3℃ 高くなる○1.2÷0.4
サーミスタは感度が高いので、1個の素子で広い温度範囲を測るのに向く×1個で測れる範囲は狭く、変化が著しく非線形
熱流計は、熱伝導率の分かった薄い板の両面の温度差から熱流密度を求める○q=λ·ΔT/d
  • 白金測温抵抗体:0℃ で 100 Ω(Pt100)。精度は熱電対より良く、基準接点の補償は要らず、経時変化が少ない。測定温度の上限は熱電対よりかなり低い(高温用で 650℃)。抵抗を測る電流で素子が温まる自己加熱があるが、最近の計器は電流が小さく通常は心配ない。
  • サーミスタ:金属の酸化物で温度係数が負。抵抗は温度の上昇で指数関数的に減る。感度が高く素子が小さく応答が速いが、互換性はあまり良くない。素子の抵抗が大きいので導線抵抗はほぼ無視できる。
  • その他の温度計:ガラス製(感温液の膨張)、充満式(封入した液体・気体の圧力。動力源が要らず爆発性雰囲気でも使える)、バイメタル式(熱膨張率の違う2枚の金属)、水晶温度計(振動子の周波数。分解能が高い)。
  • 熱流計:熱流 Q=(λA/d)·ΔT から、熱流密度 q=Q/A で指示する。温度差は差動熱電対で測る。センサの熱伝導率が低いと物体の熱流分布が変わり、精度が上がらない。
  • 積算熱量計は、温水・冷水の流量に送り側と返り側の水温の差を掛けて、供給した熱量を出す。

関連:3線式と配線のトラブル

放射温度計 ── 放射率の設定がずれると指示がずれる

放射温度計の輝度温度:実際の物体は同じ温度でも黒体より放射が少なく(ε·L(T))、計器は黒体の出力とみなして読むので、同じ放射を出す黒体の温度 S(S<T)を示し、真の温度より低くなる。放射率による低下は測定波長が長いほど大きい
項目中身指示への影響
原理物体が表面から出す熱放射エネルギー(大部分は赤外線)の強さから温度を求める離れて測れる
放射率 ε実際の物体の放射÷同じ温度の黒体の放射。実際の物体では必ず1より小さい黒体として目盛った計器は、真の温度 T より低い輝度温度 S を示す
測定波長1/S−1/T=−(λ/C₂)ln ελ。T と S の差は波長 λ にほぼ比例短い波長ほど放射率による誤差が小さい
周囲の高温物体炉壁などの強い放射が対象の表面で反射して入る高めになる。遮へいするか、その分を差し引く
光路の物質煙・ちりや、水蒸気・炭酸ガスの吸収測れないか大きな誤差。エアパージ、吸収波長帯を避ける
2色放射温度計2つの波長の放射の強さの比から温度を求める視野欠け・灰色減光に強いが、分光放射率が波長で変わる物体では放射率の影響を除ききれない

なぜ:放射温度計は、受けたエネルギーを「黒体から来たもの」とみなして温度に直します。実際の物体は同じ温度でも黒体より放射が少ないので、その少ない放射を出す黒体の温度、つまり真の温度より低い値を示します。放射率を正しく設定すればこの分を戻せますが、設定が実際の放射率からずれると、そのまま指示がずれます。

問われる形正誤ポイント
放射率1を前提に目盛った単色放射温度計で放射率1未満の物体を測ると、指示は真の温度より低い○輝度温度 S<T
測定対象の近くの高温物体の放射が対象で反射して入ると、指示は真の温度より低くなる×上乗せされるので高めになる
放射率による指示の低下は、同じ放射率なら測定波長が長いほど大きい○差は波長にほぼ比例
2色放射温度計なら、どんな物体でも放射率の影響を完全に除ける×分光放射率が波長で変わる物体では除ききれない

例題

放射率 0.8 の物体(真の温度 1,500 K)を、放射率1のまま設定した単色放射温度計で測ります。測定波長 0.65 µm と 2.0 µm の指示(輝度温度)を比べます。C₂=14,388 µm·K とします。

①式:1/S=1/T−(λ/C₂)ln ε。ln 0.8=−0.223。

②0.65 µm:(0.65/14,388)×0.223=1.01×10−5。1/S=1/1,500+1.01×10−5=6.77×10−4 で、S≒1,478 K(約 22 K 低い)。

③2.0 µm:(2.0/14,388)×0.223=3.10×10−5。1/S=6.98×10−4 で、S≒1,433 K(約 67 K 低い)。

④確かめる:波長を約3倍にすると、ずれも約3倍。放射率の誤差を小さくしたければ短い波長を選ぶ。

  • 放射率対策:熱電温度計で同じ場所を同時に測り、放射率の設定を合わせ込むのがもっとも一般的。くぼみやくさび形の所を選ぶ、黒色塗料を塗る、短い波長の計器を選ぶ方法もある。
  • 反射対策では逆に、測定波長の長い計器が有利。高温物体からの放射は短い波長を多く含むから。
  • 全放射温度計は主に低温用で、炭酸ガスや水蒸気の影響が少ない 8〜13 µm を選ぶ製品が多い。全放射はステファン・ボルツマンの式 M=σT⁴、単色はウィーンの近似式が基本。

関連:放射率・吸収率と灰色体

湿度の測定 ── 乾湿球と露点計はどちらも温度で湿度を測る

湿度の測定:飽和水蒸気圧の曲線の上で、気体の状態 A(温度 t・水蒸気圧 e)を同じ e のまま冷やして曲線に届く B の温度が露点 td(冷却式露点計)、同じ温度 t の曲線上の C の水蒸気圧が es で、相対湿度は縦の比 H=e/es×100。湿球 W の飽和水蒸気圧から AP(t−t′) を引いても A の e が出る(乾湿球)
方式・量何を測るか・表すか湿度の出し方・注意
乾湿球湿度計乾球温度 t と、ぬれたガーゼをかぶせた湿球の温度 t′e=es′−AP(t−t′)。es′ は t′ での飽和水蒸気圧、P は気圧
係数 A湿球が氷結していないとき 6.62×10−4、氷結しているとき 5.83×10−4氷結しているときの es′ は氷に対する飽和水蒸気圧
湿球に当たる風速温度低下量は約 3 m/s 以上で速度によらず一定精度よく測るには 3 m/s 以上にする
冷却式露点計鏡を冷やし、露(または霜)が生じたときの温度=露点露点と飽和水蒸気圧は1対1。露点の飽和水蒸気圧が気体の水蒸気圧 e
相対湿度 HH=(e/es)×100〔%〕es はその気体の温度での飽和水蒸気圧

なぜ:気体が含める水蒸気の上限(飽和水蒸気圧)は温度で決まります。乾湿球は蒸発で冷えた量から、露点計は飽和に達した温度から、水蒸気圧 e を求めます。どちらも温度の測定に帰着します。空気が乾いているほど湿球からの蒸発が盛んで、乾球との温度差は大きくなります。

問われる形正誤ポイント
相対湿度 H は、水蒸気圧 e が、気体の温度での飽和水蒸気圧 es の何%にあたるかで表す○H=(e/es)×100
乾湿球湿度計の式で、湿球が氷結していないときの係数 A は 5.83×10−4×6.62×10−4。5.83×10−4 は氷結しているとき
乾湿球の湿球には、約 3 m/s よりさらに速い風を当てるほど温度低下量が増えるので、風は速いほどよい×約 3 m/s 以上では一定
冷却式露点計で湿度が分かるのは、露点での飽和水蒸気圧が気体の水蒸気圧に等しいから○露点と飽和水蒸気圧は1対1

例題

気圧 100 kPa、乾球 22℃、湿球 18℃(氷結していない)の乾湿球湿度計で、相対湿度を求めます。飽和水蒸気圧は、18℃ で 2,060 Pa、22℃ で 2,640 Pa と与えられているとします。

①温度差の分:AP(t−t′)=6.62×10−4×100,000×4=264.8 Pa。

②水蒸気圧:e=2,060−264.8=1,795.2 Pa。

③相対湿度:H=1,795.2÷2,640×100=68.0%。

④確かめる:es′ は湿球の温度、相対湿度の分母 es は乾球(気体)の温度の飽和水蒸気圧。P は kPa でなく Pa で入れる。

  • 校正しないで使える湿度計は乾湿球湿度計と冷却式露点計だけで、基準湿度計として使われる。乾湿球はガーゼの汚れや水の供給、風速の確保が課題。
  • 冷却式露点計の鏡はペルチェ素子で冷やすのが一般的。鏡の表面を清浄に保ち、配管への水分の吸着に注意する。
  • 露点が0℃以下で露が凍って霜になるときは、霜点ともいう。
  • 絶対湿度は 1 m³ の気体に含まれる水蒸気の質量〔g/m³〕。混合比は、水蒸気の質量と水蒸気以外の気体の質量の比〔kg/kg〕。

関連:絶対湿度と相対湿度

出典:エネルギー管理士試験講座 熱分野Ⅳ(省エネルギーセンター)1編1章 1.2〜1.4・2章 2.1〜2.3

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